2011年05月20日

幼馴染シリーズ 番外編

異父兄妹



※『幼馴染シリーズ』ルルーシュとゼロが少しずつ、異父兄妹として関係を築いて行く…最初の頃のお話しです。(今回、少々時間が空いてしまったのでリクエスト企画の作品を書く前にリハビリで書いたものです)

 ルルーシュの異父兄であるゼロの件が一段落してやっと…落ち着いてきた頃…。
あの、バタバタ状態の中、ルルーシュとスザクは両想いとなった訳だが…。
その後、周囲の騒がしさの中、二人がそんな気持ちに浸っていられる余裕もなく、落ち着いた今になって…やっと、自分の頭の中でその事実を理解し始めていた。
「私が…スザクの…恋人…って…」
改めて言葉にしてみると自分が恐ろしく恥ずかしい言葉を口にしたかのように顔から火が出そうになった。
ゼロの事を知って、ランペルージ家と桐原家の間で色々な話し合いが行われ、ルルーシュがスザクの婚約者に…そして、スザクの従妹である皇神楽耶がルルーシュの義兄であるシュナイゼルの婚約者になるという事で話しは決着がついた。
ただ、それはあくまで、家同士の事であり、当人たちの意思や感情はそこにはない。
だから、そう云った肩書をつけられたという事は認識していても、ルルーシュとスザクの二人の問題として、二人が両想いとなった事をこうして落ち着いて実感するのはこの時、初めてだった。
そこにいたのがルルーシュだけだったから…救われたのかもしれないと…後になって冷静になったルルーシュは思った訳だが…。
それまで、ルルーシュ自身がスザクを好きであるという自覚はあったけれど、スザクはユーフェミアと付き合っていた事もあったし、告白をして失恋までいたのだから、落ち着かない時に両想いだという意識を持つ事自体少々難しい事なのではないかとも思える訳だが…。
あれだけの騒ぎの中で…二人が両想いとなった事に…。
なんだか、気持ち的には複雑だ。
あの時、ゼロがルルーシュを誘拐しなければこんな風に両想いになる事なんてなかったのではないかと思えてくる。
尤も、スザクから見れば、スザク自身にはルルーシュを好きであると云う自覚はしっかり持っていたのだ。
ユーフェミアとのことや過去にルルーシュを傷つけ続けていたという自覚もあったから、あれがいいきっかけであった事は確かだ。
結果がどうなるか解らなかったし、ルルーシュの気持ちがスザクから離れて行く事になってしまったかもしれないが、それでも、ルルーシュを見守り続けるつもりでいた訳なのだが…。
そんなスザクの気持ちなど、ルルーシュが知る由もない…訳なのだが…。
何れにせよ、相当な廻り道をして、ある意味、落ち着くところに落ち着いたという形になった訳だ…。
そうなった時点では周囲が騒がしい事になってしまっていて、二人がその事を意識できるようになったのはつい最近の事…であるという事だ。
初めの内はかなり頑なで、気持ちがうまくコントロールできずにいる状態が続いていたが、両親であるシャルルとマリアンヌ、そして、異母兄であるシュナイゼルがゼロの気持ちを落ち着かせた頃…漸くルルーシュもほっとして、心から力が抜けた。
力が抜けたと同時に…スザクと両想いとなった…と云う自覚が芽生えて困惑している…と云った経緯である。

―――コンコン…
 扉をノックされた事でルルーシュが我に返る。
「誰だ?」
今、このマンションの中にはナナリーとロロとノネットとゼロがいるのだ。
ナナリーはロロと一緒にいるのだからとりあえず、今はルルーシュの部屋に来るとは思えない。
だとすると、ノネットかゼロだ…。
一応、ゼロの事は一通り知ったし、頭の中では理解しているけれど…。
未だに感情がついて行かない部分もあり…。
『俺だ…』
正直、どう接していいか解らない方の人物がノックしたようだ。
ここで追い返す理由が思いつかず…少々困っていると…
ルルーシュの返事を待たずに彼は部屋に入ってきた。
「な!入っていいなんて…」
「入るなとも云われていないからな…」
流石に…ルルーシュの血縁だけあってきちんと言葉の上げ足を取って返してくる。
ルルーシュが複雑な表情をしているとゼロがふっと笑った。
「参ったな…。まぁ、嫌われても仕方ないか…」
ゼロが自嘲気味に苦笑している。
別に嫌いな訳ではないのだが…。
ただ、気持ちの中でどうしたらいいのかが良く解らないのだ。
それだけなのだけれど、そう云った感情を表す事が苦手なルルーシュは表情では複雑な表情になってしまうらしい。
「別に…嫌ってなんて…」
ルルーシュが少し下を向いてゼロの言葉に返す。
「まぁ、無理しなくていい…。俺自身、ルルーシュを守るつもりだった事は否定しないが、ルルーシュに対して嫌な思いをさせた事は事実だ…」
ゼロの言葉…。
確かに…話しの流れでは『キョウト六家』と云う組織のトップである桐原泰三がルルーシュを攫おうとしていた事は事実らしい。
それを察知したゼロが先にルルーシュを攫ったのだ。
桐原が何を考えていたかは解らないが…。
ただ、ゼロの考えていた事を知るにつれてゼロがあの組織の中で自分の意思とは別の方向へ話しが進んでいた事は…解る。
その所為でルルーシュがその話しの流れの中で利用されそうになっていたのだ。
それこそ…ルルーシュ本人が傷つけられてしまいかねない様な…。
桐原としても別離した枢木家の事もあり、一石二鳥だと思ってしまってもある意味仕方ない状態でもあった。
「あ…。それは…。それに…あれは…貴方が…私を…」
どう呼んでいいか解らず…思わず『貴方』などと云う呼称になってしまった事にルルーシュは気付かなかったが、ゼロは敏感に反応した。
「一応…俺はルルーシュと血のつながった兄なんだけれどな…。半分だけだけれど…」
この部屋に入ってきてから一番切なそうな表情をルルーシュに見せた。
「あ…えっと…その…」
「無理しなくていい…。こちらにその気はなかったとはいえ、電話口でシュナイゼル異母兄さんを脅す為に君の服まで破いたんだ…。警戒されても仕方ない…」
あの瞬間、確かに恐怖を覚えた事は本当だけれど、それでも…
―――あの時のゼロは…
ルルーシュはそんな風に思い返した。
実際にゼロはルルーシュに危害を加える気は毛頭なかったし、母親のマリアンヌが今は義父であるシャルルと結婚するとなった時にルルーシュを攫った連中とはちょっと違うという事は…何となく解った。

 結果的に、ゼロが何者であるか解った時点で色々な事に納得できた訳だけれど…。
それにしたって…あのシュナイゼルと対等に張り合えるだけの能力があるのであればあんな風にシュナイゼルの気持ちを逆なでするような方法を取らなくても脅しをかける事くらい出来たのではないかと思う…。
実際に、ゼロがランペルージ家に戻っては来たものの…相変わらず、『キョウト六家』にも出入りしていて…両家の調整役を行い、それまで『キョウト六家』の中で果たしていた役割もちゃんと果たしているのだ。
勿論、スザクが『キョウト六家』に戻り、形だけでもその仕事をこなせるようになるまでの間と云う事なのだが…。
それにしたって、それまでゼロが『キョウト六家』で果たしていた役割は大きなものであった事はうかがえる。
あれだけの騒ぎを起こしてゼロは不問となっていたのだ。
云ってみればあの組織の中でゼロがいなければ成り立たない部分があるという事だ。
何れ、スザクがそれを引き継いでいく事になる訳なのだけれど…。
「別に…警戒なんてしていない…。貴方の…ゼロの…事情を知ったら…多分、今のゼロの言葉は真実だと思えるから…。それに…今なら貴方が私の異父兄だって…信じられる…」
ルルーシュの言葉にゼロが不思議そうな顔をする。
そんなゼロの顔を見てルルーシュがくすりと笑った。
これまで、スザクやナナリーに指摘されても何となく自分の中で納得出来ていなかったけれど…。
こんな風に冷静になって、落ち着いてみると…彼らの言葉は正しいと思えるから…。
「ゼロは…母様にそっくりだ…。私も良く…母様に似ているって云われるけど…。私よりもゼロの方が母様に似ている…」
「そうか…」
ルルーシュの言葉にゼロはその一言を零して下を向いた。
そんなゼロを見ていてルルーシュとしては何か悪い事でも云ったのかと…少し心配になるのだが…。
「シュナイゼル異母兄さんがルルーシュに惚れたのが…解る様な気がするよ…」
ゼロが口の中でぼそりと呟いた。
その言葉の中になにが含まれているのか…ルルーシュには解らない。
だから、今度はルルーシュが不思議そうな顔をする。
ルルーシュのそんなアンバランスな鈍感さに苦笑してしまいそうになるゼロだが…。
それでも、その苦笑をかみ殺す。
「ルルーシュ…変な云い方だけれど…攫ったのがお前で良かった…」
言葉だけを見れば…ムッとしてしまう様な…そんな言葉だけれど…。
でも、ゼロの表情を見ていると…そんな気持ちもなくなって行く…。
それは…ゼロの複雑な過去を知ったからなのか…。
「なんだよ…それ…。まぁ、ナナリーを攫っていたら私が地獄の底まで追いかけて行って絶対に懲らしめてやるけどな…」
ルルーシュがプイッと横を向いてそう、云い放つ。
今となってはそんな事…考えてもいないし、本当にナナリーが攫われていたのだったら…逆に、こんな複雑な事になっていなかったかもしれない。
ナナリーは病弱だったせいか、他人の考えている事に敏感で…隠している事を察するのが早い。
あんな形で誰かを脅す前にナナリーはその相手を宥めてしまうかもしれない。
まして、相手が…その事実を知らなかったとしても…血を分けた兄であるというのなら…。

 そんな風にそっぽ向くルルーシュにゼロは苦笑しつつ、複雑な感情を抱く。
こんな危なっかしい異父妹を…攫った事に色んな意味で複雑な気分になるからだ。
頭はいいくせに…バカだと云うのは確かに本当だ…。
「ルルーシュ…お前のその、なんて云うか…妙な強がりはやめておけ…。それに、自分の事を顧みないその悪い癖もな…」
ゼロとしては『あに』と云うカテゴリーの存在としてもこの危なっかしい『いもうと』が心配になる。
これまで、ナナリーがルルーシュに守られていると思っていたが…。
ゼロがランペルージに来てからめまぐるしく変わって行く状況の中で、この姉妹を見てきたが…。
どちらかと云うとナナリーの方が安定感がある様に見える。
彼女自身、自分自身が誰かの手を借りないと自分自身がままならない事を自覚していたから…と云う事もあるかもしれない。
彼女は非常に周囲を冷静に見つめている事が解った。
ルルーシュはナナリーの事となるとすぐに前後不覚となり、あたふたしているのを見ていたから…どうしても危なっかしいと思えて来るのだろう。
ルルーシュ自身は非常に能力のある人間だと思う。
男であったならそれこそ、シュナイゼルはルルーシュを絶対に自分の懐に抱え込んで放さないだろう。
しかし…精神的に…脆いところがあり…その一点を突かれると彼女自身がいとも簡単に崩れると云う…ある意味、ウィークポイントがあると云う事も事実ではあるのだが…。
―――物理的優秀さと…精神的弱さ…。本当にアンバランスだ…。
それが、ゼロのルルーシュに対する評価だ。
ルルーシュにとって大切な存在は全てを持って守ろうとする傾向があり…その中でもナナリーに対してはけた違いだ。
そして…そんなアンバランスなルルーシュを今、支えているのは…
―――あの、茶髪のクソガキか…
そう思うと何となく複雑な気分だった。
「ルルーシュ…お前は…どうして、『キョウト六家』の跡取りとしてのあのクソガキと婚約なんてしたんだ?」
ゼロが唐突にそんな問いをルルーシュに投げかける。
「え?」
「どう考えたって今更枢木家の人間が桐原の後を継承していくというにはかなりの茨の道を歩く事になる。俺を推していた連中だってそれなりにいたし、逆に俺を追い落とそうとする連中もいた…」
ゼロがなにを云いたいのかが解った。
スザクに対して『クソガキ』と云うその表現にはちょっと、ムッとしてしまったが…。
「私も…スザクも…それを承知の上で決めた事だし…。うまくできるか解らないけれど…ランペルージも『キョウト六家』も途絶えてしまっては困る…と云う事だけは解るし…。それに…私は…ゼロにも幸せになって欲しい…」
ルルーシュの言葉に…ゼロの動きが止まる。
何を云われたのか…理解出来ないと云った感じだ。
「なに…を…」
「ゼロの過去を知ったからと云うのもあるけれど…。こうして、色んな形でゼロの『いもうと』として話しをしていて…素直にそう…思えるんだ…。私は…ずっと、シュナイゼル義兄さまたちのお陰で平凡な幸せに浸ってきたから…。だから…今度は私が出来る事でゼロに…平凡な幸せを少しでも味わってほしい…」

 ルルーシュの言葉に…。
シュナイゼルもあの、ヴァインベルグ家の跡取りであるジノも…彼女に惹かれた理由が解った気がした。
ゼロとしても…ルルーシュが『異父妹』でなければ…と思えるくらいのモラルはあり…。
だからこそ、その先を考える事など出来ない訳なのだが…。
「お前なぁ…そんな他人の幸せを考える前に…自分の幸せを考えろよ…」
今のゼロにはその一言を口に出すのが精いっぱいだった。
「私は幸せだよ…。ナナリーが元気になって、ちょっと複雑だけど、ロロとうまく行っていて…。スザクも…私を大切にしてくれている…。ゼロはまだ…私たちの前で、心の底から笑っていないから…」
またも、予想外の言葉にゼロが目を丸くする。
元々、そんな風に心の底から笑えるような状況の中にいた訳ではなかったから…。
そして、そんな事を考えた事もなかった。
それ故に今の言葉は色んな意味できついと思った。
「俺が…バラエティ番組見ながら大笑いなんて…考えられないだろうが…」
「でも、私もナナリーも面白い番組を見れば大笑いするし、嬉しい事があれば笑う…。これから…少しずつでいい…。ゼロが嬉しいと思った時には…笑って欲しい…。そう望むくらいは…いいだろう?きっと…ナナリーもそう思っている…」
「お前…結構無茶ぶりする奴だったんだな…」
ゼロが苦笑しながらそう零す。
「そうか?当たり前の事だと思うぞ…。自分の大切な人間の事だと思えば…」
そんなセリフをさらりと口に出来る目の前の異父妹に対して、微笑ましいとか、嬉しいとか云う以前に…危なっかしさを感じてしまう。
「ルルーシュ…お前は警戒心がなさすぎだ…。少しは、自分のされた事に対して怒りを感じる事を覚えろ…。でないと、『キョウト六家』ではやっていけないぞ?」
それは…これまでのゼロの経験だ…。
正直、こんなルルーシュをあの中に放り込んでしまう事に色々不安を抱いてしまう。
あちらに行ってしまえば…ゼロもシュナイゼルも直接ルルーシュを守る事も出来ない。
「心配し過ぎだ…。それに、そんな事に怒りを抱いていたら…余計に敵を作る事になるんじゃないのか?それに…それで、『キョウト六家』から追い出されたって、私もスザクもなんとかやっていけるよ…。別に…そこまで肩肘を張る事はないじゃないか…」
ルルーシュの言葉に、少しだけ、心配そうにゼロが笑う。
正直、危なっかしいこの異父妹をあの中に放り込みたくないというのは正直な気持ちだ。
こんなに危なっかしい癖に云いだすと頑として引かない…。
「まぁ、本当に危なくなったら、俺もシュナイゼル異母兄さんも黙っていない事くらいはあっちも解っているからな…。それに、ランペルージの御当主のお気に入りだしな…お前は…」
「なんだよ…それ…」
「まぁ、好きにしろよ…。今、お前と話していて苦労させられそうな気がしてきたし、その覚悟もできた…。お前はお前のやり方で幸せになればいいさ…」
そう云って、ゼロはルルーシュの部屋から出て行った。
ルルーシュはそんなゼロの背中を何となくムッとした顔で見ていたが…。

 扉を閉めて…ゼロはその場でふっと立ち止まり、苦笑した。
「『いもうと』じゃなければな…。ちゃんと…攫ってやれたのに…」
その呟きは誰にも聞かれる事はなかった。
そして、ゼロも二度とその事を口には出さなかった。
すぐに普段のゼロの表情に戻り…リビングにいるナナリー達の元へと戻って行った…。

END

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posted by 和泉綾 at 08:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年08月01日

幼馴染シリーズ 〜番外編その2〜

政略結婚



※『幼馴染シリーズ』シュナイゼルと神楽耶の馴れ初めです。

 突然のルルーシュとスザクの決断だった。
正直、シュナイゼルとしては全力でぶっ潰したいと思ってしまったのだけれど…。
ただ、ゼロの事があっただけに、単純に反対したところで、問題は大きくなるし、ルルーシュの事だから、決して引かない。
それが解っていた。
その時…ゼロがどうしても…と云うあの『キョウト六家』から連れ出したい人物がいると云っていた。
本当はゼロとしてはゼロのブレーンとして仕事の手伝いをして欲しかったようだけれど…。
彼女は実際には、将来的にゼロと結婚して、ゼロが『キョウト六家』の当主になり、彼女がその流れの血を残す…そんな計画だったらしい。
だとするなら、ルルーシュがそちらに行くと云うのなら、彼女をランペルージに…と考えたわけだ。
これは流石に親族会議の中で話しあわなければならなかった。
ルルーシュが枢木スザクと婚姻を結ぶと云う点に置いてもそうだったけれど、ランペルージとしてはシュナイゼルが皇神楽耶と婚姻を結ぶと云った事の方が重要事項だった。
こんな大きな問題が一度に持ち込まれてしまい、ランペルージ家のかなり遠い親戚までが一堂に日本のランペルージの屋敷に集まったのだ。
正直、シュナイゼル自身も顔を覚えていない親戚も多い。
辿って行くと、普通に結婚しても問題ないくらい遠い親戚となっているものに関しては、基本的に会った事のない者も結構いたりする。
そんな連中と比べて比較的本家に近い親せき筋の中でもルルーシュやナナリーと面識のない者も多い。
彼らが彼女達を一族の一員としてずっと認めて来なかった…と云うのもある。
そして、ルルーシュとナナリーはランペルージグループ内での地位は何も持っていなかったのだ。
ただ、現ランペルージ当主と、次期当主の絶大な寵愛を受けている事だけは一族に知れ渡り、その事から、ルルーシュとナナリーの安全を考えた時、二人にランペルージ家の中での地位を与えなかった。
少なくとも、現当主、次期当主のお気に入り…。
それだけで十分な攻撃理由になってしまう。
その上に、ランペルージ家の中での確固たる地位など与えたりしたら、それこそ、次期当主が決まっている中で、その後の自分の地位を得ようと思った時、そんなお気に入りなどと云う存在がいたら、確実に危険な目に遭う。
いくら、彼らが彼女達を守ろうとしていても…。
ランペルージグループと云うのはそれほどの大きなグループであり、世界的に影響力を持つ企業集合体だ。
巻き込みたくないと思えば…中枢に近付けないことが一番簡単な方法だ。
ルルーシュの母とランペルージ当主が結婚するという報道が出た時、ルルーシュが実際に攫われているのだ。
その時は確かに、無傷で帰って来たけれど…。
それでも、その後も確実なその保証が出来なかった。
だから、結婚相手であるマリアンヌは公にして、そして、その地位も与えたけれど。
しかし、その娘であるルルーシュとナナリーにはその地位を与えなかった。
そのルルーシュが…自分からランペルージの家の一員として…『キョウト六家』の傘下にあり、やがて、その当主となる枢木スザクとの結婚を決めた。
そして、シュナイゼルも皇神楽耶との結婚が決まったのだ。

 流石に自分自身が、恋愛結婚を望めない事くらいは承知していたから…。
ただ、大学の時にはルルーシュと同じ歳であるヴァインベルグ家の娘であるユーフェミアと一度は婚約をしていたけれど…。
様々な紆余曲折があって、結局破談となった。
まぁ、その後も確実に、婚約者があてがわれる…。
そんな風に思っていたけれど、この歳になるまで自由気ままに仕事をしつつ、お遊び程度の恋愛も経験してきた。
だから、突然の話しだった。
皇神楽耶との婚姻が決まったのは…。
話しはそれこそ急ピッチに進んだ。
お互いの顔見せをして、その後は時々、プライベートで会う機会はあったものの…。
婚約期間など、本当に短い期間だった。
既に、両家での話しが決まってしまっていて、自分達は単にそのレールの上を転がされている…そんな感じだったのだから。
「神楽耶さん…本当にこれでよろしかったので?もし、ゼロの方がよろしいとなれば…」
「何を仰っているのです?確かに、ゼロ様とは懇意にさせては頂いていましたけれど、互いに『キョウト六家』が勝手に決めて、そうなると思い込んでいただけのお話しです。それに、私には『キョウト六家』を守らなければなりません…。私は…そう育てられ、そう生きて来たのですから…」
神楽耶がシュナイゼルの問いに、にこりと笑ってさらっと返した。
確かに…神楽耶の云っている事にウソを感じられない。
だから、彼女自身、この状態を辛いとか、不幸だと思っているわけではなさそうだ。
「貴女は…凄い方だ…。私も見習わなければなりませんね…」
「おや…貴方様だって、ランペルージを背負って立つ…そう…育てられてきたのでは?」
神楽耶が怪訝そうに尋ねるが…。
シュナイゼルは苦笑する。
確かに…その通りだった…。
彼女たちと…否、彼女と出会うまでは…。
将来、ランペルージグループを背負って立つ者として、帝王学を学び、経済学、経営学、政治学、あらゆることを学んできた。
幼い頃からの帝王学で、自分の意思をコントロールする術も…身に付けていた筈なのだけれど…。
「貴女ほど、完璧なものではありませんでしたよ…。実際に、私は、一時期、一人の女性の為に感情で動いていた…」
もう昔の話なのか…あれから、それほど時間が経っていないと思うかは…。
正直、結論なんて出ていない。
「まぁ…では、人の痛みを知るのですね…。私は…そう云った事から完全に遮断された状態で育てられてしまったので…人とのお付き合いがどう云ったものであるのか…解らぬのです…」
神楽耶の言葉は…今どき、まるで嘘みたいな話だと聞こえるのだけれど…。
でも、彼女の目がそれは真実であると語っている。
本当に…知らないのだ…と…。
「なるほどね…。そんなところに彼らが飛び込んで行って…大丈夫なのかな…」
それは、義妹に気を使うように…云ったつもりだったけれど…。
彼女の耳にはどう聞こえ、心にはどう響いたのだろうか…。

 互いが、本当にのんびりとした口調で…話しを続けている。
互いに、その心根が解らないと云う…そんな雰囲気が思い切り醸し出されている。
ある意味、こうした、特殊な環境に育ってきた者達にしか解らない、何かがあると思われる様な…。
幼い頃から…自分には背負わなければならないものがあると、教え込まれて来た者達のそんな空気…と云うべきか…。
互いに心を通じ合った状態での結婚など望めない…。
ずっとそう思って生きていたし、今だって、そう考えている。
自分達は…その大きなものを背負う為に生きていて、やがて、その時が来たら、死んでいくのだから…。
シュナイゼルの父だって、シュナイゼルの母が病気で早世してしまったから…。
それから10年以上も経ってからマリアンヌと結婚しているのだ。
その事にとやかく言う者達が多くてびっくりした。
と云うのも、その事にとやかく言う者達は…ランペルージ家の為…に何かを云っているわけではなかった。
ただ、自分の地位の安泰を考えてのものだった。
恐らく、シュナイゼルの父もそれをよく理解していたから…そんな言葉に耳を貸さなかった。
ただ、ずっと、父の傍にいたビスマルク=ヴァルトシュタインだけは…こう云っていたのを、こっそり聞いていた。
多分、そんなセリフを口にしたのは…彼だけだった。
『マリアンヌ様との婚姻生活は…この私めがお守り致します。社長がお選びになった方です。決して間違いはないでしょう…』
本当にそれを聞いたのはたまたまだった。
再婚話が持ち上がってから大騒ぎになっていた。
だから、シュナイゼルも落ち着いて普段の生活を送る事が出来なかったのだ。
その時には既に、シュナイゼルは跡取りとして見られていた。
この先、自分の結婚相手もグループの人間が連れて来た女であろうことは解っていた。
キッとその相手も…一族によって、選ばれたシュナイゼルと結婚する事になる。
その相手と一緒にいて、特別な感情など…生まれるのだろうか…などとよく考えたものだ。
そんな時だった…。
彼女と出会ったのは…。
黒髪とアメジストの瞳が印象的で…強がっているけれど…何かびくびくしている感じがして…。
そして、最愛の妹を…必死に守っていると云う雰囲気を醸し出していた…小学生…。
その時シュナイゼルは既に高校生だった。
しかし、その彼女に、一目ぼれしてしまった。
彼女にとって安心出来る存在でいたい…などと、思ってしまったのは、その時が最初で最後だろう…。
実際、今、目の前にいる、この、結婚相手に対して、彼女に対して抱いた感情の様な、感情はない。
恐らく、相手も同じだ。
しかも、相手にはシュナイゼルが彼女に対して抱いた感情を、自分で実感した事もないだろうと…。
そんな風に思っている。
どちらがいいのか…。
この状況の中出は良く解らない。
ただ、これから、彼女がシュナイゼルの妻となる。
恐らく、『キョウト六家』の中の事しか知らない…彼女が…。
その事が幸せであるのか、そうでないのかなんて解りはしない。
と云うのも、恋愛結婚の方が離婚率が高い。
それに、結婚をして、その先に幸せになれるかどうかは…当人次第…。
どんな状況下でも…それは云えること…。

 日は…その、山ほどあるやるべき事と共に過ぎて行く。
お互いに、忙しい身だ。
特に彼女の場合は、これまで予定外だった者が『キョウト六家』を引き継ぐこととなったわけだから…。
彼女自身にも色々な手続きがあるようだ。
そして、シュナイゼルも結婚すると云っても、自分の仕事がセーブされる訳じゃない。
カノンなどは、そのやるべき事の多さに頭を抱えていた。
彼自身、とても有能な秘書になっているのだけれど…。
それでも『忙しい』とぼやいてしまう程、忙殺されている。
実際に、こうした形での結婚でなくとも、中々、忙しい事になるらしい。
そう云えば、ルルーシュも大学を卒業と同時に結婚すると云う事で…。
間もなくルルーシュが大学を卒業する。
その後、『キョウト六家』の長を務めている桐原翁がその役目を果たせる内はルルーシュは自分のやりたい事をやらせて貰えるという。
勿論、その中でルルーシュは少しずつ、そのしきたりなどを覚えていってはいるけれど。
相変わらず、忙しくなりそうだ。
と云うか、彼女の場合、一息つける時は…一体いつになったら来るのだろうか…。
そんな事を考えている事に気づいた時、シュナイゼルは思わず、苦笑してしまう。
「我ながら…未練たらしいものだ…。どうせ…僕では…彼女を幸せになど…出来ないのに…」
そんな言葉が、つい、出て来てしまった。
元々、何の望みも抱いてなどいなかった筈…なのに…。
ただ…笑っていてくれればよかった筈なのに…。
それも中々ままならない…退屈しなかったとは思うけれど。
その間に、親友と思っていたジノとも色々あった。
正直、彼が羨ましかった。
自分の気持ちをそのまま素直に、彼女に伝える事が出来たのだから…。
今では、シュタットフェルト家の令嬢とうまくやっているらしい。
本当に世の中、何が起きるか解らない。
あの、シュタットフェルトの御令嬢もルルーシュの為に一喜一憂していたのを思い出す。
彼女と出会った者は、彼女に魅了されてしまうのは…彼女が彼女であるが故か…。
それでも、彼女はそんな自分に気付く事はない。
何とも…楽しい運命を背負っているものだ。
恐らく、今回のこの婚儀による、ひょっとしたら自分達の代だからこそ…の互いの調和は…この代で終わってしまうかもしれない。
それでも…。
あの『キョウト六家』が態度を軟化させて、ルルーシュとスザクの婚姻を認めた。
シュナイゼルと神楽耶の婚姻を認めた。
一時的にとはいえ、暫くはこの二つの間に争いを生じたとしても、表だって大きな騒ぎとなる事はないだろう。
父である現当主は、ゼロの事があった事もあって、とにかく…最後まで渋っていたのは事実だけれど。
ただ、そのまま放置して、また、争いの種になる事を考えた時、現当主はその私情を奥の奥に押しとどめた。
今のところは…まだ、形だけ…の調和となっているとは思うけれど。
それでも、これまでの両方の間にあった様々なものを考えた時には大きな一歩だった。
忙殺されつつも…そんな感慨に耽ってしまう。
これは…一体何を意味しているのだろうか…。

 結婚の儀の当日…。
互いにそのしきたりがある為に、とにかく話がややこしかった。
特に『キョウト六家』の場合、なまじ古い家だけに儀式全てがはっきり云って、ブリタニア人であるルルーシュにもシュナイゼルにも訳解らない。
ルルーシュはスザクが、シュナイゼルは神楽耶がフォローをしてくれていたし、元々頭の悪い方ではないので、必要なことそのものを覚えること自体はそれほど苦労はしなかったけれど。
意味の解らない儀式の数々に、少々頭を抱えたくなった。
それこそ、結婚前に色々シリアスに考えていたのは何だったのか…と思う程だ。
今回、この二つの結婚の儀を同時に行う事となったのだ。
互いに当主の家に嫁ぐ…と云う形になっているからだ。
だから、シュナイゼル達の結婚の義とルルーシュ達の結婚の儀を同時に行い、神や先祖に報告する…と云う事となったのだ。
それまた、なじみが薄いからめんどくさい。
ルルーシュも半ば、顔を引き攣らせていた。
それでも…スザクと話しているルルーシュは…シュナイゼルが望んだ、笑顔だった。
それを見てほっとした時に…
「シュナイゼル様…」
シュナイゼルの花嫁が声をかけてきた。
彼女自身はこうした政略結婚について自然に受け入れており、彼の中の自分に対する感情はとりあえず、今は違う場所に置いている。
「これから…よろしく…」
「こちらこそ…。私は…この結婚は政略結婚であると承知しております。ルルーシュ嬢とスザクの結婚の様な形にはならないであろうことも…。ですから…私は貴方様が必要と思えば、他の方と関係を結ぶことも厭いません…。但し…」
神楽耶は本当に政略結婚と云う者を叩きこまれていると思わせるセリフを口にした。
けれど、最後に、一度、言葉を切って、更に続ける。
「但し…必ず、貴方様のお帰りになる場所は…私の許でありますよう…。そして、私に必ず、ややこをお授け下さいませ…」
そう云って頭を下げた。
それこそ、ここまで完璧なセリフを口にされてしまうと…二の句を告げる事が出来ない。
それでも、その小さな体が震えている事に気づいた時…。
シュナイゼルはふっと笑った。
「そんな風に、完璧である必要はないですよ…。私達は私達で…これから自分達が家族になって行けばいいのです。確かに、ややこしい事情で夫婦となった訳ですが…それでも、私達が二人で幸せになる方法は…きっとある筈ですよ…」
そう云って、神楽耶の顔をあげさせると…。
少し涙でうるんだ目をして、顔をやや赤くしていた。
シュナイゼルが外の女と関係を持つにしろ、神楽耶の子供にしろ、そこまで無理する必要はない。
シュナイゼルだって、彼女を妻としたのだから…こんな形の結婚であったとしても、二人で幸せになりたいと思うから…。
「二人で…幸せになりましょう…。こんな面倒な結婚を押し付けられているのです。私達は幸せにならなければもったいないですよ…」
シュナイゼルがそう云いながら笑うと、神楽耶もふっと笑ったのだった…

END

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posted by 和泉綾 at 17:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年07月25日

幼馴染シリーズ 〜番外編その1〜

おませな双子



※『幼馴染シリーズ Third Story』の未来の一幕となっています。スザクとルルーシュは双子(♀ なずなとすずな)のパパとママになっています。

 互いに複雑なバック・ボーンを抱えながら結婚して、早数年…。
ルルーシュとスザクの間に子供が出来て生まれて…おまけに双子の女の子が二人…と云う事で、ランペルージの当主は当然の事、色々複雑で小難しい事を云っていた『キョウト六家』の桐原までが鼻の下を伸ばしてひ孫に会える日を指折りに待っているとか、いないとか…。
あの頃の争いは一体何だったのか…と云う様な…そんな雰囲気を、今は醸し出している。
裏側を見れば、これが、表向きなものであり、それぞれが、それぞれの思いを抱えているけれど…。
今のところ、スザク達の一家は平和に暮らしている。
否、本当の意味でスザクにとって平和なのかどうかは…解らないけれど…。
「ただいま…」
仕事を終えて、結婚してから買ったマンションに帰って来た時…
「おかえり…スザク…」
そう云ったのは、最愛の妻ではなく…。
ある意味スザクの天敵と云えるべき存在…
「ゼ…ゼロ…。お前…ほぼ毎日ここにいて…シュナイゼルさんの仕事はどうなっているんだ!」
「ああ、異母兄さんにも頼まれているんだ…。なずなとすずなにこれを持って行って欲しいと云われてな…。本当は異母兄さんも来たかったらしいけれど…カノンに鬼みたいな顔をされて引っ張って行かれたな…そう云えば…」
ゼロの言葉にスザクは思いっきり顔を引き攣らせる。
そして…その後にとたとたとかけて来てスザクの両足に抱きついてきたのが…。
「「パパ…おかえりなさい…。ゼロおじちゃまがなずなとすずなにお洋服をくれたのぉ〜」」
一卵性双生児ゆえのユニゾン…。
顔もそっくりで、ルルーシュはちゃんと見わけがつくらしいけれど、スザクは時々間違える。
「なずな、すずな、おじちゃまにそのお洋服を着て見せて欲しいなぁ…」
初めて会った時とはまるで別人なゼロに…。
今では、今更なので驚きもしない。
「あ、スザク…おかえり…。シュナイゼル義兄さまが出張先で随分いろいろ買ってくれたらしい…。さっき、国際便で大きな荷物が届いた…。それに、義父さまからも…」
相変わらず…彼らはルルーシュに甘いし、ルルーシュの子供であるなずなとすずなにも親としては困るほど甘い。
「相変わらずだなぁ…。と云うか、ちゃんと、これ、押さえて貰うように云わないと…。いい加減、置き切れないじゃないか…」
「なら、家を買ってやると異母兄さんが云っていたぞ…。神楽耶も色々構いたいらしくて…桐原のじいさんに色々頼んでいるみたいだぞ…」
スザクの言葉に、スザクを更にどん底に叩き落す様なセリフをゼロが吐きだした。
大体、この双子姉妹の誕生がきっかけで、随分、二つのグループの関係が変わってきた。
今では別の意味で問題が生まれている気もするけれど…。
「ルルーシュ…二人にこの服を着せてやってくれ…。せっかく俺が買って来たんだ…。なずな、すずな、喧嘩しないようにどちらを着るか決めるんだぞ?」
「ゼロ…それ以前に、この二人にいろいろ買ってくるのは本当にやめて…。スザクじゃないけれど…本当に置く場所に困っているんだから…」

 ルルーシュは二人を別室へ連れて行き、ゼロが持って来た二人分の服を出すと…。
「あ…浴衣…」
「ママぁ…なずな、このヒマワリがいい…」
「あ、なずなずるい!すずなだってヒマワリがいい!」
浴衣の柄で色々揉め始める。
どうやら、ゼロはヒマワリとアサガオの柄を選んできたらしい。
「こら…喧嘩しないの!おじちゃまは喧嘩しない様に決めなさいって云っていたでしょ?」
ルルーシュが二人を窘める。
この双子がヒマワリを好きな理由は知っている。
この二人はなんだかんだいってパパっ子なのだ。
ヒマワリはスザクのイメージが強い…と云う事らしい。
「パパ…アサガオも好きなのに…」
ルルーシュがぼそりと呟く。
すると双子たちは敏感に反応する。
ただ、ここで終わらないところが、母の知恵と云うべきか…
「おじちゃまはどっちの花も好きなんだけどなぁ…」
ルルーシュはこの二人がどのように反応するのか、良く解っている。
「なずな…アサガオにする…」
「すずな…ヒマワリがいい…」
こうして、この二人の争いは終わるのだ。
なずなはゼロが大好きで、確かにパパっ子なのだけれど、『なずな…大きくなったらゼロおじちゃまのお嫁さんになるの…』と云って、現在、ゼロの一番近くにいるシャーリーに宣戦布告までしているのだ。
子供の云っている事だから…と、ルルーシュもシャーリーも笑っているのだけれど。
スザクはどうにも複雑らしい。
すずなは色々お土産を持ってきてくれるゼロに懐いているのだけれど…。
彼女の中では『優しいおじちゃま』と云うカテゴリーらしい。
どちらかと云うと、彼女の中ではシュナイゼルの方がお眼鏡にかなっているらしい。
でもって、すずなは子供だからこそ笑って見ていられると云う宣戦布告を神楽耶にしているのだ。
『かぐやおばちゃま…シュナおじちゃまはいずれ、このすずながりゃくだつあいでうばってさしあげます!』
などと云い放っている辺り…。
神楽耶の方もそれを面白がってすずなを構うものだから、スザクとしては気が気ではない。
なんだかんだ云って、すずなは神楽耶と仲がいいのだ。
そして、そんなすずなを見ていて、シュナイゼルはとにかく機嫌が良くなる。
いずれ、この二人の間に子供が生まれれば、変わって来るとは思うのだけれど。
お互いに色々忙しくて、ルルーシュ達ほど子供が作り易い環境にはないらしい。
そんな状況を見ていて思うのは…
ゼロの過去…
考えていても今のルルーシュに出来る事なんてないし、そんな事がないようにと今の結果を選んだのはルルーシュとスザクだ。
それに、あのシュナイゼルがそう云った事について何も考えていないと云うのは不自然だし、あり得ない。
シュナイゼルがゼロを心から愛しているのを…知っているから…。
数多くいる異母弟妹達の誰よりも…ゼロを愛しているのを知っているから…。
そんな事を考えて動きが止まってしまっていると…
「ママ?」
「どうかしたの?」
双子たちがルルーシュの顔を覗き込んだ。
「あ、ごめんね…。早く着替えてパパとおじちゃまに見せに行かないとね…」
そう云って、ルルーシュは二人に浴衣を着せて、セットで付いていた髪飾りを着けてやるのだった。

 二人の着替えを終えて…リビングに戻ると…。
スザクとゼロは既にルルーシュが作り終えた夕食のおかずをつまみにビールを飲んでいた。
「ルルーシュ…相変わらず料理うまいなぁ…」
「最近、キャラ弁作る様になっているし…。と云うか、俺のはやめてよ…」
ビール飲みつつ、勝手に食べ始めている夕食のおかずを口に運びながら二人が好きな事を云う。
「スザクのは…なずなとすずなに強請られてるの…。スザクが二人に甘いから行けないの!」
そう云いながら、ルルーシュはリビングの扉の向こう側にまだ、隠れている二人の方を見るけれど…。
「二人とも、入っていらっしゃい…」
ルルーシュがそう云うと…二人が少し、照れくさそうに入ってきた。
ゼロがくるたびに二人を着せ替え人形にするのはいつもの事なのだけれど…。
「……」
「……」
この男ども二人は…年端もいかない双子の少し照れくさそうにしている浴衣姿に言葉が出て来なくなっていた。
ルルーシュの着付けがうまいのか、二人が可愛いのか、ゼロの見立てがうまいのか…。
恐らく全部なのだけれど…。
「パパ…ゼロおじちゃま…」
「かわいい?」
このまま抱きしめたいと思っているのがよく解る。
と云うか、何となく、子供に対して疚しい気持ちを抱いてしまいそうになって、自分が怖くなってしまった。
「なずな…すずな…パパのお膝においで…」
「否…おじちゃまのお膝に…」
ルルーシュはこの二人の男どもを見ていて頭を抱えたくなった。
頼むから…着せ替えする度にそんな反応を見せるのはよせと…。
そんなところを見せるのは子供の教育上、良くないと…。
「おじちゃま…おじちゃまはなずなをおよめさんにしてくれる?しゃーりーおばちゃまじゃなくて、なずなをえらんでくれる?」
とんでもないセリフ…。
一体どこでそんなセリフを覚えて来たのか…。
「ああ…なずな…なずなが将来、おじちゃまのおよめさんだよ…」
「あ、なずな…ずるい!」
「すずなはシュナおじちゃまでしょ?シュナおじちゃまはきょうはおしごとでいないもの…。ゼロおじちゃまはなずなのよ!」
ここでもゼロをめぐっての小さな争いが始まる。
「すずな…ゼロなんかじゃなくて、パパのところにおいで…」
スザクがそう云うと…。
これまた、どこで覚えて来たのか解らないセリフが飛び出して来た。
「パパは…ママにぞっこんなんですもの…。それに、パパ、うわきしたら、ママにみくだりはんをつきつけられちゃうんでしょ?」
すずなのそのセリフに…。
その場にいた大人達が凍りつく。
そして、みんな同じ事を思う。
―――この子は…一体どこでそんな事を覚えて来るんだろう…。
どこで覚えて来るか解らないけれど…。
子供の吸収力と云うのは恐ろしいものを感じざるを得ない。
そして、何かと大人の真似をしたがる…と云う事なのだ。
「すずな…そんな事、一体誰が云ったの?」
ルルーシュが恐る恐る尋ねてみる。
「ひみつ♪」
すずなが機嫌良くそんな事を云っている隣でルルーシュは顔を引き攣らせてしまう。
動きが止まっているゼロになずなが何かを耳打ちして…。
そして、ゼロが『ああ、なるほど…』と云う顔をした。
スザクはそれに気づいて…でも、今はそれに言及する雰囲気でもないので、あえて、黙っていた。
その場で青ざめているのはルルーシュだけだった。

 その後、ルルーシュだけは何となくもやもやを抱えつつも、子供達もいると云う事で何とか、その気持ちを押し隠して、一緒に夕食を食べる。
二人の入浴や歯磨きなどを済ませて…再びリビングに戻って来ると…。
まだ、スザクとゼロがビールを飲んでいた。
「あ、ルルーシュ…お疲れ…」
「否…あの子たちの物理的な世話は…慣れているからいいんだけれど…」
そう云うと、大きなため息を零しながら腰かけた。
確かに…あの時のなずなやすずなのセリフに関しては…気になるのは当たり前だ。
まだ、小学生にもなっていない子供達のセリフじゃないと思う。
何かのドラマの影響なら…ルルーシュが一緒にいる時間にチェックすればいい。
インターネットはまだ触らせていないし、携帯電話も必要だと思うから持たせてい入るけれど、モバイルサイトに繋がる契約はしていない。
そんな、悶々と考えているルルーシュを見ていて…。
ルルーシュが二人の世話をしている時にゼロから話しを聞いて、納得していたスザクと、なずなから耳打ちされたゼロはちょっと、気の毒に思いつつも、楽しそうにその様子を見ている。
知ってしまえば何でもない…。
そんな感じなのだけれど…。
子供らしいと云うか、なんと云うか…。
ルルーシュは腰かけて、自分のグラスに手酌でビールをつぎ始めた。
恐らく、結構思い悩んでいる感じはする。
ルルーシュの場合、酒が弱い訳ではないのだけれど…。
飲み始めて、愚痴モードに入ると、中々大変な状態となる。
「ルルーシュ…そんなに心配する事無いって…」
「スザク…スザクがそんな事を云って…。あの子たちには変なテレビも見せていないし、インターネットだって…」
少し、涙ぐみ始めているルルーシュを見ていて…。
本当に、一生懸命子育てをしているのだと思う。
ルルーシュも昼間は外で働いている。
でも、二人が家にいる時間は必ずいる様にしていて…。
決して不自由をさせていない事は…傍から見ていても解る。
最近流行りのキャラ弁だってない時間を一生懸命作りだして頑張っているのだ。
「後で、ノネットに文句を云っておけ…」
ゼロの口から最近、あまりこのマンションに遊びに来なくなったノネットの名前が出て来て…。
ルルーシュは不思議そうな顔をした。
「え?ノネット?なんでノネット?」
「この間、俺とシャーリーが双子たちを預かった時に、ノネットも合流したんだ…。で、ノネットも最近、ストレスでも溜まっていたのかもしれないな…。何やら、すずなから何か相談を受けて、それで、少々悪ふざけが過ぎたみたいなんだよ…」
「あの二人がルルーシュの娘だって事を忘れていたのか…。1回云われた事を5歳児が覚える訳ないと云う思い込みもあったんだろうなぁ…。で、ノネットに云われたセリフをまんま意味も解らずに云っていたらしい。ノネットがごちゃごちゃ云っていた設定が結構マッチしていたらしいな…」
「まぁ、ノネットも悪気はあった訳じゃないと思うぞ…。あんな昼メロ設定…。変なドラマとかの影響ではなさそうだ…」

 二人の言葉に、ルルーシュがなんだか力が抜けたらしく、持っていたグラスを置いた。
「よ…良かった…。あの子たち…頭がいいから…変に大人になっちゃって…問題児になっちゃったのかと…」
ルルーシュの口からぼそりとそんな言葉が零れて来た。
確かに、あの二人はルルーシュの子供と云うだけあって、頭はいい。
本当にもの覚えはいいし、ちょっと油断していると、要らない事を覚えて来る。
「でも、ま、俺としてはなずなが俺のお嫁さんになるってのは本気であって欲しいけれどな…」
ゼロが茶化す様に云うと…。
ルルーシュがキッと、ゼロを睨みつけた。
「何を云っているんだ!シャーリーの事…どうするつもりなんだ?シャーリーに不誠実な態度を取っている様なら…私は絶対に許さないからな!」
ルルーシュが本気でゼロに対してドスの利いた声で云い放った。
でも、ゼロはルルーシュのそんな言葉に対して怯む事などない。
「それを云うなら…シャーリーにも云ってくれ…。最近じゃ、アイツの方が、仕事が楽しくて仕方ない…って空気なんだからさ…。だから、俺がここにきているんだろ?」
ゼロの言葉に…
スザクが、少し心配そうに声をかけた。
「うまく…行っていないのか?」
「そう云う訳じゃないんだ…。お互いにそう云った事に束縛されるのが嫌…と云う感じなんだよな…。俺も彼女も、自分のペースで相手と会うのがいいみたいだ…」
ゼロはさばさばした感じで答えた。
そこに…多分、ウソはない。
初めて会った時の様な、切羽詰まった様な、乾き切った様な…そんな印象はないから。
「それで…幸せ…なのか…?」
ルルーシュが心配そうに尋ねると…。
ゼロがクスッと笑った。
「ルルーシュに心配されるとは…俺も出世したものだ…。大丈夫だ…。俺もシャーリーも今、結婚を考えてはいないし、今、結婚しても婚約しても、互いを縛りつける鎖になるだけだ。互いに必要な時に会える…。どれ程仕事を忙しいと云う時でも、俺はシャーリーを、シャーリーは俺を最優先する…。それが解っていれば十分だ…」
ゼロの言葉に…。
少し心配した表情を見せた時、ゼロの携帯が鳴った。
「シャーリーからだ…」
そう云って、携帯を開くと…ゼロがクスッと笑った。
「いつも唐突だ…。悪い、俺はこれで帰るよ…」
そう云ってゼロが立ち上がった。
「シャーリーに何かあったのか?」
「ああ、違うよ…。この間互いに都合が悪くなってキャンセルした会う約束…今日、代わりに会おうってさ…。だから、俺、これから云ってくるよ…」
「そうか…。シャーリーに…よろしく…」
「解った…」
ルルーシュにそう答えてゼロはマンションを出て行った。
「なぁ…スザク…。私達はこうして結婚して、一緒にいて、なずなとすずながいて、それで幸せだと思っている。シャーリーやゼロは…違うのかな…」
「さぁ…良く解らないけれど、ユフィとライ先輩は俺たちと同じような状態を幸せと思っているみたいだし、ミレイ会長とロイド医師はまた違った幸せを見ているし、シュナイゼルさんと神楽耶なんて…あれで本当に夫婦なのか?と訊きたくなるけれど…でも、あれはあれで、夫婦として幸せだって胸を張っているんだから…。それはそれでいいと思うぞ…」
「そうか…」

 出会いは…確かに最低だったし、紆余曲折もたくさんあった。
でも、それを乗り越えて来た周囲の人間達が…幸せでいてくれる事も彼らの中での幸せの為に必要だと…そう思っている。
「なぁ…スザク…。周りが幸せじゃなければ…自分は幸せになれない…って思うのは…我儘だと思うか?」
ルルーシュの言葉に、スザクはクスッと笑った。
何ともルルーシュらしい。
「我儘だとは思うわないけれど…欲張りだとは思うな…。まぁ、俺もそれは何となく解るけどな…」
そう、云いながらスザクはルルーシュの傍まで近寄って行き、ルルーシュをその腕に抱きながら…耳元で何かをささやくと…。
ルルーシュが顔を赤くするも…小さく頷いた。
「じゃあ、片付けたら…すぐに…な?」
「解った…」
そう云って、ルルーシュ立ち上がって、テーブルの上のものを運び始めて、スザクはバスルームへと入って行った。
食器を洗いながら…ルルーシュは思う。
―――今の私は…多分、世界で一番、幸せだ…

END

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posted by 和泉綾 at 19:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年07月18日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story Final



 それから、数日も経つとルルーシュは回復して…。
明らかに周囲から見てもルルーシュとスザクの雰囲気が変わった事が解った。
というか、非常に解り易かったとも云えるけれど。
「ホント…ルルーシュって、昔から解り易いわね…」
ルルーシュが熱を出した事を知って、アッシュフォード学園での関係者達が続々とルルーシュとスザクが両想いになったと云う話しを聞きつけて、集まってきたところだ。
「そうだよねぇ…ルルって、クールっぽく見えるのに、解り易かったもんね…」
「それでも…私、やっと、安心できます。ホント、スザクってば、中々決心つかなくって、見ていて、本っ当にイライラさせてくれましたもの…」
ルルーシュの中等部の同学年組の女子たちが云いたい事を云っている。
「にしても…なんで、ダメンズなスザクなんだよ…。ルルーシュ、ブリタニアにいたときだって、より取り見取りだったのにさ…」
そんな風にぶつくさ言っているのはノネットだった。
確かに、ルルーシュの事が心配で日本まで付いて来た彼女としてはあまり納得のできない結末とも云えるけれど…。
「まぁ、貧乏性の苦労性なんだろ…。俺だってこんな奴が義弟なんて認めたくないからな…。絶対にルルーシュの相手としては認めてやらん!」
こう云ったのは…。
いつの間にか彼らの輪の中に入り込み、さりげなく馴染んでいるゼロだった。
最初、シュナイゼルが全てをナナリーに話した。
その時には流石にナナリーも驚いたようだけれど。
それでも、事情を知って、その話しのすべてをしっかりと自分の中で咀嚼して…解釈した。
相変わらずゼロを異父兄と呼べないルルーシュとは違って、ナナリーはあっさりとゼロを受け入れたのだ。
これは、恐らく、出会い方の違いのせいだろうと…。
ルルーシュ自身、未だに素直になれないと云うだけの事なのだけれど。
それに、ゼロがルルーシュとスザクが両想いになった事をことのほか気に入らないらしくて…。
何かと、構って来るのだ。
だから、ルルーシュの方も意地になっていると云う感じだ。
「ゼロ…いい加減にしないと、本当にルルちゃんに嫌われちゃうし、ナナちゃんを困らせる事になっちゃうよ…」
半分、ゼロのなだめ役で付いて来ているマオが横から口を出した。
そして、そんなマオを見て…
「マオさんも大変だよねぇ…。というか、ルルーシュもゼロさんもなんだか、性格そっくりだし…。後で、この二人に苦労させられている者同士、少し、親交深めない?」
「ああ、ルルちゃん、結構大変そうだもんね…。しかも、ゼロと違って本人に自覚が全くないから…」
「あ、ゼロはそれでも自覚はあるんだ…」
「ルルちゃんよりはね…。というか、ナナちゃんだけが特別変異に見えてくるよ…僕の目には…」
マオがそこまで云った時…。
隅っこで、苦労している者同士で親交を深めていた二人が『はぁ』と二つ…大きなため息を吐いていた。
そして…ここに訳の解らない、仲間意識と云うべきか、互いの苦労を訳合う仲間となっていた。
この場所だけ…何となく、色々ストレスをためたサラリーマンの集いし飲み屋の様相を見せているような気がしたのは…恐らく、幻ではないだろう。

 それにまず、気が付いたのは…
「あれぇ…ノネット…。マオさんと仲良くなったんだ…」
何事にも目ざといシャーリーだった。
さっきから、目立たないようにジュースを飲んでいたニーナとリヴァルがそのシャーリーについて来た。
「ノネットって…ルルーシュ好きなの?」
ニーナのその質問にノネットは、返答に困ってしまうけれど。
ルルーシュの中等部の頃を知っている者達はそのノネットの困った様なその姿に少しだけ笑ってしまった。
「ノネット…だぁいじょうぶよ…。ルルって、女の子にも凄くもてていたの…」
「それこそ、男子が男子である事が悲しくなるくらいにな…」
「ルルーシュの場合、その辺りの自覚があったかどうか、結構怪しかったけれどね…」
中等部からルルーシュを知っているこの3人が『何を今更…』の様な感じで話しをしている。
確かに、ブリタニアでも、男子からも女子からももてていたのは確かだ。
「それにね…今はジノさんと付き合っているカレンだって、最初はルルの事でカレンはジノさんに食ってかかって行ったんだから…。最初は恋敵…って感じだったんだよ?あの二人…」
「ルルーシュが相手だと、男でも女でも何となく、『しゃ〜ないよな…』って思っちゃうんだからなぁ…」
「その分、ルルーシュに反感を持つ女子も多かったけれど、ルルーシュ相手じゃ話しにならないから、表向きには変なヤッカミもなかったんだけど…」
話しを聞いているとすごそうだ…。
これはノネット、マオが共通して抱いている感想だ。
確かに、異性からもて過ぎて、同姓からヤッカミを受けると云う事は良く聞く話だけれど…。
同姓からも異性からももて過ぎて、同姓からも異性からもヤッカミを受けつつも、相手がルルーシュであると云う事で、『仕方ないな…』と思わせてしまうと云う、そのルルーシュと云うその存在が…。
どう云っていいのか解らないけれど。
納得もできてしまうし、その存在自体、どんな存在なのかと…。
結構複雑な思いが過って行く。
ただ、その先にマオが続けた。
「ああ…でも、ゼロもそんな感じだったなぁ…。ゼロもさ、存在が目立つし、結構もてるタイプだったからね…。まぁ、いた場所がいた場所だから…大物にも合う事が多かった訳なんだけど…。それで、ゼロに懸想した男女は数知れないし、ちゃんと相手のいる男女もいて…。で、その自分のパートナーの懸想している相手がゼロだと知った途端に、白旗を上げるのはあまり珍しくなかったし、時には『え?あなたもなの?私だって彼を…』なんて話もあったくらいだし…」
まるでどこかのお笑いネタに聞こえるけれど…。
それがゼロの話しだと云われると、まだ、知って日も浅い相手だけれど、何となく納得できてしまう。
「あの二人…ホントに似ているものね…。ナナちゃんはあまり、外に出ていなかったからそう云う事はなかったみたいだし、今も、スザク君の弟のロロ君にしっかりガードされちゃっているから、そう云う話しは聞かないけど…。でも、ナナちゃんもそう云う事、ありそうだよね…」
見れば見る程…。
美形ぞろいで、それぞれに違った形で『守ってあげたい』オーラを秘めているのだから、タチが悪い。

 一方、もう一つのグループの方で、ルルーシュと初めて会った時とは別人の様なゼロが話しの中心になっていた。
「しかし…ルルーシュもナナリーも、何故、俺に靡いてくれないんだ?俺なら、前著区で大切にしてやるのにな…」
ノンアルコールでここまで悪ふざけなセリフを吐けるキャラだとは…。
流石に思わなかったルルーシュは面食らう。
スザクとしても、自分への憎しみの視線を向けるゼロが自分の中でのゼロのイメージだったのだから…。
正直、驚いたとしか…表現出来ない気持ちに満ちていた。
多分、ルルーシュも同じだ。
「まぁ、ゼロお異父兄さま…そんな事をして…お姉さまと私で仲違いをする事をお望みなのですか?」
すっかり打ち解けてしまったナナリーがゼロにくすくす笑いながら尋ねる。
「大丈夫だ…。ルルーシュはナナリーと喧嘩なんてできないだろ?それに、二人とも寂しくないように俺ならしてやるさ…。それに、俺はルルーシュとナナリーが仲良くしているのを見るのが何よりも嬉しいんだからな…」
こんな事を云っているゼロが本物なのか、ルルーシュを攫った時のゼロが本物なのか…。
正直、この疑問だけで、討論が出来そうな気がする。
「それにしても、ゼロさんって、本当にルルーシュに似ていらっしゃるんですね…。驚いてしまいました…」
ユーフェミアが二人の顔を見比べながら感嘆の声を上げる。
「まぁ、二人とも顔だけは母さんに似たからな…。ナナリーは凄く母さんに性格が似ている。特に、頑固なところが…」
「ゼロお異父兄さま…私はそんな…」
「頑固だろ?だから、ルルーシュが心配するのも解るよ…」
ゼロの言葉に、ナナリーが少しふくれっ面を見せる。
それは…ロロがゼロの言葉に同意する様に頷いていたからだ。
「にしても…ゼロ…。これから…シュナイゼル義兄さまと一緒に?」
ルルーシュが、何となく複雑な表情を見せながら、ゼロに尋ねた。
ナナリーも一応、一通りの事は知っているものの…。
ルルーシュは、目の前でその現実を、そして、ゼロの背負ってきた者の大きさを示されてしまったから…。
だから、異父兄と認めるとか、認めないとか云う以前に、ルルーシュ生来の気質による、疑問を抱いているのだ。
「そう心配する事はないよ…。俺はこれまでだってランペルージグループに籍を置いていたんだ…。ただ、少しだけ、立場が変わっただけだ。それに、スザク…お前も早期にする必要はない。何れ、お前の従妹もシュナイゼル異母兄さんのところに来る事になっているからな…」
ゼロの言葉は…。
本当にその相手の気持ちを読み取るのがうまいと…。
そんな風に思えてしまう様なそんな言葉だった。
実際に、こんなゼロとなったのは、元々の気質であったのか、それとも…ここまでの経緯が、彼をそうさせてしまったのか…。
正直、それは多いに気になるけれど。
今は…
―――ま、云いたくなれば…全部話すだろうな…。シュナイゼルさんか、ルルーシュに…。俺が心配するまでもないな…

 あの事件のお陰で、色々とランペルージ家事態も変わってきたし、あまり名前は知られていないものの、陰ながら影響のある『キョウト六家』も変わらざるを得なくなった。
最終的に、トップ同士が話し合いの上で、ゼロがランペルージ家に帰って来る、そして、互いの次期トップをどう据えて行くか…。
現在、両組織の次期トップが日本にいると云う事で、出来た事かもしれない。
ただ、他の財界に、政界に…それこそ、国籍問わず関わる存在達はその影響を考えて、様々な思いが交錯した。
それは、全体を見てのものであったり、自分の組織を見てのものであったり。
当然、互いのグループもただ、口約束だけでその契約を交わしたなどと云う様な真似をする訳にはいかない。
前時代的…そう云ってしまう事も出来るが…。
この時、一番手っ取り早かったのは…。
互いに婚姻関係を結ぶと云う事であった。
それが叶った陰にあるのは…。
ルルーシュとスザクの存在だった。
あれほど、スザクは枢木家への複雑な思い、『キョウト六家』という組織への複雑な思いはあったのだけれど。
ルルーシュの一言が、きっかけだった。
『もう…ゼロの様な存在を作ってはいけない…』
その言葉にゼロも驚いていたけれど。
彼女は彼女なりにゼロの存在を認めて、そして、その先を考えての言葉だった。
最初はシュナイゼルもゼロも猛反対した。
勿論、スザクも…。
ただ、スザクはゼロの事もあるから…最初に折れた。
それ故に、ルルーシュとスザクが両想いとなった恋人同士という事、そして、シュナイゼルもゼロも相当理論武装みたいな反対の仕方をしていたけれど。
それを予想していたルルーシュが全てをしっかりと受け答えし、云い返して来た。
それこそ、シュナイゼルにとっても、この先シュナイゼルを支えて行こうと云う姿勢を撮ると決めたゼロにとっても、ルルーシュでなければ、確実に『Go』サインを出していた。
実際に、今回の事は、ゼロの誘拐と云うその悲劇から始まっていた事だったからだ。
それに、ルルーシュに強く出られたとき、シュナイゼルは強く反対する事が出来ない。
最後の方はゼロに丸投げ状態だったけれど。
ただ、ゼロ自身、その時の当事者であり、中心人物にされてしまっているので、ルルーシュが最も物理的に効果的であり、恐らく、政略結婚という形をとるものの、ルルーシュもスザクも不幸な気持ちを抱えて結婚する訳ではないと云う事は…。
彼ら二人は認めたくなかったが、今ある現実だった。
で、結局は、ゼロがずっと気にかけていた皇神楽耶…。
ゼロが『キョウト六家』にいた状態であったなら、ゼロが彼女と結婚してゼロがトップとなる計画だったようだけれど。
彼女はシュナイゼルと婚姻を結ぶ…という話しに落ち着いていた。
その話しを聞いて、流石にルルーシュは驚いたようだけれど。
その辺りはシュナイゼルも神楽耶も『そう育てられてきた存在』と云う事もあって、かなり、あっさりした反応であった。
ルルーシュにランペルージ家の血が流れていない…という事はルルーシュの中で気になっていたけれど。
スザクはその時に説明した。
『日本では血筋も大切だけれど、まず、家名を残す事が重要なんだ。それに、俺がちゃんと枢木家の長男だから、その辺りはルルーシュが気にする必要はないし、その事をとやかく言ったら、うるさいのがいっぱいいるだろ?ルルーシュの場合…』
スザクがそう云って背後にそのオーラだけでスザクを殺してしまいかねない程恐ろしいオーラを背負った人物達が立っていた。
それを見て…ルルーシュはクスッと笑いながら…
『確かに…』
と答えた。

 この二つのグループの、こうした形での提携は流石に世界ニュースとなった。
枢木家が『キョウト六家』に戻ると云うその事実だけでも関係者の間では大騒ぎとなったけれど。
ただ、スザクはその為の条件を付けた。
『戻るのはスザクだけ』
『婚姻はランペルージ家の人間であるけれど、その血筋を問わない事』
この二つだけは絶対に譲らなかった。
古いしきたりに縛られている組織であるから、きっと、ルルーシュ自身、様々な形で苦労するだろうし、辛い思いもする事を承知していた。
ルルーシュ自身も、今、覚悟はできていても、耐えられないと思う事も出てくるかもしれない。
だから、スザクはルルーシュに一言云った。
「俺と…結婚してくれ…。でも、それは恐らく、様々な形での『業』や『責務』と結婚してくれ…という事になる。俺も、これまでお前に色々…その、辛い思いをさせて来ている自覚があるから…。だから、お前なら…とも、思っている。だから…俺と一緒に…」
スザクにその一言を云われた時、ルルーシュは耐えきれず、『ぷっ』と笑ってしまった。
確かに、これからスザクの背負う者などを考えた時には…。
そう云うセリフが出てくるのだろうけれど…。
「スザク…今更何を云っている?というか、この先、お前みたいな相手を将来の相手…なんて云ってくれるのはいないだろ?ユーフェミアを逃したのは今でも大きかったと思うぞ?ただ…お前が…私を望んでくれるなら…私はお前と一緒にいる。お前と一緒にいたい…」
そんな、ルルーシュが云った時、スザクはそのルルーシュの細い身体をふわりと持ち上げる。
スザクの顔を…ルルーシュが見下ろしている形となっている。
「とりあえず…大学は卒業させてくれるってさ…。で、お前のやりたい事も、俺のやりたい事も、現当主である桐原のじいさんが務められる内は…自由にしていいってさ…」
「それでも、しきたりとか、色々覚えなきゃいけないんだろ?お前の従妹の神楽耶さんと違って、私、そう云うの何もないから…苦労しそうだな…」
「大丈夫だ…それは俺も同じだからさ…」
そう云いながら、ルルーシュを下ろして、抱き締めて、耳元でルルーシュに告げる。
「絶対に幸せになろうな…。何かを背負っていても…何を背負っていても…二人で幸せになろうな?」
「当たり前だ…。こんな事を押しつけられているんだ…。誰よりも幸せにならなければそんじゃないか…」
スザクの言葉に、ルルーシュらしいと云えるそんな言葉が返ってきた。
そんなルルーシュらしい、本当は色々脆いところがある癖に逞しい事を云う言葉に、スザクはくっと笑いが小さく漏れだした。
きっと、こんなルルーシュだったから…スザクの中でルルーシュの存在が消える事がなかったのだろうと…。
「有難う…ルルーシュ…」
スザクの口から無意識に出て来た…その言葉。
ルルーシュの中では良く解らない。
何に対してのものであるのか…。
というか、何か礼を云われる様な事をした覚えがない…そんな気持ちなのだけれど。
でも、スザクが云いたいのなら…と、ルルーシュはただ、小さく頷いた。

 その後、二人は大学を卒業と同時に結婚した。
ただ、ルルーシュが医学部に入学してしまった為、その時には非常にもめてしまったのだけれど…。
ただ、この若者達の組織と云う枠組みへの小さな反逆がその組織に変化を与えたのだ。
そもそも、ランペルージ家の血を引いていないルルーシュがスザクと結婚するときにだってそれ相応に揉めたのだけれど。
その辺りは、ランペルージグループの後妻としてしっかりとその地位を守り、なおかつ彼女を認めさせる手腕を持ったマリアンヌの娘と云うべきだろうか…。
ジノはそんなルルーシュを見ていて、苦笑した。
『私の目に狂いはなかったようだな…。私の見間違いであってほしかった…と云うのは本音だけれどね…』
などと云っていた。
少しだけ、その後を説明してみると…ジノはいつの間にかカレンと両想いとなっており、今ではジノの妻としてその仕事を支えている。
ユーフェミアはライと結婚して、ライはエリートサラリーマンへの道をまっしぐら歩いており、ユーフェミアはそのライを支える良妻賢母という地位を築いた。
因みにライはしっかりとミレイの義弟となった。
その時には相当複雑な顔をしていた。
ミレイはライの兄であるロイドと結婚して、現在、アッシュフォード学園の副理事長となって、将来、学園経営の為に修行中である。
リヴァルは大きな失恋の痛みを仕事に打ち込む事で立ち直ろうと奮闘中だ。
シャーリーはこれまたいつの間にやら…という感じなのだけれど、ゼロの秘書として現在働いているようだけれど、中々春は訪れていないようだ。
それでも、そんな事でへこたれる訳でもなく…現在も恋に仕事に全力投球中である。
ニーナは自分の好きな研究の為にランペルージグループの研究所の研究員として、周囲で見ていて少々心配になってしまいそうなほど研究に没頭している。
本人にそれについて、不幸だとかそんな事を思っている様子はまるでない。
そして…ノネットは…。
ロイドの助手としてルルーシュのやりたいと考えていた研究をしている。
ナナリーの身体を治してくれた医療技術ではあったものの、その技術はまだまだ発展途上で…。
そして、今のところ、恋人を作る気は毛頭ないらしい。
なんでも、
『ルルーシュより魅力的な男が現れるまでは無理だな…』
だそうだ。
その言葉の意味を…聞いていた者達はあまりよく解らない…というか、恐らく本人にしか解らないであろうことは予想がつく。
様々な形で、紆余曲折を経て来たものの…。
確かに今のこの状態でも様々な形での試練はあるけれど…。
ひとまず、彼らの人生が落ち着くところに落ち着いた…という感じだった。
ルルーシュがメールを読みながらくすくす笑っていて…。
そして、スザクが複雑な笑いを零すと云う事もままある話し…。
「なぁ、スザク…もう一つ…嬉しい事があるんだ…」
ルルーシュが少しだけはにかんだようにスザクに声をかけた。
それは…その報告は…。
こんな報告がこんな形で目の前に相手に伝えられるだなんて思っていなかったから…ルルーシュもそわそわしてしまう。
「なんだ?」
スザクがそう尋ねると…ルルーシュがふわりと微笑んだ…。
「それはな…」
ルルーシュがスザクの耳元で小声で伝えた時…。
その言葉にスザクは驚いて、子供みたいな笑顔を見せた。
そして、ルルーシュを抱きしめる。
「ちゃんと…幸せになろうな…」
その言葉の重み、意味をこれから二人は…知って行き、二人の中で作り上げて行くこととなるのだ。
ただ、今、一つ云える事は、恐らく、二人が出会ってから…一番幸せと云える瞬間が来たと云う事…。
そして、その一番は…これから先も…増えて行くと…疑う余地のない…ありふれた日々のある一日の終わりを告げる頃だった…。

『幼馴染シリーズ 〜第3部 Third Story〜』END

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posted by 和泉綾 at 22:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年07月11日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 24



 買って来たドリンクをルルーシュの部屋に運んできたノネットが…。
ルルーシュの部屋の扉の前で…立ち竦んでしまった。
ルルーシュとスザクの会話…。
聞いてしまった。
ルルーシュが、スザクに対して安心していると云う感じが…ひしひしと伝わってきた。
それが多分、ルルーシュの本音なのだろうと思った。
ノネットは、ブリタニアにいる時から見た事もないスザクの事を、想像の中で随分ひどい人間だと思っていた。
尤も、あのルルーシュがあれほど大切に思う相手であると云う事を完全無視している状態だったから、普通に、スザクの事は『ダメ男』認定だった。
だから、そんな奴のいる日本で…ルルーシュの傍にいようとノネットは着いて来たのだけれど。
実際に、ブリタニアでのルルーシュのナナリーに対する気持ちは、傍から見ていると尋常じゃなかったし、日本に来て、ナナリーが少しずつルルーシュから離れて行った時も…。
―――ナナリーに物理的不便が生じるより先に、ルルーシュの方が精神的にダメージを受けていたもんな…。
そして、ルルーシュが日本にいなかった間に、周囲が随分変化していた。
ルルーシュ自身、様々な変化に戸惑っていたし、気持ち的にも落ち込んでいた事は解る。
ブリタニアにいる頃からルルーシュをナナリーから離してやらないと恐らく、互いの為にならないと思っていた。
実際に、日本に来てからは顕著だった。
そんなルルーシュを救ったのは…
―――多分、あのスザク…なんだな…。私、一体何をしに日本まで来たんだか…
そんな風に思えて来てしまう。
日本に来てからの生活は楽しい。
勉強だって充実しているし、その部分に置いては来てよかったと思っている。
でも、ノネットが一番の目的として掲げていたのは…。
少しだけ…落ち込んでしまう。
ただ、ブリタニアで、ヴァインベルグ家のニュースを知った時にルルーシュの口から聞いた…恐らく、ルルーシュは無意識のうちに出て来たであろうその名前…。
ユーフェミアとジノであれば、解らない訳じゃない。
でも、その中にスザクの名前があって…。
ノネットはルルーシュにとって特別な存在だとすぐに解った。
でも、色々話を聞いていて、ルルーシュの話しからも、ナナリーの話しからも…。
ただのダメ男の認識しかなかった。
でも、今、ルルーシュの一番の支えになっているのはスザクなのだと思い知らされているような気がした。
正直、ショックだし、あんな男に頼るくらいなら、なんで、自分に…などと思ってしまう。
日本に来た時、スザクを知った時…。
ノネットは自分がなぜ男じゃなかったのか…などと考えてしまったけれど。
ノネットの中で本当に、初めて会うタイプの人物だった。
なんだか不思議な存在…と云うのが一番正確な表現だと思う。
頭がいい癖にバカで、鋭いかと思えば、やたら鈍感で…。
人の心配はする癖に自分の事は無頓着で…。
全てをまとめると、『目が離せない』と云う奴なのだろう。
正直、最初の頃は戸惑ったものだ。
顔は本当に整っていて綺麗なのに、驚く様なボケをかますのだから…。
―――そう云えば…ルルーシュと同室で、退屈しなかったよな…。というか退屈なんてしていられる余裕がなかったな…。
そう思った時、ルルーシュの部屋の扉が開いてすぐに解る場所に、持っていたトレイを置いた。
わざと、音を出して、中に解るようにだけして…

 カチャリと…廊下の外で何か物音がする。
「誰かが…何かを置いて行ったな…」
スザクがそう云って腰を上げて扉を開くと…。
置いて行った人物の姿は見えなくなっていて、足元にドリンクとグラスの乗ったトレイが置かれていた。
まだ、冷たいスポーツドリンクのペットボトルと、もし、入るようなら…と付けたのだろう。
コンビニの自社製品のプリンが置いてあった。
スザクは腰をかがめて、そのトレイを持ち上げて、元いた場所に戻って行く。
「ルルーシュ…何かおなかに入れないか?というか、水分、摂れそうなら、摂っておいた方がいい…」
スザクがサイドテーブルにトレイを置きながら告げる。
ルルーシュは、目を醒ましたけれど、まだまだ、だるさが抜けきれていないようだ。
「起きられるなら、背中にクッションを置いてやるから、起きて、少し水分を摂れ…」
そう云いながら、ルルーシュの部屋にあるクッションを集めて、ルルーシュの身体を起こしながら背中にクッションを置いて行く。
その間、ルルーシュはスザクの腕の中にいる様な体勢となる。
普段の元気なルルーシュならこんな体勢になれば、恥ずかしがって全力を振り絞って押しのけるのだけれど。
今のルルーシュにはそれだけの力は残っていないらしい。
ルルーシュが起き上がった体勢となった時、スザクが体温計を渡す。
「一応、測って置け…。まずいと思ったらすぐに横になった方がいいと思うしな。でも、水分は摂れよ?」
そう云われてルルーシュは素直に体温計を受け取り、自分の脇の下に挟む。
なんだか、普段とは違う事をしているから、恥ずかしい気もするけれど、それでも今のルルーシュにその事に対して文句を云ったり、実力行使で拒否する事など出来ない。
スザクがグラスの半分くらい、スポーツドリンクを入れてまだ、体温計を挟んだままのルルーシュに渡した。
ルルーシュはそのグラスを両手で包むように持った。
「スザク…一つ…訊きたい事があったんだ…」
ルルーシュが一口スポーツドリンクを口に含んでから言葉を絞り出した。
熱に浮かされている状態でも訊きたいのか、それとも、熱に浮かされているから混乱している状態なのか…。
良く解らないけれど、とりあえず、聞いてみる事にする。
「なんだ?」
「お前…なんで…着いて来たんだ?あの時…」
こんな熱に浮かされている時に訊かなくてもいいだろう…。
スザクは素直に思った。
そして、これは、今、答えてやらなければいけない事なのか…真剣に考える。
でも、ルルーシュの顔を見ると、真剣に尋ねているのが解る。
熱を出している時くらい、何も考えずに直す事だけを考えて欲しいものだと思う。
「今、訊く事じゃないだろ?ナナリーが心配しているんだ…。だから、お前は…」
スザクがため息を吐きながらそう云って椅子に腰かけようとするが…。
ルルーシュはスザクから目を離していない。
「なんでだ?」

 こんな状態の時に放すべき事でもないだろうし、スザクとしてはきちんと気持ちを伝えるにしても、ルルーシュが熱に浮かされている時に話したくない。
「今のルルーシュは熱に浮かされている状態だろ?今訊いてどうするんだよ…」
スザクとしては、ルルーシュのこの唐突な言動に少々頭を抱えたくなるけれど。
しかし、ルルーシュの場合、何か気になると、どんな状態であれ、それを知ろうとする。
だから、目を離す事が出来ないのだが…。
「だって…知りたいから…」
何とか、スポーツドリンクは飲み干したらしく、空のグラスを両手で持ちながら下を向いてルルーシュがそんな事を云っている。
スザクとしては、
―――今、訊かなければならない事じゃないだろう…
と、素直に考えてしまうのだけれど。
ルルーシュはこう云う時、しっかりしているようでいて、バカだ。
そもそも、そう云った話しは普通に元気になって、ちゃんとした状態で聞くべき話ではないだろうか…。
「なんでまた…こんな時に訊くんだよ…。俺としては、お前がちゃんとしている時に云いたかったんだけれどな…。俺の家の事とかさ…」
「『キョウト六家』…だろ?少しだけ、話しを聞いた事はあったけれど…。スザクがそんな凄い家の血筋だったとはな…」
ルルーシュが少し俯き加減にそう云った。
「私の周囲にいる人間は…本当にすごい人間ばかりだ…。ランペルージ家も、ヴァインベルグ家も、シュタットフェルト家も、そして、お前のところも…か…」
何となく、複雑な表情をしてルルーシュが苦笑した。
熱があるからなのか…。
スザクとしてはツッコミたいことが結構あるけれど、とりあえず、その辺りを無視する事にした。
「家が凄いだけだろ?それは…。俺自身は凄くないよ…。それに、枢木家がどうであれ、俺は俺でしかないし、ゼロには申し訳ないと云う気持ちはあるけれど、俺としては巻き込まれる気はないよ。多分、俺が知ったことで、ロロも知る事になる。だとしたら、ロロも俺と同じ事を考えると思う。どちらかに押し付けるんじゃなくて、多分、両方なんとかそこから回避する方法を考えるよ…」
スザクが云ったその一言にルルーシュが少しだけ表情を変えた。
「お前が中等部の時、全てを一人で抱え込もうとした姿を知っているからな…。今回はあの時よりも遥かに話しが大きいからな…。俺ではお前みたいな事は出来ないからな…」
スザクの言葉にルルーシュはまたも表情を変えてムッとした表情を見せた。
そんな過去の話しをほじくり返す事もないだろうに…と云う意味だろう。
スザクはそんなルルーシュを見ていて、苦笑してしまう。
これから、自分がルルーシュに伝えたい事、頼みたい事を聞いたら、ルルーシュはどんな顔をするだろうか…。
「だからさ…お前に…ルルーシュに、俺の傍にいて欲しいと思うんだ…。と云うか、俺がお前を見張っていたいんだ…。きっと、あの爺さん連中、これからも何かをして来ると思うし、今回の事で、俺のウィークポイントを知ったと思うからな…」
スザクが不思議な事を云っていると…ルルーシュが不思議そうな顔をする。
こんな話しになるから、本当はルルーシュがちゃんとしている時に云いたかったのだけれど。
「ルルーシュ…俺の傍にいてくれ…。俺は…お前がいないとダメなんだ…。それに気がつかなくて…ユフィもお前も傷付けて来て…調子のいい事を云っていると思うけれど…。でも、俺にとって、お前が必要なんだ…。お前にとって、俺が必要でなくとも…」

 なんでこんなキザッたらしいと云うか、わざとらしい言葉が出てくるのか…スザクの中でも不思議なのだけれど。
でも、素直な気持ちを言葉にした時、こう表現されていた。
ルルーシュは…ポカンとしている。
やはり、熱のある時にこんな話しをされてもうまく飲み込めないだろう…。
「な…何を…云っている?だって…私はスザクに…」
「何年前の話しをしているんだ…。それに、俺、あの後、自覚がなかったけれど…気が付いたからな…。自分でもいい加減だと思う…。それでも、俺はお前が好きだ。ルルーシュが…好きなんだ…」
スザクがそこまで云った時…。
部屋の中の時間が止まっている錯覚を起こした。
小説の中の話しだと思っていたら、実際にそんな事があるのだと…。
そんな風に、ぼんやりと考えてしまう。
どれだけ時間が過ぎたかは解らない。
多分、彼らが感じていた時間ほど長い時間ではないだろう。
「お前…自分の云っている事…解っているのか?それとも…からかっている…のか…?」
ルルーシュが小刻みに声を震わせてスザクの言葉に対して尋ねている。
スザクにルルーシュの云っている事に対して言葉を続けさせないように言葉を次から次へと紡ぎだして行く。
「スザクは…こんな…言葉遣いが悪くて、性格が可愛げのない女なんて…。それに、お前が中等部の時にクラスの男子達と話していたのを聞いたのを覚えているぞ!えっと…む…胸は…Dカップ以上…とか云っていたじゃないか…。自慢じゃないけれど、私は胸の小ささにかけては、多分、あの時の生徒会の女子の中でも私の右に出るものはいないぞ?私はニーナにさえ負ける自信があるぞ!あ、ひょっとして、胸の大きいノネットのお近づきになりたいなら…取り持ってやってもいいぞ?えっと…それから…」
次から次に出て来る、自分を卑下している言葉に…。
スザクはため息を吐きたくなるが…。
これがルルーシュだと云う事はしっかり理解してしまっているから、ここで彼女を見ていてため息を吐く事くらいしか出来ない。
本当に彼女は自分の事を知らない。
熱が出ていて頭の中が混乱しているから…なのかもしれない。
―――だから、今は云いたくなかったんだよ…。と云うか、全く気付かれていなかったのかよ…。なんで俺が、理由もなしにあんなとこに乗り込んで行くんだよ!何とも思っていない相手の為に訳解らない連中の懐に飛び込んで行く様な真似をしないぞ…俺は…
頭がいいのにバカ…。
バカなのに頭がいいとこれほどまでに面倒な事になるとは…。
あの、中等部の時点で自分の気持ちがルルーシュに向いていて、自分から告白していたら一体どうなっていたのだろうか?
思わずそんな事を考えてしまうが…。
考えた時点で、更に大きなため息が出て来た。
「そろそろ…黙れ…」
さっきから次々と自分を卑下する言葉ばかり連呼しているルルーシュに低い声で云ったかと思うと、触れると熱発している事が解るその身体を引き寄せて…。
「!…んん…」

 べらべらいらない事を喋り続ける人間を黙らせるのにこれほど効果的な方法はあるだろうか…。
とはいっても、スザクとしては相手がルルーシュでなければ絶対にやらないが…。
抱き締めている身体も、動けないようにスザクの右手で押さえているルルーシュの頬も、スザクの唇で塞いでいる唇も、その中でスザクのそれに翻弄されている舌も…。
熱を出している事がよく解る程…
―――熱い…
ルルーシュがふるりと身体を震わせた事に気付く。
ルルーシュが息を止めていた事に気が付いた。
スザクが一瞬だけルルーシュの唇を開放する。
「息は…ちゃんとしていろ…」
そうスザクが云って、ルルーシュが何か抗議しようとした瞬間には再びスザクの唇がルルーシュの言葉を遮る。
この際、暫く喋る気力がなくなるまで続けていないと、話しにならないと思ったからだ。
流石にルルーシュは体調を崩しているだけあって、その後、間もなくスザクに対して、いらない事をごちゃごちゃ云うだけの体力も気力もなくなったようだ。
もう大丈夫…。
そう思った時、ルルーシュを開放して、ベッドの上に起き上がった状態にしてやった。
少し、お互いに息が荒くなっている。
「まったく…こう云う時は…変な言葉をたくさん知っている奴は困る…」
スザクがさっきまでの雰囲気…。
見方によっては怒っている様にも…見える様な…。
そんなスザクの雰囲気に、ルルーシュはびくりとして、そして、何も云えなくなる。
ルルーシュの身体の事も考えて、グラスにもう一度、スポーツドリンクを注いでやる。
ルルーシュに渡しながら、
「これを飲め。その後は、少し黙っていろ…」
これまでのルルーシュは…。
本当にしっかりもので、キレ者で…
そんなイメージが強い。
ただ、スザクは知っていた。
ルルーシュ自身、自分は強くあらねばならないと云い聞かせて、無理をしていた事を…。
恐らく、このルルーシュの姿を知るのは、スザクだけ…。
その自負はあった。
尤も、スザクだって、滅多に見る事のない姿ではあったけれど。
ルルーシュがスザクに云われた通り、渡されたグラスの中身を飲みほした。
それを見てスザクがほっと、安堵の息を吐いた。
「だから云ったんだ…。俺は、今、こんな状態のルルーシュに云うのは気が引けるって…。気になるから聞いたなんて…。子供か?」
「う…うるさい…」
「で、ここまで云っちゃった俺としては返事を聞きたいんだけれど?」
いつから、目の前のこの男に気圧される様になったのか…。
ルルーシュの中でぐるぐると考えてしまうけれど。
「まぁ、いいや…。とりあえず、ルルーシュの事だから俺の云った事も、云った意味も解っているだろうからな…。熱が下がったら…ちゃんと返事を…」
そう云いながらルルーシュの手からグラスを取り上げ、トレイに戻して、振り返った時、ルルーシュの手がスザクの手首をつかんだ。
下を向いている。
少し、身体を震わせて…
本当に…本当に小さなルルーシュの声が…。
スザクの耳に届いた。
「わ…私も…スザクの傍に…いたい…」

To Be Continued


あとがきに代えて



浮上しかけのところに…叩き落されるメールが届きまして…。
とりあえず、もういいやと…。
なぁんか、とにかく、なんだかよく解らないけど、どうでもいいという気分でして…。
何でも持っている人と、何も持っていない人の差ですね…これは…。
本当に『悪魔』という、契約をしてくれる存在が居るなら…普通に契約してしまいそうです。
今回の話し…正直、ちゃんと書けているか解りません。
人間って、本当に泣きたい時は…泣けないんですね…。
浮上しかけていて、少しずつ頑張ろうと思っていた矢先だっただけに…。
まぁ、いいや…

そう云えば、夏インテについて、『満了締切』の文字に色々不安に思っていらっしゃる方がいる様ですが…
確か、HARUコミの時もそうでしたけどね…。
一応7月2日まではちゃんと募集をしていたなら大丈夫だと思いますが…。
一応、和泉の知っている人は落ちている人いませんでしたけど…。
まぁ、安心して下さい。
まず落とされるのが一人、ここにいますから…。
不安がっている方の中で和泉が落ちた分のスペースを得ている方がいる筈なので…

『戦国BASARAU』始まりましたね…。
竹半カッコイイ!
と云うか、サル…貫禄あり過ぎ…(爆)
武田のアホ主従が大好きです。
後、上杉のユリ主従も…。
現在、目の前で武田主従がプロレスやってます…(笑)
伊達のゾッキー(死語だ(; ̄― ̄川 アセアセ))集団も結構好きですねぇ…。
あ、小十郎のスカウトは史実ですね…。
こんな、いきなり闇夜に紛れて…なんて事はしていませんでしたが…。
つうか、竹半…なんか、凄いキャラ設定だなぁ…(笑)
さてさて、どうなるんでしょうか…。
楽しみです♪


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posted by 和泉綾 at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 24



 買って来たドリンクをルルーシュの部屋に運んできたノネットが…。
ルルーシュの部屋の扉の前で…立ち竦んでしまった。
ルルーシュとスザクの会話…。
聞いてしまった。
ルルーシュが、スザクに対して安心していると云う感じが…ひしひしと伝わってきた。
それが多分、ルルーシュの本音なのだろうと思った。
ノネットは、ブリタニアにいる時から見た事もないスザクの事を、想像の中で随分ひどい人間だと思っていた。
尤も、あのルルーシュがあれほど大切に思う相手であると云う事を完全無視している状態だったから、普通に、スザクの事は『ダメ男』認定だった。
だから、そんな奴のいる日本で…ルルーシュの傍にいようとノネットは着いて来たのだけれど。
実際に、ブリタニアでのルルーシュのナナリーに対する気持ちは、傍から見ていると尋常じゃなかったし、日本に来て、ナナリーが少しずつルルーシュから離れて行った時も…。
―――ナナリーに物理的不便が生じるより先に、ルルーシュの方が精神的にダメージを受けていたもんな…。
そして、ルルーシュが日本にいなかった間に、周囲が随分変化していた。
ルルーシュ自身、様々な変化に戸惑っていたし、気持ち的にも落ち込んでいた事は解る。
ブリタニアにいる頃からルルーシュをナナリーから離してやらないと恐らく、互いの為にならないと思っていた。
実際に、日本に来てからは顕著だった。
そんなルルーシュを救ったのは…
―――多分、あのスザク…なんだな…。私、一体何をしに日本まで来たんだか…
そんな風に思えて来てしまう。
日本に来てからの生活は楽しい。
勉強だって充実しているし、その部分に置いては来てよかったと思っている。
でも、ノネットが一番の目的として掲げていたのは…。
少しだけ…落ち込んでしまう。
ただ、ブリタニアで、ヴァインベルグ家のニュースを知った時にルルーシュの口から聞いた…恐らく、ルルーシュは無意識のうちに出て来たであろうその名前…。
ユーフェミアとジノであれば、解らない訳じゃない。
でも、その中にスザクの名前があって…。
ノネットはルルーシュにとって特別な存在だとすぐに解った。
でも、色々話を聞いていて、ルルーシュの話しからも、ナナリーの話しからも…。
ただのダメ男の認識しかなかった。
でも、今、ルルーシュの一番の支えになっているのはスザクなのだと思い知らされているような気がした。
正直、ショックだし、あんな男に頼るくらいなら、なんで、自分に…などと思ってしまう。
日本に来た時、スザクを知った時…。
ノネットは自分がなぜ男じゃなかったのか…などと考えてしまったけれど。
ノネットの中で本当に、初めて会うタイプの人物だった。
なんだか不思議な存在…と云うのが一番正確な表現だと思う。
頭がいい癖にバカで、鋭いかと思えば、やたら鈍感で…。
人の心配はする癖に自分の事は無頓着で…。
全てをまとめると、『目が離せない』と云う奴なのだろう。
正直、最初の頃は戸惑ったものだ。
顔は本当に整っていて綺麗なのに、驚く様なボケをかますのだから…。
―――そう云えば…ルルーシュと同室で、退屈しなかったよな…。というか退屈なんてしていられる余裕がなかったな…。
そう思った時、ルルーシュの部屋の扉が開いてすぐに解る場所に、持っていたトレイを置いた。
わざと、音を出して、中に解るようにだけして…

 カチャリと…廊下の外で何か物音がする。
「誰かが…何かを置いて行ったな…」
スザクがそう云って腰を上げて扉を開くと…。
置いて行った人物の姿は見えなくなっていて、足元にドリンクとグラスの乗ったトレイが置かれていた。
まだ、冷たいスポーツドリンクのペットボトルと、もし、入るようなら…と付けたのだろう。
コンビニの自社製品のプリンが置いてあった。
スザクは腰をかがめて、そのトレイを持ち上げて、元いた場所に戻って行く。
「ルルーシュ…何かおなかに入れないか?というか、水分、摂れそうなら、摂っておいた方がいい…」
スザクがサイドテーブルにトレイを置きながら告げる。
ルルーシュは、目を醒ましたけれど、まだまだ、だるさが抜けきれていないようだ。
「起きられるなら、背中にクッションを置いてやるから、起きて、少し水分を摂れ…」
そう云いながら、ルルーシュの部屋にあるクッションを集めて、ルルーシュの身体を起こしながら背中にクッションを置いて行く。
その間、ルルーシュはスザクの腕の中にいる様な体勢となる。
普段の元気なルルーシュならこんな体勢になれば、恥ずかしがって全力を振り絞って押しのけるのだけれど。
今のルルーシュにはそれだけの力は残っていないらしい。
ルルーシュが起き上がった体勢となった時、スザクが体温計を渡す。
「一応、測って置け…。まずいと思ったらすぐに横になった方がいいと思うしな。でも、水分は摂れよ?」
そう云われてルルーシュは素直に体温計を受け取り、自分の脇の下に挟む。
なんだか、普段とは違う事をしているから、恥ずかしい気もするけれど、それでも今のルルーシュにその事に対して文句を云ったり、実力行使で拒否する事など出来ない。
スザクがグラスの半分くらい、スポーツドリンクを入れてまだ、体温計を挟んだままのルルーシュに渡した。
ルルーシュはそのグラスを両手で包むように持った。
「スザク…一つ…訊きたい事があったんだ…」
ルルーシュが一口スポーツドリンクを口に含んでから言葉を絞り出した。
熱に浮かされている状態でも訊きたいのか、それとも、熱に浮かされているから混乱している状態なのか…。
良く解らないけれど、とりあえず、聞いてみる事にする。
「なんだ?」
「お前…なんで…着いて来たんだ?あの時…」
こんな熱に浮かされている時に訊かなくてもいいだろう…。
スザクは素直に思った。
そして、これは、今、答えてやらなければいけない事なのか…真剣に考える。
でも、ルルーシュの顔を見ると、真剣に尋ねているのが解る。
熱を出している時くらい、何も考えずに直す事だけを考えて欲しいものだと思う。
「今、訊く事じゃないだろ?ナナリーが心配しているんだ…。だから、お前は…」
スザクがため息を吐きながらそう云って椅子に腰かけようとするが…。
ルルーシュはスザクから目を離していない。
「なんでだ?」

 こんな状態の時に放すべき事でもないだろうし、スザクとしてはきちんと気持ちを伝えるにしても、ルルーシュが熱に浮かされている時に話したくない。
「今のルルーシュは熱に浮かされている状態だろ?今訊いてどうするんだよ…」
スザクとしては、ルルーシュのこの唐突な言動に少々頭を抱えたくなるけれど。
しかし、ルルーシュの場合、何か気になると、どんな状態であれ、それを知ろうとする。
だから、目を離す事が出来ないのだが…。
「だって…知りたいから…」
何とか、スポーツドリンクは飲み干したらしく、空のグラスを両手で持ちながら下を向いてルルーシュがそんな事を云っている。
スザクとしては、
―――今、訊かなければならない事じゃないだろう…
と、素直に考えてしまうのだけれど。
ルルーシュはこう云う時、しっかりしているようでいて、バカだ。
そもそも、そう云った話しは普通に元気になって、ちゃんとした状態で聞くべき話ではないだろうか…。
「なんでまた…こんな時に訊くんだよ…。俺としては、お前がちゃんとしている時に云いたかったんだけれどな…。俺の家の事とかさ…」
「『キョウト六家』…だろ?少しだけ、話しを聞いた事はあったけれど…。スザクがそんな凄い家の血筋だったとはな…」
ルルーシュが少し俯き加減にそう云った。
「私の周囲にいる人間は…本当にすごい人間ばかりだ…。ランペルージ家も、ヴァインベルグ家も、シュタットフェルト家も、そして、お前のところも…か…」
何となく、複雑な表情をしてルルーシュが苦笑した。
熱があるからなのか…。
スザクとしてはツッコミたいことが結構あるけれど、とりあえず、その辺りを無視する事にした。
「家が凄いだけだろ?それは…。俺自身は凄くないよ…。それに、枢木家がどうであれ、俺は俺でしかないし、ゼロには申し訳ないと云う気持ちはあるけれど、俺としては巻き込まれる気はないよ。多分、俺が知ったことで、ロロも知る事になる。だとしたら、ロロも俺と同じ事を考えると思う。どちらかに押し付けるんじゃなくて、多分、両方なんとかそこから回避する方法を考えるよ…」
スザクが云ったその一言にルルーシュが少しだけ表情を変えた。
「お前が中等部の時、全てを一人で抱え込もうとした姿を知っているからな…。今回はあの時よりも遥かに話しが大きいからな…。俺ではお前みたいな事は出来ないからな…」
スザクの言葉にルルーシュはまたも表情を変えてムッとした表情を見せた。
そんな過去の話しをほじくり返す事もないだろうに…と云う意味だろう。
スザクはそんなルルーシュを見ていて、苦笑してしまう。
これから、自分がルルーシュに伝えたい事、頼みたい事を聞いたら、ルルーシュはどんな顔をするだろうか…。
「だからさ…お前に…ルルーシュに、俺の傍にいて欲しいと思うんだ…。と云うか、俺がお前を見張っていたいんだ…。きっと、あの爺さん連中、これからも何かをして来ると思うし、今回の事で、俺のウィークポイントを知ったと思うからな…」
スザクが不思議な事を云っていると…ルルーシュが不思議そうな顔をする。
こんな話しになるから、本当はルルーシュがちゃんとしている時に云いたかったのだけれど。
「ルルーシュ…俺の傍にいてくれ…。俺は…お前がいないとダメなんだ…。それに気がつかなくて…ユフィもお前も傷付けて来て…調子のいい事を云っていると思うけれど…。でも、俺にとって、お前が必要なんだ…。お前にとって、俺が必要でなくとも…」

 なんでこんなキザッたらしいと云うか、わざとらしい言葉が出てくるのか…スザクの中でも不思議なのだけれど。
でも、素直な気持ちを言葉にした時、こう表現されていた。
ルルーシュは…ポカンとしている。
やはり、熱のある時にこんな話しをされてもうまく飲み込めないだろう…。
「な…何を…云っている?だって…私はスザクに…」
「何年前の話しをしているんだ…。それに、俺、あの後、自覚がなかったけれど…気が付いたからな…。自分でもいい加減だと思う…。それでも、俺はお前が好きだ。ルルーシュが…好きなんだ…」
スザクがそこまで云った時…。
部屋の中の時間が止まっている錯覚を起こした。
小説の中の話しだと思っていたら、実際にそんな事があるのだと…。
そんな風に、ぼんやりと考えてしまう。
どれだけ時間が過ぎたかは解らない。
多分、彼らが感じていた時間ほど長い時間ではないだろう。
「お前…自分の云っている事…解っているのか?それとも…からかっている…のか…?」
ルルーシュが小刻みに声を震わせてスザクの言葉に対して尋ねている。
スザクにルルーシュの云っている事に対して言葉を続けさせないように言葉を次から次へと紡ぎだして行く。
「スザクは…こんな…言葉遣いが悪くて、性格が可愛げのない女なんて…。それに、お前が中等部の時にクラスの男子達と話していたのを聞いたのを覚えているぞ!えっと…む…胸は…Dカップ以上…とか云っていたじゃないか…。自慢じゃないけれど、私は胸の小ささにかけては、多分、あの時の生徒会の女子の中でも私の右に出るものはいないぞ?私はニーナにさえ負ける自信があるぞ!あ、ひょっとして、胸の大きいノネットのお近づきになりたいなら…取り持ってやってもいいぞ?えっと…それから…」
次から次に出て来る、自分を卑下している言葉に…。
スザクはため息を吐きたくなるが…。
これがルルーシュだと云う事はしっかり理解してしまっているから、ここで彼女を見ていてため息を吐く事くらいしか出来ない。
本当に彼女は自分の事を知らない。
熱が出ていて頭の中が混乱しているから…なのかもしれない。
―――だから、今は云いたくなかったんだよ…。と云うか、全く気付かれていなかったのかよ…。なんで俺が、理由もなしにあんなとこに乗り込んで行くんだよ!何とも思っていない相手の為に訳解らない連中の懐に飛び込んで行く様な真似をしないぞ…俺は…
頭がいいのにバカ…。
バカなのに頭がいいとこれほどまでに面倒な事になるとは…。
あの、中等部の時点で自分の気持ちがルルーシュに向いていて、自分から告白していたら一体どうなっていたのだろうか?
思わずそんな事を考えてしまうが…。
考えた時点で、更に大きなため息が出て来た。
「そろそろ…黙れ…」
さっきから次々と自分を卑下する言葉ばかり連呼しているルルーシュに低い声で云ったかと思うと、触れると熱発している事が解るその身体を引き寄せて…。
「!…んん…」

 べらべらいらない事を喋り続ける人間を黙らせるのにこれほど効果的な方法はあるだろうか…。
とはいっても、スザクとしては相手がルルーシュでなければ絶対にやらないが…。
抱き締めている身体も、動けないようにスザクの右手で押さえているルルーシュの頬も、スザクの唇で塞いでいる唇も、その中でスザクのそれに翻弄されている舌も…。
熱を出している事がよく解る程…
―――熱い…
ルルーシュがふるりと身体を震わせた事に気付く。
ルルーシュが息を止めていた事に気が付いた。
スザクが一瞬だけルルーシュの唇を開放する。
「息は…ちゃんとしていろ…」
そうスザクが云って、ルルーシュが何か抗議しようとした瞬間には再びスザクの唇がルルーシュの言葉を遮る。
この際、暫く喋る気力がなくなるまで続けていないと、話しにならないと思ったからだ。
流石にルルーシュは体調を崩しているだけあって、その後、間もなくスザクに対して、いらない事をごちゃごちゃ云うだけの体力も気力もなくなったようだ。
もう大丈夫…。
そう思った時、ルルーシュを開放して、ベッドの上に起き上がった状態にしてやった。
少し、お互いに息が荒くなっている。
「まったく…こう云う時は…変な言葉をたくさん知っている奴は困る…」
スザクがさっきまでの雰囲気…。
見方によっては怒っている様にも…見える様な…。
そんなスザクの雰囲気に、ルルーシュはびくりとして、そして、何も云えなくなる。
ルルーシュの身体の事も考えて、グラスにもう一度、スポーツドリンクを注いでやる。
ルルーシュに渡しながら、
「これを飲め。その後は、少し黙っていろ…」
これまでのルルーシュは…。
本当にしっかりもので、キレ者で…
そんなイメージが強い。
ただ、スザクは知っていた。
ルルーシュ自身、自分は強くあらねばならないと云い聞かせて、無理をしていた事を…。
恐らく、このルルーシュの姿を知るのは、スザクだけ…。
その自負はあった。
尤も、スザクだって、滅多に見る事のない姿ではあったけれど。
ルルーシュがスザクに云われた通り、渡されたグラスの中身を飲みほした。
それを見てスザクがほっと、安堵の息を吐いた。
「だから云ったんだ…。俺は、今、こんな状態のルルーシュに云うのは気が引けるって…。気になるから聞いたなんて…。子供か?」
「う…うるさい…」
「で、ここまで云っちゃった俺としては返事を聞きたいんだけれど?」
いつから、目の前のこの男に気圧される様になったのか…。
ルルーシュの中でぐるぐると考えてしまうけれど。
「まぁ、いいや…。とりあえず、ルルーシュの事だから俺の云った事も、云った意味も解っているだろうからな…。熱が下がったら…ちゃんと返事を…」
そう云いながらルルーシュの手からグラスを取り上げ、トレイに戻して、振り返った時、ルルーシュの手がスザクの手首をつかんだ。
下を向いている。
少し、身体を震わせて…
本当に…本当に小さなルルーシュの声が…。
スザクの耳に届いた。
「わ…私も…スザクの傍に…いたい…」

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年06月27日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 23



 熱を出して、横になっているルルーシュを見る。
本当に、緊張の糸が解けて、更に衝撃の真実が積み重なって、ルルーシュの性格なら…、自分の中に溜めこみ、そして、自分の中で考え込む。
そんな事は解っていた。
スザクはゼロに云われた枢木家に関して気になる事がたくさんあって、そちらに意識が向いてしまっていた。
それはある意味仕方のない事だけれど。
でも、今はルルーシュの事を一番に考えるべきだったとも思う。
「ルルーシュ…」
今のスザクの気持ちをルルーシュには伝えていない。
だから、ルルーシュに伝わっていないけれど。
しかし、過去、ルルーシュが負って来た傷を考えた時…それは至極当たり前だ。
と云うよりも、自分はもっと色々な者を背負わなければならないとさえ思う。
まだ、熱が上がっているところなのだろう。
ガタガタ震えているルルーシュを見ていると、なんだか切なくなる。
―――本当に…いつもとは逆だな…。
これまではナナリーが具合悪くなり、ルルーシュがナナリーの面倒を見て、看病をしている…と云うのが当たり前だった。
逆になると…。
流石にナナリーも勝手が解らず、右往左往している様に見えた。
いつも、して貰っている事だったけれど。
する側となると、色々勝手が違ってくるし、いつもルルーシュがどんな風に動いていたかなんて、ナナリーに解る筈もなくて…。
ただ、ナナリーが具合悪い時にルルーシュがしてくれたことで、解る事だけをやっている感じだ。
ノネットもそんなナナリーを見て見かねて、自分から買い物に出ると云う事を下に血がいない。
ナナリーがこう云った時、どんなものが本当に必要なのか…なんて、きちんと把握できているとも思えない。
こうした時、いつもと逆の立場と云うのは中々大変なのだと思う。
本当は冷やした方がいいのかもしれないけれど、ルルーシュが震えて寒がっているところにあまり冷たいものを当てるのはルルーシュにとっては酷かもしれないと思い、先ほど、ナナリーが渡してくれた水桶とタオルだったけれど。
今はルルーシュのベッドサイドのサイドテーブルに置いたままだ。
どうやら、ナナリーとノネットで着替えはさせたらしい。
これで、汗をかき始めたら、少しは安心できるのだけれど。
熱発し始めて、熱が上がっている内は、本人が望まない限り、基本的には冷やさない方がいい。
と云うのも、本人にとって寒いと感じるだけでは意味がない。
もし、解熱剤を飲めていれば…その内、汗をかき始めて、本人の自覚症状の中で熱さを感じ始める。
その時になったら、ちゃんと冷やしてやり、汗を拭いてやればいい。
「それにしても…こんな風になるまで…我慢するなよな…」
スザクはそんな風に呟いた。
そして、そう云うところも変わらない…と思ってしまう。
ルルーシュはいつでも一人で抱え込んで、倒れてから周囲の手を借りる事になる。
ここまで無理する前に、誰かに助けを求めればいいのに…とスザクは思うが…。
しかし、その後、また思い直す。
―――まぁ、そこまで頑張れる奴だから…信用もあるんだろうな…。こう云ったところを、基本的に誰かに見せる事がない奴だから…

 スザクが訪れて20分ほど経った頃…。
ノネットが帰ってきた。
「おかえりなさい…ノネットさん…」
「ああ、ごめん、ちょっと時間かかっちゃったか?」
ナナリーが声をかけた時に、ノネットが少し、申し訳なさそうに云ったのだけれど…。
ただ、ノネットが向かったのは近所のドラッグストア…。
走って行っても、7〜8分かかるところにある。
それを、この時間で帰って来たのだから、相当ノネット自身、頑張って急いで戻ってきた事は解る。
「いえ…。有難う御座居ます。ただ、私、お姉さまに看病して貰うばかりで…こう云った場面に遭遇するのは…その…初めてで…」
ナナリーがなんだか泣きそうになってノネットに訴える。
でも、ノネットはそこでナナリーに安心させるように笑った。
「大丈夫だって…。スザクが来ただろ?私がちょうど出て行った時に出くわしたんだ。人の話しを聞かないで走って行ったから…」
ノネットがテーブルの上に買ってきた物を置いて、ごそごそとやり始めた。
「あ、はい、今、お姉さまのお部屋でお姉さまを見て頂いていますけれど…」
ナナリーのその言葉に、少々ノネットは心配になったけれど、流石に病人を襲う程スザクも鬼畜ではないだろうと考えなおす。
ノネットの中では、これまで、聞いた話だとか、ルルーシュの様子を見ていてだとか…実際には見ていないスザクの姿で彼を判断していた。
ノネットにとって、ルルーシュは特別な存在だ。
どんな感情だと尋ねられても恐らく『特別な存在』としか答えられないけれど。
本当に…ルルーシュとは、不思議な存在だと思う。
アッシュフォード学園ペンドラゴン校の寮で、一緒にいて…。
強いかと思えば、脆いところを見せ、クールだと思えば、ナチュラルのボケをかますし、頭がいいかと思えば、バカな事を云うし…。
見ていて放っておけない。
確かに、外見的に本当に人に好かれる外見をしていると思う。
実際問題、ブリタニアにいる時から、ルルーシュのお近づきになりたい生徒はたくさんいた。
ひょっとしたら、生徒以外にも居たかも知れない。
それは日本に帰って来ても、実感した。
実際、ルルーシュがどこまで気づいているか解らないけれど、ルルーシュの帰りを待ちわびていた人たちがたくさんいたのだ。
それぞれの中でのルルーシュの存在感は本当に大きいと思う。
ノネットの中でもそれは同じで…。
だからこそ、スザクの存在は許せないと思った。
ずっと、ルルーシュの気持ちを完全に一人占めしていた相手であると…。
ノネットが来日した時点で気付かされたのだから。
それでも…。
今回の件で、少しだけ…本当に少しだけ…。
―――少しくらい、ルルーシュと一緒にいる事を許してやってもいいかもしれない…。
などと考えてしまう。
多分、それはスザクに対してのものではなく、ルルーシュが望むからだ。
あくまで、ルルーシュの気持ちを最優先しているからだ…。
ノネットの中で、その言葉を繰り返した。
ルルーシュの為でなければ、ルルーシュが傷ついて来た事を聞いた時点で、絶対に許せるものじゃない。
ナナリーは、許せないと云ってはいたけれど。
でも、それでも、ナナリーにもほんの少しだけ、本当に少しだけ、ルルーシュの為に、スザクと一緒にいる事を許してくれないかと…思った。

 買い物の荷物の中から、ドリンク類を取り出した。
「ナナリー、ルルーシュが目を醒ました時に飲ませるドリンク類を持って行って来る。この中でルルーシュがこう云う時に飲めそうなものって解るか?」
一応、具合悪い時には本当に自分の好きなものだった方がいい。
スポーツドリンクは当然の様に準備しておくけれど。
それから、何か口に入れば口に入れた方がいいのだけれど…とも思う。
でないと、解熱剤を飲む事が出来ない。
あんまり熱が上がるようなら、病院に連れて行った方がいいのかもしれないと思いながら、それでも、疲労と、精神的なものが関与しているのなら、病院よりも自宅の方がいいのか…とも思えて来て…。
こう云った時はルルーシュの事をよく知る人に尋ねる方が賢明だ。
「そうですね…。いちごミルクがありますね…。お姉さまは甘いものがお好きですから…。あと、食べ物なら、プリンがあれば…」
ノネットの問いにナナリーが答えた。
正直、ナナリーもルルーシュの看病をするなんて初めてだったから、戸惑っている様子がよく解る。
「ナナリー…心配なのはわかるけれど…。ルルーシュは誘拐されていたんだ。精神的にも相当疲れている筈だし、身体も、慣れない環境の中で疲れていて当たり前だ…。少し、休ませてやらないとな…」
ノネットがナナリーを励ます様にそう云ってやる。
実際に、ナナリーの表情は心配でどうにかなってしまいそうだ…そんな感じに見えるのだから。
「そう…ですね…。私ったら…お姉さまが大変な時に…こんな風にうろたえたりして…。ダメですね…」
更に落ち込ませてしまっただろうかと…ノネットは心の中で自分のミスに自分を叱り飛ばした。
「そりゃ、ナナリーは初めてだろ?ルルーシュがこんな風に具合悪くなるところを見るなんて…。これまで、ナナリーの事が心配で、具合悪くなっていられなかったんだ。それは、ブリタニアで一緒にいてよく解ったよ…。良かったじゃないか…。ルルーシュが安心して具合悪くなれるようになってさ…。これも、ナナリーが元気になったお陰だろ?それに、今回初めてだけど、これから、そう云う事も出てくるよ…。確実にね…」
ノネットが確信してそう云った。
これまでのルルーシュはこんな風にナナリーと二人でマンションに暮らしていて、誰に頼る事も出来ずにいて…。
だから、常に緊張状態にあったに違いない。
ナナリーが元気になったと云う事で、ナナリーに対して酷く安心しているのだろう。
だから、ここまでの緊張状態のツケもあるのかもしれないと思うのだ。
「そう…なんでしょうか…」
「ああ、そうだよ…。ほら、緊張している時って具合悪くなれないもんだし…。具合悪くなって、ルルーシュは少し、身体も気持ちも休ませた方がいいんだよ…。きっと、神様がくれたんだ…これも…」
ノネットの言葉に、ナナリーが少しは安心してくれたのか、少しだけ強張っている表情が和らいだ気がした。
「そうですね…。じゃあ、ノネットさん、持って行ってあげて下さい。あと、暫く、スザクさんと一緒にいさせて差し上げて下さいね?」

 ナナリーの言葉に、ノネットは驚いた顔を見せた。
いつだったか、ナナリーはスザクの事を許せないと云っていたのだけれど…。
「あ…解っているけれど…でも…」
ノネットが戸惑っていると、ナナリーがにこりと笑った。
「すみません、スザクさんを許せないと云ったのは本当の気持ちです。でも、今回の事でお姉さまと一緒にいて下さったのが、スザクさんで良かったとも思っているんです。お姉さま、どんな目に遭っても、スザクさんの事を…」
ナナリーがそこまで云って、少し切なげに俯いた。
でも、すぐに顔をあげて強引に笑顔を作ってノネットを見た。
「だから…もう、私個人の気持ちはいいんです。スザクさんも、精一杯、お姉さまを支えて下さっていたのは解ります…」
ここまで云って、再びナナリーは言葉を切った。
しかしすぐに表情を変えて言葉を続けた。
「でも!今度お姉さまを泣かせる様な事をしたら…私は地獄の果てまで追いかけて行ってスザクさんを糾弾させて頂きますから!お姉さまを泣かせると云う事が、どれ程罪深い事なのか…骨の髄まで教えて差し上げるんです!」
拳をぎゅっと握って、何となく、勇ましくさえ見えるナナリーに、ノネットが驚いた顔を見せるが…。
すぐにふっと笑った。
「ナナリーは…強いんだな…。こんな、心強い妹がいれば、ルルーシュはきっと、大丈夫だよ…」
心底思う。
それは本当に、ルルーシュとナナリーの絆が本当に強く、太いものである事を露わしているのだ。
ルルーシュが日本に帰って来た時、ナナリーが一人立ちして行くのを見て、落ち込んでいるのを見ていたノネットだったから…。
でも、このナナリーの姿を見て、安心する。
ルルーシュはナナリーの心から消えているわけじゃないし、消える筈もないと…。
ただ、ルルーシュが勝手にそう思い込んで、一人で寂しがっていたわけだけれど。
ナナリーの中でルルーシュから少し距離を置かなければならないと思っていた事も事実の様だし。
確かに、いくら仲のいい姉妹だと云っても、何れは離れて生活しなくてはならないのだ。
実際に、ブリタニアにいる時には離れて生活していたのだ。
ナナリーが元気になれば、ナナリーだって、いつまでもルルーシュにおんぶにだっこでは行けないと、考えてはいたのだろう。
ただ、ルルーシュにそんな事を云った時には、ルルーシュがどんな反応を示すかは…。
―――日を見るより明らかだな…
そんな風に思って、ナナリーも結構ルルーシュに対して気を使っていた事がよく解る。
「さすがナナリーだ…。ルルーシュにも、その事が早く気付かれるといいんだけれど…」
ノネットがそう云うと、ナナリーは…
「大丈夫です。お姉さまも、色々あった様ですし、何があったかはよく解りませんけれど…。でも、きっと大丈夫です…」
ナナリーの言葉に、ノネットもなんだか頷いてしまった。
「じゃあ、ルルーシュの部屋にこれ、置いて来るよ…」
そう云って、ノネットはいろいろ置いたトレイを持ってルルーシュの部屋へと向かった。

 スザクがこの部屋に入って、どれくらいの時間が経ったのか…。
正直よく解らないけれど。
それほど時間は経っていないだろう。
ルルーシュは相変わらず、寒そうにしている。
気候的にはそれほど寒いと思う様な時期ではない。
寧ろ、暑いと感じる日だってない訳じゃない。
それでも、寒そうに震えているのを見て、まだまだ、熱が上がって行っているのがよく解る。
「どうして…そんな風になるまで頑張るんだよ…。このバカルルーシュ…」
ベッドサイドに置いた椅子に腰かけた状態でスザクが熱を出して、まだ、熱が上がり続けていて震えているルルーシュに向かってそう、小さく云った。
本当にバカだと思う。
昔から、自分の事はいつも後回し。
自分の事をそっちのけで、最優先はナナリー。
そして次に来ていたのは…。
これは自惚れでも何でもない。
これまでのルルーシュを見ていれば、自惚れではない事は解る。
だからこそ心配になってしまう。
「今度こそ…ちゃんと云うから…。俺、ちゃんと…お前に云うから…」
自分の気持ちと、ルルーシュを守りたいと云う…そんな思い…。
尤も、ルルーシュが大人しく守られているような女には見えないけれど。
頭がいいくせにバカだし、器用なようでいて、不器用だし。
だからこそ、誰もが目を離せなくなるのかもしれない。
ユーフェミアがかつて、ルルーシュを異常なほど気にしていた。
あの時のスザクはちゃんとユーフェミアを好きだったのに。
それでも、ルルーシュの存在が怖くて堪らないと云う態度をずっと示していたのだ。
ユーフェミアが恐れていた者はきっと…。
―――多分、こう云うところなんだろうな…。
スザクの中で何となく、今さらではあるけれど、納得した。
確かに、ルルーシュは何の見返りを求めているわけでもないのだ。
否、敢えて言うなら、ルルーシュにとって大切だと思う存在が辛い思いをするのを見るのが嫌で…。
その相手が辛い思いをしなければ満足だと云う…。
究極の利己的な自分主義な考えだ。
その為には自分が傷つくことさえ厭わないと云う事なのだから。
それを無意識にやってのけるから、周囲は目を話す事が出来ないほど危なっかしいのだ。
「……だれ…が…バカ…だ…」
まだ、熱で辛そうなのに、ルルーシュが声を発した。
「お…おい…大丈夫なのか?まだ、寒いんじゃないのか?」
ルルーシュの声にスザクがいち早く反応して、尋ねる。
しかし、ルルーシュの方はと云えば…。
「だ…れが…バカだ…と…?この…バカ…ス…ザクが…」
こんなときにまで憎まれ口をたたくのか…と内心、呆れ果てて入るものの…。
とりあえず、ルルーシュの現在の状態を知りたいスザクとしてはそんな、呆れてしまったその言葉はさらっとスルーする事にする。
「そんなことより…寒くないか?だるいとかは…?」
「べ…つに…こん…なの…な…ん…でも…ない…」
そう云いながら起き上がろうとするけれど、ルルーシュ自身、身体に力が入らない様で…すぐに崩れ落ちた。
「お前は…。熱出している時くらい…大人しく寝て居ろ!何か、飲むか?寒ければ…」
スザクの問いに…ルルーシュが状況が把握できていない様な顔をする。
そんなルルーシュの顔を見てスザクは思った。
―――こいつ…目を離すとロクな事にならないな…

To Be Continued


あとがきに代えて



『皇子とレジスタンス』に続いて、こっちもスザルルカラー全開…。
やっぱりスザルルはいいですね…。
書いていてホントに好きだなぁ…って思います。
とにかく、妄想の中だけでも幸せな空気にしたいと云う思いがあります。
ひょっとすると、和泉が落ち込んでいる時の方がこの二人、幸せになれるのかも…とか、最近思ってしまっているわけですが…。

あ、そうだ…
『閉鎖宣言』に関しては個人的にお伝えしている事はありません。
こちらのブログを読んだ方のみが知っていらっしゃる事であり…。
このブログに来ていらっしゃらない方は知らないままです。
質問に関してはお応えしておりますが…。
こちらから、閉鎖すると云う事をお伝えしている方は居ません。
多分、事後報告させて頂くと思います。
因みに、現在のところ、7月中旬には閉鎖しちゃうかな…という感じです。
準備も整っておりますので。
なので、7月1日入れ替え予定の拍手ページもその閉鎖までの期間かなぁ…と思います。
知っていらっしゃる方は知っていらっしゃると思うのですが、この拍手ページ、『Amethyst Eyes』でも使っております。
そこにも掲載しますが、そちらの入れ替え予定もブログと一緒です。
何卒よろしくお願いします。


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posted by 和泉綾 at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 23



 熱を出して、横になっているルルーシュを見る。
本当に、緊張の糸が解けて、更に衝撃の真実が積み重なって、ルルーシュの性格なら…、自分の中に溜めこみ、そして、自分の中で考え込む。
そんな事は解っていた。
スザクはゼロに云われた枢木家に関して気になる事がたくさんあって、そちらに意識が向いてしまっていた。
それはある意味仕方のない事だけれど。
でも、今はルルーシュの事を一番に考えるべきだったとも思う。
「ルルーシュ…」
今のスザクの気持ちをルルーシュには伝えていない。
だから、ルルーシュに伝わっていないけれど。
しかし、過去、ルルーシュが負って来た傷を考えた時…それは至極当たり前だ。
と云うよりも、自分はもっと色々な者を背負わなければならないとさえ思う。
まだ、熱が上がっているところなのだろう。
ガタガタ震えているルルーシュを見ていると、なんだか切なくなる。
―――本当に…いつもとは逆だな…。
これまではナナリーが具合悪くなり、ルルーシュがナナリーの面倒を見て、看病をしている…と云うのが当たり前だった。
逆になると…。
流石にナナリーも勝手が解らず、右往左往している様に見えた。
いつも、して貰っている事だったけれど。
する側となると、色々勝手が違ってくるし、いつもルルーシュがどんな風に動いていたかなんて、ナナリーに解る筈もなくて…。
ただ、ナナリーが具合悪い時にルルーシュがしてくれたことで、解る事だけをやっている感じだ。
ノネットもそんなナナリーを見て見かねて、自分から買い物に出ると云う事を下に血がいない。
ナナリーがこう云った時、どんなものが本当に必要なのか…なんて、きちんと把握できているとも思えない。
こうした時、いつもと逆の立場と云うのは中々大変なのだと思う。
本当は冷やした方がいいのかもしれないけれど、ルルーシュが震えて寒がっているところにあまり冷たいものを当てるのはルルーシュにとっては酷かもしれないと思い、先ほど、ナナリーが渡してくれた水桶とタオルだったけれど。
今はルルーシュのベッドサイドのサイドテーブルに置いたままだ。
どうやら、ナナリーとノネットで着替えはさせたらしい。
これで、汗をかき始めたら、少しは安心できるのだけれど。
熱発し始めて、熱が上がっている内は、本人が望まない限り、基本的には冷やさない方がいい。
と云うのも、本人にとって寒いと感じるだけでは意味がない。
もし、解熱剤を飲めていれば…その内、汗をかき始めて、本人の自覚症状の中で熱さを感じ始める。
その時になったら、ちゃんと冷やしてやり、汗を拭いてやればいい。
「それにしても…こんな風になるまで…我慢するなよな…」
スザクはそんな風に呟いた。
そして、そう云うところも変わらない…と思ってしまう。
ルルーシュはいつでも一人で抱え込んで、倒れてから周囲の手を借りる事になる。
ここまで無理する前に、誰かに助けを求めればいいのに…とスザクは思うが…。
しかし、その後、また思い直す。
―――まぁ、そこまで頑張れる奴だから…信用もあるんだろうな…。こう云ったところを、基本的に誰かに見せる事がない奴だから…

 スザクが訪れて20分ほど経った頃…。
ノネットが帰ってきた。
「おかえりなさい…ノネットさん…」
「ああ、ごめん、ちょっと時間かかっちゃったか?」
ナナリーが声をかけた時に、ノネットが少し、申し訳なさそうに云ったのだけれど…。
ただ、ノネットが向かったのは近所のドラッグストア…。
走って行っても、7〜8分かかるところにある。
それを、この時間で帰って来たのだから、相当ノネット自身、頑張って急いで戻ってきた事は解る。
「いえ…。有難う御座居ます。ただ、私、お姉さまに看病して貰うばかりで…こう云った場面に遭遇するのは…その…初めてで…」
ナナリーがなんだか泣きそうになってノネットに訴える。
でも、ノネットはそこでナナリーに安心させるように笑った。
「大丈夫だって…。スザクが来ただろ?私がちょうど出て行った時に出くわしたんだ。人の話しを聞かないで走って行ったから…」
ノネットがテーブルの上に買ってきた物を置いて、ごそごそとやり始めた。
「あ、はい、今、お姉さまのお部屋でお姉さまを見て頂いていますけれど…」
ナナリーのその言葉に、少々ノネットは心配になったけれど、流石に病人を襲う程スザクも鬼畜ではないだろうと考えなおす。
ノネットの中では、これまで、聞いた話だとか、ルルーシュの様子を見ていてだとか…実際には見ていないスザクの姿で彼を判断していた。
ノネットにとって、ルルーシュは特別な存在だ。
どんな感情だと尋ねられても恐らく『特別な存在』としか答えられないけれど。
本当に…ルルーシュとは、不思議な存在だと思う。
アッシュフォード学園ペンドラゴン校の寮で、一緒にいて…。
強いかと思えば、脆いところを見せ、クールだと思えば、ナチュラルのボケをかますし、頭がいいかと思えば、バカな事を云うし…。
見ていて放っておけない。
確かに、外見的に本当に人に好かれる外見をしていると思う。
実際問題、ブリタニアにいる時から、ルルーシュのお近づきになりたい生徒はたくさんいた。
ひょっとしたら、生徒以外にも居たかも知れない。
それは日本に帰って来ても、実感した。
実際、ルルーシュがどこまで気づいているか解らないけれど、ルルーシュの帰りを待ちわびていた人たちがたくさんいたのだ。
それぞれの中でのルルーシュの存在感は本当に大きいと思う。
ノネットの中でもそれは同じで…。
だからこそ、スザクの存在は許せないと思った。
ずっと、ルルーシュの気持ちを完全に一人占めしていた相手であると…。
ノネットが来日した時点で気付かされたのだから。
それでも…。
今回の件で、少しだけ…本当に少しだけ…。
―――少しくらい、ルルーシュと一緒にいる事を許してやってもいいかもしれない…。
などと考えてしまう。
多分、それはスザクに対してのものではなく、ルルーシュが望むからだ。
あくまで、ルルーシュの気持ちを最優先しているからだ…。
ノネットの中で、その言葉を繰り返した。
ルルーシュの為でなければ、ルルーシュが傷ついて来た事を聞いた時点で、絶対に許せるものじゃない。
ナナリーは、許せないと云ってはいたけれど。
でも、それでも、ナナリーにもほんの少しだけ、本当に少しだけ、ルルーシュの為に、スザクと一緒にいる事を許してくれないかと…思った。

 買い物の荷物の中から、ドリンク類を取り出した。
「ナナリー、ルルーシュが目を醒ました時に飲ませるドリンク類を持って行って来る。この中でルルーシュがこう云う時に飲めそうなものって解るか?」
一応、具合悪い時には本当に自分の好きなものだった方がいい。
スポーツドリンクは当然の様に準備しておくけれど。
それから、何か口に入れば口に入れた方がいいのだけれど…とも思う。
でないと、解熱剤を飲む事が出来ない。
あんまり熱が上がるようなら、病院に連れて行った方がいいのかもしれないと思いながら、それでも、疲労と、精神的なものが関与しているのなら、病院よりも自宅の方がいいのか…とも思えて来て…。
こう云った時はルルーシュの事をよく知る人に尋ねる方が賢明だ。
「そうですね…。いちごミルクがありますね…。お姉さまは甘いものがお好きですから…。あと、食べ物なら、プリンがあれば…」
ノネットの問いにナナリーが答えた。
正直、ナナリーもルルーシュの看病をするなんて初めてだったから、戸惑っている様子がよく解る。
「ナナリー…心配なのはわかるけれど…。ルルーシュは誘拐されていたんだ。精神的にも相当疲れている筈だし、身体も、慣れない環境の中で疲れていて当たり前だ…。少し、休ませてやらないとな…」
ノネットがナナリーを励ます様にそう云ってやる。
実際に、ナナリーの表情は心配でどうにかなってしまいそうだ…そんな感じに見えるのだから。
「そう…ですね…。私ったら…お姉さまが大変な時に…こんな風にうろたえたりして…。ダメですね…」
更に落ち込ませてしまっただろうかと…ノネットは心の中で自分のミスに自分を叱り飛ばした。
「そりゃ、ナナリーは初めてだろ?ルルーシュがこんな風に具合悪くなるところを見るなんて…。これまで、ナナリーの事が心配で、具合悪くなっていられなかったんだ。それは、ブリタニアで一緒にいてよく解ったよ…。良かったじゃないか…。ルルーシュが安心して具合悪くなれるようになってさ…。これも、ナナリーが元気になったお陰だろ?それに、今回初めてだけど、これから、そう云う事も出てくるよ…。確実にね…」
ノネットが確信してそう云った。
これまでのルルーシュはこんな風にナナリーと二人でマンションに暮らしていて、誰に頼る事も出来ずにいて…。
だから、常に緊張状態にあったに違いない。
ナナリーが元気になったと云う事で、ナナリーに対して酷く安心しているのだろう。
だから、ここまでの緊張状態のツケもあるのかもしれないと思うのだ。
「そう…なんでしょうか…」
「ああ、そうだよ…。ほら、緊張している時って具合悪くなれないもんだし…。具合悪くなって、ルルーシュは少し、身体も気持ちも休ませた方がいいんだよ…。きっと、神様がくれたんだ…これも…」
ノネットの言葉に、ナナリーが少しは安心してくれたのか、少しだけ強張っている表情が和らいだ気がした。
「そうですね…。じゃあ、ノネットさん、持って行ってあげて下さい。あと、暫く、スザクさんと一緒にいさせて差し上げて下さいね?」

 ナナリーの言葉に、ノネットは驚いた顔を見せた。
いつだったか、ナナリーはスザクの事を許せないと云っていたのだけれど…。
「あ…解っているけれど…でも…」
ノネットが戸惑っていると、ナナリーがにこりと笑った。
「すみません、スザクさんを許せないと云ったのは本当の気持ちです。でも、今回の事でお姉さまと一緒にいて下さったのが、スザクさんで良かったとも思っているんです。お姉さま、どんな目に遭っても、スザクさんの事を…」
ナナリーがそこまで云って、少し切なげに俯いた。
でも、すぐに顔をあげて強引に笑顔を作ってノネットを見た。
「だから…もう、私個人の気持ちはいいんです。スザクさんも、精一杯、お姉さまを支えて下さっていたのは解ります…」
ここまで云って、再びナナリーは言葉を切った。
しかしすぐに表情を変えて言葉を続けた。
「でも!今度お姉さまを泣かせる様な事をしたら…私は地獄の果てまで追いかけて行ってスザクさんを糾弾させて頂きますから!お姉さまを泣かせると云う事が、どれ程罪深い事なのか…骨の髄まで教えて差し上げるんです!」
拳をぎゅっと握って、何となく、勇ましくさえ見えるナナリーに、ノネットが驚いた顔を見せるが…。
すぐにふっと笑った。
「ナナリーは…強いんだな…。こんな、心強い妹がいれば、ルルーシュはきっと、大丈夫だよ…」
心底思う。
それは本当に、ルルーシュとナナリーの絆が本当に強く、太いものである事を露わしているのだ。
ルルーシュが日本に帰って来た時、ナナリーが一人立ちして行くのを見て、落ち込んでいるのを見ていたノネットだったから…。
でも、このナナリーの姿を見て、安心する。
ルルーシュはナナリーの心から消えているわけじゃないし、消える筈もないと…。
ただ、ルルーシュが勝手にそう思い込んで、一人で寂しがっていたわけだけれど。
ナナリーの中でルルーシュから少し距離を置かなければならないと思っていた事も事実の様だし。
確かに、いくら仲のいい姉妹だと云っても、何れは離れて生活しなくてはならないのだ。
実際に、ブリタニアにいる時には離れて生活していたのだ。
ナナリーが元気になれば、ナナリーだって、いつまでもルルーシュにおんぶにだっこでは行けないと、考えてはいたのだろう。
ただ、ルルーシュにそんな事を云った時には、ルルーシュがどんな反応を示すかは…。
―――日を見るより明らかだな…
そんな風に思って、ナナリーも結構ルルーシュに対して気を使っていた事がよく解る。
「さすがナナリーだ…。ルルーシュにも、その事が早く気付かれるといいんだけれど…」
ノネットがそう云うと、ナナリーは…
「大丈夫です。お姉さまも、色々あった様ですし、何があったかはよく解りませんけれど…。でも、きっと大丈夫です…」
ナナリーの言葉に、ノネットもなんだか頷いてしまった。
「じゃあ、ルルーシュの部屋にこれ、置いて来るよ…」
そう云って、ノネットはいろいろ置いたトレイを持ってルルーシュの部屋へと向かった。

 スザクがこの部屋に入って、どれくらいの時間が経ったのか…。
正直よく解らないけれど。
それほど時間は経っていないだろう。
ルルーシュは相変わらず、寒そうにしている。
気候的にはそれほど寒いと思う様な時期ではない。
寧ろ、暑いと感じる日だってない訳じゃない。
それでも、寒そうに震えているのを見て、まだまだ、熱が上がって行っているのがよく解る。
「どうして…そんな風になるまで頑張るんだよ…。このバカルルーシュ…」
ベッドサイドに置いた椅子に腰かけた状態でスザクが熱を出して、まだ、熱が上がり続けていて震えているルルーシュに向かってそう、小さく云った。
本当にバカだと思う。
昔から、自分の事はいつも後回し。
自分の事をそっちのけで、最優先はナナリー。
そして次に来ていたのは…。
これは自惚れでも何でもない。
これまでのルルーシュを見ていれば、自惚れではない事は解る。
だからこそ心配になってしまう。
「今度こそ…ちゃんと云うから…。俺、ちゃんと…お前に云うから…」
自分の気持ちと、ルルーシュを守りたいと云う…そんな思い…。
尤も、ルルーシュが大人しく守られているような女には見えないけれど。
頭がいいくせにバカだし、器用なようでいて、不器用だし。
だからこそ、誰もが目を離せなくなるのかもしれない。
ユーフェミアがかつて、ルルーシュを異常なほど気にしていた。
あの時のスザクはちゃんとユーフェミアを好きだったのに。
それでも、ルルーシュの存在が怖くて堪らないと云う態度をずっと示していたのだ。
ユーフェミアが恐れていた者はきっと…。
―――多分、こう云うところなんだろうな…。
スザクの中で何となく、今さらではあるけれど、納得した。
確かに、ルルーシュは何の見返りを求めているわけでもないのだ。
否、敢えて言うなら、ルルーシュにとって大切だと思う存在が辛い思いをするのを見るのが嫌で…。
その相手が辛い思いをしなければ満足だと云う…。
究極の利己的な自分主義な考えだ。
その為には自分が傷つくことさえ厭わないと云う事なのだから。
それを無意識にやってのけるから、周囲は目を話す事が出来ないほど危なっかしいのだ。
「……だれ…が…バカ…だ…」
まだ、熱で辛そうなのに、ルルーシュが声を発した。
「お…おい…大丈夫なのか?まだ、寒いんじゃないのか?」
ルルーシュの声にスザクがいち早く反応して、尋ねる。
しかし、ルルーシュの方はと云えば…。
「だ…れが…バカだ…と…?この…バカ…ス…ザクが…」
こんなときにまで憎まれ口をたたくのか…と内心、呆れ果てて入るものの…。
とりあえず、ルルーシュの現在の状態を知りたいスザクとしてはそんな、呆れてしまったその言葉はさらっとスルーする事にする。
「そんなことより…寒くないか?だるいとかは…?」
「べ…つに…こん…なの…な…ん…でも…ない…」
そう云いながら起き上がろうとするけれど、ルルーシュ自身、身体に力が入らない様で…すぐに崩れ落ちた。
「お前は…。熱出している時くらい…大人しく寝て居ろ!何か、飲むか?寒ければ…」
スザクの問いに…ルルーシュが状況が把握できていない様な顔をする。
そんなルルーシュの顔を見てスザクは思った。
―――こいつ…目を離すとロクな事にならないな…

To Be Continued


あとがきに代えて



『皇子とレジスタンス』に続いて、こっちもスザルルカラー全開…。
やっぱりスザルルはいいですね…。
書いていてホントに好きだなぁ…って思います。
とにかく、妄想の中だけでも幸せな空気にしたいと云う思いがあります。
ひょっとすると、和泉が落ち込んでいる時の方がこの二人、幸せになれるのかも…とか、最近思ってしまっているわけですが…。

あ、そうだ…
『閉鎖宣言』に関しては個人的にお伝えしている事はありません。
こちらのブログを読んだ方のみが知っていらっしゃる事であり…。
このブログに来ていらっしゃらない方は知らないままです。
質問に関してはお応えしておりますが…。
こちらから、閉鎖すると云う事をお伝えしている方は居ません。
多分、事後報告させて頂くと思います。
因みに、現在のところ、7月中旬には閉鎖しちゃうかな…という感じです。
準備も整っておりますので。
なので、7月1日入れ替え予定の拍手ページもその閉鎖までの期間かなぁ…と思います。
知っていらっしゃる方は知っていらっしゃると思うのですが、この拍手ページ、『Amethyst Eyes』でも使っております。
そこにも掲載しますが、そちらの入れ替え予定もブログと一緒です。
何卒よろしくお願いします。


細々と、ランキングに参加中…。この記事を読んで、お気に召して頂いた方は、お手数ですが、バナーを一回クリックしてください。拍手ページは10ページほどの対談(2010/05/26更新)を用意しています。
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posted by 和泉綾 at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年06月20日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 22



 マンションに戻って来て…。
それぞれの部屋の中で様々な事が起きている。
今回の事件で露呈した様々な真実。
そして、その真実の重み…。
云うなれば、ルルーシュが一番の犠牲者…に見えた。
何も知らず、何にも関わっていないのに…。
それでも、その真実があるが故に当事者と云う事になって…。
誰が悪いのかと云われれば、きっと、誰も答える事が出来ない。
ただ、今回、何も知らずに巻き込まれて、一番被害を被ったのは彼女だろう。
自分の部屋に入った途端に…ベッドにすぐに突っ伏しして、動けなくなる。
ルルーシュの中では、
―――これ以上、ナナリーやノネットに心配を懸ける訳にはいかない…
そんな風に思うのだけれど、身体が云う事を聞かない…という状態となっている。
一人になると、色んな事が頭を過って行く。
これまで存在も知らなかった異父兄を始め、スザクの家の事情、そして、今回のこの事件には今回知った事実すべてが複雑に絡んでいると云う事なのだ。
ただ、普通の母子家庭で居られたら…どれほど楽だったのだろうかと思える程、今回、自分に入り込んで来た真実は重たかった。
ルルーシュは自分の父親の事を知らないけれど、でも、もし、自分が父親の方にいたのなら、こんな事にはならなかったのだろうか…とさえ思えてくる。
「ゼロ…か…」
自分の異父兄だと名乗った。
そして、複雑な事情をルルーシュに聞かせた。
知りたくはなかったけれど、彼の云っていた事は知らなければならない事なのだ。
多分、あの時知る事がなくても、いずれ、どこかで知ることとなったに違いない。
―――あの時…知って良かったのかな…。ゼロ自身が…話してくれたんだから…。他の誰かから聞くよりも、よっぽどいいのかもしれない…
ルルーシュの中でそんな風に思う。
身体に力が入らなくて…何か、やらなくてはならない事がたくさんある筈なのに。
いつものルルーシュだったら、こんな風に動けなくなる訳がないのに。
それなのに…
―――身体が…重たい…。でも…せめて着替えて…それから…
そんな事を考えている内に、瞼が重くて、持ち上げていられなくなる。
やらなくてはならない事が頭の中に羅列されているのに。
いつもならその羅列されたやるべき事を一つ一つ片付けてから、こうしてベッドの上に寝転がるのに…。
今は…何もできないどころか、部屋に入った途端に、こんな形でベッドに身を預けている。
少し身体が震えている気がするけれど、それが現実なのか、夢なのか、それさえも解らない。
解らない事だらけで、確かめたいと思うけれど、既に身体は動かないし、頭の中もかすんで行くのが解る。
―――誰か…私の身体を起こしてくれ…。身体が起き上がれば…きっと、動けるのに…
恐らく、普通なら的外れな事を考えていると解るのに。
でも、今のルルーシュにはそれに気づくことが出来ない。
動けない自分に、責める言葉さえ出て来なくて…。
やがて、ルルーシュに優しい闇が訪れる。
ルルーシュが望んでいるものではなくとも…その闇は、ルルーシュにとって、優しい者であり…。
そして、ルルーシュの現在の状況をルルーシュに教えるにはちょうど良い闇でもあった。

 スザクの母が食卓のテーブルに着き、その正面にスザクが腰かけている。
一通りの事情を聞き、スザクが『はぁ』と息を吐いた。
「俺の家がそんな血筋だったとはね…。確かに、『枢木』なんて姓は珍しいとは思っていたし、桐原の家も、凄い家だとは思っていたけれど…」
「ロロが生まれてからなのよ…。それまではお祖父様はスザクにも会わなかったわ。今だって許されているわけじゃないのだけれど…お祖父様としては何れ、何らかの形で枢木の直系男子を欲しいと願っていた事は事実みたいだけれど…」
ぽつぽつと話しをしている母を見て、正直複雑な気持ちになる。
遡れば朝廷の名前にまで繋がって行くと云うのだから驚きだ。
ただ、途中で二つに分かれた時期があった。
そう、南北朝時代…。
その時、南朝側が敗れたとされている。
その南朝の流れをくむと云うのだから…こんな事が公表されたらそれこそ大騒ぎだ。
だからあのような形で裏側で暗躍の様な形で力を付けて来たと云う事…なのかもしれないが。
ただ、現在ある天皇家も現在では権威の象徴としての存在となっていたが、彼らにも優秀な人材がいて、その中で違う形での生き方を選んだ。
そして、その中で現在は陰から日本を支える存在…としての役目を担ってきたわけなのだが…。
時代が変わり、経済力にしても影響力にしても、彼らに匹敵する存在がいくつも誕生して、彼らの存在も生きるか死ぬか…という状況に陥って来たのだ。
彼らの担ってきた役目の中には、様々なものがある。
それは、表の存在でも、陰の存在でも必要なものであった。
だが…時代が変わり、彼らが担う役目が陰の部分に偏ってきた。
彼らは日本国内の地下組織さえも把握しており、その名前を聞けば一切手を出せないと云うくらいの存在である。
そんな存在であるのだから、闇の部分をも知りつくしている。
そんな中でスザクの父親は、耐えきれなくなったと云うことだろう。
時代の変化と共に、周囲はどんどん変化して行くのだ。
その変化の中で、その器に入っている事が辛くなる存在も当然の様に出てくるわけだ。
そして、この時代でそう云った存在となったのがスザクの父親だった。
そんな事実を話されて、スザク自身、平静を装っているものの、自分の中で完全に咀嚼しきれない。
と云うか、その行為自体を放棄している。
ただ、母の言葉を一つ一つ頭の中に並べている…そんな感じだ。
「で、俺とロロは、これから…どうなるわけ?」
スザクの中に存在する、もう一人の冷静な目で見つめているスザクがその問いを口から出させた。
今のスザクには…欲しい物があるのだ。
だからこそ、こうして自分を保っていられるのかもしれない。
そう思えてくる。
「どう…と云う事はないわ…。ただ、ランペルージ家の皆さんにはどう思われるか…解らないと云う事は云えるわね…。ランペルージグループの皆さんも、どこまで内の事を承知していたのか…解らないんだけど…。よく、ここまで何も口出しして来なかったと…母さんは思っているわ…」

 母の言葉に…スザクも『確かに…』と思える。
シュナイゼルがルルーシュを愛している事は随分前から解っていた。
そこまで危険な存在となり得るスザクがこんな近くにいると云う事に対して危機感を抱いていなかった訳がない。
「多分、この時を待っていた…と云うのもあると思うけれどな…。あの、シュナイゼルさんの顔を見ていると…」
スザクがそう零した。
シュナイゼルがルルーシュをそんな形で利用すると云うのは、あまり考えにくい事ではあるのだけれど。
ただ、相手がゼロであったなら、ゼロがルルーシュに対して手荒な事をしない事も解っていた…と云う事も考えられる。
―――ゼロは…結局、ルルーシュに対してあんまり優しくない事ばかり云っていたけれどな…
そこまで考えた時…。
ゼロが彼らに攫われたと云うのが事実であるなら、もう一つ、疑問が生まれる。
「母さん、少し、疑問があるんだけれど…」
スザクが自分の中でもうまく整理できない中で、何とか、知りたいと思った事を言葉にしようとした。
スザクのその一言に、母親が首をかしげた。
「何?」
「あのさ、もし、母さんの云っている事が真実だとして、桐原の家や、今回の事がそう云ったものの事で、ちょっと、疑問があるんだけど…」
スザクのその言葉に、母親の方が何か、ドキッとした顔をした。
スザクもその顔を見て、彼女が何かを隠していると直感的に思った。
しかし、その事を無視したふりをしてスザクが言葉を続ける。
「もし、そんな高貴な血が絡んでいるとなれば、後継者と云うのは基本、男系男子…ってことじゃないの?俺、そう云った難しい事は良く解らないんだけどさ…」
スザクのその言葉に、あからさまに顔色を変えたのが、よく解った。
更にスザクは言葉を続けた。
「だとすると、ゼロを攫って、後継者に…と云う事はなんだか不自然な話しに聞こえるんだけど…。俺の勘違いなのか?」
スザクは…うろたえている母親のお陰なのか、非常に冷静に尋ねた。
素朴な疑問をそのまま、ストレートに言葉にされると、尋ねられた方は、驚きが大きい。
そして、何かを隠そうとしているとか、相手を騙そうとしているとか…そう云うことであれば、こうした形でうろたえる。
「母さん、ちゃんと本当の事を話してくれないか?でないと、俺、このままじゃ、平凡な学生もやっていられないって事だろ?」
スザク自身、もしこの場で様々な義務だの責務だと云われたところで、どうしたらいいかなんて解らない。
ただ、何も知らずに、大人に振り回されるのは避けたいと思う。
それが、素直な、正直な気持ちだ。
スザク自身、紆余曲折を経て、やっと、自分の気持ちに気づいて、たとえその想いが通じる事はなくても、その気持ちに素直になりたいと、正直になりたいと思った矢先だ。
必要なら、自分から身を引く覚悟をしなければならないと云う覚悟もしなければならないと云う事だ。
―――これ以上、ルルーシュを傷つける訳にはいかないんだ…。俺がこれ以上…
スザクの中にあるのは…そんな思いだ。
子供は親を選べない…。
それは解るけれど、自分の生きる道を親に振り回されるのは御免だ…という思いくらいは持っているのだ。

 正直、この歳になって、そんな高貴な家の後を告げと云われたって無理に決まっている。
これまで日本を陰から支えて来て、操って来たその存在の中に自分がその身を置くなんて事は正直、途方もない話である。
「それは…それは…」
母親の言葉が先に進んで行かない。
云い難そう…と云うよりも、云いたくないと云った方が正確な表現だろうと思った。
何となく、今、スザクが予想しているその事が真実な様な気がした。
その予想と云うのは、今、自分が頭の中に浮かび上がったいくつかの予想の中で一番悪い予想が…当たっているのだろうと思った。
「母さん、もういいよ…。ごめん、いきなり、云い難い事を訊いたりして、ごめん…」
スザクはそう云って、キッチンを出て行った。
そして、そのまま…玄関を出た。
今は…家にいたくないと思った。
家にいたら…きっと、もっと、嫌な事を訊いてしまいそうになると思ったから…。
両親だって、スザク達を守ろうと必死だった…。
それは解るのだけれど。
否、それが解るからこそ、苦しいのかもしれない。
玄関の外に出た時…『はぁ…』と大きな息を吐きだした。
ショックが大きいし、自分から訊いたとはいえ、いきなりそんな事を云われても…と思う事はある。
ただ、自分の父親が飛び出した理由は、何となく解った気がした。
ゼロの姿を見て、さっきの母親の話を訊いて…。
「どうなるんだろう…これから…」
これまでは知らなかったし、今回の様な事件がなければこのままでいたであろうけれど…。
でも、今となっては知らなかった頃と同じように…と云う訳にはいかない気がしている。
自分が何を気にしたところで、何を出来る訳でもないのだけれど。
解っていても、その真実が、これから、自分の目の前に何かの形で現れて来るのかもしれない。
知らないままそんなものが現れたらきっとパニックになっていたとは思うけれど。
誰も未来の事なんて解らないけれど。
こうした形で漠然とした不安を突き付けられると、中々辛いものがある。
正直、今もかなりしんどいと思っている。
知らなくても、何れは突き付けられていた事実。
今知ったところで、どうしたらいいか解らない事実。
ただ、一つだけ自分の中ではっきりしている事がある。
―――少なくとも、俺は、あんな組織に入って何か出来る様な人間じゃないな…。残念ながら…。
体力面での自信はあっても、頭の方ははっきり云って10人並みだ。
そのくらいは解っている。
あんな、難しい話ばかりになりそうな所に連れて行かれたって何ができる訳でもない。
ただ、何となく解るのは…。
恐らく、その組織とやらは、この先、行き詰まりを見せているのではないか…と云う事だ。
少なくとも、枢木家がそこから出奔した状態でゼロを攫い、ゼロがいる事によって何かが出来ると思っていたようだ。
しかし、そのゼロがシュナイゼルの元へと戻った。
となると、後継者と云うのはどう云う話しになるのか…。
これまで、桐原家に出入りしていた時にはそう云った話しなど、微塵も見せなかったけれど、こんな形で自分の知るところとなり、恐らく、彼らが『長老』と呼んでいた者達にも知られた事となる。
解らない事が…たくさんあり過ぎて、混乱してしまう…。

 ごちゃごちゃ考えつつもマンションの廊下を歩いていると…。
慌てては知って行くノネットの姿があった。
「ノネット?」
スザクがその姿に声をかけた。
「あ、スザクか…。ちょうどいい…。お前、これから買い物に出るんだ…。手伝ってくれ!」
ノネットの言葉にスザクの頭の中で先ほどとは違う『?』が飛び交う。
そんなスザクを見てノネットが少しいらついた様に言葉を続けた。
「お前はなんともないのかよ…。ルルーシュが倒れて熱を出したんだ!眠っている状態でベッドから連れ出そうとすると、むずかってベッドから離れようとしないから…。だから、これから、応急処置に必要な物を買いに行くんだ…」
ノネットの言葉にスザクは目を見開いて、ノネットの次の言葉を聞く事もせずに走り出した。
「お…おい!」
ノネットがルルーシュのマンションの部屋の方に走って行くのを呼びとめようとするが、既にスザクの耳にはその声が届いていない。
「ったく…。しゃーないな…。急いで行って来るか…」
そう云ってノネットはその場を離れて行った。
ノネットの言葉は背中の方でしていたけれど、何を云っているのかなんて気にしていられる余裕はなかった。
―――やっぱり…あいつ、無理していたんだ…
スザクはそんな事を思いながら、歩いて行ったって1分足らずの筈のルルーシュのマンションの部屋の入り口…。
でも、今、全力で走っているのに、その距離がいつもより長く感じる。
玄関の前まで云って、インターフォンのボタンを押す。
『あら…ノネットさんですか?随分早…』
中からナナリーの声がした。
「ナナリー!俺だ!開けてくれ!ルルーシュは?」
単語を並べただけの怒鳴り声…。
ナナリーがスピーカーの向こうで驚いているのが解る。
でも、すぐにセキュリティが外れた音がして、スザクが本当に乱暴と云える様なドアの開け方をして、中に走り込んで行った。
「ナナリー!ルルーシュは…」
スザクが慌てた顔をしてナナリーに尋ねる。
スザクの知らない風景だ。
いつも、ナナリーが熱を出してルルーシュが真っ青になっていた…という光景だったから。
「だいぶ、疲れが溜まっていたみたいですね。それに、何があったのかは知りませんけれど、うわごとで、ずっと、どなたかに謝っているんです…。『ぜろ』さんって…どなたか知っていますか?」
ナナリーの一言に、スザクがぐっと息をのんだ。
その様子にナナリーもそれ以上は訊いて来なかった。
「スザクさん、お姉さまの傍にいて差し上げて下さい。きっと、お姉さまもスザクさんが傍にいる方が…安心しますから…」
ナナリーが静かにそう云った。
ナナリー自身、スザクの事を許しているとは思えないけれど、それでも姉の為になら自分の意思をも曲げる…そんな気持ちがスザクに伝わってきた。
「どんな…様子?熱はどのくらい?」
「今はまだ、熱が上がっているみたいで、布団の他に電気敷布を使っています。熱は、10分前に測った時には38度6分でした。これ…持って行って下さい…」
と、ナナリーがトレイを渡した。
上にはタオルとタオルを濡らす為の小さな水桶が置かれていた。
それを受け取って、スザクはルルーシュの部屋へと入ると…中ではベッドの上で布団にくるまってカタカタ震えているルルーシュの姿が目に飛び込んで来たのだった。

To Be Continued


あとがきに代えて



いやぁ…本当にお久し振りの『幼馴染シリーズ』です。
佳境は佳境なんですけれど、この第3部に関しては多分、いつもより少し長めとなり、多分、8月中には終わる予定です。
本当は終わらせようと思えば、来週には終わる予定だったのですけれど、エピソードを一つ加えたので…。
と云うか…このお話しも最終回なんて言葉が出てくるようになっちゃったんですねぇ…。
一応、考えている事があって、このお話しの後の予定は一応、決まっています。
あんまりサプライズはないですけれど。
思えば、結構長くなりましたよね…。
このお話し、3部作で3冊本を出したら…1冊辺りのページ数、結構凄い事になりそうな気配ですね…。
最初の頃はホント、1回分が普通の単発や『皇子とレジスタンス』よりも短かったんです。
連載開始当時、あの頃の単発作品の8割くらいの長さだったんです…一回辺り…。
今ではほぼ同じ、もしくは長くなっている事もあります。
だから、実は、第1部が一番短いんです…オフラインとした時には…。
オフラインにすると云う予定は今のところありませんけれどね。
まぁ、オンラインの再録でオフライン出していればいいのかもしれないんですけれど…。
何となくそれも出来ずに居ますから…。
でも、『皇子とレジスタンス』もそうですが、再録の方がオフラインで読みたいと思って下さる方が多い様な気もしていて…。
どうしたものか…と思う今日この頃ですが…。
まぁ、再録本を出す時には多分、オフラインの書きおろしと2冊出すでしょうね…
これまで同様…。(これまで再録本の場合、そのイベントでは再録本と合わせて2冊新刊を出して居ました)
終わりが見えてきましたけれど…最後まで楽しんで頂ければ幸いです。

最近、月一放送の『刀語』にちょっとはまっていたりして…。
七花ととがめ見ていて…なんとなく、そこにまでスザルルを当てはめてしまっている自分が…本当に心配になってきますが…。
小説はまだ読んでいないので、手に入れたらぜひとも読みたいと思います。


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posted by 和泉綾 at 22:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 22



 マンションに戻って来て…。
それぞれの部屋の中で様々な事が起きている。
今回の事件で露呈した様々な真実。
そして、その真実の重み…。
云うなれば、ルルーシュが一番の犠牲者…に見えた。
何も知らず、何にも関わっていないのに…。
それでも、その真実があるが故に当事者と云う事になって…。
誰が悪いのかと云われれば、きっと、誰も答える事が出来ない。
ただ、今回、何も知らずに巻き込まれて、一番被害を被ったのは彼女だろう。
自分の部屋に入った途端に…ベッドにすぐに突っ伏しして、動けなくなる。
ルルーシュの中では、
―――これ以上、ナナリーやノネットに心配を懸ける訳にはいかない…
そんな風に思うのだけれど、身体が云う事を聞かない…という状態となっている。
一人になると、色んな事が頭を過って行く。
これまで存在も知らなかった異父兄を始め、スザクの家の事情、そして、今回のこの事件には今回知った事実すべてが複雑に絡んでいると云う事なのだ。
ただ、普通の母子家庭で居られたら…どれほど楽だったのだろうかと思える程、今回、自分に入り込んで来た真実は重たかった。
ルルーシュは自分の父親の事を知らないけれど、でも、もし、自分が父親の方にいたのなら、こんな事にはならなかったのだろうか…とさえ思えてくる。
「ゼロ…か…」
自分の異父兄だと名乗った。
そして、複雑な事情をルルーシュに聞かせた。
知りたくはなかったけれど、彼の云っていた事は知らなければならない事なのだ。
多分、あの時知る事がなくても、いずれ、どこかで知ることとなったに違いない。
―――あの時…知って良かったのかな…。ゼロ自身が…話してくれたんだから…。他の誰かから聞くよりも、よっぽどいいのかもしれない…
ルルーシュの中でそんな風に思う。
身体に力が入らなくて…何か、やらなくてはならない事がたくさんある筈なのに。
いつものルルーシュだったら、こんな風に動けなくなる訳がないのに。
それなのに…
―――身体が…重たい…。でも…せめて着替えて…それから…
そんな事を考えている内に、瞼が重くて、持ち上げていられなくなる。
やらなくてはならない事が頭の中に羅列されているのに。
いつもならその羅列されたやるべき事を一つ一つ片付けてから、こうしてベッドの上に寝転がるのに…。
今は…何もできないどころか、部屋に入った途端に、こんな形でベッドに身を預けている。
少し身体が震えている気がするけれど、それが現実なのか、夢なのか、それさえも解らない。
解らない事だらけで、確かめたいと思うけれど、既に身体は動かないし、頭の中もかすんで行くのが解る。
―――誰か…私の身体を起こしてくれ…。身体が起き上がれば…きっと、動けるのに…
恐らく、普通なら的外れな事を考えていると解るのに。
でも、今のルルーシュにはそれに気づくことが出来ない。
動けない自分に、責める言葉さえ出て来なくて…。
やがて、ルルーシュに優しい闇が訪れる。
ルルーシュが望んでいるものではなくとも…その闇は、ルルーシュにとって、優しい者であり…。
そして、ルルーシュの現在の状況をルルーシュに教えるにはちょうど良い闇でもあった。

 スザクの母が食卓のテーブルに着き、その正面にスザクが腰かけている。
一通りの事情を聞き、スザクが『はぁ』と息を吐いた。
「俺の家がそんな血筋だったとはね…。確かに、『枢木』なんて姓は珍しいとは思っていたし、桐原の家も、凄い家だとは思っていたけれど…」
「ロロが生まれてからなのよ…。それまではお祖父様はスザクにも会わなかったわ。今だって許されているわけじゃないのだけれど…お祖父様としては何れ、何らかの形で枢木の直系男子を欲しいと願っていた事は事実みたいだけれど…」
ぽつぽつと話しをしている母を見て、正直複雑な気持ちになる。
遡れば朝廷の名前にまで繋がって行くと云うのだから驚きだ。
ただ、途中で二つに分かれた時期があった。
そう、南北朝時代…。
その時、南朝側が敗れたとされている。
その南朝の流れをくむと云うのだから…こんな事が公表されたらそれこそ大騒ぎだ。
だからあのような形で裏側で暗躍の様な形で力を付けて来たと云う事…なのかもしれないが。
ただ、現在ある天皇家も現在では権威の象徴としての存在となっていたが、彼らにも優秀な人材がいて、その中で違う形での生き方を選んだ。
そして、その中で現在は陰から日本を支える存在…としての役目を担ってきたわけなのだが…。
時代が変わり、経済力にしても影響力にしても、彼らに匹敵する存在がいくつも誕生して、彼らの存在も生きるか死ぬか…という状況に陥って来たのだ。
彼らの担ってきた役目の中には、様々なものがある。
それは、表の存在でも、陰の存在でも必要なものであった。
だが…時代が変わり、彼らが担う役目が陰の部分に偏ってきた。
彼らは日本国内の地下組織さえも把握しており、その名前を聞けば一切手を出せないと云うくらいの存在である。
そんな存在であるのだから、闇の部分をも知りつくしている。
そんな中でスザクの父親は、耐えきれなくなったと云うことだろう。
時代の変化と共に、周囲はどんどん変化して行くのだ。
その変化の中で、その器に入っている事が辛くなる存在も当然の様に出てくるわけだ。
そして、この時代でそう云った存在となったのがスザクの父親だった。
そんな事実を話されて、スザク自身、平静を装っているものの、自分の中で完全に咀嚼しきれない。
と云うか、その行為自体を放棄している。
ただ、母の言葉を一つ一つ頭の中に並べている…そんな感じだ。
「で、俺とロロは、これから…どうなるわけ?」
スザクの中に存在する、もう一人の冷静な目で見つめているスザクがその問いを口から出させた。
今のスザクには…欲しい物があるのだ。
だからこそ、こうして自分を保っていられるのかもしれない。
そう思えてくる。
「どう…と云う事はないわ…。ただ、ランペルージ家の皆さんにはどう思われるか…解らないと云う事は云えるわね…。ランペルージグループの皆さんも、どこまで内の事を承知していたのか…解らないんだけど…。よく、ここまで何も口出しして来なかったと…母さんは思っているわ…」

 母の言葉に…スザクも『確かに…』と思える。
シュナイゼルがルルーシュを愛している事は随分前から解っていた。
そこまで危険な存在となり得るスザクがこんな近くにいると云う事に対して危機感を抱いていなかった訳がない。
「多分、この時を待っていた…と云うのもあると思うけれどな…。あの、シュナイゼルさんの顔を見ていると…」
スザクがそう零した。
シュナイゼルがルルーシュをそんな形で利用すると云うのは、あまり考えにくい事ではあるのだけれど。
ただ、相手がゼロであったなら、ゼロがルルーシュに対して手荒な事をしない事も解っていた…と云う事も考えられる。
―――ゼロは…結局、ルルーシュに対してあんまり優しくない事ばかり云っていたけれどな…
そこまで考えた時…。
ゼロが彼らに攫われたと云うのが事実であるなら、もう一つ、疑問が生まれる。
「母さん、少し、疑問があるんだけれど…」
スザクが自分の中でもうまく整理できない中で、何とか、知りたいと思った事を言葉にしようとした。
スザクのその一言に、母親が首をかしげた。
「何?」
「あのさ、もし、母さんの云っている事が真実だとして、桐原の家や、今回の事がそう云ったものの事で、ちょっと、疑問があるんだけど…」
スザクのその言葉に、母親の方が何か、ドキッとした顔をした。
スザクもその顔を見て、彼女が何かを隠していると直感的に思った。
しかし、その事を無視したふりをしてスザクが言葉を続ける。
「もし、そんな高貴な血が絡んでいるとなれば、後継者と云うのは基本、男系男子…ってことじゃないの?俺、そう云った難しい事は良く解らないんだけどさ…」
スザクのその言葉に、あからさまに顔色を変えたのが、よく解った。
更にスザクは言葉を続けた。
「だとすると、ゼロを攫って、後継者に…と云う事はなんだか不自然な話しに聞こえるんだけど…。俺の勘違いなのか?」
スザクは…うろたえている母親のお陰なのか、非常に冷静に尋ねた。
素朴な疑問をそのまま、ストレートに言葉にされると、尋ねられた方は、驚きが大きい。
そして、何かを隠そうとしているとか、相手を騙そうとしているとか…そう云うことであれば、こうした形でうろたえる。
「母さん、ちゃんと本当の事を話してくれないか?でないと、俺、このままじゃ、平凡な学生もやっていられないって事だろ?」
スザク自身、もしこの場で様々な義務だの責務だと云われたところで、どうしたらいいかなんて解らない。
ただ、何も知らずに、大人に振り回されるのは避けたいと思う。
それが、素直な、正直な気持ちだ。
スザク自身、紆余曲折を経て、やっと、自分の気持ちに気づいて、たとえその想いが通じる事はなくても、その気持ちに素直になりたいと、正直になりたいと思った矢先だ。
必要なら、自分から身を引く覚悟をしなければならないと云う覚悟もしなければならないと云う事だ。
―――これ以上、ルルーシュを傷つける訳にはいかないんだ…。俺がこれ以上…
スザクの中にあるのは…そんな思いだ。
子供は親を選べない…。
それは解るけれど、自分の生きる道を親に振り回されるのは御免だ…という思いくらいは持っているのだ。

 正直、この歳になって、そんな高貴な家の後を告げと云われたって無理に決まっている。
これまで日本を陰から支えて来て、操って来たその存在の中に自分がその身を置くなんて事は正直、途方もない話である。
「それは…それは…」
母親の言葉が先に進んで行かない。
云い難そう…と云うよりも、云いたくないと云った方が正確な表現だろうと思った。
何となく、今、スザクが予想しているその事が真実な様な気がした。
その予想と云うのは、今、自分が頭の中に浮かび上がったいくつかの予想の中で一番悪い予想が…当たっているのだろうと思った。
「母さん、もういいよ…。ごめん、いきなり、云い難い事を訊いたりして、ごめん…」
スザクはそう云って、キッチンを出て行った。
そして、そのまま…玄関を出た。
今は…家にいたくないと思った。
家にいたら…きっと、もっと、嫌な事を訊いてしまいそうになると思ったから…。
両親だって、スザク達を守ろうと必死だった…。
それは解るのだけれど。
否、それが解るからこそ、苦しいのかもしれない。
玄関の外に出た時…『はぁ…』と大きな息を吐きだした。
ショックが大きいし、自分から訊いたとはいえ、いきなりそんな事を云われても…と思う事はある。
ただ、自分の父親が飛び出した理由は、何となく解った気がした。
ゼロの姿を見て、さっきの母親の話を訊いて…。
「どうなるんだろう…これから…」
これまでは知らなかったし、今回の様な事件がなければこのままでいたであろうけれど…。
でも、今となっては知らなかった頃と同じように…と云う訳にはいかない気がしている。
自分が何を気にしたところで、何を出来る訳でもないのだけれど。
解っていても、その真実が、これから、自分の目の前に何かの形で現れて来るのかもしれない。
知らないままそんなものが現れたらきっとパニックになっていたとは思うけれど。
誰も未来の事なんて解らないけれど。
こうした形で漠然とした不安を突き付けられると、中々辛いものがある。
正直、今もかなりしんどいと思っている。
知らなくても、何れは突き付けられていた事実。
今知ったところで、どうしたらいいか解らない事実。
ただ、一つだけ自分の中ではっきりしている事がある。
―――少なくとも、俺は、あんな組織に入って何か出来る様な人間じゃないな…。残念ながら…。
体力面での自信はあっても、頭の方ははっきり云って10人並みだ。
そのくらいは解っている。
あんな、難しい話ばかりになりそうな所に連れて行かれたって何ができる訳でもない。
ただ、何となく解るのは…。
恐らく、その組織とやらは、この先、行き詰まりを見せているのではないか…と云う事だ。
少なくとも、枢木家がそこから出奔した状態でゼロを攫い、ゼロがいる事によって何かが出来ると思っていたようだ。
しかし、そのゼロがシュナイゼルの元へと戻った。
となると、後継者と云うのはどう云う話しになるのか…。
これまで、桐原家に出入りしていた時にはそう云った話しなど、微塵も見せなかったけれど、こんな形で自分の知るところとなり、恐らく、彼らが『長老』と呼んでいた者達にも知られた事となる。
解らない事が…たくさんあり過ぎて、混乱してしまう…。

 ごちゃごちゃ考えつつもマンションの廊下を歩いていると…。
慌てては知って行くノネットの姿があった。
「ノネット?」
スザクがその姿に声をかけた。
「あ、スザクか…。ちょうどいい…。お前、これから買い物に出るんだ…。手伝ってくれ!」
ノネットの言葉にスザクの頭の中で先ほどとは違う『?』が飛び交う。
そんなスザクを見てノネットが少しいらついた様に言葉を続けた。
「お前はなんともないのかよ…。ルルーシュが倒れて熱を出したんだ!眠っている状態でベッドから連れ出そうとすると、むずかってベッドから離れようとしないから…。だから、これから、応急処置に必要な物を買いに行くんだ…」
ノネットの言葉にスザクは目を見開いて、ノネットの次の言葉を聞く事もせずに走り出した。
「お…おい!」
ノネットがルルーシュのマンションの部屋の方に走って行くのを呼びとめようとするが、既にスザクの耳にはその声が届いていない。
「ったく…。しゃーないな…。急いで行って来るか…」
そう云ってノネットはその場を離れて行った。
ノネットの言葉は背中の方でしていたけれど、何を云っているのかなんて気にしていられる余裕はなかった。
―――やっぱり…あいつ、無理していたんだ…
スザクはそんな事を思いながら、歩いて行ったって1分足らずの筈のルルーシュのマンションの部屋の入り口…。
でも、今、全力で走っているのに、その距離がいつもより長く感じる。
玄関の前まで云って、インターフォンのボタンを押す。
『あら…ノネットさんですか?随分早…』
中からナナリーの声がした。
「ナナリー!俺だ!開けてくれ!ルルーシュは?」
単語を並べただけの怒鳴り声…。
ナナリーがスピーカーの向こうで驚いているのが解る。
でも、すぐにセキュリティが外れた音がして、スザクが本当に乱暴と云える様なドアの開け方をして、中に走り込んで行った。
「ナナリー!ルルーシュは…」
スザクが慌てた顔をしてナナリーに尋ねる。
スザクの知らない風景だ。
いつも、ナナリーが熱を出してルルーシュが真っ青になっていた…という光景だったから。
「だいぶ、疲れが溜まっていたみたいですね。それに、何があったのかは知りませんけれど、うわごとで、ずっと、どなたかに謝っているんです…。『ぜろ』さんって…どなたか知っていますか?」
ナナリーの一言に、スザクがぐっと息をのんだ。
その様子にナナリーもそれ以上は訊いて来なかった。
「スザクさん、お姉さまの傍にいて差し上げて下さい。きっと、お姉さまもスザクさんが傍にいる方が…安心しますから…」
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「どんな…様子?熱はどのくらい?」
「今はまだ、熱が上がっているみたいで、布団の他に電気敷布を使っています。熱は、10分前に測った時には38度6分でした。これ…持って行って下さい…」
と、ナナリーがトレイを渡した。
上にはタオルとタオルを濡らす為の小さな水桶が置かれていた。
それを受け取って、スザクはルルーシュの部屋へと入ると…中ではベッドの上で布団にくるまってカタカタ震えているルルーシュの姿が目に飛び込んで来たのだった。

To Be Continued


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posted by 和泉綾 at 22:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年06月06日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 21



 10日ぶりの我が家…
随分長い事、離れていたような気がする。
そのくらい、いろいろあったと云う事なのだけれど…
「ルルーシュぅぅぅ〜〜〜!」
玄関を開いた途端に、号泣状態のノネットが抱きついて来たのだ。
ノネットが常にルルーシュを心配してくれていた事は良く知っていたから…
そんなノネットの頭をポンポンと叩きながら謝る。
「ごめん…ノネット…心配かけて…」
ずっと連絡はとれずにいたし、正直、これだけ自分の中でも整理しきれない事が重なってしまうと、何から話していいのか、正直困ってしまうのだ。
「お姉さま…」
少し遠慮がちにその後ろからナナリーが声をかけて来た。
「ナナリー…心配かけて…ごめん…。私は大丈夫だ。それより、ナナリーは大丈夫だったか?私のいない間にまた、具合悪いなんて事は…」
相変わらずなルルーシュに、ナナリーが笑ってしまうし、ノネットもルルーシュに抱きついていたものの、ルルーシュの手によってルルーシュの身体から引きはがされた。
「お姉さま…私は手術を受けて、元気になったのですよ?そりゃ、心配はしましたけれど…でも、スザクさんが御一緒と聞いたので、それほど心配はしていませんでした…」
ナナリーはそう云ってにこりと笑った。
その笑顔の奥に、少しだけ、何かが隠されている…そんな風に思えたけれど…
「そんなことより!お姉さま…お姉さまこそ…なんだかとても顔色が悪い様に見えますけれど?」
いつも、ナナリーの心配はしていても、自分の心配を基本的にしないルルーシュ…
それ故に、ナナリーは自分が元気になってからと云うもの、ルルーシュが少しでも具合悪い兆候を見せた時には必ず、的確に指摘して来る。
そんなナナリーの言葉を聞いて、今度はノネットがルルーシュの方をじっと見ている。
「本当だ…なんだか、目が赤いし…ちゃんと眠れていたのか?それに、さっき抱きついた時、また、身体中が骨ばってきた様な…」
聞き方によっては凄く失礼な云い回しにも聞こえない訳でもないが…
それでも、ノネット自身、ルルーシュの事が心配で堪らないと云うのは本当で…
実際問題、ルルーシュはゼロに捕まっていた時、色々考え込んでしまい、そして、答えのだない自問自答を繰り返していたのは本当だ。
スザクが強引に寝かしつけて、ルルーシュが寝息を立てるようになるまで絶対に離れなかったけれど…
そうしている時間が異様に長かった気がする。
だからこそ、スザクと、本当に久しぶりにたくさん話した気がした。
とにかく、何もない状態で、外との連絡も取れず、みんなが心配しているだろう事が頭をぐるぐる回っていた。
そして、突然告げられた異父兄の存在…
―――そうだ…ゼロの事…
ルルーシュはあの時の事を思い出しているうちに、ゼロの事をナナリーに対して云うべきか、どうか、そして、云うにしても、どんな説明をすればいいのか…
ナナリーだってルルーシュの妹であり、ゼロの異父妹なのだ。
このまま黙っていていい話しでもない気がするし、かといって、本人がいないところでその説明をするのも中々難しい様な気がする。
それに、ランペルージ家の事もある。
―――どうしたら…

 また、色々考え込み始めてしまったルルーシュに気が付いた二人。
「お姉さま、今はちゃんとお休みになって下さい。お風呂も沸いていますし、少し、おかしなことを考えるのはやめましょう!」
「そうだ!ルルーシュ、私、ルルーシュがいない間に結構料理とかできるようになったぞ!ちゃんと成果を見せたいんだ!」
ナナリーがルルーシュにぴしゃりと云うと、ノネットが便乗してきた。
知らない間に、二人とも凄く息が合う仲となったらしい…
「二人とも、あの…」
ルルーシュが何か、云いたいのだけれど、何も言葉が出て来なくて。
そして、ルルーシュの中でさらなる混乱が始まった。
―――これは、どうしたら…
ここまで、ずっと緊張状態で、こんな空気に触れるのが非常に久しぶりに思えて。
だから、あの緊張状態からのギアチェンジがうまく出来ない状態なのかもしれない。
素直に、ルルーシュが困ってしまっている。
そして、そのルルーシュの雰囲気はしっかりと二人には伝わっていて…
「ルルーシュ、とにかく、今は休む事を考えろよ。ジノさんの事とかも、カノンに送って来て貰ったってことは知っているんだろ?」
ノネットの言葉で、またも、驚いたその、真実を思い出した。
思い出したところで、既にルルーシュの手の届かない場所に話しが云ってしまっているのだから。
「うん…。私も、あの記者会見、驚いた…」
ルルーシュは少し小さな声でそう云った。
そのルルーシュの言葉は、二人にちゃんと伝わっているのかどうか、正直、ルルーシュの中で少々不安の残る程の小さな声だったけれど。
それでも、ルルーシュに対して人一倍敏感に反応するナナリーがいて、ノネットもその鋭さは半端なものではない。
「大丈夫ですよ。シュナイゼル義兄さま、ちゃんとジノさんと仲直りされたみたいですし、それに、今回のお話し、カレンさんもいろいろ動いていたようですよ?」
ナナリーの言葉は更にサプライズだ。
本当に、ここに来て驚く事ばかりだ。
何故、ここまで自分の予想外の事ばかりが起きているのか…そんな事を思ってしまう程、サプライズな事ばかりだ。
そろそろ、ルルーシュ自身、自分のキャパシティを超えて来そうな予感がする。
「カレン…が…?」
驚きを全く隠そうとしていない…と云うよりも、隠せていないルルーシュの様子に、二人がクスッと笑ってしまった。
決してバカにしているわけではなく、それは、普段見た事のないルルーシュの顔に、少し驚いて、そして、そんなルルーシュの、普段、見せる事のないその表情に嬉しくなった…と云う感じなのだけれど。
「ああ、なんか、ずっとカレン、ユーフェミアの店に通っていたみたいでさぁ…。今回の、この記者会見の話しに関しては、シュナイゼルさんも色々考えてはいたみたいなんだ。あのシュナイゼルさんの事だから、友達だからとか、そう云う事じゃないと思うけどさ。」
「それで、その話が持ち上がって、ある程度話が煮詰まった時に、お姉さまの誘拐劇があったんです。元々、あの記者会見の日に、色んな発表がある事が決まっていたそうですね…。シュナイゼル義兄さまが云っていました…」

 その話しを聞いて、どこまでも自分の義兄と呼ぶ人のその実行力、判断力には感服する。
極端な話し、あの、誘拐劇もシュナイゼルの中では漠然と予想していたのではないかと云う疑念まで生まれて来る。
「でも、カレンが…その、ジノと?」
「はっきりした事は解らないけれど、ルルーシュが攫われてから、ずっと、一緒にいたのは知っている。なぁんか、色々考えていたみたいだな。お互いに、なんだか、云い仕事仲間と云うか、ライバル…って感じで話しをしていたよ。」
何となく、ルルーシュの頭の中では想像が出来ない、そんなカップリングだけれど。
でも、それなら…と、そこまで考えた時、
「ああ、お姉さま、多分、お姉さまの考えているような関係じゃないと思いますよ?あのお二人、楽しそうですけれど、会話がなんだか、男の人同士みたいな会話でしたもの。」
まるで、ルルーシュの思考をそのまま読んでいるような、そんなナナリーに少しだけ、ルルーシュは恐ろしさを感じる。
恐らく、
―――私は、ナナリーには隠しごとが出来なければ、ウソも吐けないな…多分…
ニコニコ笑いながらルルーシュに話しているナナリーに、思わずそんな事を思ってしまった。
でも、ナナリーがこうして笑っている、楽しそうに話している事に、ルルーシュは心底ほっとする。
ルルーシュがナナリーに対して異常とも思えるほど過保護にしているのと比例してナナリーもルルーシュに対して、特別な感情が強い。
それほど、この姉妹は、二人密着した生活をして来たのだ。
ルルーシュが日本に帰って来て、ナナリーが自分の世界を作り始めた時の、あの、ルルーシュの落ち込みようを思い出した時、少しだけ、ノネットは不安を抱く。
あの時、ナナリーが元気になって、自分で出来る事が増えて、出かける事が増えて来た…。
そして、日本に帰ってくれば、いろいろ変わった事が多過ぎて、ついて行けず、ルルーシュが戸惑っていた。
そんな姿を知っているから、こうして、たった10日間だけとはいえ、ルルーシュが離れていた事で、ルルーシュの周囲が変化してしまった事に、また、ルルーシュが戸惑ってしまったら…
ノネットはそんな心配をして見るけれど、あの時は『3年ぶりの日本』と云う事もあったと云う事をノネット自身が気づいていない。
ルルーシュだって、普通の状態であれば、あれほど狼狽する事もなかったとは思われるが。
でも、ノネットとしては、ブリタニアで、一緒にいたルルーシュのイメージばかりが先行してしまって、妙な心配をしているわけだけれど。
「心配かけて、御免。少し休んで、落ち着いたら、ちゃんと、話すよ。色々、ナナリーやノネットには話さなくちゃいけないと思うし…」
ルルーシュはそう静かに云って、自分の部屋の中へと入って行った。
ルルーシュが帰って来ると云う事で、色々な者を準備していたのに…
そんな思いは、一瞬で消える。
ルルーシュの歩き方が、なんだか凄く疲れていて、今にも倒れてしまいそうなほど、ふらふらだったからだ。
きっと、誘拐されていた間、肉体的には当然、精神的にも相当追い詰められていたのかもしれないと思う。
考えてみれば、それが当たり前だ。
静かにルルーシュの後姿を見送って、ノネットもナナリーも自室へと引っ込んだのだった。

 10日ぶりに帰ってきた…という点ではスザクも一緒だ。
そして、流石のスザクも疲労はピークに達しているけれど。
それでも、訊きたい事があった。
本来なら、自分達は知らなくていいと、云われておしまいになってしまうとは思うけれど。
それでも、その為に運命を変えてしまった存在がいる。
確かに、父親は自分達の事を守ろうとして…の事だったのかもしれないけれど。
身近な人間にまで、こんな形で影響が出てしまっていては、『知らなかった』では済まない様な気がする。
「スザク…良かった…。シュナイゼルさんから連絡は頂いていたんだけれど…」
母親がそんな風にスザクに駆け寄って来て、スザクのその存在を確かめる様に抱きしめている。
既に、母親よりもスザクの方が、身長が高くなって久しいけれど。
今の、スザクを抱きしめている母親は、更に小さく見える。
それでも、スザクとしては、自分の家の事を知りたいと思う。
家族に心配をかけた事は確かに、申し訳なかったとは思うけれど。
それでも、それ以前に、自分の家の問題で、ルルーシュやその異父兄であるゼロにまで影響が及んだ事を考えれば、ただ、『ごめん』で済ませていい話には思えないからだ。
「ねぇ、母さん、教えて欲しい事が…あるんだ…」
スザクは低い声で、その一言を音にした。
スザクの中で何も知らない、そんな状態で他の者達が知っている。
そんな事が罷り通っている事の方が絶対におかしいのだから…
「なぁに?スザク…」
まだ、涙ぐんだ状態で、母親がスザクに尋ねて来た。
こんな風に自分の無事を見て泣いてくれている母には悪いとは思うのだけれど。
それでも、偶然だったとはいえ、こんな形で、中途半端に知った真実を、完璧なパズルとして組み上げて、自分の中できちんと整理したかった。
否、しなければならなかった。
そうしなければ、ルルーシュには勿論、ゼロに対しても申し訳ないし、この先、この家に関わる者全て、そう云った危険をはらんでいる事となってしまうのは、スザクとしては許せない事だ。
ここまで、こんな話にならなかった事の方が奇跡だと思える程だ。
「桐原の家との関係を…教えて欲しいんだけど…。俺、自分で知らない事ばかりだった。俺の知らない事ばかりだったのに、その所為で、ルルーシュはあんな目に遭ったんだ。そして…」
スザクが静かに、低い声で、母親に告げる。
スザクの中でとにかく憤りを隠せない、否、憤りではなく、本当の怒りと云った感じだ。
「ス…スザク…」
母親の表情が変わった事が解る。
この母親の表情で、母親も全てを知っている事が解った。
「母さん、教えてくれないかな?どうして、ルルーシュがあんな目に遭わなければならなかったのか、きちんと知りたいんだ…」
もう一度、念を押す様にスザクは母親に尋ねる。
そのスザクの表情に…スザクの母親も驚きを隠せなかったようだけれど。
ただ、今のスザクの言葉で、今回の事が、何から発せられたものかを悟って、母親がこくりと唾を飲み込んだのが解った。
「解ったわ…。確かに、貴方が知らない…と云うのは、問題ね。」

 表情は辛そうに見える。
恐らく、母親自身も多少なりと関わっていたのだろう。
「大体、時々、桐原の家には俺もロロも行っていた。何故、そうやって、会う事が出来ていたのか…俺はそれを知りたい。何れ、俺は、父さんの尻拭いをさせられていたかもしれないと云う事?」
大まかな話ししか知らないけれど。
それに、ゼロがもし、桐原の云う通りにしていたなら、今回の事件は起きなかったのだから。
尤も、単なる予想だけれど、確信できる事もある。
―――もし、父さんが今の環境に身を置かなければ、俺は、別の形でルルーシュと出会っていたかもしれないな…。多分、ここまでの気持ちを抱くことは…なかったのか?俺は…
そんな可能性を考えた時、なんだか、複雑な気持ちがした。
ルルーシュの事は小さい頃から知っていた。
そして、色々他のところを見てしまっていた事もあったけれど、結局、スザクの気持ちは彼女に戻ってきたのだ。
「尻拭いだなんて…それは違うわ。スザクのお父さんはね、どうしても耐えられない事があったの。あの中で…。勿論、枢木家から勘当された。でも、困った事に、枢木家にはお父さんしか跡取りがいなくてね…」
母の話しは…多分、ここまでで知った事実と被っている。
確かに、ルルーシュの異父兄であるゼロがその空気の中育って来て、あのような形でしか、ルルーシュに接する事が出来ない程、余裕がない状態だった。
スザクの父は決して無能な人間ではないけれど、ゼロを見ていて、耐えられない物が出てきてもおかしくはないと云う事は解る。
「結局、お父さんは折れる事はしなかった。あの時、守りたいものがあったの。その為に、『キョウト六家』の息のかかった者の手で、どこかの赤ちゃんが攫われてしまったと云う噂を聞いたわ。正直、お母さんも…本当に悩んだわ…」
母がウソを云っている様には見えないけれど。
それでも、それを背負わされてしまった無関係の人間の事を何も考えていない話しに聞こえる。
青臭い正義感だと云われればその通りかもしれない。
それでも、その為にスザクの守りたいと思った存在が傷ついたのだ。
危険な目に遭ったのだ。
その事を許す訳にはいかないのだ。
「それでもね、貴方が出来た時、貴方にどれほど恨まれても、軽蔑されても、お父さんもお母さんも、守ろうと決めたの。勝手だとは分かっているわ。お父さんがあの場所から飛び出して、間もなく、私達は結婚して…苦労の連続だった。その中でどこかの赤ちゃんが攫われた事を知ったの。本当に…辛い生活の上に、そんな犠牲者まで出て来た事に、いっそ、戻って、彼らの云う通りにしようと考えた事もあったけれど。その度に、それは出来ないと、思って来たの。そんな時に、スザク、貴方が私達の子供として、生まれて来てくれたの…」
母の言葉に、『ずるい云い方だ』と思う。
そんな大人の言葉が…何ともやるせない。
「そうやって、俺の所為にするのはやめてくれ…。少なくとも、その所為でルルーシュが攫われたんだ!怪我がなかったのは単なる偶然、そして、攫った相手が…運が良かったとしか云えない。下手をしたら、ルルーシュは、どんな目に遭わされていたのか、解らないんだぞ!もう、本当に必要な事は話してくれ…」
スザクのその言葉に、母親がその場に膝をついて泣き始めた。
そんな母を見て、
―――やっぱり、大人はずるい…
スザクはそう思っていた。

To Be Continued


あとがきに代えて



本当に久しぶりの『幼馴染シリーズ』です。
お待たせいたしました。
とりあえず、ルルーシュとスザクを家に帰して、最後の後始末です。
スザク、なんだか怒っちゃっています。
来週、どうなるかなぁ…

後、明日当たり、多分、『All Hail Lelouch!!2』の持ち込み予定を掲載致します。
イベント企画のフリーペーパーは一応、『ジノルル』っぽい話しです。
殆ど絡みなしで、互いの気持ちを一人語りしているような感じですが。
このペーパーが通販での同封ペーパーとなります。(自家通販では期間限定。書店さんで委託出来れば書店さんで初回納品分にはすべて付けます)
このペーパー、普段、和泉のスザルルを好きだと思われている方には微妙に微妙かもしれません。
スザク、ちょっと感情表現する場もなく、ルルーシュとジノが両想い設定なので…
久しぶりにかきましたよ…ジノルル…
おまけに完全両想いのジノルルは多分初めてかもしれません。
シュナルルの場合、完全両想いはリクネタで書いているんですけれど。
よろしければ、イベント当日に手に取ってやって下さい。
当然、フリーペーパーですので、ご自由にお持ち下さいね。

あと、ちょっち愚痴…
どうやら今のところ、和泉と面識あるサークルさんの中で夏コミ落ちた人がいない様です。
と云うか、この方々、どう考えても申し込めばスペースを頂いているようです。
申し込みの際のログを見たんですけれど、絶対に不備はないんですよ。
なのに…この違いって何?
それに、落ちた事無い人に『知人の中で○回申し込んでたった1回しか通った事無い人知っています』と云われたってねぇ…
まぁ、ハナからあきらめればいいのかもしれませんけれど…
どんな選別方法なんでしょ…
と云うか、ヤフオク見て泣きたくなりました。
こんなことなら、申し込み段階で身分証明書(写真付き)のコピー送って、当日、サークル入場の際、たくさんの入り口があるんだから、スペースごとに入り口決めてちゃんと代表者の身分証明書を提示してからのサークル入場にすればいいのに…
オークション出品、譲渡禁止としていたって、完全にスルー状態なのに、現状は絶対に変わらないって…
結局、そう云った事に対しての記事掲載ってプロパガンダなんですね…



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posted by 和泉綾 at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 21



 10日ぶりの我が家…
随分長い事、離れていたような気がする。
そのくらい、いろいろあったと云う事なのだけれど…
「ルルーシュぅぅぅ〜〜〜!」
玄関を開いた途端に、号泣状態のノネットが抱きついて来たのだ。
ノネットが常にルルーシュを心配してくれていた事は良く知っていたから…
そんなノネットの頭をポンポンと叩きながら謝る。
「ごめん…ノネット…心配かけて…」
ずっと連絡はとれずにいたし、正直、これだけ自分の中でも整理しきれない事が重なってしまうと、何から話していいのか、正直困ってしまうのだ。
「お姉さま…」
少し遠慮がちにその後ろからナナリーが声をかけて来た。
「ナナリー…心配かけて…ごめん…。私は大丈夫だ。それより、ナナリーは大丈夫だったか?私のいない間にまた、具合悪いなんて事は…」
相変わらずなルルーシュに、ナナリーが笑ってしまうし、ノネットもルルーシュに抱きついていたものの、ルルーシュの手によってルルーシュの身体から引きはがされた。
「お姉さま…私は手術を受けて、元気になったのですよ?そりゃ、心配はしましたけれど…でも、スザクさんが御一緒と聞いたので、それほど心配はしていませんでした…」
ナナリーはそう云ってにこりと笑った。
その笑顔の奥に、少しだけ、何かが隠されている…そんな風に思えたけれど…
「そんなことより!お姉さま…お姉さまこそ…なんだかとても顔色が悪い様に見えますけれど?」
いつも、ナナリーの心配はしていても、自分の心配を基本的にしないルルーシュ…
それ故に、ナナリーは自分が元気になってからと云うもの、ルルーシュが少しでも具合悪い兆候を見せた時には必ず、的確に指摘して来る。
そんなナナリーの言葉を聞いて、今度はノネットがルルーシュの方をじっと見ている。
「本当だ…なんだか、目が赤いし…ちゃんと眠れていたのか?それに、さっき抱きついた時、また、身体中が骨ばってきた様な…」
聞き方によっては凄く失礼な云い回しにも聞こえない訳でもないが…
それでも、ノネット自身、ルルーシュの事が心配で堪らないと云うのは本当で…
実際問題、ルルーシュはゼロに捕まっていた時、色々考え込んでしまい、そして、答えのだない自問自答を繰り返していたのは本当だ。
スザクが強引に寝かしつけて、ルルーシュが寝息を立てるようになるまで絶対に離れなかったけれど…
そうしている時間が異様に長かった気がする。
だからこそ、スザクと、本当に久しぶりにたくさん話した気がした。
とにかく、何もない状態で、外との連絡も取れず、みんなが心配しているだろう事が頭をぐるぐる回っていた。
そして、突然告げられた異父兄の存在…
―――そうだ…ゼロの事…
ルルーシュはあの時の事を思い出しているうちに、ゼロの事をナナリーに対して云うべきか、どうか、そして、云うにしても、どんな説明をすればいいのか…
ナナリーだってルルーシュの妹であり、ゼロの異父妹なのだ。
このまま黙っていていい話しでもない気がするし、かといって、本人がいないところでその説明をするのも中々難しい様な気がする。
それに、ランペルージ家の事もある。
―――どうしたら…

 また、色々考え込み始めてしまったルルーシュに気が付いた二人。
「お姉さま、今はちゃんとお休みになって下さい。お風呂も沸いていますし、少し、おかしなことを考えるのはやめましょう!」
「そうだ!ルルーシュ、私、ルルーシュがいない間に結構料理とかできるようになったぞ!ちゃんと成果を見せたいんだ!」
ナナリーがルルーシュにぴしゃりと云うと、ノネットが便乗してきた。
知らない間に、二人とも凄く息が合う仲となったらしい…
「二人とも、あの…」
ルルーシュが何か、云いたいのだけれど、何も言葉が出て来なくて。
そして、ルルーシュの中でさらなる混乱が始まった。
―――これは、どうしたら…
ここまで、ずっと緊張状態で、こんな空気に触れるのが非常に久しぶりに思えて。
だから、あの緊張状態からのギアチェンジがうまく出来ない状態なのかもしれない。
素直に、ルルーシュが困ってしまっている。
そして、そのルルーシュの雰囲気はしっかりと二人には伝わっていて…
「ルルーシュ、とにかく、今は休む事を考えろよ。ジノさんの事とかも、カノンに送って来て貰ったってことは知っているんだろ?」
ノネットの言葉で、またも、驚いたその、真実を思い出した。
思い出したところで、既にルルーシュの手の届かない場所に話しが云ってしまっているのだから。
「うん…。私も、あの記者会見、驚いた…」
ルルーシュは少し小さな声でそう云った。
そのルルーシュの言葉は、二人にちゃんと伝わっているのかどうか、正直、ルルーシュの中で少々不安の残る程の小さな声だったけれど。
それでも、ルルーシュに対して人一倍敏感に反応するナナリーがいて、ノネットもその鋭さは半端なものではない。
「大丈夫ですよ。シュナイゼル義兄さま、ちゃんとジノさんと仲直りされたみたいですし、それに、今回のお話し、カレンさんもいろいろ動いていたようですよ?」
ナナリーの言葉は更にサプライズだ。
本当に、ここに来て驚く事ばかりだ。
何故、ここまで自分の予想外の事ばかりが起きているのか…そんな事を思ってしまう程、サプライズな事ばかりだ。
そろそろ、ルルーシュ自身、自分のキャパシティを超えて来そうな予感がする。
「カレン…が…?」
驚きを全く隠そうとしていない…と云うよりも、隠せていないルルーシュの様子に、二人がクスッと笑ってしまった。
決してバカにしているわけではなく、それは、普段見た事のないルルーシュの顔に、少し驚いて、そして、そんなルルーシュの、普段、見せる事のないその表情に嬉しくなった…と云う感じなのだけれど。
「ああ、なんか、ずっとカレン、ユーフェミアの店に通っていたみたいでさぁ…。今回の、この記者会見の話しに関しては、シュナイゼルさんも色々考えてはいたみたいなんだ。あのシュナイゼルさんの事だから、友達だからとか、そう云う事じゃないと思うけどさ。」
「それで、その話が持ち上がって、ある程度話が煮詰まった時に、お姉さまの誘拐劇があったんです。元々、あの記者会見の日に、色んな発表がある事が決まっていたそうですね…。シュナイゼル義兄さまが云っていました…」

 その話しを聞いて、どこまでも自分の義兄と呼ぶ人のその実行力、判断力には感服する。
極端な話し、あの、誘拐劇もシュナイゼルの中では漠然と予想していたのではないかと云う疑念まで生まれて来る。
「でも、カレンが…その、ジノと?」
「はっきりした事は解らないけれど、ルルーシュが攫われてから、ずっと、一緒にいたのは知っている。なぁんか、色々考えていたみたいだな。お互いに、なんだか、云い仕事仲間と云うか、ライバル…って感じで話しをしていたよ。」
何となく、ルルーシュの頭の中では想像が出来ない、そんなカップリングだけれど。
でも、それなら…と、そこまで考えた時、
「ああ、お姉さま、多分、お姉さまの考えているような関係じゃないと思いますよ?あのお二人、楽しそうですけれど、会話がなんだか、男の人同士みたいな会話でしたもの。」
まるで、ルルーシュの思考をそのまま読んでいるような、そんなナナリーに少しだけ、ルルーシュは恐ろしさを感じる。
恐らく、
―――私は、ナナリーには隠しごとが出来なければ、ウソも吐けないな…多分…
ニコニコ笑いながらルルーシュに話しているナナリーに、思わずそんな事を思ってしまった。
でも、ナナリーがこうして笑っている、楽しそうに話している事に、ルルーシュは心底ほっとする。
ルルーシュがナナリーに対して異常とも思えるほど過保護にしているのと比例してナナリーもルルーシュに対して、特別な感情が強い。
それほど、この姉妹は、二人密着した生活をして来たのだ。
ルルーシュが日本に帰って来て、ナナリーが自分の世界を作り始めた時の、あの、ルルーシュの落ち込みようを思い出した時、少しだけ、ノネットは不安を抱く。
あの時、ナナリーが元気になって、自分で出来る事が増えて、出かける事が増えて来た…。
そして、日本に帰ってくれば、いろいろ変わった事が多過ぎて、ついて行けず、ルルーシュが戸惑っていた。
そんな姿を知っているから、こうして、たった10日間だけとはいえ、ルルーシュが離れていた事で、ルルーシュの周囲が変化してしまった事に、また、ルルーシュが戸惑ってしまったら…
ノネットはそんな心配をして見るけれど、あの時は『3年ぶりの日本』と云う事もあったと云う事をノネット自身が気づいていない。
ルルーシュだって、普通の状態であれば、あれほど狼狽する事もなかったとは思われるが。
でも、ノネットとしては、ブリタニアで、一緒にいたルルーシュのイメージばかりが先行してしまって、妙な心配をしているわけだけれど。
「心配かけて、御免。少し休んで、落ち着いたら、ちゃんと、話すよ。色々、ナナリーやノネットには話さなくちゃいけないと思うし…」
ルルーシュはそう静かに云って、自分の部屋の中へと入って行った。
ルルーシュが帰って来ると云う事で、色々な者を準備していたのに…
そんな思いは、一瞬で消える。
ルルーシュの歩き方が、なんだか凄く疲れていて、今にも倒れてしまいそうなほど、ふらふらだったからだ。
きっと、誘拐されていた間、肉体的には当然、精神的にも相当追い詰められていたのかもしれないと思う。
考えてみれば、それが当たり前だ。
静かにルルーシュの後姿を見送って、ノネットもナナリーも自室へと引っ込んだのだった。

 10日ぶりに帰ってきた…という点ではスザクも一緒だ。
そして、流石のスザクも疲労はピークに達しているけれど。
それでも、訊きたい事があった。
本来なら、自分達は知らなくていいと、云われておしまいになってしまうとは思うけれど。
それでも、その為に運命を変えてしまった存在がいる。
確かに、父親は自分達の事を守ろうとして…の事だったのかもしれないけれど。
身近な人間にまで、こんな形で影響が出てしまっていては、『知らなかった』では済まない様な気がする。
「スザク…良かった…。シュナイゼルさんから連絡は頂いていたんだけれど…」
母親がそんな風にスザクに駆け寄って来て、スザクのその存在を確かめる様に抱きしめている。
既に、母親よりもスザクの方が、身長が高くなって久しいけれど。
今の、スザクを抱きしめている母親は、更に小さく見える。
それでも、スザクとしては、自分の家の事を知りたいと思う。
家族に心配をかけた事は確かに、申し訳なかったとは思うけれど。
それでも、それ以前に、自分の家の問題で、ルルーシュやその異父兄であるゼロにまで影響が及んだ事を考えれば、ただ、『ごめん』で済ませていい話には思えないからだ。
「ねぇ、母さん、教えて欲しい事が…あるんだ…」
スザクは低い声で、その一言を音にした。
スザクの中で何も知らない、そんな状態で他の者達が知っている。
そんな事が罷り通っている事の方が絶対におかしいのだから…
「なぁに?スザク…」
まだ、涙ぐんだ状態で、母親がスザクに尋ねて来た。
こんな風に自分の無事を見て泣いてくれている母には悪いとは思うのだけれど。
それでも、偶然だったとはいえ、こんな形で、中途半端に知った真実を、完璧なパズルとして組み上げて、自分の中できちんと整理したかった。
否、しなければならなかった。
そうしなければ、ルルーシュには勿論、ゼロに対しても申し訳ないし、この先、この家に関わる者全て、そう云った危険をはらんでいる事となってしまうのは、スザクとしては許せない事だ。
ここまで、こんな話にならなかった事の方が奇跡だと思える程だ。
「桐原の家との関係を…教えて欲しいんだけど…。俺、自分で知らない事ばかりだった。俺の知らない事ばかりだったのに、その所為で、ルルーシュはあんな目に遭ったんだ。そして…」
スザクが静かに、低い声で、母親に告げる。
スザクの中でとにかく憤りを隠せない、否、憤りではなく、本当の怒りと云った感じだ。
「ス…スザク…」
母親の表情が変わった事が解る。
この母親の表情で、母親も全てを知っている事が解った。
「母さん、教えてくれないかな?どうして、ルルーシュがあんな目に遭わなければならなかったのか、きちんと知りたいんだ…」
もう一度、念を押す様にスザクは母親に尋ねる。
そのスザクの表情に…スザクの母親も驚きを隠せなかったようだけれど。
ただ、今のスザクの言葉で、今回の事が、何から発せられたものかを悟って、母親がこくりと唾を飲み込んだのが解った。
「解ったわ…。確かに、貴方が知らない…と云うのは、問題ね。」

 表情は辛そうに見える。
恐らく、母親自身も多少なりと関わっていたのだろう。
「大体、時々、桐原の家には俺もロロも行っていた。何故、そうやって、会う事が出来ていたのか…俺はそれを知りたい。何れ、俺は、父さんの尻拭いをさせられていたかもしれないと云う事?」
大まかな話ししか知らないけれど。
それに、ゼロがもし、桐原の云う通りにしていたなら、今回の事件は起きなかったのだから。
尤も、単なる予想だけれど、確信できる事もある。
―――もし、父さんが今の環境に身を置かなければ、俺は、別の形でルルーシュと出会っていたかもしれないな…。多分、ここまでの気持ちを抱くことは…なかったのか?俺は…
そんな可能性を考えた時、なんだか、複雑な気持ちがした。
ルルーシュの事は小さい頃から知っていた。
そして、色々他のところを見てしまっていた事もあったけれど、結局、スザクの気持ちは彼女に戻ってきたのだ。
「尻拭いだなんて…それは違うわ。スザクのお父さんはね、どうしても耐えられない事があったの。あの中で…。勿論、枢木家から勘当された。でも、困った事に、枢木家にはお父さんしか跡取りがいなくてね…」
母の話しは…多分、ここまでで知った事実と被っている。
確かに、ルルーシュの異父兄であるゼロがその空気の中育って来て、あのような形でしか、ルルーシュに接する事が出来ない程、余裕がない状態だった。
スザクの父は決して無能な人間ではないけれど、ゼロを見ていて、耐えられない物が出てきてもおかしくはないと云う事は解る。
「結局、お父さんは折れる事はしなかった。あの時、守りたいものがあったの。その為に、『キョウト六家』の息のかかった者の手で、どこかの赤ちゃんが攫われてしまったと云う噂を聞いたわ。正直、お母さんも…本当に悩んだわ…」
母がウソを云っている様には見えないけれど。
それでも、それを背負わされてしまった無関係の人間の事を何も考えていない話しに聞こえる。
青臭い正義感だと云われればその通りかもしれない。
それでも、その為にスザクの守りたいと思った存在が傷ついたのだ。
危険な目に遭ったのだ。
その事を許す訳にはいかないのだ。
「それでもね、貴方が出来た時、貴方にどれほど恨まれても、軽蔑されても、お父さんもお母さんも、守ろうと決めたの。勝手だとは分かっているわ。お父さんがあの場所から飛び出して、間もなく、私達は結婚して…苦労の連続だった。その中でどこかの赤ちゃんが攫われた事を知ったの。本当に…辛い生活の上に、そんな犠牲者まで出て来た事に、いっそ、戻って、彼らの云う通りにしようと考えた事もあったけれど。その度に、それは出来ないと、思って来たの。そんな時に、スザク、貴方が私達の子供として、生まれて来てくれたの…」
母の言葉に、『ずるい云い方だ』と思う。
そんな大人の言葉が…何ともやるせない。
「そうやって、俺の所為にするのはやめてくれ…。少なくとも、その所為でルルーシュが攫われたんだ!怪我がなかったのは単なる偶然、そして、攫った相手が…運が良かったとしか云えない。下手をしたら、ルルーシュは、どんな目に遭わされていたのか、解らないんだぞ!もう、本当に必要な事は話してくれ…」
スザクのその言葉に、母親がその場に膝をついて泣き始めた。
そんな母を見て、
―――やっぱり、大人はずるい…
スザクはそう思っていた。

To Be Continued


あとがきに代えて



本当に久しぶりの『幼馴染シリーズ』です。
お待たせいたしました。
とりあえず、ルルーシュとスザクを家に帰して、最後の後始末です。
スザク、なんだか怒っちゃっています。
来週、どうなるかなぁ…

後、明日当たり、多分、『All Hail Lelouch!!2』の持ち込み予定を掲載致します。
イベント企画のフリーペーパーは一応、『ジノルル』っぽい話しです。
殆ど絡みなしで、互いの気持ちを一人語りしているような感じですが。
このペーパーが通販での同封ペーパーとなります。(自家通販では期間限定。書店さんで委託出来れば書店さんで初回納品分にはすべて付けます)
このペーパー、普段、和泉のスザルルを好きだと思われている方には微妙に微妙かもしれません。
スザク、ちょっと感情表現する場もなく、ルルーシュとジノが両想い設定なので…
久しぶりにかきましたよ…ジノルル…
おまけに完全両想いのジノルルは多分初めてかもしれません。
シュナルルの場合、完全両想いはリクネタで書いているんですけれど。
よろしければ、イベント当日に手に取ってやって下さい。
当然、フリーペーパーですので、ご自由にお持ち下さいね。

あと、ちょっち愚痴…
どうやら今のところ、和泉と面識あるサークルさんの中で夏コミ落ちた人がいない様です。
と云うか、この方々、どう考えても申し込めばスペースを頂いているようです。
申し込みの際のログを見たんですけれど、絶対に不備はないんですよ。
なのに…この違いって何?
それに、落ちた事無い人に『知人の中で○回申し込んでたった1回しか通った事無い人知っています』と云われたってねぇ…
まぁ、ハナからあきらめればいいのかもしれませんけれど…
どんな選別方法なんでしょ…
と云うか、ヤフオク見て泣きたくなりました。
こんなことなら、申し込み段階で身分証明書(写真付き)のコピー送って、当日、サークル入場の際、たくさんの入り口があるんだから、スペースごとに入り口決めてちゃんと代表者の身分証明書を提示してからのサークル入場にすればいいのに…
オークション出品、譲渡禁止としていたって、完全にスルー状態なのに、現状は絶対に変わらないって…
結局、そう云った事に対しての記事掲載ってプロパガンダなんですね…



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posted by 和泉綾 at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年05月16日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 20



 シュナイゼルの言葉に…
その場が完全に固まった。
更に、テレビに映っているその存在を見て…
「ジ…ノ…」
ルルーシュが呆然としたように、その人物の名前を口にした。
一体…何の悪戯なのか…
そんな風に思えるほど…
いろいろあり過ぎて頭の中で整理できていない…
そんな感じだ。
「異母兄さん!これは…」
「そうだ…。彼が、ランペルージグループの管轄下に入ったヴァインベルググループの代表だ。これから、彼らの働き次第で、ランペルージグループにとって重要なポジションになって来る…」
「これは…このままではルルーシュを返す訳にはいか…」
「ゼロ…もういいんだ…。さっきから云っているだろう?君は赤ん坊の頃に攫われて、そして、彼らに利用された。でも、君はランペルージグループに入って、僕のところに来てくれたじゃないか…。辛ければ…僕のところに戻ってくればいい…」
ゼロの言葉を遮り、シュナイゼルがゼロに近付いて行く…
その言葉が終わった時に…ゼロを抱きしめた。
「は…放せ!」
「おかえり…ゼロ…」
シュナイゼルの腕の中でもがいているが、そこから抜け出すことが出来ずに、ゼロが暴れているけれど…
シュナイゼル自身、ゼロがその気になってここから抜け出そうと思えば、確実に抜け出せる事を知っている。
だから、ゼロの言葉を完全に無視してそう一言告げて、ゼロを放そうとしない…
「これは…どう云う…」
状況の解っていないルルーシュが驚きながらそう一言零した。
そして、カノンが前に進み出た。
「ルルーシュ嬢…シュナイゼル様はあなたの事を女性として愛していらした事は本当よ。きっと…今でもね…」
ルルーシュが気にしていたこと…
「じゃあ…義兄さまは…」
「まぁ、それがまったくなかったとは云わないわ…。でも、日本支社の支社長就任は…あなたに対しての思いと…そして、あの、ゼロ様への思いがあったのよ…。あなたが一人で思い悩む事はないわ…」
カノンが二人の姿を見ながら説明した。
ルルーシュもスザクも同じ歳の筈なのに…
まるで年上の人間に諭されているような気分になる。
「あと、スザク…貴方がゼロ様の誘拐劇に関して責任を感じる必要はないわ…。あくまでも、あれは大人の事情だから…。大体、あなたのお父様がどうしてそのような形を取らざるを得なければならなかったのか…事情が解らなくても、少し考えれば簡単な事よ?ゼロ様を見ていれば…解るでしょう?」
カノンの言葉に…
スザクも納得できてしまった。
確かに…ここで、そんな風に納得してしまうのは…ゼロに対して申し訳ない気もするのだけれど…
でも、何故、父がそこから逃げ出したのか…
今では時々、桐原に会いに行くことはあっても、それは、あくまで外部者として…だった。
しかも…秘密裏に…
「父さんが何をしたかは知らないけれど…母さんの方は、もう、関わる気はないみたいだったな…。父さん自身、その話しをしてくれたことはなかったし…」
「まぁ、話したくはないでしょうね…。知れば、確実に巻き込まれることになりますし…。と云うか、あなたがどこまでご存じなのかは知りませんけれど…結局巻き込まれてしまいましたね…」

 カノンが苦笑しながらそう呟いた。
「カノンはどこまで知っているんだ?俺が知らない俺のうちの事…」
「まぁ、スザクより、少し知っている程度…かしらね…」
どこまでも性格が悪いと思えてしまう。
それでも、あのミレイさえも彼を認めているのだから、有能であり、優秀であることは確かだろう。
「カノン…ゼロが義兄さまの元に戻れば…ゼロは…どこで暮らす?」
ルルーシュが尋ねる。
ルルーシュの中でも短い間にいろいろあったとは云え…
さっき云われた、『俺があの時、攫われていなかったら…ルルーシュもナナリーも生まれてはいなかった…』と云う言葉…
あれは多分、本当なのだろうと思う。
その間に何があったのかは知らないけれど…
でも、ルルーシュの前ではいつも飄々としていたゼロが…これほどまでに取り乱しているのだ。
気にならない筈がない。
「そうね…どうなるのかしら…。そこまでは私にも…」
カノンはそう答える。
今知っていたって、カノンが云ってはいけないと判断した時には決して話さないだろう事は解っているけれど…
「ルルーシュ嬢…本当に彼って…あなたにそっくりね…」
「え?」
カノンの言葉にルルーシュが驚き、カノンが苦笑する。
尤も、そんな事を云われたところで、本人達が気づいているわけもない。
「スザク…あなたは気にしなくていいわ…。シュナイゼル様がちゃんとやって下さっているし…。ただ、彼女の事に関してはきっと、まだまだもめると思うわよ?」
カノンがくすりと笑いながらそう告げた。
確かに…
中々複雑そうだ。
そんな風にスザクは思うのだけれど…
―――元々、そんなに簡単に行くとは思っちゃいなかったけれど…そこにゼロまで加わるのか…。ルルーシュって、なんでこんなに鈍感で無自覚なんだ?
心の中で誰にも尋ねる事の出来ない疑問を抱える事になった。
「カノン…お前、やっぱり性格悪いな…」
スザクがぼそりと呟く。
「褒め言葉として受け取っておくわ…。これから先、あの方に仕えて行こうと思った時、優しい心を持っていたら何もできないもの…」
そのスザクの呟きにカノンが不敵に笑って答えた。
正直、この主従…二人揃って、二人で刺激し合いながら性格が悪くなって行ったのではないかと思う。
ミレイの比ではない…
こう云う時にミレイの名前が出て来る辺りは、余程生徒会での活動が苛酷であったのだろうと、推察される。
「出来ることなら…高校の時の生徒会メンバーだった…って事で終わりにして欲しいものだね…」
「あら…気が合うわね…。私もよ…」
「で、あのジジィどもの始末は?」
「ここまで発表した段階で、ゼロ様はあそこには戻れないわ…。だから…ゼロ様はシュナイゼル様の元にいるしかない。あの、ゼロ様にいつもくっついていた男の子が一緒に来てくれて助かったって…シュナイゼル様が云っていたでしょう?」
そう云いながら笑うカノンに…
スザクは複雑な笑みを見せる。
多分、ルルーシュ達と関わっている限り、絶対にそれだけで済むわけがない…
そんな風に思う。
カノンがしっかりとシュナイゼルのルルーシュへの気持ちを暴露してしまっているのだから…
―――でも、あんな好き放題云っていて…アイツ…大丈夫なのか?
そんな素朴な疑問を抱くけれど…
それでも、スザクにはそれよりも優先順位の高いものがある…

 シュナイゼルとゼロの姿を見ていると、本当に不器用な連中だと思ってしまう。
「とりあえず、異母兄弟の感動の再会だから…私たちはちょっと席を外しましょ…」
カノンはそう云って、ルルーシュとスザクを部屋の外に促して行く。
ルルーシュも、少し複雑な気分だったけれど、素直にカノンの言葉に従った。
部屋の外に出ると…
「マオ様…ね?ゼロ様と一緒にいた…」
カノンが声をかける。
するとカノンに声をかけられた人物が少し驚いた顔を見せた。
「あんた…最初からそのつもりで?」
「一応ね…。でも、これからの方が大変だと思うけれどね…シュナイゼル様にとっては…」
マオに質問されて、カノンが答える。
ルルーシュもスザクもマオの事はずっと見て来たから…
それに、ゼロの傍にいてずっと、苦労しているだろうなぁ…と云う印象の強い人物だったけれど…
「ルルーシュちゃん…いろいろごめんね?ゼロもようやく落ち着いたみたいだし…。いつか…今すぐでなくていいから…ちゃんと、ゼロを異父兄として…認めてくれる?ゼロさ…あるパーティーの時に初めて君を見て、一目ぼれだったんだから…」
マオが懐かしそうに口にした。
「え?だって…」
「うん…変な意味じゃなくってさ…。あ、変な意味もあるか…。ゼロがなんでナナリーちゃんじゃなくて、ルルーシュちゃんを選んだか…解る?絶対にルルーシュちゃんの方が色んな意味ではねっ返りだから、大変だと思っていたんだけどね…僕は…」
マオが少し肩の荷が下りた…そんな表情で話している。
カノンもそのマオの言葉に納得できる…そんな表情をしているのだ。
「僕がそう云った時に…ゼロが云ったんだ…。『ナナリーを攫ったら…本格的にルルーシュに嫌われるだろう?』って…。ホント、素直じゃないからね…ゼロは…」
マオがくすくす笑いながらそんな事を云った。
「でも…今回の事は…」
スザクがずっと抱いていた疑問…
「そう…ゼロがルルーシュちゃんを守る為にやったこと…。それに、ナナリーちゃんをさらった時と、ルルーシュちゃんをさらった時…シュナイゼルの動き方が確実に変わる事も計算していたと思うけどね。流石にシュナイゼルに動かれたら、長老たちも安易に動けなくなるから…。だから、ゼロがあんな事して…焦ったと思うよ…長老たちも…」
ため息を吐きながら世話の焼ける弟の話しをしているような雰囲気でマオが話している。
「マオ様も…私と同じなのね…」
「まぁね…。僕の場合、貴方とはちょっと違うと思うけど…。僕、天涯孤独だから…。ゼロがいなければその辺のチンピラやってたと思うよ…」
あっけらかんとマオがそんな事を話している。
そこで…ルルーシュがまた表情を変えるけれど…
「やっぱり…彼らなのか?その原因を作ったのは…」
スザクが何か気にしているかの様な雰囲気でマオに尋ねる。
でも、マオの方はそんなに気にするほどの事ではないと云う感じだ。
「違うよ…。僕は…ホントに捨て子…。そんな僕を…ゼロが…我儘云って連れて帰ってくれたんだ…」

 マオの話にルルーシュはゼロが…何故マオを連れて帰ったのか…解る気がした。
先ほどのゼロの話しが…
どこまで本心なのかは解らない。
けれども、あの中には確実にゼロの本心が含まれている。
でなければ、ゼロがあんな風に取り乱す訳がないと思うから…
「そう…か…悪い事を聞いたな…」
「全然!と云うか、僕とゼロが初めて会った時、僕、まだ7歳くらいだったんだけど…すっごく嬉しくってさぁ…。と云うか、あの時の事はすっごい幸せだって、胸を張って云えるし…。それに、僕はどこだっていいんだ…。ゼロと一緒にいられるなら…」
明るく喋るマオの言葉に…ウソはない…そう思えた。
「あの…あなたは…ゼロを…」
「好きだよ…。まぁ、『好き』にもいろんな種類があるでしょ?僕はゼロが好きだから、君を苛めているゼロを諌めた。後でゼロが辛くなっちゃうから…。ゼロはね…僕にとって、一生かかっても返しきれないほどたくさんのものをくれた…恩人なんだ…。ゼロはどう思っているか知らないけど…」
マオが少しだけ切ないような色の瞳で笑った。
「まぁ、それは私も変わらないけれど…。シュナイゼル様もいろいろ鈍感だしね…」
「ああ…解る…。あの二人…やっぱり、血縁だよねぇ…。でもって、好みのタイプも一緒…。これから、毎日花火大会かもね…」
「ちゃんと仕事して下さると助かるんですけれどね…。今回の事で相当準備に時間を割いてくれたから…後、大変よ…」
「だったら、ゼロ使えばいいじゃない…。今頃、シュナイゼルにうまく言いくるめられているころじゃないの?きっと、記者会見見ながらさ…」
二人の会話に…
着いて行けていないのが約二名…
「あの…結局ジノは…?」
ルルーシュがおずおずと尋ねた。
ヴァインベルグ家の事に関しては…いろいろあったから…
ルルーシュも気になるところだ。
「大丈夫よ…。ジノさまをバックアップすると決めたのはシュナイゼル様だから…」
「でも…その…義兄さまと…ジノは…」
「まぁ、お互いに色々思うところはあるみたいだけれどね…。でも、そんな事を一々構っていられる程シュナイゼル様も暇なわけじゃないわ…。それに、『キョウト六家』の事があって、貴女の傍にスザクがいたからね…。その事に関してはちゃんを目を光らせていたのよ…」
カノンの言葉に唖然としてしまう。
確かに、あの日本支社でルルーシュが自分の名前を名乗って大騒ぎしたのは、シュナイゼルの中でも計算違いだったかもしれない。
それが、どれだけ危険なことであるか…
あの時のバタバタを考えれば、至極簡単に解る図式だ。
「じゃあ…私が名乗ってしまったことは…」
「あれは計算外…。ただ、ゼロ様にとって、あの騒ぎに乗じて貴方をさらったのは事実だけれどね…。ホント、不器用な異母兄弟よ…」
カノンが苦笑してそんな事を云っている。
実際に苦労hが多そうだ。
「ただ…あの時にルルーシュを狙っていたのは…ゼロだけじゃなくて…」
「そうよ…。と云うか、それが解っていたからゼロ様はあんな強硬手段に出たのよ…。あからさまにばればれのね…。もしかしたらあなたが一緒に乗り込んで行ったことは知っていたかもしれないわね…」

 部屋の中では…
「いい加減…放して下さい…異母兄さん…」
「君が逃げないと云うなら…。もう、あちらに戻らず、ここにいてくれると云うなら放してあげよう…」
「誰が逃げていると!」
今のシュナイゼルの一言にカチンと来たゼロがバタバタと暴れ始めた。
シュナイゼルはそんなゼロを見て、『やれやれ』と云った感じで放してやった。
「君をこちらに連れ戻すのに、時間がかかってしまって…申し訳なかったね…」
「別に…俺は…」
「何れ、父とマリアンヌさんに会わせよう…。きっと二人も喜ぶ…」
「他の人たちは喜ばないと思いますが?」
確かに…ランペルージグループ内にまた一人、ゼロの様な存在がいることがばれればまた、騒ぎになるだろう。
「そんな事を気にするとは思えないけれどね…君が…」
クスリと笑いながらシュナイゼルが云った。
確かに…ゼロが『キョウト六家』に囚われていた頃は…見るものすべてが魑魅魍魎に見えていたのだから…
「まぁ、あなたがいる限り、ランペルージ家の次期党首はあなただけでしょう?俺はここでは、あなたの補佐役でしかあり得ない…」
「だから、ヴァインベルグを欲しいと思ったのかい?」
「別に…」
「後…君が気にしている彼女に関しては…いずれ、先方と会談する事になるだろう…。その時に話し合ってみよう…」
「でも、彼女がいなければ…」
ゼロがシュナイゼルが誰の事を刺しているのかを察して、慌てたように言葉を放った。
「あのグループも枢木家の離脱から崩壊が始まっている。彼女が優秀であることは私も承知している。必要なら君がヘッドハンティングしてくればいい…」
「俺は…別に…」
「恩義が…あるのだろう?彼女に…」
「恩はありますが…それ以上の事は何もないですよ?俺がヘッドハンティングして、相手の名前を慮って婚約だの何だのと云う話しは困りますよ?」
「そんな、前時代的な事はするつもりはないよ…。それに、君の婚約者にしたら…彼女の方が気の毒だ…」
シュナイゼルがくすくす笑いながら云う。
するとゼロも…
「確かに…」
「二人とも…同じ存在を守ろうとしているのだからね…」
「それでも何れ、あなたは一族が決めた相手と結婚しなければならない…。ヴァインベルグ家の御令嬢に関してはあんな事になりましたけれど…」
「こう云った場合、そう云う事もままある話だ。僕としては、本当に…あの事添い遂げられれば…と思うけれど…それは叶わぬ願いらしいからね…」
シュナイゼルが苦笑しつつ、そんな言葉を口に出した。
そんなシュナイゼルにゼロは呆れた顔で笑った。
「それでも小姑をやるつもりなのでしょう?」
「当たり前だろう?君だって人の事を云えるのかい?」
「ふっ…確かに…」
先ほど…カノンが連れだした二人を二人が同時に思い浮かべた。
「なんで…あの子はあそこまで鈍感なんだろうね…」
「ルルーシュにとって貴方は完全に『いい義兄』のカテゴリーですからね…。俺と違って血のつながりもないのに…」
「前途…多難かな…」
「俺は塩を送るつもりはないですよ?ただ、小姑やる時は協力しますけれどね…」
「結局…僕は小姑なのか…」
複雑な笑みをもらしつつ…ため息をついたシュナイゼルだったが…
ゼロは…やっと…一番欲していたものが…手に入ったのだと…
そんなシュナイゼルをちょっと複雑な笑みを零しながら見つめていた…

To Be Continued


あとがきに代えて



昨日、『皇子とレジスタンス』を告知なしでお休みさせて頂いちゃって申し訳ありませんでした。
いろいろありまして、ちょっと書いている途中で全部消して書き直していたら…
書けなくなりまして…
多分、今週の土曜日までにはちゃんと書きあげて、掲載しようと思います。
と云うか、イベント1週間前だってのに、イベント準備に関しては超のんびりしている気がします。
まぁ、色々思うところもありまして…今日の『幼馴染シリーズ』も書いていて…
『Σ全然書けん!』
と焦っていたくらいです。
ホント、ムラのある人間なので…
因みに昨日は久しぶりに名古屋に飲みに行っていました。
まぁ、ある仲間同士で集まって飲み会をしていて…
基本的にそう云うところに顔を出すのって非常に珍しい事なんですが…
イベント関連ではご一緒出来る方もいらっしゃらないので、いつも一人で会場入りして、一人で帰って行っている状態が続いておりますが…
しかし…こんな風に書くことに対して指が動かなかったのって…どのくらい振りだろう…
大真面目にまずい!
AHL…新刊…
あと2週間で書きあげなくちゃいけないわけなのですが…
ホント、合体サークルで参加される方ってどうやってそんなお知り合いを作っていらっしゃるのか…
元々、引きこもり族で人と接することがあまり得意ではない人間なので…
そう云うのは無理なのかな…
とりあえず、明日当たり、『ギアスターボ6』の持ち込み予定を掲載したいと思います。
と云うか…フリーペーパー…間に合うかなぁ…(;-_-) =3 フゥ


☆拍手のお返事


Rinkaさま:こんばんは、コメント有難う御座居ます。
お返事が遅れて申し訳ありません。

『Engage』
マリアンヌママ…シャルルパパがすっかり魂抜けちゃっていたので…
まぁ、本編でのマリアンヌママの衝撃が強くて、こういうときは、どうしてもああいう感じになってしまいまして…(; ̄ー ̄A アセアセ・・・
多分、ルルーシュが『M』なのは父親が『M』で母親が『S』だったからではないかと…(笑)
ルルーシュ本人はきっと、自分の事を『S』だと思っているのですが…ヘタレ描写が多すぎて、周囲からは完全『M』扱いで…しかも『S』になりきれない…
きっとそんな感じなのでしょう…

リクエスト参加、有難う御座居ました。
今回は本当にリクエストを送って下さる方が少なくって…
だから、今回の特別企画を行えるのですけれど…
特別企画に関してはリクエスト作品の掲載が全て終わった時にまた、告知させて頂きます。
大した事をする訳ではないのですが…楽しみにして頂けると幸いです。



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posted by 和泉綾 at 20:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 20



 シュナイゼルの言葉に…
その場が完全に固まった。
更に、テレビに映っているその存在を見て…
「ジ…ノ…」
ルルーシュが呆然としたように、その人物の名前を口にした。
一体…何の悪戯なのか…
そんな風に思えるほど…
いろいろあり過ぎて頭の中で整理できていない…
そんな感じだ。
「異母兄さん!これは…」
「そうだ…。彼が、ランペルージグループの管轄下に入ったヴァインベルググループの代表だ。これから、彼らの働き次第で、ランペルージグループにとって重要なポジションになって来る…」
「これは…このままではルルーシュを返す訳にはいか…」
「ゼロ…もういいんだ…。さっきから云っているだろう?君は赤ん坊の頃に攫われて、そして、彼らに利用された。でも、君はランペルージグループに入って、僕のところに来てくれたじゃないか…。辛ければ…僕のところに戻ってくればいい…」
ゼロの言葉を遮り、シュナイゼルがゼロに近付いて行く…
その言葉が終わった時に…ゼロを抱きしめた。
「は…放せ!」
「おかえり…ゼロ…」
シュナイゼルの腕の中でもがいているが、そこから抜け出すことが出来ずに、ゼロが暴れているけれど…
シュナイゼル自身、ゼロがその気になってここから抜け出そうと思えば、確実に抜け出せる事を知っている。
だから、ゼロの言葉を完全に無視してそう一言告げて、ゼロを放そうとしない…
「これは…どう云う…」
状況の解っていないルルーシュが驚きながらそう一言零した。
そして、カノンが前に進み出た。
「ルルーシュ嬢…シュナイゼル様はあなたの事を女性として愛していらした事は本当よ。きっと…今でもね…」
ルルーシュが気にしていたこと…
「じゃあ…義兄さまは…」
「まぁ、それがまったくなかったとは云わないわ…。でも、日本支社の支社長就任は…あなたに対しての思いと…そして、あの、ゼロ様への思いがあったのよ…。あなたが一人で思い悩む事はないわ…」
カノンが二人の姿を見ながら説明した。
ルルーシュもスザクも同じ歳の筈なのに…
まるで年上の人間に諭されているような気分になる。
「あと、スザク…貴方がゼロ様の誘拐劇に関して責任を感じる必要はないわ…。あくまでも、あれは大人の事情だから…。大体、あなたのお父様がどうしてそのような形を取らざるを得なければならなかったのか…事情が解らなくても、少し考えれば簡単な事よ?ゼロ様を見ていれば…解るでしょう?」
カノンの言葉に…
スザクも納得できてしまった。
確かに…ここで、そんな風に納得してしまうのは…ゼロに対して申し訳ない気もするのだけれど…
でも、何故、父がそこから逃げ出したのか…
今では時々、桐原に会いに行くことはあっても、それは、あくまで外部者として…だった。
しかも…秘密裏に…
「父さんが何をしたかは知らないけれど…母さんの方は、もう、関わる気はないみたいだったな…。父さん自身、その話しをしてくれたことはなかったし…」
「まぁ、話したくはないでしょうね…。知れば、確実に巻き込まれることになりますし…。と云うか、あなたがどこまでご存じなのかは知りませんけれど…結局巻き込まれてしまいましたね…」

 カノンが苦笑しながらそう呟いた。
「カノンはどこまで知っているんだ?俺が知らない俺のうちの事…」
「まぁ、スザクより、少し知っている程度…かしらね…」
どこまでも性格が悪いと思えてしまう。
それでも、あのミレイさえも彼を認めているのだから、有能であり、優秀であることは確かだろう。
「カノン…ゼロが義兄さまの元に戻れば…ゼロは…どこで暮らす?」
ルルーシュが尋ねる。
ルルーシュの中でも短い間にいろいろあったとは云え…
さっき云われた、『俺があの時、攫われていなかったら…ルルーシュもナナリーも生まれてはいなかった…』と云う言葉…
あれは多分、本当なのだろうと思う。
その間に何があったのかは知らないけれど…
でも、ルルーシュの前ではいつも飄々としていたゼロが…これほどまでに取り乱しているのだ。
気にならない筈がない。
「そうね…どうなるのかしら…。そこまでは私にも…」
カノンはそう答える。
今知っていたって、カノンが云ってはいけないと判断した時には決して話さないだろう事は解っているけれど…
「ルルーシュ嬢…本当に彼って…あなたにそっくりね…」
「え?」
カノンの言葉にルルーシュが驚き、カノンが苦笑する。
尤も、そんな事を云われたところで、本人達が気づいているわけもない。
「スザク…あなたは気にしなくていいわ…。シュナイゼル様がちゃんとやって下さっているし…。ただ、彼女の事に関してはきっと、まだまだもめると思うわよ?」
カノンがくすりと笑いながらそう告げた。
確かに…
中々複雑そうだ。
そんな風にスザクは思うのだけれど…
―――元々、そんなに簡単に行くとは思っちゃいなかったけれど…そこにゼロまで加わるのか…。ルルーシュって、なんでこんなに鈍感で無自覚なんだ?
心の中で誰にも尋ねる事の出来ない疑問を抱える事になった。
「カノン…お前、やっぱり性格悪いな…」
スザクがぼそりと呟く。
「褒め言葉として受け取っておくわ…。これから先、あの方に仕えて行こうと思った時、優しい心を持っていたら何もできないもの…」
そのスザクの呟きにカノンが不敵に笑って答えた。
正直、この主従…二人揃って、二人で刺激し合いながら性格が悪くなって行ったのではないかと思う。
ミレイの比ではない…
こう云う時にミレイの名前が出て来る辺りは、余程生徒会での活動が苛酷であったのだろうと、推察される。
「出来ることなら…高校の時の生徒会メンバーだった…って事で終わりにして欲しいものだね…」
「あら…気が合うわね…。私もよ…」
「で、あのジジィどもの始末は?」
「ここまで発表した段階で、ゼロ様はあそこには戻れないわ…。だから…ゼロ様はシュナイゼル様の元にいるしかない。あの、ゼロ様にいつもくっついていた男の子が一緒に来てくれて助かったって…シュナイゼル様が云っていたでしょう?」
そう云いながら笑うカノンに…
スザクは複雑な笑みを見せる。
多分、ルルーシュ達と関わっている限り、絶対にそれだけで済むわけがない…
そんな風に思う。
カノンがしっかりとシュナイゼルのルルーシュへの気持ちを暴露してしまっているのだから…
―――でも、あんな好き放題云っていて…アイツ…大丈夫なのか?
そんな素朴な疑問を抱くけれど…
それでも、スザクにはそれよりも優先順位の高いものがある…

 シュナイゼルとゼロの姿を見ていると、本当に不器用な連中だと思ってしまう。
「とりあえず、異母兄弟の感動の再会だから…私たちはちょっと席を外しましょ…」
カノンはそう云って、ルルーシュとスザクを部屋の外に促して行く。
ルルーシュも、少し複雑な気分だったけれど、素直にカノンの言葉に従った。
部屋の外に出ると…
「マオ様…ね?ゼロ様と一緒にいた…」
カノンが声をかける。
するとカノンに声をかけられた人物が少し驚いた顔を見せた。
「あんた…最初からそのつもりで?」
「一応ね…。でも、これからの方が大変だと思うけれどね…シュナイゼル様にとっては…」
マオに質問されて、カノンが答える。
ルルーシュもスザクもマオの事はずっと見て来たから…
それに、ゼロの傍にいてずっと、苦労しているだろうなぁ…と云う印象の強い人物だったけれど…
「ルルーシュちゃん…いろいろごめんね?ゼロもようやく落ち着いたみたいだし…。いつか…今すぐでなくていいから…ちゃんと、ゼロを異父兄として…認めてくれる?ゼロさ…あるパーティーの時に初めて君を見て、一目ぼれだったんだから…」
マオが懐かしそうに口にした。
「え?だって…」
「うん…変な意味じゃなくってさ…。あ、変な意味もあるか…。ゼロがなんでナナリーちゃんじゃなくて、ルルーシュちゃんを選んだか…解る?絶対にルルーシュちゃんの方が色んな意味ではねっ返りだから、大変だと思っていたんだけどね…僕は…」
マオが少し肩の荷が下りた…そんな表情で話している。
カノンもそのマオの言葉に納得できる…そんな表情をしているのだ。
「僕がそう云った時に…ゼロが云ったんだ…。『ナナリーを攫ったら…本格的にルルーシュに嫌われるだろう?』って…。ホント、素直じゃないからね…ゼロは…」
マオがくすくす笑いながらそんな事を云った。
「でも…今回の事は…」
スザクがずっと抱いていた疑問…
「そう…ゼロがルルーシュちゃんを守る為にやったこと…。それに、ナナリーちゃんをさらった時と、ルルーシュちゃんをさらった時…シュナイゼルの動き方が確実に変わる事も計算していたと思うけどね。流石にシュナイゼルに動かれたら、長老たちも安易に動けなくなるから…。だから、ゼロがあんな事して…焦ったと思うよ…長老たちも…」
ため息を吐きながら世話の焼ける弟の話しをしているような雰囲気でマオが話している。
「マオ様も…私と同じなのね…」
「まぁね…。僕の場合、貴方とはちょっと違うと思うけど…。僕、天涯孤独だから…。ゼロがいなければその辺のチンピラやってたと思うよ…」
あっけらかんとマオがそんな事を話している。
そこで…ルルーシュがまた表情を変えるけれど…
「やっぱり…彼らなのか?その原因を作ったのは…」
スザクが何か気にしているかの様な雰囲気でマオに尋ねる。
でも、マオの方はそんなに気にするほどの事ではないと云う感じだ。
「違うよ…。僕は…ホントに捨て子…。そんな僕を…ゼロが…我儘云って連れて帰ってくれたんだ…」

 マオの話にルルーシュはゼロが…何故マオを連れて帰ったのか…解る気がした。
先ほどのゼロの話しが…
どこまで本心なのかは解らない。
けれども、あの中には確実にゼロの本心が含まれている。
でなければ、ゼロがあんな風に取り乱す訳がないと思うから…
「そう…か…悪い事を聞いたな…」
「全然!と云うか、僕とゼロが初めて会った時、僕、まだ7歳くらいだったんだけど…すっごく嬉しくってさぁ…。と云うか、あの時の事はすっごい幸せだって、胸を張って云えるし…。それに、僕はどこだっていいんだ…。ゼロと一緒にいられるなら…」
明るく喋るマオの言葉に…ウソはない…そう思えた。
「あの…あなたは…ゼロを…」
「好きだよ…。まぁ、『好き』にもいろんな種類があるでしょ?僕はゼロが好きだから、君を苛めているゼロを諌めた。後でゼロが辛くなっちゃうから…。ゼロはね…僕にとって、一生かかっても返しきれないほどたくさんのものをくれた…恩人なんだ…。ゼロはどう思っているか知らないけど…」
マオが少しだけ切ないような色の瞳で笑った。
「まぁ、それは私も変わらないけれど…。シュナイゼル様もいろいろ鈍感だしね…」
「ああ…解る…。あの二人…やっぱり、血縁だよねぇ…。でもって、好みのタイプも一緒…。これから、毎日花火大会かもね…」
「ちゃんと仕事して下さると助かるんですけれどね…。今回の事で相当準備に時間を割いてくれたから…後、大変よ…」
「だったら、ゼロ使えばいいじゃない…。今頃、シュナイゼルにうまく言いくるめられているころじゃないの?きっと、記者会見見ながらさ…」
二人の会話に…
着いて行けていないのが約二名…
「あの…結局ジノは…?」
ルルーシュがおずおずと尋ねた。
ヴァインベルグ家の事に関しては…いろいろあったから…
ルルーシュも気になるところだ。
「大丈夫よ…。ジノさまをバックアップすると決めたのはシュナイゼル様だから…」
「でも…その…義兄さまと…ジノは…」
「まぁ、お互いに色々思うところはあるみたいだけれどね…。でも、そんな事を一々構っていられる程シュナイゼル様も暇なわけじゃないわ…。それに、『キョウト六家』の事があって、貴女の傍にスザクがいたからね…。その事に関してはちゃんを目を光らせていたのよ…」
カノンの言葉に唖然としてしまう。
確かに、あの日本支社でルルーシュが自分の名前を名乗って大騒ぎしたのは、シュナイゼルの中でも計算違いだったかもしれない。
それが、どれだけ危険なことであるか…
あの時のバタバタを考えれば、至極簡単に解る図式だ。
「じゃあ…私が名乗ってしまったことは…」
「あれは計算外…。ただ、ゼロ様にとって、あの騒ぎに乗じて貴方をさらったのは事実だけれどね…。ホント、不器用な異母兄弟よ…」
カノンが苦笑してそんな事を云っている。
実際に苦労hが多そうだ。
「ただ…あの時にルルーシュを狙っていたのは…ゼロだけじゃなくて…」
「そうよ…。と云うか、それが解っていたからゼロ様はあんな強硬手段に出たのよ…。あからさまにばればれのね…。もしかしたらあなたが一緒に乗り込んで行ったことは知っていたかもしれないわね…」

 部屋の中では…
「いい加減…放して下さい…異母兄さん…」
「君が逃げないと云うなら…。もう、あちらに戻らず、ここにいてくれると云うなら放してあげよう…」
「誰が逃げていると!」
今のシュナイゼルの一言にカチンと来たゼロがバタバタと暴れ始めた。
シュナイゼルはそんなゼロを見て、『やれやれ』と云った感じで放してやった。
「君をこちらに連れ戻すのに、時間がかかってしまって…申し訳なかったね…」
「別に…俺は…」
「何れ、父とマリアンヌさんに会わせよう…。きっと二人も喜ぶ…」
「他の人たちは喜ばないと思いますが?」
確かに…ランペルージグループ内にまた一人、ゼロの様な存在がいることがばれればまた、騒ぎになるだろう。
「そんな事を気にするとは思えないけれどね…君が…」
クスリと笑いながらシュナイゼルが云った。
確かに…ゼロが『キョウト六家』に囚われていた頃は…見るものすべてが魑魅魍魎に見えていたのだから…
「まぁ、あなたがいる限り、ランペルージ家の次期党首はあなただけでしょう?俺はここでは、あなたの補佐役でしかあり得ない…」
「だから、ヴァインベルグを欲しいと思ったのかい?」
「別に…」
「後…君が気にしている彼女に関しては…いずれ、先方と会談する事になるだろう…。その時に話し合ってみよう…」
「でも、彼女がいなければ…」
ゼロがシュナイゼルが誰の事を刺しているのかを察して、慌てたように言葉を放った。
「あのグループも枢木家の離脱から崩壊が始まっている。彼女が優秀であることは私も承知している。必要なら君がヘッドハンティングしてくればいい…」
「俺は…別に…」
「恩義が…あるのだろう?彼女に…」
「恩はありますが…それ以上の事は何もないですよ?俺がヘッドハンティングして、相手の名前を慮って婚約だの何だのと云う話しは困りますよ?」
「そんな、前時代的な事はするつもりはないよ…。それに、君の婚約者にしたら…彼女の方が気の毒だ…」
シュナイゼルがくすくす笑いながら云う。
するとゼロも…
「確かに…」
「二人とも…同じ存在を守ろうとしているのだからね…」
「それでも何れ、あなたは一族が決めた相手と結婚しなければならない…。ヴァインベルグ家の御令嬢に関してはあんな事になりましたけれど…」
「こう云った場合、そう云う事もままある話だ。僕としては、本当に…あの事添い遂げられれば…と思うけれど…それは叶わぬ願いらしいからね…」
シュナイゼルが苦笑しつつ、そんな言葉を口に出した。
そんなシュナイゼルにゼロは呆れた顔で笑った。
「それでも小姑をやるつもりなのでしょう?」
「当たり前だろう?君だって人の事を云えるのかい?」
「ふっ…確かに…」
先ほど…カノンが連れだした二人を二人が同時に思い浮かべた。
「なんで…あの子はあそこまで鈍感なんだろうね…」
「ルルーシュにとって貴方は完全に『いい義兄』のカテゴリーですからね…。俺と違って血のつながりもないのに…」
「前途…多難かな…」
「俺は塩を送るつもりはないですよ?ただ、小姑やる時は協力しますけれどね…」
「結局…僕は小姑なのか…」
複雑な笑みをもらしつつ…ため息をついたシュナイゼルだったが…
ゼロは…やっと…一番欲していたものが…手に入ったのだと…
そんなシュナイゼルをちょっと複雑な笑みを零しながら見つめていた…

To Be Continued


あとがきに代えて



昨日、『皇子とレジスタンス』を告知なしでお休みさせて頂いちゃって申し訳ありませんでした。
いろいろありまして、ちょっと書いている途中で全部消して書き直していたら…
書けなくなりまして…
多分、今週の土曜日までにはちゃんと書きあげて、掲載しようと思います。
と云うか、イベント1週間前だってのに、イベント準備に関しては超のんびりしている気がします。
まぁ、色々思うところもありまして…今日の『幼馴染シリーズ』も書いていて…
『Σ全然書けん!』
と焦っていたくらいです。
ホント、ムラのある人間なので…
因みに昨日は久しぶりに名古屋に飲みに行っていました。
まぁ、ある仲間同士で集まって飲み会をしていて…
基本的にそう云うところに顔を出すのって非常に珍しい事なんですが…
イベント関連ではご一緒出来る方もいらっしゃらないので、いつも一人で会場入りして、一人で帰って行っている状態が続いておりますが…
しかし…こんな風に書くことに対して指が動かなかったのって…どのくらい振りだろう…
大真面目にまずい!
AHL…新刊…
あと2週間で書きあげなくちゃいけないわけなのですが…
ホント、合体サークルで参加される方ってどうやってそんなお知り合いを作っていらっしゃるのか…
元々、引きこもり族で人と接することがあまり得意ではない人間なので…
そう云うのは無理なのかな…
とりあえず、明日当たり、『ギアスターボ6』の持ち込み予定を掲載したいと思います。
と云うか…フリーペーパー…間に合うかなぁ…(;-_-) =3 フゥ


☆拍手のお返事


Rinkaさま:こんばんは、コメント有難う御座居ます。
お返事が遅れて申し訳ありません。

『Engage』
マリアンヌママ…シャルルパパがすっかり魂抜けちゃっていたので…
まぁ、本編でのマリアンヌママの衝撃が強くて、こういうときは、どうしてもああいう感じになってしまいまして…(; ̄ー ̄A アセアセ・・・
多分、ルルーシュが『M』なのは父親が『M』で母親が『S』だったからではないかと…(笑)
ルルーシュ本人はきっと、自分の事を『S』だと思っているのですが…ヘタレ描写が多すぎて、周囲からは完全『M』扱いで…しかも『S』になりきれない…
きっとそんな感じなのでしょう…

リクエスト参加、有難う御座居ました。
今回は本当にリクエストを送って下さる方が少なくって…
だから、今回の特別企画を行えるのですけれど…
特別企画に関してはリクエスト作品の掲載が全て終わった時にまた、告知させて頂きます。
大した事をする訳ではないのですが…楽しみにして頂けると幸いです。



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posted by 和泉綾 at 20:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年05月09日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 19



 ゼロに連れて来られた場所…
それは…
「ここは…」
「流石にルルーシュは知っていたな…。そうだ、ランペルージ家の本宅だ…」
一体何の話をするつもりなのか…
そして、スザクがあのように狼狽したのは何故なのか…
更に解らない事だらけになる。
敷地内のある、離れに入って行った。
―――ここは…私も知らない…
ルルーシュも母が義父と結婚する際に一度だけ連れて来られただけだ。
本宅の応接間に通されただけで…
単純に居心地が悪い…
そんな印象しか持たなかった。
母が結婚したらここで暮らさなくてはならないのか…と、少し不安になったが…
それでも、ナナリーの事もあり、それまで暮らしていたマンションでいいと云う事になったわけだ。
「次期社長候補のシュナイゼルと会うんだ…。こちらからランペルージ家に『伺わせて頂く』のが筋だろう?」
云っていることと、顔とが一致していない。
元々、ゼロだってランペルージ家の血が流れているものの、所詮は制裁の子ではないのだから…
ここが居心地いいわけがない。
と云うか、シュナイゼル自身、ここにあまり寄りつかない。
それでも、ランペルージ家の正式な息子としてここに来なくてはならない事は多い。
最近では仕事を理由に足が遠のいている…と云う事は聞いたことがあるが…
「心配しなくてもいい…。それに、ここでなら確実にシュナイゼルに会えると信じて貰えるだろう?」
ここまでルルーシュに不信感を抱かせていた張本人には云われたくないと思ってしまうが…
それでも、時々見せる、ゼロの表情の変化に…ルルーシュも戸惑いを隠せない。
と云うか、その戸惑いを自分の中で誤魔化しきれなくなっている。
「ゼロ…あなたがそんな安っぽいウソなど付かないと云うことは…この1週間で解った。何故、そこまで私に対して嫌がらせと取れる様な言葉ばかりを吐く?そんなに私が嫌いなら…あなたなら、シュナイゼル義兄さまと会う手段くらい他にも考えることが出来ただろう?」
ルルーシュもいい加減、やられっぱなしは嫌だと云うことか…
この目の前の異父兄に対して思うところがたくさんある様だけれど…
それを全て飲み込んだ上で、彼女が凛とゼロに向かって告げる。
流石に同じ手は何度も食わない…と云ったところか…
「君が思っている程俺は頭はよくないよ…。こんな形でシュナイゼルを怒らせる形でしか、取り引きを出来ないんだからな…」
皮肉に笑うゼロは…
やっぱりどこか悲しそうに見えるのは…
ルルーシュの勘違いなのだろうか…
ルルーシュの中では自分をさらった…
シュナイゼルに対してルルーシュを餌に交渉しようとしていて…
そして、スザクを巻き込んだ…
たとえ、本当に異父兄であったとしても…
―――許されることじゃない!
そう思うのだけれど…
しかし…
その中で憎み切れない部分がある事も確かだ。
何が、そう思わせているのかは解らないけれど…
でも、目の前の、この、異父兄は…
様々なものを抱えている…。
それだけは…解る…
そんな事を考えている内に…ゼロがある部屋の扉をノックした。

―――コンコン…
 そのノックの音から一瞬間を置いて、中から声が返って来る。
それは…
ルルーシュがずっと心配し続けていた義兄の…声…
『どうぞ…』
その声に、動揺がない事を感じてほっとする。
シュナイゼルの足かせになりたくない…
そんな思いはあるから…
扉が開かれると…
「義兄さま!」
「それに…カノン…?」
ルルーシュがシュナイゼルを呼び、そして、シュナイゼルの腰かけているソファの後ろに控えていたカノンに対してはスザクが反応した。
ルルーシュのその表情の変化に…
ゼロは少しだけ、心が痛む。
自分のやってきた事を考えれば仕方がない。
あれは、策略だとか、そんな事を考えていたわけじゃないのだから。
ただ、ルルーシュが自分以外の者に対してはあれ程信頼を置いているのに…
そして、ルルーシュの信頼を置いている者たちのその裏の顔を知っているだけに…
面白くないと思うのは当然の話しだ。
しかし、そこで、ルルーシュはその事を知らないと云う事に気づいてやれれば…
少しは違ったかもしれない。
それでも、今更過去に戻れるわけじゃないのだ。
「とりあえず、本題に入りましょう…。きちんと準備はして下さっているようですね…異母兄さん…」
「ここで、君に対してそんな安っぽい偽造を出来る程、君の事を知らないわけではないからね…」
皮肉の応酬…
見ていて…背筋が寒くなる様な…
そんな空気が二人を取り巻いている。
こうして、何かをかけた取引と云うのはここまで緊張するものなのだろうか…
「とりあえず、掛けたまえ…。ゼロ…君と会うのも久しぶりだ…」
「そうですね…異母兄さんには…中々会わせて頂けないのですから…仕方ないでしょう?」
そう云いながら、ゼロはちらりとカノンを見た。
カノンはそんなゼロの視線に対して少しだけ表情が変わった様な気がするが…それが気の所為だった気もする。
「カノンを苛めるのはやめたまえ…。カノンは単に、事情を知っていたから、心配してくれていただけなのだから…」
「別に、苛めているつもりはないんですが…」
そこでゼロが自嘲気味に笑う。
ルルーシュはゼロの隣に座らされている。
そして、スザクはルルーシュを守る様に…ルルーシュの隣に立ったままだ。
「ただ、どうも俺の性格は…少々ねじ曲がり過ぎてしまった様で…。どうもルルーシュにも嫌われてしまいましてね…。あなたが彼女に抱いている感情、そしてその為に何をしていたかを教えようとして…怒られてしまいまして…」
ゼロの言葉に、シュナイゼルが眉を動かした。
ほんのかすかな動きだけれど…
その、シュナイゼルの動き…
ルルーシュも気がついて…
それが…ルルーシュにどう受け取られるかは…
「ゼロ…君は僕に嫌がらせする為に来たわけではないだろう?その事については、彼女が幸せであれば別に、僕がとやかく動く必要はなかったんだがね…。僕にごちゃごちゃ云う前に、他に云うべき相手はいるだろう?そんなにルルーシュが可愛いのなら…」
ルルーシュの目の前で一体、何の話になっているのだか…
ルルーシュの隣に立つスザクは思ってはいるものの、ここで、下手に横やりを入れてもルルーシュにとっては嫌な思いしかしない事は…解る。

 ルルーシュの中で…様々な思いがこみ上げる。
知りたかったこと、知らなければならないこと、知りたくないこと…
「ゼロ!義兄さま!そのお話については後でお聞かせ頂きます!今は、やるべき事をして下さい!そして…関係のないスザクは早く、自宅に帰して下さい!」
こんな茶番に付き合う為にここにいるわけじゃない。
ゼロがシュナイゼルと何か取り引きをしようとしている。
シュナイゼルもルルーシュを助ける為に動いている。
「ルルーシュ…済まなかったね…。君たちは帰って構わないよ…。カノン…二人を送ってくれ…」
「はい…シュナイゼル様…」
シュナイゼルの言葉に、ゼロは特に反応を示すことはない。
スザクに対しては…何かある様な口ぶりで何かを云っていたことが気にかかる。
「俺は…」
スザクも同じ事を思ったのか、ここで初めて、言葉を口にした。
「スザク…大丈夫…。あなたの事はちゃんとおうちに送り届けるから…」
カノンがそう云うが…
カノンも事情を知っているのか…と云う様なカノンの口ぶりだ。
恐らく、シュナイゼルも…
「余計な事をなさる方ですね…あなたも…」
「君を連れ去った者たちの事を考えればね…。ご老人方は元気かい?」
シュナイゼルが『何を今更…』と云った口ぶりでゼロに尋ねる。
「ええ…元気ですよ…。今回の事も俺の独断でしたから…ちょっと怒られてしまいましたけれどね…」
ふっと笑いながら何でもない様な口調でゼロも返す。
どこまで本当で、どこから嘘なのか…
さっぱり解らない。
ルルーシュ自身、こんな世界に生きて来たわけじゃないのだから…
あるいみしかたないのだけれど…
そう思うと、これまでいかに守られて…何も知らされずに来たか…と思う。
「やはり…少々オイタが過ぎたのかい?」
「俺は本気でやっていますけれどね…。そんなふざけていては…生きてはいけないでしょう?」
二人のやり取りに…
ルルーシュは頭がくらくらしてきた。
話しの裏側は解らない。
でも、その話しの裏側にある何かが…非常に大きなものに見える。
これまで…シュナイゼルはそう云った部分を決してルルーシュやナナリーに見せることはなかった。
マリアンヌとシャルルが結婚して、マリアンヌはいつも仕事で留守がちだったから…
シュナイゼルは一番身近な身内だった。
「確かに…。だから、お土産を用意したのかい?」
シュナイゼルの言葉に、今度はゼロが眉をピクリと動かした。
シュナイゼルが…どうやってそんな事を知り得たのか…と云う疑問から…だろう。
しかし、シュナイゼルにとぼけて見たところで、全てを把握しているからこんな話を切り出すのだろうと、ゼロの考えが及ぶ。
相手がバカではないだけに…
やり難い…
「ええ、そうですよ…。俺がこんなことになったのは、そこにいる、ルルーシュのナイト君の一家のお陰ですからね…」
ゼロの一言…
ルルーシュは驚愕の表情を見せている。
シュナイゼルは『やれやれ』と云う表情を見せる。
そしてスザクは…
ぐっと奥歯を食いしばって、黙っている。
カノンは…二人を送って行く準備を始めようと云う時にこんな形で邪魔をされてしまい、少々、機嫌を損ねているようだ。

 シュナイゼル自身、スザクを庇う気もなかったけれど…
あまりに驚いているルルーシュを見ていて、少し気の毒に思えてしまう。
様々なことを告げられて、その衝撃をうまく受け止めきれていない中…
こんな形でルルーシュの想い人の秘密をばらしても、ルルーシュは更に傷つくことは解っている。
「ゼロ…」
シュナイゼルがゼロを窘めようとするが…
ゼロ自身はその件に関しては譲れないものがあるらしい。
「彼にはちゃんと帰って貰いますよ…。ちゃんと事情は知っているようですしね…。あの時…枢木家が…あんな形で『キョウト六家』から抜け出さなければ…俺は…」
恐らく、それはゼロの心からの叫び…
シュナイゼルもそんなゼロを痛々しそうに見つめている。
「別に…俺はランペルージグループが欲しいわけじゃなかったし、ただ、いるべき場所で暮らし、育って行きたかった…それだけだ…」
ゼロの言葉は…
その言葉の影にある、その何かが非常に重いものに見えた。
「しかし…その現実があったからこそ…私は君と争わずに済んだ。そう思っているよ…」
シュナイゼルのその言葉に…
ゼロが、皮肉げに笑いだした…
「くっ…ははは…あははははは…」
いきなりのゼロの笑いに…
高笑い…
でも、凄く…辛そうな笑い…
ルルーシュは隣でそんな風に笑っている異父兄を、呆然と見つめる。
「素直に云えばいいじゃないですか!異母兄さん…俺があの時、攫われていなかったら…ルルーシュもナナリーも生まれてはいなかった…。だから、俺が攫われてくれてよかったと思っているんじゃないですか?」
ゼロのその一言…
ルルーシュの目の焦点は…どこにもあっていない…
目の前にいる、ルルーシュの異父兄と名乗ったゼロは…
一体何を云っているのか…
多分、頭には入ってきている。
理解も、ひょっとしたら出来ている。
でも…
それ以上、そこに自分の気持ち、感情が入ってしまったら…
「ゼロ!今ここで云うことではないだろう!」
「今云わなくていつ云うと云うんです?俺自身、彼女に対して何の感情も持ち合わせてはいませんしね…」
ゼロのその一言に、シュナイゼルが悲しげにゼロを見る。
何故…そんな風に云わなくてはならないのか…
何故…ルルーシュをこんな風に無傷で帰してくれていると云うのに…
―――ゼロを取り巻く環境では…ルルーシュは…ゼロがいなければ…
シュナイゼルは状況把握しながら、ゼロのこの言葉に、痛々しさを感じている。
ゼロは…
―――こんな形でしか…守れない…。本当は…もっと違った形で…守りたいと思っている筈なのに…
「ゼロ…もう…頑張らなくていい…。私の元へ戻っておいで…。もう、そんな風に…守らなくてもいい…。ゼロ…」
シュナイゼルが…その口から紡いだ言葉は…
「何を…」
「ゼロ…もういいんだ…。彼の事も、ルルーシュの事も…私がきちんと…きちんとやっているから…。君は…何も恐れなくていいんだ…」
そう云って、シュナイゼルが立ち上がり、ゼロを立ち上がらせ、抱きしめる。
それは…とても慈愛の溢れている…
そんな光景だった。
多くの後悔を背負いながら来た…そんなことがよく解る…

 しかし…ゼロの方は…
そんなシュナイゼルの腕を振り払う…
「何を!口ではなんとでも云える!ルルーシュの為に…わざわざ決まっていた日本支社の座をあなたが奪った!俺自身、そんなものに興味はなかったが…異母兄さんがそこまで執着している者が…ルルーシュだったとはね…」
ゼロが何か、堰を切った様に喋り出した。
これまで、飄々としていたゼロとは別人のようだ。
「俺がどんな思いをしてここまで来たかも知らない奴が…そして、誰からも愛されるのが当然な奴が…何故…」
ゼロの言葉は…
一体何に刺しての者かがよく解らない。
でも、それはルルーシュに対しての嫉妬…にも聞こえる様な…
そんな風に聞こえるのは…
―――私の…自惚れだろうか?
そんな風に思えて来た。
「攫ってやれば、俺の事を憐れんだ目で見ている!何様のつもりだ!俺に対して同情など…。それこそ、なんでも持っている奴にそんな目で見られるのは、流石に俺もプライドが許さないんだよ!」
ゼロのこの叫びに…
スザクもなんだか…ゼロに対して…何か悲しいものを抱えているのだと…
思わざるを得ない。
ルルーシュとスザクが一緒にいた時、ゼロがスザクを見る目は…
―――大切なルルーシュが、ルルーシュを泣かせてばかりの俺と一緒にいて、安心している姿が許せない…そんな感じだった…
そんな風に思える。
「別に俺は…高い地位なんていらない…使いきれない程の金なんかいらない!訳の解らない権力なんてもっといらない!なのに…そんなものばっかりが手に入って、一番欲しいものは…俺の赤ん坊の時…あのジジィどもに攫われた時に…」
ゼロの声が震えているのが解る…
ゼロが…どんな思いで、ルルーシュと接していたのか…
それを考えた時…
ルルーシュの中で痛みを感じる。
「元々、枢木家が飛び出したりしなければ…俺は…俺は…」
それ以上…ゼロの言葉が続かない。
シュナイゼル自身、全てを準備していたが…
元々、取り引きをする為に用意したものではない。
一通りそろえて、ゼロがシュナイゼルの目の前に現れるのを待っていたのだ。
今なら…
―――あの老人どもは…いない…
その為にジノに、動いて貰った。
まだ、ヴァインベルググループの権限などの行方は世間には知らされていない。
ひとまず、ランペルージグループが融資と云う形で立て直しを図り、ランペルージグループが選んだ代表を置く…と云う形にしたのだ。
そして、そのランペルージグループが選んだ代表と云うのは…
「ゼロ…もう、君はあそこに戻らなくていい…。ちょうど、君のお気に入りのお友達も一緒にここにきてくれて助かったよ…」
シュナイゼルがどこまで知っているのか…
どこまで把握し、掌握しているのか…
「そろそろ記者会見が始まる…」
シュナイゼルの言葉に…カノン以外のこの場の人間が…驚いた顔を見せる。
「記者…会見…?」
「ルルーシュ…忘れたのかい?ヴァインベルググループの件のランペルージグループの方針を発表するのは…今日だったんだよ…」
バタバタ状態で…すっかり忘れていた…
「あ…」
「シュナイゼル!では、最初から!」
「そう…私もそうそう、バカな事ばかりはしていられないからね…。君にもバカな事をしがちな私を抑えて貰う為にも…戻ってきて欲しいんだけれどね…」
シュナイゼルの言葉に…カノンは『やれやれ』と云う表情をしているし、他のメンツは…ただ、目の前の史上最悪の詐欺師を呆然と見つめる事しか出来なかった。

To Be Continued


あとがきに代えて



シュナ兄…
性格の悪さ炸裂!
目的の為なら手段を選ばない!
これぞシュナ兄クオリティ!
とまぁ、そんな事を云っていますけれど…
今回はゼロがなんか…ヘタレて、シュナ兄やりたい放題!
カノンさん…こんな人について行くのは大変でしょう…
まぁ、ちょっと不完全燃焼っぽいんで、来週、もう少し詳細を…
とにかく、今日は大筋を決めなくてはならなくて…
でも、この話に関しては一回じゃ終わらんな…と思っていたので…
だから、大筋だけやって、次回、少し細かい部分の肉付けをしようと思っております。
多分、これだけ読んで…『良く解んねぇぞ!』って方も多いかと思いますが…
とにかく、ゼロを大人しくさせないと、肉づけもへったくれもなかったもんで。
少しずつ、ハッピーエンドに近付いているでしょうか?
と云うか、今回、完全にシュナ兄とゼロのお話しっぽくなっちゃいました。
次回はジノも出て来ます。
話しがこんがらがり過ぎて…
書き始めた頃のプロットなんて何の役にも立たなくなりました…(;-_-) =3 フゥ



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posted by 和泉綾 at 22:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 19



 ゼロに連れて来られた場所…
それは…
「ここは…」
「流石にルルーシュは知っていたな…。そうだ、ランペルージ家の本宅だ…」
一体何の話をするつもりなのか…
そして、スザクがあのように狼狽したのは何故なのか…
更に解らない事だらけになる。
敷地内のある、離れに入って行った。
―――ここは…私も知らない…
ルルーシュも母が義父と結婚する際に一度だけ連れて来られただけだ。
本宅の応接間に通されただけで…
単純に居心地が悪い…
そんな印象しか持たなかった。
母が結婚したらここで暮らさなくてはならないのか…と、少し不安になったが…
それでも、ナナリーの事もあり、それまで暮らしていたマンションでいいと云う事になったわけだ。
「次期社長候補のシュナイゼルと会うんだ…。こちらからランペルージ家に『伺わせて頂く』のが筋だろう?」
云っていることと、顔とが一致していない。
元々、ゼロだってランペルージ家の血が流れているものの、所詮は制裁の子ではないのだから…
ここが居心地いいわけがない。
と云うか、シュナイゼル自身、ここにあまり寄りつかない。
それでも、ランペルージ家の正式な息子としてここに来なくてはならない事は多い。
最近では仕事を理由に足が遠のいている…と云う事は聞いたことがあるが…
「心配しなくてもいい…。それに、ここでなら確実にシュナイゼルに会えると信じて貰えるだろう?」
ここまでルルーシュに不信感を抱かせていた張本人には云われたくないと思ってしまうが…
それでも、時々見せる、ゼロの表情の変化に…ルルーシュも戸惑いを隠せない。
と云うか、その戸惑いを自分の中で誤魔化しきれなくなっている。
「ゼロ…あなたがそんな安っぽいウソなど付かないと云うことは…この1週間で解った。何故、そこまで私に対して嫌がらせと取れる様な言葉ばかりを吐く?そんなに私が嫌いなら…あなたなら、シュナイゼル義兄さまと会う手段くらい他にも考えることが出来ただろう?」
ルルーシュもいい加減、やられっぱなしは嫌だと云うことか…
この目の前の異父兄に対して思うところがたくさんある様だけれど…
それを全て飲み込んだ上で、彼女が凛とゼロに向かって告げる。
流石に同じ手は何度も食わない…と云ったところか…
「君が思っている程俺は頭はよくないよ…。こんな形でシュナイゼルを怒らせる形でしか、取り引きを出来ないんだからな…」
皮肉に笑うゼロは…
やっぱりどこか悲しそうに見えるのは…
ルルーシュの勘違いなのだろうか…
ルルーシュの中では自分をさらった…
シュナイゼルに対してルルーシュを餌に交渉しようとしていて…
そして、スザクを巻き込んだ…
たとえ、本当に異父兄であったとしても…
―――許されることじゃない!
そう思うのだけれど…
しかし…
その中で憎み切れない部分がある事も確かだ。
何が、そう思わせているのかは解らないけれど…
でも、目の前の、この、異父兄は…
様々なものを抱えている…。
それだけは…解る…
そんな事を考えている内に…ゼロがある部屋の扉をノックした。

―――コンコン…
 そのノックの音から一瞬間を置いて、中から声が返って来る。
それは…
ルルーシュがずっと心配し続けていた義兄の…声…
『どうぞ…』
その声に、動揺がない事を感じてほっとする。
シュナイゼルの足かせになりたくない…
そんな思いはあるから…
扉が開かれると…
「義兄さま!」
「それに…カノン…?」
ルルーシュがシュナイゼルを呼び、そして、シュナイゼルの腰かけているソファの後ろに控えていたカノンに対してはスザクが反応した。
ルルーシュのその表情の変化に…
ゼロは少しだけ、心が痛む。
自分のやってきた事を考えれば仕方がない。
あれは、策略だとか、そんな事を考えていたわけじゃないのだから。
ただ、ルルーシュが自分以外の者に対してはあれ程信頼を置いているのに…
そして、ルルーシュの信頼を置いている者たちのその裏の顔を知っているだけに…
面白くないと思うのは当然の話しだ。
しかし、そこで、ルルーシュはその事を知らないと云う事に気づいてやれれば…
少しは違ったかもしれない。
それでも、今更過去に戻れるわけじゃないのだ。
「とりあえず、本題に入りましょう…。きちんと準備はして下さっているようですね…異母兄さん…」
「ここで、君に対してそんな安っぽい偽造を出来る程、君の事を知らないわけではないからね…」
皮肉の応酬…
見ていて…背筋が寒くなる様な…
そんな空気が二人を取り巻いている。
こうして、何かをかけた取引と云うのはここまで緊張するものなのだろうか…
「とりあえず、掛けたまえ…。ゼロ…君と会うのも久しぶりだ…」
「そうですね…異母兄さんには…中々会わせて頂けないのですから…仕方ないでしょう?」
そう云いながら、ゼロはちらりとカノンを見た。
カノンはそんなゼロの視線に対して少しだけ表情が変わった様な気がするが…それが気の所為だった気もする。
「カノンを苛めるのはやめたまえ…。カノンは単に、事情を知っていたから、心配してくれていただけなのだから…」
「別に、苛めているつもりはないんですが…」
そこでゼロが自嘲気味に笑う。
ルルーシュはゼロの隣に座らされている。
そして、スザクはルルーシュを守る様に…ルルーシュの隣に立ったままだ。
「ただ、どうも俺の性格は…少々ねじ曲がり過ぎてしまった様で…。どうもルルーシュにも嫌われてしまいましてね…。あなたが彼女に抱いている感情、そしてその為に何をしていたかを教えようとして…怒られてしまいまして…」
ゼロの言葉に、シュナイゼルが眉を動かした。
ほんのかすかな動きだけれど…
その、シュナイゼルの動き…
ルルーシュも気がついて…
それが…ルルーシュにどう受け取られるかは…
「ゼロ…君は僕に嫌がらせする為に来たわけではないだろう?その事については、彼女が幸せであれば別に、僕がとやかく動く必要はなかったんだがね…。僕にごちゃごちゃ云う前に、他に云うべき相手はいるだろう?そんなにルルーシュが可愛いのなら…」
ルルーシュの目の前で一体、何の話になっているのだか…
ルルーシュの隣に立つスザクは思ってはいるものの、ここで、下手に横やりを入れてもルルーシュにとっては嫌な思いしかしない事は…解る。

 ルルーシュの中で…様々な思いがこみ上げる。
知りたかったこと、知らなければならないこと、知りたくないこと…
「ゼロ!義兄さま!そのお話については後でお聞かせ頂きます!今は、やるべき事をして下さい!そして…関係のないスザクは早く、自宅に帰して下さい!」
こんな茶番に付き合う為にここにいるわけじゃない。
ゼロがシュナイゼルと何か取り引きをしようとしている。
シュナイゼルもルルーシュを助ける為に動いている。
「ルルーシュ…済まなかったね…。君たちは帰って構わないよ…。カノン…二人を送ってくれ…」
「はい…シュナイゼル様…」
シュナイゼルの言葉に、ゼロは特に反応を示すことはない。
スザクに対しては…何かある様な口ぶりで何かを云っていたことが気にかかる。
「俺は…」
スザクも同じ事を思ったのか、ここで初めて、言葉を口にした。
「スザク…大丈夫…。あなたの事はちゃんとおうちに送り届けるから…」
カノンがそう云うが…
カノンも事情を知っているのか…と云う様なカノンの口ぶりだ。
恐らく、シュナイゼルも…
「余計な事をなさる方ですね…あなたも…」
「君を連れ去った者たちの事を考えればね…。ご老人方は元気かい?」
シュナイゼルが『何を今更…』と云った口ぶりでゼロに尋ねる。
「ええ…元気ですよ…。今回の事も俺の独断でしたから…ちょっと怒られてしまいましたけれどね…」
ふっと笑いながら何でもない様な口調でゼロも返す。
どこまで本当で、どこから嘘なのか…
さっぱり解らない。
ルルーシュ自身、こんな世界に生きて来たわけじゃないのだから…
あるいみしかたないのだけれど…
そう思うと、これまでいかに守られて…何も知らされずに来たか…と思う。
「やはり…少々オイタが過ぎたのかい?」
「俺は本気でやっていますけれどね…。そんなふざけていては…生きてはいけないでしょう?」
二人のやり取りに…
ルルーシュは頭がくらくらしてきた。
話しの裏側は解らない。
でも、その話しの裏側にある何かが…非常に大きなものに見える。
これまで…シュナイゼルはそう云った部分を決してルルーシュやナナリーに見せることはなかった。
マリアンヌとシャルルが結婚して、マリアンヌはいつも仕事で留守がちだったから…
シュナイゼルは一番身近な身内だった。
「確かに…。だから、お土産を用意したのかい?」
シュナイゼルの言葉に、今度はゼロが眉をピクリと動かした。
シュナイゼルが…どうやってそんな事を知り得たのか…と云う疑問から…だろう。
しかし、シュナイゼルにとぼけて見たところで、全てを把握しているからこんな話を切り出すのだろうと、ゼロの考えが及ぶ。
相手がバカではないだけに…
やり難い…
「ええ、そうですよ…。俺がこんなことになったのは、そこにいる、ルルーシュのナイト君の一家のお陰ですからね…」
ゼロの一言…
ルルーシュは驚愕の表情を見せている。
シュナイゼルは『やれやれ』と云う表情を見せる。
そしてスザクは…
ぐっと奥歯を食いしばって、黙っている。
カノンは…二人を送って行く準備を始めようと云う時にこんな形で邪魔をされてしまい、少々、機嫌を損ねているようだ。

 シュナイゼル自身、スザクを庇う気もなかったけれど…
あまりに驚いているルルーシュを見ていて、少し気の毒に思えてしまう。
様々なことを告げられて、その衝撃をうまく受け止めきれていない中…
こんな形でルルーシュの想い人の秘密をばらしても、ルルーシュは更に傷つくことは解っている。
「ゼロ…」
シュナイゼルがゼロを窘めようとするが…
ゼロ自身はその件に関しては譲れないものがあるらしい。
「彼にはちゃんと帰って貰いますよ…。ちゃんと事情は知っているようですしね…。あの時…枢木家が…あんな形で『キョウト六家』から抜け出さなければ…俺は…」
恐らく、それはゼロの心からの叫び…
シュナイゼルもそんなゼロを痛々しそうに見つめている。
「別に…俺はランペルージグループが欲しいわけじゃなかったし、ただ、いるべき場所で暮らし、育って行きたかった…それだけだ…」
ゼロの言葉は…
その言葉の影にある、その何かが非常に重いものに見えた。
「しかし…その現実があったからこそ…私は君と争わずに済んだ。そう思っているよ…」
シュナイゼルのその言葉に…
ゼロが、皮肉げに笑いだした…
「くっ…ははは…あははははは…」
いきなりのゼロの笑いに…
高笑い…
でも、凄く…辛そうな笑い…
ルルーシュは隣でそんな風に笑っている異父兄を、呆然と見つめる。
「素直に云えばいいじゃないですか!異母兄さん…俺があの時、攫われていなかったら…ルルーシュもナナリーも生まれてはいなかった…。だから、俺が攫われてくれてよかったと思っているんじゃないですか?」
ゼロのその一言…
ルルーシュの目の焦点は…どこにもあっていない…
目の前にいる、ルルーシュの異父兄と名乗ったゼロは…
一体何を云っているのか…
多分、頭には入ってきている。
理解も、ひょっとしたら出来ている。
でも…
それ以上、そこに自分の気持ち、感情が入ってしまったら…
「ゼロ!今ここで云うことではないだろう!」
「今云わなくていつ云うと云うんです?俺自身、彼女に対して何の感情も持ち合わせてはいませんしね…」
ゼロのその一言に、シュナイゼルが悲しげにゼロを見る。
何故…そんな風に云わなくてはならないのか…
何故…ルルーシュをこんな風に無傷で帰してくれていると云うのに…
―――ゼロを取り巻く環境では…ルルーシュは…ゼロがいなければ…
シュナイゼルは状況把握しながら、ゼロのこの言葉に、痛々しさを感じている。
ゼロは…
―――こんな形でしか…守れない…。本当は…もっと違った形で…守りたいと思っている筈なのに…
「ゼロ…もう…頑張らなくていい…。私の元へ戻っておいで…。もう、そんな風に…守らなくてもいい…。ゼロ…」
シュナイゼルが…その口から紡いだ言葉は…
「何を…」
「ゼロ…もういいんだ…。彼の事も、ルルーシュの事も…私がきちんと…きちんとやっているから…。君は…何も恐れなくていいんだ…」
そう云って、シュナイゼルが立ち上がり、ゼロを立ち上がらせ、抱きしめる。
それは…とても慈愛の溢れている…
そんな光景だった。
多くの後悔を背負いながら来た…そんなことがよく解る…

 しかし…ゼロの方は…
そんなシュナイゼルの腕を振り払う…
「何を!口ではなんとでも云える!ルルーシュの為に…わざわざ決まっていた日本支社の座をあなたが奪った!俺自身、そんなものに興味はなかったが…異母兄さんがそこまで執着している者が…ルルーシュだったとはね…」
ゼロが何か、堰を切った様に喋り出した。
これまで、飄々としていたゼロとは別人のようだ。
「俺がどんな思いをしてここまで来たかも知らない奴が…そして、誰からも愛されるのが当然な奴が…何故…」
ゼロの言葉は…
一体何に刺しての者かがよく解らない。
でも、それはルルーシュに対しての嫉妬…にも聞こえる様な…
そんな風に聞こえるのは…
―――私の…自惚れだろうか?
そんな風に思えて来た。
「攫ってやれば、俺の事を憐れんだ目で見ている!何様のつもりだ!俺に対して同情など…。それこそ、なんでも持っている奴にそんな目で見られるのは、流石に俺もプライドが許さないんだよ!」
ゼロのこの叫びに…
スザクもなんだか…ゼロに対して…何か悲しいものを抱えているのだと…
思わざるを得ない。
ルルーシュとスザクが一緒にいた時、ゼロがスザクを見る目は…
―――大切なルルーシュが、ルルーシュを泣かせてばかりの俺と一緒にいて、安心している姿が許せない…そんな感じだった…
そんな風に思える。
「別に俺は…高い地位なんていらない…使いきれない程の金なんかいらない!訳の解らない権力なんてもっといらない!なのに…そんなものばっかりが手に入って、一番欲しいものは…俺の赤ん坊の時…あのジジィどもに攫われた時に…」
ゼロの声が震えているのが解る…
ゼロが…どんな思いで、ルルーシュと接していたのか…
それを考えた時…
ルルーシュの中で痛みを感じる。
「元々、枢木家が飛び出したりしなければ…俺は…俺は…」
それ以上…ゼロの言葉が続かない。
シュナイゼル自身、全てを準備していたが…
元々、取り引きをする為に用意したものではない。
一通りそろえて、ゼロがシュナイゼルの目の前に現れるのを待っていたのだ。
今なら…
―――あの老人どもは…いない…
その為にジノに、動いて貰った。
まだ、ヴァインベルググループの権限などの行方は世間には知らされていない。
ひとまず、ランペルージグループが融資と云う形で立て直しを図り、ランペルージグループが選んだ代表を置く…と云う形にしたのだ。
そして、そのランペルージグループが選んだ代表と云うのは…
「ゼロ…もう、君はあそこに戻らなくていい…。ちょうど、君のお気に入りのお友達も一緒にここにきてくれて助かったよ…」
シュナイゼルがどこまで知っているのか…
どこまで把握し、掌握しているのか…
「そろそろ記者会見が始まる…」
シュナイゼルの言葉に…カノン以外のこの場の人間が…驚いた顔を見せる。
「記者…会見…?」
「ルルーシュ…忘れたのかい?ヴァインベルググループの件のランペルージグループの方針を発表するのは…今日だったんだよ…」
バタバタ状態で…すっかり忘れていた…
「あ…」
「シュナイゼル!では、最初から!」
「そう…私もそうそう、バカな事ばかりはしていられないからね…。君にもバカな事をしがちな私を抑えて貰う為にも…戻ってきて欲しいんだけれどね…」
シュナイゼルの言葉に…カノンは『やれやれ』と云う表情をしているし、他のメンツは…ただ、目の前の史上最悪の詐欺師を呆然と見つめる事しか出来なかった。

To Be Continued


あとがきに代えて



シュナ兄…
性格の悪さ炸裂!
目的の為なら手段を選ばない!
これぞシュナ兄クオリティ!
とまぁ、そんな事を云っていますけれど…
今回はゼロがなんか…ヘタレて、シュナ兄やりたい放題!
カノンさん…こんな人について行くのは大変でしょう…
まぁ、ちょっと不完全燃焼っぽいんで、来週、もう少し詳細を…
とにかく、今日は大筋を決めなくてはならなくて…
でも、この話に関しては一回じゃ終わらんな…と思っていたので…
だから、大筋だけやって、次回、少し細かい部分の肉付けをしようと思っております。
多分、これだけ読んで…『良く解んねぇぞ!』って方も多いかと思いますが…
とにかく、ゼロを大人しくさせないと、肉づけもへったくれもなかったもんで。
少しずつ、ハッピーエンドに近付いているでしょうか?
と云うか、今回、完全にシュナ兄とゼロのお話しっぽくなっちゃいました。
次回はジノも出て来ます。
話しがこんがらがり過ぎて…
書き始めた頃のプロットなんて何の役にも立たなくなりました…(;-_-) =3 フゥ



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posted by 和泉綾 at 22:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年05月02日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 18



 ゼロとの約束の期限…
その日、シュナイゼルは全てが揃っている旨をゼロに連絡した。
そして、その電話の1時間後にゼロの指定する場所へと向かうこととなった。
その際には
『必ず、お一人で来て下さいね?俺はあの二人と二人の護衛は連れて行きますけれど…それ以外は連れては行きませんから…』
こう云った交渉で、シュナイゼル相手にそんな事を偽ったところで、すぐに見抜かれることはゼロも承知しているだろう。
しかし、こうした交渉の場合、その場を見ている証人が必要となる筈だ。
それでも、ゼロは…
―――それだけ僕を信用するほど…ゼロも甘っちょろい中にいたわけではないだろうに…
シュナイゼルは、ゼロの申し出を訝しげには思うが…
それでも、そのまま鵜呑みにして交渉に当たるのは危険だ。
人がダメなら…
と云うことで、シュナイゼルのスーツの裏側の裏側の解り難い場所に小型の無線機を取り付けた。
「カノン…ゼロからの電話を聞いていたね?」
傍にいたカノンにそう尋ねると…
カノン自身は当然と云う様に頷いた。
「はい…。どの辺りまで遠ざけられてしまうかは解りませんが…受信距離は最高レベルにしてあります。こちらからの通信は受け取れないかとは思いますが…」
カノンがやや、心配げにそう云うと…
シュナイゼルは相変わらず柔和な笑みを見せた。
「だから、君に頼むんだろう?これで…ゼロも取り戻すことが出来れば…ベストなのだけれど…ね…」
その言葉を発した時だけ…シュナイゼルの表情が曇った。
シュナイゼル自身、ゼロと初めて出会った時には既に、敵対する立場として出会っていた。
しかし、時々見る、ゼロの寂しげな…悲しげな表情を…シュナイゼルの中では凄く印象的で…
だから、初めてルルーシュを見た時には驚いた。
あまりにそっくりで…
そして、気質まで、そっくりで…
「シュナイゼル様、大丈夫です。ジノ様もちゃんと、協力して下さいます。ルルーシュ嬢の為に…。シュナイゼル様も、ご自身の守りたいと願うものの為に動いて下さればいいのです…」
長いこと、シュナイゼルに従っているカノン…
ルルーシュと同じ歳で…ルルーシュとはまた違った意味で有能で…
そして、全てを知る者…
「そうだね…。僕は…そう云う意味では初めてなのかもしれない…。ここまで我を通す為に動くのは…。そして、こんなに欲を持ったのは…。僕にも…こんなに欲しいものが…あったんだね…」
少々自嘲気味に笑うシュナイゼル。
でも、なぜ、そこでシュナイゼルが自分を嘲笑うかのように笑みを浮かべるのか…
カノンもその理由を知っているだけに…少し切なくなるが…
それでも、ルルーシュと出会って、シュナイゼルは変わった。
決して、表には出さないかもしれないけれど…
決して、周囲には理解しては貰えないかもしれないけれど…
「人は…欲を持ってこそ人です。人は…人の心に従うものです。人外の者に従うのは…その心ではなく、その力を恐れて従っているのですから…」
「だから…僕は人と、証明されたわけか…。笑ってしまうね…。ずっと彼女の為に…理想を演じて来たつもりなのに…」
「彼女だって、きっと、人としてのシュナイゼル様をお慕いしているんですよ。彼女は髪の崇拝者ではありませんから…」

 カノンの言葉に、更に自嘲してしまう。
正直、他の人間からそんな風に云われてしまうと…これまで自分が必死に積み上げて来たものがなんだったのか…と云う風に考えてしまうから。
「でも、彼女は…ルルーシュは僕に『理想の義兄』を見ている。だから…あの時…」
「それは違いますよ…。彼女だって、シュナイゼル様が努力してそうあってきたことは知っていらっしゃいますよ…。彼女はそこまで頭の悪い方なのですか?」
少しだけ、イジワルのは云った質問を返すと、シュナイゼルがムッとした表情を見せる。
時々、カノンはこんな形でシュナイゼルを弄るものだから…
でも…
そのお陰で今、どうにもならない程の緊張が少しだけ緩められた気がする。
そんな自分に気づいて…
―――やはり…僕も人間…なのか…。せめて、彼女の中では…『理想』でいたいのに…
シュナイゼル自身、ルルーシュとたとえ、想いが通じ合ったとしても、結ばれることはない事を解っている。
それを強引に押し通そうとすれば…
確実に引き離されるし、彼女が『ランペルージ』の名前を名乗っているのだから、シュナイゼルが一族の決めた結婚相手以外の女性と想いを添い遂げようとする以上に、辛い事になる。
義妹が出来た事に、喜びを感じた事もあったけれど…
―――今は残酷なだけ…だね…。
そんな風に考えると、そんな気持ちを誤魔化すかのような笑みがこぼれてしまう。
きっと、周囲から見たら酷く滑稽な顔をしていることだろう。
「シュナイゼル様…」
そんな気持ちを察したのか、カノンがシュナイゼルに声をかけた。
もう、約束の時間が迫っているのだろう。
カノンはその事だけで声をかけたわけではないのだけれど…
それでも、そんな形で心配されることに慣れていない…と云うか、そんな自分を認めたくないシュナイゼルの気持ちがそうさせるのかもしれない。
「解った…行こう…」
そう云って、シュナイゼルが椅子から立ち上がる。
そして、ジノに電話をすると…2コールでジノが出た。
「時間だ…」
『解った…。くれぐれも…無茶はするな…。ルルーシュを救い出すことが最優先だが…君に何かあった時…彼女は自分を責める…』
「ああ…解っている…。頼むよ?ジノ…」
その会話で切られた短い会話。
どんな話をしていたのか…大体の見当がついているカノンには…
―――本当に解って下さっているとよろしいのですが…
そんな風に思えてならない。
カノン自身、シュナイゼルには恩がある。
ここまで、カノン自身、シュナイゼルの為に動いてきた。
そして、これからも…
その決意があるからこそ…こんな風に揺れているシュナイゼルを見ていて…複雑な気持ちになってしまう。
本当に大丈夫なのだろうか…と…
今、シュナイゼルが守ろうとしているものが一つでも守れなかった時には…シュナイゼルはどうなってしまうのだろうか…と…
シュナイゼルは確かに強い。
でも…
―――これまで、理想であろうとし続けていたせいで…そのひずみが出なければいいのですが…
そんな思いに駆られるのは…カノンの考え過ぎなのだろうか…
正直、心配は募るばかりだ。

 そして…
「さぁ、ここから出て貰おうか…」
そんな風にノックもなしに部屋の扉を開けて来たのは…
「ゼロ…」
ルルーシュがその存在を睨みつけた。
これも、精一杯の強がりであることは、スザクは解っているけれど…
でも、後になって必ずルルーシュはその事で力を落としている。
ゼロ自身、この二人に危害を加えることは一切しなかった。
口では…
本当に不器用なのか、何なのか…嫌がらせみたいな事ばかり云っているけれど。
「おいおい…血のつながりのないシュナイゼルに対しては『義兄さま』で、俺の場合は呼び捨てか?可愛げがないな…」
ゼロが『やれやれ』と云った表情をする。
これは今ではいつもの光景となっている。
でも、ルルーシュはいつもその事に後悔している。
ゼロの生い立ちを…完璧…と云うより、さわりの部分しか知らないルルーシュだったけれど…
「私は…あなたを『異父兄』と認めた覚えはない!」
ルルーシュがゼロを睨みつけながらそう、怒鳴る様に云い放った。
スザク自身、この二人を見て来て、本当に似た者異父兄妹だと思ってしまうのだけれど…
気の強いところも、素直じゃないところも、不器用なところも…
客観的な目で見ているからそんな風に見えるのかもしれないけれど…
「君が認めようと、認めまいと、それは事実だ…。事実だけはどうやっても変えることはできない…。なんだったら俺と君の血液でDNA鑑定でもして貰うかい?」
本当に余計な事を云って、逆なでをしている。
何故、ここまで素直じゃないのか…と思ってしまうのだけれど…
「ゼロ!そんな事やっている時間がないことは解っているんでしょ!」
ゼロの後ろに控えていたマオがゼロにそう怒鳴りつける。
多分、ルルーシュとスザクがここに来てからマオがゼロにこんな風に怒鳴ったり、説教したりする回数は確実に増えていることだろう。
「解っているよ…。ほらよく云うじゃないか…。好きな子ほど苛めたい…そう云う奴さ…」
どこまで本気で云っているのか、解らない…と云うか、普通に聞けば普通にふざけているようにしか聞こえないゼロの言葉…
そのゼロの言葉にまた、ルルーシュがキッとゼロを睨む。
そんなルルーシュの様子に、少々おどけた表情を見せながらゼロが肩をすくめる。
「まぁ、確かにこんなことをして遊んでいる時間はないな…。とりあえず、付いて来て貰おうか…。ルルーシュ…君の会いたがっていた『シュナイゼル義兄さま』に会わせてやるよ…」
ゼロが表情をすぐさまかえて、云い放つ。
その言葉に、ルルーシュの表情も強張った。
―――これから…シュナイゼル義兄さまと…
「あと、枢木スザク君、君にもついて来て貰うよ…。シュナイゼルと話しをした後で君に会いたいと云う人間がいるんだ…」
スザクは話しを振られて…不思議そうな顔をする。
そんなスザクの顔を見て、ゼロが酷薄な笑みを浮かべる。
「君は…君の家の事を…知らないのかい?」
その一言で…スザクの表情が一変する。
スザクのその表情を見てゼロが更に黒い笑みを見せた。
「知っているなら話が早い…。俺もそろそろ解放されたいんでね…」

 ゼロの言葉に…今度はスザクの顔が強張った。
ルルーシュには何のことなのか…さっぱり解らない。
ここまで、ずっと、ルルーシュを元気づけて来たスザクの表情が…
こんな風に変わるなどとは…
「まさか…君たちのバックにいるのは…」
スザクがその一言をやっと口に出した。
そして、少し、身体が震えている様にも見える。
「そうだよ…。俺としてはお前たちを恨まない理由がない…。解るよな?」
ゼロの言葉に…スザクはただ黙っている。
スザクが…ユーフェミアと付き合っていて、いろいろ周囲が蠢いていた時に…
スザクは母親から聞かされた。
「まぁ、そうだろうな…」
スザクもゼロの言葉に対して反する言葉を発しなかった。
この中で…ルルーシュだけが知らない…
でも、何となく解るのは…
―――きっと、ここでも私たちではどうにもならない…そんなことが横たわっている…
今の状況で、気にならないと云えばウソになるが…
この様子だと、たとえ、知りたくなくとも…その事はルルーシュにも伝えられる…
そんな風に思う。
恐らく、知ったら…
ルルーシュは今よりももっと、ゼロを怨めなくなる。
憎めなくなる。
「そこまで解っているなら…誰が君と会いたがっているのか…そして、その先、どうなるのか…くらいは見当がついているな?」
ゼロが更に念を押す様に尋ねた。
「お前が…『そろそろ解放されたい』と云うなら…方法は一つしかないだろう?」
「話しが早くて助かる…」
ゼロがそう云いかけた時、スザクが言葉を遮った。
「でも…俺は戻ってくる…。俺は…ルルーシュを守ると決めた…。そんな、今になってそんな事を云われたって、俺にだって俺の人生がある…。俺が承諾しなければ存続しえないと云うなら…いっそ…」
スザクがそこまで云って言葉を切った。
何かを…断ち切る様な…そんな風に見える。
そして、ちらりとルルーシュを見た。
「いっそ…そのまま消えてしまえばいい…。様子を見ている限り、ゼロ…お前がかなりの力を持っているんだろう?簡単に云えば…お前みたいな若造が力を持てる…そんな状態なら…俺なんかが戻ったって何もできはしない…」
そんなスザクに、ゼロがふっと笑って見せた。
その笑みが何なのか…今のところ…良く解らないが…
でも…
「覚悟はあるのか?その先…お前たちを握りつぶすくらいの力は残っているぞ?」
「それでも…俺はルルーシュを守る…。ロロだって今、守りたいものがあるんだ…。だから…俺たちは犠牲になんてなったりしない…」
スザクがまるで強い決意を込めるように…そう、云い切った。
「俺は正味な話し…犠牲者なんだがな…」
ゼロの言葉に…ぐっと歯を食いしばる。
確かに…ゼロの云う通りだ。
あの時…確かにスザクも生まれる前で…直接関わっていなかったのだとしても…
それでも…
「それでも…俺は俺の守りたいものの為に生きると…そう決めた。俺にそこまで責任を求められても困る!」
スザクがそう云い切った。
その時…ルルーシュは…
―――この感じ…どこかで…
今の感覚…何か覚えがある…
それがいつのことだったのか…すぐに思いだした…
―――そうか…中学の入学式の時…ユーフェミアが私にぶつかって来た時の…スザクから感じたのと…同じなんだ…

 本当に、実際の時間はどれほどの時間だったのか…
時計を見て驚くほど短い…
でも…
それは、そんな短い時間の間に…様々な事が目の前で繰り広げられていたと云うこと…
「さて、お遊びはこれまでだ…。とりあえず、枢木スザク…君があの男と会ってくれればその先は俺の関与するところではない…。それに、君はルルーシュを守りたいんだろう?」
そう尋ねながら、嫌な笑みをスザクに向ける。
確かにその通りで…
本来なら、ゼロが巻き込まれずに済んだ話だったかもしれないのだ。
でも…
―――それがなければ…俺は…ルルーシュやナナリーと出会うことはなかった…
複雑な思いはあるけれど…
しかし、ここで思い悩んでいても、ごちゃごちゃともめていても仕方がない。
「ゼロ!スザクに酷いことしたら…許さないから!」
その二人の様子を見ていてルルーシュが横やりを入れた。
精一杯の強がり…
それがあからさまに解るだけに…スザクもゼロも心の中で苦笑する。
人が見れば…強い…と判断出来るだろう。
既に少女と呼ぶには大人になっているし、女性と呼ぶにはまだ幼い…
それでも、ルルーシュはスザクを守ろうとする。
あの時の様に…
今も、スザクの為にゼロを怒鳴っている状態…
ゼロとしては…
何とも思わない…と云ったら、ウソになるだろう。
でも、今はそれを甘んじて受けなければならない。
否、恐らくこれからも…
こうして、話しが出来ること自体、自分で作り上げた舞台がなければあり得ない事だった。
こんな方法を取った理由…
ルルーシュが動揺して、ゼロに対して怒りの声しか向けてくれないことは…
解っていた。
それでも…
―――俺が欲しいものの為には…
欲しいものは…1つではない。
でも、全てを求めていたら、何一つ手に入らない。
だから、今回の選択をしたのだ。
他に方法があったと云うなら…教えて欲しいと云うくらいに…
ゼロにとって、一番欲するものは…
「さて、こんなところで時間を割いている余裕はない。一応、万一の事を考えてマオを護衛に着ける。まぁ、そこのルルーシュのナイト君がいれば何とかなるかもしれないが…彼自身も傷付けるわけにはいかないのでね…」
本当に癇に障る云い方だ…そんな風に思ってしまう。
それでも、その言葉の裏側に隠されているものが大きいからこそ、ゼロはこんな態度を取るのだ。
「どこへ…?」
「まぁ、着いてくれば解るさ…。その時に…ルルーシュ…君がそこまで会いたいと思っている『シュナイゼル義兄さま』に会える…それは約束する…」
一瞬だけ…本当に一瞬だけ…
ゼロの瞳が優しくなった気がした。
ルルーシュの中では…気の所為だと…そう思ってしまうのだけれど…
相手の考えていることが解らない…
そして、スザクが抱えているものも解らない…
解らない事だらけで…自分だけが、守られている…そんな感覚にルルーシュ自身…落ち着かない気持ちを抱えていた。
しかし、そんな気持ちを抱えていたとしても…どれ程不安になっていたとしても…
―――事が動いて行く…。人の意思など…関係なく…置き去りにして…

To Be Continued


あとがきに代えて



次回…ルルーシュとシュナ兄が再会ですねぇ…
長かったなぁ…
間…完全にすっ飛ばしているし…
ただ、その間の話しは結構めんどくさいし、書いても読んでも面白くないし、スルーしても問題ないと思ったので…
だから、すっ飛ばしました。
そろそろ、ゼロが欲しいと思っているもの…解った方はいらっしゃるでしょうか?
ゼロの暴走を抑える為に急遽、強引に放り込んだ設定だったのですが…
うまく繋がっているといいな…
あんまりどんでん返しばかりだと話しが混乱するんで…適当なところでオチを付けながら頑張っております。
そして…スザクの意味深な設定…
ウフフフ…♪
こう云う文章を書いている時、多分、和泉は凄く悪逆な笑みを浮かべながら書いているんでしょうね…(笑)
その内、拍手対談でスザクに刺されるかもしれません…(爆)
ルルーシュが仕方なく、
『このバカ女を刺してしまえ…』
と云って、スザクは嬉々として
『イエス、ユア・マジェスティ!!!』
と答えて、躊躇う事無く…(爆)
今回もくるくるキックをお見舞いされちゃいましたしね…(爆)
いつも、拍手対談を読破して下さっているみなさん、本当に長いバカ話にお付き合い下さって有難う御座居ます。



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posted by 和泉綾 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。



Third Story 18



 ゼロとの約束の期限…
その日、シュナイゼルは全てが揃っている旨をゼロに連絡した。
そして、その電話の1時間後にゼロの指定する場所へと向かうこととなった。
その際には
『必ず、お一人で来て下さいね?俺はあの二人と二人の護衛は連れて行きますけれど…それ以外は連れては行きませんから…』
こう云った交渉で、シュナイゼル相手にそんな事を偽ったところで、すぐに見抜かれることはゼロも承知しているだろう。
しかし、こうした交渉の場合、その場を見ている証人が必要となる筈だ。
それでも、ゼロは…
―――それだけ僕を信用するほど…ゼロも甘っちょろい中にいたわけではないだろうに…
シュナイゼルは、ゼロの申し出を訝しげには思うが…
それでも、そのまま鵜呑みにして交渉に当たるのは危険だ。
人がダメなら…
と云うことで、シュナイゼルのスーツの裏側の裏側の解り難い場所に小型の無線機を取り付けた。
「カノン…ゼロからの電話を聞いていたね?」
傍にいたカノンにそう尋ねると…
カノン自身は当然と云う様に頷いた。
「はい…。どの辺りまで遠ざけられてしまうかは解りませんが…受信距離は最高レベルにしてあります。こちらからの通信は受け取れないかとは思いますが…」
カノンがやや、心配げにそう云うと…
シュナイゼルは相変わらず柔和な笑みを見せた。
「だから、君に頼むんだろう?これで…ゼロも取り戻すことが出来れば…ベストなのだけれど…ね…」
その言葉を発した時だけ…シュナイゼルの表情が曇った。
シュナイゼル自身、ゼロと初めて出会った時には既に、敵対する立場として出会っていた。
しかし、時々見る、ゼロの寂しげな…悲しげな表情を…シュナイゼルの中では凄く印象的で…
だから、初めてルルーシュを見た時には驚いた。
あまりにそっくりで…
そして、気質まで、そっくりで…
「シュナイゼル様、大丈夫です。ジノ様もちゃんと、協力して下さいます。ルルーシュ嬢の為に…。シュナイゼル様も、ご自身の守りたいと願うものの為に動いて下さればいいのです…」
長いこと、シュナイゼルに従っているカノン…
ルルーシュと同じ歳で…ルルーシュとはまた違った意味で有能で…
そして、全てを知る者…
「そうだね…。僕は…そう云う意味では初めてなのかもしれない…。ここまで我を通す為に動くのは…。そして、こんなに欲を持ったのは…。僕にも…こんなに欲しいものが…あったんだね…」
少々自嘲気味に笑うシュナイゼル。
でも、なぜ、そこでシュナイゼルが自分を嘲笑うかのように笑みを浮かべるのか…
カノンもその理由を知っているだけに…少し切なくなるが…
それでも、ルルーシュと出会って、シュナイゼルは変わった。
決して、表には出さないかもしれないけれど…
決して、周囲には理解しては貰えないかもしれないけれど…
「人は…欲を持ってこそ人です。人は…人の心に従うものです。人外の者に従うのは…その心ではなく、その力を恐れて従っているのですから…」
「だから…僕は人と、証明されたわけか…。笑ってしまうね…。ずっと彼女の為に…理想を演じて来たつもりなのに…」
「彼女だって、きっと、人としてのシュナイゼル様をお慕いしているんですよ。彼女は髪の崇拝者ではありませんから…」

 カノンの言葉に、更に自嘲してしまう。
正直、他の人間からそんな風に云われてしまうと…これまで自分が必死に積み上げて来たものがなんだったのか…と云う風に考えてしまうから。
「でも、彼女は…ルルーシュは僕に『理想の義兄』を見ている。だから…あの時…」
「それは違いますよ…。彼女だって、シュナイゼル様が努力してそうあってきたことは知っていらっしゃいますよ…。彼女はそこまで頭の悪い方なのですか?」
少しだけ、イジワルのは云った質問を返すと、シュナイゼルがムッとした表情を見せる。
時々、カノンはこんな形でシュナイゼルを弄るものだから…
でも…
そのお陰で今、どうにもならない程の緊張が少しだけ緩められた気がする。
そんな自分に気づいて…
―――やはり…僕も人間…なのか…。せめて、彼女の中では…『理想』でいたいのに…
シュナイゼル自身、ルルーシュとたとえ、想いが通じ合ったとしても、結ばれることはない事を解っている。
それを強引に押し通そうとすれば…
確実に引き離されるし、彼女が『ランペルージ』の名前を名乗っているのだから、シュナイゼルが一族の決めた結婚相手以外の女性と想いを添い遂げようとする以上に、辛い事になる。
義妹が出来た事に、喜びを感じた事もあったけれど…
―――今は残酷なだけ…だね…。
そんな風に考えると、そんな気持ちを誤魔化すかのような笑みがこぼれてしまう。
きっと、周囲から見たら酷く滑稽な顔をしていることだろう。
「シュナイゼル様…」
そんな気持ちを察したのか、カノンがシュナイゼルに声をかけた。
もう、約束の時間が迫っているのだろう。
カノンはその事だけで声をかけたわけではないのだけれど…
それでも、そんな形で心配されることに慣れていない…と云うか、そんな自分を認めたくないシュナイゼルの気持ちがそうさせるのかもしれない。
「解った…行こう…」
そう云って、シュナイゼルが椅子から立ち上がる。
そして、ジノに電話をすると…2コールでジノが出た。
「時間だ…」
『解った…。くれぐれも…無茶はするな…。ルルーシュを救い出すことが最優先だが…君に何かあった時…彼女は自分を責める…』
「ああ…解っている…。頼むよ?ジノ…」
その会話で切られた短い会話。
どんな話をしていたのか…大体の見当がついているカノンには…
―――本当に解って下さっているとよろしいのですが…
そんな風に思えてならない。
カノン自身、シュナイゼルには恩がある。
ここまで、カノン自身、シュナイゼルの為に動いてきた。
そして、これからも…
その決意があるからこそ…こんな風に揺れているシュナイゼルを見ていて…複雑な気持ちになってしまう。
本当に大丈夫なのだろうか…と…
今、シュナイゼルが守ろうとしているものが一つでも守れなかった時には…シュナイゼルはどうなってしまうのだろうか…と…
シュナイゼルは確かに強い。
でも…
―――これまで、理想であろうとし続けていたせいで…そのひずみが出なければいいのですが…
そんな思いに駆られるのは…カノンの考え過ぎなのだろうか…
正直、心配は募るばかりだ。

 そして…
「さぁ、ここから出て貰おうか…」
そんな風にノックもなしに部屋の扉を開けて来たのは…
「ゼロ…」
ルルーシュがその存在を睨みつけた。
これも、精一杯の強がりであることは、スザクは解っているけれど…
でも、後になって必ずルルーシュはその事で力を落としている。
ゼロ自身、この二人に危害を加えることは一切しなかった。
口では…
本当に不器用なのか、何なのか…嫌がらせみたいな事ばかり云っているけれど。
「おいおい…血のつながりのないシュナイゼルに対しては『義兄さま』で、俺の場合は呼び捨てか?可愛げがないな…」
ゼロが『やれやれ』と云った表情をする。
これは今ではいつもの光景となっている。
でも、ルルーシュはいつもその事に後悔している。
ゼロの生い立ちを…完璧…と云うより、さわりの部分しか知らないルルーシュだったけれど…
「私は…あなたを『異父兄』と認めた覚えはない!」
ルルーシュがゼロを睨みつけながらそう、怒鳴る様に云い放った。
スザク自身、この二人を見て来て、本当に似た者異父兄妹だと思ってしまうのだけれど…
気の強いところも、素直じゃないところも、不器用なところも…
客観的な目で見ているからそんな風に見えるのかもしれないけれど…
「君が認めようと、認めまいと、それは事実だ…。事実だけはどうやっても変えることはできない…。なんだったら俺と君の血液でDNA鑑定でもして貰うかい?」
本当に余計な事を云って、逆なでをしている。
何故、ここまで素直じゃないのか…と思ってしまうのだけれど…
「ゼロ!そんな事やっている時間がないことは解っているんでしょ!」
ゼロの後ろに控えていたマオがゼロにそう怒鳴りつける。
多分、ルルーシュとスザクがここに来てからマオがゼロにこんな風に怒鳴ったり、説教したりする回数は確実に増えていることだろう。
「解っているよ…。ほらよく云うじゃないか…。好きな子ほど苛めたい…そう云う奴さ…」
どこまで本気で云っているのか、解らない…と云うか、普通に聞けば普通にふざけているようにしか聞こえないゼロの言葉…
そのゼロの言葉にまた、ルルーシュがキッとゼロを睨む。
そんなルルーシュの様子に、少々おどけた表情を見せながらゼロが肩をすくめる。
「まぁ、確かにこんなことをして遊んでいる時間はないな…。とりあえず、付いて来て貰おうか…。ルルーシュ…君の会いたがっていた『シュナイゼル義兄さま』に会わせてやるよ…」
ゼロが表情をすぐさまかえて、云い放つ。
その言葉に、ルルーシュの表情も強張った。
―――これから…シュナイゼル義兄さまと…
「あと、枢木スザク君、君にもついて来て貰うよ…。シュナイゼルと話しをした後で君に会いたいと云う人間がいるんだ…」
スザクは話しを振られて…不思議そうな顔をする。
そんなスザクの顔を見て、ゼロが酷薄な笑みを浮かべる。
「君は…君の家の事を…知らないのかい?」
その一言で…スザクの表情が一変する。
スザクのその表情を見てゼロが更に黒い笑みを見せた。
「知っているなら話が早い…。俺もそろそろ解放されたいんでね…」

 ゼロの言葉に…今度はスザクの顔が強張った。
ルルーシュには何のことなのか…さっぱり解らない。
ここまで、ずっと、ルルーシュを元気づけて来たスザクの表情が…
こんな風に変わるなどとは…
「まさか…君たちのバックにいるのは…」
スザクがその一言をやっと口に出した。
そして、少し、身体が震えている様にも見える。
「そうだよ…。俺としてはお前たちを恨まない理由がない…。解るよな?」
ゼロの言葉に…スザクはただ黙っている。
スザクが…ユーフェミアと付き合っていて、いろいろ周囲が蠢いていた時に…
スザクは母親から聞かされた。
「まぁ、そうだろうな…」
スザクもゼロの言葉に対して反する言葉を発しなかった。
この中で…ルルーシュだけが知らない…
でも、何となく解るのは…
―――きっと、ここでも私たちではどうにもならない…そんなことが横たわっている…
今の状況で、気にならないと云えばウソになるが…
この様子だと、たとえ、知りたくなくとも…その事はルルーシュにも伝えられる…
そんな風に思う。
恐らく、知ったら…
ルルーシュは今よりももっと、ゼロを怨めなくなる。
憎めなくなる。
「そこまで解っているなら…誰が君と会いたがっているのか…そして、その先、どうなるのか…くらいは見当がついているな?」
ゼロが更に念を押す様に尋ねた。
「お前が…『そろそろ解放されたい』と云うなら…方法は一つしかないだろう?」
「話しが早くて助かる…」
ゼロがそう云いかけた時、スザクが言葉を遮った。
「でも…俺は戻ってくる…。俺は…ルルーシュを守ると決めた…。そんな、今になってそんな事を云われたって、俺にだって俺の人生がある…。俺が承諾しなければ存続しえないと云うなら…いっそ…」
スザクがそこまで云って言葉を切った。
何かを…断ち切る様な…そんな風に見える。
そして、ちらりとルルーシュを見た。
「いっそ…そのまま消えてしまえばいい…。様子を見ている限り、ゼロ…お前がかなりの力を持っているんだろう?簡単に云えば…お前みたいな若造が力を持てる…そんな状態なら…俺なんかが戻ったって何もできはしない…」
そんなスザクに、ゼロがふっと笑って見せた。
その笑みが何なのか…今のところ…良く解らないが…
でも…
「覚悟はあるのか?その先…お前たちを握りつぶすくらいの力は残っているぞ?」
「それでも…俺はルルーシュを守る…。ロロだって今、守りたいものがあるんだ…。だから…俺たちは犠牲になんてなったりしない…」
スザクがまるで強い決意を込めるように…そう、云い切った。
「俺は正味な話し…犠牲者なんだがな…」
ゼロの言葉に…ぐっと歯を食いしばる。
確かに…ゼロの云う通りだ。
あの時…確かにスザクも生まれる前で…直接関わっていなかったのだとしても…
それでも…
「それでも…俺は俺の守りたいものの為に生きると…そう決めた。俺にそこまで責任を求められても困る!」
スザクがそう云い切った。
その時…ルルーシュは…
―――この感じ…どこかで…
今の感覚…何か覚えがある…
それがいつのことだったのか…すぐに思いだした…
―――そうか…中学の入学式の時…ユーフェミアが私にぶつかって来た時の…スザクから感じたのと…同じなんだ…

 本当に、実際の時間はどれほどの時間だったのか…
時計を見て驚くほど短い…
でも…
それは、そんな短い時間の間に…様々な事が目の前で繰り広げられていたと云うこと…
「さて、お遊びはこれまでだ…。とりあえず、枢木スザク…君があの男と会ってくれればその先は俺の関与するところではない…。それに、君はルルーシュを守りたいんだろう?」
そう尋ねながら、嫌な笑みをスザクに向ける。
確かにその通りで…
本来なら、ゼロが巻き込まれずに済んだ話だったかもしれないのだ。
でも…
―――それがなければ…俺は…ルルーシュやナナリーと出会うことはなかった…
複雑な思いはあるけれど…
しかし、ここで思い悩んでいても、ごちゃごちゃともめていても仕方がない。
「ゼロ!スザクに酷いことしたら…許さないから!」
その二人の様子を見ていてルルーシュが横やりを入れた。
精一杯の強がり…
それがあからさまに解るだけに…スザクもゼロも心の中で苦笑する。
人が見れば…強い…と判断出来るだろう。
既に少女と呼ぶには大人になっているし、女性と呼ぶにはまだ幼い…
それでも、ルルーシュはスザクを守ろうとする。
あの時の様に…
今も、スザクの為にゼロを怒鳴っている状態…
ゼロとしては…
何とも思わない…と云ったら、ウソになるだろう。
でも、今はそれを甘んじて受けなければならない。
否、恐らくこれからも…
こうして、話しが出来ること自体、自分で作り上げた舞台がなければあり得ない事だった。
こんな方法を取った理由…
ルルーシュが動揺して、ゼロに対して怒りの声しか向けてくれないことは…
解っていた。
それでも…
―――俺が欲しいものの為には…
欲しいものは…1つではない。
でも、全てを求めていたら、何一つ手に入らない。
だから、今回の選択をしたのだ。
他に方法があったと云うなら…教えて欲しいと云うくらいに…
ゼロにとって、一番欲するものは…
「さて、こんなところで時間を割いている余裕はない。一応、万一の事を考えてマオを護衛に着ける。まぁ、そこのルルーシュのナイト君がいれば何とかなるかもしれないが…彼自身も傷付けるわけにはいかないのでね…」
本当に癇に障る云い方だ…そんな風に思ってしまう。
それでも、その言葉の裏側に隠されているものが大きいからこそ、ゼロはこんな態度を取るのだ。
「どこへ…?」
「まぁ、着いてくれば解るさ…。その時に…ルルーシュ…君がそこまで会いたいと思っている『シュナイゼル義兄さま』に会える…それは約束する…」
一瞬だけ…本当に一瞬だけ…
ゼロの瞳が優しくなった気がした。
ルルーシュの中では…気の所為だと…そう思ってしまうのだけれど…
相手の考えていることが解らない…
そして、スザクが抱えているものも解らない…
解らない事だらけで…自分だけが、守られている…そんな感覚にルルーシュ自身…落ち着かない気持ちを抱えていた。
しかし、そんな気持ちを抱えていたとしても…どれ程不安になっていたとしても…
―――事が動いて行く…。人の意思など…関係なく…置き去りにして…

To Be Continued


あとがきに代えて



次回…ルルーシュとシュナ兄が再会ですねぇ…
長かったなぁ…
間…完全にすっ飛ばしているし…
ただ、その間の話しは結構めんどくさいし、書いても読んでも面白くないし、スルーしても問題ないと思ったので…
だから、すっ飛ばしました。
そろそろ、ゼロが欲しいと思っているもの…解った方はいらっしゃるでしょうか?
ゼロの暴走を抑える為に急遽、強引に放り込んだ設定だったのですが…
うまく繋がっているといいな…
あんまりどんでん返しばかりだと話しが混乱するんで…適当なところでオチを付けながら頑張っております。
そして…スザクの意味深な設定…
ウフフフ…♪
こう云う文章を書いている時、多分、和泉は凄く悪逆な笑みを浮かべながら書いているんでしょうね…(笑)
その内、拍手対談でスザクに刺されるかもしれません…(爆)
ルルーシュが仕方なく、
『このバカ女を刺してしまえ…』
と云って、スザクは嬉々として
『イエス、ユア・マジェスティ!!!』
と答えて、躊躇う事無く…(爆)
今回もくるくるキックをお見舞いされちゃいましたしね…(爆)
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posted by 和泉綾 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年04月25日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。


Third Story 17



「これはこれは…そろそろ連絡をくれると思っていましたよ…」
 ゼロがにやりと笑いながら、電話口でそんな事を云っているが…
しかし、実際にはゼロの頭の中で様々な事がぐるぐると回っていることだろう。
決して、自分の考えている事を他人に悟られないように…細心の注意を払う。
それがゼロだ。
だからこそ、後見人になった者たちも様々な形でゼロを警戒しているのだ。
その姿を見ているマオには…電話のその先にいる人物が誰であるのか解らない。
こう云う時、ゼロはマオにさえ、悟らせない。
そのくらい、ゼロは自分が本当にせねばならない事に対しては警戒するし、自分の中で全てを考え、決めて行く。
誰にも相談することはない。
ただ…マオは知っている。
ゼロの心の中にいる…その存在を…
マオ自身、その相手に対して嫉妬を抱いた事もある。
いつもゼロの傍にいるのはマオなのに…そんな想いだってある。
「何をって…俺が考えることなんて…あなた方になら解っている筈です。それを承知で俺を今の立場に置いているんじゃないんですか?」
どうやら…電話をかけて来たのは、ゼロたちが『長老』と呼ぶ者たちだったようだ。
彼らもゼロの有能さの裏側にある危険も解っていた。
それでも、その有能さだけに囚われて…今となっては、危険因子も含んでしまっている相手になっている。
そして、彼らも、ゼロを自分たちのいいなりにする事も、排除する事も出来ない状態で…
簡単に云うと、もてあましている状態…と云うことだ。
ゼロもその事に気づいている。
だからこそ、警戒しているわけだけれど…
「今更何を…。別に俺は、あなた方に牙を向けるつもりはないんですけれどね?あなた方が邪魔さえしなければ…」
ゼロ自身のバックアップはさして大きいわけじゃない。
ただ、ここ数年のゼロの実績によって、ゼロに対しる見方が変わっている者たちも多くなっている。
いい意味でも、悪い意味でも…
しかし、ゼロはこうした動きを見せた時、そんなバックアップがなくても『可能である』と判断できた時にしか動かない。
「今回の事は…確かに俺の独断ですけれど…。でも、うまくいけば、あなた方の欲しかったものも手に入りますよ?だったら、そちらはあなた方に差し上げますし…」
どんな交渉をしているのか…良く解らない…
と云うか、解りたくもない…と思ってしまう。
何故、マオがいるときに電話がかかって来たのか…と呪いたくなる。
周囲の様子が解らないようにしたい…
と云うことで、ゼロは電話中に部屋を出る事を許さない。
少なくとも、電話がかかってきた時点、かけた時点で、人が部屋に入らない様にしている。
だから、マオも今の状態ではそこを動く事も出来ない。
知りたくない話なども出て来るし、それでも、
―――ゼロの為になるなら…
と、本来、そうした、謀略、策略の類が得意ではないマオも何とか、ゼロの役に立ちたいと云う思いだけで…
努力はしている。
ゼロの望むもの、そして、その先に見ているものを知っている。
そして、ゼロの心の中に存在し続けているその人物も…
マオ自身、時々、自分がバカだとも思う。
けれど、元々、行くところのなかったマオに手を差し伸べてくれたのはゼロだった。
それが忘れられない。
だから…

 先ほどから…随分ゼロは電話で喋っている。
確かに、今回の事はあの長老たちがいろいろ怒るのも無理はないと思ってしまう。
しかし、ここまで、ゼロを追い詰めているのも彼らなのだから、ある意味どっちもどっちだ。
「あなた方がやると…俺以上に手荒になるでしょう?ランペルージ家のトップたちが彼女たちの事を溺愛していることはご存じでしょう?」
恐らく、ルルーシュの話しにまで及んでいるのだ。
長老たちのやろうとした事も姑息極まりないけれど。
ただ、その原因を作ったのも、長老たちだ。
聞いていると、本当にゼロは過酷な中に身を置いて来たと思う。
そして、こんな冷酷に見える中に、隠れている…ゼロの本質…
それを知るマオとしては、何故、ゼロがこれほど優秀な人材として生まれて来てしまったのだろうかと思ってしまう。
これだけの優秀さを持つには、ゼロは…
―――優し過ぎる…
異父妹のルルーシュを見ていても思う。
基本的に優しさを持って生れて来ている。
それが、素直に表に出すことのできる環境だったのか、ゼロの様に隠さなければならない状態にあったのか…
の違いはあるとは思うけれど。
「だから…あなたの欲しいものは差し上げますと云っている…。そんなことでウソはつきませんよ…。だから、暫くは黙っていては頂けませんか?」
段々苛立ってきているようで…ゼロの口調が強くなる。
長老たちが何を恐れているのかは…解る。
恐らく、ゼロも解っているのだ。
でも、その話しをあえてしない。
と云うか、相手にさせていない。
いくらゼロの実力を欲しているとしても、あまり彼らにとって不利益だと判断されることが多くなれば…
確実に彼らはゼロを排除する方に傾く。
ゼロ自身は気付いているのだろうか…と、思うことがある。
―――もし、長老たちが欲しいと思っているものを渡したら…ゼロは彼らにとっては用済みになるのに…
ゼロがその事に気づいていない筈がない。
マオ自身それは思っている。
だから、ゼロはマオに対して『離れるなら今のうち』と云ったのかもしれない。
本当に不器用だと思う。
「あなた方のやりたいことは解っていますよ…。だから、ちゃんと俺がそれを手に入れた暁にはきちんと、そちらの方向に行くようにしますから…」
ゼロがにこりと笑う。
その笑いに、マオの背筋はゾクリとする。
多分、長老たちも今のゼロの笑みを見たら…同じように思うかもしれない。
「ご安心を…あなた方には大恩があるんですから…俺は…。はい…失礼致します…」
電話が切れると…
「その先の事は…俺のやりたいようにしますけれどね…長老方…」
更に何かが含まれていると思われる言葉を吐きだした。
その時のゼロの表情…
確実に先の先を読んでいる表情だと思った。
「ゼロ…」
心配そうな表情で、マオがゼロに声をかける。
マオの表情にゼロがはっとしたように、今の表情を和らげた。
「大丈夫だ…マオ…。次のステップに行くぞ…」
「う…うん…」
ゼロのその言葉に、頷く事しか出来ないが…
でも、何かを感じさせる。
それが…何なのか解らないが…
何か不安を抱く様な…そんな表情だった。

 あれから眠っていたルルーシュを見ていたスザクだったが…
これで、ルルーシュが目を醒ましたらまた…
―――押しつぶされないだろうか…
スザクがそんな心配を抱く。
そんな心配をし続けて、どれ程経っただろうか…
だいぶ時間が経って…流石にルルーシュも眠りから覚めそうだ。
「…ん……」
ルルーシュの長い睫毛が震えて、僅かに声が出て来た。
「ルルーシュ…」
恐らく、目が完全に覚めたら思い出して混乱状態になってしまうかもしれない。
先ほど程のような状態になるとは思わないが…
「スザク…?」
ルルーシュがゆっくり目を開いて、スザクの姿をその瞳に映して、その存在を確認した。
「大丈夫か?」
こうした精神的ショックに決して強い方ではないルルーシュ。
記憶をなくした時もそうだった。
まだ、頭がはっきりしていない感じのルルーシュを見る。
とりあえず、スザクのその、存在だけは解っているようだ。
「大…じょ…う…ぶ…」
そう、うつろな目で答える。
まだ、あの時の衝撃までは頭の中にはっきりしていないようだ。
「そうか…。何か、、飲みものでも持って来て貰おうか?のど…乾いているだろう…?」
あの時、スザクが強引に飲ませた紅茶を一口、口にしただけだ。
あんなショックの後で…のどの渇きを覚えない筈はない。
とりあえず、まだ、あの時衝撃がはっきりする前に何か口に入るものを用意しようと思った。
「水…。普通のお水…」
「そうか…。ウォーターピッチャーがあったから…持ってきてやる…」
そう云ってスザクが椅子から腰を上げて、隣の部屋に足を運んだ。
そして、テーブルの上に用意されていたウォーターピッチャーとグラスの置かれたトレイを手に持った時…
『わぁぁぁぁぁ…』
多分、頭がはっきりしてしまったのだろう。
今、ルルーシュがどんな状態で叫び声をあげたのか…
何となく解る。
スザクはすぐにそのトレイをテーブルに置き直して隣の部屋に戻る。
すると…
ルルーシュが頭を抱えてカタカタ震えている。
それまで、全く知らなかった存在を知り…
そして、その存在と云うのが、血を分けた異父兄…
それまで、知らなかった存在がいきなり出て来たのだ。
母であるマリアンヌは何も話してくれなかった。
ルルーシュにもナナリーにも隠された存在…
でも、シュナイゼルは…その存在を知っていた。
「ルルーシュ!」
スザクが戻ってきて、起き上がって震えているルルーシュの肩を抱きしめる。
「か…母様は…義父さまと…。それに…シュナイゼル義兄さまは…えっと…えっと…」
ただ、断片的に言葉が出て来るだけ。
ルルーシュ達の父親の事だって何も話されていない。
本当なら、あったばかりの人間の言葉なんて信用しない。
でも…
ルルーシュの中で…あの男の話していることが…ウソではないことが…解る。
どうしてそんな風に思うのか…解らないけれど。
でも…
だとすると…あのゼロが云っていたシュナイゼルの真の姿とは…
多分、マリアンヌもシュナイゼルもウソを云っていたわけじゃない。
でも、
―――本当の事を…ちゃんと話してくれなかった…
本当に知りたいことを…
否、知らなければならないことを…

 ただ、確かにいろんな本当の事やウソのこと、知らなかった事が頭の中をぐるぐる回っている状態だけれど…
でも、
今、背中に感じている温かさは…
―――どちらなんだろう…
今の状態だと、頼りたくなってしまう…温かさ…
そのまま、寄り掛かってしまいたい温かさ…
でも、これは…
―――本当なのか…偽物なのか…
何を信じていいのか解らない。
どうしたらいいか解らない。
誰にその事を尋ねればいい?
ナナリーに話す訳にはいかない。
でも、誰かがナナリーに話してしまったら?
いつか、ナナリーの耳にも入ってしまうかもしれない…
何も…解らない…
解りなくない…
何故今?
とにかく、ルルーシュの中で様々な疑問が渦を巻いている。
解っている。
これは真実…
でも、あの異父兄は…今になって何故?
今まで自分達に伏せられていたのは何故?
解らない事ばかりだ。
そして…最も知りたいこと…
あの異父兄は…
自分の事をどう思っているのか…
本当なら、ルルーシュにわざわざ云う必要のなかったことだ。
シュナイゼルと交渉したいのなら…
ルルーシュを動揺させる必要なんて…なかったはず。
それなのに…ルルーシュに話した理由は?
余程嫌われている。
そう云った思いにとらわれる。
と云うのも、
自分とナナリーは…
母子家庭ながら、ちゃんと母親の愛情を受けて来た。
確かに忙しい人だし、中々家に帰って来る事も出来なかったけれど。
でも、マリアンヌは子供達に愛情を注いでくれていた。
だから、ルルーシュはナナリーを守ろうと云う気持ちを持つ事が出来た。
ナナリーは身体が弱くとも、他人に対して本当に優しい気持ちを持ってくれた。
でも…
あの、異父兄は…
―――母様の…愛情を何も知らないんだ…
そう思うと…何故、こんなことになったのか…
そして…マリアンヌは自分達を生むよりも先に、義父との間に異父兄を生んでいた…。
これだけのことが並べられたらパニックにならない方がおかしい。
ルルーシュくらい、物事に対して敏感に察知できる人間ならなおさらだ。
ルルーシュは既に大学生だ。
今になって…何故…?
ゼロは…自分達を恨んでいるのだろうか…
欲しいものがあると…
目的があると云っていた。
その為に…ルルーシュが必要だったから…さらったのだろう。
でも、何故、スザクを返してくれないのだろうかと思うのも確かで…
「ルルーシュ…落ち着け…。ごめん…離れたりして…。大丈夫だ…。俺は傍にいるから…。俺が傍にいるから…」
スザクがルルーシュを宥める様にそう、続ける。
どう考えてもルルーシュにはショックな内容であったことは…事実だ。
そして、ルルーシュの事だから、すぐに様々な事を考えて入らない事まで考えて…
自分の中で悪い方へ考えて行く。
ルルーシュの気質では…
―――確実になんとかしようとして、また、自分を犠牲にしようとする…
今、自分の腕の中にいるルルーシュを見ていて…
スザクの中で一番心配しているところだ。
その事が、的中しない事を…心の底からそれを祈らずにはいられなかった…
ルルーシュは見かけほど強くない…
こう云う時、実感する。

 そして…
「シュナイゼル…一通りの準備は整ったんだな?」
ジノが書類のチェックをしつつ、尋ねた。
「ああ…。全ての可能性を考えての措置だ。父さんとも話してあるし、カノンもスタンバイさせる…」
あの後、あらゆる可能性を考えて、あらゆる準備を整えた。
シュナイゼル自身、ゼロがルルーシュに危害を加えることはあまり考えていない。
そして、スザクもいると云うのなら…
―――気に入らないのは事実だが…今は…彼に頼るしか…ない様だ…
シュナイゼルの中で、混乱状態はあったものの…
そんな状態を続けていても何にもならない。
そして、時間だけが刻々と過ぎて行く。
そんな事をしていたら、ゼロがシュナイゼルの弱みに付け込んで来る。
それを許したら…
ゼロが欲しいと願っているもの…
シュナイゼルが欲しいと願っているもの…
それぞれが色んな形で壊されることになる。
シュナイゼルにも譲れないものはある。
だから…
「ジノ…君にも…協力して貰う…」
シュナイゼルがまるで人が変わったかのような表情でジノにそう、告げる。
ジノの事を許すつもりは毛頭ない。
でも、使えるものは何でも使う…
そうでなければ守りたいものを守れない。
欲しいものを手に入れられない。
「解っている…。私は、今更ルルーシュに対して何も望まない。ただ…許されるなら…笑って欲しいと思っている。それだけだ…」
「君にこんな形で力を貸して貰う事になるとは…正直思っていなかったよ…」
「だろうな…」
「でも…僕にとっては…」
シュナイゼルはその先の言葉を続けなかった。
今更、続ける必要もない。
お互いに、その事を解っているのだから…
シュナイゼル自身、見守る事しか出来ない存在だ。
だからこそ…ジノが羨ましいと思った。
ルルーシュを欲しいと云える…その立場であることが…
尤も、ルルーシュが父の再婚相手であるマリアンヌの子供でなければ…
出会う事さえ叶わなかったかもしれない。
マリアンヌがルルーシュを自分と同じ仕事をさせる気などなかっただろうし、ルルーシュもずっとナナリーの事を考えていたから…
何れ、自分が医師となってナナリーの身体を直すと考えていたのだから…
しかし
―――こうした形で出会わなければ…違った形で出会えたのだろうか…?
スザクがアッシュフォード学園に通っている事を考えれば…
出会えるチャンスは…あったかもしれない…
シュナイゼルがOBとして…
ルルーシュが後輩として…
しかし、現実は今あるそれしかない。
考えても仕方ないとは思うけれど…
―――そう云う意味では…ゼロ…君の方が…切ない立場なのかな…?
そんな風にも思う。
正直、今の状態…
普通じゃない。
シュナイゼルを邪魔としている者たちが知ったら、これ幸いとシュナイゼルの弱みとしてルルーシュを利用することだろう。
ゼロは多分、それを望まない。
だから、ゼロ自身、その辺りは細心の注意を払っている筈だ。
そして、ゼロがシャルルとマリアンヌの息子であると云うことを認めろと云った言葉の裏に…
―――ゼロは必ず、ルルーシュとナナリーを守るだけの術を考えているのだろうね…
そんな事を思う。
ただ…
ここでシュナイゼルは大きな誤解を抱いていた。
その誤解が…何であるのか…否、それ以前に誤解である事さえ気づいていない。
その誤解が解けて、その真実を知った時…
シュナイゼルはどう考えるのか…
ただ、その誤解の正体を知るのは…たった一人しかいない状態で、そんな事を考える余裕はなかった。

To Be Continued


あとがきに代えて



すっかり遅くなってしまいました…
日曜日だと云うのにバタバタ状態になってしまって…
本当は昼の外出…やめときゃよかったと思っているくらいなんですが…
ただ、連載物はあんまり休みたくないんで…頑張りました。
えっと、色々複雑な話になっており…いろいろ読んでいる方にも…シュナ兄だけでなく誤解を招いてしまっている部分もあるかもしれませんが…
まぁ、ちゃんと巻き上げて行くので…
ゼロの暴走を止める為に…超必死…(笑)
ゼロ、これで君の行く末は定まったので、もう、暴走は出来まい…ふははははは…
しかし…ここ最近、本当に更新時間が遅くて済みません…
いろいろ原稿書く上での邪魔が入りまして…
と云うか、オフラインも思うように進んでいないし、拍手のお礼ページも…(;-_-) =3 フゥ
拍手の入れ替え…ひょっとしたらG.W.に入ってからになるかもしれません。
なるべく急ぎますけど…
でも、去年もそうだったんですが…
5月は基本的に拍手の数は激減するので…まぁ、どうなるかな…
とりあえず、頑張ります!


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posted by 和泉綾 at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。


Third Story 17



「これはこれは…そろそろ連絡をくれると思っていましたよ…」
 ゼロがにやりと笑いながら、電話口でそんな事を云っているが…
しかし、実際にはゼロの頭の中で様々な事がぐるぐると回っていることだろう。
決して、自分の考えている事を他人に悟られないように…細心の注意を払う。
それがゼロだ。
だからこそ、後見人になった者たちも様々な形でゼロを警戒しているのだ。
その姿を見ているマオには…電話のその先にいる人物が誰であるのか解らない。
こう云う時、ゼロはマオにさえ、悟らせない。
そのくらい、ゼロは自分が本当にせねばならない事に対しては警戒するし、自分の中で全てを考え、決めて行く。
誰にも相談することはない。
ただ…マオは知っている。
ゼロの心の中にいる…その存在を…
マオ自身、その相手に対して嫉妬を抱いた事もある。
いつもゼロの傍にいるのはマオなのに…そんな想いだってある。
「何をって…俺が考えることなんて…あなた方になら解っている筈です。それを承知で俺を今の立場に置いているんじゃないんですか?」
どうやら…電話をかけて来たのは、ゼロたちが『長老』と呼ぶ者たちだったようだ。
彼らもゼロの有能さの裏側にある危険も解っていた。
それでも、その有能さだけに囚われて…今となっては、危険因子も含んでしまっている相手になっている。
そして、彼らも、ゼロを自分たちのいいなりにする事も、排除する事も出来ない状態で…
簡単に云うと、もてあましている状態…と云うことだ。
ゼロもその事に気づいている。
だからこそ、警戒しているわけだけれど…
「今更何を…。別に俺は、あなた方に牙を向けるつもりはないんですけれどね?あなた方が邪魔さえしなければ…」
ゼロ自身のバックアップはさして大きいわけじゃない。
ただ、ここ数年のゼロの実績によって、ゼロに対しる見方が変わっている者たちも多くなっている。
いい意味でも、悪い意味でも…
しかし、ゼロはこうした動きを見せた時、そんなバックアップがなくても『可能である』と判断できた時にしか動かない。
「今回の事は…確かに俺の独断ですけれど…。でも、うまくいけば、あなた方の欲しかったものも手に入りますよ?だったら、そちらはあなた方に差し上げますし…」
どんな交渉をしているのか…良く解らない…
と云うか、解りたくもない…と思ってしまう。
何故、マオがいるときに電話がかかって来たのか…と呪いたくなる。
周囲の様子が解らないようにしたい…
と云うことで、ゼロは電話中に部屋を出る事を許さない。
少なくとも、電話がかかってきた時点、かけた時点で、人が部屋に入らない様にしている。
だから、マオも今の状態ではそこを動く事も出来ない。
知りたくない話なども出て来るし、それでも、
―――ゼロの為になるなら…
と、本来、そうした、謀略、策略の類が得意ではないマオも何とか、ゼロの役に立ちたいと云う思いだけで…
努力はしている。
ゼロの望むもの、そして、その先に見ているものを知っている。
そして、ゼロの心の中に存在し続けているその人物も…
マオ自身、時々、自分がバカだとも思う。
けれど、元々、行くところのなかったマオに手を差し伸べてくれたのはゼロだった。
それが忘れられない。
だから…

 先ほどから…随分ゼロは電話で喋っている。
確かに、今回の事はあの長老たちがいろいろ怒るのも無理はないと思ってしまう。
しかし、ここまで、ゼロを追い詰めているのも彼らなのだから、ある意味どっちもどっちだ。
「あなた方がやると…俺以上に手荒になるでしょう?ランペルージ家のトップたちが彼女たちの事を溺愛していることはご存じでしょう?」
恐らく、ルルーシュの話しにまで及んでいるのだ。
長老たちのやろうとした事も姑息極まりないけれど。
ただ、その原因を作ったのも、長老たちだ。
聞いていると、本当にゼロは過酷な中に身を置いて来たと思う。
そして、こんな冷酷に見える中に、隠れている…ゼロの本質…
それを知るマオとしては、何故、ゼロがこれほど優秀な人材として生まれて来てしまったのだろうかと思ってしまう。
これだけの優秀さを持つには、ゼロは…
―――優し過ぎる…
異父妹のルルーシュを見ていても思う。
基本的に優しさを持って生れて来ている。
それが、素直に表に出すことのできる環境だったのか、ゼロの様に隠さなければならない状態にあったのか…
の違いはあるとは思うけれど。
「だから…あなたの欲しいものは差し上げますと云っている…。そんなことでウソはつきませんよ…。だから、暫くは黙っていては頂けませんか?」
段々苛立ってきているようで…ゼロの口調が強くなる。
長老たちが何を恐れているのかは…解る。
恐らく、ゼロも解っているのだ。
でも、その話しをあえてしない。
と云うか、相手にさせていない。
いくらゼロの実力を欲しているとしても、あまり彼らにとって不利益だと判断されることが多くなれば…
確実に彼らはゼロを排除する方に傾く。
ゼロ自身は気付いているのだろうか…と、思うことがある。
―――もし、長老たちが欲しいと思っているものを渡したら…ゼロは彼らにとっては用済みになるのに…
ゼロがその事に気づいていない筈がない。
マオ自身それは思っている。
だから、ゼロはマオに対して『離れるなら今のうち』と云ったのかもしれない。
本当に不器用だと思う。
「あなた方のやりたいことは解っていますよ…。だから、ちゃんと俺がそれを手に入れた暁にはきちんと、そちらの方向に行くようにしますから…」
ゼロがにこりと笑う。
その笑いに、マオの背筋はゾクリとする。
多分、長老たちも今のゼロの笑みを見たら…同じように思うかもしれない。
「ご安心を…あなた方には大恩があるんですから…俺は…。はい…失礼致します…」
電話が切れると…
「その先の事は…俺のやりたいようにしますけれどね…長老方…」
更に何かが含まれていると思われる言葉を吐きだした。
その時のゼロの表情…
確実に先の先を読んでいる表情だと思った。
「ゼロ…」
心配そうな表情で、マオがゼロに声をかける。
マオの表情にゼロがはっとしたように、今の表情を和らげた。
「大丈夫だ…マオ…。次のステップに行くぞ…」
「う…うん…」
ゼロのその言葉に、頷く事しか出来ないが…
でも、何かを感じさせる。
それが…何なのか解らないが…
何か不安を抱く様な…そんな表情だった。

 あれから眠っていたルルーシュを見ていたスザクだったが…
これで、ルルーシュが目を醒ましたらまた…
―――押しつぶされないだろうか…
スザクがそんな心配を抱く。
そんな心配をし続けて、どれ程経っただろうか…
だいぶ時間が経って…流石にルルーシュも眠りから覚めそうだ。
「…ん……」
ルルーシュの長い睫毛が震えて、僅かに声が出て来た。
「ルルーシュ…」
恐らく、目が完全に覚めたら思い出して混乱状態になってしまうかもしれない。
先ほど程のような状態になるとは思わないが…
「スザク…?」
ルルーシュがゆっくり目を開いて、スザクの姿をその瞳に映して、その存在を確認した。
「大丈夫か?」
こうした精神的ショックに決して強い方ではないルルーシュ。
記憶をなくした時もそうだった。
まだ、頭がはっきりしていない感じのルルーシュを見る。
とりあえず、スザクのその、存在だけは解っているようだ。
「大…じょ…う…ぶ…」
そう、うつろな目で答える。
まだ、あの時の衝撃までは頭の中にはっきりしていないようだ。
「そうか…。何か、、飲みものでも持って来て貰おうか?のど…乾いているだろう…?」
あの時、スザクが強引に飲ませた紅茶を一口、口にしただけだ。
あんなショックの後で…のどの渇きを覚えない筈はない。
とりあえず、まだ、あの時衝撃がはっきりする前に何か口に入るものを用意しようと思った。
「水…。普通のお水…」
「そうか…。ウォーターピッチャーがあったから…持ってきてやる…」
そう云ってスザクが椅子から腰を上げて、隣の部屋に足を運んだ。
そして、テーブルの上に用意されていたウォーターピッチャーとグラスの置かれたトレイを手に持った時…
『わぁぁぁぁぁ…』
多分、頭がはっきりしてしまったのだろう。
今、ルルーシュがどんな状態で叫び声をあげたのか…
何となく解る。
スザクはすぐにそのトレイをテーブルに置き直して隣の部屋に戻る。
すると…
ルルーシュが頭を抱えてカタカタ震えている。
それまで、全く知らなかった存在を知り…
そして、その存在と云うのが、血を分けた異父兄…
それまで、知らなかった存在がいきなり出て来たのだ。
母であるマリアンヌは何も話してくれなかった。
ルルーシュにもナナリーにも隠された存在…
でも、シュナイゼルは…その存在を知っていた。
「ルルーシュ!」
スザクが戻ってきて、起き上がって震えているルルーシュの肩を抱きしめる。
「か…母様は…義父さまと…。それに…シュナイゼル義兄さまは…えっと…えっと…」
ただ、断片的に言葉が出て来るだけ。
ルルーシュ達の父親の事だって何も話されていない。
本当なら、あったばかりの人間の言葉なんて信用しない。
でも…
ルルーシュの中で…あの男の話していることが…ウソではないことが…解る。
どうしてそんな風に思うのか…解らないけれど。
でも…
だとすると…あのゼロが云っていたシュナイゼルの真の姿とは…
多分、マリアンヌもシュナイゼルもウソを云っていたわけじゃない。
でも、
―――本当の事を…ちゃんと話してくれなかった…
本当に知りたいことを…
否、知らなければならないことを…

 ただ、確かにいろんな本当の事やウソのこと、知らなかった事が頭の中をぐるぐる回っている状態だけれど…
でも、
今、背中に感じている温かさは…
―――どちらなんだろう…
今の状態だと、頼りたくなってしまう…温かさ…
そのまま、寄り掛かってしまいたい温かさ…
でも、これは…
―――本当なのか…偽物なのか…
何を信じていいのか解らない。
どうしたらいいか解らない。
誰にその事を尋ねればいい?
ナナリーに話す訳にはいかない。
でも、誰かがナナリーに話してしまったら?
いつか、ナナリーの耳にも入ってしまうかもしれない…
何も…解らない…
解りなくない…
何故今?
とにかく、ルルーシュの中で様々な疑問が渦を巻いている。
解っている。
これは真実…
でも、あの異父兄は…今になって何故?
今まで自分達に伏せられていたのは何故?
解らない事ばかりだ。
そして…最も知りたいこと…
あの異父兄は…
自分の事をどう思っているのか…
本当なら、ルルーシュにわざわざ云う必要のなかったことだ。
シュナイゼルと交渉したいのなら…
ルルーシュを動揺させる必要なんて…なかったはず。
それなのに…ルルーシュに話した理由は?
余程嫌われている。
そう云った思いにとらわれる。
と云うのも、
自分とナナリーは…
母子家庭ながら、ちゃんと母親の愛情を受けて来た。
確かに忙しい人だし、中々家に帰って来る事も出来なかったけれど。
でも、マリアンヌは子供達に愛情を注いでくれていた。
だから、ルルーシュはナナリーを守ろうと云う気持ちを持つ事が出来た。
ナナリーは身体が弱くとも、他人に対して本当に優しい気持ちを持ってくれた。
でも…
あの、異父兄は…
―――母様の…愛情を何も知らないんだ…
そう思うと…何故、こんなことになったのか…
そして…マリアンヌは自分達を生むよりも先に、義父との間に異父兄を生んでいた…。
これだけのことが並べられたらパニックにならない方がおかしい。
ルルーシュくらい、物事に対して敏感に察知できる人間ならなおさらだ。
ルルーシュは既に大学生だ。
今になって…何故…?
ゼロは…自分達を恨んでいるのだろうか…
欲しいものがあると…
目的があると云っていた。
その為に…ルルーシュが必要だったから…さらったのだろう。
でも、何故、スザクを返してくれないのだろうかと思うのも確かで…
「ルルーシュ…落ち着け…。ごめん…離れたりして…。大丈夫だ…。俺は傍にいるから…。俺が傍にいるから…」
スザクがルルーシュを宥める様にそう、続ける。
どう考えてもルルーシュにはショックな内容であったことは…事実だ。
そして、ルルーシュの事だから、すぐに様々な事を考えて入らない事まで考えて…
自分の中で悪い方へ考えて行く。
ルルーシュの気質では…
―――確実になんとかしようとして、また、自分を犠牲にしようとする…
今、自分の腕の中にいるルルーシュを見ていて…
スザクの中で一番心配しているところだ。
その事が、的中しない事を…心の底からそれを祈らずにはいられなかった…
ルルーシュは見かけほど強くない…
こう云う時、実感する。

 そして…
「シュナイゼル…一通りの準備は整ったんだな?」
ジノが書類のチェックをしつつ、尋ねた。
「ああ…。全ての可能性を考えての措置だ。父さんとも話してあるし、カノンもスタンバイさせる…」
あの後、あらゆる可能性を考えて、あらゆる準備を整えた。
シュナイゼル自身、ゼロがルルーシュに危害を加えることはあまり考えていない。
そして、スザクもいると云うのなら…
―――気に入らないのは事実だが…今は…彼に頼るしか…ない様だ…
シュナイゼルの中で、混乱状態はあったものの…
そんな状態を続けていても何にもならない。
そして、時間だけが刻々と過ぎて行く。
そんな事をしていたら、ゼロがシュナイゼルの弱みに付け込んで来る。
それを許したら…
ゼロが欲しいと願っているもの…
シュナイゼルが欲しいと願っているもの…
それぞれが色んな形で壊されることになる。
シュナイゼルにも譲れないものはある。
だから…
「ジノ…君にも…協力して貰う…」
シュナイゼルがまるで人が変わったかのような表情でジノにそう、告げる。
ジノの事を許すつもりは毛頭ない。
でも、使えるものは何でも使う…
そうでなければ守りたいものを守れない。
欲しいものを手に入れられない。
「解っている…。私は、今更ルルーシュに対して何も望まない。ただ…許されるなら…笑って欲しいと思っている。それだけだ…」
「君にこんな形で力を貸して貰う事になるとは…正直思っていなかったよ…」
「だろうな…」
「でも…僕にとっては…」
シュナイゼルはその先の言葉を続けなかった。
今更、続ける必要もない。
お互いに、その事を解っているのだから…
シュナイゼル自身、見守る事しか出来ない存在だ。
だからこそ…ジノが羨ましいと思った。
ルルーシュを欲しいと云える…その立場であることが…
尤も、ルルーシュが父の再婚相手であるマリアンヌの子供でなければ…
出会う事さえ叶わなかったかもしれない。
マリアンヌがルルーシュを自分と同じ仕事をさせる気などなかっただろうし、ルルーシュもずっとナナリーの事を考えていたから…
何れ、自分が医師となってナナリーの身体を直すと考えていたのだから…
しかし
―――こうした形で出会わなければ…違った形で出会えたのだろうか…?
スザクがアッシュフォード学園に通っている事を考えれば…
出会えるチャンスは…あったかもしれない…
シュナイゼルがOBとして…
ルルーシュが後輩として…
しかし、現実は今あるそれしかない。
考えても仕方ないとは思うけれど…
―――そう云う意味では…ゼロ…君の方が…切ない立場なのかな…?
そんな風にも思う。
正直、今の状態…
普通じゃない。
シュナイゼルを邪魔としている者たちが知ったら、これ幸いとシュナイゼルの弱みとしてルルーシュを利用することだろう。
ゼロは多分、それを望まない。
だから、ゼロ自身、その辺りは細心の注意を払っている筈だ。
そして、ゼロがシャルルとマリアンヌの息子であると云うことを認めろと云った言葉の裏に…
―――ゼロは必ず、ルルーシュとナナリーを守るだけの術を考えているのだろうね…
そんな事を思う。
ただ…
ここでシュナイゼルは大きな誤解を抱いていた。
その誤解が…何であるのか…否、それ以前に誤解である事さえ気づいていない。
その誤解が解けて、その真実を知った時…
シュナイゼルはどう考えるのか…
ただ、その誤解の正体を知るのは…たった一人しかいない状態で、そんな事を考える余裕はなかった。

To Be Continued


あとがきに代えて



すっかり遅くなってしまいました…
日曜日だと云うのにバタバタ状態になってしまって…
本当は昼の外出…やめときゃよかったと思っているくらいなんですが…
ただ、連載物はあんまり休みたくないんで…頑張りました。
えっと、色々複雑な話になっており…いろいろ読んでいる方にも…シュナ兄だけでなく誤解を招いてしまっている部分もあるかもしれませんが…
まぁ、ちゃんと巻き上げて行くので…
ゼロの暴走を止める為に…超必死…(笑)
ゼロ、これで君の行く末は定まったので、もう、暴走は出来まい…ふははははは…
しかし…ここ最近、本当に更新時間が遅くて済みません…
いろいろ原稿書く上での邪魔が入りまして…
と云うか、オフラインも思うように進んでいないし、拍手のお礼ページも…(;-_-) =3 フゥ
拍手の入れ替え…ひょっとしたらG.W.に入ってからになるかもしれません。
なるべく急ぎますけど…
でも、去年もそうだったんですが…
5月は基本的に拍手の数は激減するので…まぁ、どうなるかな…
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posted by 和泉綾 at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年04月18日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。


Third Story 16



 これほど焦りを見せるシュナイゼルを…
ジノは見たことがなかった。
全てをそろえている。
あらゆることを想定して、全てに対して対処できるようにもしている。
それなのに…
―――ルルーシュの…為か…
ジノは少し遠いところに視線を置いてシュナイゼルを見ている。
ランペルージグループの次期社長…
数多いる異母兄弟たちの中でも、その努力を決して怠らず、自分の立場と責務を決して忘れることがない…
ジノの中にはそんな印象があったのだ。
しかし、今のシュナイゼルは…
「シュナイゼル…全ての準備が整っているのだから…」
ジノがそう声をかけるのは…一体何度目か…
約束の1週間と云う時間…
シュナイゼル自身、ゼロに対して弱みを見せるわけにはいかなかった。
それは解っていた筈だ。
それでも、シュナイゼルはゼロの要求を受け入れる準備を全て整えているのだ。
まず、ルルーシュが最優先…と云うことで…
これがルルーシュでなければ…
―――恐らくはそんな要求を突っぱねたんだろうな…
そんな風に思う。
尤も、シュナイゼルにとってルルーシュの存在がそれほどのものだと云う確信があったからこそ、ゼロもナナリーではなくルルーシュを狙ったわけなのだが…
ゼロにとって、二人とも彼の異父妹だ。
ルルーシュに対して交渉をするなら確実にナナリーを狙う。
今回はシュナイゼルに対しての交渉だったからルルーシュが狙われた。
そして、今回の事で、シュナイゼルのウィークポイントを露呈することとなった。
この先、シュナイゼルに対しての強引な形での交渉は確実にルルーシュが狙われることになる。
シュナイゼル自身、それを解っていた筈だ。
それまで、何故、ルルーシュやナナリーの存在をランペルージ家の中でもちゃんとした立場を与えなかったのか…
結局、その意図をゼロに読まれた…と云うことなのだけれど…
「ジノ…何故、君はそんなに冷静でいられる?今でも…ルルーシュの事を…」
シュナイゼルの言葉…
あまりにらしくない…と思う。
ジノは本当にシュナイゼル自身、これまで抑えて来たものが一気に噴出していると思った。
これまで、シュナイゼルは決して私情で動くことをしなかった。
それなのに…
今回はルルーシュの為にゼロの要求を飲む準備を全て揃えているのだ。
ルルーシュをゼロの異父妹として認める…と云う書類まで作成されている。
これが表に出れば、ルルーシュもナナリーも確実に様々な形で騒がれることになる。
これまで、ルルーシュにもナナリーにも会社の為…と云う婚姻の申し込みはなかった。
それは、確かに社長であるシャルルとその妻であるマリアンヌの意思もあるが…
一番それを望んでいたのはシュナイゼルだった。
シュナイゼル自身、どこまで自分の気持ちに気づいていたのかは恐らく自分の中で解ってはいない。
でも、今、ここで、ゼロからの揺さぶりに大して、あまりに素直に、反応していることは確かだ。
ここまでシュナイゼルをいろんな角度で見て来ている者が多いが、こんなシュナイゼルを知る者はいない…
恐らく、ゼロ自身、非常によく、シュナイゼルを見ていたのだろうと…ジノはそんな感想を抱いていた。

 かなりの長い時間…
ルルーシュは声を殺して泣いていたけれど…
それでも、泣き疲れたのか、今は眠ってしまった。
ここに来てからと云うもの、落ち着いて休む事など出来ていない。
そんなところにあのような話しを突き付けられては…
―――確かに…ルルーシュにとってはショックだな…
やっと、夢すら見ていないであろう深い眠りについたルルーシュを見てスザクは思う。
ここに来てから…どれだけ経ったのか…
正直、外部の情報が殆ど入って来ないし、夜と朝の回数でしかどれ程の時間が経っているのかが解らない。
それも、意識してなければ、気づいた時にはどれ程の時間が経ったのかも解らないと云う事になるのだ。
それでも、ここでそんな事を機にしていても仕方がない。
彼らのあの様子だと…
行方不明いなったからと云って、警察が動く事にはならない…
そんな感じだ。
恐らく、ルルーシュを助け出そうと動いているシュナイゼルも、変に世間が騒ぐような事にならない様に、慎重に動いているのだろう。
ランペルージグループの内部の問題で警察が動いたともなれば…
確実にマスコミに話しが漏れる。
そうなれば、ルルーシュは勿論、ナナリーやノネットも様々な形で影響を受ける事になる。
下手をすると、ノネットはせっかく日本に来て大学に進学したのに…
それさえもこんなんになるかもしれない。
騒ぐのがマスコミだけならまだいい…
ルルーシュ達の場合、それだけでは済まないからだ。
どんな形で、この事態が収まって行くのか…
その形によっては、スザクだって、ルルーシュに近付くことが出来なくなるかもしれないのだ。
―――折角…守ると決めたのに…。やっと…気付いたのに…
出会ったばかりの頃のルルーシュは…
母子家庭ではあったものの、こんな風に騒ぎの渦中に放り込まれる様な…そんな影はなかった筈なのだ。
ルルーシュもスザクも、笑っていた。
一緒に遊んで、笑っていた。
あれから、こんなにも時間が経っているのかと思わされる。
かつて、マリアンヌがランペルージグループの社長と再婚すると云う話が持ち上がった時…
あの時はまだ二人とも小学生だった。
ルルーシュが誘拐された。
その時、何も考えずにスザクはルルーシュを追った。
そして、ルルーシュの傍にずっといた…
あの時と同じような気分だ…
あの時のルルーシュは…
酷く強気で…
でも、スザクにはルルーシュの不安が解ってしまって…
その時、スザクは素直にルルーシュを心配していたものの…
『別に!私は怖くなんてない!』
などと強がっていた。
今回だって、多分、あんな話をされなければこんな風にルルーシュが泣いてしまうなどと云うことはなかっただろう。
ルルーシュ自身、義兄として尊敬しているシュナイゼルが自分の為に頭を悩ませている…
そして、衝撃的な告白を聞かされて…
スザク自身も解っている。
ゼロの云っていることにウソはないと…
恐らく、ルルーシュもゼロの言葉の中にウソを見出せなかったからあんな風に自分を保つ事が出来ずにいたのだ。
―――今はただ…何も考えずにいられる状態でいてくれれば…それでいい…

 ルルーシュは滅多なことでは泣いたりしない。
それは…スザクも良く知っている。
そして、涙を見せるのは…自惚れではなく、スザクだから…
その事も最近になって自覚してきた。
ナナリーの前では決して涙を見せることはない。
ルルーシュにとって、ナナリーが一番で、ナナリーに心配させる様な事をしたくないと云う思いが強かったから…
しかし、ナナリーに云われた事がある。
『お姉さまが…あんな風に無理されているのは…心配なんですけれど…』
と…
スザクがその言葉を聞いたのは…まだ小学生の時だった。
幼いながら、互いの事を理解しつつ、理解できていない…
そんな印象だった。
確かにルルーシュは自分のこととなるとひどく鈍感だったし、見ていて本当に心配になる程だった。
本人に自覚がない…
それが解っているだけにもどかしいと思ったことだってあった。
多分、ルルーシュがもっと、自分の事に関心を持っていたのなら…
中学の入学の時点で、スザクの中でのルルーシュの立ち位置、ルルーシュの中でのスザクの立ち位置…
それぞれが違っていたかもしれない。
そう思う。
でも、そんな、『もしも』の話しなんて考えたって意味はない。
ただ、何となくそんな風に思えてしまう自分に少々自嘲してしまうが。
「俺も…たいがい鈍感だけれどな…」
ぼそりとまた、呟いた。
スザクの中で今は後悔もたくさんある。
ルルーシュの事を傷付けたこと…
ユーフェミアに酷い事をしてしまったこと…
―――それでも…ユフィは笑ってくれるようになった…
そして、ユーフェミアもルルーシュとスザクの幸福を願っていると…
そんな風に云ってくれているのだ。
今では仲のいい友達…
と云うよりも、お節介焼きな御親戚が増えた気分だ。
そんなユーフェミアの明るさに救われている。
ルルーシュにもそれに気づいて欲しいと思うのは…酷な事なのだろうか…
ルルーシュが記憶を失った時…
そして、その記憶を取り戻した時…
スザクもその姿に胸を締め付けられていた。
それが何だったのか…
あの時は解らなかったけれど…
―――今なら解る…
ゼロがスザクを睨みつけるのは当たり前だとも思うし、シュナイゼルが知ったらどれ程の怒りをぶつけられるのやら…
ルルーシュにこの思いが通じるとか、通じないなんて…
今はどうだっていい…
ただ、今、ここにスザクとルルーシュしかいなくて。
ルルーシュが完全に押しつぶされそうになっている状態で。
それを押しつぶそうとしている何かの重さを自分が少し軽くできれば…と思う。
これは…
―――ルルーシュの愛し方だ…
ルルーシュがそうだった。
本人の知らないところで、本人がなんとかしようと右往左往する。
スザクがそこまでできるか解らないけれど。
でも、今、ルルーシュの味方として存在出来ているのだから…
だから…
―――ルルーシュ…お前の気付かないところで、俺が何かの力になりたい…
そんなことが出来るのはルルーシュだけだと思うものの、そんな風に思えてしまう。
そんな自分にまたも笑えてしまう。
―――俺は、ずっとそばにいるから…

 そして…
冷静さを見失ってイライラしている人物がもう一人…
「ゼロ…そんなに不機嫌になるくらいなら…あんな風に苛めなければいいのに…」
「うるさい!」
ゼロの身の回りの世話を担当する者たちが…
ゼロのその様子を見て…
『マオさま…申し訳ありません!我々では近づくことが出来ないのです!』
と、泣きついて来た。
確かに…今の目の前のゼロをみる限り…
彼らが近づきたくないと云いきってしまうその気持ちは解る。
多分、マオだってこんなゼロを宥めるのなんて嫌だと思っているだろう。
それでも、このまま放っておくわけにもいかないし、マオがさじを投げてしまったら、誰も手を付けられない。
「まったく…いくらルルーシュちゃんのナイト君がルルーシュちゃんにべったりだからって…。と云うか、これまで直接の面識のない異父妹に対してそこまで思いこめるもの?」
マオが半分、ゼロを諌める言葉と、半分、少々呆れとからかいを含んだ言葉を口にした。
確かに…
面識のない異父兄妹が対面したと云ったところで…
血のつながりは半分…
相手にはそんな異父兄がいるなんて認識が全くない。
そして、どんな相手なのかもルルーシュは知らなかったのだから…
ああ云った態度をとるのは至極当たり前だ。
むしろ、自分を諌めながらの言葉だった分、癇癪を起していないので救われている。
「別に…俺は…」
ゼロがマオの言葉を否定しようとするが…
言葉が続かない。
普段は後見をしている桐原達さえも目を丸くするような饒舌ぶりで相手を圧倒すると云うのに…
ゼロの評価と云うのは結構策士としては悪い評価ではない。
ただ、人間としては非情であり、冷酷…と云うイメージが付きまとっている。
それでも、実際にはこんな風に面白いところを見せてくれるのだから…
―――ホント、人って解らないよね…
と云うのがマオの評価だ。
どちらにしても、わざわざ拉致などと云う手荒なまねをしてルルーシュを連れて来た理由はこんなバカな事をする為ではない。
ゼロの目的は…
もっと違うろ頃にある。
こんなことで遊んでいる余裕などない筈なのだ。
「とにかく…ゼロ…。今はそんな事をしている場合じゃない…。解っているんでしょ?」
マオが真剣な目つきになった。
そう。
ゼロには自分の為に…自分のやりたいことの為に…自分を守る為に…やらなくてはならないことがあるのだ。
その為に今回、こんな茶番劇に乗って見せたのだ。
もともと、こんな形で再会なんてしたくはなかった。
でも…守るためには仕方ない。
自分の命を狙う者もいる。
自分の名を使って良からぬ事を考える者もいる。
誰が何をしようと、ゼロは興味がなかった。
自分が関わっていなければ…
「解っている…」
「ホントに?守りたいものがある事を忘れちゃダメだよ…。ゼロの味方…ホントに少ないんだからさ…」
「解っているさ…。俺は、俺の為に動いている。確かに…殺気のは見苦しかったな…」
ゼロが皮肉混じりに自嘲した。
そんなゼロを見てマオが少しほっとしたように息を吐いた。

 ゼロの表情が変わった。
それは…
ルルーシュを構っていた時の表情ではない。
そして、マオにいろいろ突っ込まれてうろたえのある表情でもない。
恐らく、彼のその顔を知る人は、その表情を見て…
どう思うのか…
恐らく2種類に分かれる。
ヘビに睨まれたカエルの様になる者と…
その実力が自分の味方となる事を喜ぶ者と…
しかし、いつでもゼロは自分の為に動いている。
情に流されていたら自分自身も大きな渦に飲み込まれる…
それを幼い頃から叩きこまれて来たから。
自分の身を守るにしても、自分の欲しいものを手に入れるにしても…
ゼロが必要としたのは…
力だったから。
シュナイゼルが唯一恐れる異母弟と…
そう評される人物…
「マオ…とりあえず、例の方は順調に進んでいるんだろう?」
「ま、僕が完全に情報を止めているけれど…。でも、長老たちは気付いているんじゃないの?」
「まぁいい…。ばれない方がどうかしているのは解っているからな…。問題はその後だ…」
「カグヤちゃんの事?」
「それもある。ただ、彼女を野放しにするのは危険だ…。長老たちはとりあえず、ご隠居願えればいいんだが…」
ゼロが策士の顔をしてそう云い放つ。
「なら…あの、ナイト君に押し付けちゃえば?だって、カグヤちゃんって彼の従妹でしょ?」
「まぁ、今では枢木家は完全に市井に紛れて生活しているようだし…。尤も、それがあったから俺がここにいるわけだしな…」
「まぁ、そうなんだけど…アイツ…その事知ってんの?」
「さぁな…。でも、桐原の長老とは面識があるみたいだしな。普通にあいつは桐原の孫だと思っているようだが…」
ゼロの運命を変えた一端を担っている事実…
その事は彼らに放していない。
シュナイゼルはどこまで知っているのか…
その辺りはゼロ自身も図りかねているのだけれど…
「とりあえず、あっちからの連絡が来ない事には何もならない…か…」
「その前に長老たちが色々嗅ぎつけて電話してくるかもしれないがな…」
ゼロにとって、ここまで後見役をして来た者たちに対しては…
云い感情を抱いていないことがよく解る。
尤も、後見役をになっている長老たちとて、その事は承知している。
段々、ゼロが力を付けて、彼らの後見を必要としなくなっていくのを…
彼らは恐れている。
尤も、ゼロにとってはどうでもいい事なのだが…
自分の受け皿が出来ない事には…自分を守るとか、何かを守るなどと云うレベルにはならないのだ。
だから…
「どちらにせよ…俺たちはもう、後戻りはできない…。否、俺は…か…。マオ…今ならお前は長老たちの元へ…」
「ゼロ!くどいよ!僕はゼロと一緒に行くって云っただろう?」
「そうか…お前もバカだな…」
ゼロがそう、零した時…
―――Pululululu…
電話が鳴り響いた。
「もしもし…」
誰からの電話なのか、予想が出来ていた様子でゼロが電話に出た。
「これはこれは…そろそろ連絡をくれると思っていましたよ…」
ゼロはにやりと笑いながら…その電話の相手に対して云い放ったのだった…

To Be Continued


あとがきに代えて



ここ最近、非常にバタバタ状態でして…
更新が遅くなってしまって申し訳ありません。
PC版だとブログを開いた時点で書き込みが解ると思うのですが、携帯からのアクセスの方は『ブログ紹介』を開いて下さい。
二度目のリクネタ募集について書いておきました。
まぁ、この先は来るかどうかなぁ…と云った感じなのですが…

さて、場面がころころ変わりまくりの回でしたが…
ゼロ…なんだか色々背負っているご様子です。
ホントに孤独が滲み出ている感じです。
でもって、ルルーシュ…
セリフが回想の一言だけ…
つうか!
スザクカッコ良くなりすぎだ!
何故だ!
あそこまでヘタレだったくせに!
ゼロは思いっきり暴走中…
誰か…暴走ゼロを止めて下さい…( p_q) シクシク
まぁ、この話…ごちゃごちゃしてまいりました。
つうか、シュナ兄が…ヘタレてるし!Σ( ̄◇ ̄;;;;
どうなるんだろう…本当に…(;-_-) =3 フゥ


☆拍手のお返事


水流さま:こんばんは、コメント有難う御座居ます。
そして、ご無沙汰致しております。
体調を崩されてはいませんか?
ここ最近の気候…おかしいですし、お互い気をつけましょう!

『ふたりぐらし』
これは、普通にネタに困って、で、聞いていた音楽のタイトルの中にこのタイトルがあって…
じゃあ、これをタイトルに適当に書いてみるか…と書いてみたところ…
意外と評判が良くて…
また、ネタに困ったら書こうと思います。

『黒猫ルルにゃん』
これは…スザクの受難でもありますし…シュナ兄たちにんなことを言ってしまったルルーシュにとっても受難かもしれません。
まぁ、スザクのさりげない嘆きの部分で割と笑いをこめているつもりなのですが…
楽しんでいただけたでしょうか?
これからもこの二人…色々と受難が続きそうです。

足や体調のご心配、有難う御座居ます。
久しぶりに台所の大掃除をしたら…
足が…ヾ(▽^;)ゞうへへ
まぁ、たまにはやらなくちゃいけないので…やろうと思うのですが…
でも、足にこうもガタがきていると、中々大変でした。
明日、立てるかなぁ…(苦笑)
それでも、受け入れなければならない現実なので、何とかうまく付き合っていけるように頑張ります。

最近は自家通販のお申し込みがないので、そう云った事はないですね。
仕事のやり取りは基本的に直接会ってお渡ししていることもおおいので。
まぁ、新刊出した直後が結構大変な時期だったりしますし、イベント用の荷物は集荷して頂いています。
どの道、自分で仕事をしている限り、自分で郵便局行ったり、取引先に行ったりしているので、そのついでに…という事も多いので…
ご心配ありがとうございます。

夏のインテは…
とりあえず、今は行く予定です。
スペースを頂けていたら…
ただ、地理に疎いので、そこが問題だったりします。
バスの時間などを調べたら…
まぁ、名古屋まで出て行かなければならないのですが、大阪への交通手段は色々あるみたいなので…
その中から一番身体の負担のかからない方法で行きたいと思います。
その際には、色々お願いされて下さい。
宜しくお願いします。


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posted by 和泉綾 at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。


Third Story 16



 これほど焦りを見せるシュナイゼルを…
ジノは見たことがなかった。
全てをそろえている。
あらゆることを想定して、全てに対して対処できるようにもしている。
それなのに…
―――ルルーシュの…為か…
ジノは少し遠いところに視線を置いてシュナイゼルを見ている。
ランペルージグループの次期社長…
数多いる異母兄弟たちの中でも、その努力を決して怠らず、自分の立場と責務を決して忘れることがない…
ジノの中にはそんな印象があったのだ。
しかし、今のシュナイゼルは…
「シュナイゼル…全ての準備が整っているのだから…」
ジノがそう声をかけるのは…一体何度目か…
約束の1週間と云う時間…
シュナイゼル自身、ゼロに対して弱みを見せるわけにはいかなかった。
それは解っていた筈だ。
それでも、シュナイゼルはゼロの要求を受け入れる準備を全て整えているのだ。
まず、ルルーシュが最優先…と云うことで…
これがルルーシュでなければ…
―――恐らくはそんな要求を突っぱねたんだろうな…
そんな風に思う。
尤も、シュナイゼルにとってルルーシュの存在がそれほどのものだと云う確信があったからこそ、ゼロもナナリーではなくルルーシュを狙ったわけなのだが…
ゼロにとって、二人とも彼の異父妹だ。
ルルーシュに対して交渉をするなら確実にナナリーを狙う。
今回はシュナイゼルに対しての交渉だったからルルーシュが狙われた。
そして、今回の事で、シュナイゼルのウィークポイントを露呈することとなった。
この先、シュナイゼルに対しての強引な形での交渉は確実にルルーシュが狙われることになる。
シュナイゼル自身、それを解っていた筈だ。
それまで、何故、ルルーシュやナナリーの存在をランペルージ家の中でもちゃんとした立場を与えなかったのか…
結局、その意図をゼロに読まれた…と云うことなのだけれど…
「ジノ…何故、君はそんなに冷静でいられる?今でも…ルルーシュの事を…」
シュナイゼルの言葉…
あまりにらしくない…と思う。
ジノは本当にシュナイゼル自身、これまで抑えて来たものが一気に噴出していると思った。
これまで、シュナイゼルは決して私情で動くことをしなかった。
それなのに…
今回はルルーシュの為にゼロの要求を飲む準備を全て揃えているのだ。
ルルーシュをゼロの異父妹として認める…と云う書類まで作成されている。
これが表に出れば、ルルーシュもナナリーも確実に様々な形で騒がれることになる。
これまで、ルルーシュにもナナリーにも会社の為…と云う婚姻の申し込みはなかった。
それは、確かに社長であるシャルルとその妻であるマリアンヌの意思もあるが…
一番それを望んでいたのはシュナイゼルだった。
シュナイゼル自身、どこまで自分の気持ちに気づいていたのかは恐らく自分の中で解ってはいない。
でも、今、ここで、ゼロからの揺さぶりに大して、あまりに素直に、反応していることは確かだ。
ここまでシュナイゼルをいろんな角度で見て来ている者が多いが、こんなシュナイゼルを知る者はいない…
恐らく、ゼロ自身、非常によく、シュナイゼルを見ていたのだろうと…ジノはそんな感想を抱いていた。

 かなりの長い時間…
ルルーシュは声を殺して泣いていたけれど…
それでも、泣き疲れたのか、今は眠ってしまった。
ここに来てからと云うもの、落ち着いて休む事など出来ていない。
そんなところにあのような話しを突き付けられては…
―――確かに…ルルーシュにとってはショックだな…
やっと、夢すら見ていないであろう深い眠りについたルルーシュを見てスザクは思う。
ここに来てから…どれだけ経ったのか…
正直、外部の情報が殆ど入って来ないし、夜と朝の回数でしかどれ程の時間が経っているのかが解らない。
それも、意識してなければ、気づいた時にはどれ程の時間が経ったのかも解らないと云う事になるのだ。
それでも、ここでそんな事を機にしていても仕方がない。
彼らのあの様子だと…
行方不明いなったからと云って、警察が動く事にはならない…
そんな感じだ。
恐らく、ルルーシュを助け出そうと動いているシュナイゼルも、変に世間が騒ぐような事にならない様に、慎重に動いているのだろう。
ランペルージグループの内部の問題で警察が動いたともなれば…
確実にマスコミに話しが漏れる。
そうなれば、ルルーシュは勿論、ナナリーやノネットも様々な形で影響を受ける事になる。
下手をすると、ノネットはせっかく日本に来て大学に進学したのに…
それさえもこんなんになるかもしれない。
騒ぐのがマスコミだけならまだいい…
ルルーシュ達の場合、それだけでは済まないからだ。
どんな形で、この事態が収まって行くのか…
その形によっては、スザクだって、ルルーシュに近付くことが出来なくなるかもしれないのだ。
―――折角…守ると決めたのに…。やっと…気付いたのに…
出会ったばかりの頃のルルーシュは…
母子家庭ではあったものの、こんな風に騒ぎの渦中に放り込まれる様な…そんな影はなかった筈なのだ。
ルルーシュもスザクも、笑っていた。
一緒に遊んで、笑っていた。
あれから、こんなにも時間が経っているのかと思わされる。
かつて、マリアンヌがランペルージグループの社長と再婚すると云う話が持ち上がった時…
あの時はまだ二人とも小学生だった。
ルルーシュが誘拐された。
その時、何も考えずにスザクはルルーシュを追った。
そして、ルルーシュの傍にずっといた…
あの時と同じような気分だ…
あの時のルルーシュは…
酷く強気で…
でも、スザクにはルルーシュの不安が解ってしまって…
その時、スザクは素直にルルーシュを心配していたものの…
『別に!私は怖くなんてない!』
などと強がっていた。
今回だって、多分、あんな話をされなければこんな風にルルーシュが泣いてしまうなどと云うことはなかっただろう。
ルルーシュ自身、義兄として尊敬しているシュナイゼルが自分の為に頭を悩ませている…
そして、衝撃的な告白を聞かされて…
スザク自身も解っている。
ゼロの云っていることにウソはないと…
恐らく、ルルーシュもゼロの言葉の中にウソを見出せなかったからあんな風に自分を保つ事が出来ずにいたのだ。
―――今はただ…何も考えずにいられる状態でいてくれれば…それでいい…

 ルルーシュは滅多なことでは泣いたりしない。
それは…スザクも良く知っている。
そして、涙を見せるのは…自惚れではなく、スザクだから…
その事も最近になって自覚してきた。
ナナリーの前では決して涙を見せることはない。
ルルーシュにとって、ナナリーが一番で、ナナリーに心配させる様な事をしたくないと云う思いが強かったから…
しかし、ナナリーに云われた事がある。
『お姉さまが…あんな風に無理されているのは…心配なんですけれど…』
と…
スザクがその言葉を聞いたのは…まだ小学生の時だった。
幼いながら、互いの事を理解しつつ、理解できていない…
そんな印象だった。
確かにルルーシュは自分のこととなるとひどく鈍感だったし、見ていて本当に心配になる程だった。
本人に自覚がない…
それが解っているだけにもどかしいと思ったことだってあった。
多分、ルルーシュがもっと、自分の事に関心を持っていたのなら…
中学の入学の時点で、スザクの中でのルルーシュの立ち位置、ルルーシュの中でのスザクの立ち位置…
それぞれが違っていたかもしれない。
そう思う。
でも、そんな、『もしも』の話しなんて考えたって意味はない。
ただ、何となくそんな風に思えてしまう自分に少々自嘲してしまうが。
「俺も…たいがい鈍感だけれどな…」
ぼそりとまた、呟いた。
スザクの中で今は後悔もたくさんある。
ルルーシュの事を傷付けたこと…
ユーフェミアに酷い事をしてしまったこと…
―――それでも…ユフィは笑ってくれるようになった…
そして、ユーフェミアもルルーシュとスザクの幸福を願っていると…
そんな風に云ってくれているのだ。
今では仲のいい友達…
と云うよりも、お節介焼きな御親戚が増えた気分だ。
そんなユーフェミアの明るさに救われている。
ルルーシュにもそれに気づいて欲しいと思うのは…酷な事なのだろうか…
ルルーシュが記憶を失った時…
そして、その記憶を取り戻した時…
スザクもその姿に胸を締め付けられていた。
それが何だったのか…
あの時は解らなかったけれど…
―――今なら解る…
ゼロがスザクを睨みつけるのは当たり前だとも思うし、シュナイゼルが知ったらどれ程の怒りをぶつけられるのやら…
ルルーシュにこの思いが通じるとか、通じないなんて…
今はどうだっていい…
ただ、今、ここにスザクとルルーシュしかいなくて。
ルルーシュが完全に押しつぶされそうになっている状態で。
それを押しつぶそうとしている何かの重さを自分が少し軽くできれば…と思う。
これは…
―――ルルーシュの愛し方だ…
ルルーシュがそうだった。
本人の知らないところで、本人がなんとかしようと右往左往する。
スザクがそこまでできるか解らないけれど。
でも、今、ルルーシュの味方として存在出来ているのだから…
だから…
―――ルルーシュ…お前の気付かないところで、俺が何かの力になりたい…
そんなことが出来るのはルルーシュだけだと思うものの、そんな風に思えてしまう。
そんな自分にまたも笑えてしまう。
―――俺は、ずっとそばにいるから…

 そして…
冷静さを見失ってイライラしている人物がもう一人…
「ゼロ…そんなに不機嫌になるくらいなら…あんな風に苛めなければいいのに…」
「うるさい!」
ゼロの身の回りの世話を担当する者たちが…
ゼロのその様子を見て…
『マオさま…申し訳ありません!我々では近づくことが出来ないのです!』
と、泣きついて来た。
確かに…今の目の前のゼロをみる限り…
彼らが近づきたくないと云いきってしまうその気持ちは解る。
多分、マオだってこんなゼロを宥めるのなんて嫌だと思っているだろう。
それでも、このまま放っておくわけにもいかないし、マオがさじを投げてしまったら、誰も手を付けられない。
「まったく…いくらルルーシュちゃんのナイト君がルルーシュちゃんにべったりだからって…。と云うか、これまで直接の面識のない異父妹に対してそこまで思いこめるもの?」
マオが半分、ゼロを諌める言葉と、半分、少々呆れとからかいを含んだ言葉を口にした。
確かに…
面識のない異父兄妹が対面したと云ったところで…
血のつながりは半分…
相手にはそんな異父兄がいるなんて認識が全くない。
そして、どんな相手なのかもルルーシュは知らなかったのだから…
ああ云った態度をとるのは至極当たり前だ。
むしろ、自分を諌めながらの言葉だった分、癇癪を起していないので救われている。
「別に…俺は…」
ゼロがマオの言葉を否定しようとするが…
言葉が続かない。
普段は後見をしている桐原達さえも目を丸くするような饒舌ぶりで相手を圧倒すると云うのに…
ゼロの評価と云うのは結構策士としては悪い評価ではない。
ただ、人間としては非情であり、冷酷…と云うイメージが付きまとっている。
それでも、実際にはこんな風に面白いところを見せてくれるのだから…
―――ホント、人って解らないよね…
と云うのがマオの評価だ。
どちらにしても、わざわざ拉致などと云う手荒なまねをしてルルーシュを連れて来た理由はこんなバカな事をする為ではない。
ゼロの目的は…
もっと違うろ頃にある。
こんなことで遊んでいる余裕などない筈なのだ。
「とにかく…ゼロ…。今はそんな事をしている場合じゃない…。解っているんでしょ?」
マオが真剣な目つきになった。
そう。
ゼロには自分の為に…自分のやりたいことの為に…自分を守る為に…やらなくてはならないことがあるのだ。
その為に今回、こんな茶番劇に乗って見せたのだ。
もともと、こんな形で再会なんてしたくはなかった。
でも…守るためには仕方ない。
自分の命を狙う者もいる。
自分の名を使って良からぬ事を考える者もいる。
誰が何をしようと、ゼロは興味がなかった。
自分が関わっていなければ…
「解っている…」
「ホントに?守りたいものがある事を忘れちゃダメだよ…。ゼロの味方…ホントに少ないんだからさ…」
「解っているさ…。俺は、俺の為に動いている。確かに…殺気のは見苦しかったな…」
ゼロが皮肉混じりに自嘲した。
そんなゼロを見てマオが少しほっとしたように息を吐いた。

 ゼロの表情が変わった。
それは…
ルルーシュを構っていた時の表情ではない。
そして、マオにいろいろ突っ込まれてうろたえのある表情でもない。
恐らく、彼のその顔を知る人は、その表情を見て…
どう思うのか…
恐らく2種類に分かれる。
ヘビに睨まれたカエルの様になる者と…
その実力が自分の味方となる事を喜ぶ者と…
しかし、いつでもゼロは自分の為に動いている。
情に流されていたら自分自身も大きな渦に飲み込まれる…
それを幼い頃から叩きこまれて来たから。
自分の身を守るにしても、自分の欲しいものを手に入れるにしても…
ゼロが必要としたのは…
力だったから。
シュナイゼルが唯一恐れる異母弟と…
そう評される人物…
「マオ…とりあえず、例の方は順調に進んでいるんだろう?」
「ま、僕が完全に情報を止めているけれど…。でも、長老たちは気付いているんじゃないの?」
「まぁいい…。ばれない方がどうかしているのは解っているからな…。問題はその後だ…」
「カグヤちゃんの事?」
「それもある。ただ、彼女を野放しにするのは危険だ…。長老たちはとりあえず、ご隠居願えればいいんだが…」
ゼロが策士の顔をしてそう云い放つ。
「なら…あの、ナイト君に押し付けちゃえば?だって、カグヤちゃんって彼の従妹でしょ?」
「まぁ、今では枢木家は完全に市井に紛れて生活しているようだし…。尤も、それがあったから俺がここにいるわけだしな…」
「まぁ、そうなんだけど…アイツ…その事知ってんの?」
「さぁな…。でも、桐原の長老とは面識があるみたいだしな。普通にあいつは桐原の孫だと思っているようだが…」
ゼロの運命を変えた一端を担っている事実…
その事は彼らに放していない。
シュナイゼルはどこまで知っているのか…
その辺りはゼロ自身も図りかねているのだけれど…
「とりあえず、あっちからの連絡が来ない事には何もならない…か…」
「その前に長老たちが色々嗅ぎつけて電話してくるかもしれないがな…」
ゼロにとって、ここまで後見役をして来た者たちに対しては…
云い感情を抱いていないことがよく解る。
尤も、後見役をになっている長老たちとて、その事は承知している。
段々、ゼロが力を付けて、彼らの後見を必要としなくなっていくのを…
彼らは恐れている。
尤も、ゼロにとってはどうでもいい事なのだが…
自分の受け皿が出来ない事には…自分を守るとか、何かを守るなどと云うレベルにはならないのだ。
だから…
「どちらにせよ…俺たちはもう、後戻りはできない…。否、俺は…か…。マオ…今ならお前は長老たちの元へ…」
「ゼロ!くどいよ!僕はゼロと一緒に行くって云っただろう?」
「そうか…お前もバカだな…」
ゼロがそう、零した時…
―――Pululululu…
電話が鳴り響いた。
「もしもし…」
誰からの電話なのか、予想が出来ていた様子でゼロが電話に出た。
「これはこれは…そろそろ連絡をくれると思っていましたよ…」
ゼロはにやりと笑いながら…その電話の相手に対して云い放ったのだった…

To Be Continued


あとがきに代えて



ここ最近、非常にバタバタ状態でして…
更新が遅くなってしまって申し訳ありません。
PC版だとブログを開いた時点で書き込みが解ると思うのですが、携帯からのアクセスの方は『ブログ紹介』を開いて下さい。
二度目のリクネタ募集について書いておきました。
まぁ、この先は来るかどうかなぁ…と云った感じなのですが…

さて、場面がころころ変わりまくりの回でしたが…
ゼロ…なんだか色々背負っているご様子です。
ホントに孤独が滲み出ている感じです。
でもって、ルルーシュ…
セリフが回想の一言だけ…
つうか!
スザクカッコ良くなりすぎだ!
何故だ!
あそこまでヘタレだったくせに!
ゼロは思いっきり暴走中…
誰か…暴走ゼロを止めて下さい…( p_q) シクシク
まぁ、この話…ごちゃごちゃしてまいりました。
つうか、シュナ兄が…ヘタレてるし!Σ( ̄◇ ̄;;;;
どうなるんだろう…本当に…(;-_-) =3 フゥ


☆拍手のお返事


水流さま:こんばんは、コメント有難う御座居ます。
そして、ご無沙汰致しております。
体調を崩されてはいませんか?
ここ最近の気候…おかしいですし、お互い気をつけましょう!

『ふたりぐらし』
これは、普通にネタに困って、で、聞いていた音楽のタイトルの中にこのタイトルがあって…
じゃあ、これをタイトルに適当に書いてみるか…と書いてみたところ…
意外と評判が良くて…
また、ネタに困ったら書こうと思います。

『黒猫ルルにゃん』
これは…スザクの受難でもありますし…シュナ兄たちにんなことを言ってしまったルルーシュにとっても受難かもしれません。
まぁ、スザクのさりげない嘆きの部分で割と笑いをこめているつもりなのですが…
楽しんでいただけたでしょうか?
これからもこの二人…色々と受難が続きそうです。

足や体調のご心配、有難う御座居ます。
久しぶりに台所の大掃除をしたら…
足が…ヾ(▽^;)ゞうへへ
まぁ、たまにはやらなくちゃいけないので…やろうと思うのですが…
でも、足にこうもガタがきていると、中々大変でした。
明日、立てるかなぁ…(苦笑)
それでも、受け入れなければならない現実なので、何とかうまく付き合っていけるように頑張ります。

最近は自家通販のお申し込みがないので、そう云った事はないですね。
仕事のやり取りは基本的に直接会ってお渡ししていることもおおいので。
まぁ、新刊出した直後が結構大変な時期だったりしますし、イベント用の荷物は集荷して頂いています。
どの道、自分で仕事をしている限り、自分で郵便局行ったり、取引先に行ったりしているので、そのついでに…という事も多いので…
ご心配ありがとうございます。

夏のインテは…
とりあえず、今は行く予定です。
スペースを頂けていたら…
ただ、地理に疎いので、そこが問題だったりします。
バスの時間などを調べたら…
まぁ、名古屋まで出て行かなければならないのですが、大阪への交通手段は色々あるみたいなので…
その中から一番身体の負担のかからない方法で行きたいと思います。
その際には、色々お願いされて下さい。
宜しくお願いします。


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posted by 和泉綾 at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年04月11日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。

Third Story 15



 ノックもなしに入って来た人物…
それぞれが、それぞれに思いを抱く。
恐らく、この中で一番事情を知るのはマオだろう。
彼らが長老と呼ぶ者たちはマオをゼロとのメッセンジャーとして使っている。
そして、ゼロが疑っている様に、見張り役としての存在でもある。
マオの気持ちがどこにあるのかを全く考えていない話しではあるが。
「どうやら、邪魔をしてしまったみたいだな…」
くっとニヒルに笑いながらゼロが云う。
本当に何を考えているのか解らない。
それに、ルルーシュとしては、尊敬している義兄に酷い事をしている相手にしか見えない。
だから、ただ、キッと睨みつける。
電話のやり取りを知っているから。
今のルルーシュにはゼロに対して『敵』としての意識しかない。
「おやおや…嫌われてしまったようだな…」
ゼロが肩をすくめて笑ってみせる。
その笑った表情の裏側にあるものをきちんと理解しているのは、恐らくは…
「義兄さまのところへ…返せ!私がダメならせめてスザクだけでも!」
「おい!ルルーシュ!」
ルルーシュの云いだしそうなことは解ってはいたけれど、
しかし、ここで、いきなりそれはないだろう。
それがスザクの素直な気持ち。
そして、ゼロの後ろで控えていたマオの気持ち。
「本当に…冷静に振る舞っているかと思えば、頭に血が昇り易いお嬢さんだ…。別に、君達に直接危害を加えるつもりはないことはご理解頂けていると思うのだが?」
相変わらず、態度を変えない。
そして、この二人を見ていて…
何も知らないスザクも何かを感じる。
―――この二人…
スザクが表情を変えたのに気づいたのは多分、マオだけだろう。
ここで一番冷静なのはマオだろうから。
「でも、義兄さまが要求を飲まなければ…」
「まぁ、返すつもりはないが、別に危害を加えるつもりはないよ。ここで生活頂こうか…」
人をバカにしている様にも見えるゼロの態度に、ルルーシュの表情が更に激昂する。
「私なんて交渉のコマの価値なんてない!ランペルージ家での地位は何もない!ただ、守られているだけの存在だと云うのに…」
その守ってくれていたシュナイゼルが…
―――私の為に…
そんな事を思う。
ゼロはその言葉に『やれやれ』と云う表情を見せる。
「本当に…自分の価値を知らないと云うのは罪だな…。我が異父妹ながら情けない…」
軽く、流す様に紡がれた言葉…
しかし、その内容は…
「え?」
ルルーシュの表情が変わる。
マオは『何を考えているんだ…』と云う表情を見せるし、スザクは『やっぱり』と云う表情を見せる。
「今…何を…?」
ルルーシュはゼロのその言葉をうまく飲み込めない、噛み砕けない。
少なくとも、周囲にはそんな風に思える。
そして…
―――きっと…私を混乱させるための…ただのデマカセだ!
ルルーシュの中で強引にそちらに話しを持っていく。
考えなくても、現在いる状況を考えればそう考えるのが普通だ。
それに、今のルルーシュはどうみても、冷静に物事を見ているような感じには見えない。
しかし、ゼロはそんな風に考えるルルーシュにもう一度念を押す様に告げる。
「自分の価値を必要以上に自覚をしないと云うのは…罪だ。俺の異父妹ながら情けないぞ…ルルーシュ…」

 ゼロの言葉に、ルルーシュの身体が小刻みに震える。
マオ自身、ここで何故ゼロがそんな事をカミングアウトしているのか解らない。
ただ、幾つも先の事を考えて動くゼロだ。
止めたところで聞くわけがない。
「な…何を…」
声まで震えているのが解る。
突然の、ウソだか、本当だか解らない告白…
「ああ、そう云えば、君は知らないんだったな…」
白々しいと云う表現がピタリとあう表情でゼロがそんな事を云った。
マオは
―――また、悪い癖が出た…
と思うし、スザクは
―――こいつ…一体何を考えている…
と思う。
今のルルーシュは既に、冷静な判断が下せる状況でもなさそうだ。
「ま、立ち話もなんだから、かけて話そう。折角紅茶を用意させたんだ。ルルーシュが紅茶を好きだと聞いたからね…」
そんな事を云いながら、ゼロはその部屋にあるテーブルセットの椅子に腰かける。
そして、マオがそれに続く。
そして、スザクが小刻みに震えているルルーシュの肩をそっと抱いて、一番近くの椅子に腰掛けさせる。
その様子を…―――スザクが気づいているかどうかは定かではないが―――ゼロが冷たい目で睨みつけた。
ルルーシュを睨んだのか、スザクを睨んだのか…
その様子を見ていたマオは判断しかねるけれど。
それでも、これまで、あまり自分の感情を外に出すことをしてこなかった彼が
―――気づいているのかな…こんなに感情を露わにしている…
そんな事を考えつつ、マオは淡々と紅茶の用意をする。
マオ自身、ゼロに対して恩を感じているし、ゼロの役に立ちたいと思っている。
ここまで、ゼロが目の前にいる、ゼロにそっくりな異父妹に会いたがっていたことは知っていた。
合いたい理由が何であるのかは、解らなかったが…
でも、ゼロは今回の事、別にルルーシュでなくても良かった筈なのに、ルルーシュを指名した。
ルルーシュにとっては迷惑極まりないと思われるけれど。
「まぁ、驚くのは仕方ない。実際問題、こうして会って、話すのは初めてなのだから…」
ゼロが苦笑しながらそんな事を云う。
実際に、写真でさえ見た事無い、異父兄妹。
でも…
まじまじと見ると…
―――確かに…母様に似ている…
ここで、自分に似ていると思わないのは、ある意味仕方ない事なのだろうか。
「俺は君が生まれる前、今の君の義父と母親の間に生まれた…まぁ、婚外子と云う奴だ。一部の人間にしか知られていなかったが…情報と云うのはどこかで必ず漏れるもの…。俺は何者かに赤ん坊の時に攫われたと云うわけだ…」
聞いていて、ヘビーな話だと思う。
いきなりそんな事を云われて『はいそうですか…』と信じられるような内容でもない。
「俺が攫われた後、色々と君の母親は考えたんだろうな…。別の男と結婚し、君とナナリーを生んだんだ…。何故、あの時、俺の父親と結婚する気になったのかは知らないが…」
マオから手渡された紅茶を口に含みながら淡々と話す。
一体何が目的なのか…
そう思ってしまう程、目の間の人物の考えていることが解らない。
どう考えても、云っている方も聞いている方も気分のいい話ではない。
それだけははっきりしている。

 ルルーシュは目の前に置かれている紅茶のカップを見つめる。
ゼロを見ることが出来ない。
そして、緊張、動揺、様々な事が重なって…
―――のどが…からからで…声が…出ない…
ルルーシュの中で恐らく、信じたくないこと。
でも、これは真実であると…何かが自分に訴えている。
隣に腰かけたスザクがルルーシュの変化に、ルルーシュの目の前に置かれているカップを手に取った。
そして、そのカップから一口分、紅茶を含んで…
呆然としているルルーシュに唇に自分のそれを押しつけてルルーシュの口の中に強引に紅茶を流し込んだ。
流石に、スザクのこの行為にルルーシュも我に返る。
そして、いきなり流し込まれた紅茶を飲み下そうとするが…
うまく飲み込めずにごほごほと咳き込んだ。
全てがルルーシュの食道を通り、胃の中に流し込まれていないにしても…
とりあえず、声を出すことくらいはできる様になっただろう。
「ごほっごほっ…スザク…何を…」
漸くルルーシュが苦しそうではあるが、スザクに対して咳き込みながら問う。
スザクの方は悪い事をしたという意識はみじんも感じさせずにさらっと答えた。
「少しは頭が冷えたか?」
口を乱暴に拭いつつ、そんな事を尋ねた。
確かにルルーシュの性格であれば、そんな事を云われて冷静でいられるわけがない。
スザクの左側から殺気が混じっているような視線を感じるが…
それも、スルーしている。
ルルーシュの方からゼロと話しをしたいと云ったくせに。
これでは話しも何もできはしない。
一方的に相手の言い分だけを聞かされて、相手の思うつぼにはまって行くだけだ。
「ゼロ…と云ったな…。何が目的かは知らないが、そんな風にルルーシュを動揺させるのはやめてくれないか?ルルーシュは別に、自分が助かりたいとか、そんな事を考えているわけじゃない。お前がシュナイゼルさんに対して出した要求を取り下げてくれればルルーシュ自身は別に、お前に何かするとか考えてはいない…」
スザクがその殺気混じりの視線を送って来た主を睨みつけながら云った。
咳き込んでいたルルーシュの背中をさすって様子を窺う。
多少、落ち着きは取り戻している様である。
ゼロは…
鋭い目でスザクを睨んでいる。
しかし、その感情を表している顔はすぐに隠される。
「君は…ルルーシュ以外の女性と付き合っていたと聞いたが?ルルーシュを犠牲にして、ルルーシュに辛い思いをさせて、自分たちだけが…」
「黙れ!」
ゼロの言葉を遮ったのは…
背中にスザクの手を感じながら下を向いていたルルーシュだった。
「おや?それは本当のことだろう?その反吐が出そうな『美談』は結構有名な話しだ。確かにシュナイゼル異母兄さんが君を隠したがるわけだな…」
ゼロがくすくすと笑いながら、まるでルルーシュの怒りを煽る様な話しを続ける。
せっかく多少は冷静さを取り戻したのに…
「ああ、ゼロ、お前の云う通りだ。俺は何も知らずにルルーシュを犠牲にして、笑っていた。それは俺にとっても彼女にとっても今でも後悔している事だよ。だからこそ、俺は今度こそちゃんとルルーシュを守る。だから、俺はここについて来たんだ…」
スザクがゼロの目を見ながらはっきりと告げる。

 何が目的なのか…さっぱり解らないゼロの発言。
それに踊らされている状態のルルーシュ。
敢えて静観するマオ。
そして、動揺するルルーシュの前に立ち、守ろうとする姿勢を見せるスザク。
一体何のメロドラマなのか…
暫くの静寂…
どの程度の時間七日は解らない。
考えている通りの時間なのか。
考えているより長い時間なのか。
考えているより短い時間なのか。
その静寂を破る時が来た。
「ゼロ…いい加減にしなよ。可愛い異父妹に会えて嬉しいのは解るけどさ…」
マオの一言で静寂が破られる。
このままではあまりにルルーシュが気の毒に見えたのだろう。
マオ自身、ゼロの事が一番であるけれど。
それでも、こんな形でゼロが見た事もない異父妹を大切に思っていた事を知っているだけに。
このまま、こんな馬鹿馬鹿しい事を続けるのはルルーシュにも気の毒だ。
何よりゼロが彼女にちゃんと理解されないのはこの先、ゼロが悲しい思いをする事になると、思ってしまうから。
「ルルーシュちゃん…ごめんね?ゼロは色々焦っているんだ…。守りたいものの為に…ね…」
マオがまるで、ゼロの保護者の様にルルーシュに謝る。
すると、
「マオ!余計な事をするな!」
「何云ってんの!ゼロはこんなことを話したい為にここに来たわけじゃないでしょ!」
マオのその一言に、ゼロも怯んだ。
「ゼロ!やりたいこと、ちゃんと思い出してよ!ルルーシュちゃんを苛める為にここに連れて来たわけじゃないでしょ!」
ゼロの脱線にマオがゼロを叱責する。
そして、マオがルルーシュの方を向いた。
「ごめんね…ルルーシュちゃん。ゼロは本当に君に会いたがっていたんだ。それなのに、素直じゃないから…」
マオがそうルルーシュに告げると、ルルーシュが恐る恐るマオの方を見る。
そして、今度激昂したのは…
「マオ!余計な事を云うな!気分が悪い!俺は部屋に戻る!」
そういって、ゼロが立ち上がって部屋を出て行った。
そんなゼロを見てマオが『はぁ』とため息を吐いた。
マオはゼロの傍にいるから、ゼロの事をよく知る。
あんな風にゼロが感情を露わにしたことなんて、殆ど見たことがない。
「本当にごめんね…ルルーシュちゃん。でも、ゼロが君を苛める為にここに連れて来たんじゃないのは本当。それに、ゼロ自身、君たちの存在を知って、凄く嬉しそうにして、その後、切なそうな顔をしたのを僕は知っているんだ。ゼロはきっと、君をちゃんと元の場所へ返すよ。君のナイト君と一緒にね…」
マオがゼロを大切に思っているのが解った。
と云うか、マオ自身、ゼロがいないと居られないと云う感じに見える。
だから、ゼロが怒る事を解っていても、こうした形で横やりを入れる。
たとえ、ゼロの怒りがマオに向けられる事になったとしても、ゼロにとって大切に思うものを手放すことにならないように。
マオを見ていて、スザクはそう思った。
多分、今のルルーシュに、そこまで考えるだけの余裕はないと思うが…
―――こう云う時の人間観察は、ルルーシュの方が得意…なのにな…
「じゃあ、僕も失礼するね。あとで、食事を運ばせるから…それまで休んでいて…」
マオがそう云って、ティーセットを片づけて部屋を出て行った。

 マオを見送って、スザクは今のルルーシュの状態を見て…
―――本当に…今回の誘拐劇は一体何だったんだ…
スザクの中で素直な疑問となって浮かび上がる。
もし、あのゼロが主導してこの誘拐劇を企んだとしたら
―――結構無理がある様な気がするのは俺だけか?
今のルルーシュにそこまでの分析が出来る程の冷静さはない。
だから、スザクの中で考えるが。
そんなスザクが考えていても、おかしいと思うことが多い。
第一に、シュナイゼルと交渉するにしても、何故ルルーシュだったのか…と云うことだ。
シュナイゼルはルルーシュもナナリーも同じように大切にしている。
スザク自身、シュナイゼルの気持ちに気づいていないわけじゃない。
それでも、それを表に出せばどうなるか…
シュナイゼル自身がよく理解していると云う事も承知している。
第二に、何故ここであの話をカミングアウトしたのか。
ゼロの目的がどこにあるにしても、人質のルルーシュを激昂させても意味はない。
交渉相手に揺さぶりをかけることはあるけれど。
第三に、ゼロの後見者が誰であれ、ここにその影さえも見えないのは何故か…
ゼロの年齢から考えて、彼の力だけでここまでのおぜん立てが出来ているとは思えない。
恐らく、ルルーシュの異父兄だとしても、シュナイゼルを異母兄と云っていたのだから、年はまだ若い。
ゼロには自分の後見者の影がまるで見えなかった。
本当に自分の意思で、好きなようにやっている錯覚を起こしたのは何故か…
「ルルーシュ…大丈夫か?」
既に、殺気の紅茶の口移しなど、ルルーシュの頭から吹っ飛んでいる。
スザクも特に何かを考えての行動ではなかった。
まだ、呆然としているルルーシュ。
確かに突然そんな事を云われたって混乱するだけだ。
「か…か…さま…なんで…」
云いたいことをうまく言葉にできていない様に見える。
一気に力が抜けて、ただ、気持ちが混乱しているのが解る。
「知りたいなら…帰った時に訊けばいいだろう?今、お前が想像で決めつけない方がいい。それに、彼が本当にルルーシュとナナリーの異父兄かどうかなんて解らないだろう?」
「でも…母様に…そっくりだった…。あの…人…」
「他人の空似って奴もあるだろう?」
「あの人…の…云ってること…ウソ…よね…?」
ルルーシュが
普段のルルーシュからは考えられない様な…頼りない目でスザクを見ている。
多分、スザクだけじゃなく、ルルーシュもゼロの云っていることは本当の事だと、解っている。
でも、認めたくない…
認められない…
そんな状態なのだろう。
「それも、今は考えないで、あとで、ちゃんと、おばさんに確かめればいいじゃないか。ルルーシュがちゃんと訊けば、ちゃんと教えてくれるよ…」
「そ…だよね…」
ルルーシュが小さく呟いて、うなだれた。
突然のことで、こんな場所で、初めて会う人間から…
伝えられた…
「今は、少し寝たらどうだ?俺もこの部屋からは出られないから、ずっとお前の傍にいるから…」
「スザク…」
その名前を呼んだ時…
中学の時…
ナナリーが入院してしまって、頼れる人がいなくて、頑張った後…
帰って来た時にその姿を見て、縋りついて泣いた時以来…
スザクに縋りついて、ルルーシュは泣いていた…

To Be Continued


あとがきに代えて



困った…
ゼロが大暴走…
少々予定変更を余儀なくされつつあり…
でも、最後はHappy Endですので。
ゼロの奴…暴走しまくって云う事聞きゃしない…( ┰_┰) シクシク
時々ある、和泉が小説を書いている時のキャラクター達の反逆…
勝手に動き回り、勝手な事を云いまくり、収拾付かなくさせる…
くっそ…
この先どうしたらいいんだ…
と云うわけで、これからまた、微調整しながらの連載となりそうです。
マオ君、大人のキャラでいてくれてありがとう!
君まで暴走していたら…
普通に投げ出して居ましたよ!

と云うか、スザクが妙にカッコよくなっちゃいまして…
でもって、ルルーシュはすっかりか弱いお姫さま…
ゼロの暴走の所為ですっかりキャラがおかしな動きを繰り広げ…
ゼロ様、既に大魔王さまに近い様な気がします。
これからの『幼馴染シリーズ』においての和泉の最大の敵はゼロになりそうです…(笑)
こんなシリアスな話なのに、制作実態はこんなギャグなんです。
否、周りから見ればギャグかもしれませんが、やっている方は大変なんですよ…( ┰_┰) シクシク


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posted by 和泉綾 at 21:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。

Third Story 15



 ノックもなしに入って来た人物…
それぞれが、それぞれに思いを抱く。
恐らく、この中で一番事情を知るのはマオだろう。
彼らが長老と呼ぶ者たちはマオをゼロとのメッセンジャーとして使っている。
そして、ゼロが疑っている様に、見張り役としての存在でもある。
マオの気持ちがどこにあるのかを全く考えていない話しではあるが。
「どうやら、邪魔をしてしまったみたいだな…」
くっとニヒルに笑いながらゼロが云う。
本当に何を考えているのか解らない。
それに、ルルーシュとしては、尊敬している義兄に酷い事をしている相手にしか見えない。
だから、ただ、キッと睨みつける。
電話のやり取りを知っているから。
今のルルーシュにはゼロに対して『敵』としての意識しかない。
「おやおや…嫌われてしまったようだな…」
ゼロが肩をすくめて笑ってみせる。
その笑った表情の裏側にあるものをきちんと理解しているのは、恐らくは…
「義兄さまのところへ…返せ!私がダメならせめてスザクだけでも!」
「おい!ルルーシュ!」
ルルーシュの云いだしそうなことは解ってはいたけれど、
しかし、ここで、いきなりそれはないだろう。
それがスザクの素直な気持ち。
そして、ゼロの後ろで控えていたマオの気持ち。
「本当に…冷静に振る舞っているかと思えば、頭に血が昇り易いお嬢さんだ…。別に、君達に直接危害を加えるつもりはないことはご理解頂けていると思うのだが?」
相変わらず、態度を変えない。
そして、この二人を見ていて…
何も知らないスザクも何かを感じる。
―――この二人…
スザクが表情を変えたのに気づいたのは多分、マオだけだろう。
ここで一番冷静なのはマオだろうから。
「でも、義兄さまが要求を飲まなければ…」
「まぁ、返すつもりはないが、別に危害を加えるつもりはないよ。ここで生活頂こうか…」
人をバカにしている様にも見えるゼロの態度に、ルルーシュの表情が更に激昂する。
「私なんて交渉のコマの価値なんてない!ランペルージ家での地位は何もない!ただ、守られているだけの存在だと云うのに…」
その守ってくれていたシュナイゼルが…
―――私の為に…
そんな事を思う。
ゼロはその言葉に『やれやれ』と云う表情を見せる。
「本当に…自分の価値を知らないと云うのは罪だな…。我が異父妹ながら情けない…」
軽く、流す様に紡がれた言葉…
しかし、その内容は…
「え?」
ルルーシュの表情が変わる。
マオは『何を考えているんだ…』と云う表情を見せるし、スザクは『やっぱり』と云う表情を見せる。
「今…何を…?」
ルルーシュはゼロのその言葉をうまく飲み込めない、噛み砕けない。
少なくとも、周囲にはそんな風に思える。
そして…
―――きっと…私を混乱させるための…ただのデマカセだ!
ルルーシュの中で強引にそちらに話しを持っていく。
考えなくても、現在いる状況を考えればそう考えるのが普通だ。
それに、今のルルーシュはどうみても、冷静に物事を見ているような感じには見えない。
しかし、ゼロはそんな風に考えるルルーシュにもう一度念を押す様に告げる。
「自分の価値を必要以上に自覚をしないと云うのは…罪だ。俺の異父妹ながら情けないぞ…ルルーシュ…」

 ゼロの言葉に、ルルーシュの身体が小刻みに震える。
マオ自身、ここで何故ゼロがそんな事をカミングアウトしているのか解らない。
ただ、幾つも先の事を考えて動くゼロだ。
止めたところで聞くわけがない。
「な…何を…」
声まで震えているのが解る。
突然の、ウソだか、本当だか解らない告白…
「ああ、そう云えば、君は知らないんだったな…」
白々しいと云う表現がピタリとあう表情でゼロがそんな事を云った。
マオは
―――また、悪い癖が出た…
と思うし、スザクは
―――こいつ…一体何を考えている…
と思う。
今のルルーシュは既に、冷静な判断が下せる状況でもなさそうだ。
「ま、立ち話もなんだから、かけて話そう。折角紅茶を用意させたんだ。ルルーシュが紅茶を好きだと聞いたからね…」
そんな事を云いながら、ゼロはその部屋にあるテーブルセットの椅子に腰かける。
そして、マオがそれに続く。
そして、スザクが小刻みに震えているルルーシュの肩をそっと抱いて、一番近くの椅子に腰掛けさせる。
その様子を…―――スザクが気づいているかどうかは定かではないが―――ゼロが冷たい目で睨みつけた。
ルルーシュを睨んだのか、スザクを睨んだのか…
その様子を見ていたマオは判断しかねるけれど。
それでも、これまで、あまり自分の感情を外に出すことをしてこなかった彼が
―――気づいているのかな…こんなに感情を露わにしている…
そんな事を考えつつ、マオは淡々と紅茶の用意をする。
マオ自身、ゼロに対して恩を感じているし、ゼロの役に立ちたいと思っている。
ここまで、ゼロが目の前にいる、ゼロにそっくりな異父妹に会いたがっていたことは知っていた。
合いたい理由が何であるのかは、解らなかったが…
でも、ゼロは今回の事、別にルルーシュでなくても良かった筈なのに、ルルーシュを指名した。
ルルーシュにとっては迷惑極まりないと思われるけれど。
「まぁ、驚くのは仕方ない。実際問題、こうして会って、話すのは初めてなのだから…」
ゼロが苦笑しながらそんな事を云う。
実際に、写真でさえ見た事無い、異父兄妹。
でも…
まじまじと見ると…
―――確かに…母様に似ている…
ここで、自分に似ていると思わないのは、ある意味仕方ない事なのだろうか。
「俺は君が生まれる前、今の君の義父と母親の間に生まれた…まぁ、婚外子と云う奴だ。一部の人間にしか知られていなかったが…情報と云うのはどこかで必ず漏れるもの…。俺は何者かに赤ん坊の時に攫われたと云うわけだ…」
聞いていて、ヘビーな話だと思う。
いきなりそんな事を云われて『はいそうですか…』と信じられるような内容でもない。
「俺が攫われた後、色々と君の母親は考えたんだろうな…。別の男と結婚し、君とナナリーを生んだんだ…。何故、あの時、俺の父親と結婚する気になったのかは知らないが…」
マオから手渡された紅茶を口に含みながら淡々と話す。
一体何が目的なのか…
そう思ってしまう程、目の間の人物の考えていることが解らない。
どう考えても、云っている方も聞いている方も気分のいい話ではない。
それだけははっきりしている。

 ルルーシュは目の前に置かれている紅茶のカップを見つめる。
ゼロを見ることが出来ない。
そして、緊張、動揺、様々な事が重なって…
―――のどが…からからで…声が…出ない…
ルルーシュの中で恐らく、信じたくないこと。
でも、これは真実であると…何かが自分に訴えている。
隣に腰かけたスザクがルルーシュの変化に、ルルーシュの目の前に置かれているカップを手に取った。
そして、そのカップから一口分、紅茶を含んで…
呆然としているルルーシュに唇に自分のそれを押しつけてルルーシュの口の中に強引に紅茶を流し込んだ。
流石に、スザクのこの行為にルルーシュも我に返る。
そして、いきなり流し込まれた紅茶を飲み下そうとするが…
うまく飲み込めずにごほごほと咳き込んだ。
全てがルルーシュの食道を通り、胃の中に流し込まれていないにしても…
とりあえず、声を出すことくらいはできる様になっただろう。
「ごほっごほっ…スザク…何を…」
漸くルルーシュが苦しそうではあるが、スザクに対して咳き込みながら問う。
スザクの方は悪い事をしたという意識はみじんも感じさせずにさらっと答えた。
「少しは頭が冷えたか?」
口を乱暴に拭いつつ、そんな事を尋ねた。
確かにルルーシュの性格であれば、そんな事を云われて冷静でいられるわけがない。
スザクの左側から殺気が混じっているような視線を感じるが…
それも、スルーしている。
ルルーシュの方からゼロと話しをしたいと云ったくせに。
これでは話しも何もできはしない。
一方的に相手の言い分だけを聞かされて、相手の思うつぼにはまって行くだけだ。
「ゼロ…と云ったな…。何が目的かは知らないが、そんな風にルルーシュを動揺させるのはやめてくれないか?ルルーシュは別に、自分が助かりたいとか、そんな事を考えているわけじゃない。お前がシュナイゼルさんに対して出した要求を取り下げてくれればルルーシュ自身は別に、お前に何かするとか考えてはいない…」
スザクがその殺気混じりの視線を送って来た主を睨みつけながら云った。
咳き込んでいたルルーシュの背中をさすって様子を窺う。
多少、落ち着きは取り戻している様である。
ゼロは…
鋭い目でスザクを睨んでいる。
しかし、その感情を表している顔はすぐに隠される。
「君は…ルルーシュ以外の女性と付き合っていたと聞いたが?ルルーシュを犠牲にして、ルルーシュに辛い思いをさせて、自分たちだけが…」
「黙れ!」
ゼロの言葉を遮ったのは…
背中にスザクの手を感じながら下を向いていたルルーシュだった。
「おや?それは本当のことだろう?その反吐が出そうな『美談』は結構有名な話しだ。確かにシュナイゼル異母兄さんが君を隠したがるわけだな…」
ゼロがくすくすと笑いながら、まるでルルーシュの怒りを煽る様な話しを続ける。
せっかく多少は冷静さを取り戻したのに…
「ああ、ゼロ、お前の云う通りだ。俺は何も知らずにルルーシュを犠牲にして、笑っていた。それは俺にとっても彼女にとっても今でも後悔している事だよ。だからこそ、俺は今度こそちゃんとルルーシュを守る。だから、俺はここについて来たんだ…」
スザクがゼロの目を見ながらはっきりと告げる。

 何が目的なのか…さっぱり解らないゼロの発言。
それに踊らされている状態のルルーシュ。
敢えて静観するマオ。
そして、動揺するルルーシュの前に立ち、守ろうとする姿勢を見せるスザク。
一体何のメロドラマなのか…
暫くの静寂…
どの程度の時間七日は解らない。
考えている通りの時間なのか。
考えているより長い時間なのか。
考えているより短い時間なのか。
その静寂を破る時が来た。
「ゼロ…いい加減にしなよ。可愛い異父妹に会えて嬉しいのは解るけどさ…」
マオの一言で静寂が破られる。
このままではあまりにルルーシュが気の毒に見えたのだろう。
マオ自身、ゼロの事が一番であるけれど。
それでも、こんな形でゼロが見た事もない異父妹を大切に思っていた事を知っているだけに。
このまま、こんな馬鹿馬鹿しい事を続けるのはルルーシュにも気の毒だ。
何よりゼロが彼女にちゃんと理解されないのはこの先、ゼロが悲しい思いをする事になると、思ってしまうから。
「ルルーシュちゃん…ごめんね?ゼロは色々焦っているんだ…。守りたいものの為に…ね…」
マオがまるで、ゼロの保護者の様にルルーシュに謝る。
すると、
「マオ!余計な事をするな!」
「何云ってんの!ゼロはこんなことを話したい為にここに来たわけじゃないでしょ!」
マオのその一言に、ゼロも怯んだ。
「ゼロ!やりたいこと、ちゃんと思い出してよ!ルルーシュちゃんを苛める為にここに連れて来たわけじゃないでしょ!」
ゼロの脱線にマオがゼロを叱責する。
そして、マオがルルーシュの方を向いた。
「ごめんね…ルルーシュちゃん。ゼロは本当に君に会いたがっていたんだ。それなのに、素直じゃないから…」
マオがそうルルーシュに告げると、ルルーシュが恐る恐るマオの方を見る。
そして、今度激昂したのは…
「マオ!余計な事を云うな!気分が悪い!俺は部屋に戻る!」
そういって、ゼロが立ち上がって部屋を出て行った。
そんなゼロを見てマオが『はぁ』とため息を吐いた。
マオはゼロの傍にいるから、ゼロの事をよく知る。
あんな風にゼロが感情を露わにしたことなんて、殆ど見たことがない。
「本当にごめんね…ルルーシュちゃん。でも、ゼロが君を苛める為にここに連れて来たんじゃないのは本当。それに、ゼロ自身、君たちの存在を知って、凄く嬉しそうにして、その後、切なそうな顔をしたのを僕は知っているんだ。ゼロはきっと、君をちゃんと元の場所へ返すよ。君のナイト君と一緒にね…」
マオがゼロを大切に思っているのが解った。
と云うか、マオ自身、ゼロがいないと居られないと云う感じに見える。
だから、ゼロが怒る事を解っていても、こうした形で横やりを入れる。
たとえ、ゼロの怒りがマオに向けられる事になったとしても、ゼロにとって大切に思うものを手放すことにならないように。
マオを見ていて、スザクはそう思った。
多分、今のルルーシュに、そこまで考えるだけの余裕はないと思うが…
―――こう云う時の人間観察は、ルルーシュの方が得意…なのにな…
「じゃあ、僕も失礼するね。あとで、食事を運ばせるから…それまで休んでいて…」
マオがそう云って、ティーセットを片づけて部屋を出て行った。

 マオを見送って、スザクは今のルルーシュの状態を見て…
―――本当に…今回の誘拐劇は一体何だったんだ…
スザクの中で素直な疑問となって浮かび上がる。
もし、あのゼロが主導してこの誘拐劇を企んだとしたら
―――結構無理がある様な気がするのは俺だけか?
今のルルーシュにそこまでの分析が出来る程の冷静さはない。
だから、スザクの中で考えるが。
そんなスザクが考えていても、おかしいと思うことが多い。
第一に、シュナイゼルと交渉するにしても、何故ルルーシュだったのか…と云うことだ。
シュナイゼルはルルーシュもナナリーも同じように大切にしている。
スザク自身、シュナイゼルの気持ちに気づいていないわけじゃない。
それでも、それを表に出せばどうなるか…
シュナイゼル自身がよく理解していると云う事も承知している。
第二に、何故ここであの話をカミングアウトしたのか。
ゼロの目的がどこにあるにしても、人質のルルーシュを激昂させても意味はない。
交渉相手に揺さぶりをかけることはあるけれど。
第三に、ゼロの後見者が誰であれ、ここにその影さえも見えないのは何故か…
ゼロの年齢から考えて、彼の力だけでここまでのおぜん立てが出来ているとは思えない。
恐らく、ルルーシュの異父兄だとしても、シュナイゼルを異母兄と云っていたのだから、年はまだ若い。
ゼロには自分の後見者の影がまるで見えなかった。
本当に自分の意思で、好きなようにやっている錯覚を起こしたのは何故か…
「ルルーシュ…大丈夫か?」
既に、殺気の紅茶の口移しなど、ルルーシュの頭から吹っ飛んでいる。
スザクも特に何かを考えての行動ではなかった。
まだ、呆然としているルルーシュ。
確かに突然そんな事を云われたって混乱するだけだ。
「か…か…さま…なんで…」
云いたいことをうまく言葉にできていない様に見える。
一気に力が抜けて、ただ、気持ちが混乱しているのが解る。
「知りたいなら…帰った時に訊けばいいだろう?今、お前が想像で決めつけない方がいい。それに、彼が本当にルルーシュとナナリーの異父兄かどうかなんて解らないだろう?」
「でも…母様に…そっくりだった…。あの…人…」
「他人の空似って奴もあるだろう?」
「あの人…の…云ってること…ウソ…よね…?」
ルルーシュが
普段のルルーシュからは考えられない様な…頼りない目でスザクを見ている。
多分、スザクだけじゃなく、ルルーシュもゼロの云っていることは本当の事だと、解っている。
でも、認めたくない…
認められない…
そんな状態なのだろう。
「それも、今は考えないで、あとで、ちゃんと、おばさんに確かめればいいじゃないか。ルルーシュがちゃんと訊けば、ちゃんと教えてくれるよ…」
「そ…だよね…」
ルルーシュが小さく呟いて、うなだれた。
突然のことで、こんな場所で、初めて会う人間から…
伝えられた…
「今は、少し寝たらどうだ?俺もこの部屋からは出られないから、ずっとお前の傍にいるから…」
「スザク…」
その名前を呼んだ時…
中学の時…
ナナリーが入院してしまって、頼れる人がいなくて、頑張った後…
帰って来た時にその姿を見て、縋りついて泣いた時以来…
スザクに縋りついて、ルルーシュは泣いていた…

To Be Continued


あとがきに代えて



困った…
ゼロが大暴走…
少々予定変更を余儀なくされつつあり…
でも、最後はHappy Endですので。
ゼロの奴…暴走しまくって云う事聞きゃしない…( ┰_┰) シクシク
時々ある、和泉が小説を書いている時のキャラクター達の反逆…
勝手に動き回り、勝手な事を云いまくり、収拾付かなくさせる…
くっそ…
この先どうしたらいいんだ…
と云うわけで、これからまた、微調整しながらの連載となりそうです。
マオ君、大人のキャラでいてくれてありがとう!
君まで暴走していたら…
普通に投げ出して居ましたよ!

と云うか、スザクが妙にカッコよくなっちゃいまして…
でもって、ルルーシュはすっかりか弱いお姫さま…
ゼロの暴走の所為ですっかりキャラがおかしな動きを繰り広げ…
ゼロ様、既に大魔王さまに近い様な気がします。
これからの『幼馴染シリーズ』においての和泉の最大の敵はゼロになりそうです…(笑)
こんなシリアスな話なのに、制作実態はこんなギャグなんです。
否、周りから見ればギャグかもしれませんが、やっている方は大変なんですよ…( ┰_┰) シクシク


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posted by 和泉綾 at 21:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年04月04日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。

Third Story 14



 デスクの上の書類の束を片づけながら…思う…
今更だと…
そんなことを考えるのは今更だと…承知していながら…
それでも…実際に顔を見てしまうと…
自分にそっくりな…
でも半分しか血の繋がっていない…異父妹…
ゼロの名前は…母がつけたと云う…
本当かウソか…気にした時期もあったけれど、今となってはどうでもいい…
何故…こんな形になったのか…理由を知るゼロとしては…
生きている内に会えないと…そして、会うつもりはないと…考えていたのに…
結局…自分のやりたいことの為には…こんな手段を取る事しか出来なかった。
―――そう…俺は自分の為に動いている…。奴らも…俺のコマに過ぎん…
自分の中でそんな風に考えつつも…
こんなことを考えてしまう自分の甘さを自嘲する。
こんなことを考えるような甘さがある限り…確実に、自分は今、自分がコマだと思っている連中から裏切りと云う仕打ちを受ける。
いくら有能だとは云え…所詮は子供…
そして、シャルルの血を引く者と…公然の秘密であるのに…
ランペルージ家のパーティに顔を出していても決して不思議に思われない存在だと云うのに…
それでも、シャルルの血を引く子供の中で唯一シャルルの認知を受けていない者…
恐らく、母であるマリアンヌが望まなかったから…
マリアンヌはゼロを生んだ…
マリアンヌの子として…
もし、シャルルがランペルージグループの代表と云う立場でなかったら…マリアンヌが一般のサラリーマンの子供でなかったら…
ゼロはその誕生を、両親からも、他の周囲の者たちからも祝福されていただろう。
しかし…
現実的にそんな甘っちょろいことが許される様な状況ではなかったのことは事実で…
マリアンヌがゼロを連れてランペルージから去ろうと決めていた…
しかし…
どこから漏れたかは解らないが…
ゼロの存在がランペルージグループの一部で知れてしまい…
行方知れずとなった…
そして、ある時突然…ある企業の代表の養子としてゼロはランペルージ家のパーティに出席した。
その時に…生みの母親であるマリアンヌはゼロの姿を見て驚いた…
あまりに自分に似過ぎていて…
ゼロ自身、まだ子供だった事もあり、企業の御曹司として、彼女の前で挨拶をした。
その後から…ゼロの周囲が目まぐるしく変わって行く事になった。
自分の出生の秘密…そしてどう云う存在であるか…
その秘密を知らされた時…ゼロは10歳だった…
やがて…ゼロはスキップで大学まで卒業して…ランペルージグループに入った。
それは…既に公然の秘密になってしまっていたゼロの出自の事もあり、ランペルージグループの代表であるシャルルとシュナイゼルが半ば強引にゼロがランペルージグループに入ることを許可したのだ。
ゼロは有能だった。
見る見る内に自分の地位を築き上げ…シュナイゼルの脅威となる存在となっていた。
―――こうしなければ…俺は俺の居場所を作ることが出来なかった…
そう思った時…自嘲と共に…ため息が漏れた。

―――コンコン…
 ゼロの執務室の扉がノックされた。
「開いている…」
ゼロがノックに対してそう告げると…
「一応マスコミの方は抑えたよ…。ゼロ…なんだか機嫌が悪そうだけど…」
「別に…。それより、話しはそれだけか?」
「なんだよ…機嫌悪いじゃん…」
入って来た人物が肩をすくめながらそんな事を云うと、ゼロはその相手に対してキッと睨みつけた。
「さっさと用件を云え!」
「おお怖…。一応あの子たち、ちゃんと大人しくしているみたい…。後ね…水面下の取引が始まっているみたいだよ…。カノン=マルディーニとディートハルトが交渉しているみたいだけど…」
「あの様子じゃ、シュナイゼルも正攻法で来るさ…。カノンもご苦労なことだな…」
「まぁ、ディートハルトは楽しそうに交渉しているみたいだけどさ…。こっちの方が、どちらに転んだところで、失うものが少ないからね…。伸び伸びやれるみたい…」
「失うもの?今の俺に失うものなんてるのか?」
「またぁ…そんなことばっかり言っているから長老たちがひやひやしているんじゃないの…」
「今回のことは、年寄り連中が同行できる問題じゃない…。大体、あの長老たちにシュナイゼルと交渉なんかできないさ…」
「その通りだけど…。でも、既得権益を全部ゼロに持って行かれるのは不愉快みたいだよ…」
その言葉に…ゼロ自身、その長老と呼ぶ者たちに対しての蔑みを含めた笑みを浮かべた。
「年寄りってのはどうしても手放すことを恐れるからな…。まぁ、好きなことを云わせておけばいい…。別に俺はあの連中に切り捨てられたところで困らない…」
「まぁ、僕はずっとゼロについて行くけど…」
「お前ももっと自分を大切にしたらどうだ?俺なんかについて来たっていい事無いだろう?」
「それは僕が決めることでゼロが決めることじゃない…」
「お前も変わった奴だな…マオ…」
「ゼロ程じゃないよ…。と云うか、ホントにゼロにそっくりだね…あの子…」
「似ていないよ…ルルーシュは…俺になんか…」
少し表情が沈む…
そして声も…
ルルーシュの真っ直ぐな目を見ていて…ちっとも似ていないと…ゼロは思っていたから…
「そうかなぁ…。大切なものの為に後先考えずに身体が動いちゃうところなんて…そっくりだと思うんだけど…」
「マオ…話しがそれだけなら出て行け…」
「もぉ…そんなに怒んないでよ…。そうそう…もう一つ…あの子がゼロと話しをしたいって…」
マオと呼んだその少年の言葉に…ゼロがピクリと反応して、マオに掴みかかった。
「なんでそれを早く云わない!」
「だ…だって…これを先に云ったら、僕がさっき云った事を…聞かないで出て行っちゃうだろう?」
「どちらかと云うと、さっきのはどうでもいい話だったがな…」
更に鋭い視線でマオを睨みつける。
マオは慣れっこなのか…そんなゼロの顔を見ても驚く様子はない。
「後…もう一つ報告…。あの子のナイト…桐原さんの親戚だって…。調べていたディートハルトがびっくりしてた…。まぁ、このグループに得に関わりのないことをしているらしいけど…」

 恐らく、今のゼロにとって、この一言が最も重要な報告だと云える。
「ホントは、ゼロには黙っていろって言われたんだけどさ…」
「なんだ…それは…」
マオのその一言にゼロの表情は更に険しくなる。
「まぁ、そろそろ長老が動きだしたってこと…。気を付けないと…あの子…消されちゃうよ?本当に…」
「いつか排除の対象になるとは思っていたが…もうそんなところに来ていたのか…」
「だって…ゼロ…こちらでも、ランペルージグループの中でも結構な地位に来ているからね…。あのおじいさんとしてもこれ以上ゼロがグループ内で力を強くされるのも困るんじゃないの?」
「何を今更…。ここまでくれば同じだろう…」
「あと、ゼロがあの、カグヤちゃんだっけ?あの子との婚姻を断ったことにもあるみたいだけど…」
マオの一言にゼロはマオにさえ疑いの目を向ける。
「お前…何が目的だ?まぁ、俺自身、お前を利用していることは否定していないしな…」
「ちょ…待ってよ…。僕はゼロと一緒にいるよ…。僕を拾ってくれたのは…ゼロなんだから…」
マオが慌ててゼロに訴える。
マオ自身、これまでゼロに対する裏切りがなかったことはゼロも認めているところだ。
これまで、ゼロの周囲の人間は大なり小なり、ゼロに対して裏切りを見せている…
否、裏切りと云うよりも、主はゼロではないと云う意思表示をしていると考える方が正しいか…
「僕は…ゼロのコマだよ…。僕、ゼロのコマと云う肩書がないと空っぽなんだから…」
マオの表情が…今にも泣き出しそうになるが…
ゼロはそんなマオに対して優しさを与えない。
これまでもそうだった。
少なくともゼロはそう思っている。
尤も、ゼロ自身、何を持って『優しさ』と云うか…解らないのだから…ゼロの認識が周囲の認識と合致しているのかどうかは…結構怪しいところだ。
「勝手にしろ…」
ゼロはただ…その一言を吐き捨てる。
その一言に…マオが笑顔を見せる。
「うん…勝手にする!」
そんな…
本来なら冷たいと思われる様な一言に対して、何故、こんな表情を見せられるのか…ゼロには理解できなかった。
大体、自分の半分とは云え血を分けた異父妹にさえ…自分の手足として利用する為に欲しているのだ。
これまでずっと一緒にいたとは云え…赤の他人に対してコマとしての存在価値以外に何を見出せるのだろうか…
ゼロは本気でそんな事を考えている。
「マオ…紅茶の準備をしろ…。4人分…」
「え?4人分…?」
「お前も一緒に行くんだよ…。相手はあのルルーシュだ…。そして、いざとなれば命を張りそうなあのガキも一緒なんだ…。お前を護衛に連れて行くから一緒に来いと云っている…」
ゼロの言葉に…マオがきょとんとするが…
でも、その次の瞬間に嬉しそうな顔をする。
どう考えたって、護衛が必要だとも思えない。
あのルルーシュと云う少女がむやみにあの少年と暴れさせる様な事をするとは思えない…
「うん…解った…すぐに用意する…」

 その頃…
ルルーシュ達は…
「大人しくしているのはいいとしても…」
「俺たちがどうこう考えたところで出来ることはない…。昔捕まったときだって、そうだっただろう?」
「まぁ…そうなんだけど…」
「さっき来た奴に…リーダーに会わせてくれって頼んだんだろう?まぁ、本当のことは解らなくても、俺たちの立場はその時に解るんじゃないのか?」
スザクの言葉に…ルルーシュは頷くしかない。
不安がないとは云わないし、スザクだってわざわざ飛び込んで来るような真似をしなければこんなところにはいなかった筈なのだ。
「ナナリーとノネット…心配…しているんだろうな…。それに、おじさまやおばさま…ロロも…」
「まぁ、心配はしていると思うけれど…こっちで考えていたって出来ることなんてない…。どう考えてもここから自力で逃げ出すのは無理だし…。それに、彼らは本当に俺たち…と云うより、ルルーシュを交渉の為のカードとしての人質として扱っているだろ?大人しくしていることが最良だよ…」
本当はルルーシュの方がこうした事の分析は得意な筈なのだけれど…
「とにかく…シュナイゼルさんとの交渉の時にお前はちゃんと連れだされるだろうし、俺だって本来おまけとしての扱いだからな…。お前を殺す気がないなら…俺も殺されないだろ…」
スザクの…受け取り方によってはかなり能天気に聞こえるその一言が…

今はそんな一言が酷く気持ちを楽にする一言になっている。
「そう…だな…」
多分…こんな風に不安になってしまうのは…
寄り掛かれる存在がいるからだろう…
―――スザクは…私にとって…寄り掛かれる…存在…なのか…?
昔、誘拐された時もスザクが一緒にいて…心強かったことを思い出す。
怖くて…震えていたルルーシュの背中をポンポンと叩いてくれていた。
そんな手が…
ルルーシュをひどく安心させた。
―――私は…こんなに弱くはない筈…なのに…
恐らく、ルルーシュ一人だったら…気丈に振る舞っただろう…
それこそ…自分でも気付かないほど…神経を張り詰め尖らせて…
でも…自分の味方がいる…
一人じゃないと…思える…
そんな状況が…ルルーシュにこんな弱音を吐かせている…
「ルルーシュ…どんな交渉がされたとしても…必ず俺が守るから…。そうしないと…俺がついて来た意味がないし…」
「ホント…人がいいにもほどがある…。お前…そんな風にいい人やっていると…そんばっかりするぞ…」
ルルーシュの一言に…
スザクはなんとなく…切なさを感じる。
ある意味、仕方のない事だ…
過去に…ルルーシュにそんな傷を残したのは…スザクなのだから…
「別に…俺はお前が思っている程…優しくない…」
ルルーシュの一言に切なさを抱きながら…そう一言呟いた。
ルルーシュはスザクの言葉に不思議そうな顔をする。
人の事ばかり気にして…
自分の事になるとどこまでも鈍感な…
罪つくりとも云える様な…スザクの幼馴染…
相変わらずだと思う…
いつも、人のことを気にしていて…
―――損をしているのは…ルルーシュの方じゃないか…

 そんな切なさを思い出して…スザクは黙り込んでしまう。
「スザクは…優しいじゃないか…。いつも、私が困っている時には助けてくれる…。そんな風だから…あの時…ユーフェミアが誤解したんだろ?」
「あれは…。でも、ユフィのことは…本当にお前は関係ないぞ?俺とユフィの気持ちがうまく通じ合わなくなってしまった…ただ…それだけだ…」
「まぁ、その辺りは追及しないよ…。恋人同士だって別れるときは別れるんだ…。それに…ユーフェミアもスザクも…ちゃんと笑ってる…。だったらそれでいい…」
ルルーシュの中で、やっと吹っ切れたんだ…と云う表情を見せた。
ルルーシュがブリタニアに渡っていた3年間で…
色んなものが変わってしまって…なんだか色々取り残されているような気持ちがしていたけれど…
でも…
今は…彼女たちは普通にルルーシュと接してくれている。
ずっと一緒にいたって、時間を追うごとにその人間同士の関係は変わって行くものだ。
そう考えられるようになってから…
そして、ナナリーの中にナナリーの世界が出来たと自分の中で認識した時に…
自分の中でもそんな風に考えられるようになったのだ。
「お前は…ちゃんと笑えているのか?」
スザクは…ルルーシュの言葉にそんな風に尋ねた。
ルルーシュは少し、考える様な…そんなそぶりを見せた後…
こくりと頷いた。
帰って来て間もなくの頃は…
確かに自分の知らない世界になっていたような気がして…戸惑いもしたけれど…
でも…久しぶりに帰って来たルルーシュに…みんなは笑いかけてくれた…
その事実を把握した時…
ルルーシュ自身、心から笑えるようになった気がする。
「ならいい…。俺だって、別に、お前が心配している程自分を殺しているわけじゃない…。今回だって…俺がそうしたくてしただけで…。ルルーシュにしてみれば…そんな風に気を病んでしまったなら…申し訳なかった…」
「そんな…。スザクが居てくれるから…こんな風に…多分…弱音を吐けるんだ…。多分…」
「そっか…」
スザクの短いその返事に…ルルーシュはスザクの方を見る。
昔、誘拐された時にも…心強いと思ったけれど…
今は…あの時よりもっと大人になって…心強さと…安心感がある様な…そんな気がする。
実際に、スザクの存在があると云う安心感はあることを否定できない。
「なぁ…スザク…」
「なんだ…?」
「今回…どうして…私と一緒に来てくれたんだ…?」
「何?云わせたいのか?と云うか…ホントに解らないのか?」
ルルーシュの質問に…スザクは少々呆れた様な口調で返す…。
「解らないから聞いている!」
ルルーシュの怒鳴り声にスザクは呆れたような表情を見せる…
そして…なにかを決意するように…深呼吸をして…口を開こうとする…
「それは…」
―――ガチャリ…
突然扉が開いた…
ルルーシュとスザクの表情に…緊張の色が濃くなる。
「これは…いい雰囲気の時に済まないね…」
そう云いながら二人の人物が入ってきた…
一人は、ティーセットを乗せたカートを押すマオと…
ゼロだった…

To Be Continued


あとがきに代えて



今回はなんだか、会話の多い話しとなりました。
なんだか…お決まりなパターンで、お邪魔が入ったわけですけれど…
それでも、少しずつスザルルに向かっていると…
書いている本人は思っています。
えっと…マオに関しては…
ゼロにつき従う人間がいないと困る為に急遽ご登場いただいたキャラです。
こう云う時、マオって結構使いやすいんです。
ゼロが完全に孤独…と云う立場に立っているので、そんなときにマオのキャラクターは非常に使いやすいです。
マオは一途なので…
話しもどんどん佳境に入って行っております。
そして、ここでその設定を出すか…と云う設定がいくつも出てきております。
まぁ、最終回までにそのフラグが回収できるかどうかは…微妙なところなのですが、辻褄合わせくらいはできるといいなぁ…と思います。

アメブロのピグで…柴犬と黒猫(両方♂)を飼い始めました。
名前はルルとスザク…
かわいいのですが…
どちらかをなでてやると…片方が少しいじけてしまいまして…
結構大変です…
和泉はペットを飼える状況にないので…
こういうネット上のペットは全力で可愛がりたいと思います!


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posted by 和泉綾 at 21:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。

Third Story 14



 デスクの上の書類の束を片づけながら…思う…
今更だと…
そんなことを考えるのは今更だと…承知していながら…
それでも…実際に顔を見てしまうと…
自分にそっくりな…
でも半分しか血の繋がっていない…異父妹…
ゼロの名前は…母がつけたと云う…
本当かウソか…気にした時期もあったけれど、今となってはどうでもいい…
何故…こんな形になったのか…理由を知るゼロとしては…
生きている内に会えないと…そして、会うつもりはないと…考えていたのに…
結局…自分のやりたいことの為には…こんな手段を取る事しか出来なかった。
―――そう…俺は自分の為に動いている…。奴らも…俺のコマに過ぎん…
自分の中でそんな風に考えつつも…
こんなことを考えてしまう自分の甘さを自嘲する。
こんなことを考えるような甘さがある限り…確実に、自分は今、自分がコマだと思っている連中から裏切りと云う仕打ちを受ける。
いくら有能だとは云え…所詮は子供…
そして、シャルルの血を引く者と…公然の秘密であるのに…
ランペルージ家のパーティに顔を出していても決して不思議に思われない存在だと云うのに…
それでも、シャルルの血を引く子供の中で唯一シャルルの認知を受けていない者…
恐らく、母であるマリアンヌが望まなかったから…
マリアンヌはゼロを生んだ…
マリアンヌの子として…
もし、シャルルがランペルージグループの代表と云う立場でなかったら…マリアンヌが一般のサラリーマンの子供でなかったら…
ゼロはその誕生を、両親からも、他の周囲の者たちからも祝福されていただろう。
しかし…
現実的にそんな甘っちょろいことが許される様な状況ではなかったのことは事実で…
マリアンヌがゼロを連れてランペルージから去ろうと決めていた…
しかし…
どこから漏れたかは解らないが…
ゼロの存在がランペルージグループの一部で知れてしまい…
行方知れずとなった…
そして、ある時突然…ある企業の代表の養子としてゼロはランペルージ家のパーティに出席した。
その時に…生みの母親であるマリアンヌはゼロの姿を見て驚いた…
あまりに自分に似過ぎていて…
ゼロ自身、まだ子供だった事もあり、企業の御曹司として、彼女の前で挨拶をした。
その後から…ゼロの周囲が目まぐるしく変わって行く事になった。
自分の出生の秘密…そしてどう云う存在であるか…
その秘密を知らされた時…ゼロは10歳だった…
やがて…ゼロはスキップで大学まで卒業して…ランペルージグループに入った。
それは…既に公然の秘密になってしまっていたゼロの出自の事もあり、ランペルージグループの代表であるシャルルとシュナイゼルが半ば強引にゼロがランペルージグループに入ることを許可したのだ。
ゼロは有能だった。
見る見る内に自分の地位を築き上げ…シュナイゼルの脅威となる存在となっていた。
―――こうしなければ…俺は俺の居場所を作ることが出来なかった…
そう思った時…自嘲と共に…ため息が漏れた。

―――コンコン…
 ゼロの執務室の扉がノックされた。
「開いている…」
ゼロがノックに対してそう告げると…
「一応マスコミの方は抑えたよ…。ゼロ…なんだか機嫌が悪そうだけど…」
「別に…。それより、話しはそれだけか?」
「なんだよ…機嫌悪いじゃん…」
入って来た人物が肩をすくめながらそんな事を云うと、ゼロはその相手に対してキッと睨みつけた。
「さっさと用件を云え!」
「おお怖…。一応あの子たち、ちゃんと大人しくしているみたい…。後ね…水面下の取引が始まっているみたいだよ…。カノン=マルディーニとディートハルトが交渉しているみたいだけど…」
「あの様子じゃ、シュナイゼルも正攻法で来るさ…。カノンもご苦労なことだな…」
「まぁ、ディートハルトは楽しそうに交渉しているみたいだけどさ…。こっちの方が、どちらに転んだところで、失うものが少ないからね…。伸び伸びやれるみたい…」
「失うもの?今の俺に失うものなんてるのか?」
「またぁ…そんなことばっかり言っているから長老たちがひやひやしているんじゃないの…」
「今回のことは、年寄り連中が同行できる問題じゃない…。大体、あの長老たちにシュナイゼルと交渉なんかできないさ…」
「その通りだけど…。でも、既得権益を全部ゼロに持って行かれるのは不愉快みたいだよ…」
その言葉に…ゼロ自身、その長老と呼ぶ者たちに対しての蔑みを含めた笑みを浮かべた。
「年寄りってのはどうしても手放すことを恐れるからな…。まぁ、好きなことを云わせておけばいい…。別に俺はあの連中に切り捨てられたところで困らない…」
「まぁ、僕はずっとゼロについて行くけど…」
「お前ももっと自分を大切にしたらどうだ?俺なんかについて来たっていい事無いだろう?」
「それは僕が決めることでゼロが決めることじゃない…」
「お前も変わった奴だな…マオ…」
「ゼロ程じゃないよ…。と云うか、ホントにゼロにそっくりだね…あの子…」
「似ていないよ…ルルーシュは…俺になんか…」
少し表情が沈む…
そして声も…
ルルーシュの真っ直ぐな目を見ていて…ちっとも似ていないと…ゼロは思っていたから…
「そうかなぁ…。大切なものの為に後先考えずに身体が動いちゃうところなんて…そっくりだと思うんだけど…」
「マオ…話しがそれだけなら出て行け…」
「もぉ…そんなに怒んないでよ…。そうそう…もう一つ…あの子がゼロと話しをしたいって…」
マオと呼んだその少年の言葉に…ゼロがピクリと反応して、マオに掴みかかった。
「なんでそれを早く云わない!」
「だ…だって…これを先に云ったら、僕がさっき云った事を…聞かないで出て行っちゃうだろう?」
「どちらかと云うと、さっきのはどうでもいい話だったがな…」
更に鋭い視線でマオを睨みつける。
マオは慣れっこなのか…そんなゼロの顔を見ても驚く様子はない。
「後…もう一つ報告…。あの子のナイト…桐原さんの親戚だって…。調べていたディートハルトがびっくりしてた…。まぁ、このグループに得に関わりのないことをしているらしいけど…」

 恐らく、今のゼロにとって、この一言が最も重要な報告だと云える。
「ホントは、ゼロには黙っていろって言われたんだけどさ…」
「なんだ…それは…」
マオのその一言にゼロの表情は更に険しくなる。
「まぁ、そろそろ長老が動きだしたってこと…。気を付けないと…あの子…消されちゃうよ?本当に…」
「いつか排除の対象になるとは思っていたが…もうそんなところに来ていたのか…」
「だって…ゼロ…こちらでも、ランペルージグループの中でも結構な地位に来ているからね…。あのおじいさんとしてもこれ以上ゼロがグループ内で力を強くされるのも困るんじゃないの?」
「何を今更…。ここまでくれば同じだろう…」
「あと、ゼロがあの、カグヤちゃんだっけ?あの子との婚姻を断ったことにもあるみたいだけど…」
マオの一言にゼロはマオにさえ疑いの目を向ける。
「お前…何が目的だ?まぁ、俺自身、お前を利用していることは否定していないしな…」
「ちょ…待ってよ…。僕はゼロと一緒にいるよ…。僕を拾ってくれたのは…ゼロなんだから…」
マオが慌ててゼロに訴える。
マオ自身、これまでゼロに対する裏切りがなかったことはゼロも認めているところだ。
これまで、ゼロの周囲の人間は大なり小なり、ゼロに対して裏切りを見せている…
否、裏切りと云うよりも、主はゼロではないと云う意思表示をしていると考える方が正しいか…
「僕は…ゼロのコマだよ…。僕、ゼロのコマと云う肩書がないと空っぽなんだから…」
マオの表情が…今にも泣き出しそうになるが…
ゼロはそんなマオに対して優しさを与えない。
これまでもそうだった。
少なくともゼロはそう思っている。
尤も、ゼロ自身、何を持って『優しさ』と云うか…解らないのだから…ゼロの認識が周囲の認識と合致しているのかどうかは…結構怪しいところだ。
「勝手にしろ…」
ゼロはただ…その一言を吐き捨てる。
その一言に…マオが笑顔を見せる。
「うん…勝手にする!」
そんな…
本来なら冷たいと思われる様な一言に対して、何故、こんな表情を見せられるのか…ゼロには理解できなかった。
大体、自分の半分とは云え血を分けた異父妹にさえ…自分の手足として利用する為に欲しているのだ。
これまでずっと一緒にいたとは云え…赤の他人に対してコマとしての存在価値以外に何を見出せるのだろうか…
ゼロは本気でそんな事を考えている。
「マオ…紅茶の準備をしろ…。4人分…」
「え?4人分…?」
「お前も一緒に行くんだよ…。相手はあのルルーシュだ…。そして、いざとなれば命を張りそうなあのガキも一緒なんだ…。お前を護衛に連れて行くから一緒に来いと云っている…」
ゼロの言葉に…マオがきょとんとするが…
でも、その次の瞬間に嬉しそうな顔をする。
どう考えたって、護衛が必要だとも思えない。
あのルルーシュと云う少女がむやみにあの少年と暴れさせる様な事をするとは思えない…
「うん…解った…すぐに用意する…」

 その頃…
ルルーシュ達は…
「大人しくしているのはいいとしても…」
「俺たちがどうこう考えたところで出来ることはない…。昔捕まったときだって、そうだっただろう?」
「まぁ…そうなんだけど…」
「さっき来た奴に…リーダーに会わせてくれって頼んだんだろう?まぁ、本当のことは解らなくても、俺たちの立場はその時に解るんじゃないのか?」
スザクの言葉に…ルルーシュは頷くしかない。
不安がないとは云わないし、スザクだってわざわざ飛び込んで来るような真似をしなければこんなところにはいなかった筈なのだ。
「ナナリーとノネット…心配…しているんだろうな…。それに、おじさまやおばさま…ロロも…」
「まぁ、心配はしていると思うけれど…こっちで考えていたって出来ることなんてない…。どう考えてもここから自力で逃げ出すのは無理だし…。それに、彼らは本当に俺たち…と云うより、ルルーシュを交渉の為のカードとしての人質として扱っているだろ?大人しくしていることが最良だよ…」
本当はルルーシュの方がこうした事の分析は得意な筈なのだけれど…
「とにかく…シュナイゼルさんとの交渉の時にお前はちゃんと連れだされるだろうし、俺だって本来おまけとしての扱いだからな…。お前を殺す気がないなら…俺も殺されないだろ…」
スザクの…受け取り方によってはかなり能天気に聞こえるその一言が…

今はそんな一言が酷く気持ちを楽にする一言になっている。
「そう…だな…」
多分…こんな風に不安になってしまうのは…
寄り掛かれる存在がいるからだろう…
―――スザクは…私にとって…寄り掛かれる…存在…なのか…?
昔、誘拐された時もスザクが一緒にいて…心強かったことを思い出す。
怖くて…震えていたルルーシュの背中をポンポンと叩いてくれていた。
そんな手が…
ルルーシュをひどく安心させた。
―――私は…こんなに弱くはない筈…なのに…
恐らく、ルルーシュ一人だったら…気丈に振る舞っただろう…
それこそ…自分でも気付かないほど…神経を張り詰め尖らせて…
でも…自分の味方がいる…
一人じゃないと…思える…
そんな状況が…ルルーシュにこんな弱音を吐かせている…
「ルルーシュ…どんな交渉がされたとしても…必ず俺が守るから…。そうしないと…俺がついて来た意味がないし…」
「ホント…人がいいにもほどがある…。お前…そんな風にいい人やっていると…そんばっかりするぞ…」
ルルーシュの一言に…
スザクはなんとなく…切なさを感じる。
ある意味、仕方のない事だ…
過去に…ルルーシュにそんな傷を残したのは…スザクなのだから…
「別に…俺はお前が思っている程…優しくない…」
ルルーシュの一言に切なさを抱きながら…そう一言呟いた。
ルルーシュはスザクの言葉に不思議そうな顔をする。
人の事ばかり気にして…
自分の事になるとどこまでも鈍感な…
罪つくりとも云える様な…スザクの幼馴染…
相変わらずだと思う…
いつも、人のことを気にしていて…
―――損をしているのは…ルルーシュの方じゃないか…

 そんな切なさを思い出して…スザクは黙り込んでしまう。
「スザクは…優しいじゃないか…。いつも、私が困っている時には助けてくれる…。そんな風だから…あの時…ユーフェミアが誤解したんだろ?」
「あれは…。でも、ユフィのことは…本当にお前は関係ないぞ?俺とユフィの気持ちがうまく通じ合わなくなってしまった…ただ…それだけだ…」
「まぁ、その辺りは追及しないよ…。恋人同士だって別れるときは別れるんだ…。それに…ユーフェミアもスザクも…ちゃんと笑ってる…。だったらそれでいい…」
ルルーシュの中で、やっと吹っ切れたんだ…と云う表情を見せた。
ルルーシュがブリタニアに渡っていた3年間で…
色んなものが変わってしまって…なんだか色々取り残されているような気持ちがしていたけれど…
でも…
今は…彼女たちは普通にルルーシュと接してくれている。
ずっと一緒にいたって、時間を追うごとにその人間同士の関係は変わって行くものだ。
そう考えられるようになってから…
そして、ナナリーの中にナナリーの世界が出来たと自分の中で認識した時に…
自分の中でもそんな風に考えられるようになったのだ。
「お前は…ちゃんと笑えているのか?」
スザクは…ルルーシュの言葉にそんな風に尋ねた。
ルルーシュは少し、考える様な…そんなそぶりを見せた後…
こくりと頷いた。
帰って来て間もなくの頃は…
確かに自分の知らない世界になっていたような気がして…戸惑いもしたけれど…
でも…久しぶりに帰って来たルルーシュに…みんなは笑いかけてくれた…
その事実を把握した時…
ルルーシュ自身、心から笑えるようになった気がする。
「ならいい…。俺だって、別に、お前が心配している程自分を殺しているわけじゃない…。今回だって…俺がそうしたくてしただけで…。ルルーシュにしてみれば…そんな風に気を病んでしまったなら…申し訳なかった…」
「そんな…。スザクが居てくれるから…こんな風に…多分…弱音を吐けるんだ…。多分…」
「そっか…」
スザクの短いその返事に…ルルーシュはスザクの方を見る。
昔、誘拐された時にも…心強いと思ったけれど…
今は…あの時よりもっと大人になって…心強さと…安心感がある様な…そんな気がする。
実際に、スザクの存在があると云う安心感はあることを否定できない。
「なぁ…スザク…」
「なんだ…?」
「今回…どうして…私と一緒に来てくれたんだ…?」
「何?云わせたいのか?と云うか…ホントに解らないのか?」
ルルーシュの質問に…スザクは少々呆れた様な口調で返す…。
「解らないから聞いている!」
ルルーシュの怒鳴り声にスザクは呆れたような表情を見せる…
そして…なにかを決意するように…深呼吸をして…口を開こうとする…
「それは…」
―――ガチャリ…
突然扉が開いた…
ルルーシュとスザクの表情に…緊張の色が濃くなる。
「これは…いい雰囲気の時に済まないね…」
そう云いながら二人の人物が入ってきた…
一人は、ティーセットを乗せたカートを押すマオと…
ゼロだった…

To Be Continued


あとがきに代えて



今回はなんだか、会話の多い話しとなりました。
なんだか…お決まりなパターンで、お邪魔が入ったわけですけれど…
それでも、少しずつスザルルに向かっていると…
書いている本人は思っています。
えっと…マオに関しては…
ゼロにつき従う人間がいないと困る為に急遽ご登場いただいたキャラです。
こう云う時、マオって結構使いやすいんです。
ゼロが完全に孤独…と云う立場に立っているので、そんなときにマオのキャラクターは非常に使いやすいです。
マオは一途なので…
話しもどんどん佳境に入って行っております。
そして、ここでその設定を出すか…と云う設定がいくつも出てきております。
まぁ、最終回までにそのフラグが回収できるかどうかは…微妙なところなのですが、辻褄合わせくらいはできるといいなぁ…と思います。

アメブロのピグで…柴犬と黒猫(両方♂)を飼い始めました。
名前はルルとスザク…
かわいいのですが…
どちらかをなでてやると…片方が少しいじけてしまいまして…
結構大変です…
和泉はペットを飼える状況にないので…
こういうネット上のペットは全力で可愛がりたいと思います!


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posted by 和泉綾 at 21:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年02月21日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。


Third Story 13



 ルルーシュは訳の解らないまま上着を破られて、捕まっている人質としては随分豪華な部屋に返された。
そこには…
先ほど、大暴れして、みぞおちに一発食らって気を失っているスザクがいる。
トラックの荷台の中では自分が気を失っていて…
今はスザクが気を失っている。
トラックの荷台が開かれた時、すぐにルルーシュもスザクも見つかってしまい、結局、二人とも捕まって…
スザクはその、どう見てもただものに見えない黒服たち相手に大立ち回りを繰り広げたのだけれど…
ルルーシュの目から見て相手の方はルルーシュは勿論、スザクも傷つける様子もなく…
ただ、スザク自身、元々運動神経は抜群だし、武道もそれなりの腕で…
で、その黒服の何人かをぶちのめしていたのだけれど…
スザク自身、気づいていた筈だ…
彼らがルルーシュにもスザクにも傷を付けるつもりがないことが…
そして…その事に気づいて、『なんだ?』と思った時に隙が出来たのだろう。
スザクがどれほど強いと云ったところで、相手はプロだ。
それを見逃す筈もなく、スザクの鳩尾に思い切り拳を叩きこんでいた。
もろに入った様で…スザクはその場に崩れ落ちて…黒服の一人がスザクを肩に担いでルルーシュに声をかけたのだ。
『ルルーシュ≂ランペルージさま、我々はあなた方に傷を点けるつもりは毛頭ありません。恐らく、みていて気付いていたでしょうし、このボウヤも気づいておられた様です。大人しく…我々について来て頂けますか?用が済めば、きっと、我々の主も悪い様にはしないでしょうから…』
とだけ云った。
確かに…こんな連中相手にルルーシュがどれだけ頑張ったところで、スザクと一緒に逃げだせる自信がない。
とりあえず、相手の目的も解らないのだから、今は…その言葉を信じて着いて行く事しか出来ない。
この場で殺されてしまっては何の意味もないからだ。
『解った…。行こう…』
ルルーシュが胸を張ってその男達の後について行き、通された部屋が…この部屋だった。
スザクはこの部屋の無駄に豪華なベッドに寝かされている。
本当は、ルルーシュ一人を連れて来るつもりだったのだろう。
確かに、人質は丁重に…とは云うが…
―――ここまでするのか?普通…
と思ってしまう。
かつて、こうした輩に捕まった時には、確かに、どこかの倉庫に放り込まれていた…なんて事はなかったけれど、それでも、これほど豪華な場所に招かれた記憶はない。
―――すると…あの時とは…別の人物か…
あの時には、マリアンヌの再婚前の話で…
マリアンヌの再婚に反対した者たちの仕業であったけれど…
今回も同じ人物であると云うのは…確かに状況から考えにくい…
それに、あの時は、ランペルージグループの中の重役たちが主にシャルルとマリアンヌの再婚を反対していて…
ルルーシュを誘拐したのもその重役たちが雇った者たちだった。
その時に、その重役たちは一掃されている筈なのだし…
そう考えた時…更にルルーシュの中で今回の犯人像が思い浮かばないのだ。
否…最近の動きで…心当たりがい過ぎて絞れない…と云った部分もあるかもしれない。

 いろいろ考えていても仕方ない…
こんなに豪華な部屋にいたとしても、自分たちが自由に動けるのはこの部屋の中だけだ。
確かに何でも揃っているけれど…
それこそ、バストイレまであって…
高級ホテルのスイートの様だ。
この部屋の中に入る時には、
『欲しいものがあればそこの内線で仰って下さい。何でもご用意させて頂きます…』
自分たちはいったい何者だ?
そんな風に思えるほどの…VIP待遇に見える。
スザクがついて来たことを知り、慌ててアメニティを二人分にそろえたようで…
―――それ以前に、一応年頃の男女を一つの部屋に放り込むか?
と云うのは、あまりに緊張感の薄いこの環境のせいだろう。
確かに…たくさんの部屋があるし、ベッドルームももう一つあったし…
そう考えると、この屋敷の持ち主が自分達を連れて来たとしたら…
相当な実力者…なのだろう。
そんな実力者がわざわざルルーシュを人質に取らずとも、シュナイゼルと真正面からちゃんと話しをして、それなりに納得できる結果を出せるだけのものがありそうなのに…と思うのは、ごく自然の思考だろう。
それに…
ルルーシュの中でシュナイゼルがルルーシュに対して特別な感情を抱いていると云うことに気づいていない…
と云うか、そんなことを予想だに出来ない状態だったから…更に自分の中で何がどうなっているのかが解らないのだ。
―――とにかく…今は今の状況把握が先だ…
そう思いながら、窓のカーテンの向こうを見た時には…
見事なまでに断崖絶壁の上にいる。
おまけのその下は、岩がごつごつと顔を出し、水しぶきを上げている海…となっているようだ。
どう考えても窓から脱出と云うわけにはいかないことは解る。
そもそも、この辺り周辺はルルーシュを捕らえた者たちの私有地と考えるのが自然だ。
この屋敷を出たところで、すぐに警戒網に引っかかって、連れ戻されて、更に待遇が悪くなることは簡単に予想が出来る。
これだけ豪華な部屋に通されてしまうと少々気遅れもするのだけれど…
それでも、全てが揃っていることを考えれば、まだ、こちらの方がいいだろう。
スザクの持っていた携帯電話をみると…
しっかり圏外となっている。
尤も、携帯電話の繋がる様な所であったなら、さっさと取り上げられているだろう。
ルルーシュは宅配便の荷物を受け取りに玄関に出たのだから…
着の身着のままだ…
状況把握をしてみても…
この状態では自分たちだけの力でここを脱出する方法はないと思われる。
―――ノネット…ナナリー…
ルルーシュは今、ルルーシュが連れ去れらた事を知った彼女達が心配しているだろうと…彼女たちの名前を頭の中で呼んだ。
せめて、自分達が無事であることくらい伝えられれば…と思う。
それに、スザクがついて来ているので…
―――枢木のおじさまやおばさまにも…
また、スザクを捲きこんでしまったと云う思いが強くなってくる。
本当はスザクが勝手について来ただけの話しだけれど…
それでも、ルルーシュを狙っての誘拐劇だ。
スザクはなんとしても、無事に帰さなくてはいけない…
そんな事を思う…
「ん…」

 ルルーシュがごちゃごちゃ考えていると…
流石にあれからそれなりの時間が経っている事もあり、スザクが目を醒ましたようだ。
「あ…スザク…気がついたか?」
ルルーシュはスザクの声に気がついて、スザクが横になっているベッドに駆け寄った。
「痛いところはないか?どこか具合悪いとかないか?」
ルルーシュ自身、スザクがそれ相応に強いことは知っている。
それが、素人のもの…であるとしても…
それでも、プロがスザクに対して手加減しないでスザクの鳩尾に拳を叩きこんだのだ。
「あ…ああ…別に…」
スザクが暴れ回った時には流石に何ヵ所かの傷を作っていたようで…
ルルーシュが張りつけたであろう絆創膏が何か所も張られている。
「そうか…。と云うか、お前…何を考えているんだ!相手はプロだぞ?そんな奴に…あんな暴れまわったりして…」
「まぁ…少し迂闊だったな…とは思ったけれど…」
「そう思うならまず、頭から働かせろ!頭より先に身体が動くからそうやって痛い目に遭うんだ…」
涙ぐんでルルーシュがスザクに怒鳴りつける。
やはり、シュナイゼルに何か交渉しようとしてルルーシュを攫う相手ともなれば、ああ云う時に出て来るのは当然、その辺のSPとは訳が違う。
それこそ、実践訓練を積んでいるような連中があてがわれることが殆どだ。
世間的に知られている大企業であれば、当然のことだ。
色んな種類の人間に狙われる可能性が高い。
だからこそ、自分に対する護衛はしっかりとしたものをつける。
それは目立つ事にもなるが…
それでも、そうやって自分にはそれ相応の護衛をつけていると云うことを自己主張する事も必要だ。
迂闊に手を出せば、手を出した方も無事では済まない…と云うことをアピールする事も自分を守るための手段の一つだ。
だからこそ…相手が本気でこのような行動に出て来た場合には、それこそ全力を持って攫いに来るし、ぶつかってくる。
「大丈夫だ…。この絆創膏…お前やってくれたんだろう?その傷以外にけがはないよ…。もう痛いところも、苦しいところもない…」
スザクは涙ぐんでいるルルーシュを元気づける様ににこりと笑った。
でもすぐに、真剣な表情となる。
「ただ…あいつら…本当に俺にけがをさせるつもりもなかったみたいだな…。だから…本当に…本当のターゲットを引っ張り出す為だけにお前をさらったんだな…」
「お前…バカだろう!なんで…なんでいつも、いつも…こんなことに首を突っ込んで、痛い目に遭うんだよ!」
「別に…ルルーシュが泣くことじゃないだろ?俺が勝手について来ているだけだしさ…。それに…俺もいろいろ約束があるからさ…」
最後の方だけ…小さな声で呟いた。
「え?最後…なんて云ったんだ?」
「ああ、何でもない…。気にするな…」
スザクの云っているのは…
ルルーシュの知らない…ユーフェミアとの約束…
ちゃんと…ルルーシュと一緒に幸せになる事…
まぁ、幸せになるかどうか…と云うのはともかく、ルルーシュを守りたいと思うのは、本当に今は素直に思える…
「ホントに…バカは死ななきゃ…治らない…」

 その頃…
シュナイゼルの方は、ゼロとの約束の件で、準備はしていた。
してはいるが…
なんとしても、阻止したいことではあるのだ。
ゼロ…
父と…あのマリアンヌの息子…
ルルーシュとナナリーの異父兄…
シュナイゼルが彼の存在を知ったのは…随分以前の話だ…
最初は…マリアンヌの息子である事を知らなかった。
大体、シュナイゼル自身、シャルルの『隠し子』と呼ばれる存在を全て把握しているわけじゃない。
それこそ、無理があると思われるほど、名乗り出てきているものが多いのだ。
―――父さんは…人と話すだけで子供が出来るのか?
一度は真剣にそんなことを考えるに陥ったことがあったけれど…
シャルルが何を考えているか知らないが…
名乗り出て来る者を片っ端から認めてしまっているので…恐らく、シャルル本人もその数を把握していないだろう。
逆に云うと、それだけの数の『シャルルの認めた子供』がいるとなると…
その中でシャルルに名前を覚えて貰うまでが大変だ。
シャルルの子供を産んだと名乗り出た母親に対しては、微々たる金を渡して、それ以外何をするでもない。
シャルルが片っ端からそうやって認知しているだけでは何の力を持つ事もないのだ。
結局、その中で自分の実力を見せた者だけが…
生き残って行く…
しかし…ゼロは…
確実にシャルルとマリアンヌの血を引き継いでいると…シュナイゼルは判断していた。
マリアンヌに似ていると云う事もあるが…
大胆さや物事の先の先を見ているところは…シャルルに似ていると…思う…
ルルーシュとは違った、有能さを持ち…
ルルーシュと違って、強い野心を持っている。
恐らく、ゼロを後見している者たちも…今のところはまだ、気がついていない…
でも、何れ、ゼロの道具となって行く…
それが耐えられない者は、ゼロに刃向かって…恐らく、自滅の道を歩む事だろう。
シュナイゼル自身、ゼロのことは嫌いじゃない…
嫌いじゃないが、決して油断ならない相手であることは確かだ。
恐らく、シュナイゼルが最も恐れている異母弟…
「シュナイゼル…私は…ゼロの存在は知っていたが…シュナイゼルから聞く彼の姿しか知らない…。シュナイゼルがそんなにその…恐れるほどの…」
ジノが気になっていたのか…云いにくそうに尋ねる。
シュナイゼル自身は…
ゼロと争いたくないと云う気持ちもあるし、それでも、彼を放っておくわけにはいかないと云う思いもある。
今はルルーシュをさらったと云うのだから…
「恐らく…私がランペルージのトップに立てない時に…私の代わりにランペルージのトップに立つのは…彼だ…。ルルーシュの母、マリアンヌを母親に持つ息子だ…。どんな反対があっても…恐らく…それを乗り越えて…ね…」
「それを認知している人間は…どれだけいるんだ?」
「私の父、シャルルと、ルルーシュとナナリーの母、マリアンヌが再婚する時には相当な反対があったんだ…。その時…その反対派の一人にルルーシュは攫われている…」

 シュナイゼルの言葉にジノが息をのむ。
シュナイゼルがルルーシュに対してどんな気持ちを抱いているかを知っているだけに…今のシュナイゼルの心境は…
「あの時は…僕はまだ、ルルーシュの存在もナナリーの存在も…あったばかりだったから…そんなに自分の中で重要な存在だとは思っていなかったんだ…」
シュナイゼルの言葉に…ジノは『嘘だ』と思った。
今、その部分を追及するつもりはない。
でも…
「ただ…あの時にはこちらとしても相当は騒ぎになってしまってね…。父も良く、マスコミを抑え込んだと思うよ…。相手があまり有能でなかったことも幸いして…おまけに、今回もついて行った彼が…あの時、ルルーシュの傍にいてくれてね…」
少し切なそうに話すシュナイゼルを見て…ジノは初めて見る彼だと思った。
そこまで思えるほど…シュナイゼルは…
ジノは…シュナイゼルがそこまで想うルルーシュを…
そう思った時、再び心が痛んだ。
確かに…知らなかった事…と云ってしまえばそれまでだけれど…
それでも、ジノだって、ルルーシュの事を想っている。
今、ルルーシュを救いたいと思う気持ちはシュナイゼルには負けていない。
「だから、僕も父も、ルルーシュとナナリーの存在を表に出さなかった。ランペルージ家の中でも彼女たちの顔を知っているものはあまりいないんだ。出来るだけ、公の場に出さないようにしていたからね…」
「それが…彼女が名乗っちゃったわけだ…。しかし、その時の受付嬢も知らなかったんだろう?」
「確かに…彼女は知らなかったんだけれど…。僕はトップに立つ器ではないのかな…。つい、感情的になってしまって…」
初めて見る…こんなシュナイゼルにジノは驚きを隠せない。
許せないと思っていても…シュナイゼル自身、ジノのことは友人として本当に認めていたのだろう。
こうしたとき、恐らくシュナイゼル自身にそんな自覚はないかもしれないのだけれど…
それでも、こんな形で話しをしている彼を見ていて…
ルルーシュには勿論、シュナイゼル自身に申し訳ない事をしたのだと思う。
「否…ルルーシュの危機に…私を呼んでくれて嬉しかったよ…。とにかく、書類をまとめてしまおう…」
手続きの為の書類をそろえている。
全て、ゼロに渡せば受理されてしまうように…
そこまでやらなくてはゼロには通用しない。
「そこまでしないと…まずい相手なのか?」
ジノがシュナイゼルのやっていることを見ながら…そう尋ねる。
シュナイゼルなら…きっと…そこまでやらなくても、何か方法を見つけそうなものだ…と思ってしまうのだけれど…
しかし、シュナイゼルは…答える。
「ルルーシュが…いなければ…恐らくもっと違った方法を使っただろうね…。多分、ゼロはルルーシュには危害は加えない…。その代わり…僕の一番ダメージを受ける方法を…よく知っている分、絶対に僕がきっちり準備することを承知してこの条件を突き付けて来たんだ…。本当に…頭のいい子だ…」
シュナイゼルが複雑な笑みでジノを見たのだった…

To Be Continued


あとがきに代えて



遅くなりました…
申し訳ありません。
と云うか、拍手は頂くのに、何故この無反応???と云うくらい…凄いことになっています。
拍手だけはホントにたくさん頂いているので、読まれている方、ここに来て下さっている方はいらっしゃるのでしょうけれど…
まぁ、退院した途端にいろいろ忙しくなってしまっていまして…
中々大変なんですが…
頑張ります。

さて、今日は、人質組と助けようとする組がいろいろ話しをしていたり、考えていたりするわけですが…
と云うか、シュナ兄…なんか、本編のナナリーの事で振り回されているルルーシュっぽくなって来た様な…ヾ(▽^;)ゞうへへ
まぁ、綺麗な顔の人の顔が苦悩に歪む…って…なんだか『萌え♪』ませんか?
和泉はなんだか、最近、妙な方向に自分の趣向が変わってきている気がしているのですが…
最近になって、自分が結構サディストなのかも…とか思い始めているのですが…
だって、ルルーシュの泣き顔とか、困っている顔とか、悔しそうにしている顔とか…想像すると、妄想の世界に入って行っちゃうんですもの…
ホント…凄く危ない奴になって行っている気がします。

とりあえず、明日か、明後日、荷物の方はクロニャンコに集荷して頂く予定なのですが…
ペーパーラリーってどのくらい持って行けばいいのかなぁ…
和泉のところはそう持って行かれる方はいないと思いますけれど…。
一応、こちらは無料配布です。
本購入された方の特典はこれから印刷して製本します。
ただなら持って行く人はそれなりにいるのかな?
でも、新刊関連の小説を書いてしまっているので…どうなんだろう…
しかも、スペースの関係で連絡先が…ヾ(▽^;)ゞうへへ
必要な方には名刺もお配りする予定です。


☆拍手のお返事


水流さま:こんばんは、コメント有難う御座居ます。
今回はご心配頂きまして、有難う御座居ました。
えっと、今回は剥離骨折もあったのですけれど、それ以上に問題だったのが『骨頭壊死』の方でして…
骨の組織が死んでしまっていて、つぶれたりすると強い痛みを感じると云う事らしいのですが…
これも、いろんな薬の影響やこれまでの長い病人キャリアの影響もあり…
ある意味仕方ないと云えば仕方ない部分もありまして…
とりあえず、関節を動かす事は出来ますが、強引に動かすと本人が強烈な痛みを感じると云う感じなので…
まぁ、動かない事が一番らしいのですが…そういう訳にも行きませんので、無理にならないようにごまかしながら使っていく事になります。

えっと…新宿西口にそんな時間に着くバスは和泉の住んでいるところの最寄りのバス停には停まりません。
と云うか、それは、中央道経由なのか、東名経由なのか…と云う事さえよく解りませんが…
和泉の乗るバスは中央道経由なので…(と云うか、東名経由で新宿に停まるバスがあったかどうか…もよく知らないんですが)
とりあえず、和泉の携帯に関しては水流さまにはお教えしていますので…
ちなみに、新宿西口のバス停から歩いて2分のところにマックがあるので、そこで待っていればいいかなぁ…と…
階段使うんですけどね…
いつも和泉はそこで時間をつぶしている訳なのですが…
まぁ、待つ場所に関しては心配いりません。

『黒猫ルルにゃん』
色々悩んだんですよね…
契約する時の儀式…
でも、やっぱりオーソドックスに行くかぁ…と…
一回、『試練の部屋』と称して、ドラゴ○クエストさながらの冒険を二人でクリアして…なんて事も考えたのですが、どう考えてもロイドさんとセシルさんが、そんな形で契約するなんて…『ねこのけっこん』より考えにくいですよね…(笑)
まぁ、他にそれを読みたいとおっしゃられる方が現れたら、頑張って書きますね…(いないと思われますが)

当日は色々ご迷惑をおかけするかもしれないのですが…
よろしくお願い致します。
ちなみに、強引にとんぼ返りする事にしました。
下手にホテルを予約したら…翌日のバス、相当早いか、いつも帰る夕方のバスしかないので…
いよいよとなったら、頑張って新幹線で帰ります。(新幹線は新幹線で結構大変なのですが)
水流さまも体調管理、しっかりして、当日に備えて下さいね。


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posted by 和泉綾 at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。


Third Story 13



 ルルーシュは訳の解らないまま上着を破られて、捕まっている人質としては随分豪華な部屋に返された。
そこには…
先ほど、大暴れして、みぞおちに一発食らって気を失っているスザクがいる。
トラックの荷台の中では自分が気を失っていて…
今はスザクが気を失っている。
トラックの荷台が開かれた時、すぐにルルーシュもスザクも見つかってしまい、結局、二人とも捕まって…
スザクはその、どう見てもただものに見えない黒服たち相手に大立ち回りを繰り広げたのだけれど…
ルルーシュの目から見て相手の方はルルーシュは勿論、スザクも傷つける様子もなく…
ただ、スザク自身、元々運動神経は抜群だし、武道もそれなりの腕で…
で、その黒服の何人かをぶちのめしていたのだけれど…
スザク自身、気づいていた筈だ…
彼らがルルーシュにもスザクにも傷を付けるつもりがないことが…
そして…その事に気づいて、『なんだ?』と思った時に隙が出来たのだろう。
スザクがどれほど強いと云ったところで、相手はプロだ。
それを見逃す筈もなく、スザクの鳩尾に思い切り拳を叩きこんでいた。
もろに入った様で…スザクはその場に崩れ落ちて…黒服の一人がスザクを肩に担いでルルーシュに声をかけたのだ。
『ルルーシュ≂ランペルージさま、我々はあなた方に傷を点けるつもりは毛頭ありません。恐らく、みていて気付いていたでしょうし、このボウヤも気づいておられた様です。大人しく…我々について来て頂けますか?用が済めば、きっと、我々の主も悪い様にはしないでしょうから…』
とだけ云った。
確かに…こんな連中相手にルルーシュがどれだけ頑張ったところで、スザクと一緒に逃げだせる自信がない。
とりあえず、相手の目的も解らないのだから、今は…その言葉を信じて着いて行く事しか出来ない。
この場で殺されてしまっては何の意味もないからだ。
『解った…。行こう…』
ルルーシュが胸を張ってその男達の後について行き、通された部屋が…この部屋だった。
スザクはこの部屋の無駄に豪華なベッドに寝かされている。
本当は、ルルーシュ一人を連れて来るつもりだったのだろう。
確かに、人質は丁重に…とは云うが…
―――ここまでするのか?普通…
と思ってしまう。
かつて、こうした輩に捕まった時には、確かに、どこかの倉庫に放り込まれていた…なんて事はなかったけれど、それでも、これほど豪華な場所に招かれた記憶はない。
―――すると…あの時とは…別の人物か…
あの時には、マリアンヌの再婚前の話で…
マリアンヌの再婚に反対した者たちの仕業であったけれど…
今回も同じ人物であると云うのは…確かに状況から考えにくい…
それに、あの時は、ランペルージグループの中の重役たちが主にシャルルとマリアンヌの再婚を反対していて…
ルルーシュを誘拐したのもその重役たちが雇った者たちだった。
その時に、その重役たちは一掃されている筈なのだし…
そう考えた時…更にルルーシュの中で今回の犯人像が思い浮かばないのだ。
否…最近の動きで…心当たりがい過ぎて絞れない…と云った部分もあるかもしれない。

 いろいろ考えていても仕方ない…
こんなに豪華な部屋にいたとしても、自分たちが自由に動けるのはこの部屋の中だけだ。
確かに何でも揃っているけれど…
それこそ、バストイレまであって…
高級ホテルのスイートの様だ。
この部屋の中に入る時には、
『欲しいものがあればそこの内線で仰って下さい。何でもご用意させて頂きます…』
自分たちはいったい何者だ?
そんな風に思えるほどの…VIP待遇に見える。
スザクがついて来たことを知り、慌ててアメニティを二人分にそろえたようで…
―――それ以前に、一応年頃の男女を一つの部屋に放り込むか?
と云うのは、あまりに緊張感の薄いこの環境のせいだろう。
確かに…たくさんの部屋があるし、ベッドルームももう一つあったし…
そう考えると、この屋敷の持ち主が自分達を連れて来たとしたら…
相当な実力者…なのだろう。
そんな実力者がわざわざルルーシュを人質に取らずとも、シュナイゼルと真正面からちゃんと話しをして、それなりに納得できる結果を出せるだけのものがありそうなのに…と思うのは、ごく自然の思考だろう。
それに…
ルルーシュの中でシュナイゼルがルルーシュに対して特別な感情を抱いていると云うことに気づいていない…
と云うか、そんなことを予想だに出来ない状態だったから…更に自分の中で何がどうなっているのかが解らないのだ。
―――とにかく…今は今の状況把握が先だ…
そう思いながら、窓のカーテンの向こうを見た時には…
見事なまでに断崖絶壁の上にいる。
おまけのその下は、岩がごつごつと顔を出し、水しぶきを上げている海…となっているようだ。
どう考えても窓から脱出と云うわけにはいかないことは解る。
そもそも、この辺り周辺はルルーシュを捕らえた者たちの私有地と考えるのが自然だ。
この屋敷を出たところで、すぐに警戒網に引っかかって、連れ戻されて、更に待遇が悪くなることは簡単に予想が出来る。
これだけ豪華な部屋に通されてしまうと少々気遅れもするのだけれど…
それでも、全てが揃っていることを考えれば、まだ、こちらの方がいいだろう。
スザクの持っていた携帯電話をみると…
しっかり圏外となっている。
尤も、携帯電話の繋がる様な所であったなら、さっさと取り上げられているだろう。
ルルーシュは宅配便の荷物を受け取りに玄関に出たのだから…
着の身着のままだ…
状況把握をしてみても…
この状態では自分たちだけの力でここを脱出する方法はないと思われる。
―――ノネット…ナナリー…
ルルーシュは今、ルルーシュが連れ去れらた事を知った彼女達が心配しているだろうと…彼女たちの名前を頭の中で呼んだ。
せめて、自分達が無事であることくらい伝えられれば…と思う。
それに、スザクがついて来ているので…
―――枢木のおじさまやおばさまにも…
また、スザクを捲きこんでしまったと云う思いが強くなってくる。
本当はスザクが勝手について来ただけの話しだけれど…
それでも、ルルーシュを狙っての誘拐劇だ。
スザクはなんとしても、無事に帰さなくてはいけない…
そんな事を思う…
「ん…」

 ルルーシュがごちゃごちゃ考えていると…
流石にあれからそれなりの時間が経っている事もあり、スザクが目を醒ましたようだ。
「あ…スザク…気がついたか?」
ルルーシュはスザクの声に気がついて、スザクが横になっているベッドに駆け寄った。
「痛いところはないか?どこか具合悪いとかないか?」
ルルーシュ自身、スザクがそれ相応に強いことは知っている。
それが、素人のもの…であるとしても…
それでも、プロがスザクに対して手加減しないでスザクの鳩尾に拳を叩きこんだのだ。
「あ…ああ…別に…」
スザクが暴れ回った時には流石に何ヵ所かの傷を作っていたようで…
ルルーシュが張りつけたであろう絆創膏が何か所も張られている。
「そうか…。と云うか、お前…何を考えているんだ!相手はプロだぞ?そんな奴に…あんな暴れまわったりして…」
「まぁ…少し迂闊だったな…とは思ったけれど…」
「そう思うならまず、頭から働かせろ!頭より先に身体が動くからそうやって痛い目に遭うんだ…」
涙ぐんでルルーシュがスザクに怒鳴りつける。
やはり、シュナイゼルに何か交渉しようとしてルルーシュを攫う相手ともなれば、ああ云う時に出て来るのは当然、その辺のSPとは訳が違う。
それこそ、実践訓練を積んでいるような連中があてがわれることが殆どだ。
世間的に知られている大企業であれば、当然のことだ。
色んな種類の人間に狙われる可能性が高い。
だからこそ、自分に対する護衛はしっかりとしたものをつける。
それは目立つ事にもなるが…
それでも、そうやって自分にはそれ相応の護衛をつけていると云うことを自己主張する事も必要だ。
迂闊に手を出せば、手を出した方も無事では済まない…と云うことをアピールする事も自分を守るための手段の一つだ。
だからこそ…相手が本気でこのような行動に出て来た場合には、それこそ全力を持って攫いに来るし、ぶつかってくる。
「大丈夫だ…。この絆創膏…お前やってくれたんだろう?その傷以外にけがはないよ…。もう痛いところも、苦しいところもない…」
スザクは涙ぐんでいるルルーシュを元気づける様ににこりと笑った。
でもすぐに、真剣な表情となる。
「ただ…あいつら…本当に俺にけがをさせるつもりもなかったみたいだな…。だから…本当に…本当のターゲットを引っ張り出す為だけにお前をさらったんだな…」
「お前…バカだろう!なんで…なんでいつも、いつも…こんなことに首を突っ込んで、痛い目に遭うんだよ!」
「別に…ルルーシュが泣くことじゃないだろ?俺が勝手について来ているだけだしさ…。それに…俺もいろいろ約束があるからさ…」
最後の方だけ…小さな声で呟いた。
「え?最後…なんて云ったんだ?」
「ああ、何でもない…。気にするな…」
スザクの云っているのは…
ルルーシュの知らない…ユーフェミアとの約束…
ちゃんと…ルルーシュと一緒に幸せになる事…
まぁ、幸せになるかどうか…と云うのはともかく、ルルーシュを守りたいと思うのは、本当に今は素直に思える…
「ホントに…バカは死ななきゃ…治らない…」

 その頃…
シュナイゼルの方は、ゼロとの約束の件で、準備はしていた。
してはいるが…
なんとしても、阻止したいことではあるのだ。
ゼロ…
父と…あのマリアンヌの息子…
ルルーシュとナナリーの異父兄…
シュナイゼルが彼の存在を知ったのは…随分以前の話だ…
最初は…マリアンヌの息子である事を知らなかった。
大体、シュナイゼル自身、シャルルの『隠し子』と呼ばれる存在を全て把握しているわけじゃない。
それこそ、無理があると思われるほど、名乗り出てきているものが多いのだ。
―――父さんは…人と話すだけで子供が出来るのか?
一度は真剣にそんなことを考えるに陥ったことがあったけれど…
シャルルが何を考えているか知らないが…
名乗り出て来る者を片っ端から認めてしまっているので…恐らく、シャルル本人もその数を把握していないだろう。
逆に云うと、それだけの数の『シャルルの認めた子供』がいるとなると…
その中でシャルルに名前を覚えて貰うまでが大変だ。
シャルルの子供を産んだと名乗り出た母親に対しては、微々たる金を渡して、それ以外何をするでもない。
シャルルが片っ端からそうやって認知しているだけでは何の力を持つ事もないのだ。
結局、その中で自分の実力を見せた者だけが…
生き残って行く…
しかし…ゼロは…
確実にシャルルとマリアンヌの血を引き継いでいると…シュナイゼルは判断していた。
マリアンヌに似ていると云う事もあるが…
大胆さや物事の先の先を見ているところは…シャルルに似ていると…思う…
ルルーシュとは違った、有能さを持ち…
ルルーシュと違って、強い野心を持っている。
恐らく、ゼロを後見している者たちも…今のところはまだ、気がついていない…
でも、何れ、ゼロの道具となって行く…
それが耐えられない者は、ゼロに刃向かって…恐らく、自滅の道を歩む事だろう。
シュナイゼル自身、ゼロのことは嫌いじゃない…
嫌いじゃないが、決して油断ならない相手であることは確かだ。
恐らく、シュナイゼルが最も恐れている異母弟…
「シュナイゼル…私は…ゼロの存在は知っていたが…シュナイゼルから聞く彼の姿しか知らない…。シュナイゼルがそんなにその…恐れるほどの…」
ジノが気になっていたのか…云いにくそうに尋ねる。
シュナイゼル自身は…
ゼロと争いたくないと云う気持ちもあるし、それでも、彼を放っておくわけにはいかないと云う思いもある。
今はルルーシュをさらったと云うのだから…
「恐らく…私がランペルージのトップに立てない時に…私の代わりにランペルージのトップに立つのは…彼だ…。ルルーシュの母、マリアンヌを母親に持つ息子だ…。どんな反対があっても…恐らく…それを乗り越えて…ね…」
「それを認知している人間は…どれだけいるんだ?」
「私の父、シャルルと、ルルーシュとナナリーの母、マリアンヌが再婚する時には相当な反対があったんだ…。その時…その反対派の一人にルルーシュは攫われている…」

 シュナイゼルの言葉にジノが息をのむ。
シュナイゼルがルルーシュに対してどんな気持ちを抱いているかを知っているだけに…今のシュナイゼルの心境は…
「あの時は…僕はまだ、ルルーシュの存在もナナリーの存在も…あったばかりだったから…そんなに自分の中で重要な存在だとは思っていなかったんだ…」
シュナイゼルの言葉に…ジノは『嘘だ』と思った。
今、その部分を追及するつもりはない。
でも…
「ただ…あの時にはこちらとしても相当は騒ぎになってしまってね…。父も良く、マスコミを抑え込んだと思うよ…。相手があまり有能でなかったことも幸いして…おまけに、今回もついて行った彼が…あの時、ルルーシュの傍にいてくれてね…」
少し切なそうに話すシュナイゼルを見て…ジノは初めて見る彼だと思った。
そこまで思えるほど…シュナイゼルは…
ジノは…シュナイゼルがそこまで想うルルーシュを…
そう思った時、再び心が痛んだ。
確かに…知らなかった事…と云ってしまえばそれまでだけれど…
それでも、ジノだって、ルルーシュの事を想っている。
今、ルルーシュを救いたいと思う気持ちはシュナイゼルには負けていない。
「だから、僕も父も、ルルーシュとナナリーの存在を表に出さなかった。ランペルージ家の中でも彼女たちの顔を知っているものはあまりいないんだ。出来るだけ、公の場に出さないようにしていたからね…」
「それが…彼女が名乗っちゃったわけだ…。しかし、その時の受付嬢も知らなかったんだろう?」
「確かに…彼女は知らなかったんだけれど…。僕はトップに立つ器ではないのかな…。つい、感情的になってしまって…」
初めて見る…こんなシュナイゼルにジノは驚きを隠せない。
許せないと思っていても…シュナイゼル自身、ジノのことは友人として本当に認めていたのだろう。
こうしたとき、恐らくシュナイゼル自身にそんな自覚はないかもしれないのだけれど…
それでも、こんな形で話しをしている彼を見ていて…
ルルーシュには勿論、シュナイゼル自身に申し訳ない事をしたのだと思う。
「否…ルルーシュの危機に…私を呼んでくれて嬉しかったよ…。とにかく、書類をまとめてしまおう…」
手続きの為の書類をそろえている。
全て、ゼロに渡せば受理されてしまうように…
そこまでやらなくてはゼロには通用しない。
「そこまでしないと…まずい相手なのか?」
ジノがシュナイゼルのやっていることを見ながら…そう尋ねる。
シュナイゼルなら…きっと…そこまでやらなくても、何か方法を見つけそうなものだ…と思ってしまうのだけれど…
しかし、シュナイゼルは…答える。
「ルルーシュが…いなければ…恐らくもっと違った方法を使っただろうね…。多分、ゼロはルルーシュには危害は加えない…。その代わり…僕の一番ダメージを受ける方法を…よく知っている分、絶対に僕がきっちり準備することを承知してこの条件を突き付けて来たんだ…。本当に…頭のいい子だ…」
シュナイゼルが複雑な笑みでジノを見たのだった…

To Be Continued


あとがきに代えて



遅くなりました…
申し訳ありません。
と云うか、拍手は頂くのに、何故この無反応???と云うくらい…凄いことになっています。
拍手だけはホントにたくさん頂いているので、読まれている方、ここに来て下さっている方はいらっしゃるのでしょうけれど…
まぁ、退院した途端にいろいろ忙しくなってしまっていまして…
中々大変なんですが…
頑張ります。

さて、今日は、人質組と助けようとする組がいろいろ話しをしていたり、考えていたりするわけですが…
と云うか、シュナ兄…なんか、本編のナナリーの事で振り回されているルルーシュっぽくなって来た様な…ヾ(▽^;)ゞうへへ
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和泉はなんだか、最近、妙な方向に自分の趣向が変わってきている気がしているのですが…
最近になって、自分が結構サディストなのかも…とか思い始めているのですが…
だって、ルルーシュの泣き顔とか、困っている顔とか、悔しそうにしている顔とか…想像すると、妄想の世界に入って行っちゃうんですもの…
ホント…凄く危ない奴になって行っている気がします。

とりあえず、明日か、明後日、荷物の方はクロニャンコに集荷して頂く予定なのですが…
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☆拍手のお返事


水流さま:こんばんは、コメント有難う御座居ます。
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骨の組織が死んでしまっていて、つぶれたりすると強い痛みを感じると云う事らしいのですが…
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ある意味仕方ないと云えば仕方ない部分もありまして…
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まぁ、動かない事が一番らしいのですが…そういう訳にも行きませんので、無理にならないようにごまかしながら使っていく事になります。

えっと…新宿西口にそんな時間に着くバスは和泉の住んでいるところの最寄りのバス停には停まりません。
と云うか、それは、中央道経由なのか、東名経由なのか…と云う事さえよく解りませんが…
和泉の乗るバスは中央道経由なので…(と云うか、東名経由で新宿に停まるバスがあったかどうか…もよく知らないんですが)
とりあえず、和泉の携帯に関しては水流さまにはお教えしていますので…
ちなみに、新宿西口のバス停から歩いて2分のところにマックがあるので、そこで待っていればいいかなぁ…と…
階段使うんですけどね…
いつも和泉はそこで時間をつぶしている訳なのですが…
まぁ、待つ場所に関しては心配いりません。

『黒猫ルルにゃん』
色々悩んだんですよね…
契約する時の儀式…
でも、やっぱりオーソドックスに行くかぁ…と…
一回、『試練の部屋』と称して、ドラゴ○クエストさながらの冒険を二人でクリアして…なんて事も考えたのですが、どう考えてもロイドさんとセシルさんが、そんな形で契約するなんて…『ねこのけっこん』より考えにくいですよね…(笑)
まぁ、他にそれを読みたいとおっしゃられる方が現れたら、頑張って書きますね…(いないと思われますが)

当日は色々ご迷惑をおかけするかもしれないのですが…
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ちなみに、強引にとんぼ返りする事にしました。
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posted by 和泉綾 at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

2010年02月14日

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

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こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
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第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。

Third Story 12



 あれから…シュナイゼルはジノに連絡を取った。
そして、事情を知ったジノが慌てて駆けつけて来た。
「シュナイゼル!」
「久しぶりだ…ジノ…」
お互いに、様々な思いを抱いている相手ではあるが…
それでも、今は、シュナイゼルも守りたい者の為に万全を尽くしたい。
そして、ジノは…やっと、笑って話してくれるようになったルルーシュのことを救い出したい…。
そんな思いをお互いに強く思っていた。
その共通した思いから…現在二人は対峙している。
恐らく、お互いに今はまだ、あまりお互いの顔を見たいと思ってはいないと思われるが…
それでも、彼らのルルーシュへの思いが彼らを引き合わせている状態。
「ルルーシュは!?」
ジノがシュナイゼルの居る社長室に入った時、すぐに出て来た言葉は…
それだ…
シュナイゼルとしてはジノのその態度にほっとする。
ルルーシュへの思いがあれから変わっていたとしたなら、すぐに帰って貰うつもりだったから…
「今のところは無事だろう。恐らく、もうじき、僕のところに連絡が入るよ…。ルルーシュの声付きで…ね…」
「誰なのか…見当がついてるのか…?」
「まぁ、僕の場合、色々と狙われる理由が多いからね…。ただ、ルルーシュのことを知る人物は限られている。僕が日本支社長になった途端にこんな騒ぎが起きたとなると…心当たりなど絞られるだろう?」
「なるほどね…。私がヴァインベルグ家を出た時、色々あったけれど…君のところは相当大変だね…」
「そんな世間話をする為に君を呼んだわけじゃない…。解っているのだろう?」
「そうだな…状況説明だけは…して貰えるかな?」
何となく…この二人の間に火花が散っているのが解るけれど…
それは、非常に静かなものに見える。
お互いにわだかまりはあるし、お互いの心に『彼女』がいる限り、二人が以前の様に笑って話す…と云う雰囲気にはならないだろう。
「そうだな…こちらへ…。カノン…資料を…」
「畏まりました…」
傍に控えていたカノンがそれまでにまとめた資料をプリントアウトして、ジノに渡した。
「とりあえず、それを読んでくれ…。あとは、相手からの連絡待ちだ。一応、伏線が必要なんでね…。君に来て貰ったんだ…」
「そうか…。なるほど…確かに…この資料からすると、誰がやったのか…簡単に解るな…」
ジノは手渡された資料を見ながらジノに答えた。
こう云った時、巻き込まれるのは大切な存在だ。
だからこそ、これまで極力特定の人間に対して特別な気持ちを抱かずに…と云うことは二人とも自分の気持ちをコントロールする術は叩きこまれて来たのだけれど…
それでも、そう解っていても大切に思う存在が出来てしまった…
だから…出来得る限り、その大切な存在を守ると…その姿勢を崩さなかったのだけれど…
結局…
「シュナイゼル…私はどうすればいい?」
「云ってはおくが…これがうまく云ったとしても…僕は君を許すつもりはない…」
「解っているよ…。私も許して貰おうなんて考えていないさ…。ただ…彼女を助けたいだけだ…」

 ジノの言葉に…シュナイゼルが『ふっ』と笑った。
「ここで『助けてあげたい』と君が云ったら、そのままお帰り願ったところだが…」
シュナイゼルの言葉に…ジノは驚いた顔を見せるが、シュナイゼルが何を云わんとしているか解ったから、すぐに困った様な笑みを見せて告げた。
「そこまで私は傲慢じゃない…。これは、私がしたいから…彼女が望んでいるとか、いないとか関係ない…私の意思だから…だから、『助けたい』と云ったまでだ…」
こうしてみると、本当に国語の成績にいい人間は扱いにくいと思う。
実際、『助けてあげたい』と云う気持ちではなく、『助けたい』と云う気持ちなのだから…その言葉が自然に出て来たのだけれど…
この二つの言葉は…似ているようでいて、意味が違うから…
恐らく、聞いた人にとってはそう思えてしまうから…
「頭の悪い奴でなくてよかったよ…。じゃあ、その先の話しをしようか…」
シュナイゼルがそう云った時、突然電話が鳴りだした。
これは…社長室への直通…
受付を通さない…シュナイゼルに直接つながる電話で、この番号を知るものは非常に少ない。
ルルーシュやナナリーさえ知らない番号…
「やはり…来たようだ…」
「シュナイゼル…オープンスピーカーに出来るか?」
「そのつもりだ。その代わり、君は黙って聞いていてくれ…」
呼び鈴が5回鳴ったところでシュナイゼルが電話に出た。
「もしもし…」
『御無沙汰しています…異母兄さん…』
「やはり、君かい?」
『流石異母兄さんです。決して驚かれませんね…』
「君の狡猾さは知っているからね…。どうせ、前任の日本支社長がこの椅子を僕に譲って一番不都合が生まれるのは君だからね…」
『まぁ、それもありますけれどね…。彼女にも興味がありましてね…』
「彼女?」
シュナイゼルもジノも、その声の主の『彼女』と云う言葉に…身体をこわばらせる。
その声の主の云っている『彼女』とは…誰であるのかは…
彼らの思いつく中には一人しかいないから…
『そう驚かれることはないでしょう?彼女は俺にとっては父の違う妹…なんですから…』
「ゼロ!」
シュナイゼルが声を荒げる。
『あなたがそこまで声を荒げるのを聞いたのは初めてですよ…。大丈夫ですよ…。こちらとしては計算外だったんですけれど…どうやらルルーシュにはナイトがついていたようで…。まぁ、暴れ回ってくれましたよ…。今は大人しくして貰っていますけれどね…』
シュナイゼルもジノも唇をかみしめる。
「何が…目的だ?」
『早速そちらの話しですか?まぁ、いいでしょう…。今回、俺はあなたが色々人事を動かしたアフリカ開発の責任者になりましてね…。なんだか、非常に楽しそうなことになっているんで、俺としてはそちらの仕事も楽しみなんですけれど…』
「あまり中央部から離れるのは困る…と云うことか…。で、現在中国支社長となっているエミールが日本から離れて貰っては君にとって都合が悪い…と云うわけか…」
『まぁ、確かにそれはありますけれど…。それはどうでもよくなりました…。多分、彼女が俺の手足となってくれれば…』
「ゼロ!そんな事をしたら…どんな手を使ってでも私は君を潰す!どんな手を使っても…」
『久しぶりに聞きましたよ…。あなたがご自分のことを『私』と呼ぶのを…。本気で自分自身の危機を感じないとあなたは決して『お坊ちゃま』の仮面を外すことはない…。相変わらず、云い回しがお上品ですけれどね…俺と違って…』

 電話の向こうで…『くっくっくっ…』と声を殺して笑っている様子が解る。
シュナイゼルにとって一番厄介だと思う…実力のある…異母弟…
そして、ルルーシュにとって、異父兄である…ゼロ…
その存在は…これまで巧妙に隠されていた存在だったけれど…
恐らく、父であるシャルルは彼の幼い頃からのその才覚を認めていて…
その為に、幼い頃に母親から引き離され、英才教育を受けていた…
しかし、そのことを知った者たちの中で邪心を抱いていたものがいて…
そう云った者たちによって…彼は…
「で、交渉の内容は…なんだい?」
シュナイゼルが何とか冷静さを取り戻す。
そして、電話の受話器を握り締めながら、冷静な声で尋ねる。
『彼女を…ちゃんと俺の異父妹として認めて下さいよ…。事実なんですし…。そうなれば、彼女の能力があれば俺は、別に、日本支社長の椅子なんていりませんし…』
「そうして…ルルーシュを…君に渡せ…と云うことか?」
『別に…恋人を奪うわけじゃないんだ…。そのくらいいいでしょう?それが嫌なら、ランペルージグループを俺に下さい…。俺なら決して潰すような真似はしないですよ?それはあなたもお分かりかと思いますが…』
「君の能力は認めよう…。ただ、君をあの屋敷からさらった連中を私は認めるわけにはいかない…。あの連中は…」
『まぁ、今のところ俺の後見人ですしね…。確かにやっていることは結構…それなりのことをしていますよね…確かに…』
「解っていて…君は…」
『俺の中での選択肢はそれしかなかったんだ…。あなたにとやかく言われる覚えはない。それに、現在の俺の地位は俺自身の力で手に入れたものだ。まぁ、ルルーシュは俺のことを異父兄とは認められないかもしれませんけれどね…。どうも彼女は…ランペルージ家の人間を綺麗過ぎる評価をしている傾向がある…』
「ひょっとして、私のあの噂を流したのも…」
『俺ですけれど…あれはウソではない部分の方が多いと思いますが…。それで、あそこまで彼女がショックを受けるとはね…。正直、俺の方がびっくりですよ…。彼女なら…何故これまで彼女たちの存在を表に出さないようにしていたのか…解らない筈がないだろうに…。あんな人の往来で自分の名前を…』
「黙れ!君に何が解ると云うんだ!彼女は…」
『ほぅ?これは新発見…。本当だったんですね…あなたが…彼女に…』
電話の向こうの声がそこまで云った時、ジノが立ち上がった。
「シュナイゼル!落ち着け…。このままではゼロの思うつぼだ…。彼は君の異母弟だろう?そして、君が唯一…その実力を認めた異母弟だ…」
ジノが居た堪れなくなり、声をあげてしまう。
『この席に…同席していて…この話を聞いていたものがいたのですか…。まぁ、いいでしょう…。とりあえず、交渉内容です。まずは俺と彼女の異父兄妹と云うことをちゃんと認めて下さいよ…。そうすれば、彼女にも…ランペルージ家の中で地位を得る立場になる…』
これまで…あらゆる争いから彼女たちを遠ざける為に決して彼女たちをランペルージグループの中で地位を与えて来なかった。
その地位を持つ事で…彼女たちは様々な争いの渦に巻き込まれてしまうから…

 シュナイゼルがぐっと唇を噛んでいると…更に話が続いた。
『それから、ヴァインベルグ関連の株や権利を俺に譲って頂けませんか?俺がヴァインベルグを立て直しますから…。それが軌道に乗ったら俺は別にランペルージグループに口出ししないし、シュナイゼル異母兄さんのやることに口出ししませんよ…。と云うか、必要ないですし…』
彼の云っていることは…
ヴァインベルグの全てを手に入れて、自分の為のグループを作りだす…と云っているのだ。
今はランペルージグループに対して何もしないかもしれないけれど…
ゼロが野心家であることは解っているのだ。
目的が達成されてしまったら、すぐに次の目的が生まれて来る。
最終的には、何を欲しているのか…尋ねられれば、ずっと、対照的な立場にいたシュナイゼルの全て…と答えるであろう…そんな存在だ。
「それは…私に交渉することなのかな?」
まるでしらばっくれる様にシュナイゼルが答えるが…
そんなものは…相手がこの異母弟であれば、通用しないことくらいは…シュナイゼルも承知していた。
『そうやってあなたがしらばっくれる度に…まだ、俺を異父兄だと知らないルルーシュに…いろいろしたくなってしまいますけれどね…』
くすくす笑いながら答える。
「そうは云っても…私には…」
『そうやって、いつまでもしらばっくれる気なら…』
恐らく、ゼロが周囲にいるものに合図を送っている間の静寂の時間…
やがて、その部屋の扉が開く音がして…
『俺の傍に連れてこい…』
『やだ…放せ!この変態…』
そこまでルルーシュが云った時…
―――ビリッ…
布の破かれる音…
『やだ…やめろ!放せ!スザク…スザク…』
「ゼロ!彼女に手を出すな!」
『それが…人にものを頼む態度ですか?なんて…安っぽいドラマみたいですね…。ホント…彼女の肌は滑らかで…穢れを知らない…』
『さ…触るな!』
これは…電話による…音声だけの情報だ…
解っている…
解っているけれど…それでも、この様子は…音声だけで充分にシュナイゼルにもジノにも凄まじい攻撃力がある。
「頼む…彼女には…手を出さないでくれ…。私の出来ることを…全てするから…」
青褪めてシュナイゼルが電話の相手に…懇願する。
これまで…何よりも大切にしてきた…
その存在が…今…
そして…ただ、タイミングが彼女が日本支社に来た時と重なったと云うか、相手が合わせただけであって、シュナイゼルが人事部に命令して、処分された社員たちは関係なかった。
恐らく、そのタイミングを…ゼロが待っていた…
今になってシュナイゼルはその話の筋道を立てた。
『解りましたよ…。じゃあ、また連絡しますよ…。それまでにちゃんと手続きを済ませておいてくださいね…。一応、1週間、時間を差し上げますから…』
「解った…」
『義兄さま!ダメ!こんな奴の為に…私は大丈夫です!』
電話の向こうからルルーシュの声が聞こえてくる。
録音ではないことが…解る…
「ルルーシュに…そして、一緒について行ったスザク君に…手を出さないでくれ…。頭のいい君が…こんな手を使って来るとは…思わなかったよ…ゼロ…」
『俺もなりふり構っていられなくてね…。それに、異母兄さんのそんな取り乱すところを本当は目で見てみたかったのですけれど…。まぁ、いいです…。ちゃんとお願いしますね…』
ゼロがそう云って、電話が切られた。

 電話を切った時…
薄い上着を破かれたルルーシュが目の前の男を睨みつけていた。
「済まないな…。まぁ、君のことをどうこうしようと思っちゃいないから…。君はあのナイト君と一緒にいればいい…。大人しくしていてくれれば危害を加えるつもりはないよ…」
「……」
「あと、上着を破ってしまってすまないな…」
「そんなこと…謝るなら最初からしなければいい!大体…あなたは何者だ?シュナイゼル義兄さまに…」
自分の存在を知らないルルーシュを見ていて…少しだけ寂しさを感じるゼロだったが…
同じ色の髪と瞳をしている…
本当は…ルルーシュに『兄』と呼んで貰える立場にいる筈なのに…
彼女はゼロの存在を知らない。
2つ下の…父の違う妹…
もう一人、ナナリーと云う異父妹がいると云う…
調査書の写真を見ていると…ナナリーよりもルルーシュの方が自分に似ているし、近いと感じる。
「シュナイゼルを脅しつけるには…君を使うのが一番だからな…。その辺りの自覚もなく、あんな人の往来で自分の名前を名乗るとは…君も迂闊な奴だ…」
「別に…私は…」
「これは忠告だ…。折角シュナイゼルが君たち姉妹を守る為に君たちの存在を表に出して来なかったんだ…。それを無にする様な…ただ、感情に任せて自分の名を名乗ることはやめた方がいい…。それは…君自身が、利用される…と云うことになる。シュナイゼルの地位を狙う者たちによって…」
云っていることが…やっていることと一致していない様な気がするけれど…
確かに、彼の云う通りだ。
「まぁ、俺は君の顔を知っているから、関係ないけれどな…」
「私を…知っていたのか…?」
「日本支社の支社長の交代の発表の時、その会場に俺もいたよ…。一応な…」
あの会場には…一族しかいない…
となると…目の前の男は…シュナイゼルの異母弟…と云うことか…
「そんなことはどうでもいい!シュナイゼル義兄さまに酷いことをしたら…私が許さないから!」
「ふっ…そんな非力な君が一体何を出来るって云うんだ?」
「この場で舌を噛んで私の存在が消えれば…」
―――パシッ!
突然…頬に熱を感じた。
これまで飄々と話していた彼の表情が一変した。
「二度と…自分が死のうなんてことを考えるな…。絶対に…。それは…誰かを守る事にはならない…。必死に君を守ろうとしている全ての人々に…悲しみを残すだけだ…」
低い声で…異父妹を諭す。
「なら…何故こんなことに私を巻き込んだ!シュナイゼル義兄さまに…何を云った!優しい義兄さまに…あんな酷いことを云って…」
頬を抑えながらゼロを睨むルルーシュを見て、一瞬、切なさを覚えるが、すぐに仮面をかぶり直す。
「シュナイゼルが?優しい?冗談はやめろ…。あいつのしていることを教えてやろうか?君が知らないだけだよ…。本当のあいつの姿を…」
シュナイゼルのことを妬ましいが…
こうして、自分に似ているゼロに対して何の感慨も抱かないことにイライラが募る。
ゼロは…異父妹に対して…これほど愛情を抱いていると云うのに…
独りよがりであっても、一方的であっても…
一方的だから…中々伝わらないのだろうが…
「まぁ…いい…。君は部屋に戻りたまえ…。君のナイト君が待っているよ…」
そう云って、部屋の中にいた彼の部下たちに命じて、ルルーシュをまた、元の部屋に戻る様に促した。
ルルーシュが部屋を出て行って…足音が聞こえなくなって…
―――本当に…残酷だよ…君は…
そう思って…ゼロは…目をふっと閉じた。

To Be Continued


あとがきに代えて



ルルーシュの誘拐犯…誰にしようかと迷っていて…結局彼に落ち着きました。
もう一人は名前しか出て来ていないコーネリアの手の者に…と考えたのですけれどね。
そうなると、ジノの立場が悪くなっちゃうんで…
で、これまで影も形もなかったゼロを出したわけです。
誘拐話を考えた段階でゼロはどこかで出したいと思っていました。
つうか、マリアンヌさん、良くやります…(笑)
まぁ、ルルーシュとナナリーはこのお話しでは父親不詳です。
一応…
そこまで話を突っ込んじゃうと話しが複雑になって…書いている方が困ってしまうので…
どちらに転んでもいろいろ問題ありな…状態になってしまっていたわけなのですけれどね。
これからの展開を楽しみにして頂けると幸いです。


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posted by 和泉綾 at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ

幼馴染シリーズ 〜第3部〜

読む前のご注意






こちらは、ルルーシュを女体化しているパラレルワールド作品です。
ユーフェミアファンには怒られてしまいそうなユーフェミアのキャラ設定となっていますので、ユーフェミアをこよなく愛していらっしゃる方は引き返す事をお勧めします。
一応、3部作となっており、今回の『Third Story』は第3部です。
第3部に関してはルルーシュとスザクがどう変わっていくのか…と云うお話になります。
『幼馴染シリーズ』の最終章となります。
この第3部が終わる時にはスザルルでハッピーエンドになります。
また、キャラクターの年齢や、立場など、かなりこちらの都合で弄くり倒しています。
つまり、コードギアスのキャラ名を借りているだけ…と云う感じでお読みください。

Third Story 12



 あれから…シュナイゼルはジノに連絡を取った。
そして、事情を知ったジノが慌てて駆けつけて来た。
「シュナイゼル!」
「久しぶりだ…ジノ…」
お互いに、様々な思いを抱いている相手ではあるが…
それでも、今は、シュナイゼルも守りたい者の為に万全を尽くしたい。
そして、ジノは…やっと、笑って話してくれるようになったルルーシュのことを救い出したい…。
そんな思いをお互いに強く思っていた。
その共通した思いから…現在二人は対峙している。
恐らく、お互いに今はまだ、あまりお互いの顔を見たいと思ってはいないと思われるが…
それでも、彼らのルルーシュへの思いが彼らを引き合わせている状態。
「ルルーシュは!?」
ジノがシュナイゼルの居る社長室に入った時、すぐに出て来た言葉は…
それだ…
シュナイゼルとしてはジノのその態度にほっとする。
ルルーシュへの思いがあれから変わっていたとしたなら、すぐに帰って貰うつもりだったから…
「今のところは無事だろう。恐らく、もうじき、僕のところに連絡が入るよ…。ルルーシュの声付きで…ね…」
「誰なのか…見当がついてるのか…?」
「まぁ、僕の場合、色々と狙われる理由が多いからね…。ただ、ルルーシュのことを知る人物は限られている。僕が日本支社長になった途端にこんな騒ぎが起きたとなると…心当たりなど絞られるだろう?」
「なるほどね…。私がヴァインベルグ家を出た時、色々あったけれど…君のところは相当大変だね…」
「そんな世間話をする為に君を呼んだわけじゃない…。解っているのだろう?」
「そうだな…状況説明だけは…して貰えるかな?」
何となく…この二人の間に火花が散っているのが解るけれど…
それは、非常に静かなものに見える。
お互いにわだかまりはあるし、お互いの心に『彼女』がいる限り、二人が以前の様に笑って話す…と云う雰囲気にはならないだろう。
「そうだな…こちらへ…。カノン…資料を…」
「畏まりました…」
傍に控えていたカノンがそれまでにまとめた資料をプリントアウトして、ジノに渡した。
「とりあえず、それを読んでくれ…。あとは、相手からの連絡待ちだ。一応、伏線が必要なんでね…。君に来て貰ったんだ…」
「そうか…。なるほど…確かに…この資料からすると、誰がやったのか…簡単に解るな…」
ジノは手渡された資料を見ながらジノに答えた。
こう云った時、巻き込まれるのは大切な存在だ。
だからこそ、これまで極力特定の人間に対して特別な気持ちを抱かずに…と云うことは二人とも自分の気持ちをコントロールする術は叩きこまれて来たのだけれど…
それでも、そう解っていても大切に思う存在が出来てしまった…
だから…出来得る限り、その大切な存在を守ると…その姿勢を崩さなかったのだけれど…
結局…
「シュナイゼル…私はどうすればいい?」
「云ってはおくが…これがうまく云ったとしても…僕は君を許すつもりはない…」
「解っているよ…。私も許して貰おうなんて考えていないさ…。ただ…彼女を助けたいだけだ…」

 ジノの言葉に…シュナイゼルが『ふっ』と笑った。
「ここで『助けてあげたい』と君が云ったら、そのままお帰り願ったところだが…」
シュナイゼルの言葉に…ジノは驚いた顔を見せるが、シュナイゼルが何を云わんとしているか解ったから、すぐに困った様な笑みを見せて告げた。
「そこまで私は傲慢じゃない…。これは、私がしたいから…彼女が望んでいるとか、いないとか関係ない…私の意思だから…だから、『助けたい』と云ったまでだ…」
こうしてみると、本当に国語の成績にいい人間は扱いにくいと思う。
実際、『助けてあげたい』と云う気持ちではなく、『助けたい』と云う気持ちなのだから…その言葉が自然に出て来たのだけれど…
この二つの言葉は…似ているようでいて、意味が違うから…
恐らく、聞いた人にとってはそう思えてしまうから…
「頭の悪い奴でなくてよかったよ…。じゃあ、その先の話しをしようか…」
シュナイゼルがそう云った時、突然電話が鳴りだした。
これは…社長室への直通…
受付を通さない…シュナイゼルに直接つながる電話で、この番号を知るものは非常に少ない。
ルルーシュやナナリーさえ知らない番号…
「やはり…来たようだ…」
「シュナイゼル…オープンスピーカーに出来るか?」
「そのつもりだ。その代わり、君は黙って聞いていてくれ…」
呼び鈴が5回鳴ったところでシュナイゼルが電話に出た。
「もしもし…」
『御無沙汰しています…異母兄さん…』
「やはり、君かい?」
『流石異母兄さんです。決して驚かれませんね…』
「君の狡猾さは知っているからね…。どうせ、前任の日本支社長がこの椅子を僕に譲って一番不都合が生まれるのは君だからね…」
『まぁ、それもありますけれどね…。彼女にも興味がありましてね…』
「彼女?」
シュナイゼルもジノも、その声の主の『彼女』と云う言葉に…身体をこわばらせる。
その声の主の云っている『彼女』とは…誰であるのかは…
彼らの思いつく中には一人しかいないから…
『そう驚かれることはないでしょう?彼女は俺にとっては父の違う妹…なんですから…』
「ゼロ!」
シュナイゼルが声を荒げる。
『あなたがそこまで声を荒げるのを聞いたのは初めてですよ…。大丈夫ですよ…。こちらとしては計算外だったんですけれど…どうやらルルーシュにはナイトがついていたようで…。まぁ、暴れ回ってくれましたよ…。今は大人しくして貰っていますけれどね…』
シュナイゼルもジノも唇をかみしめる。
「何が…目的だ?」
『早速そちらの話しですか?まぁ、いいでしょう…。今回、俺はあなたが色々人事を動かしたアフリカ開発の責任者になりましてね…。なんだか、非常に楽しそうなことになっているんで、俺としてはそちらの仕事も楽しみなんですけれど…』
「あまり中央部から離れるのは困る…と云うことか…。で、現在中国支社長となっているエミールが日本から離れて貰っては君にとって都合が悪い…と云うわけか…」
『まぁ、確かにそれはありますけれど…。それはどうでもよくなりました…。多分、彼女が俺の手足となってくれれば…』
「ゼロ!そんな事をしたら…どんな手を使ってでも私は君を潰す!どんな手を使っても…」
『久しぶりに聞きましたよ…。あなたがご自分のことを『私』と呼ぶのを…。本気で自分自身の危機を感じないとあなたは決して『お坊ちゃま』の仮面を外すことはない…。相変わらず、云い回しがお上品ですけれどね…俺と違って…』

 電話の向こうで…『くっくっくっ…』と声を殺して笑っている様子が解る。
シュナイゼルにとって一番厄介だと思う…実力のある…異母弟…
そして、ルルーシュにとって、異父兄である…ゼロ…
その存在は…これまで巧妙に隠されていた存在だったけれど…
恐らく、父であるシャルルは彼の幼い頃からのその才覚を認めていて…
その為に、幼い頃に母親から引き離され、英才教育を受けていた…
しかし、そのことを知った者たちの中で邪心を抱いていたものがいて…
そう云った者たちによって…彼は…
「で、交渉の内容は…なんだい?」
シュナイゼルが何とか冷静さを取り戻す。
そして、電話の受話器を握り締めながら、冷静な声で尋ねる。
『彼女を…ちゃんと俺の異父妹として認めて下さいよ…。事実なんですし…。そうなれば、彼女の能力があれば俺は、別に、日本支社長の椅子なんていりませんし…』
「そうして…ルルーシュを…君に渡せ…と云うことか?」
『別に…恋人を奪うわけじゃないんだ…。そのくらいいいでしょう?それが嫌なら、ランペルージグループを俺に下さい…。俺なら決して潰すような真似はしないですよ?それはあなたもお分かりかと思いますが…』
「君の能力は認めよう…。ただ、君をあの屋敷からさらった連中を私は認めるわけにはいかない…。あの連中は…」
『まぁ、今のところ俺の後見人ですしね…。確かにやっていることは結構…それなりのことをしていますよね…確かに…』
「解っていて…君は…」
『俺の中での選択肢はそれしかなかったんだ…。あなたにとやかく言われる覚えはない。それに、現在の俺の地位は俺自身の力で手に入れたものだ。まぁ、ルルーシュは俺のことを異父兄とは認められないかもしれませんけれどね…。どうも彼女は…ランペルージ家の人間を綺麗過ぎる評価をしている傾向がある…』
「ひょっとして、私のあの噂を流したのも…」
『俺ですけれど…あれはウソではない部分の方が多いと思いますが…。それで、あそこまで彼女がショックを受けるとはね…。正直、俺の方がびっくりですよ…。彼女なら…何故これまで彼女たちの存在を表に出さないようにしていたのか…解らない筈がないだろうに…。あんな人の往来で自分の名前を…』
「黙れ!君に何が解ると云うんだ!彼女は…」
『ほぅ?これは新発見…。本当だったんですね…あなたが…彼女に…』
電話の向こうの声がそこまで云った時、ジノが立ち上がった。
「シュナイゼル!落ち着け…。このままではゼロの思うつぼだ…。彼は君の異母弟だろう?そして、君が唯一…その実力を認めた異母弟だ…」
ジノが居た堪れなくなり、声をあげてしまう。
『この席に…同席していて…この話を聞いていたものがいたのですか…。まぁ、いいでしょう…。とりあえず、交渉内容です。まずは俺と彼女の異父兄妹と云うことをちゃんと認めて下さいよ…。そうすれば、彼女にも…ランペルージ家の中で地位を得る立場になる…』
これまで…あらゆる争いから彼女たちを遠ざける為に決して彼女たちをランペルージグループの中で地位を与えて来なかった。
その地位を持つ事で…彼女たちは様々な争いの渦に巻き込まれてしまうから…

 シュナイゼルがぐっと唇を噛んでいると…更に話が続いた。
『それから、ヴァインベルグ関連の株や権利を俺に譲って頂けませんか?俺がヴァインベルグを立て直しますから…。それが軌道に乗ったら俺は別にランペルージグループに口出ししないし、シュナイゼル異母兄さんのやることに口出ししませんよ…。と云うか、必要ないですし…』
彼の云っていることは…
ヴァインベルグの全てを手に入れて、自分の為のグループを作りだす…と云っているのだ。
今はランペルージグループに対して何もしないかもしれないけれど…
ゼロが野心家であることは解っているのだ。
目的が達成されてしまったら、すぐに次の目的が生まれて来る。
最終的には、何を欲しているのか…尋ねられれば、ずっと、対照的な立場にいたシュナイゼルの全て…と答えるであろう…そんな存在だ。
「それは…私に交渉することなのかな?」
まるでしらばっくれる様にシュナイゼルが答えるが…
そんなものは…相手がこの異母弟であれば、通用しないことくらいは…シュナイゼルも承知していた。
『そうやってあなたがしらばっくれる度に…まだ、俺を異父兄だと知らないルルーシュに…いろいろしたくなってしまいますけれどね…』
くすくす笑いながら答える。
「そうは云っても…私には…」
『そうやって、いつまでもしらばっくれる気なら…』
恐らく、ゼロが周囲にいるものに合図を送っている間の静寂の時間…
やがて、その部屋の扉が開く音がして…
『俺の傍に連れてこい…』
『やだ…放せ!この変態…』
そこまでルルーシュが云った時…
―――ビリッ…
布の破かれる音…
『やだ…やめろ!放せ!スザク…スザク…』
「ゼロ!彼女に手を出すな!」
『それが…人にものを頼む態度ですか?なんて…安っぽいドラマみたいですね…。ホント…彼女の肌は滑らかで…穢れを知らない…』
『さ…触るな!』
これは…電話による…音声だけの情報だ…
解っている…
解っているけれど…それでも、この様子は…音声だけで充分にシュナイゼルにもジノにも凄まじい攻撃力がある。
「頼む…彼女には…手を出さないでくれ…。私の出来ることを…全てするから…」
青褪めてシュナイゼルが電話の相手に…懇願する。
これまで…何よりも大切にしてきた…
その存在が…今…
そして…ただ、タイミングが彼女が日本支社に来た時と重なったと云うか、相手が合わせただけであって、シュナイゼルが人事部に命令して、処分された社員たちは関係なかった。
恐らく、そのタイミングを…ゼロが待っていた…
今になってシュナイゼルはその話の筋道を立てた。
『解りましたよ…。じゃあ、また連絡しますよ…。それまでにちゃんと手続きを済ませておいてくださいね…。一応、1週間、時間を差し上げますから…』
「解った…」
『義兄さま!ダメ!こんな奴の為に…私は大丈夫です!』
電話の向こうからルルーシュの声が聞こえてくる。
録音ではないことが…解る…
「ルルーシュに…そして、一緒について行ったスザク君に…手を出さないでくれ…。頭のいい君が…こんな手を使って来るとは…思わなかったよ…ゼロ…」
『俺もなりふり構っていられなくてね…。それに、異母兄さんのそんな取り乱すところを本当は目で見てみたかったのですけれど…。まぁ、いいです…。ちゃんとお願いしますね…』
ゼロがそう云って、電話が切られた。

 電話を切った時…
薄い上着を破かれたルルーシュが目の前の男を睨みつけていた。
「済まないな…。まぁ、君のことをどうこうしようと思っちゃいないから…。君はあのナイト君と一緒にいればいい…。大人しくしていてくれれば危害を加えるつもりはないよ…」
「……」
「あと、上着を破ってしまってすまないな…」
「そんなこと…謝るなら最初からしなければいい!大体…あなたは何者だ?シュナイゼル義兄さまに…」
自分の存在を知らないルルーシュを見ていて…少しだけ寂しさを感じるゼロだったが…
同じ色の髪と瞳をしている…
本当は…ルルーシュに『兄』と呼んで貰える立場にいる筈なのに…
彼女はゼロの存在を知らない。
2つ下の…父の違う妹…
もう一人、ナナリーと云う異父妹がいると云う…
調査書の写真を見ていると…ナナリーよりもルルーシュの方が自分に似ているし、近いと感じる。
「シュナイゼルを脅しつけるには…君を使うのが一番だからな…。その辺りの自覚もなく、あんな人の往来で自分の名前を名乗るとは…君も迂闊な奴だ…」
「別に…私は…」
「これは忠告だ…。折角シュナイゼルが君たち姉妹を守る為に君たちの存在を表に出して来なかったんだ…。それを無にする様な…ただ、感情に任せて自分の名を名乗ることはやめた方がいい…。それは…君自身が、利用される…と云うことになる。シュナイゼルの地位を狙う者たちによって…」
云っていることが…やっていることと一致していない様な気がするけれど…
確かに、彼の云う通りだ。
「まぁ、俺は君の顔を知っているから、関係ないけれどな…」
「私を…知っていたのか…?」
「日本支社の支社長の交代の発表の時、その会場に俺もいたよ…。一応な…」
あの会場には…一族しかいない…
となると…目の前の男は…シュナイゼルの異母弟…と云うことか…
「そんなことはどうでもいい!シュナイゼル義兄さまに酷いことをしたら…私が許さないから!」
「ふっ…そんな非力な君が一体何を出来るって云うんだ?」
「この場で舌を噛んで私の存在が消えれば…」
―――パシッ!
突然…頬に熱を感じた。
これまで飄々と話していた彼の表情が一変した。
「二度と…自分が死のうなんてことを考えるな…。絶対に…。それは…誰かを守る事にはならない…。必死に君を守ろうとしている全ての人々に…悲しみを残すだけだ…」
低い声で…異父妹を諭す。
「なら…何故こんなことに私を巻き込んだ!シュナイゼル義兄さまに…何を云った!優しい義兄さまに…あんな酷いことを云って…」
頬を抑えながらゼロを睨むルルーシュを見て、一瞬、切なさを覚えるが、すぐに仮面をかぶり直す。
「シュナイゼルが?優しい?冗談はやめろ…。あいつのしていることを教えてやろうか?君が知らないだけだよ…。本当のあいつの姿を…」
シュナイゼルのことを妬ましいが…
こうして、自分に似ているゼロに対して何の感慨も抱かないことにイライラが募る。
ゼロは…異父妹に対して…これほど愛情を抱いていると云うのに…
独りよがりであっても、一方的であっても…
一方的だから…中々伝わらないのだろうが…
「まぁ…いい…。君は部屋に戻りたまえ…。君のナイト君が待っているよ…」
そう云って、部屋の中にいた彼の部下たちに命じて、ルルーシュをまた、元の部屋に戻る様に促した。
ルルーシュが部屋を出て行って…足音が聞こえなくなって…
―――本当に…残酷だよ…君は…
そう思って…ゼロは…目をふっと閉じた。

To Be Continued


あとがきに代えて



ルルーシュの誘拐犯…誰にしようかと迷っていて…結局彼に落ち着きました。
もう一人は名前しか出て来ていないコーネリアの手の者に…と考えたのですけれどね。
そうなると、ジノの立場が悪くなっちゃうんで…
で、これまで影も形もなかったゼロを出したわけです。
誘拐話を考えた段階でゼロはどこかで出したいと思っていました。
つうか、マリアンヌさん、良くやります…(笑)
まぁ、ルルーシュとナナリーはこのお話しでは父親不詳です。
一応…
そこまで話を突っ込んじゃうと話しが複雑になって…書いている方が困ってしまうので…
どちらに転んでもいろいろ問題ありな…状態になってしまっていたわけなのですけれどね。
これからの展開を楽しみにして頂けると幸いです。


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posted by 和泉綾 at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 幼馴染シリーズ