2012年05月16日

History(前編)〜『It’s Destiny』(番外編)〜

『It’s Destiny』の過去のお話しです。『ゼロ・レクイエム』の後、スザクが『ゼロ』の仮面を被りながら世界を見続けている時のお話しです。

 これは…ルルーシュとスザクが生まれ変わり、再会した時より遥かに時間が遡り…。
神聖ブリタニア帝国第99代皇帝、ルルーシュ=ヴィ=ブリタニアが救世主『ゼロ』に倒されて…20年ほど経った頃の話しである。
既に、『ゼロ』の仮面を継承したスザクはルルーシュと出会ってから、自らの刃によってこの世界から排除した時までの時間の倍以上…『ゼロ』として存在している。
『ゼロ』の仮面の下の顔を知る者も確かにいる事はいるのだが…。
しかし、それを『ゼロ』であるスザク自身にその真実を知っていると云う事を彼自身に露わにしているのは…たった一人…。
『ゼロ・レクイエム』の時…その場に足を運ばず…神の祀られている礼拝堂で一人…涙を流していた魔女…C.C.…。
『ゼロ』の情報源と云うのは、あの時のインパクトの所為か…放っておいても情報が入って来る…。
ルルーシュがそう云った表には出て来ないシステムを作っていた事もあるが、それに気付いた、ルルーシュの『ギアス』によって『ゼロ』に尽くす様になったシュナイゼルと、ルルーシュに真の忠誠を誓ったジェレミアがそこに情報を流すようになっていた。
それは…ルルーシュの命令だったのか…彼らの何がそうさせているのかは…もはや確認のしようもない。
しかし、そのお陰でスザクは『ゼロ』としての活動の力になっている事は否定しようのない事実だった。
様々なデータは勿論、必要な人材や物資の手配などは彼らの協力なしにはとても出来るものではない。
そして、人材の手配に関してはかなりの注意が必要になる。
一般人の中で『ゼロ』の正体に勘付く者、そして、それを口外する者が出て来てしまっては、『ゼロ』の意思は関係なく、『ゼロ』を中心に世界が回る事になる。
もしくは、その『ゼロ』を利用しようと考える者が出て来る。
それは…ルルーシュが命を賭してまで『ゼロ・レクイエム』を施した意味をなくす事になってしまうと云う事だ。
だからこそ…ルルーシュは『ゼロ・レクイエム』後、シュナイゼルはどんな形であれ、世界を動かして行く立場に立つと考え、そして、その為に『ギアス』を施した。
シュナイゼルの意思はそこにはない事は…充分に承知していただろうし、今だって、どこかで違和感を抱きつつも、人ならざる力によって彼を動かしている。
それほどまでに認めた…シュナイゼルの才覚…。
ナナリーではそこまでできないと云う事を考えていた事なのだろう。
確かに、ナナリーがまだ、日本が『エリア11』だった頃、そこの総督であった時の彼女の手腕をきちんと見ていても、ルルーシュがどんな形であれ、シュナイゼルを政治に関わらせる事を考えざるを得なかったのだろう。
『ゼロ』の仮面を継承したスザクも…ここまで時間が経って、やっと、ルルーシュの先の先を読んだ策に感嘆のため息が出て来る。
あの後…世界は『民主主義』を標榜する中で『民主主義』『自由』の意味を既に忘れてしまっていた人々の間に様々な相違が生まれて来る。
『民主主義』も『自由』も『自分の望みのままに動かす事』ではない。
そして、それぞれの価値観、譲れない何かがある限り、『話し合い』で事が決まる世界にする為には多くのハードルがあることを失念していた世界は…そろそろ『ルルーシュ皇帝』に全ての悪を押し付ける事に限界が来ている事が…ひしひしと感じさせられてきていた。

 様々な覚悟が足りない世界…。
結局は『ルルーシュ皇帝』を倒す戦いの際に、その国の代表となった人物があの、『ゼロ・レクイエム』の舞台となったあのパレードにおいて、『死刑宣告』を受け、人々の目に晒されていた人物が代表となっている国の発言権が強くなっていた。
どれだけ平等に、公平に、と訴えたところで、二者択一を迫られた時には誰かが決めなくてはならない。
そこで『黒の騎士団』のリーダーとして存在していた頃の『ゼロ』であれば、世界の代表者たちを一言で黙らせる事が出来るだけのカリスマと実績があった訳だが…。
しかし、『ルルーシュ皇帝』を倒した『ゼロ』はその後、一切、言葉を発しない。
そして、国籍も持たず、敢えて持っている権限と云えば、騒乱が起きた地域での制圧隊の指揮権くらいのものだ。
つまり、世界の政治に対しての決定権はおろか、投票権、発言権さえ持たない状態となっている。
となると、それまで『黒の騎士団』の中で勝者となっていた者たちは権限と義務と責任を負う事となる訳だが…。
元々、『エリア11』…すなわち、現日本国の代表者となった者たちは一テロリスト集団を率いていた者達に過ぎない存在だ。
テロリストとしても『ゼロ』の助けなしに何も出来なかった彼ら…。
その時以上に力量を求められる国政を担う…否、世界への発言力の強くなった立場になった時…そのバランス感覚は足りていない…と云われても仕方ない状態だった。
それは、顕著に表れた。
首相の息子であったスザクの目から見ても…現在の日本の有り様には言葉がない。
『ゼロ・レクイエム』に置いての中心となった国の代表の中では日本の代表が最も力量に不安を覚えるところである。
中華連邦は確かに、天子である蒋麗華は幼かったし、それまでが大宦官たちの手によってほぼ、軟禁状態であり、経験も知識も不足していたが、彼女を支え続けた星刻たちが全力で支えて行くうちに彼女はそれを吸収していった。
ブリタニアはナナリーが代表となったが、常にルルーシュの『ギアス』の影響下にあったシュナイゼルが『ゼロ』の命令により、全力でナナリーを支え、ナナリー自身、あの『エリア11』の総督であった頃の経験を無駄にはしていなかった。
日本は…せめて暫定期間の間だけでも皇神楽耶がその権力を預かっていればあるいは…と云う事もあったかもしれないが、日本の経済はブリタニアから解放されてからの方が大変であった。
それ故に、神楽耶が経済面でも執政面でも…と云うには彼女の周囲には人材が少なすぎた。
それに、彼女自身、『ゼロ』を支える立場であったからこそ、その力を発揮する事が出来た。
扇たちでは彼女が陰から支えると云う形での執政はとても出来なかった。
あれから相応の時間が経っている今となっては…扇たちへの評価は日本国内がい通して『所詮は『ゼロ』がいなければ何も出来なかったテロリストのなりそこない』と云う評価が一般的となっていた。
扇たちがその辺りをどう、見ているか…そして、どのように考え、扱っているかを日本国民達はずっと見ていた。
蓬莱島に逃れた100万人の日本人と、日本列島に残ったその100倍近くいる日本人との間の確執も当然、生まれている。
そこまで考えて扇たちは『ゼロ』を…『ルルーシュ=ヴィ=ブリタニア』を否定したのか…そう考えた時、力なく首を横に振ってしまいたくなるのは至極当然の話しである。
世界が『民主主義』を望んだ結果、ついて来たのは『言論の自由』…。
あの『ゼロ・レクイエム』の話題はあの時から20年経ってもジャーナリストにとっては興味深い話題であり…次々に『超合衆国』『黒の騎士団』の裏側が暴露されて行っているのだ…。
中には…
―――僕の知らなかった…事実まで…

 執政者にとって不都合な暴露は…独裁統治であれば隠し通す事も出来た。
否、現在ではインターネットなどで簡単に暴露されて隠し通す事は難しくなってきてはいるが…。
しかし、インターネットだと発信者が特定出来るが故に、暴露した人間を厳罰に処する事は出来る。
確かに、国家機密を『言論の自由』を盾に取って世界中にばらまく事は『言論の自由』の反中ではなく『売国行為』となるが、執政者個人の暴露話しは国家機密でも何でもない。
逆に云えば、執政者の過去の話しを国家機密にしている国は既に『民主主義国家』ではない。
その現実を踏まえた上で…『黒の騎士団』における1度目の『ゼロ』の死亡発表…そして、『ゼロ・レクイエム』の時に現れた『ゼロ』の存在…。
それらの裏話しがちらほらと暴露され始めて…スザクは驚きを隠せなかった。
ルルーシュはあの時、斑鳩から脱出した時の話しを一切しなかった。
その時、ルルーシュの見張り役として存在したロロの話しも出ては来なかったが…何となくあの時、彼はルルーシュを守って死んだのだろう…そんな事を思った。
勿論、何か根拠となる何かがある訳ではなく、否、ルルーシュの記憶が戻ったであろう時期からロロが変化していった事はスザクにも解った。
そして、あの時、上官であったスザクに対してあからさまな反抗の色を見せ始めていた事も…。
それを考えた時…ルルーシュにしてみれば、コマの一つとして利用するつもりであったのだろうが…。
最終的には命を懸ける程、ロロはルルーシュに傾倒したのだと思われる。
その結果…ルルーシュは絶体絶命の危機から命を救い出されたのだろう…。
流石にその辺りの話しは出回ってはいないが、『黒の騎士団』の日本人幹部があの時、シュナイゼルと秘密裏に会談を行っていた事、そして、その後、『ゼロ』に銃口を向けたらしい…と云う話しが出回り始めたのは10年ほど前の話しだ。
それから…その話しは徐々に話しが大きくなりつつ、インターネット上ではかなりデフォルトされている部分もあるが、広まって行った…。
テレビやラジオ、新聞に情報統制は出来てもインターネットまではどんな独裁国家であっても情報の隠匿はし切れるものではなかった。
確かに中にはデフォルトが大き過ぎる情報もあるが、中にはほぼ真実に近い話しも出て来ている。
スザクはその情報の真偽を確かめる為にわざわざ内密にシュナイゼルと会ったくらいだ。
勿論、『ゼロ』として…だが…。
『ギアス』の力のお陰でシュナイゼルはその辺りの話しを全て事細かに話してくれた。
そして…スザクは愕然とした。
そんな事実があって、もし、決定的な証拠でも出てきたら日本国内はおろか、世界中が大混乱に陥るだろう。
元々の『ゼロ』の正体がブリタニアの皇子である『ルルーシュ=ヴィ=ブリタニア』であり、その当時、17歳から18歳にかけての学生であった事…。
そこまでの奇跡を作り上げた『ゼロ』をいとも簡単に切り捨てた事。
現在、日本の政治を動かしている扇要が当時、敵将であったヴィレッタ=ヌゥの進言によって『ゼロ』を裏切り、『ゼロ』をシュナイゼルに売る見返りに日本を返して貰うと云う条件を出した事…。
様々な混乱の卵を抱えている話しだった。
それが…今、ちらほらと出回り始め…時々確認するインターネット上の情報の中には本当に真実に近い情報を掲載しているウェブサイトまで現れている。
恐らく、この情報は…『黒の騎士団』で陰から様々な情報操作をしていたディートハルト=リートが何らかの形で残していたに違いない…。

 世界の首脳がなんとか話しを(表向きに)まとめたのは今から大体10年前…。
そして、『黒の騎士団』内部の暴露話しが出回り始めたのも大体10年前…。
その情報の真相を知る者は限られている。
シュナイゼルは元々、『黒の騎士団』と敵対勢力として存在していたのだから、云い訳のしようも、その場を切り抜けるだけの才覚もあったが…。
日本国政府代表団はその場で『ゼロ』に対して銃口を向けた立場だ。
スザクはその時の世界会議の場にいたが…。
仮面の下で驚愕を覚えるとともに、これから、自分が守らなくてはならないものの大きさに驚愕していた。
そして、あの時何故、スザクは『黒の騎士団』の内部を知ることが出来なかったのだろう…と…後悔の念も生まれていた。
知ろうと思えば知ることが出来た。
C.C.はあの時…ルルーシュの傍にいたのだから…。
少なくとも、スザクは自分の祖国を…『ゼロ』に銃口を向けた者達に委ねなくてはならなかった。
確かに『枢木スザク』は死んだ存在となってはいるものの、『スザク』個人はこうして生きている。
『枢木スザク』としての意思は…こうして生きている…。
何故…こんな事に…?
どうすれば…いい…?
そんな渦巻く思いの中で今、目の前に広がる夜の風景を見ている。
少し離れたところには…二つの陣営があると示す、灯かりが見えている。
片方はこの国の反乱分子を制圧する為の正規軍…。
もう片方は国に不満を持つレジスタンス達…。
睨み合いが続いている。
本来、こんな形で陣営を開くなど…正規軍とレジスタンスの間で行われる事は殆どない。
こうなると最早内戦である。
複雑な気持ちになる。
ルルーシュが望んだのは、こんな形で武力のぶつかり合いではなく、話し合いで物事を決める世界…。
かつて、スザクの主であったユーフェミアも、日本人の血を流さずに平和的に話しを進めたいと望んだ『行政特区日本』…。
―――あの時…ユフィが望んだ『行政特区日本』が成功していても…結局、同族同士の確執が生まれた事になるんだろうな…。日本列島に残った日本人と蓬莱島に逃れた日本人同士の確執が生まれたように…。
そんな事を思いながら…踵を返し、今夜の寝床に向かおうと歩を進めようとした時…。
「今になって気付く事が多い…と云う感じだな…。お前が首相の息子だったが、あの時、日本がブリタニアに敗れ、お前が政治家にならずに済んだ事を少しは感謝すべきか…?お前にとっては…」
この声は…。
そして、『ゼロ』の仮面を被っている彼に対してこのような話題を振って話しかけて来るのはたった一人しかいない…。
周囲に誰がいるか解ったものではないから『ゼロ』は黙ったまま歩を進める。
「安心しろ…。いつも云っているだろう?私だってそのくらいの事は弁えている…」
「……」
「ただ、ここで長話しをするのは無理だな…。今夜、お前の寝床を半分借りるぞ…」
初めて会って以来、その姿を変えない、その女は、外見は若いが現在のスザクの10倍以上は生きている。
仮面の下で小さくため息を吐いた後…すっと歩き出す。
そして、その女も彼の後について行く。
この世界で彼にこうした態度を許されるのは彼女しかいない。
そして、彼にとってそれは、複雑な思いを抱きつつも…束の間、『ゼロ』の仮面を完全に脱ぐ事のできる空間でもあった。
彼女がどこまで、その部分を承知しているかは…解らないが…。

 やがて、その場所に辿り着く。
パタンと…今どき珍しい手動の扉を開き、そして閉める。
その後、そこから続く暗い階段を下りて、この建物の外観からは想像持つつかない様なハイテクのロックシステムを施された扉の前に立つ。
そこで、『ゼロ』は仮面の右目部分を開き、その後、手袋を外して指紋を当てる。
その後、入室者の人数をパネルで打ち込み扉を開いた。
ついて来た女は彼がその扉を開けたのを見届け、先に入り込み、そして、彼が後に続く。
中のモニターで再度、入り口で施したチェックを繰り返した。
ルルーシュが考えた『ゼロ』の秘密を守るためのシステムだ。
『ゼロ・レクイエム』の準備段階の時からロイド=アスプルンドとセシル=クルーミーの二人に命じて開発させていた。
その後のメンテナンスもスザクのいない間に彼らが続けている。
ここまで長く混乱状態が続き、『ゼロ』が最前線に立つと云う計算で作っていなかったものだから、その後、ロイドとセシルはこのロックシステムのメンテナンスと新システム開発に忙殺されている。
『ゼロ』の仮面をゆっくり脱ぐと…彼女がやっと少しだけ安心したような表情を見せた。
「久しぶりだな…。近頃はお前の居場所が見つけにくくてな…」
「仕方ないだろ…。ルルーシュの計算がここまで狂うとは思わなかったんだから…」
「元々アイツの計算など、アテにはならんと思っていたがな…。私のこれまでの経験上…」
皮肉なのか、心からの同情なのか…よく解らない表情でそう、云い放つ。
確かに…彼女がこれまで見てきた世界の中で…こうした繰り返しがあったのだろう…とスザクは思う。
「辛ければこんな世界、放り出してしまえばいい…。私の知る限り、これまでの世界は争いの後、束の間の平和が訪れ、すぐに争いが始まる…。その繰り返しだ。そして、お前の様な存在が大きいか小さいかの違いはあったものの、必ずいたよ…。世界で認められるような英雄はいなかったがな…」
「僕も…時間の許す限り、歴史は勉強してきた。そして、争いの繰り返しもその度に英雄が作り出されていた事も知った。でも、ルルーシュは…」
「あのボウヤはどうも、自分以外を性善説で考え過ぎだ…。『話し合い』で決められる世界が本当に出来るのなら既にそうなっている…。しかし、それが出来ないのは人間が人間たる所以だと私は思っている…」
彼女の…真をついている。
そう思えるのは…この20年間…違和感を覚えつつも、それぞれがそれぞれに譲れない何かを抱えている事を知った。
現在、この国で反旗を翻しているレジスタンス達だって絶対に譲れない部分を政府に押さえ付けられている事に耐えかねての蜂起だろう…。
「確かに…ね…。彼らだって…自分の譲れない部分があったから…ブリタニアに対して蜂起した筈…なのに…。今は、あの時、『イレヴン』を動物扱いしていたブリタニアのやっていた事と同じだ…」
「動物?奴隷ではなく?」
「奴隷はまだ人間だろ?あの時のブリタニアは植民エリアの人間を家畜扱いしていた…。家畜は…人間として扱われないだろう?」
「随分過激な事を云う様になったな…」
「こんな…血みどろの自分の国を見ていると…ね…。正直、しんどいよ…」
「確かに…気持ちは解らんでもないな…。ナナリーもかなり手を焼いている様だし…」
その言葉に二人は黙り込んでしまう。
下を向いてしまったスザクを見て…彼女は切なげに目を細めた。
「まぁいい…。とりあえず、お前を探していて疲れたから…寝床を借りる…」
そう云って彼女は立ち上がり、その部屋の奥にある扉を開いた。
「C.C.…暫く…。否、いい…」
スザクは彼女にそう云いかけて、その言葉の先を飲み込んだ。
そんなスザクを見てC.C.は一言置いて、扉を閉めた。
「お前を探すのに疲れたからな…。2、3日、寝床を借りるぞ…」
その一言に…スザクは下を向いたまま…その肩を震わせた…。

To Be Continued
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posted by 和泉綾 at 19:12| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

2011年02月22日

It's Destiny 41

とりあえず…



 退院したかと思ったら突然ユーフェミアが現れて、戸惑っているところでスザクに殆ど犯罪みたいな形で拉致されて…。
正直、頭の中はかなりスクランブル状態だ。
スザクが乗っていたバイクで連れて来られたのは…。
本当に単身者用と云うのが解るアパートだった。
「ここ…今僕が住んでいるところ…。ルルーシュのところみたいに豪華じゃないけど…とりあえず、寝泊まりは出来るよ…。ベッド一つしかないけどね…」
ルルーシュの意思など完全に無視して連れて来られた場所はスザクの住んでいるアパートだった。
ここまでの距離を考えた時…
―――確かに…通勤が大変そうだな…。
と、素直に思ってしまった。
「お前…今の両親は?」
「ああ、僕が大学に入る直前に事故で亡くなってる…。だから、天涯孤独の身って奴かな…」
結構、自然に答えるスザクを見ながらルルーシュは少し下を向いてしまう。
「ごめん…」
「ああ、別にルルーシュが謝る事じゃないでしょ…。僕、あの頃は10歳で両親死んじゃっていたんだしさ…。僕…確かに忘れる事は出来ないけれど…でも、あの時みたいにそう云った過去の罪に縛られるのは…やめたんだ…」
そう云いながらアパートの階段をすたすたと昇り始めた。
ルルーシュもその後について行く。
「狭いけど…」
そう云いながらスザクが玄関の鍵を開けてルルーシュを中へと促す。
この時代に生まれ変わって初めてスザクと話した時、結構な時間にルルーシュの住んでいるマンション近くのコンビニであった時の事を思い出すと…。
―――確かに…生活感がまるでないな…。と云うか、会長…どれだけスザクをこき使っているんだ…
そんな事を思う。
と云うのもどう考えても平日は寝に帰っているだけ、洗濯ものは休みの日にまとめて…と云うのが良く解る住まいだからだ。
「一体どんな生活をしているんだ…。と云うか、バイクで走っていた時間を考えると結構会社から遠いんじゃ…」
「まぁ…。だって、僕、大学卒業して『A物産』に入社したけどさ、基本的に親からの補助とかってなかったし…。ホントは社員寮のある会社に就職したかったんだけど…どう云う訳か、そう云う社員寮のあるところは全部だめでさ…。で、一番給料のいい『A物産』に就職したんだよ…」
まぁ、確かにそう云われると何となく理解出来てしまう。
大学を卒業して就職したところで就職当時は学生が社会人になったと云うだけで基本的には金などない。
大学の時にバイトして貯金していたと云ってもたかが知れているし、大学の時既に両親が他界しているとなれば苦学生をしていた筈だ。
それだけの貯金を作るだけの余裕などあるとは思えない。
で、家賃や敷金、礼金など融通の利く会社から離れている郊外にアパートを借りたと云う事なのだろう。
「相変わらず苦労しているんだな…色んな意味で…」
「まぁ、それでも今はちゃんとやっているし…。それに、これが普通だから別に苦じゃないよ…。僕、この時代では普通のサラリーマン家庭に生まれたしね…」

 スザクがそう云いながら殺風景な部屋に座布団を置いた。
「ごめんね…。ルルーシュのところみたいにソファとかなくって…。今のところ、ここから引っ越すとかも考える余裕すらなくって…」
少し困った様に笑って部屋の中を見回しているルルーシュを促した。
「別にそんな事は気にする事はない…。と云うか…どうするつもりだ?俺をこんなところに連れて来て…」
「あ、その先の事を考えていなくって…。ロイドさんとちょっと話をしていて…そのまま来ちゃったし…。だから、実は、ジノには連絡とってバイクを貸して貰ったけど…会社に戻ってなくって、サボりなんだよね…」
あはは…と笑いながらそんな事を云うスザクにルルーシュがため息を吐いた。
年上として現れても変わらない…と思った。
「どうせ会長の事だから…ジノがスザクからの連絡を受けた時に察したんじゃないのか?それか、ロイドが連絡しているかもしれないし…」
ルルーシュがそんな風に云ってはいるが…。
それでも根が変なところで真面目なスザクがそのまま放置しておく事が出来るとも思わない。
それ以前に、そんな就労時間中にロイドと話しをしてそのままルルーシュのところまで来てしまったと云う事が信じられない。
あの頃だって基本的にはルールに縛られている様なキャラだった。
スザクがルールを破る時にはやむにやまれない理由があった時だけだ。
だから、ルルーシュがそんな中スザクがあの場に現れた事に驚きを隠せない。
「それでも…連絡を入れておかないと…。ちょっとごめん…電話する…」
そう云ってスザクは自分の服のポケットから携帯電話を出した。
「あ、スザク…ここにあるの、洗濯物だろう?俺…洗濯しておくから…」
そう云ってルルーシュも立ち上がってかごに放り込んである洗濯物を指差した。
「あ、別に…」
「いいよ…このくらい…。それに仕事の話しになったら、俺、邪魔だろうしな…」
そう云って、さっさとユニットバスに通じる脱衣所代わりにしている狭い通路に置かれている洗濯機を操作し始めた。
本当に休みの日にまとめて洗濯しているらしく、量が多い…。
―――一度じゃ…終わらないな…
そんな事を考えながら洗濯機を回し始めた。
半分くらい残ってしまった洗濯物を洗濯機の隣に置いた。
そして、ルルーシュが暮らしているマンションよりも遥かに狭いこのアパートの中に…何か懐かしさみたいなものを感じる。
あの時のルルーシュは…日本に送られた時にはこんな近代的な建物に住んだ訳ではなく…。
本来なら住居としては認められない土蔵を改造した小さな建物の中に放り込まれたのだ。
あの時…スザクは自分の遊び場を奪ったと云う事でルルーシュに殴りかかってきた。
それを思い出した時…何となくくすりと笑ってしまった。
きっと…あの土蔵よりも面積的には狭いとも云えるようなこの空間が…
それでも、狭いながらも自分の力で生きている者が暮らしていると解るこの空間が…
―――今のスザクの暮らしている…場所…。

考えてみればこんな風に一般的な、平均的な住居に足を踏み入れること自体、あの頃から考えても殆どなかったと云える。
あの頃は生まれてから9年間はブリタニアの皇子として王宮で暮らしていたし、日本に送られた時にはどう考えても人の暮らす場所と云えるような場所ではなかったし、戦争の後はアッシュフォード家に匿われる生活で…。
その後は『黒の騎士団』の『ゼロ』としての生活と最後の数ヶ月はブリタニアの皇帝として…ブリタニアの王宮に帰った訳だが…。
生まれ変わったら生まれ変わったで、若手ながらも日本を動かす程の力を持つ父と世界的に名を馳せる企業グループのトップの母の間に生まれ、一般市民とかけ離れた生活を送っている。
広い部屋に全てを揃えられた環境…。
しかしそこには人との接点が殆どない生活…。
自分でもこうして『人間社会』を生きて行く中で色んなものが欠如していると自覚してしまう現状…。
そう思った時…思い切りため息を吐いてしまう。
ため息を吐いたところで何が変わる訳でもないのに、人とはどうしてこう云う時にため息が出てしまうのだろうと思ってしまう。
「また…何か難しい事考えている?ホント、君って昔から変に難しい事を考えて自分でドツボに嵌るのが得意だよね…」
ため息を吐いたルルーシュの背後から声をかけられる。
ここには他に一人しかいないのにビクリとなって背後を見る。
すると、呆れた顔をしたスザクがルルーシュを見ていた。
「また、色々難しい立ち位置にいるよね…。もし、あの時、僕と君が再会しなければきっと、あのままのこの世界での生活を続けていたんだとは思うんだけどさ…」
スザクが何を云おうとしているのか解らない…と云う感じでルルーシュがスザクを見る。
そんなルルーシュを見てスザクが軽く息を吐いた。
「とりあえず、こっちにおいでよ…。って云うか、別にそんな事…しなくていいのに…。少し、話そうよ…」
この世界ではスザクはルルーシュよりも10歳年上で、前世でだってあの時のルルーシュの生きた時間の数倍、スザクは生きている。
その所為だろうか…。
なんだかルルーシュが本当に自分は子供に思えてくる。
と云うよりも、スザクが自分よりはるかに大人に見える。
そんな事を考えているとまたもスザクがそんなルルーシュを見透かしたように笑った。
「僕はさ…あの時も君よりも人生経験をたくさん積んでいるし、この時代でも君より10年長く生きているんだから…。君よりも大人になっていたって別におかしくないんだよ?それに、君が気にしている事も何となく解るからさ…。その事も含めて、ちゃんと話したいんだ…僕は…」
スザクの言葉に…ルルーシュは苦笑する。
「お前…変わったな…」
つい出てきたその言葉…。
「そりゃ…長く生きていれば変わるよ…。君の知っている僕だけじゃない僕がたくさん詰まっているんだからさ…。あの時の話しも含めて、ちゃんと話したいんだ…。それと…僕の気持ちもさ…」
「スザクの…気持ち…?」
「そう…僕の気持ちを話したいし、君の気持ちも聞きたいんだ…」

 そう云ってスザクはルルーシュの手を引いて先ほどの部屋に戻った。
そして、座布団の上に座らせる。
「ごめん…ちょっとお湯沸かすから…。とは云ってもインスタントコーヒーしかないんだけど…」
「別にそんなものは…」
「いいから…。ちゃんと落ち着いて話そうよ…。ユフィの事も僕自身の事もちゃんと話しておきたいんだ…。あの時…世界から君が消えた後の事も含めてね…」
そう云いながら仕切られていないキッチンにやかんを乗せて火を点けた。
そしてすぐに戻ってきた。
「ルルーシュ…なんで僕達にあの前世の記憶が戻ったのかは知らない。僕はただのサラリーマンだし、君は確かにすごい家の息子だけれど、それでも一般市民だ…。勿論『コード』だの『ギアス』だのそんな訳の解らないものもない…」
「その二つの能力は…ある意味俺達の運命を変えている様にも見えるけれどな…。でも、俺は『ギアス』がなくともあの時点では無理だったかもしれないが、ブリタニアに刃を向ける気でいたんだ…」
会話の内容が…あの頃の二人の会話になって行く…。
多分、そこから話しを始めないと…二人ともスタートラインにすら立てない様な気がしていた。
「まぁ、そうだっただろうね…。って、今だからそう思えるんだけどね…。あの後…君がいなくなったところで…結局、争いそのものはなくならなかった…。そりゃ、一時的に戦争とかテロ活動とかは消えたけれどね…」
それは…今のルルーシュも教科書で学んでいる。
ただ、教科書に書かれている事、歴史資料に書かれている事は完璧ではない。
その場に立っていた者達でなければ解らない事がたくさんある。
「ルルーシュはあの時、KMFとサクラダイトをなくせば…と思ったんだろうけれどね…。それでもあの後、世界はめちゃくちゃになったんだ…。その時に思ったんだよね…。民主主義は完璧じゃないし、独裁ってのは別に独裁が悪いんじゃなくて独裁者として立つ者の問題だって…」
スザクが話し続けている…。
何を云いたいのか…今のところ解らない。
「あの後ね…日本は独裁国家になったんだよ…。あれほど独裁を否定していた扇が…そうした…。神楽耶でさえ、彼を止める事が出来ず…。そう云う意味ではあの時一番悲惨だったんじゃないかな…。『超合衆国』の中心に立っていた国の中ではさ…」
今の日本は…こんな形で民主主義、資本主義国家として豊かな国になっている。
あれから確かに数百年が経っているけれど…。
でも、スザクの表情を見ていると…それが真実であると解る。
そして…ルルーシュに何を伝えたいと思っているのか…ルルーシュが模索する。
「だから…ルルーシュがこの時代でまでそんな罪悪感を抱く必要はないんだよ…。罪を忘れてはいけないと思う…。でも、罪に縛られていたら誰も救われない…。そして、あの頃、ルルーシュに関わってきた人間もルルーシュの罪に甘えちゃいけないんだ…」
今のところ…スザクの云わんとしている事がルルーシュには解らない。
でも…なんだか、とても大切な事を伝えようとしている事は…・解る…。

 同じ頃…病院を含めてルルーシュの関係者達が大騒ぎとなっていた。
まぁ、当然と云えば当然だ。
世界的に影響力を持つランペルージ家の長男が病院まで拉致されたとなれば…。
ユーフェミアが泣きながらギネヴィアに連絡した。
流石にブリタニアにいるギネヴィアでは日本での事に直接かかわる事も出来ず…。
シュナイゼルの秘書であるカノンに連絡した。
カノンはその報告を聞いた時にピンと来た。
誰がルルーシュを連れ去ったのかを…。
シュナイゼルにその事を報告するが…ここで大騒ぎすると逆にルルーシュは警戒して要らぬ事をする事が簡単に予想出来る。
記憶が戻っているのがミレイとロイドだと考えた時…。
彼らは恐らく、ルルーシュとスザクに協力すると考えられる。
そうした時…カノンがすべき事とどうしたらそれをやり遂げられるかを考えた時には…やはり、主に報告し、主の力を使う事…。
カノン自身、様々な可能性が頭に過って行くが…。
そして、シュナイゼルに報告し、シュナイゼルが思うままに力を使って行けば…。
―――今の彼らなら…更に絆は深まるわね…
それが解っていて、それでもシュナイゼルに報告した時、シュナイゼルが自分の持つ力を使えばルルーシュがある時から離れて行く事は…解っている。
それでも、その力を使う事を止めようとしないのは…。
カノン自身に様々な思いがあるからだろう。
もし、この記憶がなければ…と考える事もあるが、結局愚問だと笑ってスルーする。
「カノン…」
連絡を受けてシュナイゼルが議員会館の自室に入ってきた。
今は他の秘書たちは出払っていてカノンだけだ。
「シュナイゼル様…」
「ルルーシュは…?本当に…」
シュナイゼルがこんな風に表情を崩すのはあの頃には見た事がない。
鎖も足かせも今のこの時代にはない。
だからこそ、あんな完璧な仮面を被り続ける必要がなくなったと云う事なのだ。
「はい…。どうやらアスプルンド医師がルルーシュ様の退院を許可したようです。そして、病院前でルルーシュ様が何者かに連れ去られたと…。その時、来日されていたユーフェミア様がたまたまルルーシュ様に会おうとして病院の前でルルーシュ様とお話しされていたそうですが…」
受けた報告を正確にシュナイゼルに伝える。
ここでルルーシュを攫ったのが誰であるのか、カノンは解っているが、それは伝えない。
伝えてしまった場合…逆にルルーシュに策を考える余地を与える事になるからだ。
「その、攫った人間とは…」
「バイクに乗っていてフルフェイスのヘルメットを被っていたそうです。一応、ユーフェミア様が現在日本にいるコーネリア女史に色々事情を話している様ですが、警察にはまだ…」
「警察…そうだね…。こんな時警察はあてにならない…。ランペルージの力を使え…。カノン…」
「私が指揮しましょう…。秘密裏にルルーシュ様を救い出した方がよろしいかと…。色々政界や財界でも動いていますから…微妙な時期ですし…。だから、ギネヴィア様もユーフェミア様を日本へ送ったのでしょう?」
「そうだね…任せたよ…カノン…」
「承知致しました…」
カノンは丁寧に頭を下げてそう返事する。
心の中で…『イエス、ユア・ハイネス…』と呟きながら…

To Be Continued

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2011年02月01日

It's Destiny40

唐突な出来事



 ルルーシュが病室で着替え、そして、ロイドからの退院許可証を手にする。
何か持っていく…としても、携帯電話くらいか…。
それと…
―――マンションに行かないと…あれを持って来られない…。
そう思い、正直、まともにマンション内に入れるのかどうか、不安でもあったけれど…。
それでも、決して手放したくないもの…だから…。
頭の中で色々考える。
あの頃だって、様々な策略を巡らせていたのだから…。
こんな民間のマンションに忍び込む事など何ともない…。
考えている事がおかしいと、少々笑ってしまうが…。
あのマンションは自分の住まいだ。
確かに自分自身で金を稼いで、借りているものではないにしても…。
それでも、今の自分の帰るべき家はあのマンションなのだが…。
あの頃の記憶があると、奇妙な気持ちが生まれて来るものだ。
しかし、どの道、未成年…しかも中学生と云う状態の中で…。
あの頃とは違う時代背景で…どうやって…生活基盤を確保するべきかを考えなくてはならない。
これまで、大金持ちで権力者の両親の下、なんだかんだ不満を抱きながらもその保護下で生活していたのだ。
現在のこの日本で、中学生が自分で生活すると云うのは難しい…。
と云うか、殆ど不可能に近い。
両親の保護下で生活をしているという事は、両親の監視の下、生活をしているということだ。
確かに、普段、両親ともに多忙で一緒に暮らすという事もないが…。
ただ、シュナイゼルもギネヴィアも時々、部下を通してルルーシュの様子を見に来ている事は知っている。
学校へ色々話しを聞きに来ている事も…。
彼らの部下がルルーシュの様子を聞きに来た日の翌日の担任は…顔色が悪くなっている事も多い。
それに、校長がルルーシュに話しかけて来る事さえある。
だからこそ、ルルーシュは現在の立場を思い知らされているという事でもあるのだが…。
そう云った立場にずっと、慣れられず…また、そう云った大人たちに対して嫌な感情を抱き続けてきたが…。
―――俺が…あのまま、皇子のままだったら、ああ云うのも…受け流せていたのだろうか…。まぁ、どうでもいい事だが…。
そうでなくとも大人びていたルルーシュが…。
記憶を取り戻して更に年齢を考えた時には不相応な雰囲気を醸し出すようになっていた。
そんなものはルルーシュ自身が気付く筈もないが…。
ただ、この病院で、以前からルルーシュの事を知っているスタッフ達はそんなルルーシュの変化に多少なりとも気付いていたが…。
特にその事をルルーシュに指摘する者もいなかった訳だが…。
ただ、ルルーシュがその自覚がなかった事によって、この先…ルルーシュ自身が追い込まれていく事にもなる訳だが…。
記憶を取り戻している人間がルルーシュとスザク以外にいて…しかも、それぞれが複雑な立場にいる事を…。
この時にルルーシュの頭の中になかった事が…大きな要因となった訳だが…。

 ルルーシュは一通り身支度を終えて、病室を出た。
ロイドの退院許可証があるから別に問題はないが…。
ただ、荷物そのものはそのままだ。
変に持ちだすのは一人では無理だと判断したから…。
それに、そう云った時には確実にシュナイゼルかギネヴィアが動くから…と云う事で、病院側も特に気にしない。
「あ…ランペルージさん…」
廊下を歩いていれば、確実に人と会う事も多い訳で…。
そんな時もルルーシュは動じない。
「あ、アスプルンド医師から退院許可証を頂きましたので…。俺、受験生だし…そろそろ帰らないと…」
そう云いながらにこりと笑ってみせる。
相変わらず、こうした時に対応が出来たというのは正直苦笑ものであるが。
それでも、あの頃に培ったスキルの一つだ。
ロイドからの退院許可証を見て、看護師がふっと笑った。
「そう、良かったわね…。いつも急だからびっくりしちゃうわ…」
「父さんが心配し過ぎなんですよ…。ただの風邪なのにこんな風に入院させるなんて…」
「でも…栄養状態とかあんまりよくなかったし、おうちに帰ってもあんまり無理しちゃだめよ?あと、退院手続きは後でお父様かお母様がいらっしゃるのかしら?」
「ええ、いつもの通りです…」
こうしたシュナイゼルやギネヴィアによって強引に入院させられる事は何度かあった。
ただ、それまではこんな形で策略を巡らせながらの退院の仕方はした事がなかった。
これまで、シュナイゼルもギネヴィアも忙しいという事で、退院の時にはルルーシュを迎えに来た事はなかったし、大抵の場合、マオが病院に来るか、一人で帰るか…だった…。
病院側としてはきちんと誰かが迎えに来る事が望ましいのだが、そう云う事の出来ない患者も増えている中、帰宅時の事故などは病院に責任を問わないという形で一人で帰るという事を黙認しているところも多い。
「お世話になりました…。俺のせいで、本当に入院の必要な方が入院出来なくなっているのを考えると…いつも心苦しくて…」
とりあえず、悪い印象を与えないようにと愛想を振りまいておく。
こうした形である程度、味方にもならないが、敵にもならない存在は必要だったから…。
シュナイゼルとギネヴィアの持つ財力、権力を考えた時に、いざという時には確実にルルーシュよりもシュナイゼル、ギネヴィアに情報を渡す人間の方が多い。
それは、あの、ブリタニアの独裁の頃ほど酷くはなくとも、そう云った傾向は確実にある。
現在、この時代ではある程度熟した民主主義で資本主義が根付いている。
少なくとも、この日本では…。
それでも、権力と財力は人を動かす力となるのは…。
これまでこの世界で、そして、前世で学んできた事だ。
だとするなら、何も持たない自分がどう生きて行かなければならないか…。
自分の意思に反する事からどうやって抗うか…。
それを考えるのは至極当然であり…頭を悩まさなければならない事だ。
相手は、記憶は戻っていないとは云ってもシュナイゼルだし、シュナイゼルの側近であるカノンが記憶を取り戻しているのだから…。
正直、自分も含めて何故、こうした形であの頃の記憶を持つ者が存在しているのか…と思えてくるが…。
何故…記憶があるのか…。
記憶がないままでも…あの時、自分のやったことで涙を流した者達にとって、不幸とならない形で幸せになることだってできたと思うのに…。

 そう思いながら…病院の玄関を出て行く…。
すると…そこにちょうど到着した車が…一台…。
そして、ルルーシュの姿を見つけたからなのか…その車がルルーシュの目の前で停まった。
―――見付かったのか…?しかし…父さんはこんな時間にこんなところに来られる状態じゃない…。母さんだって…。
頭の中で様々な可能性を巡らせるが…。
その答えはその後部座席のドアが開いて解る事となる。
「ルルーシュ!」
その明るい声がルルーシュに驚愕の表情を作らせる。
まさか…ここに来るとは…。
「ユ…ユフィ…」
声が震える。
記憶が戻ったからこその…複雑な感情…。
彼女の存在は…ルルーシュの中で大きく、重く圧し掛かっている。
それは、ルルーシュの中にある…罪悪感…。
彼女に前世の記憶がないのは解るが…。
でなければ…
―――ユフィが俺に対してこんな笑顔を作る訳がない…。
「お嬢様…このような人の往来では…」
そう云ってユーフェミアの後、車から降りて来たのがニーナだった。
こうして、記憶を取り戻してから改めてみると…。
本当にあの時、自分に深く関わった者達が周囲を取り巻いている事が良く解る。
こう云った状況も…まるで、自分に対する嫌がらせなのか…。
思わず、そんな事を頭に過って行くほど…ルルーシュにとっては、過去をほじくり返され、抉られているような気分になる。
それでも…彼女はずっと、ルルーシュの婚約者としてルルーシュに対して笑顔を向け続けてきた。
でも…あの時の事を知ったら…きっと彼女は…。
そう思えてしまう程、あの時の出来事は、ルルーシュの心に深い傷を負わせている。
それは…不可抗力だった…なんて云ったところで何も救われないし、云い訳にもならない。
人ならざる力によってユーフェミアの気持ちを強引に捻じ曲げて…あの様な結果に至らせてしまった…。
ユーフェミアの望まない事をさせて、ユーフェミアの望まない結果を招いた…。
「あ、そうね…。ね、ルルーシュ…今日退院だったの?私、知らなかったわ…」
ユーフェミアが少し、不思議そうな顔で訊ねてきた。
知らないのは当たり前だ。
両親であるシュナイゼルとギネヴィアだって知らないのだ。
事後報告と云う形で報告する事にはなっているが…。
忙しい二人に報告するのはいつも、こんな感じだ。
ただ、今回は…。
ユーフェミアを利用しているのは…ギネヴィアであるが…。
それにしても…
―――このタイミングとは…
思わず、そんな事を思ってしまう…。
せっかく…この先…あの時、互いの言葉が足りず…互いに誤解し合ったスザクと…。
解り合えるかもしれないと…そんな希望を持ち始めたのに…。
そうあろうと…努力しようと思い始めていたのに…。
それが…こんな形で…。
「どうしたの?ルルーシュ…。ね?乗って?マンションまで送るわ…。それに、私もね、お引っ越しの準備も兼ねて日本に来たのよ?」
「引っ越し?」
ルルーシュが怪訝そうに訊ねると…
「ええ、実はね…来年から日本の学校に通うの…。ルルーシュと同じ高校に通う為に、日本で受験生をするのよ…」

 嬉しそうに話すユーフェミアに…驚愕の表情を強引に隠そうとするが…。
顔が引きつっている事が解る。
流石に…財力と権力を使い、ルルーシュを自分の許に…と思う母親のやる事だ…。
前世でギネヴィアがルルーシュに対してそんな愛情を抱いていたとは思わない。
と云うよりも、接触自体それほどあった訳でもないし、寧ろ、出自の関係でさげすまれている立場だった。
「そ…そうなのか…。どこに…引っ越すんだ?」
大体、答えは解っているが…。
ここでそれを訊ねないのはあまりに不自然だ。
表情をうまく誤魔化せていない事は解っているが…。
それでも…。
「流石のルルーシュも驚いたみたいね…。でも、私の引っ越し先を聞いたらきっと、もっと驚くわ…」
その答えに…やはりと思う。
「へぇ…どこだい?」
平坦な道のりではない事くらいは解っている。
しかし、ここで、ルルーシュにとってもスザクにとっても…。
様々な思いを抱えるユーフェミアが現れた事によってルルーシュの気持ちも…ひょっとしたらユーフェミアにあったらスザクの気持ちも…。
―――動くに違いない…。
ルルーシュの中でまた…あの時の様な思いをしなければならないのかと…そんな思いに駆られる。
スザクが…ユーフェミアの騎士となった時の…あの時の様な思いを…。
無邪気で、優しくて、慈愛に満ちていて、そして…残酷な…。
あの時…ルルーシュから全てを奪い去って行った…。
あの頃…ナナリーの次に愛した異母妹…。
そして、ルルーシュが初めて女性として好きになった相手…。
「ルルーシュが暮らしている部屋のお隣よ…。おばさまがね…私の為に用意して下さったの…」
決定的な言葉に…。
ルルーシュの目の前が真っ暗になる。
「あら…ルルーシュ…顔色が…」
「お嬢様…。ルルーシュ様は今さっき、退院されたばかりなのです…。このようなところで立ち話をしていては…お疲れになって当然です…」
先ほどから嬉しそうに話しているユーフェミアを諭したのはユーフェミアの世話役であるニーナだった。
「あ、大丈夫だ…。ちょっと、色々驚いてしまっただけだ…」
「とりあえず、車に乗って下さい。マンションまでお送りしますから…」
そうニーナがルルーシュを促す。
流石に、イレギュラーに弱いルルーシュとしてはこのタイミングでユーフェミアが現れる事を想定などしていなかったし、そこまでギネヴィアが考えていたとは思わなかった。
「そうね…。ルルーシュ…荷物はそれだけ?」
ユーフェミアも、ルルーシュがこう云う時に荷物は基本的に後からシュナイゼルかギネヴィアの部下がマンションまで運ぶ事は知っている。
だから、答えの解っている質問だ。
「あ…ああ…」
「じゃあ、ルルーシュ…車に乗って?早くおうちに帰ってゆっくり休んだ方がいいわ…」
ユーフェミアがそう云い終えた時…車の後方から大きなバイクのエンジン音が聞こえてきた…。
そして、ルルーシュの身体がふわりと…浮き上がった。
本当に…あっという間の…出来事だった…。

 何が起きたのか…。
ユーフェミア達も解らないと云った感じだし、ルルーシュも状況を飲み込めない。
ただ…解るのは…警察に見つかれば普通に道路交通法違反と未成年略取だ…。
それは解る…。
しかし、病院の角を曲がった細い通りでそのルルーシュをあの場から攫ったバイクの運転手がルルーシュを下した。
「遅くなってごめん…」
フルフェイスヘルメットを脱ぎながら、そう、ルルーシュに謝って来たのは…。
「スザク…お前…相変わらず…無茶な奴だ…」
流石に先ほどまでの様々な驚愕など吹っ飛んでしまう。
あんな拉致の仕方があるか…と云う思いはあるが…。
と云うか、何故、あのタイミングでスザクが現れるのだ…と云う気持ちもある。
本当に…イレギュラーばかりだ…。
確かに、あの頃も色んな意味でイレギュラーな事ばかりするコンビだったが…。
そんな事より気になるのは…。
「スザク…さっき…」
ルルーシュがそう云いかけた時にスザクが言葉を遮った。
「ユフィ…だろ?偶然だけど、ばったり会って、僕も驚いたよ…。で、その後、カノンが現れて、色々教えて貰った。ブチ切れそうになった時にロイドさんが現れて…」
スザクがそこまで云った時…背後から多数の人間の声がしてくる。
「話しは後…。このヘルメット被って、後ろに乗って…」
「お前…バイクなんて…」
「免許くらいは持ってる。因みにこのバイクはジノから借りた…。レンタルは無期限って事で…」
こいつは…あっけらかんと何を云っているのやら…。
損な事を考えている暇もなく、スザクはルルーシュにヘルメットを被せて、自分もヘルメットを被り直して…。
その細い路地を猛スピードで走り抜けていく。
―――こいつ…昔も無茶な奴だとは思っていたが…。それは今も同じなのか…。と云うか、流石にあの時の車みたいに無免許って事はなかったな…。
免許を持っているとは云われていても…。
やはり、蘇る過去の、恐怖体験…。
思わず、スザクの身体をぎゅっと強く抱きしめてしまう。
この恐怖から解放される方法はただ一つ…。
とりあえず、逃げ切ってこのバイクから降りる事だ…。
あの頃は一応、四方、ボディがあって、とりあえず、ささやかながらの防御へ気があったが…。
バイクの場合、全身が完全に外に出てしまっている状態…。
落ちたら確実に死ぬ…。
―――いくらなんでも…こんなところでバイクから落ちて死ぬのは…御免だ…。
過去の恐怖体験の記憶がそれほど鮮明であるのか…。
少々涙目になっている事にルルーシュはまだ…気付いていない。
それほどまでに…あの時の…思い出は忘れられないものになっている…と云う事か…。
どちらにせよ…今は猛スピードで風を切っている(恐怖と認めたくはないのだが)恐怖と真正面から向き合わなくてはならなくなっている。
と云うか、今回のこのイレギュラーでとにかく…自分自身が振り回されっぱなしになっている事に…。
後になって気付く訳だが…。
その時のルルーシュの複雑な気持ちはいかばかりか…。
今のところ、誰にもその時の気持ちを知る事など出来ないのであった…。

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

2011年01月18日

It's Destiny39

そして…それから…



 ルルーシュは病室の中でロイドから渡されたメモを見つめる。
その内容は…。
ロイドに作らせた、ルルーシュの退院許可証…。
検査結果の一部を改竄させた。
これは、ロイドだから出来た事だし、恐らく、家宅捜索などが入らない限り、見つかる事はない。
それを確信してのルルーシュのロイドへの指示だった。
ロイド自身はルルーシュが入院している事でルルーシュの専任となっている訳だが、検査技師や看護師などは他の患者も受け持っている為に、ルルーシュのカルテの中身まで完璧に覚えている事はない。
―――このくらいしないと、俺はここから出られないからな…
そう、考えながらそれを封筒に入れて、備え付けのセキュリティボックスに入れた。
何があるか解ったものではないと云う思いもある。
改竄させたデータでは入院の必要性はないのだが…シュナイゼルの場合、それを理由にルルーシュを病院に縛り付けておく事を画策するに違いない。
シュナイゼルが自分の目の届くところにルルーシュを住まわせる準備が整うまでルルーシュをこの病院に閉じ込めておくつもりの様だった。
シュナイゼル自身、ルルーシュが他の誰かと笑って話していたり、ルルーシュにとってシュナイゼル以外の特別な存在が出来る事を理由はどうあれ、許さなかったのも事実だ。
だから、そう云うつもりだったと考えるのはごく自然なことだ。
記憶が戻る前から、シュナイゼルにしろ、ギネヴィアにしろ、ルルーシュにそこまで固執する理由が解らずにいたが…。
記憶を取り戻して更に解らなくなった。
前世ではシュナイゼルにとっては幼い頃はどうであったかは解らないが、エリア11、中華連邦で再会した時にはシュナイゼルにとって興味を失った存在だった筈だ。
ギネヴィアにとっては、卑しい身分の母を持つ、ルルーシュなどルルーシュが一方的に皇帝を名乗った時に初めて思い出した…と云うくらいの印象だ。
それが、生まれ変わって、こうした形で再会した途端にこれほどルルーシュに対して執着する人物になっていたとは…。
ルルーシュとしても戸惑いが大きい。
元々、皇族の中ではルルーシュは異質な存在であった自覚はあるし、基本的にルルーシュの出自や環境を考えた時に近付きたがる者は少なかったという自覚くらいはある。
―――それ故に…あれだけ非道な皇帝となれたわけだからな…。
そう思った時、ルルーシュはふっと笑ってしまうが…。
自分の中ではそんな風に前世を思い出して笑っていられるだけの暇などありはしないのだ。
スザクがああ云う形でルルーシュにメッセージを送ってきたという事は…。
その時が来れば必ず、ルルーシュに解る形で再び合図を送って来る。
そう…あの頃、襟を軽く上げることで…二人の意思を伝えあった時の様に…。
二人にしか解らない形で…。
でも、二人には確実に解る形で…。
そう考えながら…あらゆる可能性を考えていた…。

 その頃、ロイドに連れられて行ったスザクは…。
小さな喫茶店に連れて行かれた。
仕事一辺倒で接待の時に連れて行かれる店と自分の食事を確保する為のファーストフードくらいしか入った事がない。
それと…時々時間が出来るとよる事がある、リヴァルの飲み屋くらいか…。
「いらっしゃいませ…」
カウンターで背を向けて何かをしている…恐らくこの店の主人である女性…。
しかし、その後ろ姿を見て…少々、スザクが顔をひきつらせた。
それが…誰なのか解ったから…。
『スザク君…。あの頃と違うし、彼女はもう、君の敵じゃないよ?それに、彼女に記憶はないしね…』
そう、ロイドがスザクに小声で耳打ちした。
と云うのも…スザクのその顔をひきつらせた理由が解るだけに…ロイドとしても一応フォローを入れておかなければならないと判断したらしい。
それは、気遣いと云うよりも、スザクがそんな状態ではお話しにならないからだ。
その相手と云うのは…。
あの頃、スザクが1対1で最後の最後までKMFで戦った…紅月カレン…だった…。
今のスザクと同じくらいの年齢だろう…。
「あ、またサボり出来たの?ロイド先生?」
あのカレンがロイドを『先生』と呼んでいる事にも違和感があるが…。
今はあの頃とは違うのだ。
スザクは自分自身にそう言い聞かせる。
「違うって…。ちゃんとルルーシュ様の主治医をしているよぉ〜〜〜。で、ちょっとルルーシュ様のお使いの時に彼と会っちゃってさぁ…」
そう云ってロイドがスザクの話題を出した時に彼女がスザクの方を見た。
「へぇ…先生が誰か連れを連れて来るなんて珍しいわね…。今日はお兄ちゃん、いないわよ?」
「あ、そうなのぉ〜〜〜?じゃあ、ナオト君のプリンはないのかぁ…」
「一応、作り置きがあるけど…。一つ限定だからね…。ロイド先生にお兄ちゃんのプリンを食べちゃうと、全部食べきっても足りなくなっちゃうんだもん…」
そう云いながら、カレンがいつもロイドが座っているであろうその席に二つのお冷を置いた。
「で、そっちの彼の事、紹介してよ…。先生が誰かを連れてここに来るのってすごく珍しいから…」
「ああ、彼は枢木スザク君…。『A物産』の営業をしているんだって…。で、今はルルーシュ様の想い人だよぉぉぉ〜〜〜〜ん…」
凄い紹介のされ方の様な気がするが…。
ただ、彼女はルルーシュの事を知っているらしい。
「へぇ…アイツでも誰かに対して興味を持つの…。ちょっとビックリ…」
これまた、凄い発言を聞いた気がする。
「まぁ、少しは人間らしい感情が芽生え始めたのはいいことよ…。確かに複雑な事情ってのは解るけどさ…。あっと、私は紅月カレン…。この店のマスターの妹よ…。宜しくね…」
あの頃には考えられない程にこやかにスザクに話しかけている事に面食らうが…。
ただ、今は彼女にあの頃の記憶はないし、互いが敵同士なのではないのだ。
あの頃だって…あんな形の出会いでなければあんな風に接する事はなかったのだ。
「初めまして、枢木スザクです。よろしく…」
スザクは色々と複雑な気持ちを抱えつつも、それでもあの頃とは違うんだと云う事を自分に言い聞かせて自己紹介して頭を下げた。

 二人がその喫茶店のカレンがお冷を置いた席に向かい合って腰かける。
「で、オーダーは?」
「僕はいつものセットでぇ〜〜〜。スザク君はどうする?」
そんな事を訊ねられても初めて入る店だし、こんな店に入ったのだって一体何年ぶりの事なのやら…と云った感じなのだが…。
「じゃあ…えっと…ブレンドで…」
「解った…。なんか、込み入った話をするんなら私、奥にいるから…。ちょうど、新商品開発中だったから…。お客さん来たらちゃんと出て来るからね…」
そう云って、カレンがカウンターの中で手を動かし始める。
そして、ロイドの云った『いつものセット』とやらとスザクのオーダーしたブレンドコーヒーが運ばれてきた。
「ね、貴方、砂糖とミルクは?」
「あ、要らないです…」
「そ…じゃあ、これは片付けちゃっていいわね?」
そう云ってトレイの上のシュガーポットとミルクポットに目をやった。
「あ、はい。って云うか…なんでそんな事を…?」
「この先生ねぇ…すっごい甘党で…置いとくと丸ごと使われちゃう事もあるからよ…。まったく…それだけ砂糖とミルクを摂取して太らないなんてどうかしているわね…」
「そんな事ないでしょぉ?だって僕、必ず少しだけ残す様に…」
「中途半端に残されるのが困るっての!と云うか、これからはペットシュガーとポーションにしようかしら…」
カレンがブツブツ言いながらテーブルの上にオーダーされたものを置いて行く…。
二人のやり取りを聞いているとカレンの云っている事は本当らしい…。
「じゃあ、ごゆっくり…。帰る時にはちゃんと声をかけてね?食い逃げしたら、二人分を先生にツケておくからね…」
カレンの言葉に…この目の前のかつての上司で、現在はルルーシュの主治医と云うこの人物は一体、どんな生活をしているのか、無性に好奇心を抱いてしまうが、知るのが怖いという危機感を煽る脳内警報も鳴り響いている。
そして、ロイドの前に置かれたそのセットとやらを見ると…。
甘そうなプリンア・ラ・モードにこれまた甘ったるそうなミルクココアが置かれている。
―――この人…ここに更に砂糖とミルクを入れようなんて考えていたの???
ちょっと、想像して気持ち悪くなるような錯覚を起こした。
あの頃も…プリンが好きなのは知っていたが…。
それでも、ここまで甘党だったと云うのは知らなかった。
「ロイドさん…いつも…そんなものをオーダーしているんですか?」
「まぁねぇ…。ここのプリン、美味しいんだよ?ルルーシュ様もお気に入り…とはいっても今日は留守だったナオト君の作ったプリンだけどねぇ…。彼女は基本的に給仕や飲み物担当…」
そんな状態で店を開いていて大丈夫なのだろうか…と思うのだけれど。
それでも時間帯的に食事の時間でもないし、この店に今居る客はロイドとスザクだけだ。
そして、ロイドは一旦表情を変えて、そして、スザクの方を真っ直ぐ見据えていた。
あの頃も…時々見せていた…真剣な表情…。
普段ふざけている様に見えるから…時々見せる真剣な表情は…インパクトが強い。
「まぁ、そんな事より…。本題に入ろうか…」

 ロイドが甘そうなココアを一口啜りながらそう、切り出した。
そう、こうしてロイドについて来た理由はそこにあるのだ。
「本題…」
「そう…。一応ね…君の意思を聞いておきたいんだ…。あんな風にカノンに云われて…迷っている君を見てね…」
さっきの…ユーフェミアの話しをしていた時の事だ…。
確かに…ユーフェミアの姿を見て、スザクは…。
「ユーフェミア様がルルーシュ様の婚約者である事は事実だし、ユーフェミア様はそれはそれは、ルルーシュ様の事を想っていらっしゃる…。僕もね、この記憶が戻ってからも、君と再会するまではルルーシュ様は彼女と一緒になった方が幸せになれるんじゃないかって…そんな風に思った事もあったよ…。確かに、障害は大きいけれど、ルルーシュ様がその気になればそんなものを蹴散らす事が出来るだけのものは持っているし、ユーフェミア様だってあの頃ほど家柄だけのお姫さまじゃないよ?」
ロイドの説明に…スザクはぐっと言葉を飲み込んだ。
確かに、先ほど、スザクの中で複雑な思いが生まれてきたのは本当だ。
その気持ちが…どんな種類であったのかは…正直、何とも云い様がない訳なのだが…。
「ロイドさん…」
「もし、君が本気でルルーシュ様を幸せにするつもりがないのなら、僕としてはこれほどまで危険を冒してまで、君に協力する事は出来ないよ?僕だって、どこでだって確かに研究は出来るけど、今の環境を無駄に捨てるのは御免だよ?」
遠慮がない言葉…。
そして、その目は…真剣であり、真面目に云っている言葉で…本気である事が解る。
普段のロイドがこうした真剣な表情をする事が少ない為に、こうしてたまに真剣な顔をした時には本当にロイドの中で重要な問題であり、今の言葉が本気であり、そして…今のスザクに対して怒りと憤りしかなくなっている事が解る…。
「それにね…僕だってルルーシュ陛下の事…気に入っていたんだ…。僕はあの頃だって君の知らないルルーシュ陛下を知っている…。本当にお可愛らしい皇子殿下だった…。そして、賢くて、母君の身分の所為もあるだろうけれど、下々の者達にも優しくてね…。だから、エリア11に送られてしまった時…僕、本気で泣いちゃったよ…柄にもなく…。あの皇子殿下なら…きっと僕の期待通りに成長してくれるかもしれないって思っていたしねぇ…。それなのに…再会したと思ったら運命共同体になれず仕舞いだったでしょ?僕としては…せっかくあの時の記憶も一緒にこうして生まれ変わって来て、ルルーシュ様と再会する事も出来たんだ…。君にその気がないなら、僕が貰っても君に文句は言えないよねぇ〜〜〜?」
ロイドの言葉に…スザクは目を見開く…。
これまでそんな事をおくびにも見せて来なかった目の前の人物が…。
スザクに対して、こんな事を云っているのだ。
彼も…ルルーシュを欲しいと思っていると…。
そんなスザクを完全無視してロイドが更に続ける。
「まぁ、シュナイゼル様も色々邪魔してくれるだろうけれど、ルルーシュ様にそのお気持ちがないんだから…シュナイゼル様は僕の敵じゃないし…。そして、一番の敵と思っていた君がそんなんなら…」

ロイドがそこまで云った時…。
スザクが立ち上がり、バンと両手でテーブルを叩いた。
「…さない…」
下を向いた状態で…籠る様な声でスザクがそう…云い放った。
「え?」
良く聞こえなかったらしく、ロイドが何が起きたのかよく解らないと云った感じにひらがな一文字を声に出した。
「ルルーシュは…二度と手放さない…。誰にも…僕からルルーシュを奪わせない…。ルルーシュが嫌だと云ったって…ルルーシュは…僕のルルーシュだ…。その誓いがあったから…僕とルルーシュは『ゼロ・レクイエム』を…」
そこまで云った時…。
ロイドの表情が変わった。
少しだけほっとした様な…安心した様な…そんな表情…。
「なぁんだ…。ちゃんと解っているんじゃない…」
いつもの口調に戻ったロイドがそう、言葉を紡いだ。
その表情は本当に安心したという…優しい瞳をしていた。
「さっきまでのスザク君を見ていたら…ちょっぴり心配になっちゃってさぁ…。で、ちょっとカマカケてみたんだ…。安心したよ…」
その言葉に、スザクはきょとんとした表情を見せた。
「それは…?」
「ああ、でも勘違いしないでよぉ?僕としてはあの時のルルーシュ様のやり方は納得していないんだ…。今度こそ、ちゃんと幸せになるべきだと思っている。あんな自己満足な偽物の幸せなんかじゃなくて…周囲も笑顔になれる…少なくとも、ルルーシュ様を大切に思っている人たちが泣かずに済む幸せに…ね…。だから…」
ロイドはそこまで云った時に、一旦、言葉を切った。
そして、大きく息を吸ってもう一度さっきの真剣な目をしてスザクを見た。
「君がいい加減な気持ちだと…僕が判断した時には僕は全力で君からルルーシュ様を引き離す…。それをルルーシュ様が感情で嫌だと云ったとしてもね…。もう、ルルーシュ様に『裏切り』の痛みを感じて欲しくはないんだよ…僕は…」
そう云って、喫茶店の窓から外を眺めた。
あの時の…『ゼロ・レクイエム』の後の世界を思い出すと…。
確かに…あの世界はルルーシュを『裏切って』いた様に思える。
ルルーシュがどれほどの覚悟で…あの決断をしたのか…。
死んで尚、歴史の闇の部分として、誰にもその功績を正しくは認めて貰えない立場として…。
人々の心の中に存在し続けなければならなかったルルーシュだったが…。
「あの…済みませんでした…ロイドさん…」
スザクが深々と頭を下げてロイドに頭を下げた。
その姿にロイドはやれやれと云った感じにため息を吐いた。
「そんな事をしている暇があったらルルーシュ様を迎えに行って差し上げてよ…。もう、僕に君とルルーシュ様がいちゃいちゃしているところを見せないでよね…」
そう云ってふざけている様に見えているロイドの瞳の奥の奥に…。
何か深いものがあると気付いたけれど…あえて無視した。
「有難う御座居ます!ロイドさん!」
そう云って、財布から1枚紙幣を出してテーブルに置いて店を飛び出して行った。
ロイドはその紙幣を見て…クスッと笑った…。
「これなら…あと25杯はここのブレンド…飲める金額だよ…スザク君…」
そう呟いて、その紙幣は大切に自分の財布に入れて、カレンを呼び、代金を置いて店を後にするのだった…。

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2010年11月09日

It's Destuby38

蘇る過去



 ここまで、自分自身が能動的に動いてきた。
中々動けないルルーシュの分まで動いて来たと思っていたけれど…。
ここに来て…
「ユフィ…」
先ほど、肩がぶつかった少女…。
正直、ここで…とは思うが…。
あの時に…自分が守れなかった、守るべきだった筈の存在…。
ここに来て…初めて、迷いが生まれた。
彼女が今、どう云う存在として生まれ変わったのかは解らない。
でも…この現世に彼女は存在していて…。
ブリタニア人である事は解るが…それでも、日本の事を全く知らずに降り立った…と云う感じには見えなかった。
そして、彼女の後ろに立っていたのは、初めてスザクを見た時に『イレヴン』だと云う事でスザクに対しておどおどしていたニーナだった。
スザクが思わず口にしてしまった彼女の愛称に対して、無礼であると食ってかかってきた。
あの頃の…『イレヴン』に対して過剰反応していた彼女とはまるで別人だと思ったが…。
それでも、あの時だって、ユーフェミアの仇…『ゼロ』を討つ為に必死になっていたのは知っている。
最終的にはその気持ちがシュナイゼルに利用されて…大量破壊兵器の開発と云う形になってしまった。
そんなものを開発した科学者ともなれば、どこの国もその開発者を色んな意味で狙う。
ルルーシュが色々調べていたが…その中には『超合衆国』加盟国もあったと云う…。
そもそも、あの頃の世界は完全にブリタニアと『超合衆国』…そして、僅かに自国だけで成り立っていた国は数えるほどしかなかった。
そこに第四の勢力としてシュナイゼルが『ダモクレス』と『フレイヤ』を世界に知らしめた。
カテゴリーで行けばシュナイゼルはブリタニアの反ルルーシュ皇帝派…と云うカテゴリーではあった。
世界はあの頃、本当に一言で説明出来ないほど複雑な状態だったのを…。
ルルーシュとシュナイゼルが解り易くした…と云ったところか…。
しかし、そうやって世界が二分していたとしても、その組織を作っている個々はそれぞれの思いがあったのだろう。
あの時ニーナを狙っていたのは、既にノウハウのあるシュナイゼルだと考えられるが、もっと簡単に考えられるのは、あの威力を見た各国の中枢にいる者達だろう。
尤も、あの頃の世界の中であれを一つ作れるだけの経済力があったのはブリタニアだけだったとも云えるが…。
あの時、シュナイゼルは『トロモ機関』のかなりの経済力、技術力を使ってあれを作ったのだ。
あのシュナイゼルでさえ、『ダモクレス』を放棄した時の段階では、『トロモ機関』単独ではあの『フレイヤ』を作る力も『ダモクレス』を作る力もなかった。
ニーナを狙った国がそれを嗅ぎつけていたとは思えないが…。
それでも、自国で確保しておけば何れ、確実にその国の強力なカードとなる事は確かだった。
だから、アッシュフォード学園の地下に隠れていたところを…ロイドに確保させたわけだが…。
そんな前世がある事も何も知らなくとも…彼女はあの時…心から慕ったユーフェミアの傍にいる…。

 ルルーシュを攫おうと思ったのは本当だ。
そして、今日だってその為にこんなところを歩いていると云うのに…。
「ダメだ…。迷いは…僕の…」
「こう云う時は記憶があると厄介よねぇ…」
スザクが何か独り言を口にしようとした時…背中から声をかけられた。
それは…
「カノン…」
「彼女がいれば貴方の決意も簡単に崩せると思ったのよね…。あながち間違いでもなかった様ね…」
ふっと笑いながら話すカノンに対して…スザクはぐっと唇をかんだ。
彼女に対して、ルルーシュに対する気持ちと同じものを抱いている訳ではない。
ただ…彼女に対してはどうしたって思うところがあるのだ。
スザクも、ルルーシュも…。
「もう少し付け加えると…あの子が今の彼の許嫁なのよね…。昔からとても仲が良かったわ…。今日だって、空港についてその足で彼に会いに行くつもりだってみたいだし…」
カノンの言葉に…。
スザクの目の前が一瞬真っ暗になる。
ここに来て…そんな現実が待ち受けているとは思いもしなかった。
「ルルーシュの…許嫁…?」
「そう…。まぁ、家同士で決めた事なんだけどね…。でも、彼女…とても嬉しそうだったでしょう?」
くすくす笑いながらカノンが喋る。
正直、このまま殴り倒して黙らせたいくらいだけれど…。
流石にここでそんな事は出来ないし、スザクにはもっと知らなければならない現実がある。
カノンがここまで喋るのは、スザクの動揺を誘う為だろう。
確かに…今のスザクが冷静かどうか…訊ねられれば…。
「ルルーシュも…承知している…と云う事ですよね…」
「勿論…。記憶が戻ってしまって、相当しんどい思いをしていたみたいだけれど…。尤も、ギネヴィア様もシュナイゼル様も…可愛い一人息子を他人である女の思う通りにさせるつもりはないようだけれど?」
カノンがまるでスザクをからかうように言葉を続ける。
でも、云っている内容は確かに本当だと思えた。
それは…彼らが本当にゆがんだ形でルルーシュを愛している事を知っているからだ。
「また…ユフィを…」
「あの時のは不可抗力でしょう?まぁ、シュナイゼル様がそれを有効利用した事は認めるけれどね…」
何故…ここまで酷い事が出来るのかと…スザクの中では思う。
あの笑顔がルルーシュに向けられているものであるのなら…彼女は本当に今のルルーシュを愛していると云う事だ…。
子供なりに…。
「どの道、あの子は利用されるだけよ…。まさか、あの子を助ける為に戦線離脱してくれるならこちらとしては願ったりかなったりなんだけどね…。ああ、でも、マンションに貴方を入れる訳にはいかないとは思うけれど…」
「そんな…。何故そこまで出来る!ユフィはあの時だってあんな形で…」
「じゃあ、神聖ブリタニア帝国第三皇女の騎士として…彼女を守りなさいな…。ルルーシュ様の事は心配する事はないわ…。シュナイゼル様がちゃんと幸せにして下さるもの…」
そんな過去の肩書に今更何を思う訳でもない…。
それなのに、目の前の男はそんな言葉をも使ってスザクに揺さぶりをかけている。

 天秤にかければ、ルルーシュの方が重い…。
そう思っている筈なのに…。
カノンの言葉に対しての反論に力が入らない。
―――ふっ…過去に拘って罪悪感を抱き続けるからよ…。過去の『罪』を忘れろとは言わないけれど…。でも、不毛な拘りを持つのをやめないといつまでも付け込まれる事になるわよ…
カノンは目の前で迷いを露わにしているスザクを見ながらそう思う。
カノンが『行政特区日本』の失敗や『ブラック・リベリオン』について調べていて何故、『ゼロ』が記憶を取り戻して前進する事が出来たのか…。
きちんと承知しているし、分析もしている。
彼の中に『罪悪感』がなかった訳ではない。
実際に、枢木神社での二人のやり取りを見る限り、ルルーシュが過去の自分の罪を忘れていたようには思えない。
ただ、表に出していなかっただけだ。
表面しか見ない人間には解らないところで、彼は自分を断罪していたのだ。
「そんな事…」
やっと絞り出す様にスザクが言葉を口にする。
しかし…その言葉に力はない。
迷いがある事が…良く解る。
ここを付け込めばスザクは完全に堕ちる…。
スザクが堕ちれば、ルルーシュが堕ちるのも時間の問題だ。
「あるでしょう?実際に貴方はユーフェミア様の姿を見てそうして迷っているわ…。それは…本当に騎士としての役目を果たせなかった事への贖罪だけなのかしら?」
恐らく、冷静さがあればここでスザク自身、我に返ったかもしれないが…。
ユーフェミアの姿を見てしまった直後だ。
そこに付け込むように現れたカノンは確かに巧みだと思う。
スザクが一人しかいないところを狙ったのも…狡猾だと思う。
しかし、そう考えられるのはスザクが冷静である時だけだ。
元々、スザクはルルーシュの様に自分自身を第三者的に見つめる自分を自分の中に存在させている訳ではない。
簡単に云うと、非常に単純で明瞭…なのだ。
いくらたくさんの経験があったとしても、自分の奥底に眠っている部分をほじくり返されてしまってはそう云った表面上の者などきれいさっぱりなくなってしまうものだ。
スザクはそんな分析をする事も出来ないまま…。
ただひたすらにカノンの言葉を聞き続けている。
本当は耳を塞ぎたくなる様な…そんな言葉に聞こえるのだけれど…。
スザクの身体が硬直して動く事が出来ない。
「あの頃の貴方は…彼女に対して恋をしていたんじゃなくて?話しを聞いているとそんな風に思っちゃうのだけど…。好きな女性が自分の目の前で殺されてしまったんですものねぇ…。それが…記憶を取り戻した時にその相手があの時に彼女を殺した張本人の許嫁で…彼の為に笑顔を作ってい…」
「カノン…その辺にしていた方がいいと思うよぉ?僕もスザク君に殴られちゃったことあるんだけどさぁ…。相当痛いんだから…」
カノンの長々と続いている言葉を遮ったのは…
「ロイド…さん…?」
この時代では…この世界では…初めて見た姿…。
しかし、見ればすぐに解るほど変わっていなかった…。
「やぁ、スザク君…久しぶりぃ〜〜〜」

 右手をひらひらと振りながらロイドがスザクに相変わらずの笑った表情を見せる。
「ロイド…何をしに来たの?」
「ちょっと野暮用でねぇ…。ホントに偶然だよ…。そしたら…カノンが大人げなくスザク君に意地悪を云っているからさぁ…」
相変わらずの口調…。
相変わらずの何を考えているか解らない風貌…。
「別に私は殴られるくらい…」
「スザク君…相当なバカ力だからねぇ…。君の綺麗な顔…変形しちゃうよぉ?」
相変わらずふざけた口調だけれど…。
カノンにこれ以上要らぬ事を云わせないようにしているのだけは解る。
スザクにも…カノンにも…。
ここで、記憶の戻っている人物が3人揃ってしまい…。
態度があいまいなロイドがここに来た事で変な話になっても困ると判断したのか…。
カノンも諦めた様である。
「まったく…余計なところで貴方に会っちゃったわね…。とりあえず、私はこのままシュナイゼル様のところに行くわ…」
「あ、シュナイゼル様のところに行くなら、ルルーシュ様、そろそろ退院しても大丈夫ですよって云っといてねぇ〜〜〜」
ロイドは背を向けたカノンにそう云って、また、手を振っている。
―――そろそろ…退院…?
スザクの中でその言葉が重くのしかかった。
正直…カノンに云われた事は色々な意味でスザクの内面を抉られた感じだったからだ。
あれを否定できるか否かを訊ねられたら…。
多分、否と答えてしまいそうだ…。
「あ〜あ…気になったから来てみて良かったよ…。陛下の御判断…やっぱり、君の事となるとホントに的確だねぇ…」
ロイドがそんな事を云いながら歩き出した。
スザクはロイドの後を吐いて行く事が出来ず、立ち竦んでいた。
「ね、スザク君…ちょっと僕とお茶しようよ…。話したい事もあるしねぇ…。今、ルルーシュ様の主治医…僕だから…」
その場を動けないスザクに対して、ロイドがそう云った。
すると、やっとスザクが頭を上げた。
「ロイド…さん…?」
スザクはロイドが考えている事が解らなくて、不思議そうな顔をする。
「大丈夫だよぉ…僕がおごるからさ…。その代わり僕の好きな店に行くからねぇ…」
本当に…人の話しを聞かずに先に進めて行く人物だ。
それでも、呆けている場合じゃない事は確かで…。
確かめたい事もたくさんあるのだ。
この際、自分の気持ちの整理は話しを聞いてから…でいいと思う。
一方的な話しだけで判断して…過去に過ちを犯しているのだ。
ロイドの話しなら…恐らく、カノンとは違った視点での話しが聞ける筈だ。
その先の事は彼らの話しを自分なりに噛み砕いて、判断するしかない。
「解りました…。僕も…聞きたい事があるんです…。ちょっと、会社に電話しますね…」
そう云ってスザクが携帯電話を取り出した。
「そっかぁ…。陛下が中学生で…君はサラリーマンか…。ちょっと不思議な感じがするねぇ…」
ロイドの言葉に…呼び出し音が聞こえている状態なのか…スザクが返事してきた。
「僕にしてみれば貴方が人間相手の医者をやっていることの方が不思議ですよ…」

 スザクからの電話を受け取ったのは…
「あ、そうなの…。解った…。とりあえず、有給扱いにしてあげるわよ…。ここのところずっと頑張って貰ってたしね…」
『すみません…』
謝罪の言葉を貰ってから電話を切った。
「ミレイ部長…スザクからですか?」
「うん…そう…。ちょっとね…今は彼にとってちょっと正念場だから…」
ジノの質問にミレイが答えた。
「そう云えば…最近、スザクの奴…俺にも色々頼んで来ていたんですよね…。俺にしてみれば超意味不明に見えるんですけど…」
「個人的な事情なんてそんなものでしょ?貴方だっていずれ、解るわ…」
「色々めんどくさそうですね…」
「本人にとってはとても必要な事なのよ…。ヴァインベルグ君が訳解らない事でも、彼にとっては意味があるし…。その内に彼からも同じ事を云われる日が来るんじゃないかしら…」
ミレイがジノを見てにこりと笑った。
ジノには記憶がないから…説明しても解らないだろうし…。
知る必要もない事だ。
ジノにとって、スザクが大切な友人であると云うそれだけで十分だ。
「俺にそんな日が来るのかなぁ…。俺、将来、ヴァインベルグを背負わなけりゃいけないと云う自覚はあるから、今だって遊んでるけど…無意味なバカはやっていないつもりだし…」
「それが解っていても、無意味なバカをしなくちゃならない時が来たら解るって事…。枢木君のやっている事は…きっと、他人の私達には理解出来ない事かも知れないけれど…。彼にとってはとても大切なことなのよ…」
「それで有給ですかぁ?」
ジノがなんだか面白くないと云う表情でミレイに訊ねた。
「君と違って彼は残業とかも文句を云わずにやってくれるからね…。と云うか、枢木君…。調べたら有給を全く使ってないのよ…。入社してから一度も…」
「え?」
「ホント…真面目よねぇ…。だから、たまにはハメを外すのもいい勉強だわ…。ただ真面目なだけじゃ、この先、きっと息がつまっちゃうもの…」
ミレイのその瞳の奥には…。
何か云い知れない何かを抱えている様なそんな色をした部分がある様に見えたのは…。
ジノの中で気の所為だったと云う事にした。
「とりあえず…この後スザクが有給なら俺、スザクの分も仕事しないと…」
「この後って云ったって1時間だけどねぇ…」
「スザク…ここのところ色んな取引先を開拓しているから…書類の仕事だけで結構大変なんですから…。下手すると俺…珍しく残業ですよ…」
「あんたは真面目に仕事をすると云う事を勉強しなさい!」
ミレイがぴしゃりと締めくくった。
「はぁい…。じゃあ、スザクのデスクの上のロムだけ整理しておきますよ…」
「お願いねぇ…」
ジノがそう云って自分のデスクに戻ると、ミレイは、回転いすを180°回転させて外を見た。
―――いよいよ…色々動き始めた…。スザクと出会った事がきっかけで、二人の記憶を取り戻して…そして、周囲が動き始めている…。ロイド伯爵…お願いしますね…。
窓の外の僅かに見える空を見ながら…ミレイはそう願わずにはいられなかった…。

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2010年11月02日

It's Destiny37

イレギュラーの予感



 今、自分のやろうとしている事に…正直信じられないと云う…そんな気持ちにもなる。
と云うか、本当に…あの時の…あの子供の頃のあの事件の後…こんな風に考えた事などなかった。
どんな事をしてでも…何かを欲するなんて…。
尤も、あの時には…自分の望んだものの為に…などと云う事を考えられるだけの余裕などありはしなかった。
ナンバーズと云う、植民エリアの原住民としての扱いは…。
それまでの日本では考える事さえなかった苛烈な差別社会だった。
そんな中で…スザクは中から変えて行こうと…。
ルルーシュは、外から崩して行こうと…。
互いに正反対の方法を取った。
あの時、もし、互いに意思の疎通ができていたら…彼らの思いは…成就したかもしれないと…。
スザクはルルーシュから『ゼロ』の仮面を受け取ってから…何度も思った。
あの、『ゼロ・レクイエム』の後…世界はスタートラインに立った。
神聖ブリタニア帝国と云う巨大国家の脅威を排除した状態で…。
そこから、世界はそれぞれが手前勝手な事を始めた物だから…再び混沌に陥った。
今度は、一つの巨大帝国が存在した訳ではなく…それぞれが対等の立場として自己主張を始めたのだから…。
当然と云えば当然の事と云えるだろう。
結局、ブリタニアの脅威の下に『超合衆国』は一つとなっていた事を思い知らされた。
そして、自分の望むものは自分の力で手に入れなければ意味がないと悟った。
ルルーシュがお膳立てした『ゼロ・レクイエム』…。
『革命』とは呼べない。
かと云って、『クーデター』でもない。
茶番劇に踊らされた世界は…結局、ルルーシュとスザクが世界に何を遺し、何を伝えようとしたかを解らないまま迷走を始めたのだ。
なんであれ、どうしても自分の欲するものは、自分の力で手に入れなければ意味がないという事…。
否、その大切な物ものの存在さえ希薄になり…どうやって手に入ったかを考える事さえなく…。
誰かに与えられたものだから、大切にする事も出来ない。
本当に大切な物であれば…。
本当に欲しい物であれば…。
―――自分の力で手に入れなければ、結局最終的にはただのゴミになる…。
スザクがあの時に自分の中で出した結論だし、思い知らされた事でもあった。
ルルーシュは世界に対して、『力』で物事を解決するのではなく、『話し合い』で解決する世界を望んだ筈なのに…。
それも、世界全体が望まなければ結局は当人達の気付かぬところで、するりとその両手の隙間から逃げて行ってしまう事を…知ってしまったから…。
『ゼロ』の仮面は…『ゼロ・レクイエム』から時間他経てば経つ程…重く感じていた事は事実で…。
そして、様々な事に気づかされて…。
そんな経緯があるから、今、どんな事をしても…。
何を使っても…。
そんな風に思う事が出来るのかもしれないと思う。
あの頃…そんな風に思ったのは…。
カレンがブリタニア軍に捕らえられて、そして、『ゼロ』の事で焦っていて…『リフレイン』を使おうとした…その時だけだったと思う…。
それでも…結局思い留まった。
「今の僕なら…目的の為に必要となれば躊躇う事はなかったかもしれないな…」

 その頃…
「陛下…準備できましたよぉ?本当はこれ、見つかったら犯罪ですよぉ?」
「やっていること自体は犯罪だがな…」
「まぁ、そこで見つからない様には出来ましたけどぉ…。それに、見つかっても多分、お説教だけで済んじゃいそうですけれどねぇ…」
「俺が頼んだ事となれば、多分、法的にはともかく…ランペルージ家の中ではそうもいかないと思うがな…」
自分でやらせておいて、バカな事を云っていると思うが…。
それでも、頼んだ相手がロイドだから、この方法をとれるのだけれど。
「後はぁ〜〜〜」
「そっちの方が問題かもしれないな…。もし、カノンが嗅ぎまわっているなら、急いだ方がいい…」
「そんな事は解っていますけれどねぇ…。ただ、相手がねぇ…厄介なんで…」
ロイドがそんな事を云いながら、少し疲れた表情を見せた。
いつも飄々としているのに…中々珍しい姿だと思うが…。
「流石にお前でもてこずるか…。どこまで出来ている?」
「これは渡しておきますねぇ〜〜〜」
ルルーシュの質問に、それを言葉で返すのではなく、小さく折り畳まれたメモ用紙を渡した。
ルルーシュがそのメモ用紙を開くと…。
少し驚いた表情を見せた後、ふっと笑った。
「お前…ここまでできるからあのシュナイゼルに対して好き放題出来たんだな…」
そう云うと、ロイドはいつものふざけた顔になる。
「あの殿下の場合、僕なんてまだマシな方ですよぉ〜〜〜。一番の側近があの、カノン=マルディーニですしねぇ…。それに、僕、最近良く、彼と食事に付き合わされるんですけどぉ…」
「医者の割に…随分暇なんだな…」
「陛下が入院されている時には僕、陛下の専任なんで…。貴方の『お父君』から、そう、命じられているんですよ…。ホント…あの方ももう少し素直に愛情表現なされればよろしい物を…」
ロイドの言葉があまり理解できていないルルーシュだけれど…。
しかし、ロイドはそんなルルーシュの思っている事など、どうでもいいと云わんばかりだ。
と云うか、そう云われても説得力を感じない。
「あの人は…昔も今も変わらないじゃないか…。考えている事は解らないし、自分の事以外に興味はない…」
「随分ひどい云われようですねぇ…。別に、シュナイゼル殿下だって人間ですよ?感情はありますし、欲しいものだってある…。人並みに何かを感じて生きてますよ?まぁ、その辺りは陛下と似ているところがありますけれどねぇ…」
ロイドの言葉にルルーシュはあからさまにムッとする。
今も昔も…ルルーシュにとってシュナイゼルはコンプレックスの対象でしかないのだから…。
そんなルルーシュを見てロイドがやれやれと云った表情を見せた。
「陛下?貴方だって御自身ではきちんと考えているし、何かを感じておられるでしょう?ただ、貴方の場合は意図的にそれを隠そうとしている。シュナイゼル殿下は、それが当たり前過ぎて、あまりに自然だから…。だから、誤解を受けているかもしれませんが…。シュナイゼル殿下だって、人間なんですよぉ?」

 正直…ロイドがルルーシュに何を訴えようとしているのかが解らない。
あの頃は…確かにルルーシュよりもロイドの方がシュナイゼルと共にいた時間は長いかもしれないが…。
それでも、ルルーシュは異母兄として長い間彼を見続けてきた。
だから、ルルーシュなりにシュナイゼルを分析していたつもりだったが…。
「まぁ、あの頃の環境では、今の様な、ある意味間違っているけれど…あんなあからさまな愛情表現は今の母君であるギネヴィア皇女殿下同様、出来なかったんですよ…。ギネヴィア皇女殿下だって…生まれる家を間違っていなければ…あんな風にはなっていないですよ?」
ロイドの云っている事は、あの時、ブリタニアの皇族として生まれた者すべてに当てはまる事だと云える。
王宮の中で何からも守られて、魑魅魍魎の存在に直接触れる事のなかったユーフェミアが稀有な存在であり、寧ろ、ルルーシュが皇帝を名乗った時に反発した皇族の方があのブリタニアの王宮ではごく当たり前の事だった。
「そんな事を云ったら、みんなにそう云えるだろう?今更な事だ…」
「確かにそうですけれど…。ただね…陛下はあまりにあの時のシュナイゼル殿下やギネヴィア皇女殿下を意識し過ぎている…。彼らにはあの時の意識の名残があるかもしれませんが、記憶がないんです…。だとするなら、今陛下に向けられている彼らの行動や思いは、純粋に貴方様に対してのものだと思うんですよねぇ…僕としては…」
ロイドの言葉に…ルルーシュは表情を曇らせる。
敢えて、その部分を無視しようとしていたが…。
しかし、事がここに至ってロイドは何を考えているのか…。
今のルルーシュには解らずに困惑する。
しかし、何かの意図を持っている事は確かだし、もし、ルルーシュを裏切っていたとするなら、カノンと接触が頻繁にあるという事をわざわざルルーシュに伝える必要は内だろう。
逆に、そんな事を伝えてしまったら、ルルーシュの方が警戒してロイドの知らない部分で策を練るかもしれない。
だから、ロイドが陰でルルーシュを裏切っているという事はあり得ないし、そんな事をしなければならない程、ロイドは誰か一人に対しての執着はない。
敢えて云うなら、彼のモルモットとなり得るスザクに対しては執着を持つだろうが、こんなややこしい腹の探り合いの中でそんな事をする理由が見つからない。
「お前は…何が云いたいんだ?俺は何を云われようと…考えを変える気はない。もう…あんな間違いを犯したくはない…。確かに…これからやろうとする事には…失敗があるかもしれない…。失敗すればその失敗の数だけ達成がこんなになる事も解っている…。それでも…俺は…」
ルルーシュがそこまで云った時、ロイドはにこりと笑った。
そして、何かほっとしたような表情を見せた。
「安心しましたよ…陛下…。貴方がそこまで強い思いをお持ちなら…僕も安心して力をお貸し出来ますよ…。とはいっても、出来る事なんて限られていますけれどねぇ…」

 なんだか…誘導尋問された…と云う気分になる。
実際その通りだろう。
なんだか…面白くない。
「ロイド…お前…。俺をバカにしているのか?」
ルルーシュが上目づかいでロイドを睨みつける。
そんなルルーシュを見てロイドが…いつものえへら…と云う感じに笑った。
「まぁまぁ…そう怒らないで下さいよ…。とりあえず、面白い情報も手に入りましたしねぇ…」
気分を害したという表情を崩していないルルーシュに対して、宥めるかのようにロイドが笑った。
その笑いも…なんだか子供扱いされているようで面白くない。
尤も、実際にルルーシュは子供なのだけれど…。
ロイドはあの時も年上であったが、あの頃より更に歳の差が開いている。
ルルーシュは年齢が下がっているし、ロイドは上がっている。
大体、こんな大病院でランペルージ家の嫡子の主治医を務められる医者は…それ相応に腕を求められる。
とすると、医者になったばかりの若い連中では決して務まらない。
「面白い情報?」
その一言にルルーシュは反応して、表情は完全に戻ってはいないけれど、そう訊き返した。
その先の言葉を聞いたら、ルルーシュはそんな、ちょっとからかわれたからという怒りの表情を見せている訳にはいかなくなるが…。
「これはカノンから聞いた訳じゃなくて…ちょっとだけ、調べ物ついでに…あるところを覗いてみたんですけれどねぇ…」
何か、もったいつけた様な…そんな言葉にルルーシュが少しイライラしてくる。
「さっさと本題に入れ…」
ルルーシュが堪らず低い声でそう告げる。
「一応…心の準備をして下さいね?流石にあの時と同じ失敗を繰り返す事は…ないと思うんですが…」
「?」
ルルーシュが不思議そうな顔をしているのを見て、一呼吸置いてからロイドが口を開いた。
「えっとですね…。ユーフェミアさまが…日本に戻って来られるんですよ…。予定よりも早く…」
「……!」
ルルーシュが寝耳に水と云った…そんな表情を見せる。
「ひょっとして…陛下が高校入学と同時に日本に戻って来る事も知らなかったのでは…?」
ルルーシュの目を見開いている姿を見て、ロイドが訊ねてきた。
ルルーシュの方は…なんとか言葉を絞り出すような…そんな感じに言葉を紡ぎ出した。
「俺が…高校…入学と…同時に…?」
「そうですか…その事も知らなかったんですねぇ…。こちらはギネヴィア様が動いていらっしゃる様ですが…。本当に…使える者なら何でも利用する…というスタンスの様で…」
ルルーシュ自身、彼女と幼い頃に婚約している事は承知していた。
現在、ユーフェミアはブリタニアに留学中で…少なくとも向こうのハイスクールを卒業まで日本に戻らない事になっていた筈なのだ…。
「また…ユフィは…」
「まぁ、スザク君の事もありますし…現在のこの状況を承知していて、前世を知る陛下にとっては…望んではいないでしょうねぇ…。どうせ、姿を消して、自分が最低男になればいい…とでも思っていたのでは?」
ロイドのその言葉は…。
ルルーシュには否定する事が出来なかった…。
その、答える事の出来ないルルーシュの姿が…答えだとロイドも思うが…。
しかし、知らないままのんびりしていたら、ルルーシュがスザクと共に…と云うのがかなり遠い話しになってしまう事は確かであった…。

 その情報をルルーシュに齎されたその頃…。
「久しぶりの日本…。早くルルーシュに会いたいわ…」
希望に満ちた瞳でその地に降り立った少女がいた…。
「お待ち下さい…ユーフェミアお嬢様…。そんなに急がれなくてもルルーシュ様は逃げたりはしませんよ?」
「ルルーシュが私から逃げるなんて考えていないわ…。私が早くルルーシュに会いたいの…。だって…おばさまから見せて頂いた最近のルルーシュの写真…最後に会った時よりも更にカッコ良くなっていたんですもの…」
本当に、純粋に恋する少女の瞳だった。
そんな彼女を見ていて…彼女の世話役がそんな彼女の笑顔に笑みを零す。
「ルルーシュ様も…ユーフェミアさまにそう仰って頂けば…きっと御喜びに…」
「あら…ニーナはまだ、ルルーシュの事を理解していないのね…。ルルーシュはきっと、そっぽ向いて『恥ずかしい事を云うな!』って顔を赤くして全然怖くない怒り方で怒鳴るに決まっているわ…」
本当に…大好きで仕方ない相手の話しをしている瞳をしている彼女に…。
ニーナと呼ばれた世話役がにこりと笑った。
「では、早いところ、マンションに行きましょう…。そして、荷物を置いたら、病院に行きましょう…。ルルーシュ様もユーフェミアさまのその笑顔を見たらキッとお元気になりますよ…」
「ルルーシュったら…本当にそんなに具合悪くなるくらい頑張らなくてもいいのに…。カノンの話しだと…ルルーシュ…担任の先生に苛められているんですって…」
「何も持たない人間が、眩しく見える人間に対して抱く感情は2種類です。一つは憧れ、一つは妬みです…。きっと、その担任の先生はルルーシュ様の事を妬んでしまったのですね…」
「ルルーシュは優しいから…ずっと我慢していたのね…。確かに、ランペルージの名前を持つ人間が下手な事を云うとその人の人生を変えちゃいますものね…。だからって…ルルーシュったら…自分が倒れる程頑張らなくてもいいのに…」
ユーフェミアが切なそうにそう、呟いた。
ニーナはそんなユーフェミアを見て、なんとか元気な表情に戻そうと必死になる。
「だから、ギネヴィア様はユーフェミアさまをルルーシュ様の元へと…」
「そうかしら?私が行ったら…ルルーシュ…喜んでくれるかしら…」
無邪気に話しながら歩いていると…。
―――ドスン…
ユーフェミアがよそ見をしていて誰かにぶつかってしまった。
「あら…御免なさい…。私ったら…ちゃんと前を見ていなくて…」
ユーフェミアがそう云うと…そのぶつかった人物は…。
一介のサラリーマンの様で…。
ユーフェミアの顔を見て…驚いた表情をしていた。
「え?ユフィ…?」
その男はユーフェミアに対して、親しい人物しか呼ばない愛称を口にしたのだ。
それにいち早く反応したのはニーナだった。
「貴方…一体誰です!初対面の女性に向かってそんなぶしつけに…」
「あ、ニーナ…いいのよ…。と云うか…どなたに似ていたんかしら?その人も私と同じ名前なのでしょうか?」
ユーフェミアがニーナを制止してその男に訊ねる。
しかし、その男の方ははっと我に返った様で…
「あ、すみません…。とんだ失礼を…。どうか…忘れて下さい…」
そう云って、その男はその場から足早に去ろうとした時…ユーフェミアがその男に声をかけた。
「えっと…お名前、教えて頂けますか?」
「あ、すみません…急いでいるので…」
そう云って、その男は足早に去って行った…。
ユーフェミアはその後ろ姿をじっと見つめていた。
そして…本人に自覚あるかどうかは解らないが…
「綺麗な…翡翠の瞳…。ルルーシュのアメジストと…同じくらい綺麗…」
そう…口の中で呟いていた…

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2010年10月26日

It's Destiny36

自分にとっての敵と味方



 様々な思惑が渦巻いている中…。
一人、別の場所でルルーシュを求めている者がいる。
「ルル…ルルは…僕のルルでしょ?だから…あんなおっさんに浮気した事は、ちょっとお説教するだけで許してあげるから…戻って来てよ…」
そんな事を口の中で繰り返している。
「マオ…なんだよ…用事って…」
「やぁ、玉城…。玉城さ、ルルの事…まだ嫌いなの?」
突然のマオの質問に…玉城が驚いた顔を見せる。
常に、ルルーシュを気に入らないと云っては絡んで来ていた相手なのだ。
驚かない方がどうかしている。
「何を今更…。と云うか、何かあったのかよ…」
「ルル…攫われちゃったんだ…。だから…僕ね、ルルを助けにいかないと…。ルル…あの『A物産』の…悪いサラリーマンに騙されてね…僕の目の届かないところに…行っちゃったんだ…」
その言葉の様子に…。
なんだかおかしなものを感じた玉城だったが…。
そのおかしさが…なんと云うか、何か、彼の中で狂い始めているという感じで…。
少しだけ背筋が寒くなった。
恐らく、本当にブチ切れている状態なのに、それを懸命に抑えている感じだと云うところだろう。
「悪いサラリーマン???」
「うん…。ここで、ルルをナンパしてたんだ…」
マオがぼんやりとしている感じで話しを続けている。
玉城はなんだか行っている事もおかしいと思い始める。
「ルルーシュがそんな、良く解らない奴のナンパに乗せられるとは思えないけどな…」
「そのくらい…ずるい奴なんだ…。ルル、警戒心強いけど…心は優しいから…きっと、何か、ルルの同情を引いたんじゃないのかなぁ…。だから、助けに行きたいんだ…。でも、相手は大人だし…ルルを危険な目に遭わせたくないし…」
「おい…云っている事が解んねぇんだけど…」
マオがどんどん感情的になって行くのが解る。
確かに、マオの持っているルルーシュへの執着は解っているのだけれど…。
ここまで切羽詰まっているところを見るのは初めてだ。
確かに、玉城のグループの人間がルルーシュを取り囲んでいると、ブチ切れたように殴りかかって着ていたのは知っているが…。
それでも、こんな風に切羽詰まった感じになっているマオを見るのは初めてだった。
「別に…玉城が解る必要はないよ…。ただ、ルルを助けたいんだ…。だから、その為に力を貸してくれるかどうか…それだけ答えてよ…。もし、手伝ってくれるなら、一つ、君の云う事を聞くよ…。何でも…」
必死の形相に、玉城は少しだけ後ずさってしまうが…。
これほど必死となると、本当に余裕がないのだろう。
玉城としては、ルルーシュの事は気に入らないし、マオがここまで執着している理由も解らない。
ただ、マオと玉城の境遇そのものは結構似ている。
それ故に、玉城自身はマオに対してはそれほど悪い感情を抱いていないし、ルルーシュの事に関してだって、確かに気に入らないのだけれど…。
ただ、ルルーシュ本人ではどうにもならない事の部分で彼を嫌っている部分も多分にある。
「解ったよ…。ま、今のところは頼みてぇ事とかねぇからな…。ツケにしておいてやる…」

 子供は子供なりに様々な思惑を抱きながら…。
幼いなりに、何かをしようとしている。
そして、スザクも、一サラリーマンではあるが、それでも何としてでも…と云う思いがある。
とりあえず、スザクも協力を得る準備は出来た。
「なにか…今のスザクって…私の知っているスザクじゃないみたいね…」
ミレイが少しだけ複雑な表情を見せて云った。
そんなミレイに、スザクは少し苦笑した。
「そうかも…知れませんね…。本来の『俺』は…多分、こんな感じですよ…。元々、それほど諦めのいい方じゃないし、もの解りのいい方でもないです…」
スザクのその言葉に…ミレイが一瞬、驚いた顔を見せるが…。
それもすぐに引っ込められる。
「あの頃の…私も知らない『スザク』の姿…なのね…。今のそのスザクが…」
ミレイがスザクに対してそう云った。
ミレイのその言葉にスザクがふっと笑った。
「驚きましたか?」
「驚いたけれど…。それ以上にほっとしたかな…。だって、アッシュフォード学園にいる時のスザクって、なんだかすごく…無理しているように見えたし…。ルルーシュがいくら貴方に対して気を使っていても…貴方はそれを受け入れなかったものね…」
少しだけ寂しそうなミレイの言葉…。
ミレイがあの頃にルルーシュへ向けていた気持ちを…スザクが知っていたかどうかは解らないが…。
それでも、ミレイ自身はルルーシュに対して特別な感情を抱き、それを外に出す事も出来ず、ただ、その、心配しているその気持ちを押し殺し続ける事しか出来ずにいたのだ。
「あの時の僕が…ルルーシュのその気持ちに甘えている訳にはいかなかったでしょう?アッシュフォード家としても…」
「そんな事を云っている訳じゃないのよ…。確かに互いの感情だけで動いていい時じゃなかった事は認めるけれど…あそこまで徹底する必要があったかどうかって話しよ…。ルルーシュがあの時、どれほどの強権を使って独裁をしても…人の心を変える事は出来なかったわ…。周囲がどれだけ変わっても…私の気持ちは…変わらなかったもの…」
あの頃のルルーシュとスザクの話しをされてしまうと…流石に少々辛い。
お互いに…お互いが話さなければならない事を一切話さずにいたのだから…。
だからこそ、すれ違った…。
一番大切な事を離さずに…誤解したまま殺し合った…。
互いに、互いを大切な存在としていたくせに…。
ミレイは…『ブラック・リベリオン』の際に、アッシュフォード学園が記憶を封印されたルルーシュの監視をする為の檻として使われた為に…。
記憶をそのまま残されている立場だった。
ルルーシュが『ゼロ』だった事を知り、そして、スザクがルルーシュを捕らえた事を知り…。
しかし、知っているだけで、何も出来なかった彼女の苦悩は…きっと、想像を絶するものであったに違いない。
そして、それまでも仮面を被り続けていたスザクは、その日を境に更に、鉄壁な仮面を被ってしまった。
ルルーシュは記憶を改ざんされて、ルルーシュなのに…ルルーシュではない状態となった。
そして、その時ミレイは思っていた…。
―――このまま、記憶が戻らなければ…ルルーシュはブリタニアの監視下にあるとはいえ、こうして笑っていられるのかもしれない…
と…。

 ミレイはそんな過去を思い出しつつも、今のスザクを見て、ほっとする。
そして、心配でもあった。
またも、ルルーシュとスザクは強大な力と対峙しなければならないと云う事なのだ。
「また、会長には…迷惑をかけちゃいますね…。解っているんですけれど…それでも、もう、自分達を犠牲にした揚句に自分達の大切に思っている存在が涙を流さなければならない様な結果を出したくないと…そんな風に思うので…」
「そう云う苦労ならいくらでも買ってあげる…。まぁ、あの頃とは時代が違うし、少しは、穏便に行くといいんだけどねぇ…」
ミレイの言葉に、二人とも苦笑してしまう。
云った本人でさえ苦笑してしまう様な…そんないばらの道である事は確かだ。
「まぁ、覚悟はしていますよ…。ルルーシュが嫌と云っても…今度は僕は僕の意思を貫き通す…。それだけは変わりませんよ…」
「結構厄介な相手が記憶を取り戻しちゃっているんだけどね…。ロイド伯爵はともかく…。私も直接はあんまり会った事無いけど…マルディーニ伯爵も…でしょう?」
ミレイが心配そうにそう、訊ねてきた。
「そうですね…。中々厄介な相手ではあるんですけれど…。彼の場合、シュナイゼルの為なら自分の意思をも押し殺せる人だから困っちゃいますけれどね…」
言葉そのものは軽い感じで云っているのだけれど…。
現実問題としては恐らく、今思い当たる中で一番厄介なポイントでもある。
「確かに…。と云うか、何故、貴方達だけじゃなくて、私やロイド伯爵、マルディーニ伯爵に記憶が戻ったのかしら…?」
「さぁ…。世の中、どんな作りになっているのか、本当によく解りませんし…。それに、その理由が解ったところで、何が変わる訳でもないし、問題解決の糸口が見つかる訳でもありませんからね…」
あの時…恐らく『ゼロ』をやっていなかったら、こうした言葉は出て来なかったとスザク自身、思ってしまう。
あの頃、『ゼロ』であったから、ここまですっぱりの割り切った事を云えるのだと思った。
実際に、『ゼロ』をやっている時には原因究明によって問題解決の糸口が見えるのであれば、原因究明を考えたけれど、そうでなければ、そんな原因究明など後回しにしていたのだ。
そんな事を考えていられるだけの余裕がなかった。
そもそも、時代の変革期と云うのはそんなものだと思い知ったのもあの頃の話しだけれど…。
「ホント…スザク、知らない内に私の知らないスザクになっちゃったのね…」
ミレイが苦笑しながら云った言葉に、スザクは困った笑みを浮かべる事しか出来なかった。
「それでも、僕は僕ですよ…。アッシュフォード学園に編入して、ルルーシュと再会してから実は、変わったと云われました。確かに…あの頃は自分の『罪』から逃げている自分がいて、自分を誤魔化す為に仮面を被っていたともいえます。だから…ルルーシュの驚き方にはちょっと、困っちゃいましたけれど…」

 スザクのその言葉は…。
その裏側にある、重くて暗い物を感じた。
ミレイはあの頃のスザクが子供の頃に父親を刺した事を知らない。
そして、ルルーシュ達が『キョウト六家』の決定の下に殺されそうになった時になぜ、生き延びる事が出来たのかの理由も知らない。
訊く機会もなかったし、訊いていい話なのかどうかも悩んでいる内に年月が経って…結局聞けずじまいに終わっていた。
確か、戦争前に枢木ゲンブ首相がナナリーと婚約すると云う話しを未確認の話しでちらりと聞いた事があったけれど…。
それでも、そんな事をしたところで、ブリタニアは決して日本への攻撃を中止する事はなかったと今でも考えられる。
「スザク…もう一つ…訊いていいかしら?云いたくなければ答えなくていい…」
ミレイが…少しだけ遠慮がちにスザクに沿う話しを振ってきた。
スザクとしてもミレイがそこまで云うような話しなど…限られているから、何となく、数少ない可能性を頭に浮かべた。
「なんでしょうか?」
スザクは静かに訊ね返した。
するとミレイが、一回深呼吸してから口を開いた。
「ユーフェミア皇女殿下の事…なんだけれど…」
ミレイは云い難そうに言葉にしているが…スザクの方は予想で来ていたのか、それほど表情を変える事もない。
「ユフィの…事ですか…」
「スザクは…本当にルルーシュがユーフェミア皇女殿下を殺したと…そんな風に思っているの…?」
真実を知らないミレイがそう云う云い方をしてしまっても仕方ない。
実際、スザクだって真相を知っている訳じゃない。
知っているのは、その場にいたルルーシュとユーフェミアだけなのだから…。
「『ゼロ』が…ルルーシュがユフィを撃ったのは…事実です…。この目で見ているので…」
少しだけ低い声になってスザクは答えた。
ミレイはそんなスザクの姿にごくりと唾を飲み込んだ。
ずっと…知りたかった真相だ。
本当の事を知っているのは、今のところ、解るところではルルーシュだけなのだけれど…。
より真実に近い事を知っているのはスザクだけだから…。
だから、敢えて、訊ねてみたのだ。
「ただ…その過程に…何があったのか、僕も知らないんです。ルルーシュは…結局本当の事を云ってくれませんでしたから…。ただ、今なら解ります…。ユフィを殺したのは確かにルルーシュだったけれど…。でもそれは、ルルーシュの意思ではなかったと…」
スザクの…『今なら解る』と云うその言葉…。
本当はそんな事を考えても仕方のない事なのだけれど…。
それでも思ってしまう…。
―――何故…人はこれほどまでに時間がかからないと…そう思う事が出来ないんだろう…
と…。
「そっか…ごめん…変な事を訊いて…」
ミレイが一回大きく呼吸をしてからスザクに向き直ってそう謝った。
スザクはあの時…ユーフェミアの騎士だった…。
そして、ルルーシュはスザクの主を殺した…。
それが、真実なのだけれど…。
どうしても気になっていたのだ。
―――あのルルーシュが…ユーフェミア皇女殿下を自ら望んで殺したりする筈がない…
と…。
ユーフェミアだって、たくさんの人が集まって来るアッシュフォード学園の学園祭に潜り込んで、ルルーシュに会いに来たくらいなのだ…。
ミレイは…スザクよりも少しだけ、ルルーシュとユーフェミアの過去を知っていたから…気になっていたのだ。
そして、その気になっていた事に…少しだけ、自分の中でけじめをつける事が出来たと…今はそう思いたい気分だった…。

 そして…
様々な事を考えられている中…。
こちらでも…
「陛下ぁ〜一応、準備は出来たんですけれどねぇ…」
そう云いながら、ルルーシュの部屋に入ってきたのはロイドだった。
「お前…いい加減、その呼び方はやめないか?」
ルルーシュが確かに迷惑そうにそう、ロイドに告げるけれども…。
シュナイゼル相手に結構勝手な事をしていたらしいこの人物が…ルルーシュのそんな一言で改める訳もない。
「すみませんねぇ…。どうも癖になっちゃっていましてぇ…」
「癖になる程、俺の下で働いていた訳でもあるまいに…」
「まぁまぁ…陛下と二人の時にしかそう呼んでいないんですからぁ〜〜〜。ホント、陛下とスザク君が二人でそれをネタにテレビに出たら面白そうですよねぇ〜〜〜。史実を喋っちゃったら、世界史学会が大騒ぎですよぉ?」
どこまでもふざけ半分に聞こえるロイドのセリフだが…。
そもそも、たかが中学生の子供と一回のサラリーマンが『ルルーシュ皇帝とそのナイトオブゼロでした!』などと云ったところで、誰も信用しない。
現在に伝わっているあの時の歴史は完全に『戦勝国』となった『超合衆国』の都合のいい様に『ゼロ』の英雄像を作り上げているし、普通あり得ない程のルルーシュの残虐性を語っているのだ。
半分以上が完全な捏造なだけに、史実であってもそれを云ったところで、歴史と云うのは通説があり、その通説と違う事を云った時点で排除される。
実際、歴史学と云うのはそう云うものだし、戦争の歴史については最終的には『戦勝国』となった国々が、自分達の力を誇示して自分達の正当性を強める為に敗戦国を必要以上に『悪』として語り継いでいく。
それが、外交カードにもなって行くからだ。
「お前の悪ふざけはどうでもいい…。しかし、本当に変わった奴だな…。お前も…。何故、この『道』を選んだんだ?」
「まぁ、もし、もう一度陛下とスザク君に遭う事が出来たら、云いたい事があったから…と云うところでしょうかね…。今になってあの時の事をとやかく云ったところで歴史は変わりませんが…これから先の事はお説教できるでしょう?僕、いつもセシル君にお説教されて、叱られてばかりだったんで…たまには誰かにお説教をしてみたいなぁ〜〜なんて…」
「傍迷惑な奴だ…」
ロイドのこのふざけた口調でぶっちゃけ話をされると正直、どうしたらいいのか解らない時もある。
ロイドはふざけている様に見えていて、本当は色々な物をしっかりと観察している。
だからこそ、科学者などをやっていられるのだろうが…。
「とりあえず、今は僕の云う事を訊いて下さいねぇ?一応、ミレイくんから連絡が何度か来ているんで…。見付からなければ、きっとうまく行くと思いますよ?」
「見つからなければ…それがネックだな…。カノンが知っているとなると、確かに何かのアクションをかけて来ると思うが…」
「実際に最近、良くデートしていますよぉ?色々感づいているみたいですけれどねぇ…」
ロイドのその言葉にルルーシュは眉をひそめる。
―――やはり…一筋縄ではいかないか…
この先の事をまた更に…考え始めるのであった…

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 00:32| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

2010年10月21日

It's Destiny35

ふたり



 ルルーシュが自分の病室にロイドを呼びだし、そして、考えていた事をロイドに話した。
「また…相変わらず大胆な事を考えますねぇ…」
「お前が居るからな…」
ロイドの少しの呆れと相応の驚きを見てルルーシュはさらりと返した。
そんなルルーシュにロイドは苦笑するが…
「まぁ、僕が出来る事であれば、させて頂きますよ…。別に僕の場合、ランペルージ家の援助なしでもやって行けますしぃ…。それに、ルルーシュ様の事がある限り、ギネヴィア様はともかく…シュナイゼル様が僕を見捨てる事はないですしねぇ…」
「あのシュナイゼル相手に凄い自信だな…」
「なんだかんだ云って、あの方はいつもお一人だった…。カノンもいつも傍に居ましたけれどねぇ…」
ロイドの言葉に…。
確かにその通りだと思った。
あの頃だって、確かに、権力争いの中心にいたからこそシュナイゼルの周囲には人がいたけれど…。
その中でシュナイゼルにとっては、いつ切り捨てても痛くもかゆくもない…。
そんな人物達しかいなかった。
「……」
「まぁ、あの環境では仕方ありませんし、あの頃は、自分で自分を押し殺した状態を自然体にしちゃっていましたしねぇ…。それでも、一応、シュナイゼル殿下が斑鳩で『黒の騎士団』とのやり取りの音声データ聞いたんですけれど…僕、驚いちゃいましたよ…」
「???」
「あのシュナイゼル殿下がウソでも誰か一人に対して『愛している』なんて云ったの…初めて聞きましたよ…。僕、陛下が生まれる前からシュナイゼル殿下にお世話になっていたんですけどねぇ…」
ロイドの言葉に驚くけれど…。
それも束の間…。
今更そんな事を怒っても仕方ないのだけれど、色々と思うところが出てきた。
「お前…一体どれだけの秘密を握っていたんだ???」
「いやぁ…『極秘』って書かれていると見たくなるのが人情ってもんでしょ?」
「だからって…」
「軍関連の資料は基本的に永久保存が基本ですからねぇ…。面白いデータがいっぱいありましたよ…。だからこそ…僕はあんな風に流される生き方をしていたんですってば…」
確かに、軍関連の資料は上からの命令書がなければ廃棄する事は出来ない。
仮に、命令書が出てその資料そのものが廃棄されたとしても、その命令書は後まで残る。
「こんな油断も隙もない奴を俺は、傍に置いていたのか…」
「シュナイゼル殿下はお気づきでしたけれど…。でも、僕自身、知る事のみでしたからねぇ…。だから、僕、『フレイヤ』については多少お話ししたけれど…そのほかの事は何もお話ししなかったでしょ?」
胡散臭い笑い…。
ルルーシュはそんな風に思ったが…。
それでも、嫌な奴だとは思うけれど、役に立つ事は事実だし、ある意味、ディートハルトに似ている部分もあるのではないかと思えてきた。
「シュナイゼルが気に入る訳だな…」
ルルーシュはそんな事をぼそりと呟くと…。
「お褒め頂いて光栄ですよ…皇帝陛下…」
解って云っている事が解るだけに最早腹も立たなかった。

 パソコン画面を見つめながら…。
大きくため息を吐いたのは…国会議員として現在、この日本で活躍し、この先、史上最年少の首相になるのではないかと噂されるその人物…。
「おや?お疲れですか?」
そう云って、シュナイゼルに紅茶を差し出したのは、秘書であるカノンだった。
「否、仕事の事よりも…」
「ああ、ユーフェミア嬢の事ですか…。まぁ、何れはこの話しが出て来る事は解って居ましたし…。それに、ギネヴィア様もあの…枢木スザクの存在には危機感を抱いておられるようですしね…。当面、共通の懸念と云えるのでは?」
カノンの的確なその、分析…。
確かにその通りだ。
「そうだね…。とりあえず、彼女がルルーシュをこちら側に居させる為の鎖になり得るとは思うが…」
シュナイゼルの言葉に、カノンは心の中で苦笑してしまった。
そして、何とか、カノンの中でなんとか穏便にシュナイゼルの望む方向へ向ける画策をする。
あの記憶があるのは人間は…
ミレイ=アッシュフォード、ロイド=アスプルンド、カノン=マルディーニ、ルルーシュ≂ランペルージ、枢木スザク…。
カノンの中ではかなり厄介な相手だと思うが…。
少なくとも、枢木スザクと話した印象では、確実に彼は引かないだろう。
そして、ルルーシュ自身、今度は諦めるつもりはないらしい事も解る。
―――さて…どうしたものでしょうかね…
カノンは自分の頭の中で物事を整理し始める。
確かに、知略で行けば、カノンはルルーシュにもシュナイゼルにも叶わないかもしれないけれど…。
しかし、シュナイゼル相手ならともかく、ルルーシュが相手であれば…。
まして、あの枢木スザクと共に…と云う事であれば…。
―――結構使えるじゃない…。ユーフェミア嬢には…また、気の毒な事をする事になっちゃうのかしらね…?
頭の中でそんな事を考えていて、思わずクスッと笑ってしまった。
「おや?どうしたんだい?カノン…」
シュナイゼルに声をかけられて、ハッとした。
「あら…失礼致しました…」
「否、気にする事はないよ…。寧ろ、君には随分苦労をさせているからね…。そうやって、笑ってくれると私も安心できるよ…」
「そのお言葉を頂けて、安心しました。この先はどう致しましょうか?」
「そうだね…。何となく…漠然とした不安なのだけれど…ロイドと、時々話しをしてくれないかな…」
シュナイゼルの言葉にカノンは少し、感心したような表情を見せる。
やはり、シュナイゼルだと…。
「承知致しました…。ルルーシュ様も現在、入院中ですし、様子を聞きがてら、世間話でもしてまいります…」
そう云って、頭を下げた。
シュナイゼルがルルーシュをそこまで愛している理由は解らない。
ギネヴィアに至ってはもっと解らない。
それでも、今目の前にある事が…全てだ。
カノンの中で迷いがある事は…。
敢えて、無視する。
気付かなければいいだけの話しだと思うから…。
その心のひずみが、何れ、その後の結果に大きく反映される事になるが…。
それはまだ先の話しである。

 シュナイゼルが一息ついているところを見てカノンは口を開いた。
「シュナイゼル様…ユーフェミア嬢の事ですが…」
「ああ、あの子は幼い頃にルルーシュの婚約者と決めた相手だからね…。私も頭の痛いところだよ…」
紅茶のカップを手にしながらシュナイゼルがそう零した。
その先の策を何重にもかけてある人物が云うセリフとは思えないが…。
「その事ですが…。ユーフェミア嬢は確か、ジュニアハイスクールを卒業したら日本に居らっしゃるのですよね?」
「ああ、そう聞いているね…」
「でしたら、帰国後、あのマンションに彼女に暮らして頂いては?流石に世間体が御座いますから、同じ部屋…と云う訳にはいかないでしょうが…元々はランペルージグループの持ちものですから、先方も悪い顔はしないかと…」
「なるほどね…流石カノンだね…」
シュナイゼルがそう云うと、シュナイゼル自身、何かを思いついたらしい表情を見せた。
その表情を見て、カノンも何となく察した。
「では、早速ブリタニアに連絡を入れますね…」
そう云って、カノンが部屋を出て行こうとすると…
「それと、ルルーシュにも教えてやってくれ…。ルルーシュも彼女の事を大切にしていたからね…。流石に今すぐ同じ部屋で…と云う訳にはいかないけれど…いっそ、既成事実でも出来てしまえばね…」
親の云うセリフとも思えないが…。
ただ、シュナイゼルの云っている既成事実が、本物であっても困るが…。
それでも、シュナイゼルとしてはルルーシュが逃げられないようにしたいのだろう。
これが、親ではなく赤の他人であったなら、犯罪にもなりかねないが…。
尤も、シュナイゼルの立場なら、それを犯罪にしない方法などいくらでもある。
「現在、ルルーシュ様はあのマンションの最上階の1室を使われていますが…もう一つの部屋はあいております…」
「空いている…と云うよりも、ギネヴィアが入れさせなかったのだろう?確かに、ルルーシュがあの部屋で一人暮らしていて、同じフロアには2つしか部屋がないともなれば…危険極まりないね…」
「では、ユーフェミア嬢でも…」
「彼女なら大丈夫だろう…。だから、ギネヴィアが彼女に対して色々しているのだろうし…。それに、あのギネヴィアが本気でルルーシュの妻に…などと考えているとも思えない…」
シュナイゼルの指摘は…本当に的を射ている。
そして、相手の行動を先読みするのが本当にうまい…。
確かにこの、ルルーシュへの独占欲の強い両親たちが…ルルーシュの結婚を望んでいる訳がない。
跡取りの問題などはあるかもしれないが、それこそ、互いに心の入っていない結婚で、子供だけ生んでくれればいい…くらいに思っているのだから…。
そして、カノン自身、シュナイゼルがどんな目でルルーシュを見ているのかを知るから…。
それは、前世からの話しだ。
それが解っているから、この先、ルルーシュを取り巻く環境は次々に変化していく事になるだろう。
かつて聞いた言葉…それを思い出すと、やはり、シュナイゼルの中では…。
その言葉はカノンの中で強く残っていて、その言葉があるから、カノン自身、自分の気持ちを敢えて、気付かぬ振りをし続けているわけなのだけれど…。
「シュナイゼル様…そろそろお時間の様です…。これから私はブリタニアに連絡を淹れて来ますが…」
「やれやれ…面倒な話しだね…。正直、私はあの夫人が苦手でね…」
「そんな事を仰らずに…。これも公務だとお考え下さい…」
そう云って、二人は苦笑して、それぞれの仕事に向かって行く…。

 そして、時差のお陰であまり常識的ではない時間に国際電話がかかってきたが…。
基本的にそんな事を気にしていたら、こんな大企業のトップの秘書などやっていられない。
「……本気か?」
『御心配ですか?』
「私が…何の心配をするというのだ…」
コーネリアが時間の問題ではなく、話題に対して不機嫌な声を隠そうとせずに答えた。
『ならばよろしいのですが…。大丈夫ですよ…。きっと、彼女の世話役の方がいらっしゃるでしょうし、ルルーシュ様のお部屋のお隣ですから、セキュリティ面での問題はないかと…』
「私が云っているのはその事ではない!」
色々と懸念を持つコーネリアが電話の向こう側の相手に対して怒鳴りつけた。
自分自身でも解っている。
本来、自分の立場を考えた時にその様な感情を持つ事は、許されていない事は解っているものの…。
人の感情とはそこまで簡単なものではないのだ。
『大丈夫ですよ…。互いの主の見ているものは彼女ではないのですから…。貴女は今は貴女のお仕事を全うしていればいいですよ…。必要なら、彼女の事をギネヴィア様を経由せずにお伝えしてもよろしいですよ?』
電話の向こうのカノンの言葉に、コーネリアはまた、眉間にしわを寄せる。
「一体…何が目的だ?何が取引材料となる?」
確かに、カノンが何の目的もなしにこんな話を持ちかけてなど来る筈がない。
『今のところは…ツケでいいですよ…。今はその時ではないので…。貴女個人にとってはきっと、ルルーシュ様よりも彼女の事の方が気になるのでしょう?互いが互いに役に立つと思われる内は同盟関係と行きませんか?』
カノンの言葉にぐっと唇をかむが…。
しかし、カノンが云っている事は理にかなっている。
「いいだろう…。高くつきそうだがな…」
『そんなに警戒しないで下さいよ…。私としては貴女がそういて下さるのは有難い事ですから…。それに、きちんと互いの願いを叶えられればいいのでしょう?まずは、協力出来るところは協力しないと…』
本当に何を考えているか解らない相手だ。
自分の仕えている主も狡猾だとは思うが…。
それでもそれを考え始めたらキリがない。
「解った…。とりあえず、その部分に置いてはカノン…お前と手を組もう…。そして、その事以外での協力関係は持たない…。その条件でお前の云う事に乗ってやる…」
『それで十分です。有難う御座居ます。ペンドラゴンは普通に電話をする時間ではないとと解っていてこんな時間に申し訳ありませんでした…』
「否、それは構わん…。そちらの情報…必ず伝えろよ?私は今日、ギネヴィア様にその事をお伝えする…」
そう云って、あまり気分が良いとは言えない電話を切った。
そして、大きくため息を吐くのであった…。

 そして、その頃、もう一つ、内緒話がされていた。
「すみません…呼びだすような真似をして…」
「別に気にしなくてよろしい!で、私は何をすればいいの?」
ミレイの言葉に…正直、本当にせっかちだと思ってしまうけれど…。
話しが早いのは助かる。
「ちょっと…ルルーシュを拉致しようと…思いまして…」
物騒な言葉…。
多分、傍から見ていると何の相談なんだ???と尋ねたくなるような会話の内容だ。
しかし、ミレイの方は…
「なるほど…。会えないなら、拉致っちゃえばいいって事かぁ…」
「驚かないんですか?」
「今更あんた達のやる事に驚いていたら、やってられないわよ…。それに、それは私が記憶を取り戻しているからした相談でしょ?」
ミレイがスザクに訊ねる。
スザクの方もその通りだから、否定はしない。
「確かに…。ジノには頼めませんし…」
「本当は、私よりもジノの方が都合はいいわよね…。私もマンション、出入り禁止になっちゃったし…」
「やっぱりですか…。僕もカノンに会ってからダメなんですよ…実は…」
「まぁ、ある意味仕方ないけれどねぇ…。それでも、彼の担当医がロイド伯爵だったのは救いよね…」
「また、迷惑かけちゃいますね…」
スザクが少しだけ俯いてそう云うと…。
ミレイがスザクの顔を上げさせてスザクの両頬を思いっきり引っ張った。
「いだだだ…いはいれふ…」
「そう思うなら…今度こそ、ちゃんと話しあいなさい!そして、二人で笑って私に会いに来なさい!」
そう云い終わった後、ミレイがスザクの頬を放してやった。
「有難う…御座居ます…」
「ホントにそう思ってるのかしらね…。ルルーシュもだけど、あんた達がそう云った時って大抵ウソだからなぁ…」
「そんなことありませんよ…。ルルーシュはそうかもしれないけど…」
「でも、云っただけなら一緒よ…。感謝も謝罪も…口にしたなら必ずその言葉に責任を持ちなさい…。それを云った相手に…同じ悲しみや苦しみを与えない事!」
まるで…あの頃の彼女の説教の様で…。
思わず笑みが零れてしまう。
「解りました…」
「よろしい!後は魔法の言葉をあげるから…。きちんと有言実行しなさい!」
本当に…凄い人だと思う。
あの頃も…彼女のその存在だけで、ルルーシュもスザクも救われていた…。
そして、きっと、様々な事情を知る中…彼女は前線で戦っている自分達よりも遥かに苦しんでいた…。
「はい…。有難う御座居ます…ミレイ会長…」
スザクのその呼び方に…ミレイは少し驚いたようだけれど…。
それでもすぐに表情を戻し、ミレイが大きく息を吸った。
「ガァァァァァァッツ!」
スザクの耳元で大きな声で叫んだ。
他に聞こえているに違いないけれど…。
でも、きっと今なら失敗を引きずっている部下を励ましている上司の姿にしか見えないだろう。
「耳元は…辛いです…」
流石に耳元で大声で叫ばれてはきついだろう。
「あんたがくじけそうになったら、何度でもこれをやってあげる!嫌なら強くありなさい…。お互いに求めているのなら…もう、周囲にあんな涙を流させないで…」
その言葉の重みは…スザクになら解る。
見て来たものだから…。
だから…少し切なげな笑みを見せることで返事とした。
ミレイも同じような笑みを見せたから、スザクは先に歩を進めて行った。

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

2010年09月27日

It's Destiny34

大人達の陰謀



 ジノから手渡された…その箱…。
そして…その中に隠す様に入っていた手紙…。
「あのスザクが…手紙…?」
記憶を取り戻しているからこそ…出てくる言葉だ。
そう思った時に苦笑してしまう。
確かに…今の状態ではこうした形で連絡を取る事が出来ない状況であるけれど…。
今の自分では…。
ここまで、そんな事を考えて、動けずにいた…。
封筒の中に入っていたのはシンプルな便箋1枚だけ…。
その手紙には…。
『ルルーシュへ
大丈夫かい?
今はこんな形でしか、君に僕の意思を伝える事が出来ない。
でも、もう、諦めないから…
スザク』
その短い文章が書かれているだけだった。
それを見て、ルルーシュは苦笑した。
―――こんな文章…俺に記憶が戻っていなければ…きっと解らないだろうな…。まぁ、あのスザクが長ったらしい手紙をかけるとは思えないが…
それでも…。
その短い文章を見て…。
ここまでの自分を見ていて…記憶を取り戻しても、忘れている事があった。
そして…それを思い出させるには充分なスザクの短いメッセージだった。
一番肝心な事を忘れていた。
そんな腑抜ていた自分に対して嘲りたくなる。
自分で自分が嫌になる…。
それを、目覚めさせてくれたのは…やはり、スザクだった。
「礼を云うよ…スザク…。俺ももう…逃げたりしない…。どんな手を使ってでも…」
そう、口の中で一言…呟いた。
あの頃の…正直な気持ち、素直な気持ちを…。
スザクは話してくれた。
そして、ルルーシュのこれからの『罪』への償い方も…指示してくれた…。
そんな気がする。
こちらの世界で、何故か、記憶を持っていたロイドとミレイにも…。
説教されている始末だ…。
特にロイドは毎日顔を合わせているだけに…。
この手紙を目にしたら…。
「ロイドはなんていうのかな…」
そんな事を考えてしまっている。
あの時の自分は…。
それこそ、何を犠牲にしても、何を失っても…。
そんな気概があった。
現在のこの恵まれ過ぎた環境の中で…きっと、あの頃の『罪』と云う口実も手伝って、自分自身を見失っていた様な気がした。
この時代で…スザクと出会い、そして、記憶を取り戻したその意味は…。
そして、彼女…C.C.が現れない意味は…。
それを考えた時に…自分自身の力でなんとかしろと云う事…。
自分の『罪』くらい、自分で何とかしろと云う事…。
そして、ただ、その『罪』を口実に、動かない事は…自分達を知る者たちに対して、更なる要らぬ『罪の意識』を抱かせる事…。
その短いメッセージを…もう一度読み直す。
本当に、本当に短いメッセージ…。
しかし、その短いメッセージの意味するものを…。
ルルーシュだから知る事が出来た…。
そう思える。
記憶を取り戻したルルーシュだから…。
一度、ナースコールを押した。
そして、すぐに看護師が応答してきた。
「すみません、ロイド医師を…呼んで頂けますか?」
今、頼れるとしたら…彼しかいないと思うから…。
その名前を出した。
そのナースコールの後…すぐにロイドが入ってきた。
そして、ルルーシュの顔を見たロイドが少しだけほっとした顔をした。
「やっと…お気づきになられたんですねぇ…」
ルルーシュは黙って頷いた。

 一方…手紙を渡されたジノであったが…。
翌日の出勤日の朝…。
「スザク…云われた通りに渡して来たぞ…」
「あ、そうなんだ…。有難う…。色々面倒な事を頼んでごめん…」
スザクはそんな事を云いながらも、この先も色々と云って来るに違いないという顔をしている。
ジノ自身、『乗り掛かった船だ…』と云う気分なのだろうけれど。
「アイツ…随分変わったなぁ…。お前と会ってから…じゃないのか?」
ジノの言葉にスザクは苦笑する。
スザクに会ってから変わった事は確かかもしれないけれど…。
今のルルーシュは…それまでジノの知っていたルルーシュとは違うのだから…。
同じだけど…違う…。
「そう…なの…?」
一応…そう訊ねてみる…。
ルルーシュが変わったのは…明らかに変わった理由は…。
「ああ…。少なくとも…誰かに手紙を託す…なんて事をするような奴ではなかったと思うけれどな…。その必要性も感じていなかったみたいだったし…」
そう云いながら…ジノはルルーシュから渡された手紙をスザクに見せた。
それを見て、スザクが表情を変える。
「それ…ちゃんと用意していたみたいだ…。後で…読んでやれよ…。何とか、メッセンジャーになれるように頑張ってみるからさ…」
そう云って、ジノはスザクに手紙を渡して、自分のデスクに着いた。
スザクも…その手紙をじっと見つめていた。
―――あのルルーシュが…手紙を…?
お互いに気づかないけれど…。
知らないけれど…。
同じ事を考えてしまう。
実際に、相手を知っていれば、こんな形での意思のやり取りなどした事がない。
互いにこんな形で意思のやり取りをする日が来るなど…考えた事もなかった。
正直、笑えて来るけれど…。
それでも、今のこの、完全に限られた空間の中で…環境の中で…。
今、彼らに残されているコミュニケーションの方法は…これだけだ…。
ジノだって、この先、自分の実家の事があるのだし…。
ジノ自身…恐らくその自覚はある。
そして、現在、こうした事に手を出す事の危険性を…自分に降りかかって来るものを…恐らく承知の上で…やってくれている。
それを解っていても…。
ルルーシュに送った…短いメッセージ…。
―――今のルルーシュなら…気付いてくれているよね…。なら…僕も…もう、縛られたりはしない…。
手紙を読みながら…そんな事を思った。
これは…恐らく、ルルーシュの何の飾りもない言葉だ…。
スザクの送ったメッセージほど、簡単なものではない。
でも、そんなそれなりの長さで書かれているそれは…。
ルルーシュのシンプルな気持ちだと…そう思える。
相変わらず、几帳面な字を書く。
罫線の入っていない便箋なのに…。
綺麗に真っ直ぐに書かれている。
どうしたらこんな芸当ができるのかと思えてしまう程だ。
それを読み終えて…スザクがミレイが出勤してきた事を確認した時に…。
「ミレイ部長…」
スザクが声をかけた。
「あら、おはよう…。どうしたの?」
相変わらず明るい声での応対…。
昔から変わらない…。
恐らく、迷惑をかける事になるけれど…。
でも、それでも、もう、諦めないと決めたから…。
「えっと、昼休みに時間を頂けますか?例の事で…ちょっとご相談があるのですが…」
その言葉に…ミレイはちょっとだけ驚いた顔を見せて…。
そして、スザクがアッシュフォード学園に戻ってきた時にナイトオブラウンズになったスザクを心配していたミレイと同じ雰囲気となった。
「覚悟が…出来たのかしら?」

 ルルーシュとスザクがそんな形で秘密裏にコミュニケーションをとっている頃…。
確かに多忙を極めているルルーシュの両親ではあるが…。
それでも、そう云った監視については決して手を抜く事はしない。
だからこそ、ルルーシュもデジタル媒体での意思の疎通は危険と思ったのだろう。
今のところ、シュナイゼルにもギネヴィアにもその事は感づかれていない。
しかし…。
彼らは彼らなりに動き始めている。
「ギネヴィアおばさま…お久しぶりです…」
「お久しぶりね…。お元気そうで何より…」
一人の少女とルルーシュの母であるギネヴィアがブリタニアのランペルージグループの本社ビルの応接室で面会している。
「私も…ジュニアハイスクールを卒業したら…日本に戻るんです…。また…ルルーシュに会えるかしら…」
「そのお話しなのだけれど…。あなたの御両親にも正式にこちらから御挨拶しようとは思っているのだけれど…。まず、あなたの意思をお訊きしたくて…」
ギネヴィアが少女に対して色々な思惑の中…話しをしているのだけれど…。
その少女はそのギネヴィアのその話しを聞いて、ぱぁぁぁぁっと花が咲いた様な表情を見せたのだ。
「え?それは…」
「ええ…ルルーシュももう15歳ですもの…。一つ年下のあなたなら釣り合いもとれるでしょう?それに、あなた達は小さい頃から…とても仲が良かったから…私はずっと、ルルーシュのお嫁さんに…って考えていたの…」
ギネヴィアのその言葉に、その少女は顔を赤らめる。
「お…おばさまったら…」
「何れ、あなたには『お義母さま』って呼ばれるのを楽しみにしているのよ?」
ギネヴィアがにこりと笑って少女に云うと…。
ギネヴィアは心の中でにやりと笑う。
勿論、ギネヴィア自身、ルルーシュを手放す気は毛頭ない。
彼女はルルーシュを繋ぎとめておくための鎖でしかない。
彼女を自分に傾倒させておけば…。
そう云った目論見があるのだ。
「おばさま…私…早く日本に帰りたいです…。ルルーシュに、その事を報告しないと…」
「あ、でもあの子も今年は受験でしょう?少しナーバスになっているみたいだから…。あなたが日本に帰った時に驚かせて見せて頂戴…。あの子、中々表情を崩さないから…二人で驚かしてみましょ?」
「あ、そうでした…。私ったら…」
「いいのよ…あなたにそこまで思われて、ルルーシュも幸せだわ…。きっと、あなたならいいルルーシュのパートナーとして支えて下さるわね…」
本当に…息子を大切にしている母親だ…。
これだけ見ていれば…。
ただ、彼女の心の奥底を知るものが見れば…。
こんな年端もいかない小娘を騙している汚い大人にしか見えない。
尤も、この世界でこうした形での政略結婚は当然の様にある。
「シュナイゼルも、あの子の事が可愛いらしくて…色んな意味で大変な舅になりそうなんだけれど…。大丈夫…。私があなたの味方よ?そして、ルルーシュも貴方を守ってくれるわ…」
「は…はい…。私も…ルルーシュに大切にして貰えるように…頑張ります…」
「有難う…」

 そんな会話を交わしながら…暫くして、その少女は帰って行った。
それこそ、幸せ絶頂の顔をして…。
そんな彼女を見送った後…応接室に入ってきたのは…
「社長…本当によろしいので?」
「何かしら?コーネリア…」
「その…まだ14歳の…」
「あら…もう14歳よ…。この婚約は既に決まっていた事だし…シュナイゼルも承知している事よ?先に手を打っておくのは当然でしょう?」
「しかし…ルルーシュ様は…」
「あの子に伝えるのはすべてが整ってからでいいわ…。実際に今はあの子は受験生ですもの…。本当はペンドラゴンの私の屋敷からアッシュフォード学園のペンドラゴン校舎に通えばよかったのだけれど…」
「それは…」
「解っているわ…。だから、こうして手を打っておくの…。あの子自身、解っている筈よ?将来あの子が進むべき道を…」
そこまでギネヴィアに云われて…。
コーネリアも黙ってしまう。
正直、こんな大人の世界の話し…と云う風に云い切ってしまうのは簡単だけれど…。
彼の生まれた家、彼女の生まれた家と云うのは…そう云うことを運命づけられた家なのだ。
「しかし…社長はルルーシュ様をお手元から手放す気はないし…彼女をルルーシュ様の跡取りを生んだ後は…用済み…くらいに考えているわけでしょう?」
「あら…そんな酷い事は云わないわ…。ただ、彼女がルルーシュを裏切ったという時には全力で排除するわ…。恐らく、シュナイゼルも私と同じ事を考えるでしょうけれど…」
そのセリフに…。
コーネリアはぐっと拳を握る。
確かにそう云う世界だ。
解っていて、コーネリア自身、こうした世界での仕事を選んでいるし、こうした職業を求めている者の中では最高レベルの位置に立っているのだ。
解ってはいても…。
無邪気に笑う彼女を見ていて…心が痛む…。
―――私はまだ…未熟ゆえに…そんな風に思うのだろうか…
コーネリアの中でそんな事を思う。
「まぁ、あの子との面会も終わったし、次の商談の予定は?」
「この後、17:30より、Rレストランにてブリタニア代表との夕食会が設けられております。時間にして2時間程の会談になるかと…」
「また…今度はいくら請求されるのかしら…。まぁ、その分はちゃんと見返りは頂くけれど…」
ため息を吐きつつも、その先、絶対に自分達の損害を出すつもりはないという顔でそんな事を呟いている。
「早々…ユーフェミア嬢にちゃんと、お花でも贈っておいてちょうだい…。あの子をちゃんと手懐けておかないとね…」
ふっと笑いながらコーネリアに命じた。
ギネヴィアのこの物云いに対して色々思うところはあるらしいが…。
任務に対しては忠実なコーネリアに出来る事は、命じられた花を彼女に贈る事だけ…。
「承知致しました…。何をお贈りしましょうか?」
「そうね…あなたの見立てに任せるわ…。あなたに選んで貰うと、あの子、本当に嬉しそうな返礼をくれるから…」
本当に…彼女自身を見ていないギネヴィアに対して…。
色々な思いを抱えてはいるものの…。
それに逆らう事はコーネリアの中のポリシーが許さない。
「承知致しました。では、これから、その手配をしてまいります…。会談の準備までには戻ります…」
「お願いね…」
そう云って、コーネリアはその応接室を出た。
その表情は…何か、やるせない思いを抱いているような…そんな表情だった…。

 一通りの手配が終わり…一息ついたところに…。
「あら?ミススペンサーではありませんか…」
「その呼び方はやめないか…カノン…」
頗る機嫌を降下させる相手が出てきた…。
正直、あまり、気持ちのいいとは云えない仕事の途中なので、出来ることなら神経を使いたくはなかった。
「と云うか、日本にいなくてよいのか?しょっちゅう妙なところで会っている気がするぞ…」
「今日の会談、シュナイゼル様も同席されると書いてあった筈ですが?」
ごちゃごちゃと嫌な事ばかりを考えていて、正直、完全にその情報は頭の中から吹っ飛んでいた。
「そうだったな…。なるほど…」
今回ギネヴィアがあの少女に会った理由が何となく解った。
かなり多忙なギネヴィアだ。
そこで、中学生の小娘とゆっくりお茶などされても秘書の立場では困るのだ。
しかし、そこで、これまでの忙しさの中で完全に記憶が断片化されているのをしっかりとあてはめてつなげる事が出来た。
「何かあったのですか?」
何を考えているかよく解らないカノンにこんな事があったとは言えない。
恐らく、それはシュナイゼルへのけん制の為のものでもあるのだから…。
きっと、しかるべき時にシュナイゼルに伝える事になっている筈だ。
「否、部下の失敗の尻拭いをさせられて、参っているんだ…」
「へぇ…ミススペンサーでもそんな事があるのですね…」
意味深に笑うカノンの表情に…正直、気分が悪くなりそうだ。
「とりあえず、私は用を済ませたので、社に帰る…」
「そうですか…。会談の時にお会いしましょうね…」
「互いに笑える結果だといいのだがな…」
その一言だけ置いて、コーネリアが踵を返した。
本当に今日はあまり気持ちのいい仕事をしていたとは思えない。
それに、この後に残っている仕事も…。
この仕事を選んだのは自分だ…。
ここで何を迷っているのだ…。
こんな事はこの世界では日常茶飯事だ。
あの少女だってそう、育てられている筈なのだ…。
自分の勝手な思い込みで勝手な事を考えること自体…間違っている。
そう考えているけれど…。
そう思っているのだけれど…。
あの無邪気に笑う少女が…いくらそう育てられているとは云え…大人の都合の中で、翻弄されて行くのだ。
しかも、ギネヴィアのやっている事は…
―――会社の為ではなく…彼女個人の為…。
そうまでされて、愛される事が幸せであるのか…。
否、愛情表現として間違っているとも思っている。
でも…それを進言する事は…コーネリアには出来ないのだ。
とりあえず…。
この先、あの少女は確実に様々な物に翻弄されて行く事になる。
ギネヴィアのお気に入りとしてルルーシュの妻の座に着くのだとしたら…。
―――せめて…傷ついた時に…泣いている時に…ハンカチを渡してやる事くらいは…私にもできる…
そうおもって、今は自分を奮い立たせる。
これが、シュナイゼルの手に落ちてしまった場合、コーネリアではどうする事も出来ない訳だが…。
それにしても…。
―――あんな子供が翻弄されなければならないだなんて…。あのお坊ちゃんも、お嬢さんも…因果な家に生まれてしまったものだ…。
ただ、そう思えて来たのだった…

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

2010年09月13日

It's Destiny33

託すもの、託されたもの



 ノックされて…その後、扉が開いた。
「どうも…御無沙汰しています…」
そう云いながら入ってきたのは…ジノだった。
その姿を確かめてロイドが、ルルーシュの方を見ながら云う。
「じゃあ、僕は退散しますからね…。くれぐれも、無理はなさらないで下さいね…」
そう云ってロイドが病室を出て行き、病室の中にはルルーシュとジノだけとなった。
ルルーシュは…記憶を取り戻してから初めて…ジノと会った…。
記憶を取り戻してしまうと…少しだけ…複雑だ…。
「えっと…わざわざ、すみません…」
ルルーシュはあの頃は後輩だった筈のその相手が、年上になっている事に…何となく違和感を覚える。
相手には自分の記憶はない。
ただ、彼の実家の取引先として、そして、政財界の大物の息子に対しての…社交辞令に過ぎない。
「なんだか…昔から、年相応に見えませんよね…。なんで、そんなに気を使うんです?君なら、別に、どんな我儘を云ったところで、最終的には許して貰えるでしょう?」
確かに…。
その通りなのかもしれないけれど…。
ただ、それは、人として我儘を云っても許されるのではなく、ルルーシュにはルルーシュの両親と云うバックボーンがあるからだ。
マオがもし、そんな我儘を云ったところで誰も相手にはしない。
「別に…俺の力でその我儘を聞いて貰えるなら、我儘を云いますが、俺には、何の力もない…。凄いのは俺じゃなくて、俺の両親だ…。誰かの威光の傘の下で威張り散らしたところで、何の意味もない…」
そんなルルーシュの言葉にジノが苦笑を洩らした。
本当に…子供らしくない…。
ジノの思いはそんなところだ。
「なるほど…。君も大変ですね…」
「と云うか、何故俺に敬語を使っているんです?」
「勿論、将来の為…」
「解り易いですね…。そう云う人は嫌いじゃありませんけれど…。でも、その将来の為になるかどうかは、微妙なところですよ?」
ルルーシュのその一言に…ジノが少しだけ表情を変えた。
確かに、将来、ルルーシュはランペルージグループと国会議員の席を継ぐと思っているから…彼はここに来ているのだろう…。
それは、ルルーシュにも解っている事だ…。
ただ、ジノの反応の意味は違っていた。
「まぁ、君の場合は、別に親の基盤を継がなくても何でもできそうだけどな…」
突然、敬語をやめた。
今度はルルーシュの方が反応に困る事になる。
正直、同じマンションに暮らしていても、殆ど話す事はないのだ。
「えっと、まずはスザクからの託と頼まれごとを済ますから…。だから、今、俺はスザクの友達って事で…」
ジノの云っている事は…。
確かに、スザクとジノは同じ会社の同僚だと云う事は解っているけれど…。
でも、こうして話しを切り出されたのであれば…ルルーシュとしても話しは速い。
「スザクからの…託と頼まれごと?」
ルルーシュがそう、尋ね返す。
ジノはそんなルルーシュを見て、ふっと笑った。
「アイツも、俺にこんな事を頼むなんて、相当必死なんだな…。本当に…アイツ、お前の事、大事に思っているんだぞ?」

 本当に年上と年下…。
そんな言葉づかいになった。
「これ、お前にって…。アイツ、犯罪まがいの事をして、これ、ルルーシュに届けてくれって…」
そう云いながらジノは包みを一つ、大きな紙袋の中から取り出した。
そして、ルルーシュに手渡す。
ルルーシュがその包みを開けると…
「あ…これ…」
それを見て、ジノの『犯罪まがい』な事の意味が解った。
と云うか、『犯罪まがい』じゃなくて立派な『犯罪』だ。
「まぁ、俺も一応、協力はしたんだけどな…。スザク…どうしてもこれを渡したかったみたいだ…」
そう云われながら…ルルーシュはその箱を見つめる。
ひょっとしたら…と箱を開けてみると…。
「あ…これ…」
ずっと、この箱の中に入れておいたあの…折り鶴のストラップ…。
どうして…これほど大切にしていたのか…。
あの時、マオの態度に、そこまで逆上した意味が…。
今なら…解る…。
あの頃…そう…この時代に生まれるよりもずっと以前から…。
この折り鶴は…ルルーシュにとって…本当に…本当に大切なもの…だから…。
あの時のスザクには記憶がなかったけれど…。
でも、頭の中では覚えていなくても…。
何かがそれを選ばせたのだろうと…そう思う。
正直、何故、自分達がこのような形で記憶が戻り、生きているのか…。
誰に何を云われたところで解りはしない。
「それさ…スザクがどうしてもお前に渡して欲しいって…。しかも、何か、他にも渡したいものがあったらしくて…。何か小細工してから俺に渡して来たんだ…」
「小細工???」
「まぁ、アイツがそれほど複雑な事をするとは思えないんだけれどな…。俺、正直、スザクがあんな風に何かに対して執着するとは思わなかった…」
ジノの言葉に…ルルーシュは『え?』と驚いた顔を見せる。
そんなルルーシュの表情に、ジノは『手のかかる奴だ…』と云う表情を隠そうともしない。
それでも、会社のスザクを知らないだろうし、この二人が出会ったのはつい最近だ。
「アイツさ…ホントに欲がないって云うか…自分でしたい事も欲しい者もないって感じでさ…。仕事も、本当にただ、生きる為にやっている感じだった。やらせればあんな風に愛想のいい奴だから営業成績は良かったんだけどさ…」
ジノがここまでの知らないスザクの事を話し始める。
ルルーシュ自身、ジノの話しに興味を持つものの…。
なんだか、面白くないと云った…結構複雑な表情になっているのは、ジノしか気づいていない。
あえて、ジノはそんなルルーシュの表情を無視して話しを続けた。
恐らく、ルルーシュはこの話しを聞きたいと思う。
だから、からかうのはその後でいいと…。
ジノは思ったのだ。
そのくらい、ルルーシュの表情は様々な感情が入り混じっている様に見えたのだ。
「アイツさ、既に両親が他界しているんだ…。で、身寄りもないらしくって…。あんなに愛想よく人と話す癖に、その笑顔で人を遠ざけているんだよなぁ…。俺なんかは、結構しつこく付きまとっているんだけど…。アイツ…俺に対しても確実に壁を作っているんだ…。そのスザクがさ…俺に頼んで来たんだ…。それを…お前に渡してくれって…」

 ジノのその言葉…。
ルルーシュの知らない事実だった…。
この時代でも…スザクは両親を亡くしていたのか…と…。
「スザクは…あなたに対して…何でも…話すんですか…?」
少しだけ…落ち込んだように…顔を隠すように下を向いて、ジノに尋ねた。
そんなルルーシュにジノはとりあえず、答えてやらなければならないと…。
そんな事を考えていた。
「否…俺が勝手に詮索したんだ…。スザクは絶対に他人に自分を見せたりはしない。それは、俺も感じているんだけど…。でも、お前に対してだけは…違っていた…」
そう云いながら、ジノはルルーシュを見た。
クールに見えていて…結構可愛いところがあるじゃないかと思う。
妙な仲間を自分のマンションに連れて来ては、時に追い出して…警察が駆けつける事もあったり…。
そんな、妙に、問題児に見えていた事もあったけれど。
それでも、こうして話していると…随分以前にルルーシュを行き掛かりとはいえ、助けた翌日…。
律義に感謝の品をジノに持ってきた時と大して変わってはいない…。
そんな風に思えてきた。
黒く見えても…。
それは表面だけの話し…。
中までは黒くなれない…そんな風に見えた。
少なくとも、ジノから見ている印象は…そうだった。
「それは…どう云う…」
ルルーシュが思わず、ジノの言葉に対して、尋ねた。
「ああ、アイツは執着がないとか、欲がないとかじゃなかったってことさ…。アイツは、人が数多く持つ執着とか欲とかを…全部お前に向けていた…って感じだ。ルルーシュ=ランペルージ個人に対して…」
ジノの言葉…。
いつも、ランペルージの名前で関わって来る人間の云う事を信じる事が出来なかったけれど…。
でも…。
そんなルルーシュの気持ちが、表情に出ていたのか、ジノがクスッと笑った。
「そうか…やっぱり、ちゃんと、年相応なんだな…」
笑いながらそんな事を云った。
正直、その一言の意味がルルーシュには良く解らないのだけれど…。
「否、いつもお前見ていてさ…結構きつそうだなぁ…って思ってたし…。ほら、時々、お前の学校の先生だろ?あの変な頭の男…。マンションに来るの…時々みかけていたんだけど、いつも青ざめて来ていたもんな…」
ジノが云っているのが扇の事だと解った。
にしても…
―――変な頭って…。
「仕方…ないでしょう…。本当は扇先生も気の毒なんです…。あの先生、権力に対して反発しているみたいで…権力・財力が自分のものではなくとも、その存在で影響力を持つ俺の担任ですから…」
「ああ…組合か…。ま、どこにでもいるさ…そう云うのは…。ただ、ランペルージグループの御曹司の担任にしたのは校長のミスじゃないのか?媚びる教師が担任でも困るが、あれだけ私情を挟んで生徒の家庭訪問に来ているってのもなぁ…」
やはり…この男もちゃんと人を見ている…それがルルーシュの印象だ。
「そんなに…苦痛に満ちた顔をして…マンションに来ているんですか…。まぁ、俺と接する時の態度は、解りますけれどね…」
「ああ、そうだったのか…。ある意味解り易くて扱い易いって事か…」

 ジノが笑いつつも、呆れたとばかりにそんな事を云った。
まぁ、どこの組織にも権力に対しての反発勢力と云うのはいるものだ。
それは、役所であれ、民間企業であれ変わらない。
ただ、民間企業である場合、その組織が存在することでそれ相応のリスクを抱える事にもなる。
解っていても、その存在を認めているのは、現在、民主主義が大勢を占めているからだろう。
ただ、そう云った事を考えたり、云ったりすること自体は自由であったとしても、交渉の際にそう云った自分勝手な感情を向ければ負けになる。
恐らく、ルルーシュのその担任もその感情に走って負けるタイプだ…と思った。
私学の教師と云う事は公務員ではない。
スト権を持つ代わりに、そう云った思想の持ち主に対しては雇う側もそれ相応の注意を払う。
その筈なのだけれど、そう云った私情に走る権力者への抵抗勢力の一員をルルーシュの担任に据えるこの人事は、流石に驚きを隠せないのだけれど…。
「そんな事を云いに来たんですか?」
ルルーシュのその一言でジノが我に返った。
「いいや…そんなんじゃないんだけどな…。本当は、スザクに頼まれなけりゃ、こんな風にお前と話す事もなかったし…。と云うか、お前、大人だな…。少し子供になれよ…」
ジノが少し、大人びた笑みを見せながらそう云った。
確かに、ジノもルルーシュの複雑な環境を解っている筈だし、今、こんなところにスザクと会えない状態で、親が手を回して、スザクがマンションに入る事が出来ない状態にされてしまっているか、解っているのだけれど。
「そう…ですか…?」
「そうだよ…。本当なら、俺さ、本当はヴァインベルグ家の使いとして来ているんだ…。それでも、ルルーシュ≂ランペルージに対してこんな言葉遣いをしているってばれたら、どうなるか解ってるだろ?周囲の俺に対しての態度も変わるし、お前に対しても妙な事を吹き込む奴が出て来る。それでも、俺がこうして話している理由は…解っているんだろ?」
ジノの言葉に…ルルーシュは黙りこんだ。
確かに…今のルルーシュの立場は…。
「あなたは…スザクの事…」
ルルーシュが思わず口にした…その言葉の意味は、恐らくジノには伝わっていない。
これは、ここでスザクが直接聞いていないから云える言葉だ。
「まぁ、いい奴だと思っているし、傍に一緒にいて楽しいけどな…。ただ、スザクが俺をどう思っているか知らない。アイツ、本当に壁を崩さないんだ…。誰にでも愛想良くしているようでいて、笑顔の壁を作っているんだ…」
その一言で…ルルーシュはまた、黙ってしまう。
記憶が戻ったことで解る…スザクがどうしてそんな風になってしまったのか…。
そうさせたのは…自分なのだと…。
その思いがあるから…。
「でもさ、そんなアイツが、『ルルーシュ≂ランペルージ』の事で一喜一憂しているのを見ていて嬉しいし、最近じゃ楽しんでいるよ…。アイツって、あんなに表情が豊かだったんだな…。だから、アイツの中でお前がどういうポジションにいるのか解らないんだけど…それでも、あんな風に表情を変えるアイツを見ていてホッとしたのは事実だな…」

 ジノの言葉に…ルルーシュの表情が僅かに曇った。
それが何を意味しているのか…ルルーシュよりもジノの方が理解したらしい。
ルルーシュの表情の変化にジノが少々引きつった顔をして笑った。
「おいおい…お前がヤキモチ妬く様な事じゃないだろ…。それに、俺、女の子大好きだし…」
ふざけて、からかうようにそう云うと…ルルーシュの顔が真っ赤になった。
それも見ていて面白いと思ったのが…。
記憶のないジノだ。
「べ…別に俺は…」
「まぁまぁ…。その歳でそう思っちゃうのはもったいない気もするけどな…。ま、人それぞれだろ…。とりあえず、俺は今んとこ…スザクの味方だ。スザクがそうしたいって思う事は、出来る限り協力していくつもりだ…」
「今んとこ?」
その言葉に何か引っかかったのか、ルルーシュが訊き返した。
「お前に…解らない筈ないだろ?俺んちだってヴァインベルグと云うグループを抱えているんだ…。流石に、何もかも捨てて、ヴァインベルグで働いている人間を路頭に迷わす訳にはいかないよ…」
その言葉で…。
本当は…こんな風に考えられる跡取りなら…今の自分の両親も嬉しかったのだろうと…そんな風に思った。
「流石です…。俺は…そこまで考えられない…」
「当たり前だろ…。15歳の身空でそんな事を考えられれば、ある意味気持ち悪いし、そんな風に考えられるのは将来、王になることを前提でその為の教育を施された奴くらいだ…。お前は、普通の学校に通って、普通の友達がいるんだろ?それはそれで当然だ。何れ、自分の人生を選ばなくちゃならない時は必ず来る。その選ぶ時に、『あの時こうしておかなかったから、こんな選択しか出来なかった…』なんて思わないようにだけしとけ…」
まるで…兄に諭されている気分になった。
あの頃、異母兄達がいたけれど…王宮にいた時は皇位を争うライバルだったし、ルルーシュは出自のお陰で、複雑な立場ではあったし…。
「有難う…御座居ます…」
ルルーシュがそう云った時、ジノの表情が変わった。
「では、そろそろ、ヴァインベルグ家の代表として…ごあいさつ申し上げます…」
そう…本来ジノはその為にここに来ていたのだ。
「こちらに、ヴァインベルグからの見舞いの品をお持ちしました。思ったよりもお元気そうなご様子に安堵いたしました…。これからも、末永く両家の関係をよしなに…」
ここで、ルルーシュもランペルージ家の長子としての礼を取る。
「わざわざご足労頂き、感謝致します。ヴァインベルグ家の皆様にも御心配頂いた事を御礼申し上げます。もう、随分回復致しましたので、その旨を御当主にお伝え下さい…」
本当なら、この短い挨拶だけで終わっていた筈なのだけれど…。
それでも…こんな形で話す事が出来て…。
ルルーシュ自身、素直に嬉しかった。
「では、これにて失礼いたします…」
そう云って、ジノが背を向けた。
「あの…」
「なんでしょう?」
ルルーシュが呼びとめるその声にジノは、何が言いたいのか、解っていたであろうけれど…敢えて、ヴァインベルグ家の代表として返事をした。
「また、教えて下さい…。お暇な時で…構いませんので…。後…これを…スザクに…」
そう云って、ルルーシュは封筒を取り出した。
ジノはそれを受け取り、笑みを見せた。
「解った…。俺も、二人が会えるように、頑張ってみるから…。だから…早く元気になれ…」
そう云って、ジノは病室を出て行った。
残ったのは…ジノが持って来たヴァインベルグ家の見舞いの品と、スザクから託された…小箱…。
中を開けてみると…ストラップがあり…そして…目に入ったのは…
「手紙…?」
ルルーシュはその手紙を手にとって…じっと見つめていた…

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2010年08月30日

It's Destiny32

過去の自分と、これから



 ジノがルルーシュの面会に行くと云っている日の前の最後の出勤日…。
「ジノ…これ…ルルーシュに会った時に渡してくれる?」
スザクがそう云いながら、ジノにこぎれいにラッピングされた包みを渡した。
「随分、綺麗にラッピングして来たんだな…」
「一応ね…。カモフラージュ…ってところかなぁ…。とはいっても、ジノの家のお見舞いと比べると見劣りしちゃうよね…」
スザクが少し、複雑そうな表情でジノにそう云った。
確かに、スザクのその包みは、市販されているラッピングペーパーに包んで、袋に入れているだけだ。
「まぁ、いいんじゃないのか?ルルーシュだって、中学に友達くらいいるだろ?確か…ルルーシュといつも一緒にいた…マオ…だっけ?ルルーシュに告白しようとしてマオから門前払いを食らっていた女の子…見たことあるし…」
この時代でも、ルルーシュはもてるらしい。
本人に自覚があるかどうかは怪しいところではあるけれど。
しかし、あのマオがルルーシュにあそこまで執着しているところをみるのも中々複雑な者だ。
彼に、あの時の記憶があったのなら…今の様な執着の仕方はしないだろう。
それは…何となく思う。
ただ、どんな気持ちであるにしても、ルルーシュはそんな風に人に求められる事に慣れていない。
あの頃だって、能動的な気持ちはしっかり自覚はしていたくせに、受動的な者に対しては全くと云っていいほど自覚がなかった。
だから、あれほど、ルルーシュの事を想っていたシャーリーに対して、多少、気の毒だと思った事さえもあった。
ただ、スザク自身に譲る気持ちはなかった。
スザクの中で、ルルーシュに対する気持ちがどのように変化したとしても…。
結局、ユーフェミアを殺された後も、その仇を仕留めると云う意味でルルーシュに執着していた。
中々複雑な執着である事は確かであるけれど。
それも執着だ。
そして、スザクの中では常にスザクの敵は『ゼロ』だった。
スザクの憎しみの対象は『ゼロ』であって、『ルルーシュ』ではなかった。
それに気づいた時、既に、ルルーシュはあの時代、存在していない者となっていたけれど…。
だからこそ、こうして生まれ変わって、記憶を取り戻してから、スザクの中で様々な後悔が蘇って来たのだろう。
その場にいた時には、中々気づき難い事であった。
しかし、時間が経って、冷静に物事を分析できるようになると、それまで完全に無視していた事、無視出来ていた事が、頭の中を過って行く事となり…。
そして、こうして、様々な形で悔やんでいる事に気がつく。
「ルルーシュって…もてるんだ…」
スザクがぼそりと、そんな事を呟いた。
本人はその一言を音として表現した自覚があるかどうかは…微妙なところである。
「あの容姿だろ?それにあの、ランペルージグループの御曹司だしな…。で、将来はほぼ、首相の座を約束されているシュナイゼル議員の息子…。玉の輿狙い含めて結構いるんじゃないのか?ルルーシュ狙いの女の子…」
ジノの言葉に、マオがルルーシュに対して独占欲を抱いていたと云うのであれば、ルルーシュを誰よりも大切な存在として位置付けていたと云うのであれば…
―――マオがルルーシュに近付こうとする人間を追っ払って当然だな…
そんな風に思えた。

 ジノはスザクからその包みを受け取りながら…スザクに尋ねてきた。
「これ…あの箱だろ?なんでまた…?」
「それは…ルルーシュが大切にしているものが入っている箱なんだ…。それに、僕も何とか、ルルーシュに伝えたい事を伝えようと思った時には、こう云う物を使うしかないでしょ?」
スザクが少し笑みを浮かべながらそう云った。
ジノの方は、何となく不思議に思いつつ、そして、ため息を吐きながらスザクの言葉の後に着いて行く。
「何?ひょっとして…前、俺が云った中学生にぞっこんって…マジなわけ?」
やや、冗談めかしてジノが訊いて来たけれど…。
スザクは少しだけ、寂しそうに笑った。
「そんな…優しいものじゃないよ…。ルルーシュは…傷つき過ぎているから…。だから…ね…」
意味深な言葉…。
何も知らない者が聞けば、そう思うだろうけれど…。
だから、ジノはそんな風に思うけれど…。
「……。まぁ、良く解らないけど…。お前の方が…何か重たいものを抱えている様に見えるぞ?なんだか…ルルーシュと知り合ってからなのか?それは…」
恐らく、こうして心配してくれているジノに何を話しても、きっと、彼には解らない事だ。
そして、理解する必要はない。
それを求めてもいない。
「まぁ…そうなんだけれど…。でも、それはきっかけに過ぎないよ…。どの道、ルルーシュと出会った時点で、こうなる事は…決まっていたし…。僕自身、今度こそ、きちんと、全うしなければいけないんだ…。独りよがりなんかじゃなくね…」
スザクのその言葉は…ジノの中に更に困惑を植え付ける事になるけれど。
それでも、スザクの中出はそれが真実だ。
困った顔をしているジノを見て、ちょっとだけ、スザクもジノに悪い事をしたと思ってしまう。
「ごめん…ジノ…。余計な事を云って…。でも、それは…頼むね?」
「あ…ああ…それは別にかまわないけれど…。なんだか…凄く重たいものを背負っている様に見えるんだけどさ…。でも、無理にそんな風に重荷を背負う事なんてないんじゃないのか?」
ジノがスザクのその姿にそう、云ってしまう。
その言葉に、スザクは苦笑してしまう。
それは…本当は…ルルーシュの方だと云う思いがあるからか…。
「ジノ、ルルーシュに会った時に、そう云ってあげてよ…。僕なんかよりも、ずっと、ルルーシュに聞かせたい言葉だよ…。今のその言葉は…」
ジノは…かなり幼い頃のルルーシュを知っている。
個人的に話す事はあまりなかったけれど…。
でも、家のつながりなどもあって、結構顔を見ている事はあったし、ルルーシュのその行動を色々観察はしていた。
意識的にしろ、無意識的にしろ…。
だから、みている中での彼のその姿はみて来ていた。
それでも…
―――スザクの方が…俺よりルルーシュと出会ったのは相当遅い筈…。と云うか、つい最近の筈なのに…。でも、なんで、こんな風に、結びつきが強い…様に見えるんだろうか…

 その頃、ルルーシュの方も、ジノがここに来ると云う事を知って…。
何かを始めていた。
とはいっても、持ち込まれる者はすべてチェックされているから…。
だから、大した事が出来る訳じゃない。
それでも、ロイドが時々、お節介を焼いてくれた。
正直、色々知っているロイドが何を考えているか解らず、戸惑ってもいたけれど…。
それでも…ルルーシュの身体に差し障ると判断された事以外は全て、ロイドが協力してくれた。
「ルルーシュ様…あんまり無理しないで下さいねぇ…」
「無理などしていないだろう…。別に、この程度、本来なら入院が必要なものではないだろ?」
「それでもですねぇ…。あの頃も思いましたけれど…。なんでそれほどまでに食が細いんです?良くそんなんで、あのハードな生活を送って居ましたねぇ…」
目の前の男は…。
色々とぐさりと来る事を平気で云ってくる。
それでも、ど真ん中に突き刺さって来る事は云って来ない。
基本的に云われて、カチンとくること来る事くらいしか云われない。
「別に…」
「ルルーシュ様がきちんとお食事をして、適度な運動をしていたら、きっと、スザク君ほど…とまでは行かなくとも、それなりの運動能力はついていたと思うんですよねぇ…」
ロイドが少々呆れ顔でルルーシュに云った。
正直、ルルーシュとしてはカチンとくるのだが…直球ど真ん中過ぎて何も言い返せない。
おまけに、過去の記憶がある存在だけに、扱い難い。
しかも、あの頃もそうだったらしいが…。
目上の者への態度は普通にこんな感じだったらしい。
―――シュナイゼル相手にこんな態度取れるのは変人に取り囲まれていたシュナイゼルとは云え、こいつくらいだろう…
ルルーシュはそんな風に思った。
現在でも、そんなロイドは健在だった。
「まぁ、スザク君が現れてくれた事で…僕もほっとしているんですよねぇ…」
「?」
ロイドの言葉に、ルルーシュが不思議そうな顔をする。
この時代で記憶が戻ってからロイドと出会ってルルーシュがこうした形で不思議に思う事は増えてきた。
「だぁって、ルルーシュ様、僕の云う事は全然聞いてくれませんけれど…スザク君の云うことなら…聞いてくれるでしょ?」
ロイドがにこっと笑いながらルルーシュにそう云って来た。
本当に不思議な事を云う男…と思うのがルルーシュの素直な気持ちだ。
正直、記憶があってもなくても関係ない様な気がしてきた。
「別に…俺は…」
「ルルーシュ様?別に、この時代でまで負い目を感じる事はないじゃないですか…。その事が、どれだけスザク君を苦しめているか…ご存知ですか?」
時々、ロイドはぐさりと刺さる事を云ってくる。
あの頃も…時々そうだった。
皇帝となってから、彼と話しをする様になったわけだけれど。
しかし、皇帝であるルルーシュに対しても、ロイドは遠慮がなかった。
遠慮がなかったと云う意味ではC.C.も同じだったけれど…。
しかし、彼女のそれともちょっと違った印象を受けていた。
「ルルーシュ様…いい加減、ご自身を許して差し上げて下さいよ…。時代の変革には必ず、悲劇は起きるものです。後になって色々知った僕ですけれど…ルルーシュ様はそう云われるのはお嫌でしょうが…シャルル皇帝だって、シュナイゼル殿下だって、時代を憂いての行動だったんですよ?」

 恐らく、ロイドのその言葉は…今のルルーシュにとっては最もしんどいと感じる言葉に違いない。
あの時の自分のやった事は…スザクを苦しめた。
ナナリーを苦しめた。
否、あの時、あの世界に生きていたルルーシュが大切に思う存在全てを苦しめた。
その苦しい思いの上で成り立った…その後の平和…。
歴史を紐解けば、結局、平和な世界になっても、また、混乱が生まれて、混沌と化し、誰かがそれを治める為に犠牲を払う…。
その繰り返しだ。
「それは…解って…いる…」
あまり、その言葉に力が入っていないと解る…その口調…。
ルルーシュ自身、解ってはいても、それを認める事が出来ない。
そんなところだろう。
「ルルーシュ様…僕達は…人間なんです…。人間はあくまで、人間です。誰も『神』にも、『悪魔』にもなる事は出来ません。演じる事が出来たとしても…それは、あくまで『演技』をしている人間なんです…」
「別に…俺は…」
ロイドのその言葉にルルーシュ自身、色々と否定したいものがあるらしいけれど。
別に『神』になろうと思った訳じゃない。
『悪魔』になろうと思わずとも、既に魔女と契約をしていた。
そして、ナナリーからも『悪魔』と呼ばれた。
心は確かに『人』であった筈だけれど…。
「ルルーシュ様…そんな風に御自分を責めてばかりでは…何も前には進みません。立ち止まっていては…生まれ変わった意味もありません。こうして、僕たちと出会った意味さえも…否定されるおつもりですか?」
ロイドのその真剣な声と表情…。
普段、ふざけている表情ばかりみていたし、彼の口調も本当に『変人』と呼ばれているから許されているような気にさえなるけれど。
「お前の方が…よっぽど『演技』が…うまいな…」
ルルーシュがぼそりと呟いた。
その言葉に、ロイドがクスッと笑った。
「僕は演技なんてしていませんよ…。ただ、自分の中に色んな自分がいて…一番楽な自分を普段は出しているだけです…。普通、誰でもあるでしょ?」
「異母兄上が…お前を重用していた意味が…なんだかよく解るよ…」
今のルルーシュは…。
恐らく、あの頃のルルーシュに戻っている。
こんな事があるから…きっと、ルルーシュは苦しみ続ける事になる。
確かに、記憶が戻ったのなら、仕方ない事なのだけれど。
―――これも…過去の清算…と云う奴なのですかねぇ…。もし、シュナイゼル殿下に…記憶が戻られていたら…何か、違ったんでしょうかねぇ…
ロイドが複雑な思いを抱える。
ルルーシュにはその表情が変わったこと…気付かれたのかどうかは…解らない。
「まぁ、スザク君と一緒にルルーシュ様のところに云ってからも楽しかったですけれどねぇ…。ニーナくんと『フレイヤ』のキャンセラーを作った時なんて…僕、ワクワクしていましたから…」
その言葉の中身が、こんな風に気楽に云えるほど、あの時の事は、気楽なものではない。
それでも、彼だから、こんな風に云えるのだろう。
彼自身、命懸けの研究だったと云う事は…解っていた筈だ。
「お前は…本当にすごいな…」

 それから…数日が経ち…。
ジノが面会に来る日となった。
今回はジノが一人で来ると云う。
この先、ルルーシュが社長になるにしても、政治家になるにしても、ジノがルルーシュと関わって行く事になる。
その計算もあって、ヴァインベルグ家としては、個人の繋がりも作ろうと思ったのだろう。
あのマンションにジノを住まわせているのもその辺りの計算があるのかもしれない。
ランペルージ家に対してそんなものがどこまで通用するかなど…
たかが知れている。
それでも、細い糸であっても繋がりを作っておこうと思うのはどこの企業も同じらしい。
まだ、中学生であるルルーシュだけれど…。
既に、将来の政略結婚の相手の候補がそれなりの数、いるのだ。
会った事もない相手ばかりではあるが…。
色々なものに取り囲まれている状態のルルーシュだけれど…。
正直、こんなところでこんなめんどくさい相手と出会う事になろうとは思いもしなかったけれど。
ただ、それでも、このめんどくさい相手が今のルルーシュにとって、一番の頼みの綱となっているのは事実で…。
「大丈夫です…。ただ、あまり興奮状態にならないようにして下さいね?今のルルーシュ様は…完全に回復していないんですからね…?」
「とは云っても…元々が…」
「そうやって、無茶するでしょ?ルルーシュ様がちゃんと医者の云う事を聞いて健康的な生活をするとは思えませんし…。それに、お友達の事もあって今のルルーシュ様は何をするか解りませんから…」
このロイドの言葉の中に…、
シュナイゼルやギネヴィアの考えているような事がない事は解るが…。
それでも、こうした形で指摘されるのは正直、腹が立つ。
「入院患者に対して…随分な…」
「まぁ、普通の患者さんならこんな事は云いませんよ…。スザク君もよく、軍の仕事の為にしょっちゅう病院抜け出していましたし…。と云うか、二人とも、正反対の様で、結構似ているんですよねぇ…」
そう云えば…。
黒の騎士団の『ゼロ』としてスザクと対峙していた頃、スザクが戦闘の中でけがをしたいた事は知っていたが…。
それでも、普通に前線に出て来ていた事は知っている。
ただ…
―――俺は、動けなければ普通に寝ていたぞ…
心の中で否定してみるけれど…。
今のロイドに何を云っても適当に流され、そして、その隙をついて、直球ど真ん中に来そうな気配がする。
「あの体力バカと同じにするな…」
ただ、一言…そんな風に云って見せた。
ロイドの方は既に、そんな言葉をスルーするつもりだったようだ。
「とりあえず、一応、ジノ君にも云っては置きますけれどね…。無理はしないで下さいよ?」
「かつてはナイトオブラウンズのジノに…ジノ君呼ばわりか?」
「だって…今はラウンズじゃないでしょ?」
この切り替えの速さは…。
恐らく、スザクがこのシーンを見ていたら、『ロイドさんの爪の垢を煎じてルルーシュに飲ませてやりたい…』と思ったに違いない。
「とりあえず、無理はなさらないで下さいね…。お約束通り、二人にして差し上げますから…」
「解っている…」
ルルーシュがそう云った時…
―――コンコン…
ルルーシュの病室の扉がノックされた。

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2010年08月02日

It's Destiny31

知る者、知らぬ者

 ジノに強引にマンションに入れて貰い、現在、ルルーシュの住んでいる部屋の中…。
主のいないところに入る…。
人はこれを不法侵入と云う。
これで捕まれば、刑法130条前段、3年以下の懲役、もしくは10万円以下の罰金…。
と云う事になるが…。
あの頃も、こんな形で不法侵入なんてした事がなかった。
『ゼロ』だった頃は、かなり超法規的に許されていた事も結構あったけれど…。
しかし、今は普通の一般市民…。
しかも、何の力もなく…ただ、生きて行く事だけで精一杯の…。
そんな事を考えていられるだけの時間はない。
あんまり長居していたら、それこそ、あの感じだと、銃犯罪者にされてしまいそうだ。
この程度の犯罪で初犯なら大した罪になどならないのだけれど。
スザクはルルーシュの部屋へと入って行き…例の引き出しを探る。
すると、すぐにあの箱が出てきた。
開けると…きちんとあのストラップが入っていた。
「よし、これでとりあえず、ジノの部屋に戻るか…」
目的のものは手に入った。
すぐに踵を返して、ジノの部屋に戻って行く。
「ジノ…御免…。ありがとう…」
「何を持って来たんだ?って云うか…何だ?その箱…」
スザクが手にしているその箱を見てジノが尋ねてきた。
確かに、不思議に思われてもある意味仕方がない。
「ルルーシュが…大切にしている箱なんだ…。ちょっと、この中に入れたいものがあるから…明日、会社で渡すよ…。ちゃんとお礼はするから…」
スザクがそう云うと、ジノがクスッと笑った。
「別にいいって…。いつも俺の嫌いなもの、食って貰ってるし、残業も結構変わって貰っているしな…。それに、なんか、凄く一生懸命なお前見ているとさぁ…なんか、応援したくなるんだよ…」
ジノが笑いながらそんな事を云った。
その笑いの中にはほんのちょっとだけ…羨望の色が見えたのは…気の所為だと云う事にしておく。
「有難う…。うまく…ルルーシュの手に渡してね?誰かに渡したりなんてしないで…。勿論、ミレイさんでもダメだからね?」
「ああ、ミレイ部長じゃ、多分、あの様子だと病室に入れて貰えないんじゃないのか?なんか、今、ギネヴィア社長の秘書が来日していて…色々動いているらしいし…」
「ギネヴィア社長の…秘書…?」
「ああ、すっげぇ有能だって評判な女なんだけどさぁ…。有能なのは確かだと思うけど、すっげぇきついって云っていたなぁ…」
ジノの情報網と云うのは一体どうなっているのか解らないけれど…。
ランペルージ家の事を知りたい時にはまず、彼に尋ねればいいのかもしれないと思う。
にしても、ルルーシュは生まれ変わって、家族が出来ても…。
その周囲に集まって来る人間はみんな、有能と称される人物ばかりだと思う。
それこそ、両親は世界を左右する様な存在…。
前世でも世界を揺るがした存在だった。
そして、その両親の周囲にいる人々も優秀だと云う点ではあまり変わっていない。
これは、ここまで行き過ぎると、中々大変なのだと思う…。
ルルーシュを見ていると、それはつくづく感じる。

 スザクはその後、一旦自分のアパートに帰って行った。
随分複雑な事になってしまった。
と云うか、記憶を取り戻した時、何となく、記憶を取り戻すまで待って貰っていた事を不思議に思うくらいだけれど。
ただ、もし、記憶のないまま、こうした形で周囲からの圧力がかかったりしたら…。
多分、あの時点では手を引いていたかもしれない…。
そんな風に思えてくる。
そのくらい、取り戻したこの記憶は自分の中でのルルーシュのウェイトの大きさを伝えている。
確かに、記憶のない頃には、どうしてなのか解らないまま…ルルーシュに惹かれて行ったのは事実だけれど。
それは、眠っていた記憶がそうさせていたのだとしても、記憶がない状態では、この、現世での『枢木スザク』でしかあり得ないから…。
そして、彼と何があったかを知らなければ…ここまで思う事はきっとなかっただろう。
ルルーシュが大切にしていたその箱ごと…。
『朱雀』の描かれている…この箱…。
かなり古いものだけれど…。
でも、ジノ曰く、金持ちが収拾する程の高級品ではないけれど、凄く作りの良い、品の良いものらしい。
そして、4つでワンセットであり、他の『玄武』『白虎』『青龍』の3つが揃うと、それで価値のあるものらしい事も云っていた。
ただ、見た目からも解るけれど、結構古いものであると云う事も云っていた。
だから、あの、ランペルージグループの御曹司で、シュナイゼル議員の一人息子であると云う事を考えた時、古いから価値があると云うものでもないと云う、その箱をルルーシュが大切にしているのを不思議に思っていたようだ。
ジノはあれで、金持ちのお坊ちゃんだし、そう云ったものの見る目はあるらしい。
まぁ、とはいっても、あの箱自体、スザクのサラリーマンの収入ではローンを組まないと買えない代物らしいが…。
金と云うのはあるところにはあるらしい…。
ただ、もし4つでワンセット…その中でルルーシュが『朱雀』を手にしていて…大切にしていると云うのを知ると…。
何となく、年甲斐もないと思ってしまうけれど…。
嬉しいと思える。
あの頃には、こんなに素直に思う事が出来なかっただろうけれど…。
今なら、ちゃんと嬉しいと思えるのだ。
これが、他の四聖獣であったなら、ここまで思ったかどうか…解らないけれど…。
でも、ルルーシュが『朱雀』の箱を手にして、それを持ち続けていて…。
そして、スザクの渡したストラップがこの中に入っていた事は事実であり…。
記憶がない状態で、こうしてくれていた事が嬉しい。
ただ、ルルーシュの中にある、様々な『負』として残ってしまっている記憶が…気になるけれど。
多分、ルルーシュが今、スザクを必要としてくれている事は、確かだと思う。
記憶が戻った今でも…。
ルルーシュが拒んでいるのは…『罪深い自分が幸福になる事』である事があまりに良く解り過ぎて…。
だから、時々焦る事もあるのだけれど。
でも、焦っていても仕方ない…。
ルルーシュのそれは…トラウマ…と云う表現が一番しっくりくる状態なのだろうから…。

 本当は…誰よりも幸せになりたいと思っている筈なのに…。
誰よりも小さな事で幸せを感じられる筈なのに…。
それを前世で罪人だったからと、そんな事をいつまでも拘っている姿は…。
トラウマだとするなら、きっと、気長に行かなければならない。
実際に、あの『ゼロ・レクイエム』の後、『黒の騎士団』と『ブリタニア』との戦いに関する資料を片っ端から見直した。
スザクがナイトオブゼロの時にはルルーシュは決してそれを許さなかった。
そして、全てのデータを抹消したと云っていた。
しかし、その中でジェレミアがルルーシュに隠れてそのデータや資料のバックアップを作っていた。
それを見せて貰ったのだ。
驚いた…。
ユーフェミアはルルーシュが『ゼロ』だと云う事を知っていたのは、随分以前の頃から…あの、河口湖の事件からだったと知り…。
そして、あの二人きりでの会話も…しっかりと残されていたのだ。
恐らく、ユーフェミア自身も知らない状態で…。
だから、音声のみだったし、音も…本当に聞き取りにくく、デジタル化して、余計な音を削除しつつやっと、聞ける状態になったと云うけれど…。
と云うか、それを、ルルーシュが見つけていたらその場でマスターデータを破壊されていたに違いないけれど…。
ルルーシュも知らないところで、特派が残していた。
あの頃、本当に知らない事ばかりだったと…思い知らされ…ユーフェミアの死を完全にルルーシュ一人に押し付けていた自分を呪った。
あの『ギアス』は本当に…不可抗力で…ただの、親しい者同士の軽い話しの中で…。
もし、あの時、タイミングさえずれていたら…あんな悲劇は起きなかった事を知った。
あの時、暴走してしまったユーフェミアを必死にルルーシュは止めようとしていた。
否、ルルーシュだけが止めようとしていた。
そして、それ以上の罪をユーフェミアの背負わせないために…ルルーシュは自らトリガーを引いたのだと…。
何も知らずに…自分の背負う筈の罪を全てルルーシュに押し付けていた事を知って…どれほど自分を責めたか解らない…。
あの時…ユーフェミアは微笑みながら逝った…。
あの微笑みの奥に隠れている…深い意味を…あの後、必死に探し続けた事を覚えているが…。
結局答えは出て来なくて…。
ただ、一つ云えるのは…表の記憶には残っていなかったとしても…奥底の…ユーフェミアの奥底では、止められない自分を涙して見ていたのかもしれない…。
そんな風に思った。
確かにルルーシュがきっかけを作ったのだけれど…それでも、そのルルーシュの手で止めて貰えた事は…彼女にとってその時の最良…だったのかもしれないと思えた。
だから…ユーフェミアはあの時微笑んでいたのかもしれない。
そして、ユーフェミアはきちんと、あの時のルルーシュに対して、『罰』を課していた。
それは…自分のやった事は…自分で始末をつけなさい…と云う…。
恐らく、あの時のルルーシュにとって、あの演技を続けることが、どれほど大きな『罰』であったのか…。
スザクは自分の『罪』に甘えていたことに気づいたし、ルルーシュは自分の『罪』を真正面から受け止めていた事に気づいた。
―――だから…生まれ変わったんだから…もう許していいんだよ…

 頭の良過ぎる存在を…この調子の悪い時に何故、二人同時に相手にしているのだろうか…。
ルルーシュの中ではそんな風に思える。
「何故…扇先生を…?俺は…貴方方にも、父さんや母さんにも、扇先生本人にも何も云っていない…」
ルルーシュは、自分でも愚問だと思いつつも、そんな事を尋ねる。
正直、今の状態で下手な事を云うのは分が悪い。
「私はほぼ月に一度、学校の様子を伺いに行っています。実際、現在の状況がこんな状況ですから…。ある意味仕方がないでしょう?」
カノンの云う事は尤もだ…。
実際に、そう云った措置を行っている家はない訳ではない。
世界的に有名な親の場合、親が学校に来られないことは多々ある。
と云うのも、その親がくることでマスコミやら野次馬が集まってしまう可能性が高い場合には代理を立てるしかない場合もある。
ルルーシュの両親の場合、普段からSPを連れて歩いているような存在だ。
下手すると、学校を襲撃される事にもなりかねない事だってあるのだ。
「それは解っていますが…。扇先生に対しての不満は教師には云っていませんよ!それに、学校で生徒同士が教師の悪口を云う事くらいあるでしょう?」
ルルーシュは今回の事でまた、要らぬところから恨みを買いそうだと云う懸念に襲われている。
親がすごくても、自分自身は何の力もない。
敢えて言うなら、親の威光の傘があると云う程度だ。
「いえ…それに関しては私が直接お会いして、彼があまり教師としては感情に走り過ぎている様に見えたのは事実です。ずっと、それを観察させて頂いていたわけです。とはいっても、月に一度、お会いする程度のものですが…」
流石に…凄腕の議員の秘書をやっている…と云うか、あの時、ブリタニアの宰相の片腕をやっていただけの事はある。
観察眼も鋭いし、突っ込んで来るところが痛いところを突く。
そんな彼とコーネリアを相手にしたのでは、扇ではとても太刀打ちできないだろうとは思う。
「それにしても…ランペルージ家の者の言葉となると、影響が大きすぎます!これまでだって、その威光を恐れて、どれほどの人が路頭に迷う事になったか…知らないとは云わないでしょう!」
確かに…ルルーシュに変なちょっかいを出した…それが学校の知れるところとなり、ランペルージ家には何も伝わっていない内に、その生徒が学校を退学していたと云う事があったくらいだ。
その家の名前の大きさの影響は解るけれど。
「だからと云って、それを心配してルルーシュ様がすべて我慢されるのはいかがかと思います…。あの時の処置は、確かに学校側のミスもありますが…。子供同士の喧嘩程度で我々が簡単に動くなどと云う事は基本的にはありませんし…」
「なら…何故今回は!」
「今回、私達は何もしていませんよ…。本当です。相手が勝手にべらべらと喋っただけです。それに、その人事に関しては学校にお任せしていますし…」
それは本当だ。
彼らは本当に何もしていない。
ただ、二人のこれだけ優秀な人物二人のオーラを浴びれば…扇ではひとたまりもない…とは思うが…。

 ルルーシュがどんな想像をしたところで、結局、今回の結果が覆る事はない。
これを覆そうとすれば、また、ランペルージの力を働かせることになる。
今回は本当にランペルージの力云々ではなく、本人が間抜けだっただけなので、ここでランペルージの力を振るってしまうとそれこそ大変な事になる。
ただ、ルルーシュ自身、彼らがそんな下らない隠し事をしたところで、普段、学校に通っているのはルルーシュだ。
ルルーシュにばれる様な隠し事はしないし、ウソも吐かない。
そのくらいのことは弁えている。
ルルーシュもそれが解るから大きくため息を吐くしかない。
「解った…。彼を慕っていた生徒はいたからな…。彼らには…なんだか申し訳ないな…」
「自分の感情でエコひいきされている生徒だけでしょう?評判も結構いい場合と悪い場合、本当に両極端のようでしたし…。独りよがりな正義の味方…と云ったところでしょうかね…」
カノンのその言葉…。
あまりにしっくりと当てはまるだけに言葉が出て来ない。
実際に扇の評判と云うのは本当に綺麗に二つに分かれていたのは事実だ。
「後…そう云えば、日曜日…ヴァインベルグ家の跡取り殿がいらっしゃるようですよ?昨日でしたでしょうか…。私のところにファックスが届いた後、電話も頂きましたが…」
コーネリアが突然思い出したようにそんな事を告げた。
ヴァインベルグ…。
確か、ルルーシュと同じマンションに住んでいて…スザクの同僚…だった筈…。
「あ、彼が…来るのか…。俺のご機嫌伺いか?時々、マンションで顔を見かけるけれど…」
「まぁ、そんなところでしょう…。一応承諾のファックスを返信しておきましたが…都合が悪いとなれば、キャンセルさせて頂きますが…」
コーネリアの言葉にルルーシュはすぐに反応する。
「否…彼に会う…。会わせてくれ…」
ルルーシュが何やら必死に云っている様子がすぐに解る。
二人が不思議そうな顔をすると…
「あ、否、ここのところ、病院のスタッフとしか…会っていないから…。せめてマオとくらい、話せればいいんだけど…。だから…マオについては…」
ルルーシュのその言葉は、中学生であれば、何となく納得できる言葉だろうと…。
ルルーシュ自身もそう思うし、二人もその言葉自体は納得せざるを得ない。
カノンは、また別の意味でとらえている部分もあるけれど…。
「解りました…。ヴァインベルグ家の跡取り殿に関してはこちらに来て頂くようにしますので…」
コーネリアがそう云った後、カノンが口を開いた。
「マオ様に関しては…ギネヴィア様からもあまりいい顔をされていませんから…。少し時間はかかるでしょうけれど…何とか、私たちからルルーシュ様の御意志をお伝えしておきますよ…」
カノンが笑いながらそう云うと…。
コーネリアは少しほっとした様な顔をした。
流石に気の毒と思っているのか…。
ただ、ルルーシュとしてはカノンが何を考えているか解らず…笑顔は見せているものの…その内心は複雑であった…。

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2010年07月26日

It's Destiny 30

諦めきれないもの



 その日は、金曜日…。
ジノにかなり適当な理由を付けて、マンションに入り込む事に成功した。
何も、あのマンションの住人はルルーシュだけではない。
ジノが同じマンションに暮らしていると云うのなら、何も、ルルーシュと一緒に入って行く必要はない。
「ありがと…ジノ…」
「まぁ、そのくらいはお安い御用だけれどさ…。ただ、どうやって入りこむつもりなんだ?最上階なんて…」
「それなんだよねぇ…。ま、なんとかするよ…。その辺りは…」
「おい…お前…何を考えて…」
スザクの物騒な発言にジノがスザクに尋ねるが…。
今のスザクの表情は…なんだか、いつもと確実に雰囲気が違っている。
「ジノには…迷惑かけないように…一応努力はするけれど…」
「そんな事を云っているんじゃない!お前…」
「ごめんね…。ジノにも云えないんだ…。と云っても、ジノがその話しを信じられるとは思えないしね…。でも、ジノを巻き込む可能性があったとしても…綺麗事なんて云っていられないくらい…僕には…欲しいものがあるんだ…」
スザクのその言葉に…ジノは驚きを隠す事が出来ないけれど。
でも、スザクのその言葉に、なんだか少しだけほっとしたような気もした。
「スザクってさぁ…ホント会社では優等生やっていたよな…」
ジノがいきなり、そんな事を云い始めて、今度はスザクが不思議そうな顔をする。
そんなスザクの表情に、ジノが少しだけ苦笑を洩らす。
「ミレイ部長の云う残業は全部こなしちゃっているしさ、あの部署の連中、みんなが嫌がる様な取り引き先の接待だって、絶対に断らなくて…ちゃんとまじめにこなして、しっかり結果をあげていてさ…」
ジノの云っている事が…イマイチよく解らない。
ただ、ジノには記憶は戻っていない事だけは解る。
それはまず…ない筈だから…。
「ジノ…何を云いたいのか…」
「あ、否、御免…。そんなスザクが欲しいと思っているルルーシュってさ…凄いなぁ…なんて思っちゃってさ…。俺と一緒にいても、他の誰と居ても、そんな顔を見せた事もないし、そんなセリフも吐いた事無いし…」
ジノの言葉に、スザクがハッとしてしまうけれど。
確かに、記憶が戻る前から…。
ルルーシュと出会うまでは、こんなに何かに固執した事があっただろうか?
もっと云えば、前世から…ここまで自分の思いに素直に、正直になった事があっただろうか…などと思ってしまうけれど…。
「お前も、ちゃんと、人間なんだな…って安心した。お前、いつもどこか遠くを見ている感じがしていたから…ちょっと心配だったんだ。ちゃんと、目の前にあるものもちゃんと見ているって、解って、ちょっと安心したよ…」
「ジノ…」
ジノの言葉にスザクは『ああ、やっぱりジノだ…』なんて思ってしまう。
あの頃だって、なんだかんだ云って、スザクの事を気にとめてくれていた…。
今もこうして、記憶がなくとも、スザクの前に現れて、こうして傍にいると云う事は…。
彼自身に、あの前世での思いが何かあるのかもしれないと思った。

 スザクは心配するジノに迷惑をかけている事を解っていて…。
おまけに事情を離す事の出来ない状態だと云う事で…全く心苦しさを覚えない訳ではなかったけれど…。
でも、今更、スザクは綺麗事を云うつもりはなかった。
『ゼロ』をやっていたからこそ…そう思える。
『正義』は一つじゃないし、『悪』も一つじゃない。
そして、人とは自分の『正義』の為にしか動けないし、動いてはいけないと思うから…。
「じゃあ、ちょっと、ルルーシュの部屋に行ってくる…。ジノ、管理人さんにちょっと頼んで欲しい事があるんだ…。出来れば…ヴァインベルグの名前で…」
「嫌だと云えば、お前…確実に犯罪者になる気だろ…」
「ごめんね…。でも、ルルーシュに絶対に渡して欲しいものがあるんだ…。きっと、今のルルーシュには必要だと…思うから…」
スザクの言葉に良く解らないのだけれど、その必死さだけはジノに伝わってきた。
確かに、スザクがこれまでルルーシュに対してのその姿勢は…。
スザクが本気であると云う事が解った。
愛だの、恋だの…確かに男女間にあるべきものと考えているわけじゃない。
人によっては、スザクのこの姿は違和感を覚えるものに違いないだろう。
でも、そんな、愛だの、恋だの、そんなありきたりな言葉で片付けられない何かがある…。
そんな風に思わせるスザクの、この表情は…。
「本当に…大切に思っているんだな…」
「ジノには…そう云う人…いないの?」
臆面もなくこんな事を聞き返されるとは思わなかった。
相手は男だとか、10歳も年下の中坊だとか…。
あげればきりがないけれど…。
「まぁ、今のところは…。それに、そんな感情を持ったって、俺はその相手を自分の手で幸せにする事が出来ない…。お前だって、そう云う所に足を突っ込んでいるんだぞ?」
「まぁ、大変だろうな…とは思うんだけどね…。でも、なんでかな…。この先、どんな事になっても、今、こうして動かないと…あの頃の自分と彼に、怒られそうな気がするから…」
「?」
「ああ、気にしないで…。とりあえず、すぐに戻って来るから、お願いね…」
そう云って、何を云っているんだ?と云う表情をしているジノにそう云って締めくくった。
これ以上…ジノに詮索されても、答えようがないし、この先、一緒にいたとしても、
―――変に邪魔になっても困る…。
そう思った直後、心の中で笑ってしまった。
自分があの頃と比べて、自己中心的になってしまったと…。
あの頃も自己中心的…だったとは云えるけれど…。
あの頃は、自己満足の為に大義名分の為に自己満足だった。
だから…そこには自分の無駄なあがきや自分の思い込みがたくさんあったけれど。
今は…スザク個人の、自分の望みの為だけの自己中心的な自分だ。
―――この方が…まだマシだよね…。
そんな事を思いながら、スザクはジノの部屋から出て行った。
ジノが、その後ろ姿を…なんだか複雑そうに見ている事には…恐らく気づかずに…。
ジノはスザクに云われた通り、管理人室へ連絡を入れた。

 スザクの方で、ごちゃごちゃと、複雑な事をやっていた頃…。
「お久しぶりです…ルルーシュ様…。母君がルルーシュ様を心配されていたので…私が代理で参りましたが…」
その姿に…。
記憶が戻る前ならともかく、記憶が戻ってからのルルーシュにとっては、正直、ショッキングな相手と出くわしている。
正直、記憶がなかった時には何とも思わなかったけれど。
でも、こうして記憶を取り戻してしまうと…。
「その後、お加減はいかがですか?ルルーシュ様…。そうそう、先日、枢木卿にお会いしましたの…」
カノンが口を出して来た。
記憶を取り戻しているものでなければ解らないその言葉を…交えて…。
「!」
ルルーシュが驚いてカノンを見ると、カノンはにこりと笑ってみせる。
その綺麗な笑顔は…。
何も知らない者であれば、優しげな、綺麗な笑顔に見えただろうが…。
ルルーシュにとっては、包囲網を狭められている気分になってしまう…。
実際、狭められているのだろうけれど。
「クルルギキョウ?ルルーシュ様…それは…」
カノンの言葉にルルーシュが黙り込んでしまって、コーネリアが怪訝そうに尋ねた。
「ああ、コーネリアさんも知っていた方がいいかもしれません。ルルーシュ様にはあまりいい影響を齎さない人間の一人ですよ…。敢えて言うなれば、あの扇とか云う教師よりタチが悪い…」
「カノン!何をでたらめを…」
「デタラメではありませんよ?実際に、ルルーシュ様はその存在に心を奪われているではありませんか…。その様な事ではシュナイゼル様の後を…」
カノンがそこまで云った時、聞き捨てならないと云う表情をしてコーネリアが割り込んで来た。
「何を云っている!ルルーシュ様はランペルージ財閥を…」
ここで、小さなもめごとが始まる。
ここは病室だと云う事を…彼らはちゃんと承知しているのだろうか?
その辺りは、ルルーシュはこんな特別室に監禁されなければならない程、具合悪い訳ではないので、放置しておく事にする。
うるさいのはある意味致し方ない。
ここに両親が揃っていたりしたら…
―――更に面倒だからな…。
それに、今は自分が動かないと云う事を示しておかなければならない。
カノンのあの口ぶりから行くと確実に記憶があると云う事だ。
互いにしか解らない…その言葉の奥の奥…。
しばし、この病室内で、ある意味、幼稚な云い争いが繰り広げられる。
こう云う時、余程の事がないとスタッフ達は入って来ない。
ロイドを除いては…。
そして、こう云う時に限ってロイドは入って来ない。
ロイドが来ないと云う事は、助け船は一切期待できないと云う事だ。
尤も、こんなところで助け船も何もないものなのだけれど。
「あの…スペンサーさん…今回は…何の為に…」
わざわざ病室まで来た事を怪訝に思ったルルーシュが尋ねる。
なんだか、色々と複雑な気分だ。
「今回は、ギネヴィア様からルルーシュ様の学校生活について様子を見て来るようにと仰せつかっております。そうしたら、ルルーシュ様がお倒れになったと聞きまして…」

 以前と変わらない、真面目と云うか、堅いと云うか、実直と云うか…。
そんな雰囲気だ。
現在、ギネヴィアの秘書としてその手腕を振るっている。
元々、頭のいい異母姉だったから…。
正直、異母姉であるギネヴィアが母となり、そして、これほどの才覚を表している事に驚いたけれど。
彼女に対しては大して驚きもしない。
前世を知る為だからか…。
「倒れた…と云う訳じゃない…。俺がここに来る数日前に母さんと食事だってしている…。聞いているだろう?」
ルルーシュはとりあえず、カノンもここにいると云う事で、なるべく怪しまれないように、と、記憶を取り戻す前からの、その姿勢を貫く。
大体、いきなり態度が変わってしまっては、カノンでなくても別の意味でおかしいと思うだろうし、カノンに勘ぐられるのは現在の状態を考えると、あまり好ましい事じゃない。
こんなところで、あの頃の呼び名でスザクの名前を出してくると云う事は…。
きっと、マオだけではなく、スザクをも、ルルーシュの傍から徹底排除をすると云う意思表示だ。
マオは…。
前世では複雑な気持ちはあるけれど。
記憶がなかった頃は、―――あんな形で仲たがいをしたまま、話しをする事も出来ずにいるが…―――彼だけがよりどころだったのだから。
それこそ、ランペルージの名前だけでルルーシュに向けられるその、態度が何もかも信じられなかった。
でも…。
マオは…マオだけは違っていたから。
最初の内はルルーシュ自身、自分の傍から追っ払っていたけれど…。
それでも、マオは絶対にルルーシュの傍を離れる事はなかったから。
どれ程邪険にしても、冷たく接しても…。
そして、ルルーシュの立場とか、ルルーシュの家の影響力とか…。
そう云った事で近付いて来ているわけじゃないと云うのが解った。
と云うのも、母子家庭で貧しい生活を送っていた。
もし、そんな下心があるなら、媚を売って、ルルーシュの傍に居続ける事をその母親が望んでいたに違いないし、それに同意すればマオもその意思を持ってルルーシュに近付いてきたのだろうから…。
―――C.C.がいなくて…俺に来たのか…とは思ったけれど…。
出来ることならきちんと話をしたかった。
自分が許されるかどうかなんて解らないし、マオがスザクの事をあまりよく思っていない事は明白だから…。
どれだけ、綺麗事を並べようと、何をしようと…。
こうなってしまって…ルルーシュが自分からスザクを諦める気持ちになれずにいるのだから。
だからこそ、今は静かにしているのだ。
スザクが迷惑だと云っても…もう、ルルーシュの中でスザクを諦める事なんてできないから…。
ただ、今の体力の状態を考えた時、自分の置かれている環境を考えた時…。
あまりに自分の状況は不利だ。
せめて、体力回復だけでも…。
あの頃同様、あまり体力に自信のある方じゃない。
そして、頭を使うにも体力がいる。
だから…恐らく、味方ではないけれど、敵でもないロイドを…自分の為のコマとする事にしているわけなのだけれど。

 ルルーシュのその言葉に、コーネリアが一応頷いて見せた。
「あの時、既に体調を崩されていたと云う事ですね…。ギネヴィア様が大層悲しまれていましたよ…。何故、お一人で生活を続けるのです?」
コーネリアのその質問に、ルルーシュも冷静にならなければならないと思いながらも…。
少しだけ頭に血が上ってしまう。
「それを…貴女が訊くのか…。俺は、両親の間でどう云う立場にいるかを…承知の上で…」
少しだけ、声を震わせている。
正直、現在のあの両親の態度は、『愛』として受け取る事が出来ずにいるルルーシュには…。
少々、酷とも云える言葉だったのかもしれない。
「まぁ、それに関しては…現在は、ギネヴィア様もシュナイゼル様も…協力関係にある様ですが?どうやら、ルルーシュ様の学校生活に置いての様々な問題については、随分お心を痛めておられますから…。お二人とも…」
コーネリアの言葉にルルーシュが、またも驚いた顔を見せる。
一体何をしに来たのか…と…。
「まさか…」
ルルーシュがやや声を震わせながらそう、言葉を口に出す。
その言葉は…。
その意味は…。
「ルルーシュ様、私が、定期的に学校へルルーシュ様の学校へ御様子を伺いに行っている事はご存じでしょう?その際、ルルーシュ様の事を御心配されていたギネヴィア様のお使いとして来られていた彼女も同席しただけですよ…」
カノンが淡々と伝えている。
ルルーシュが更に表情を変える。
そんなルルーシュの表情を見て、二人がクスッと笑った。
カノンは特に、『いくら有能であっても、経験値が決定的に足りませんね…』と思う。
「私達は何もしていませんよ…。本当に様子を伺っただけです。そうしたら…ルルーシュ様の担任が勝手に自白しただけです。感情的にルルーシュ様に辛く当たられていると…」
確かに…その事は、気付いていたけれど…。
だから、ルルーシュも記憶を取り戻す前から隙になれずにいたのは確かだ。
でも、記憶を取り戻してからは…仕方ないと思っていたのだけれど…。
「な…何をしたんだ…」
ルルーシュの反応が何を意味しているか…その真意が何であるのか、解っているカノンはクスッと笑った。
ルルーシュが何を気にしているのか、カノンはコーネリアよりも良く解っているから…。
「我々はただ、『気を付けて下さい』とお願いしただけですよ…。それは本当です。ただ、学校側がどう動いたかは…どう動くかは解りませんが…。ああ、でも、私は担任を変えて欲しい…とだけは云いましたけれど…」
コーネリアの言葉に…。
本当は何か記憶があるのではないかと思う様な…でも、記憶があったところで、こんな事をする理由が見つからない。
だから、普通に、ただ、心配だからという…それだけで云っただけなのだと…。
でも、その言葉だけで十分だ…。
「ルルーシュ様が気にする事はありませんし、彼女も間違った事をした訳ではありませんよ…。ただ、貴方様の担任をしていたあの教師の頭が悪すぎただけ…と云う事なのですから…」
コーネリアはともかく、カノンはあまり知っていて欲しくない事を多く知っているから…。
カノンのその言葉と笑みは…ルルーシュにはただ…追い詰める為の者でしかないと…思わざるを得なかった…。

To Be Continued

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2010年07月19日

It's Destiny 29

可能性…



 応接室で…目の前にいる、現在ルルーシュの担任をしていると云う男…。
なんだかびくびくしている様に見える。
それは…その姿は中々滑稽に見える。
そして、あの『斑鳩』で対峙した時の事を思い出してしまう。
まるで、自分が悲劇のドラマの中心人物だと云わんばかりの表情をして…苦悩の表情を見せて、そして…。
正直、今の彼とあの時の彼の本質はあまり変わっていないように思える。
それでも、自尊心はそれなりに持ち合わせているらしく…。
カノンには扇がルルーシュを気に入らない理由が何となく解る。
それが、恐らく、あの頃と変わっていないと云う事も…。
「私はルルーシュ≂ランペルージの母であるギネヴィア≂ランペルージの代理としてまいりました。ギネヴィア≂ランペルージの第一秘書を務めております、コーネリア=スペンサーと申します。私がこちらの赴くのは初めてなので、この名刺をお渡ししておきます。」
そう云って、彼女は名刺を2枚、差し出した。
確かに彼女がここに来るのは初めてだ。
カノン一人だけでも校長さえ委縮してしまうが…。
今度は母親の秘書まで出てくるとなると、ただ事ではない…と思ってしまっても仕方ない。
流石に硬直している姿は少々、哀れさを感じてしまう。
「では、本題に入りましょうか…」
カノンがそう、口に出した時…。
扇が口を開いた。
「えっと…私は別に…感情で生徒を区別したり、差別などしておりません!た…確かに苦手意識を抱いてしまう生徒もいますが…。でも、それでも、私は、仕事に感情を持ちこむ様な事は決して…」
恐らく、語るに落ちる…と云うのはこう云う事を云うのだろう。
扇の隣に腰かけていた校長は顔色を変えているし、コーネリアは何とも言えない表情をしているし、カノンは、ただ苦笑してしまう。
その空気に扇がはっと我に返る。
そして…今、自分が何を口走ったのか…改めて思い出して…。
更に血の気の引いた顔となる。
「彼は…何も云っていないのですが…。簡単に自白しましたね…。大体、こんな形でそんな言い訳をすると云う事は、何か、ご自身に心当たりでもあるのでしょうか?」
半ば呆れた口調でコーネリアが口を挟んだ。
確かに…こんな教師が相手ではルルーシュも大変だろうと…。
ルルーシュを溺愛している彼の両親たちが心配するのも解って来るから困ったものだ。
先ほどまで、心の中で自分の上司に対して様々な憤りを感じていたわけだけれど。
この現場を見てしまうと、ある意味仕方がないかもしれない。
これなら、一般の生徒達でも迷惑するに違いないと思えてくる。
「あの…えっと…私は…」
覆水盆に返らず…とはよく言ったもので…。
ここまで来てしまうと最早云い訳の仕様がない。
正直、彼らは様々な企業などとこうした形で圧力をも含めた交渉を何度となくこなして来ているのだけれど。
―――ここまでバカを相手にしたのは初めてだ…
そんな感想が、何の不思議もなく、何の疑問もなく、ただ自然に過って行った。
ここにいたのが自分たちであってよかったとさえ…思う。
―――こいつらはどうでもいいが、ここに通う生徒達に気の毒な事になりかねなかったからな…

 そんな風に考える時間がある程度与えられ…。
流石にこの場の空気は非常に居心地が悪いと感じているらしく、校長が口を開いた。
「あ…の…彼の処遇に関しましては…」
見ていて気の毒とも云える様な…そんな状態の校長の姿に、大き過ぎる力の怖さを感じてしまう。
自分達だって妙な失敗をしてしまえば、彼らと立場が変わらないのだ。
ちゃんと、成果を出しているからこそ、こうした場にこうした立場で立っていられるのだ。
「別に、解雇にする必要はありませんよ…。ただ、ルルーシュ様に対する接し方が確かに問題があった様ですから…。ルルーシュ様のクラスの担任を変えて頂く事は出来ませんでしょうか?」
カノンが静かに告げた。
彼がここまで云った時点で、この扇という教師の運命はきまってしまう。
確かに、教員の異動まではこの学校にいられるだろうけれど。
その先は…。
国にさえ影響力を持つランペルージの怒りを買ったともなれば、中々働き口は見つからないだろう。
少なくとも、教師としての働き口は…。
この辺りは運が悪かったと諦めて貰うしかない。
大体、昨今の教師の問題行動もある意味、こうした親の心配を広げている要因となっているのだけれど。
力の加減の仕方を知らない教師が体罰をするから子供が重傷を負ったり、最悪死ぬ事になったりするのだ。
確かに教師も人間とは云え、それでも、仕事上で私情を丸出しにして生徒と接するのはそれは教師としての資質を疑う事になる。
確かに、生徒と接していく中で仲良く話す生徒もいるし、そうでない生徒もいる。
その部分に置いては仕方ないと云えるけれど、生徒達を評価し、報告する立場としてその評価の中に私情を込めたり、周囲の目からでも解るあからさまなひいきは、モンスターペアレンツという親を生みだしても仕方ない要因とも云える。
扇の場合、そう云った傾向があったのだから。
確かにランペルージ家の子息の担任と云うのは、緊張を強いられる立場である事は否めないだろうけれど。
それでも、それをも含めての給料だ。
「人事権があるのは校長、貴方でしょう?我々はこの学校でのルルーシュ様のご様子と、ルルーシュ様のお友達から伺った担任の先生の事をお訊きしに来ただけでしたが…。ただ、彼自身が、何やら、教師としてあまりルルーシュ様にとっても他の生徒にとってもあまりよくない影響を与えている事だけは、何となく解った気がしますが…」
今回に関しては、本当に何もしていない…。
というか、カノンが時々、学校に様子を伺いに来ていた事はこれまでにもあったことで、ここまで彼らが緊張する理由も良く解らない…という感じだったけれど。
ただ、校長としても何か気付いていた事があり、中々それを口に出す事も、自分でなんとかする事も出来ずにいたようだ。
正直、この結末は…。
変な意味で…。
―――イレギュラー…。予想外だ…。
そう思わざるを得ない。
実際に、これはイレギュラー以外の何物でもない。
それこそ…一気に力の抜ける…。

 色々呆れたと云うか、拍子抜けした気持ちを何とか押し隠しながら、カノンとコーネリアが立ち上がった。
「とりあえず、私はギネヴィア様にお伝えしなければなりませんので…。一応、ルルーシュ様が在校中には私も時々様子を伺いに来てもよろしいでしょうか?今回の事できっと、ギネヴィア様もお気になさることでしょうから…」
コーネリアがまず口を開いた。
校長としてもこの学校への寄付金の多いランペルージ家の怒りを買う事は…。
それこそ、この学校の未来を左右する程の重大事項だ。
そして、ランペルージ家からの膨大な額の寄付金の半分はギネヴィアから出ているのだ。
そのランペルージ家からの寄付金の半分が消えるだけで、かなりの痛手だ。
「私はまた、時々伺わせて頂きます。その時に彼女が一緒に来るようにしましょう。その方が、学校側への御負担も少ないでしょうから…」
カノンが不気味に笑みを浮かべながらそう告げた。
確かに声は優しげだし、その笑みも、一見優しげだ。
でも…。
そんなカノンの姿に、横で見ていたコーネリアがやれやれと笑みを見せつつため息を吐いた。
これはカノンの交渉術に一つだ。
しかも…初歩的な…。
だからこそ怖い。
少なくともコーネリアはそう思っている。
目の前の彼らがどこまでそれを理解出来ているのか…解らないけれど。
それでも、彼らを委縮させるには充分だ。
「カノン、そろそろ失礼しよう…。話しが済んだのであれば、私も報告せねばならない。その後の事はまた、決まってから…という事だ…」
まだ、その部屋から出ていないのに…。
そんな事を口に出すのは、その先に色々考えていると云う、その意思表示だ。
「そうですね…。私もシュナイゼル様にご報告申し上げないと…。遅くなるとまた、ご機嫌を損ねて残業を増やされてしまいますしね…」
他愛ない会話に聞こえる。
というか、何も知らなければ、他愛のない会話に聞こえる様に二人が話しているのだ。
ただ、何故、二人がここにいるか解っている者にとっては…。
それがどういう意味であるか深く理解していなくても、恐ろしさを感じるのだ。
それこそ、背筋に寒気が走る程の…。
「あ…あの…」
扇が何か焦りを見せる様にソファから立ち上がり、部屋を出て行こうとする二人に声をかける。
最早遅いと云う事は…。
解っているのか、いないのか…。
今のところは解らないけれど。
「ああ、扇先生…、ルルーシュ様を恨むのはお門違いですよ?ルルーシュ様は最後まで貴方の事を庇っていらした…」
カノンがそう云うと…扇は更に真っ青になる。
大きな力に抗うと云う事…。
確かに、話しで聞く分にはかっこいい。
しかし…現実には?
今、扇は大きな力に対して抗っているという意識はないし、抗うだけの気力もない。
ただ、大きな力に飲み込まれていく。
「ただ、大きな力を持つ家に生まれた存在だからと…個人的な感情をぶつけた事を悔やむ事だな…。ルルーシュ様は何も仰っていない。私とて、カノンから話しを聞いただけだ。しかし、今回、貴方を見て、それが理解出来たよ…」
扇はカノンとコーネリアの言葉に…ただ膝を突いた。

 強引にジノを連れだしたスザクだったけれど…。
「なんだよ…。お前の方から俺をアフターファイブに誘って来るなんて…」
ジノがこれまでこんな店に来た事無い…そんな顔をしながら、スザクについて来た。
「悪いね…。僕、ジノ程金持ちじゃないからさ…。こう云う店しか知らなくって…」
まぁ、それはウソだ。
スザクは接待の場ではそれなりの一流店で飲み食いしているし、その際にそう云う場所のマナーは一通り覚えた。
正直、スザクとしては自分の金で行くところじゃないと思っているし、堅苦しいところで、これから、話そうと思っている事は…あまり話せない。
ジノの行くような店は当然、彼らのいる世界の人間が出入りする店が殆どだ。
だとすると、どこで何を聞かれているか解らない。
だから、スザクはジノを普段、自分がこのんで入る店に連れて行ったのだ。
「今晩は…リヴァル…」
「あ、久しぶり〜〜〜。ここんとこ忙しそうで…中々来てくれないんだもんなぁ…」
「ごめん、ごめん…。ホントに忙しくってさぁ…」
スザクがその店の主と思わしき、彼らとあまり年の変わらない様な感じの男性に声をかけた。
気さくそうな男だ。
―――リヴァル…
記憶の戻っているスザクはこれまでここを好んだ理由が何となく解った気がした。
ずっと、彼は…あの殺伐とした世界の中で、最も『人』としてあり続けた人物に見えたから…。
「リヴァル、紹介するよ…。こちらジノ=ヴァインベルグ…。僕の同僚なんだ…」
「あ、宜しく。スザクのお眼鏡に叶うなんて、凄いなぁ…」
本当に感心したように、リヴァルが感嘆の声をあげた。
「で、こちらはリヴァル=カルデモンド…。高校の時の同級生で、ずっと世話になっているんだ…」
「あ、よろしく…。ってか、スザクってホントに庶民なんだなぁ…」
「喧嘩売ってんの?」
「あ、否…俺、こう云うところ初めてだし、知らない事、たくさんあるって、スザクと知り合ってから良く解ったんだ…。変な意味に取らないでくれよ…」
ジノのその言葉にはウソはないらしい。
確かに、スザクとジノでは生きている世界が違う。
そして、ルルーシュも…。
―――それでも…僕はもう、諦めない…。欲しいものは…今度こそ手に入れる…。
スザクはそんな事を思いながら、奥の方の席に陣取った。
「リヴァル、まず、中生2つと唐揚げと枝豆…」
「了解…。ちょっと待ってろ…」
まだ、客が集まって来るには少々早い時間で…。
店の中にはスザクとジノ以外の客はまだまばらだ。
「こう云う店…テレビでしか見た事無かった…」
ジノがまたも感嘆の声を上げる。
確かに、珍しい代物だろう。
「まぁ、そんなことよりさ…。本題…いいかな?」
スザクが真面目な顔になってジノに話しかけた。
その時にリヴァルが中生と唐揚げと枝豆を持ってきた。
深刻そうな話になりそうだと…リヴァルは黙ってオーダーされたものをテーブルに置いて離れて行った。
それを確認してから…スザクは口を開いた。
「ヴァインベルグ家って、ランペルージ家との交流って…どうなっているの?」

 本当に単刀直入に話す。
少々スザクに余裕がなくなっているのかもしれないと…。
第三者的にその様子を眺めているスザクが思う。
確かに、今の状態、どう考えてもスザクには不利だ。
なりふり構っていられるだけの余裕がないのだ。
「あ、えっと…。今度、見舞いに行く事になってるけどな…。マンション同じだし、一応、提携結んでいるからな…うちの会社…」
ジノの言葉に、スザクは心の中で笑みを浮かべた。
とりあえず、ルートの確保は出来そうだ。
あのマンションの出入りが禁止になった時点で、ミレイもルルーシュに会える状態なのか、解らないのだ。
だから、ジノに…という事だ。
それに、提携を結んでいる企業と云う事は、ランペルージグループ傘下の企業よりも強いと云う事だし、ランペルージ家の意向を丸々受け入れなければならないと云う事ではない。
「なら…頼み…聞いてくれないかな?」
スザクはうまく行くかどうか…半々程度の可能性にかけた。
ジノだって、自分の家を守らなければならない立場にあるのだ。
だからこそ、可能性そのものは自分の希望的予測よりも遥かに低いだろうと思う。
それに、ジノはあのマンションの住人だ。
ルルーシュに会いに…という目的ならマンションに入る事は出来ないかもしれないし、部屋に入ることは不可能だ。
でも…間にジノが入ってくれれば…という事を考えたのだ。
「ルルーシュ…の事か?」
ジノは少しだけ真剣に心配していると云う表情になった。
確かに、ジノだってランペルージ家の事は良く知っているし、スザクが何をしたいと思っているのか…。
これまでのスザクの態度を見ていれば、感づいてしまう。
「どうしても…失いたくないんだ…」
スザクは短く答えた。
正直、ジノとしてもどこまで力になれるか解らないし、下手をすると…。
そんな事を考えてしまう。
ふざけている様に見えていても、跡取りとしての自覚はあるのだ。
それでも…スザクのこんな必死な様子を見ていると…。
「スザクが…そんな風に何かの為にそんな顔をするの…初めて見たよ…」
ジノ自身、今の自分にできる事なんて限られている事は解っている。
恐らく、ジノがあのマンションにいる間、彼らを引き合わせてやる事くらいしか出来ない。
ジノは二人の事情を知らない。
でも、こんなに真剣になっているスザクを見ていて…。
なんだか、放っておけないと思えてくるのもまた事実だ。
「無理を云っている事は解っているんだ…。でも…」
「これまで…俺も随分、スザクに迷惑をかけたからな…。ただ、出来る事しか出来ないぞ?俺だって、ヴァインベルグ家をただ、潰す訳にはいかないんだ…」
ジノの言葉に…スザクは申し訳ないと思う様な、それでも縋る様な眼をして、ジノを見た。
「有難う…。今度、ルルーシュの面会に行く時に…渡して欲しいものがあるんだ…。なんとか…その時までに持って行くようにするから…」
スザクがそう云うと…ジノは不思議そうな顔をする。
何となく、スザク自身、その渡して欲しいものが、ちゃんと自分の手に渡るかどうか…解らないから…そんな表情に見えたから…。
でも、何かをしたいと…何かを伝えたいと云う…その気持ちだけは…ジノにも伝わって来たのだった…

To Be Continued

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2010年07月12日

It's Destiny 28

執着



 ルルーシュ知らないところで…事が動いて行く…。
今も、ルルーシュの通う学校には…シュナイゼルの側近であるカノンと、ギネヴィアの補佐役をしている一人の女性が訪れていた。
「久しぶりだ…カノン=マルディーニ…」
その女性がルルーシュの通う学校の前に立ち、カノンに声をかけた。
かなり突然の呼び出しに、顔色を変える事もない。
「相変わらず行動が早いですね…ギネヴィア様は…」
「あのお坊ちゃんへの執着は何だと云うくらいの執着を見せてくれているからな…。そちらもか?」
その女性がため息混じりに尋ねる。
そんな彼女にカノンは少しだけ、『困りますよね…』と云う表情…でも、本心はどこにあるか解らない表情で返す。
「確かにそうなのですけれど…。ルルーシュ様のお陰でお互いの主のやる気が発揮されるとなれば…私としてはあまり文句も言えません。恐らく、シュナイゼル様はルルーシュ様がいなくなった時には…」
カノンが少し語尾の部分だけ、視線を下に落とした。
カノンの言葉の意を察したのか、その女性も苦笑した。
「それはこちらも同じだ…。お前のところは、世界に影響力を持つ日本の政治…こちらは世界の経済に影響力を持つ財界のトップ…だからな…。あのお坊ちゃんも大変な家に生まれたものだ…」
「そうでしょうか?愛情表現はどうであれ、ご両親に愛されているのですから…」
「愛し方を間違えては、愛される側は不幸になるし、愛している方も辛いと思うが…」
恐らく、この二人の意見はかみ合わないだろう。
いずれにしても、彼らのここへ来た目的は一つだ。
恐らく、ルルーシュが何かを云ったのではなく、何かを察した親が勝手に暴走していると云うのは、二人とも解っている。
親に世界に通用する権力があるだけに、始末が悪い。
この先、今回指摘された教師はこの先、教員としての道を断たれる事にもなりかねないのだ。
「まぁ、今回の担任の場合、ルルーシュ様ご自身もしんどい思いをされていますしね。何故かは解らない様ですけれど、やたら個人的な感情で理不尽な事をしているようですよ?お友達のお話しを伺うと…」
どこまで本当なのか…信じていいものか…と、少々疑問は拭えない部分はあるが…。
「私は、ギネヴィア様の指示に従うだけだ…。お前は私に何をすればいいかだけ説明してくれないか?」
少々苛立ったように女性がカノンに端的に説明しろと訴えている。
確かに、彼女は普段からあの忙しいギネヴィアの第一秘書として働いているのだ。
今回の事は、話しを聞いている分には確かに、教師側の問題もないとは云えない。
ルルーシュ自身は、それほど問題を起こすような真似は基本的にしていない。
確かに、自分の両親に思うところはあるけれど、関係のない赤の他人に影響を及ぼす事を嫌っている事は…彼女も知っているから。
「解りました…。とりあえず、互いに主の意向を伝えましょう。校長と、その担任に…」
「まぁ、教師が自分の感情で生徒への態度を変えると云うのは確かに問題ではあるからな…。どちらにせよ、まずい親に目を付けられたものだ…」
「そのまずい親の下で働いているのですよ?私達は…」
「まぁ、確かにな…」

 お互いに、愚痴とも、時々暴走する主に対する憤りとも思える会話をしながら、校舎の中に入って行き、事務室の窓口で今日、彼らが学校に来た経緯を説明した。
事務員は表情を変えて、慌てて校長を呼びだし、二人を応接室へと案内した。
二人とも、そんな風に顔色を変えている事務員に同情してしまうけれど。
それでも、彼らもそれが仕事だし、彼の身上よりも自分達の主の機嫌をこれ以上損ねる事の負を考えた時、今回は彼に頑張ってもらうしかないと思う。
「話しをするだけなので、お構いなく…」
応接室へ通されて、二人の茶を出される。
校長は先客があったらしく、まだ、こちらに来る事が出来ない事を伝えられた。
とりあえず、今回の事はお互いに、
『こちらの要求が通るまで話し合って来るように!』
とのお達しで、それこそ、こちらの言い分が通らなければ帰れない。
逆に云えば、云い分が通ってしまえば、やる事はない。
この学校でルルーシュの家庭事情を知らない職員も生徒もいない。
ルルーシュ自身は、普通に接してきた分には何とも思わないし、何か云いがかりを付けられたところで、親の名前を使った事は一度もない。
ただ、大人の世界と云うのは中々複雑なのだ。
ルルーシュが口で
『別に何でもない』
と云ったところで、ルルーシュの親がそうじゃないと判断すれば、糾弾されるのだ。
世界的権力者二人に…。
ともなれば、どうしても委縮してしまう。
だからこそ、生徒の中でもルルーシュと本当の意味で一緒にいるのはマオだけなのだけれど。
教師の中でルルーシュの家庭事情を知っていて感情のまま理不尽に扱う扇の方が珍しい。
と云うか、今時、そんな事をすれば、ルルーシュのような特殊な家庭環境がなくとも親が教育委員会に訴えればマスコミの餌食になるご時世だ。
記憶のあるカノンは彼らのルルーシュへの執着は…何となく解る。
あの時代だったから、あの場所だったから、ギネヴィアだってルルーシュを蔑む様な立場にいたけれど。
あのような状況でなければ、ルルーシュを本当に愛していたのかもしれない…とカノンは思う。
実際、今、ルルーシュの母親と云う立場の彼女だが…。
愛し方云々はともかく、ルルーシュを本当に愛している母親だ。
あの頃、本当は彼を愛していたのに、ちゃんとそれを表に出す事が出来なかったから…。
だから、今度こそ…。
そんな感じだ。
カノンの主であるシュナイゼルだって、あの頃、表に出す事が出来なかったその気持ちがこうした形で出て来てしまっているのだと、そう思っている。
「お…お待たせいたしました…」
出入り口が開いて、学校の校長と扇が入ってきた。
扇の表情はと云えば…。
理不尽を感じつつも、云い返せない部分が自分にもあると認めている様にも見えた。
「お時間を取って頂き、有難う御座居ます…」
二人が立ち上がって、二人に向かって、形だけの礼を取った。
そして、既に結果だけは決まっている、憂さ晴らしの様な糾弾が始まるのだった。

 その頃…。
「どうしたんだよ…そんなに怖い顔をしてさぁ…」
あれから、ルルーシュに一度も会えずにいるスザクが職場であまり機嫌がいいとは云えないオーラを纏っていた。
流石に相手もバカではないと云う感じの状態に…。
スザクとしても、いい加減イライラして来ているのだ。
出来るだけ、他の者達への影響がない様に…
そんな風に考えてはいるものの、それを考え始めてしまうと手段は本当に限られてしまっていて…。
全てを試してみたものの、病院に行ってもしっかり『面会謝絶』と云う事にされてしまうし、当然だけれどそんな状態の中、電話をしたって繋がる訳もない。
居場所だけはほぼ確実…に解っているのだけれど。
「ジノ…。君には解らない悩みだよ…」
既に、気が滅入ってしまっている言葉だ。
そんなスザクを見て、ジノが乾いた笑いをもらす。
正直、見ている分には面白いのだけれど、こんな状態で仕事をされてはたまらない。
元々、スザクはまじめで、云われた通りの仕事をきっちりこなす方だったから…。
それが崩れると、ジノの方にも影響が出て来るからだ。
なんだかんだ云って、あの頃と変わらず、めんどくさい事は嫌いな風に云いながらも、面倒見はいいらしい。
あの頃だって、完全にダークな状態だったスザクに懲りもせず声をかけて来たのは彼だけだった。
元々、個人主義的に動くナイトオブラウンズと云う立場の人間だったけれど。
その中でもかなり珍しいタイプに人間だったと思っていた。
スザクがあの地位を得た事も、ナイトオブラウンズの選ばれている条件は一体何だったのか…。
今でもよく解らない。
ジノを見ていると、あの頃に抱いていても考える事を許さなかった疑問がこうした形でスザクに疑問を投げかけている。
あのような緊張状態なる訳ではないから…。
それに、今はルルーシュを敵として見る立場にいる訳じゃないから…。
一緒にいてもいい、立場だから…。
それでも、こんな形で外部からの理不尽な力が働く事となっているわけだけれど。
―――ホント、どこまでも一緒にいたいと思うのに、一緒にいる事を簡単には許して貰えないんだね…僕達って…。
あの頃、騙し合いながら互いを求めて、互いを与えあっていたけれど。
今は、あんな形で騙す必要がないのに…。
「あの、ルルーシュの事だろ?まぁ、俺も直接関われる立場にはないけれどな…。ただ、なんかの噂で聞いたんだけど…」
ジノのその一言にスザクの耳がダンボになる。
正直、こんな自分を第三者の自分が見ていて呆れた笑いを漏らしているのが解る。
実際、第三者じゃない自分もこんな自分に苦笑しているのだから。
「何?教えて!これまで色々ジノの仕事、肩代わりして来たんだから…」
既に行っている事が相当乱暴だ。
そんなスザクを面白いと思いつつも、少しだけ痛々しさを感じながらジノが答えた。
「まぁ、いいニュースかどうかは…俺には解らないけどな…。ギネヴィア社長の第一秘書が日本にいるんだよ…今…。でもって、シュナイゼル議員の第一秘書と一緒に何かをしているらしいってさ…」

 スザクはジノのその言葉に…。
とりあえずの冷静さを取り戻した。
確かに、何かをしようと思った時、彼ら本人が動く事は目立ち過ぎるし、下手に騒がれる様な真似は彼らだってしない。
確かに、騒ぎになるかもしれないと解った時点で、握りつぶす事が出来るだけの力が彼らにはあるのだ。
ただ…。
今のジノの言葉で気になる事…。
―――二人の第一秘書が共に行動している???
奇妙な事を聞いた気がした。
元々、夫婦仲はあまりいいとは云えない。
それは、知っている人は知っている事実ではあるけれど、そんな事は大して問題にするような事柄でもないと云う事で、誰も何も云わない。
ただ、別々に動いているのではなく、共に行動していると云う事は…。
現在のところ、お互いが承知で何かをしていると云う事だ。
そんな事…。
表向きのニュースが何もないとなると…。
―――ルルーシュの事か…。
そう判断出来る。
ただ、あれだけの大物の二人の第一秘書と云う優秀な人物達が動いていると云うのは…。
あれくらい大物となると、彼らの周囲の人間は本当に優秀な人材である事が要求される。
至極当然だ。
一国の政治の主導権を握る存在、世界経済の主導権を握る存在なのだから、本人は当然の事、周囲にいる人間にも同等の力量を求められるのだ。
「確かに…王だけが優秀でも国は成り立たないよな…」
ぼそりとスザクは呟いた。
正直、あの時にあれだけの経験をして身に付けた様々なものが今のスザクには備わっているけれど。
記憶の戻っているカノンを相手にするのは、今のスザクでも骨が折れるのだ。
記憶があるか、ないかはともかく、ギネヴィアの第一秘書ともなれば、カノンと同じくらいの能力を持った人材だ。
スザクにとってあまり、嬉しくない方向に動いてくれる事は確実で…。
今のスザクは一人で大きな相手に立ち向かっているような錯覚に陥っている。
実際、当たらずも遠からずだ。
どこまで頑張れるか…。
そんな事が頭の中を過って行く。
こんな風に迷いが乗じてしまう程の経験をした過去の記憶がある事が少し鬱陶しい。
と云うか、舌打ちしたくなる。
先読みなんてできなければ、何も考えずに欲しいものの為に突き進んで行く事だって怖いと思う事無くやり遂げてみせると云う思いは強かっただろう。
『ゼロ』としての仮面を被る前のスザクだったら、そのくらいのことはやっていたかもしれない。
先の可能性を考えて、確実性を求める様になっている今の自分はそこまでがむしゃらに突き進む事が出来ない。
ただ、その分、冷静に物事を見ているとは思うけれど。
自分に絶望的な可能性ばかりが並んだ時…。
―――そしたら…僕は諦めるのか?諦められるのか?
そんな自問自答をしてみると…。
自嘲がこみ上げてくる。
考える時間などいらなかった。
まるで、自分の本心をわざわざ自分に教える為の行為でしかなかった。
―――んなわけ…ないだろ…。僕自身、もう、後悔したくない…
あの時の後悔が山のようにあるのだ。
同じ愚を犯さない。
そう思う。
「ねぇ…ジノ、今夜はデート?暇なら…おごるから少し、付き合ってよ…。流石にジノが普段食べている様な高価なものはおごれないけどさ…」

 あれから、病室のあるフロアから出る事もままならず…。
いい加減、あのいい加減なマッドサイエンティストの顔を見る度にイライラが募って来る。
結局囚われの姫君を演じていろと云う事なのか…。
などと、訳の解らない事を考え始めているルルーシュだけれど。
それこそ、ルルーシュには『専任看護師』と云う名の見張りがいつでも着いて来ているのだ。
電話をかけるとしても、しっかり、その番号をチェックされている。
話している内容までは流石に盗聴していないだろうと思いたいが…。
相手はあのシュナイゼルだ。
正直、何をされていてもおかしくはない。
あの頃…ある意味その力の為に自分の心を削り続けた『ギアス』だったけれど…。
この、体のいい監禁生活を続けていると、あの時の魔女に会いたくなってしまうが…。
ただ、そんな考え程度で済んでいるのなら、まだ幸せなのかもしれないと、強引に考えている。
ロイド自身、ルルーシュの敵だとは思わない。
あんな説教をルルーシュにしているのだから。
ただ、彼自身も、手をこまねいているのだろうか?
実際に、スザクと会える手段が今のところ、ないのだ。
シュナイゼルの事を…知らない訳じゃない。
もし、現在の彼がルルーシュの存在そのものを…ルルーシュ自身を求めているとして、あの頃、決して表に出す事のなかった『執着』をルルーシュに向けているとしたら…。
あの頃とは別の意味で厄介なことだ。
あの頃、立場が立場だったから…あんな形で対峙するしかなかったけれど。
ルルーシュ自身、ブリタニアに反旗を翻した時、ずっと、まず意識をしていたのはシュナイゼルだった。
ルルーシュの中で彼と対峙すると云う事は…。
物理的にも精神的にも…苦痛を伴うものであった事は確かだ。
色んな意味で…。
今は…敵ではないけれど…。
でも、その存在が怖い。
母となったギネヴィアも大きな力を持っている。
そして、彼女もルルーシュに対して異常とも云える『執着』を持っている。
シュナイゼルと対立する程に…。
それでも今のルルーシュは母よりも父の方が恐ろしいと思える相手だ。
ルルーシュを愛してくれているのだろうとは思うけれど…。
ただ、それは拘束する『愛』だ。
拘束する独占欲の塊は向けられる側にとっては恐怖だ。
「ルルーシュ様…、バイタルチェックの時間です…」
ベッドの上で一人、考え事をしていた時に専任看護師がそう声をかけて来た。
正直、ここまでの見張りを吐けると云うのは一体どう云う事なのだろうか?
マオまで〆出すなんて事をするのも…。
シュナイゼルがその先に何を見ているのかが解らないから不安になる。
様々な可能性を考えては見るものの…。
そう、判断するにはまだ、何か少しずつ足りないのだ。
結局今の自分の中で最も確実にスザクに会える方法が見つからず、看護師に渡された体温計を受け取る。
―――結局、体力回復までは…何もできない…と云う事か…。
この時、それまでの自分の不摂生をこれほど後悔した事はないと云う程…ルルーシュは後悔していた。
それまで…何に対しても気持ちを向ける事が出来ずにいた…。
でも、記憶を取り戻す前から…スザクと出会ってから…自分が変わった事を…改めて思い知った。
そして、自分の中で欲しいと願う者をしっかりと自覚したのだった…

To Be Continued


あとがきに代えて



今日はサッカーを見ていて殆ど寝ていない状態で定期健診に行きまして…。
でもって、帰って来てからこの記事の原稿を書こうと思っていたのですが…中々手が進まず…。
とりあえず、『奥の手』の方の準備は殆ど完了致しまして…。
見つけて下さった方には予定通り、お送りできると思います。
今のところ、一部、かりに動いていると云う形になっているものもありますが、当日までにはきちんと稼働させますので…。

さて、この話も何となくごちゃごちゃして来ていまして…。
やっと、扇の活躍(?)の場が出てきそうです…。
長かったなぁ…。
さぁ、悩め!若者達!
そして、和泉の憂さ晴らしの為に協力するのだぁぁぁぁ…(黙れ!)
とまぁ、割と、苛めに近い状態になっていますし…
それに、この冒頭に出て来ているカノンと一緒にいる女性の事をこの先、訊かれそうですねぇ…。
とりあえず、その疑問を抱きつつ、You Tubeで見つけた和泉が聴いている歌を張り付けておきますので…。
そこから連想して下さい。
多分関係ないですが…(爆)


『裸足の女神』 B'z

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posted by 和泉綾 at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

It's Destiny 28

執着



 ルルーシュ知らないところで…事が動いて行く…。
今も、ルルーシュの通う学校には…シュナイゼルの側近であるカノンと、ギネヴィアの補佐役をしている一人の女性が訪れていた。
「久しぶりだ…カノン=マルディーニ…」
その女性がルルーシュの通う学校の前に立ち、カノンに声をかけた。
かなり突然の呼び出しに、顔色を変える事もない。
「相変わらず行動が早いですね…ギネヴィア様は…」
「あのお坊ちゃんへの執着は何だと云うくらいの執着を見せてくれているからな…。そちらもか?」
その女性がため息混じりに尋ねる。
そんな彼女にカノンは少しだけ、『困りますよね…』と云う表情…でも、本心はどこにあるか解らない表情で返す。
「確かにそうなのですけれど…。ルルーシュ様のお陰でお互いの主のやる気が発揮されるとなれば…私としてはあまり文句も言えません。恐らく、シュナイゼル様はルルーシュ様がいなくなった時には…」
カノンが少し語尾の部分だけ、視線を下に落とした。
カノンの言葉の意を察したのか、その女性も苦笑した。
「それはこちらも同じだ…。お前のところは、世界に影響力を持つ日本の政治…こちらは世界の経済に影響力を持つ財界のトップ…だからな…。あのお坊ちゃんも大変な家に生まれたものだ…」
「そうでしょうか?愛情表現はどうであれ、ご両親に愛されているのですから…」
「愛し方を間違えては、愛される側は不幸になるし、愛している方も辛いと思うが…」
恐らく、この二人の意見はかみ合わないだろう。
いずれにしても、彼らのここへ来た目的は一つだ。
恐らく、ルルーシュが何かを云ったのではなく、何かを察した親が勝手に暴走していると云うのは、二人とも解っている。
親に世界に通用する権力があるだけに、始末が悪い。
この先、今回指摘された教師はこの先、教員としての道を断たれる事にもなりかねないのだ。
「まぁ、今回の担任の場合、ルルーシュ様ご自身もしんどい思いをされていますしね。何故かは解らない様ですけれど、やたら個人的な感情で理不尽な事をしているようですよ?お友達のお話しを伺うと…」
どこまで本当なのか…信じていいものか…と、少々疑問は拭えない部分はあるが…。
「私は、ギネヴィア様の指示に従うだけだ…。お前は私に何をすればいいかだけ説明してくれないか?」
少々苛立ったように女性がカノンに端的に説明しろと訴えている。
確かに、彼女は普段からあの忙しいギネヴィアの第一秘書として働いているのだ。
今回の事は、話しを聞いている分には確かに、教師側の問題もないとは云えない。
ルルーシュ自身は、それほど問題を起こすような真似は基本的にしていない。
確かに、自分の両親に思うところはあるけれど、関係のない赤の他人に影響を及ぼす事を嫌っている事は…彼女も知っているから。
「解りました…。とりあえず、互いに主の意向を伝えましょう。校長と、その担任に…」
「まぁ、教師が自分の感情で生徒への態度を変えると云うのは確かに問題ではあるからな…。どちらにせよ、まずい親に目を付けられたものだ…」
「そのまずい親の下で働いているのですよ?私達は…」
「まぁ、確かにな…」

 お互いに、愚痴とも、時々暴走する主に対する憤りとも思える会話をしながら、校舎の中に入って行き、事務室の窓口で今日、彼らが学校に来た経緯を説明した。
事務員は表情を変えて、慌てて校長を呼びだし、二人を応接室へと案内した。
二人とも、そんな風に顔色を変えている事務員に同情してしまうけれど。
それでも、彼らもそれが仕事だし、彼の身上よりも自分達の主の機嫌をこれ以上損ねる事の負を考えた時、今回は彼に頑張ってもらうしかないと思う。
「話しをするだけなので、お構いなく…」
応接室へ通されて、二人の茶を出される。
校長は先客があったらしく、まだ、こちらに来る事が出来ない事を伝えられた。
とりあえず、今回の事はお互いに、
『こちらの要求が通るまで話し合って来るように!』
とのお達しで、それこそ、こちらの言い分が通らなければ帰れない。
逆に云えば、云い分が通ってしまえば、やる事はない。
この学校でルルーシュの家庭事情を知らない職員も生徒もいない。
ルルーシュ自身は、普通に接してきた分には何とも思わないし、何か云いがかりを付けられたところで、親の名前を使った事は一度もない。
ただ、大人の世界と云うのは中々複雑なのだ。
ルルーシュが口で
『別に何でもない』
と云ったところで、ルルーシュの親がそうじゃないと判断すれば、糾弾されるのだ。
世界的権力者二人に…。
ともなれば、どうしても委縮してしまう。
だからこそ、生徒の中でもルルーシュと本当の意味で一緒にいるのはマオだけなのだけれど。
教師の中でルルーシュの家庭事情を知っていて感情のまま理不尽に扱う扇の方が珍しい。
と云うか、今時、そんな事をすれば、ルルーシュのような特殊な家庭環境がなくとも親が教育委員会に訴えればマスコミの餌食になるご時世だ。
記憶のあるカノンは彼らのルルーシュへの執着は…何となく解る。
あの時代だったから、あの場所だったから、ギネヴィアだってルルーシュを蔑む様な立場にいたけれど。
あのような状況でなければ、ルルーシュを本当に愛していたのかもしれない…とカノンは思う。
実際、今、ルルーシュの母親と云う立場の彼女だが…。
愛し方云々はともかく、ルルーシュを本当に愛している母親だ。
あの頃、本当は彼を愛していたのに、ちゃんとそれを表に出す事が出来なかったから…。
だから、今度こそ…。
そんな感じだ。
カノンの主であるシュナイゼルだって、あの頃、表に出す事が出来なかったその気持ちがこうした形で出て来てしまっているのだと、そう思っている。
「お…お待たせいたしました…」
出入り口が開いて、学校の校長と扇が入ってきた。
扇の表情はと云えば…。
理不尽を感じつつも、云い返せない部分が自分にもあると認めている様にも見えた。
「お時間を取って頂き、有難う御座居ます…」
二人が立ち上がって、二人に向かって、形だけの礼を取った。
そして、既に結果だけは決まっている、憂さ晴らしの様な糾弾が始まるのだった。

 その頃…。
「どうしたんだよ…そんなに怖い顔をしてさぁ…」
あれから、ルルーシュに一度も会えずにいるスザクが職場であまり機嫌がいいとは云えないオーラを纏っていた。
流石に相手もバカではないと云う感じの状態に…。
スザクとしても、いい加減イライラして来ているのだ。
出来るだけ、他の者達への影響がない様に…
そんな風に考えてはいるものの、それを考え始めてしまうと手段は本当に限られてしまっていて…。
全てを試してみたものの、病院に行ってもしっかり『面会謝絶』と云う事にされてしまうし、当然だけれどそんな状態の中、電話をしたって繋がる訳もない。
居場所だけはほぼ確実…に解っているのだけれど。
「ジノ…。君には解らない悩みだよ…」
既に、気が滅入ってしまっている言葉だ。
そんなスザクを見て、ジノが乾いた笑いをもらす。
正直、見ている分には面白いのだけれど、こんな状態で仕事をされてはたまらない。
元々、スザクはまじめで、云われた通りの仕事をきっちりこなす方だったから…。
それが崩れると、ジノの方にも影響が出て来るからだ。
なんだかんだ云って、あの頃と変わらず、めんどくさい事は嫌いな風に云いながらも、面倒見はいいらしい。
あの頃だって、完全にダークな状態だったスザクに懲りもせず声をかけて来たのは彼だけだった。
元々、個人主義的に動くナイトオブラウンズと云う立場の人間だったけれど。
その中でもかなり珍しいタイプに人間だったと思っていた。
スザクがあの地位を得た事も、ナイトオブラウンズの選ばれている条件は一体何だったのか…。
今でもよく解らない。
ジノを見ていると、あの頃に抱いていても考える事を許さなかった疑問がこうした形でスザクに疑問を投げかけている。
あのような緊張状態なる訳ではないから…。
それに、今はルルーシュを敵として見る立場にいる訳じゃないから…。
一緒にいてもいい、立場だから…。
それでも、こんな形で外部からの理不尽な力が働く事となっているわけだけれど。
―――ホント、どこまでも一緒にいたいと思うのに、一緒にいる事を簡単には許して貰えないんだね…僕達って…。
あの頃、騙し合いながら互いを求めて、互いを与えあっていたけれど。
今は、あんな形で騙す必要がないのに…。
「あの、ルルーシュの事だろ?まぁ、俺も直接関われる立場にはないけれどな…。ただ、なんかの噂で聞いたんだけど…」
ジノのその一言にスザクの耳がダンボになる。
正直、こんな自分を第三者の自分が見ていて呆れた笑いを漏らしているのが解る。
実際、第三者じゃない自分もこんな自分に苦笑しているのだから。
「何?教えて!これまで色々ジノの仕事、肩代わりして来たんだから…」
既に行っている事が相当乱暴だ。
そんなスザクを面白いと思いつつも、少しだけ痛々しさを感じながらジノが答えた。
「まぁ、いいニュースかどうかは…俺には解らないけどな…。ギネヴィア社長の第一秘書が日本にいるんだよ…今…。でもって、シュナイゼル議員の第一秘書と一緒に何かをしているらしいってさ…」

 スザクはジノのその言葉に…。
とりあえずの冷静さを取り戻した。
確かに、何かをしようと思った時、彼ら本人が動く事は目立ち過ぎるし、下手に騒がれる様な真似は彼らだってしない。
確かに、騒ぎになるかもしれないと解った時点で、握りつぶす事が出来るだけの力が彼らにはあるのだ。
ただ…。
今のジノの言葉で気になる事…。
―――二人の第一秘書が共に行動している???
奇妙な事を聞いた気がした。
元々、夫婦仲はあまりいいとは云えない。
それは、知っている人は知っている事実ではあるけれど、そんな事は大して問題にするような事柄でもないと云う事で、誰も何も云わない。
ただ、別々に動いているのではなく、共に行動していると云う事は…。
現在のところ、お互いが承知で何かをしていると云う事だ。
そんな事…。
表向きのニュースが何もないとなると…。
―――ルルーシュの事か…。
そう判断出来る。
ただ、あれだけの大物の二人の第一秘書と云う優秀な人物達が動いていると云うのは…。
あれくらい大物となると、彼らの周囲の人間は本当に優秀な人材である事が要求される。
至極当然だ。
一国の政治の主導権を握る存在、世界経済の主導権を握る存在なのだから、本人は当然の事、周囲にいる人間にも同等の力量を求められるのだ。
「確かに…王だけが優秀でも国は成り立たないよな…」
ぼそりとスザクは呟いた。
正直、あの時にあれだけの経験をして身に付けた様々なものが今のスザクには備わっているけれど。
記憶の戻っているカノンを相手にするのは、今のスザクでも骨が折れるのだ。
記憶があるか、ないかはともかく、ギネヴィアの第一秘書ともなれば、カノンと同じくらいの能力を持った人材だ。
スザクにとってあまり、嬉しくない方向に動いてくれる事は確実で…。
今のスザクは一人で大きな相手に立ち向かっているような錯覚に陥っている。
実際、当たらずも遠からずだ。
どこまで頑張れるか…。
そんな事が頭の中を過って行く。
こんな風に迷いが乗じてしまう程の経験をした過去の記憶がある事が少し鬱陶しい。
と云うか、舌打ちしたくなる。
先読みなんてできなければ、何も考えずに欲しいものの為に突き進んで行く事だって怖いと思う事無くやり遂げてみせると云う思いは強かっただろう。
『ゼロ』としての仮面を被る前のスザクだったら、そのくらいのことはやっていたかもしれない。
先の可能性を考えて、確実性を求める様になっている今の自分はそこまでがむしゃらに突き進む事が出来ない。
ただ、その分、冷静に物事を見ているとは思うけれど。
自分に絶望的な可能性ばかりが並んだ時…。
―――そしたら…僕は諦めるのか?諦められるのか?
そんな自問自答をしてみると…。
自嘲がこみ上げてくる。
考える時間などいらなかった。
まるで、自分の本心をわざわざ自分に教える為の行為でしかなかった。
―――んなわけ…ないだろ…。僕自身、もう、後悔したくない…
あの時の後悔が山のようにあるのだ。
同じ愚を犯さない。
そう思う。
「ねぇ…ジノ、今夜はデート?暇なら…おごるから少し、付き合ってよ…。流石にジノが普段食べている様な高価なものはおごれないけどさ…」

 あれから、病室のあるフロアから出る事もままならず…。
いい加減、あのいい加減なマッドサイエンティストの顔を見る度にイライラが募って来る。
結局囚われの姫君を演じていろと云う事なのか…。
などと、訳の解らない事を考え始めているルルーシュだけれど。
それこそ、ルルーシュには『専任看護師』と云う名の見張りがいつでも着いて来ているのだ。
電話をかけるとしても、しっかり、その番号をチェックされている。
話している内容までは流石に盗聴していないだろうと思いたいが…。
相手はあのシュナイゼルだ。
正直、何をされていてもおかしくはない。
あの頃…ある意味その力の為に自分の心を削り続けた『ギアス』だったけれど…。
この、体のいい監禁生活を続けていると、あの時の魔女に会いたくなってしまうが…。
ただ、そんな考え程度で済んでいるのなら、まだ幸せなのかもしれないと、強引に考えている。
ロイド自身、ルルーシュの敵だとは思わない。
あんな説教をルルーシュにしているのだから。
ただ、彼自身も、手をこまねいているのだろうか?
実際に、スザクと会える手段が今のところ、ないのだ。
シュナイゼルの事を…知らない訳じゃない。
もし、現在の彼がルルーシュの存在そのものを…ルルーシュ自身を求めているとして、あの頃、決して表に出す事のなかった『執着』をルルーシュに向けているとしたら…。
あの頃とは別の意味で厄介なことだ。
あの頃、立場が立場だったから…あんな形で対峙するしかなかったけれど。
ルルーシュ自身、ブリタニアに反旗を翻した時、ずっと、まず意識をしていたのはシュナイゼルだった。
ルルーシュの中で彼と対峙すると云う事は…。
物理的にも精神的にも…苦痛を伴うものであった事は確かだ。
色んな意味で…。
今は…敵ではないけれど…。
でも、その存在が怖い。
母となったギネヴィアも大きな力を持っている。
そして、彼女もルルーシュに対して異常とも云える『執着』を持っている。
シュナイゼルと対立する程に…。
それでも今のルルーシュは母よりも父の方が恐ろしいと思える相手だ。
ルルーシュを愛してくれているのだろうとは思うけれど…。
ただ、それは拘束する『愛』だ。
拘束する独占欲の塊は向けられる側にとっては恐怖だ。
「ルルーシュ様…、バイタルチェックの時間です…」
ベッドの上で一人、考え事をしていた時に専任看護師がそう声をかけて来た。
正直、ここまでの見張りを吐けると云うのは一体どう云う事なのだろうか?
マオまで〆出すなんて事をするのも…。
シュナイゼルがその先に何を見ているのかが解らないから不安になる。
様々な可能性を考えては見るものの…。
そう、判断するにはまだ、何か少しずつ足りないのだ。
結局今の自分の中で最も確実にスザクに会える方法が見つからず、看護師に渡された体温計を受け取る。
―――結局、体力回復までは…何もできない…と云う事か…。
この時、それまでの自分の不摂生をこれほど後悔した事はないと云う程…ルルーシュは後悔していた。
それまで…何に対しても気持ちを向ける事が出来ずにいた…。
でも、記憶を取り戻す前から…スザクと出会ってから…自分が変わった事を…改めて思い知った。
そして、自分の中で欲しいと願う者をしっかりと自覚したのだった…

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

2010年06月28日

It's Destiny 27

見せつけられる力の差



 散々、ミレイが説教しまくって…帰って行った。
正直、彼女の性格を考えた時、C.C.の事を少々恨んでしまう。
ミレイの事が嫌いなわけではない。
と云うか、何故、彼女が望んだからと、こんな運命を背負わせたのか…、問い質したい気分だ。
―――それこそ、ピザを目の前にしてお預けにしてやり、説教をこいてやりたい…
などと、所詮は無理な事を考えてしまう。
これ以上、あの時の自分の『罪』の犠牲者を増やす事はない…。
そんな風に思ってしまう。
彼女は本当に、変なところでお節介だ。
そして、そのお節介さを隠そうともしないミレイを巻き込むなど…
C.C.であれば、あの時、ミレイが何を云ったところで、適当にごまかすことだってできた筈なのだ。
そう思うと、更にムカついて来る。
と云うか、記憶を取り戻す前も、取り戻してからも、あの時の記憶を持つ連中はどこまでもルルーシュを子供扱いしている事が気に入らない。
―――確かに…俺は、あの時、あいつらよりも若い年齢で死んだし、今はしっかりいちばん年下だけれど…。あそこまで子供扱いする必要があるのか???
ここで、ルルーシュはある間違いに気づいていない。
あの時点でもルルーシュが一番遅く生まれているのだ。
ただ、この時代では年齢差が広がっているだけだ。
スザクとだって、5ヶ月違っていたのだ…。
生まれたタイミングによっては学年が一つ違ってしまうだけの差はあったのだ。
その辺りは、今のルルーシュの頭の中から完全に抜け去っているのだけれど。
その事に気づいてはいても、ルルーシュの性格なら、今の彼らのルルーシュに対しての接し方はムカつくに違いない。
元々、プライドが高く、子供扱いされる事を『バカにされている』と据えてしまうルルーシュだ。
だからこそ、背伸びをしてしまうと云う悪い癖が出てくるわけだが。
この辺りはあの頃とは変わらないらしい。
この病院に連れて来られて、ロイドと再会し、どうやって知ったのかは知らないが、ミレイが乗り込んで来て…。
相変わらずバイタリティのある女性だとは思うのだけれど。
それでも、結構無茶ぶりな事をしている帰来は変わらないらしい。
と云うか、どうやって知ったのか…なんて、ロイドが記憶を取り戻していて、ミレイも記憶を取り戻していて、ルルーシュにとって身近と云える様な存在で転生しているともなれば…。
一々考えずとも、物事を一つ一つ整理して行けば答えが出てくると云うものだ。
さっきまで、ミレイにこってり説教をくらっていたルルーシュとしては、目の前にあるとても美味しいとは云えない病院の夕食を見て更にため息を吐いてしまう。
正直、こんなに強引に病院に放り込まれなければならないほど具合悪くなっていると云う自覚が全くないのだ。
と云うか、シュナイゼルの差し金でなければ確実に脱走していたのだけれど。
面倒な事に…
輸液ポンプ付きで点滴を取り付けられてしまった。
―――俺は…ここまでしなければならない程重症な訳じゃないだろうが!単純に体調を崩した後で、だるくなっていただけだ!

 そんな事を頭の中で悪態づきながらも…しぶしぶと目の前に置かれている夕食に手を付け始める。
大抵、食事量はチェックされているので、変に残すと退院が延びるのだ。
それだけは御免蒙りたい。
正直、今だってすぐに帰りたいのだ。
それなのに、ミレイがいるさ中、ナースたちが入って来て、
『ああ、そのままで結構ですよ?すぐに終わりますから…』
と云って、一応、カーテンを閉めるものの、ミレイを病室の中に置いたままさっさと点滴の穿刺をして出て行ったのだ。
これは…
―――父さんの差し金なのか、ロイドの差し金なのか…
正直、迷うところだ。
記憶を取り戻していたロイドの事だから、そうそう、ルルーシュを悪い様にはしないとは思うのだけれど。
これが、シュナイゼルの差し金であった場合厄介だ。
正直、不思議なほどシュナイゼルはルルーシュの父親として生まれ変わって来てからのルルーシュへの執着は尋常ではない。
あの時代だって、シュナイゼルは結婚したところでその、相手を大切にするようなタイプには見えなかったけれど。
それでも、ああもあからさまに自分の妻と対立するものなのだろうか?
その辺りはルルーシュの中で不思議と云うか、疑問点でもある。
この時代に生まれ変わってからの記憶はしっかりしている。
こうして、『ルルーシュ=ヴィ=ブリタニア』の記憶を取り戻して、振り返っても、この両親は本当に異常と云える程、ルルーシュを自分の傍に…と云う事を強調している。
あの、夫婦が仲睦まじい姿など、想像の余地もないくらいだ。
マスコミの前では取り繕っているけれど。
だからこそ、ルルーシュはずっと、現在両親となった彼らに対して、妙な疑心を持っていた。
ルルーシュをダシにして、自分達の仲の悪さを正統化しているとさえ思ったけれど。
と云うか、母のギネヴィア…。
あの時にはルルーシュの異母姉で…。
ルルーシュが校庭を名乗った時には兵士にルルーシュを捕らえるように命じた様な相手だ。
いくら記憶がないとはいえ、ルルーシュに執着していると云うその姿が…。
ルルーシュの中では本当に不自然な感じがしてならない。
否、いい方に考える事が出来るのなら…。
あの頃も決してルルーシュに対してあるい感情を持ち合わせていたわけではなく、あの、環境、状況がそうさせていたのだろうか…。
あの頃の事はどうであれ、ルルーシュにとっては、ルルーシュとナナリーを、そして平民出身の母であるマリアンヌを虐げていたわけだから…。
だから、不思議に思えてしまっても仕方ない。
ただ、シュナイゼルがダモクレスでペンドラゴンにフレイヤを落とした時に…。
―――彼女を…死なせてしまった…。俺の…判断ミスで…。確かに…元々捨て駒にするつもりではあったけれど…
そんな事を考えると、またも落ち込んでしまう。
何故、記憶を取り戻してから、落ち込むネタばかりが頭に浮かぶのだろうか…。
自分でもいい加減にして欲しいと思えて来てしまう。
事情を知っていても、知らなくても、こんなルルーシュを見ている者達には本当にイライラする姿であろうと…そんな事をぼんやり思う。

 既に、食べるには適切な温度よりも冷めてしまっている、目の前に置かれた夕食…。
温かくても美味しい代物とは云えないが、冷めてしまうと更に美味しくない。
しかし、ここはランペルージ家の管轄している病院だ。
もし、ルルーシュが変に食事を残してしまうと、この病院の職員達に迷惑がかかる。
だから、必死に箸を動かす。
もう、自分の所為で辛い思いをしなければならない人間がこの時代で増えて行くのは嫌だと思うから。
「まずい…」
一人しかこの部屋にいないと思って、呟いた時…。
―――コンコン…
病室の扉がノックされた。
多分、扉を隔てているから…その扉の向こう側にこの病院のスタッフがいたとしても聞こえてはいないだろうと…そう思うが…。
「あ、どうぞ…」
口の中で咀嚼していた食べ物を飲み込んでから、ノックに返事をした。
すると扉が開いて…
「ルルーシュ様…お加減はいかがですか?」
そう云いながら入ってきたのは…
「カ…カノン…」
ルルーシュとしては予想外の相手に…少し、焦ってしまう。
流石に先ほどの一言は聞かれていないだろうとは思うけれど…。
「おや?まだ、お食事中でしたか…申し訳ありません…」
そんな事を云いながら頭を下げたカノンに、少し、焦りを感じる。
その事をなるべく相手に悟られないように…そんな風に思えてしまう。
カノンはあの頃もそうだったけれど、今でも優秀なシュナイゼルの右腕だ。
「あ、ああ…。ちょっと眠ってしまっていたみたいで…。カノンこそ…どうしたんだ?この時間なら、まだ、父さんと一緒じゃ…」
ルルーシュが出来るだけ平静を保っているけれど。
今のルルーシュには何の力もない。
あの頃の様に、目の前にいる父親の部下に対しても強く云う事は出来ない。
それは、力がないからだ。
あの頃であれば、自分で自分の身を支えていたのだ。
子供ながら、自分で揃えて来た。
アッシュフォード家と云う箱庭だけ、与えられていたけれど、それ以外は自分で守ってきた。
否、アッシュフォード家の箱庭だって追い出された時には、居る事が出来なくなった時には、きちんと、自分とナナリーが生きる為の生活空間の確保くらいはしていた。
でも…。
今のルルーシュにはその力がない。
何も持っていない。
確かに、親の力で贅沢な生活を送らせて貰っている。
この入院でも、それこそ、VIPが入る様な特別室を用意されているけれど。
確かに、世界的企業のランペルージグループの跡取り息子で、現在、世界経済や世界の安全保障の為に大きな力を注いでいる日本国の将来、有望視されている政治家の一人息子。
普通の病棟で入院させるのは危険すぎる。
親が凄い場合、その子供は色んな意味で狙われるものだ。
仰々しい事はしていないが、確実にルルーシュはシュナイゼルやギネヴィアの命を受けた誰かに守られている。
この時代で、いくらこの二人から離れたところで生きていたとしても、彼らとの関係と断ち切る事は出来ないだろう。
自分がどう思っていたとしても…。
―――結局、ブリタニアの皇族から離れられないとの同じように、今の両親の大きな力から逃れる事は…出来ない運命か…。結局そう云うところは、同じなんだな…。

 考え事をしていられる状態ではないのだけれど。
ただ、何となくそんな事を考えてしまっている。
「私はシュナイゼル様の御命令で、ルルーシュ様のご様子を伺いに来たのです。シュナイゼル様が体操心配されて居ました…。いい加減、意地を張るのはおやめになって、日本にいらっしゃるなら、シュナイゼル様のお屋敷に…」
あの頃と変わらない…シュナイゼルへの忠誠…。
こんな物を背負わなくてはならなかった彼に対して少々同情してしまうけれど。
でも、そんな事も云ってはいられない。
「俺は…別に…」
ルルーシュがそう云いかけた時、すぐにカノンがその言葉を遮った。
その辺りは流石にあの時もシュナイゼルの右腕だっただけの事はあると…ルルーシュは思う。
正直、ルルーシュとしてもやり難い相手である事は変わらない。
「まぁ、今は、きちんと体を治して下さい。以前お会いした時、確か、マオ君とご一緒にお食事した時よりもなんだか顔色も良くないですし…。そんな事ばかりしていたら、ご両親が心配されるのは仕方ありませんよ?」
カノンのその言葉に、なんだか、白々しさを感じてしまい、ルルーシュの中で何か憤った様な気がしている。
と云うか、こうして口の立つ人物の相手は本当にめんどくさい。
ルルーシュ自身、口で人を云い負かして行く事は得意だったけれど。
相手がどういう相手であるか解っている場合には非常にやり難い。
理解してしまうから、苦手意識を持ってしまうのかもしれない。
実際問題、あの頃だって、シュナイゼルにちゃんと勝てたか…と云えば、人外の力があったからこそ…と思える部分は確実に否定は出来ない。
自分の持っている力を発揮したと云えば聞こえはいいが、どう考えても相手に『卑怯だ!』と罵られても文句は言えないだろう。
フレイヤは人の力で作り上げられたものだ。
確かに卑怯と云えるほどの力を持っていたのは事実であるけれど。
しかし、『ギアス』は違う。
人の作ったものではない。
人の作ったものであれば、人の力でいずれ、打ち破られる日がくる。
実際に、ニーナが作って、ニーナがその力を抑えつけたのだから。
『ギアス』は人では破る事が出来ない。
敢えて例外をあげれば、シャルルの『ギアス』によってその瞼が開かなくなったナナリーがその強い思いで破った事くらいだ。
ルルーシュのかけた『ギアス』にも、必死に抵抗を試みたものの…結局は屈した。
あの時のルルーシュの言葉は…ナナリーにも、誰にも届いていない。
「それに…眠っていたと云うのはウソですね?どう見ても先ほどまで眠っていたと云う感じには見えませんから…」
カノンの言葉に…どこまでも鋭い男だと思う。
シュナイゼルの次に、ルルーシュのウソの通じにくい相手だと思った。
今のところ、ルルーシュのウソが一番通じにくいのは…
―――スザク…だな…間違いなく…。
素直にそう思える。
あの時は…スザクは信じようとしてくれていた。
だからこそ…ルルーシュのウソを疑いながらも、信じようとしてくれていたけれど。
今のスザクは…恐らく…
―――そうはいかない…。
そんな風に思っている。

 目の前の、やり難いと考えるその相手…。
様子を見に来たと云う割には、随分、厭味な事ばかりを並べてくれると思う。
「だったら…どうだって云うんだ?俺は、体調を崩しているんだ…。手短に頼めないか?」
とりあえず、ここにいる大義名分…。
自分の中でそれを受け入れられる訳ではないけれど。
今はそれを利用しようと考えるのだ。
「これは申し訳ありません…ルルーシュ様。とりあえず、お顔だけ拝見できれば良かったので…。シュナイゼル様はたいそうご心配されているご様子でしたけれど…。今日はブリタニアの外務大臣との会合で、どうしても席を外せなくて…」
確かに、日本には各国の要人が集まっている事は知っている。
シュナイゼルは今のところ、その若さゆえに役職を持たない身だけれど、逆に役職はないけれど、強い影響力があり…。
その分、身動きがとり易いのか…。
様々な形で根回しなどの活動をしている。
それは、恐らく、将来的に自分がこの国の実権を握る為だろう。
あの頃のシュナイゼルも政治家としては優れた政治感覚を持っていた。
押すところは押し、引くところは引く…。
その辺りの間合いの取り方は本当に絶妙と云えるだろう。
それは今も健在らしくて…。
その能力を十分に発揮している。
その辺りは…本当に尊敬に値する。
ルルーシュもかつては、その相手と対峙していたのだから…。
そして、一度とて、ルルーシュが勝ったと云う感覚は持つ事が出来なかった。
ダモクレスとの戦いのときは、なり振りなど構っていられなかったから、利用できるものを全て利用して…。
そして、強引に自分の勝ちとしたわけだ。
ルルーシュがそんな事を考えて、下を見ていると…。
カノンはすかさず言葉を続けた。
「そうそう、ルルーシュ様、シュナイゼル様の御意向もありまして、あのマオと云う少年と、枢木スザクのあのマンションへの立ち入りを…禁止にさせて頂きましたので…」
カノンのその言葉に、ルルーシュは我に返り、カノンを見た。
その表情は…驚愕に満ちている。
ルルーシュが気づいていたのかどうかは…解らないけれど。
「な…何故…?俺が…一人で具合悪くなっていた時…彼らがいたから…」
ルルーシュはその事実を耳にして、驚愕して…そして、心の奥底でふつふつと怒りがわき出している。
「彼らはルルーシュ様にいい影響を与えないとの…シュナイゼル様の御判断です…」
カノンの言葉に…ルルーシュはぐっと唇を噛んだ。
ルルーシュは…ここでも自分の無力を感じた。
ルルーシュが自分の意志を押し通そうとすれば…どうなるか…。
ルルーシュにも解っている。
そんなルルーシュを見て、カノンは少し、安心したように笑みを浮かべた。
「ルルーシュ様は頭が良ろしく手助かります。後、ルルーシュ様のこのお食事を出した厨房の職員にも、少し、注意を促しておきますね?」
カノンのその言葉の意味が…ルルーシュには解る。
「ちょっと待ってくれ!やめろ…そんな事は…」
「病人であってもちゃんと栄養を摂る為に必要な分を召しあがれる物を作らなくては…困るでしょう?」
カノンのその言葉と笑みに…ルルーシュは背中に寒気を感じたのだった。

To Be Continued


あとがきに代えて



今回はルルーシュばっかりで…カノンさん…悪役に徹しております。
スザクのちょっとした言葉くらいではへこたれませんね…彼は…。
でも、スザクの打った言葉の楔は…きっとこの先色々な形で力を発揮してくれると思います。
多少カノンさん、ルルーシュに八つ当たりして苛めている様に見えるのは…
気の所為と云う事にして下さい。
でも、カノンさんを書いている時、楽しかったです♪
きっと、文章を打っている時、和泉の顔は極悪な笑みを湛えていたに違いありません。
すっごく楽しかったです。
いやぁ…根性悪いなぁ…と思いつつ、ルルーシュはマゾッ子に徹して欲しいと思うので…。
マゾッ子なルルーシュ…ホント可愛くて仕方ありません…♪

また、You Tubeで音楽聴いていました。
現在、凄く以前の音楽を聴いていて、一人もの思いに耽っております。
この曲の『吹き荒れる痛みの中で 見失う時に 自分をちっぽけだなんて 感じれば 負けなのさ…』という歌詞…
今の和泉にはグサッと来ました。



聖闘士星矢 2ndAlbum 『BOYS BE』 より『Wake You Alone 〜若きジーザスU〜』 影山ヒロノブ


☆拍手のお返事


まりもこさま:こんばんは、コメント有難う御座居ます。

『将来の僕と君へ』
リクエスト有難う御座居ました。
えっと…和泉の作品って、そんなに強引にベタなハッピーエンドを目指して居る傾向にありましたか…。
結構、リアリティがあるようにとか、先の事を考えて…というのを心がけていたのですけれど。
『僕は君が為に裏切り続ける…』のように、『強引にマイウェイ』になっているものもありますけれど。
でも、読んでいらっしゃる方がそう云う印象を受けているのであれば、そうなのでしょう。
作品の傾向というのは、読まれた方の感じ方次第ですので、和泉自身がどんな風に書いているつもりであっても、読み手様の受け取り方次第で、傾向というのは違った形になっていると思います。
まぁ、このお話に関しては、強引に大学を一緒にしたところで、二人が幸せになれないと云う和泉の判断から、最後は決めて居ました。
また、一緒に居る事だけがハッピーな訳じゃないと云う事も…。
焼き肉屋さんに関しては…この間、焼き肉屋さんに行ったときに面白そうだな…と思って、そうしてみました。
ホントに和泉の住んでいる地域は焼き肉屋さんが多いです。

これから先の作品に関してですが…
まぁ、7月1日入れ替え予定の拍手ページを読んでやって下さい。
ご心配頂いているようですけれど。
出来るだけ、和泉の作品を好きだと思って下さる方には読んで頂けるようにしたいと思います。


拍手のみの皆さんもありがとうございます。
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こちらは、拍手ページと違って、10ページも読まなくちゃいけないなどと云う、無体な事はありませんので(爆)

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posted by 和泉綾 at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

It's Destiny 27

見せつけられる力の差



 散々、ミレイが説教しまくって…帰って行った。
正直、彼女の性格を考えた時、C.C.の事を少々恨んでしまう。
ミレイの事が嫌いなわけではない。
と云うか、何故、彼女が望んだからと、こんな運命を背負わせたのか…、問い質したい気分だ。
―――それこそ、ピザを目の前にしてお預けにしてやり、説教をこいてやりたい…
などと、所詮は無理な事を考えてしまう。
これ以上、あの時の自分の『罪』の犠牲者を増やす事はない…。
そんな風に思ってしまう。
彼女は本当に、変なところでお節介だ。
そして、そのお節介さを隠そうともしないミレイを巻き込むなど…
C.C.であれば、あの時、ミレイが何を云ったところで、適当にごまかすことだってできた筈なのだ。
そう思うと、更にムカついて来る。
と云うか、記憶を取り戻す前も、取り戻してからも、あの時の記憶を持つ連中はどこまでもルルーシュを子供扱いしている事が気に入らない。
―――確かに…俺は、あの時、あいつらよりも若い年齢で死んだし、今はしっかりいちばん年下だけれど…。あそこまで子供扱いする必要があるのか???
ここで、ルルーシュはある間違いに気づいていない。
あの時点でもルルーシュが一番遅く生まれているのだ。
ただ、この時代では年齢差が広がっているだけだ。
スザクとだって、5ヶ月違っていたのだ…。
生まれたタイミングによっては学年が一つ違ってしまうだけの差はあったのだ。
その辺りは、今のルルーシュの頭の中から完全に抜け去っているのだけれど。
その事に気づいてはいても、ルルーシュの性格なら、今の彼らのルルーシュに対しての接し方はムカつくに違いない。
元々、プライドが高く、子供扱いされる事を『バカにされている』と据えてしまうルルーシュだ。
だからこそ、背伸びをしてしまうと云う悪い癖が出てくるわけだが。
この辺りはあの頃とは変わらないらしい。
この病院に連れて来られて、ロイドと再会し、どうやって知ったのかは知らないが、ミレイが乗り込んで来て…。
相変わらずバイタリティのある女性だとは思うのだけれど。
それでも、結構無茶ぶりな事をしている帰来は変わらないらしい。
と云うか、どうやって知ったのか…なんて、ロイドが記憶を取り戻していて、ミレイも記憶を取り戻していて、ルルーシュにとって身近と云える様な存在で転生しているともなれば…。
一々考えずとも、物事を一つ一つ整理して行けば答えが出てくると云うものだ。
さっきまで、ミレイにこってり説教をくらっていたルルーシュとしては、目の前にあるとても美味しいとは云えない病院の夕食を見て更にため息を吐いてしまう。
正直、こんなに強引に病院に放り込まれなければならないほど具合悪くなっていると云う自覚が全くないのだ。
と云うか、シュナイゼルの差し金でなければ確実に脱走していたのだけれど。
面倒な事に…
輸液ポンプ付きで点滴を取り付けられてしまった。
―――俺は…ここまでしなければならない程重症な訳じゃないだろうが!単純に体調を崩した後で、だるくなっていただけだ!

 そんな事を頭の中で悪態づきながらも…しぶしぶと目の前に置かれている夕食に手を付け始める。
大抵、食事量はチェックされているので、変に残すと退院が延びるのだ。
それだけは御免蒙りたい。
正直、今だってすぐに帰りたいのだ。
それなのに、ミレイがいるさ中、ナースたちが入って来て、
『ああ、そのままで結構ですよ?すぐに終わりますから…』
と云って、一応、カーテンを閉めるものの、ミレイを病室の中に置いたままさっさと点滴の穿刺をして出て行ったのだ。
これは…
―――父さんの差し金なのか、ロイドの差し金なのか…
正直、迷うところだ。
記憶を取り戻していたロイドの事だから、そうそう、ルルーシュを悪い様にはしないとは思うのだけれど。
これが、シュナイゼルの差し金であった場合厄介だ。
正直、不思議なほどシュナイゼルはルルーシュの父親として生まれ変わって来てからのルルーシュへの執着は尋常ではない。
あの時代だって、シュナイゼルは結婚したところでその、相手を大切にするようなタイプには見えなかったけれど。
それでも、ああもあからさまに自分の妻と対立するものなのだろうか?
その辺りはルルーシュの中で不思議と云うか、疑問点でもある。
この時代に生まれ変わってからの記憶はしっかりしている。
こうして、『ルルーシュ=ヴィ=ブリタニア』の記憶を取り戻して、振り返っても、この両親は本当に異常と云える程、ルルーシュを自分の傍に…と云う事を強調している。
あの、夫婦が仲睦まじい姿など、想像の余地もないくらいだ。
マスコミの前では取り繕っているけれど。
だからこそ、ルルーシュはずっと、現在両親となった彼らに対して、妙な疑心を持っていた。
ルルーシュをダシにして、自分達の仲の悪さを正統化しているとさえ思ったけれど。
と云うか、母のギネヴィア…。
あの時にはルルーシュの異母姉で…。
ルルーシュが校庭を名乗った時には兵士にルルーシュを捕らえるように命じた様な相手だ。
いくら記憶がないとはいえ、ルルーシュに執着していると云うその姿が…。
ルルーシュの中では本当に不自然な感じがしてならない。
否、いい方に考える事が出来るのなら…。
あの頃も決してルルーシュに対してあるい感情を持ち合わせていたわけではなく、あの、環境、状況がそうさせていたのだろうか…。
あの頃の事はどうであれ、ルルーシュにとっては、ルルーシュとナナリーを、そして平民出身の母であるマリアンヌを虐げていたわけだから…。
だから、不思議に思えてしまっても仕方ない。
ただ、シュナイゼルがダモクレスでペンドラゴンにフレイヤを落とした時に…。
―――彼女を…死なせてしまった…。俺の…判断ミスで…。確かに…元々捨て駒にするつもりではあったけれど…
そんな事を考えると、またも落ち込んでしまう。
何故、記憶を取り戻してから、落ち込むネタばかりが頭に浮かぶのだろうか…。
自分でもいい加減にして欲しいと思えて来てしまう。
事情を知っていても、知らなくても、こんなルルーシュを見ている者達には本当にイライラする姿であろうと…そんな事をぼんやり思う。

 既に、食べるには適切な温度よりも冷めてしまっている、目の前に置かれた夕食…。
温かくても美味しい代物とは云えないが、冷めてしまうと更に美味しくない。
しかし、ここはランペルージ家の管轄している病院だ。
もし、ルルーシュが変に食事を残してしまうと、この病院の職員達に迷惑がかかる。
だから、必死に箸を動かす。
もう、自分の所為で辛い思いをしなければならない人間がこの時代で増えて行くのは嫌だと思うから。
「まずい…」
一人しかこの部屋にいないと思って、呟いた時…。
―――コンコン…
病室の扉がノックされた。
多分、扉を隔てているから…その扉の向こう側にこの病院のスタッフがいたとしても聞こえてはいないだろうと…そう思うが…。
「あ、どうぞ…」
口の中で咀嚼していた食べ物を飲み込んでから、ノックに返事をした。
すると扉が開いて…
「ルルーシュ様…お加減はいかがですか?」
そう云いながら入ってきたのは…
「カ…カノン…」
ルルーシュとしては予想外の相手に…少し、焦ってしまう。
流石に先ほどの一言は聞かれていないだろうとは思うけれど…。
「おや?まだ、お食事中でしたか…申し訳ありません…」
そんな事を云いながら頭を下げたカノンに、少し、焦りを感じる。
その事をなるべく相手に悟られないように…そんな風に思えてしまう。
カノンはあの頃もそうだったけれど、今でも優秀なシュナイゼルの右腕だ。
「あ、ああ…。ちょっと眠ってしまっていたみたいで…。カノンこそ…どうしたんだ?この時間なら、まだ、父さんと一緒じゃ…」
ルルーシュが出来るだけ平静を保っているけれど。
今のルルーシュには何の力もない。
あの頃の様に、目の前にいる父親の部下に対しても強く云う事は出来ない。
それは、力がないからだ。
あの頃であれば、自分で自分の身を支えていたのだ。
子供ながら、自分で揃えて来た。
アッシュフォード家と云う箱庭だけ、与えられていたけれど、それ以外は自分で守ってきた。
否、アッシュフォード家の箱庭だって追い出された時には、居る事が出来なくなった時には、きちんと、自分とナナリーが生きる為の生活空間の確保くらいはしていた。
でも…。
今のルルーシュにはその力がない。
何も持っていない。
確かに、親の力で贅沢な生活を送らせて貰っている。
この入院でも、それこそ、VIPが入る様な特別室を用意されているけれど。
確かに、世界的企業のランペルージグループの跡取り息子で、現在、世界経済や世界の安全保障の為に大きな力を注いでいる日本国の将来、有望視されている政治家の一人息子。
普通の病棟で入院させるのは危険すぎる。
親が凄い場合、その子供は色んな意味で狙われるものだ。
仰々しい事はしていないが、確実にルルーシュはシュナイゼルやギネヴィアの命を受けた誰かに守られている。
この時代で、いくらこの二人から離れたところで生きていたとしても、彼らとの関係と断ち切る事は出来ないだろう。
自分がどう思っていたとしても…。
―――結局、ブリタニアの皇族から離れられないとの同じように、今の両親の大きな力から逃れる事は…出来ない運命か…。結局そう云うところは、同じなんだな…。

 考え事をしていられる状態ではないのだけれど。
ただ、何となくそんな事を考えてしまっている。
「私はシュナイゼル様の御命令で、ルルーシュ様のご様子を伺いに来たのです。シュナイゼル様が体操心配されて居ました…。いい加減、意地を張るのはおやめになって、日本にいらっしゃるなら、シュナイゼル様のお屋敷に…」
あの頃と変わらない…シュナイゼルへの忠誠…。
こんな物を背負わなくてはならなかった彼に対して少々同情してしまうけれど。
でも、そんな事も云ってはいられない。
「俺は…別に…」
ルルーシュがそう云いかけた時、すぐにカノンがその言葉を遮った。
その辺りは流石にあの時もシュナイゼルの右腕だっただけの事はあると…ルルーシュは思う。
正直、ルルーシュとしてもやり難い相手である事は変わらない。
「まぁ、今は、きちんと体を治して下さい。以前お会いした時、確か、マオ君とご一緒にお食事した時よりもなんだか顔色も良くないですし…。そんな事ばかりしていたら、ご両親が心配されるのは仕方ありませんよ?」
カノンのその言葉に、なんだか、白々しさを感じてしまい、ルルーシュの中で何か憤った様な気がしている。
と云うか、こうして口の立つ人物の相手は本当にめんどくさい。
ルルーシュ自身、口で人を云い負かして行く事は得意だったけれど。
相手がどういう相手であるか解っている場合には非常にやり難い。
理解してしまうから、苦手意識を持ってしまうのかもしれない。
実際問題、あの頃だって、シュナイゼルにちゃんと勝てたか…と云えば、人外の力があったからこそ…と思える部分は確実に否定は出来ない。
自分の持っている力を発揮したと云えば聞こえはいいが、どう考えても相手に『卑怯だ!』と罵られても文句は言えないだろう。
フレイヤは人の力で作り上げられたものだ。
確かに卑怯と云えるほどの力を持っていたのは事実であるけれど。
しかし、『ギアス』は違う。
人の作ったものではない。
人の作ったものであれば、人の力でいずれ、打ち破られる日がくる。
実際に、ニーナが作って、ニーナがその力を抑えつけたのだから。
『ギアス』は人では破る事が出来ない。
敢えて例外をあげれば、シャルルの『ギアス』によってその瞼が開かなくなったナナリーがその強い思いで破った事くらいだ。
ルルーシュのかけた『ギアス』にも、必死に抵抗を試みたものの…結局は屈した。
あの時のルルーシュの言葉は…ナナリーにも、誰にも届いていない。
「それに…眠っていたと云うのはウソですね?どう見ても先ほどまで眠っていたと云う感じには見えませんから…」
カノンの言葉に…どこまでも鋭い男だと思う。
シュナイゼルの次に、ルルーシュのウソの通じにくい相手だと思った。
今のところ、ルルーシュのウソが一番通じにくいのは…
―――スザク…だな…間違いなく…。
素直にそう思える。
あの時は…スザクは信じようとしてくれていた。
だからこそ…ルルーシュのウソを疑いながらも、信じようとしてくれていたけれど。
今のスザクは…恐らく…
―――そうはいかない…。
そんな風に思っている。

 目の前の、やり難いと考えるその相手…。
様子を見に来たと云う割には、随分、厭味な事ばかりを並べてくれると思う。
「だったら…どうだって云うんだ?俺は、体調を崩しているんだ…。手短に頼めないか?」
とりあえず、ここにいる大義名分…。
自分の中でそれを受け入れられる訳ではないけれど。
今はそれを利用しようと考えるのだ。
「これは申し訳ありません…ルルーシュ様。とりあえず、お顔だけ拝見できれば良かったので…。シュナイゼル様はたいそうご心配されているご様子でしたけれど…。今日はブリタニアの外務大臣との会合で、どうしても席を外せなくて…」
確かに、日本には各国の要人が集まっている事は知っている。
シュナイゼルは今のところ、その若さゆえに役職を持たない身だけれど、逆に役職はないけれど、強い影響力があり…。
その分、身動きがとり易いのか…。
様々な形で根回しなどの活動をしている。
それは、恐らく、将来的に自分がこの国の実権を握る為だろう。
あの頃のシュナイゼルも政治家としては優れた政治感覚を持っていた。
押すところは押し、引くところは引く…。
その辺りの間合いの取り方は本当に絶妙と云えるだろう。
それは今も健在らしくて…。
その能力を十分に発揮している。
その辺りは…本当に尊敬に値する。
ルルーシュもかつては、その相手と対峙していたのだから…。
そして、一度とて、ルルーシュが勝ったと云う感覚は持つ事が出来なかった。
ダモクレスとの戦いのときは、なり振りなど構っていられなかったから、利用できるものを全て利用して…。
そして、強引に自分の勝ちとしたわけだ。
ルルーシュがそんな事を考えて、下を見ていると…。
カノンはすかさず言葉を続けた。
「そうそう、ルルーシュ様、シュナイゼル様の御意向もありまして、あのマオと云う少年と、枢木スザクのあのマンションへの立ち入りを…禁止にさせて頂きましたので…」
カノンのその言葉に、ルルーシュは我に返り、カノンを見た。
その表情は…驚愕に満ちている。
ルルーシュが気づいていたのかどうかは…解らないけれど。
「な…何故…?俺が…一人で具合悪くなっていた時…彼らがいたから…」
ルルーシュはその事実を耳にして、驚愕して…そして、心の奥底でふつふつと怒りがわき出している。
「彼らはルルーシュ様にいい影響を与えないとの…シュナイゼル様の御判断です…」
カノンの言葉に…ルルーシュはぐっと唇を噛んだ。
ルルーシュは…ここでも自分の無力を感じた。
ルルーシュが自分の意志を押し通そうとすれば…どうなるか…。
ルルーシュにも解っている。
そんなルルーシュを見て、カノンは少し、安心したように笑みを浮かべた。
「ルルーシュ様は頭が良ろしく手助かります。後、ルルーシュ様のこのお食事を出した厨房の職員にも、少し、注意を促しておきますね?」
カノンのその言葉の意味が…ルルーシュには解る。
「ちょっと待ってくれ!やめろ…そんな事は…」
「病人であってもちゃんと栄養を摂る為に必要な分を召しあがれる物を作らなくては…困るでしょう?」
カノンのその言葉と笑みに…ルルーシュは背中に寒気を感じたのだった。

To Be Continued


あとがきに代えて



今回はルルーシュばっかりで…カノンさん…悪役に徹しております。
スザクのちょっとした言葉くらいではへこたれませんね…彼は…。
でも、スザクの打った言葉の楔は…きっとこの先色々な形で力を発揮してくれると思います。
多少カノンさん、ルルーシュに八つ当たりして苛めている様に見えるのは…
気の所為と云う事にして下さい。
でも、カノンさんを書いている時、楽しかったです♪
きっと、文章を打っている時、和泉の顔は極悪な笑みを湛えていたに違いありません。
すっごく楽しかったです。
いやぁ…根性悪いなぁ…と思いつつ、ルルーシュはマゾッ子に徹して欲しいと思うので…。
マゾッ子なルルーシュ…ホント可愛くて仕方ありません…♪

また、You Tubeで音楽聴いていました。
現在、凄く以前の音楽を聴いていて、一人もの思いに耽っております。
この曲の『吹き荒れる痛みの中で 見失う時に 自分をちっぽけだなんて 感じれば 負けなのさ…』という歌詞…
今の和泉にはグサッと来ました。



聖闘士星矢 2ndAlbum 『BOYS BE』 より『Wake You Alone 〜若きジーザスU〜』 影山ヒロノブ


☆拍手のお返事


まりもこさま:こんばんは、コメント有難う御座居ます。

『将来の僕と君へ』
リクエスト有難う御座居ました。
えっと…和泉の作品って、そんなに強引にベタなハッピーエンドを目指して居る傾向にありましたか…。
結構、リアリティがあるようにとか、先の事を考えて…というのを心がけていたのですけれど。
『僕は君が為に裏切り続ける…』のように、『強引にマイウェイ』になっているものもありますけれど。
でも、読んでいらっしゃる方がそう云う印象を受けているのであれば、そうなのでしょう。
作品の傾向というのは、読まれた方の感じ方次第ですので、和泉自身がどんな風に書いているつもりであっても、読み手様の受け取り方次第で、傾向というのは違った形になっていると思います。
まぁ、このお話に関しては、強引に大学を一緒にしたところで、二人が幸せになれないと云う和泉の判断から、最後は決めて居ました。
また、一緒に居る事だけがハッピーな訳じゃないと云う事も…。
焼き肉屋さんに関しては…この間、焼き肉屋さんに行ったときに面白そうだな…と思って、そうしてみました。
ホントに和泉の住んでいる地域は焼き肉屋さんが多いです。

これから先の作品に関してですが…
まぁ、7月1日入れ替え予定の拍手ページを読んでやって下さい。
ご心配頂いているようですけれど。
出来るだけ、和泉の作品を好きだと思って下さる方には読んで頂けるようにしたいと思います。


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posted by 和泉綾 at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

2010年06月21日

It's Destiny 26

Each feelings



―――コンコン…
 ある部屋の扉がノックされた。
そして、中の豪華な椅子に深く腰掛けていた人物がそのノックに返事をした。
「開いているよ…」
その言葉で扉が開いた。
そこに立っていたのは…
「カノン…ご苦労だったね…」
「いえ…。ルルーシュ様に悪い虫が付いてしまわれないかと心配されるのは仕方ありません…。確かに…時が経つにつれて、本当に魅惑的になられて行くのですから…」
どこまでその言葉が本音であるのかは知らないけれど。
それでも、カノンは主に対してそう答えた。
「そうだね…。私も不安なのだよ…。あの子はいつも誰かに着け狙われているような気がしてね…。で、あのルルーシュの同級生と云う少年については?」
「勿論、マンションの管理人には連絡を入れておきました。後は、あの、枢木スザクにマンションへの立ち入り許可を出したのが誰なのかを、調べて欲しい…。まぁ、そうはいない筈なんだけれどね…」
シュナイゼルが窓の外を見たまま告げた。
確かに、あのマンションはルルーシュが強引に許可を出させたマオ以外は父であるシュナイゼル、母であるギネヴィアが許可を出さない限り出入りは出来ないようになっている。
宅配業者でさえ、管理人室に荷物を置いて、管理人がルルーシュの許へ運んでいる状態だった。
「枢木スザクが『A物産』の社員である事を考えれば…絞られて来るでしょう?」
「ああ、なるほど…彼女か…。また厄介な相手だね…」
そんな風にはつゆほども思っていない…と云う笑みを浮かべながらシュナイゼルが云う。
カノンはそんなシュナイゼルを見ながら、少しだけ複雑な表情を見せた。
「で、どうされるんです?」
カノンはそんな表情をすぐに押し隠して、シュナイゼルに尋ねた。
「ギネヴィアに連絡してみようか…。彼女にルルーシュを渡す気はないけれど、今回は共闘を組めそうだからね…」
本当にこれが妻の名を呼びながら云うセリフなのだろうかと思えてしまう様な言葉だけれど。
しかし、現在のところ、この夫婦はそれが普通なのだ。
ギネヴィアだってシュナイゼルに対して共闘できる時は共闘するが、そうでないときには基本的に接触を持ってはいないのだ。
勿論、シュナイゼルの思い通りにルルーシュを諦めるつもりも毛頭ないのだ。
元々、ミレイはギネヴィアの許可によってあのマンションに出入りできる人物なのだから。
なんとかできるのはギネヴィアだろうと云う、冷静な判断。
そして、ギネヴィアがその事については決してシュナイゼルの意思に反した行動を取ったりはしないだろうと云う目論見は当然の様にある。
お互い、持ちつ持たれつ…と云うよりも、利用し、利用される事を承知している仲…と云うのが正しいのかもしれない。
見ていて、あまり、愉快に見える夫婦ではないだろう。
それでも、マスコミの前ではしっかりと家庭円満を演じている。
そう云ったゴシップは何かの形で情報が漏洩するものだけれど。
しかし、彼らについてはその心配はいらない。
日本国内の中でギネヴィアの機嫌を損ねて、シュナイゼルの機嫌を損ねて、何の痛手も受けないのはお互いとルルーシュだけだ。

 現在ここに控えているカノンだって、シュナイゼルの不興を買えばどんな事になるか解らない。
カノンにその意識はないし、もし、そうなった時には自分の非として甘んじて受け入れるだけの気持ちはあるのだけれど。
「後は…どうされますか?どうやら、ルルーシュ様は…枢木スザクに対して…自覚があるかどうかは解りませんが、特別なお気持ちを抱いておられる様ですが…」
カノンのその言葉に、それまで穏やかに話しをしていたシュナイゼルの眉がピクリと動いた。
学校のあの教師の事もあり、今のシュナイゼルにとっては頭の痛い事ばかりだ…と思えて来た。
と云うか、あの頃、押さえ付けられてきたものがここまで開放するものなのか…と、カノンの中では思ってしまう。
確かに、人が『執着』を全く持たないと云うのは不自然なことだ。
生きて行く上で決定的に致命傷となるかもしれない。
あの頃のシュナイゼルは自分の命にさえ『執着』を持たなかった。
しかし、ルルーシュの場合は…
―――確かに自分の命に執着はなかったみたいだけれど、他に執着があったから、自分の命を惜しんでいた…。だからこその、あの時には彼にとっての最大の『罰』だったのかしらね…
カノンは漠然とそんな事を考えた。
今のシュナイゼルを見ていると、本当に、あの時の反動がストレートに出て来ている様に見える。
あの頃、シュナイゼルが誰よりもその異母弟を愛していた事は事実だ。
それは、近くで見ていたカノンは良く知っている。
しかし、その『愛』に対しての執着を持たなかった。
周囲の人間は、それを『王の器』だと云った。
しかし、カノンとしてはその言葉に疑問を抱いていた。
だからこそ、ルルーシュがシュナイゼルに『ギアス』を懸けた後に気づいて、愕然としたのだ。
―――何に対しても『執着』を持てない者に、何も守る事は出来ない…。何かを守りたければ…人の上に立つには…『執着』を持ちながらもその『執着』を抑え込む強さが必要である。
その事に気づいた時、決定的に自分達の敗北を感じた。
今のシュナイゼルは、自分の欲しい者の…大切な者の為にその、『執着』を持っている。
あの時、封じられていた『執着』が…封じられていると云う自覚さえない状態だった『執着』がこんな形で表に出て来ている。
「後…ルルーシュ様の学校のあの、『扇』と云う教諭をいかが致しましょうか?今のところ、ルルーシュ様は学校をお休みされている状態ですが…」
カノンはすかさず尋ねると、
「そうだね、ルルーシュが学校に戻る前にいなくなって貰うか…。流石にブリタニアのギネヴィアの許に送る気はないよ…。私の目の届くところで、守ってやらなくてはね…」
シュナイゼルの言葉に、カノンは頭を下げる。
このシュナイゼルの狂っているとさえ思える、ルルーシュに対する『執着』は、一体何なのだろうか…。
その事は…今のカノンの中で、よく理解出来ない事でもあった。
今のシュナイゼルの心をこんな形で縛り付けている者は…

そして、つい先ほど、スザクに云われた一言を何故か、思い出した。
『では、あなたに訊きたい…。そこまでシュナイゼルを慕っていながら…何故、ルルーシュを近づけようとする?あなたがルルーシュのポジションになれば…』
『でも…それは…ルルーシュの意思を無視しているのと同じように…あなたの意思も無視しているのでは?』
カノンの中で、今、何故そんな言葉を思い出すのか…そんな疑問を抱く。
―――あんな子供に…何が解ると云うの!
カノンの中では枢木スザクと云うのは青臭い騎士と云う認識しかなかった。
思えば、あの頃、枢木スザクが『ゼロ』の仮面を被っていた。
カノンの中ではその事実の認識はしていても、その真実を考えようとしていなかった。
それに気づかないから、彼の中で混乱が生じ始めているのだ。
目の前の存在…。
カノンにとっては大切な存在。
主と云う事だけではなく、何か他の気持ちもある。
カノン自身、それは自覚しているけれど、それでもシュナイゼルにはそれが届いていないし、シュナイゼルがカノンに対してそんな気持ちを抱いている様にはとても見えない。
今、シュナイゼルが心を傾けているのは…
―――あの頃、『最愛の異母弟君』で、今では『たった一人のご子息』である…ルルーシュ様…ただお一人…。
カノンの中で、何故そんな思いが過って行くのか…自分自身でも解らない。
と云うか、自分の中でそんな気持ちがある事にさえ気づいていないのかもしれない。
だから、スザクの言葉に動揺している。
カノン自身がどれほど否定していても…それが真実だ。
「では、明日にでももう一度、ルルーシュ様の学校に行って来ますね…」
そう云いながら、頭を下げる。
シュナイゼルの為だ。
これも、シュナイゼルの望む者の為…。
本当なら、ルルーシュに対して云い感情を抱いていない担任をそのままにしている学校ごと糾弾してしまえば簡単な事なのだけれど。
そんな事をした時、ルルーシュがそれが誰の仕業なのか気付いて、それを施した者がルルーシュの不信感を買う事になる。
だからこそ、カノンもこうした形で地道に学校に通っているわけなのだけれど。(ここでそんな権力を使っている時点で地道に…と云えるかどうかは解らないが)
恐らく、これを普通の親がやっていると『モンスター・ペアレンツ』などと呼ばれるのだろう。
実際にやっている事は大して変わらない。
ただ、気に入らない生徒に対してその態度をアカさまにしている教師にも問題がある…。
そう云う意味ではこちらの場合はある程度正論として成り立つ。
ただ、そこにルルーシュ本人の意思などは全く入っておらず、完全に保護者の独断で動いている事なのだけれど。
ここまで放置しておいたのに…と思う職員もいるようだけれど。
しかし、事がある程度大きくなってからの助け船の方が…と云うのがカノンの中出の算段だ。
実際、ギネヴィアは日本国内にいる事は少ないし、シュナイゼルも忙しい身だ。
その事に気付けなくても仕方ない…気が付いた時には我が子が教員から理不尽な扱いを受けていた…と云う云い分が成り立つ。
―――ある意味、本当にたちが悪いとは思うけれど…

 その頃、マンションを出ようとしたスザクは…。
「あ…」
見覚えのある顔だ。
ルルーシュの同級生で、スザクに対して嫉妬して、ルルーシュを怒らせて…。
それからどうなったのかと思っていたけれど…。
「マオ君…」
スザクは彼の名前を読んで呼びとめた。
「あ、あんたは…。まだルルに付き纏ってんの?」
スザクの顔を見るなり頗る機嫌が悪そうにスザクに尋ねた。
マオはルルーシュとは本当に連絡を取っていないらしい。
「付き纏っているって云うか…。シュナイゼルさんに踊らされていると云うか…。ルルーシュなら体調不良のところにシュナイゼルさんが乗り込んで来て、連れて行ったらしいよ…」
とりあえず、今の彼であればルルーシュへの害はないと、スザクが一通り説明した。
記憶が戻って、彼の事を思い出して…。
正直、気分としては複雑だ。
あの時、一度だけ、彼とは会っている。
そして、自分の過去を抉られた。
今となってはそんな過去も、過去の一つとして考える事が出来る。
「え?でも、僕には連絡が…」
「病院だからね…。普通、携帯は使えないだろ?それに、マンションの管理人さんは、僕だけじゃなくて、君も入れるな…ってシュナイゼルさんから絶対命令が出ているみたいだし…」
スザクとしては、あまり表に動揺を見せる事はしたくない。
だから、心の中では様々な可能性とか、予感が過って行って、あまり気分的には明るく離れないけれど。
ここは冷静になるべきだと思い、淡々と説明した。
「え?なんで…。だって…おじさんは…」
マオの表情を見てスザクはピンと来た。
どうやら、本当に真っ直ぐな性格をしているらしい。
ルルーシュの幼馴染らしいから、恐らく、ルルーシュのお陰でこんな風にすぐに切れてしまう様な糸にさえ救いを求めてしまうらしい。
「まぁ、いいように使われるんじゃないの?と云うか、君だろ?僕の事、シュナイゼルさんに報告したの…」
スザクの中で『やれやれ』と云った思いが過って行く。
正直、今の状態で一つ一つの事柄に一喜一憂などしていられない。
放っておいたら、また、引き裂かれる事になるのだ。
―――折角…また会えたのに…。今度こそ…幸せになりたいのに…
マオの方は…本当に子供のままだ。
スザクはあの後、マオがどうなったかを知らない。
だからこそ、何となく不自然に見えるけれど。
それでも、この状況で、味方のいない状態なら、出来れば邪魔はして欲しくないのだ。
「そうだよ!お前が…僕のルルを盗るから…。ルルは僕がいればいいんだ!僕がルルを守るんだ!」
云っている事は頓珍漢な事を云っているように聞こえるけれど。
その気持ちは本当に真剣なようだ。
その目が…そう語っている。
どんなウソつきであっても、人を騙す人間であっても、真剣になっている時は目の色が変わる。
それは、あの時に学んだ。
だから、マオがルルーシュを大切に思うのは本当なのだろう。

 それが解ったところで、マオが変に騒ぎ立ててしまうとシュナイゼルの思うつぼだ。
とにかく、今の状態ではルルーシュはただ、自分を責めるだけだ。
恐らく、ルルーシュがあの頃の事を過去として、認識できるようになるまでは時間がかかる。
そして、それには事情を知っている者の努力が必要だ。
―――ミレイさんに記憶があるのは…やっぱりこう云う時には有難いけれど…。でも、きっと、ルルーシュはミレイさんの言葉だけじゃ…足りない…。
そこにはスザクの…あの時、当事者としてルルーシュの思いを知り、涙を流し、時代を見守って来たスザクにしか出来ない事がある。
最も、ルルーシュの気持ちを理解し、お互いを裁いた者同士だからこそ、解る事、云える事がある。
「マオ君、君は、ルルーシュの両親から煙たがられていた事を知っているんだろう?なら、今は、冷静に状況把握をした方がいい。恐らく、この先、学校も変化して行く事になる気がする…」
スザクの中で考えて、そして、目の前にいる人物に影響が及ぶその場所を口にした。
その言葉にマオが驚いた顔を見せるけれど、すぐに、はっと何かに気づいたようだ。
「そう云えば…扇が…ルルの事、気にしていた…」
「扇?」
「僕達の担任だよ…。ずっと、ルルの事をよく思っていなくって、でも、ルルはそんな事全然気にしないそぶりでいたけれど…」
『扇』と云う名前にスザクはため息を吐きたくなった。
本当にこの転生は呪われているのではないかと思う様な…そんなメンツが揃っている気がする。
―――何故、そこまでルルーシュに苛酷な状態になっているんだ…
神や仏を信じた事はないが、ここでは神や仏を恨みたくなる。
そして、恐らく、今もこの世界にいるであろう…一人の魔女の存在を思い出す。
と云うか、金輪際、顔も見たくないし、思い出したくもなかった…と云う表現が正しいのだけれど。
スザクにとっては、彼女の存在によって随分運命を変えられたのだから。
ルルーシュが『ギアス』がなくてもあの世界に反逆するつもりでいた…と云う事であったとしても。
―――『ギアス』がなければ…あそこまでの悲しい笑顔を見る事は…きっとなかった…。
スザクの中ではそれを確信している。
それでも、多分、今の状態は…彼女を頼らない訳にはいかない様な気がする。
『ギアス』の契約なんてするつもりはないし、彼女の願いなんてもっとどうでもいい。
ただ、これ以上、ルルーシュが辛い思いをするのは嫌だと思う。
目の前にいるマオも、あの時、彼女に運命を変えられ、その人生を弄ばれた一人だろう。
あの頃の不完全燃焼状態の思いが、全て、ルルーシュに注がれているのだろうか?
見ていて…何かに飢えている様に見えた。
今も、そんな雰囲気が消えていない。
「マオ君、ルルーシュがいつも通っている病院って、解るかな?」
スザクが答えて貰えるか解らないが、質問をしてみた。
呆然としているマオは、スザクを見上げる。
「あんた…どうするつもり?」
「勿論、ルルーシュを僕のところに連れ戻すんだよ…。このままだと、ほぼ確実に会えなくなるよ…。シュナイゼルさんは、そう仕向けている…」
真実を云っているのに…なんだか、子供を騙しているような気持ちになるのは何故だろうか…。
心の中で自嘲していると…
「ランペルージ第一病院…。そこの、ロイド=アスプルンドって云う医師が担当医だよ…」
マオが小さな声で答えた。
その名前を聞いて、一瞬驚いて、ふっと笑ってしまう自分がいた。
―――本当に…どうなっているんだか…この世界と時代は…

To Be Continued


あとがきに代えて



これまた、久しぶりの『It’s Destiny』です。
今回ルルーシュが出て来ませんでした。
カノンの動揺を書きたかったと云うのがあります。
そして、シュナパパ、最強です。
スザクとマオが共闘するか…と云う質問が来そうですが…
多分、あり得ません!
スザクは生まれ変わって、色々な意味でヒネているので、頭の中では色々考えています。
でもって、ルルーシュがあまりにうだうだ考えているので、世話焼きな兄ちゃんになっています。
さっさと扇を出したいし、ちょっとやりたい事があると云うのに、中々進んで行かないこの話し…。
でも、めげる訳にはいかないので…頑張ります!

そう、最近、オリジナルのBL小説サイトさまを渡り歩いているのですが…。
こういうところでもネタが拾えるんですね…。
もう、寝る時間も食べる時間も勿体ない!
寝なくても、食べなくても生きていける身体が欲しい!なんて愚かな事を考え始めていますが…。
ホント、『萌え♪』があると、人間、やる気が出てくるものなんですね…

そろそろ、このブログも存亡の危機となりつつありますが…
どうなる事やら…
あ、でも、企画はきっちりやります。
その後の事は…どうなるかなぁ…

と云う訳で、現在の気分はこんな感じ…



Twilight Songs 濱崎直子 ヤマトタケル 後期ED



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It's Destiny 26

Each feelings



―――コンコン…
 ある部屋の扉がノックされた。
そして、中の豪華な椅子に深く腰掛けていた人物がそのノックに返事をした。
「開いているよ…」
その言葉で扉が開いた。
そこに立っていたのは…
「カノン…ご苦労だったね…」
「いえ…。ルルーシュ様に悪い虫が付いてしまわれないかと心配されるのは仕方ありません…。確かに…時が経つにつれて、本当に魅惑的になられて行くのですから…」
どこまでその言葉が本音であるのかは知らないけれど。
それでも、カノンは主に対してそう答えた。
「そうだね…。私も不安なのだよ…。あの子はいつも誰かに着け狙われているような気がしてね…。で、あのルルーシュの同級生と云う少年については?」
「勿論、マンションの管理人には連絡を入れておきました。後は、あの、枢木スザクにマンションへの立ち入り許可を出したのが誰なのかを、調べて欲しい…。まぁ、そうはいない筈なんだけれどね…」
シュナイゼルが窓の外を見たまま告げた。
確かに、あのマンションはルルーシュが強引に許可を出させたマオ以外は父であるシュナイゼル、母であるギネヴィアが許可を出さない限り出入りは出来ないようになっている。
宅配業者でさえ、管理人室に荷物を置いて、管理人がルルーシュの許へ運んでいる状態だった。
「枢木スザクが『A物産』の社員である事を考えれば…絞られて来るでしょう?」
「ああ、なるほど…彼女か…。また厄介な相手だね…」
そんな風にはつゆほども思っていない…と云う笑みを浮かべながらシュナイゼルが云う。
カノンはそんなシュナイゼルを見ながら、少しだけ複雑な表情を見せた。
「で、どうされるんです?」
カノンはそんな表情をすぐに押し隠して、シュナイゼルに尋ねた。
「ギネヴィアに連絡してみようか…。彼女にルルーシュを渡す気はないけれど、今回は共闘を組めそうだからね…」
本当にこれが妻の名を呼びながら云うセリフなのだろうかと思えてしまう様な言葉だけれど。
しかし、現在のところ、この夫婦はそれが普通なのだ。
ギネヴィアだってシュナイゼルに対して共闘できる時は共闘するが、そうでないときには基本的に接触を持ってはいないのだ。
勿論、シュナイゼルの思い通りにルルーシュを諦めるつもりも毛頭ないのだ。
元々、ミレイはギネヴィアの許可によってあのマンションに出入りできる人物なのだから。
なんとかできるのはギネヴィアだろうと云う、冷静な判断。
そして、ギネヴィアがその事については決してシュナイゼルの意思に反した行動を取ったりはしないだろうと云う目論見は当然の様にある。
お互い、持ちつ持たれつ…と云うよりも、利用し、利用される事を承知している仲…と云うのが正しいのかもしれない。
見ていて、あまり、愉快に見える夫婦ではないだろう。
それでも、マスコミの前ではしっかりと家庭円満を演じている。
そう云ったゴシップは何かの形で情報が漏洩するものだけれど。
しかし、彼らについてはその心配はいらない。
日本国内の中でギネヴィアの機嫌を損ねて、シュナイゼルの機嫌を損ねて、何の痛手も受けないのはお互いとルルーシュだけだ。

 現在ここに控えているカノンだって、シュナイゼルの不興を買えばどんな事になるか解らない。
カノンにその意識はないし、もし、そうなった時には自分の非として甘んじて受け入れるだけの気持ちはあるのだけれど。
「後は…どうされますか?どうやら、ルルーシュ様は…枢木スザクに対して…自覚があるかどうかは解りませんが、特別なお気持ちを抱いておられる様ですが…」
カノンのその言葉に、それまで穏やかに話しをしていたシュナイゼルの眉がピクリと動いた。
学校のあの教師の事もあり、今のシュナイゼルにとっては頭の痛い事ばかりだ…と思えて来た。
と云うか、あの頃、押さえ付けられてきたものがここまで開放するものなのか…と、カノンの中では思ってしまう。
確かに、人が『執着』を全く持たないと云うのは不自然なことだ。
生きて行く上で決定的に致命傷となるかもしれない。
あの頃のシュナイゼルは自分の命にさえ『執着』を持たなかった。
しかし、ルルーシュの場合は…
―――確かに自分の命に執着はなかったみたいだけれど、他に執着があったから、自分の命を惜しんでいた…。だからこその、あの時には彼にとっての最大の『罰』だったのかしらね…
カノンは漠然とそんな事を考えた。
今のシュナイゼルを見ていると、本当に、あの時の反動がストレートに出て来ている様に見える。
あの頃、シュナイゼルが誰よりもその異母弟を愛していた事は事実だ。
それは、近くで見ていたカノンは良く知っている。
しかし、その『愛』に対しての執着を持たなかった。
周囲の人間は、それを『王の器』だと云った。
しかし、カノンとしてはその言葉に疑問を抱いていた。
だからこそ、ルルーシュがシュナイゼルに『ギアス』を懸けた後に気づいて、愕然としたのだ。
―――何に対しても『執着』を持てない者に、何も守る事は出来ない…。何かを守りたければ…人の上に立つには…『執着』を持ちながらもその『執着』を抑え込む強さが必要である。
その事に気づいた時、決定的に自分達の敗北を感じた。
今のシュナイゼルは、自分の欲しい者の…大切な者の為にその、『執着』を持っている。
あの時、封じられていた『執着』が…封じられていると云う自覚さえない状態だった『執着』がこんな形で表に出て来ている。
「後…ルルーシュ様の学校のあの、『扇』と云う教諭をいかが致しましょうか?今のところ、ルルーシュ様は学校をお休みされている状態ですが…」
カノンはすかさず尋ねると、
「そうだね、ルルーシュが学校に戻る前にいなくなって貰うか…。流石にブリタニアのギネヴィアの許に送る気はないよ…。私の目の届くところで、守ってやらなくてはね…」
シュナイゼルの言葉に、カノンは頭を下げる。
このシュナイゼルの狂っているとさえ思える、ルルーシュに対する『執着』は、一体何なのだろうか…。
その事は…今のカノンの中で、よく理解出来ない事でもあった。
今のシュナイゼルの心をこんな形で縛り付けている者は…

そして、つい先ほど、スザクに云われた一言を何故か、思い出した。
『では、あなたに訊きたい…。そこまでシュナイゼルを慕っていながら…何故、ルルーシュを近づけようとする?あなたがルルーシュのポジションになれば…』
『でも…それは…ルルーシュの意思を無視しているのと同じように…あなたの意思も無視しているのでは?』
カノンの中で、今、何故そんな言葉を思い出すのか…そんな疑問を抱く。
―――あんな子供に…何が解ると云うの!
カノンの中では枢木スザクと云うのは青臭い騎士と云う認識しかなかった。
思えば、あの頃、枢木スザクが『ゼロ』の仮面を被っていた。
カノンの中ではその事実の認識はしていても、その真実を考えようとしていなかった。
それに気づかないから、彼の中で混乱が生じ始めているのだ。
目の前の存在…。
カノンにとっては大切な存在。
主と云う事だけではなく、何か他の気持ちもある。
カノン自身、それは自覚しているけれど、それでもシュナイゼルにはそれが届いていないし、シュナイゼルがカノンに対してそんな気持ちを抱いている様にはとても見えない。
今、シュナイゼルが心を傾けているのは…
―――あの頃、『最愛の異母弟君』で、今では『たった一人のご子息』である…ルルーシュ様…ただお一人…。
カノンの中で、何故そんな思いが過って行くのか…自分自身でも解らない。
と云うか、自分の中でそんな気持ちがある事にさえ気づいていないのかもしれない。
だから、スザクの言葉に動揺している。
カノン自身がどれほど否定していても…それが真実だ。
「では、明日にでももう一度、ルルーシュ様の学校に行って来ますね…」
そう云いながら、頭を下げる。
シュナイゼルの為だ。
これも、シュナイゼルの望む者の為…。
本当なら、ルルーシュに対して云い感情を抱いていない担任をそのままにしている学校ごと糾弾してしまえば簡単な事なのだけれど。
そんな事をした時、ルルーシュがそれが誰の仕業なのか気付いて、それを施した者がルルーシュの不信感を買う事になる。
だからこそ、カノンもこうした形で地道に学校に通っているわけなのだけれど。(ここでそんな権力を使っている時点で地道に…と云えるかどうかは解らないが)
恐らく、これを普通の親がやっていると『モンスター・ペアレンツ』などと呼ばれるのだろう。
実際にやっている事は大して変わらない。
ただ、気に入らない生徒に対してその態度をアカさまにしている教師にも問題がある…。
そう云う意味ではこちらの場合はある程度正論として成り立つ。
ただ、そこにルルーシュ本人の意思などは全く入っておらず、完全に保護者の独断で動いている事なのだけれど。
ここまで放置しておいたのに…と思う職員もいるようだけれど。
しかし、事がある程度大きくなってからの助け船の方が…と云うのがカノンの中出の算段だ。
実際、ギネヴィアは日本国内にいる事は少ないし、シュナイゼルも忙しい身だ。
その事に気付けなくても仕方ない…気が付いた時には我が子が教員から理不尽な扱いを受けていた…と云う云い分が成り立つ。
―――ある意味、本当にたちが悪いとは思うけれど…

 その頃、マンションを出ようとしたスザクは…。
「あ…」
見覚えのある顔だ。
ルルーシュの同級生で、スザクに対して嫉妬して、ルルーシュを怒らせて…。
それからどうなったのかと思っていたけれど…。
「マオ君…」
スザクは彼の名前を読んで呼びとめた。
「あ、あんたは…。まだルルに付き纏ってんの?」
スザクの顔を見るなり頗る機嫌が悪そうにスザクに尋ねた。
マオはルルーシュとは本当に連絡を取っていないらしい。
「付き纏っているって云うか…。シュナイゼルさんに踊らされていると云うか…。ルルーシュなら体調不良のところにシュナイゼルさんが乗り込んで来て、連れて行ったらしいよ…」
とりあえず、今の彼であればルルーシュへの害はないと、スザクが一通り説明した。
記憶が戻って、彼の事を思い出して…。
正直、気分としては複雑だ。
あの時、一度だけ、彼とは会っている。
そして、自分の過去を抉られた。
今となってはそんな過去も、過去の一つとして考える事が出来る。
「え?でも、僕には連絡が…」
「病院だからね…。普通、携帯は使えないだろ?それに、マンションの管理人さんは、僕だけじゃなくて、君も入れるな…ってシュナイゼルさんから絶対命令が出ているみたいだし…」
スザクとしては、あまり表に動揺を見せる事はしたくない。
だから、心の中では様々な可能性とか、予感が過って行って、あまり気分的には明るく離れないけれど。
ここは冷静になるべきだと思い、淡々と説明した。
「え?なんで…。だって…おじさんは…」
マオの表情を見てスザクはピンと来た。
どうやら、本当に真っ直ぐな性格をしているらしい。
ルルーシュの幼馴染らしいから、恐らく、ルルーシュのお陰でこんな風にすぐに切れてしまう様な糸にさえ救いを求めてしまうらしい。
「まぁ、いいように使われるんじゃないの?と云うか、君だろ?僕の事、シュナイゼルさんに報告したの…」
スザクの中で『やれやれ』と云った思いが過って行く。
正直、今の状態で一つ一つの事柄に一喜一憂などしていられない。
放っておいたら、また、引き裂かれる事になるのだ。
―――折角…また会えたのに…。今度こそ…幸せになりたいのに…
マオの方は…本当に子供のままだ。
スザクはあの後、マオがどうなったかを知らない。
だからこそ、何となく不自然に見えるけれど。
それでも、この状況で、味方のいない状態なら、出来れば邪魔はして欲しくないのだ。
「そうだよ!お前が…僕のルルを盗るから…。ルルは僕がいればいいんだ!僕がルルを守るんだ!」
云っている事は頓珍漢な事を云っているように聞こえるけれど。
その気持ちは本当に真剣なようだ。
その目が…そう語っている。
どんなウソつきであっても、人を騙す人間であっても、真剣になっている時は目の色が変わる。
それは、あの時に学んだ。
だから、マオがルルーシュを大切に思うのは本当なのだろう。

 それが解ったところで、マオが変に騒ぎ立ててしまうとシュナイゼルの思うつぼだ。
とにかく、今の状態ではルルーシュはただ、自分を責めるだけだ。
恐らく、ルルーシュがあの頃の事を過去として、認識できるようになるまでは時間がかかる。
そして、それには事情を知っている者の努力が必要だ。
―――ミレイさんに記憶があるのは…やっぱりこう云う時には有難いけれど…。でも、きっと、ルルーシュはミレイさんの言葉だけじゃ…足りない…。
そこにはスザクの…あの時、当事者としてルルーシュの思いを知り、涙を流し、時代を見守って来たスザクにしか出来ない事がある。
最も、ルルーシュの気持ちを理解し、お互いを裁いた者同士だからこそ、解る事、云える事がある。
「マオ君、君は、ルルーシュの両親から煙たがられていた事を知っているんだろう?なら、今は、冷静に状況把握をした方がいい。恐らく、この先、学校も変化して行く事になる気がする…」
スザクの中で考えて、そして、目の前にいる人物に影響が及ぶその場所を口にした。
その言葉にマオが驚いた顔を見せるけれど、すぐに、はっと何かに気づいたようだ。
「そう云えば…扇が…ルルの事、気にしていた…」
「扇?」
「僕達の担任だよ…。ずっと、ルルの事をよく思っていなくって、でも、ルルはそんな事全然気にしないそぶりでいたけれど…」
『扇』と云う名前にスザクはため息を吐きたくなった。
本当にこの転生は呪われているのではないかと思う様な…そんなメンツが揃っている気がする。
―――何故、そこまでルルーシュに苛酷な状態になっているんだ…
神や仏を信じた事はないが、ここでは神や仏を恨みたくなる。
そして、恐らく、今もこの世界にいるであろう…一人の魔女の存在を思い出す。
と云うか、金輪際、顔も見たくないし、思い出したくもなかった…と云う表現が正しいのだけれど。
スザクにとっては、彼女の存在によって随分運命を変えられたのだから。
ルルーシュが『ギアス』がなくてもあの世界に反逆するつもりでいた…と云う事であったとしても。
―――『ギアス』がなければ…あそこまでの悲しい笑顔を見る事は…きっとなかった…。
スザクの中ではそれを確信している。
それでも、多分、今の状態は…彼女を頼らない訳にはいかない様な気がする。
『ギアス』の契約なんてするつもりはないし、彼女の願いなんてもっとどうでもいい。
ただ、これ以上、ルルーシュが辛い思いをするのは嫌だと思う。
目の前にいるマオも、あの時、彼女に運命を変えられ、その人生を弄ばれた一人だろう。
あの頃の不完全燃焼状態の思いが、全て、ルルーシュに注がれているのだろうか?
見ていて…何かに飢えている様に見えた。
今も、そんな雰囲気が消えていない。
「マオ君、ルルーシュがいつも通っている病院って、解るかな?」
スザクが答えて貰えるか解らないが、質問をしてみた。
呆然としているマオは、スザクを見上げる。
「あんた…どうするつもり?」
「勿論、ルルーシュを僕のところに連れ戻すんだよ…。このままだと、ほぼ確実に会えなくなるよ…。シュナイゼルさんは、そう仕向けている…」
真実を云っているのに…なんだか、子供を騙しているような気持ちになるのは何故だろうか…。
心の中で自嘲していると…
「ランペルージ第一病院…。そこの、ロイド=アスプルンドって云う医師が担当医だよ…」
マオが小さな声で答えた。
その名前を聞いて、一瞬驚いて、ふっと笑ってしまう自分がいた。
―――本当に…どうなっているんだか…この世界と時代は…

To Be Continued


あとがきに代えて



これまた、久しぶりの『It’s Destiny』です。
今回ルルーシュが出て来ませんでした。
カノンの動揺を書きたかったと云うのがあります。
そして、シュナパパ、最強です。
スザクとマオが共闘するか…と云う質問が来そうですが…
多分、あり得ません!
スザクは生まれ変わって、色々な意味でヒネているので、頭の中では色々考えています。
でもって、ルルーシュがあまりにうだうだ考えているので、世話焼きな兄ちゃんになっています。
さっさと扇を出したいし、ちょっとやりたい事があると云うのに、中々進んで行かないこの話し…。
でも、めげる訳にはいかないので…頑張ります!

そう、最近、オリジナルのBL小説サイトさまを渡り歩いているのですが…。
こういうところでもネタが拾えるんですね…。
もう、寝る時間も食べる時間も勿体ない!
寝なくても、食べなくても生きていける身体が欲しい!なんて愚かな事を考え始めていますが…。
ホント、『萌え♪』があると、人間、やる気が出てくるものなんですね…

そろそろ、このブログも存亡の危機となりつつありますが…
どうなる事やら…
あ、でも、企画はきっちりやります。
その後の事は…どうなるかなぁ…

と云う訳で、現在の気分はこんな感じ…



Twilight Songs 濱崎直子 ヤマトタケル 後期ED



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posted by 和泉綾 at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

2010年06月07日

It's Destiny 25

ココロノカギ



 一人、廊下を歩いているロイドだったが…
思ったよりも、電話は手短に済んだ。
と云うか、電話をかけた相手が人の話しも聞かずに電話を切ってしまったという。
恐らく、まもなく、ここに駆けつけて来ることだろう。
物凄い形相で…
「まったく…人の話をちゃんと聞いて欲しいものだよね…」
この人物のこのセリフに関しては、前世の彼を知っている人間が聞けば
『お前が云うな!』
と云う返事が返って来るに違いない。
それでも、ここにはその頃の彼を知る者はいないし、と云うよりも、周囲に誰もいない。
尤も、彼が周囲に誰かがいたからと云って、その事でその辺りの気遣いをするとも思えないのだけれど。
それでも、実際に事は動き始めた。
ロイドはなぜ、このような形で自分達に記憶が戻ったのかなんて知らない。
それに、他にもこうして記憶を取り戻している者がいるのかどうかも…解らない。
いたところで、どうしようもないし、出来る事なんてないとは思う。
「いくら僕だってね、しんどいと思う事はあるんだけどなぁ…。正直、あんな陛下を見ていると、しんどくない方がどうかしているよね。スザク君が一緒にいてくれているみたいだけれど、シュナイゼル様があんなんじゃ…どうなっちゃうのかな?」
独り言…きっとこの言葉の意味はその記憶を持っていて、ロイドと同じように、悩んだものでなければ解らないことだろう。
正直、今だって、記憶がなくとも、ルルーシュの姿を見ていれば、なんだか痛々しさを感じるし、何の記憶もなく、幸せになる事は出来なかったのだろうか?と考えてしまうのは、愚かなことなのだろうか?
「僕としては、別に誰かに不幸になって欲しい訳でもないんだけれどな。でも、僕が望む方向に行った時、きっと、誰かが辛い思いをするんだろうなぁ…」
窓の外を見ながら、思ってしまう。
あの日は、ロイドはその場に立つ事は出来なかった。
あの時の彼の最期を見届ける事が出来なかった。
きっと、彼ら以外に思い出している者の中で、その場を知らなかったのは、ロイドだけだ。
ミレイに現世で出会った時、泣かれたのを思い出した。
彼女も相当しんどい思いをしていたんだろうと思った。
今度こそ、きちんと笑って欲しいと思う。
あの時、ミレイはロイドの心を動かした数少ない人間の一人だ。
スザクの事だって、『ランスロット』のデヴァイサーとして大切にはしていたけれど、あの時のロイドがスザクを『人』として見ていたかどうか、
「今になって見ると、結構微妙だよねぇ…」
そんな自分が今、人の命を救う職業についていると云うのを思うと、なんだか笑えてくる。
今だって、それほど、『人』に対して執着はしていないし、マイペースに進んでいる事は自分でも解っている。
ただ、そうやって、客観的に者を見る事は、『医師』の資質では必要な事だ。
患者に対して感情移入し過ぎてしまったら、的確な判断を出来なくなる。
ある意味、ルルーシュ達の様な、面倒な事情を抱えている患者を持つには便利な性格かもしれない。
そう思っているロイドだけれど。
既に、ここで、ルルーシュに対して『ちょっとだけ、僕も怒っているってことですよ…。そんな風に、過去に縛られていてどうするんです?』などと云っていた時点で、相当、その相手に対して色々な思いを抱えていると云う事に、ロイドはその時、気付いていたのだろうか?

 結局、話しは決裂してしまった状態で、カノンと別れたスザクだったが…
「本当に、何故僕達は、記憶を取り戻したんだ?もし、この記憶がなければ、この時代の『ルルーシュ』と『スザク』として、お互いに自分の為に生きる事が出来たかもしれないのに…」
そんな事を呟きながら、既に帰宅時間のピークになっている通りを歩いている。
あのカノンに対して、あそこまで云えるようになっていた自分に少しだけ、自嘲してしまう。
これも、記憶を取り戻したからあんな風に相手のペースに乗らずに話す事が出来たのだ。
もし、記憶を取り戻さない段階であんな事を云われていたら、
「僕は…ルルーシュの為に何かを捨てる覚悟は出来たのだろうか?」
相手はシュナイゼル≂ランペルージだ。
どう考えても、ただのサラリーマンのスザクが強気に出たところで、何ができる訳でもない相手だ。
それでも、スザクはルルーシュを手放したくなかった。
せっかく、再び会えたルルーシュの手を放したくはなかった。
あの頃と違って、自分の父親を殺すと云う罪を犯していない。
その罪を忘れたわけじゃないけれど、生まれ変わってまで、前世の業を背負わされてたまるか…と、そこまで考えられるくらいにはなっている。
それほど、あの頃のスザクの経験はスザクを成長させたし、なりたかったかどうかは別にして、強くした。
今、思い出しても相当しんどいと思えて来るような記憶だ。
やっと、やっと、ルルーシュと手を取り合って世界を変えると、そう、思ったのに…。
正直、ユーフェミアの事で『ゼロ』を許せなかった。
ルルーシュを許せなかった。
でも、それ以上に…悲しかった。
きっと、あの頃の自分はいっぱいいっぱいで、ルルーシュの事を気遣うだけの余裕がなかった。
だからこそ、ルルーシュは守りたいものの為に、罪を追った。
何度もスザクに『生きて欲しい』という願いの込められた言葉を自分に発していたのに。
「僕は、それに気付くことさえできなかったんだね…」
そう呟くと、あの、『ゼロ・レクイエム』の後に気づかされた、『ゼロ』の仮面を被りながらルルーシュは何を思っていたのか…
アッシュフォード学園が戦場となってしまった時、『ゼロ』がスザクに云った…あの言葉の意味は…
―――気付いた時には…遅すぎたよね…。ホント、僕はバカだ。
今更考えても仕方のない事と解っていて、やっぱり、思ってしまう。
ルルーシュのいなくなった世界で『ゼロ』の仮面を被りながら、何度も頭の中をリフレインしていたその言葉…
今もなお、こうして思い出すと、胸に突き刺さる。
「これは、僕も過去に縛られていると云う事なのかな…?」
かなり時間が食ってしまって、きっと、ルルーシュが心配しているだろうと…
スザクは携帯電話を取り出した。
そして、アドレスからルルーシュの番号を探しだす。
『留守番電話に接続します。ピーという発信音の後に…』
ルルーシュの携帯電話から留守番電話センターの電子音が流れて来た。
「え?」
さっきまでそれなりに話しをしていた。
確かに、身体を動かすのは大変そうには見えたけれど。
それでも、携帯電話に出る事くらいは出来るはず。
そう思った時…スザクの頭の中に嫌な予感が過って行った。

 携帯電話を持つその手が震えて来る。
「まさか…」
確かに、まさかと思ってしまうけれど。
でも、こうして考えてみれば、あってもおかしくない可能性だ。
―――やられた!
スザクはすぐにマンションへと走り出した。
そして、管理人室の前を走りぬけてセキュリティがかかっているものの、ミレイのお陰で自由に出入りできるその入口の前に立ったけれど…
―――開かない?すると…
「あ、枢木さん…えっと、ですね…」
管理人室から管理人が出て来た。
なんだか凄く何か、云いにくそうに口を開いてスザクの傍まで歩いてきた。
「あの…ひょっとして、シュナイゼルさんが…来たんですね?で、ルルーシュはどこへ?」
スザクが管理人に対して掴みかかる様に尋ねるけれど。
でも、管理人は困った顔をするだけだった。
「えっと、シュナイゼル様から、もう、枢木さんをこのマンションに入れちゃダメだって云われてしまってね…。それに、今はこのマンションの中にルルーシュ君はいないし、とりあえず、今日のところは…」
管理人がそこまで云った時に、スザクが管理人の肩を掴んでいる手に力が入ってしまう。
―――くっそ…あの時、カノンが出て来たという時点で気付くべきだった!
今のスザクにあるのは、せっかく会えたルルーシュとこんな理不尽な形で引き離されるのは御免だと云う思いだけだ。
「い…痛い…枢木さん…。気持ちは解るけど…」
管理人がスザクに痛みを訴える。
そこで、スザクもはっと我に返って掴んでいた管理人の肩を放した。
呆然としているスザクに、管理人が更に言葉を続けた。
「まったく…シュナイゼル様も突然来て、これまで黙認していたマオ君まで入れない様にしろ…だなんて…。これじゃあ、ルルーシュ君が可哀そうだ…」
管理人の独り言の様なセリフに、スザクは更に驚愕の表情と、悲痛の表情を浮かべた。
「あの…ルルーシュがどこに行ったか、解りますか?」
スザクは懸命に興奮状態の感情を抑えながら、尋ねた。
「さぁ…。私もただの管理人だから…。ここの住人のプライベートな事までは、関知できないんだよ…。ただ、ルルーシュ君、青ざめた顔をして、シュナイゼル様に抱きかかえられて、出て行ったよ…」
流石に、スザクのその姿に管理人が同情するかのように教えた。
その管理人の言葉に、既にルルーシュは本人がスザクに会いたいと思わない限り、決して会えない場所に連れて行かれた…と云う事を悟った。
―――カノンは…結局、僕を引きとめておくための…時間稼ぎだったのか…
今更気付いたところで、何の意味もないと思えてしまう事実を頭の中でもう一度反芻した。
カノンのあの口ぶりだと、本当にシュナイゼルはルルーシュを自分のものに…そう考えているのは間違いないだろう。
それに、どんな形であっても、ルルーシュを愛しているのだと云う事は解るから…
だから…
―――手荒な事はされないだろうけれど…
正直、こんな形でこんな風に考えてしまう自分を、普段なら咎める自分がいる筈なのに…
今はそんな自分の姿も現れない。
色々あり過ぎて、色々ショックが大きくて、今はもう、何も考えたくなかった。
「すみません…。ご迷惑をおかけして…。また、時々、様子を見に来るので、何か分かったら、ご迷惑にならない程度に教えて頂けないでしょうか?」

 一方、検査を済ませて、病室に、半ば強制的に軟禁状態となったルルーシュだったけれど…
スザクが買い物に行った時に連れて来られてしまったから…
―――どうやって連絡を取ろうか…。この状態ではどう考えても、連絡が取れるような状態じゃない…
状況把握だけはしっかりしている。
下手な事をして、更に拘束された状態になるのはまずい。
それに、今は、彼らの心配ではないが、とても、自力でマンションに戻ると云う事もかなり難しい状態だと云える。
ずっと、呆けた状態が続いていて、色々あって、そして、記憶を取り戻して…と云う事になっていたのだ。
これで、普段と同じように動けるくらいの精神力があるなら、そもそも、あんな風に身体から力の抜けた状態になどなりはしない。
この病院の中でも一番豪華な作りの特別室だ。
そして、そんな特別室だからセキュリティ自体もしっかりしている。
この部屋に訪れる人間にもこの部屋に入院しているルルーシュにも。
連絡の取り様がない。
「あのスザクの事だ…きっと、心配している…」
家にいたかった。
それでも、あのマンションの持ち主はシュナイゼルだ。
結局、あの頃と変わらない。
用意された箱庭の中で、自己主張の真似ごとばかりしている状態だ。
あの頃はまだ、守るべき存在があったから…もっと、前を見ていた気がする。
今の自分に守りたいものはない。
それどころか、自分の存在意義さえ解らない状態だ。
それこそ、あの時、皇帝から『お前は生きた事などない!』と云われた時と同じような気分だ。
実際に、今の自分は生きてなどいない。
ただ、惰性でその日を過ごしている…そんな感覚だ。
欲しいものだって、諦められるような…その程度のもの。
これまでだって、少し欲しいと思ったものであっても、あの両親に気に入られなければ、すぐに諦めて来た。
唯一、諦める時に悩んで、何か強引に自分の意思を押しとおそうとしたものは…マオがいるけれど。
でも、そのマオにしたって、両親に向かって本気で食ってかかった事なんてない。
実際、あのマンションにマオは入らないように…と云う事を管理人に伝えていたようだけれど、それをこそこそとルルーシュが入れさせていた…それだけの事だ。
恐らく、両親は気付いていたのかもしれないけれど、その時には彼らにとって、取るに足りないものであったから、放置していてくれただけの事だ。
―――結局、俺はこんなに無気力だったんだな…。大きなプレッシャーがかかれば、諦められる程度の…
そこまで思った時、何かはっとした。
―――諦める?アイツを…諦める?
ルルーシュの中にそんな言葉が浮かび上がってきた。
その『アイツ』と呼ぶその存在は…
あの時の事を考えれば、何度殺されたって文句は言えないと思える。
でも、あんな風に云って貰えて、嬉しいと思った。
その言葉に縋ってしまいたかった。
―――何故、俺はあの時、買い物に行かせてしまったんだ…。何故…こんな事に…
そう思った途端に、ルルーシュは膝の上に置かれていた拳をぎゅっと握りしめた。

―――コンコン…
そんな風にしているルルーシュの気持ちなどお構いなしに、部屋をノックされた。
「あ、はい…」
ルルーシュが返事すると、そこには…
「ルルーシュ!大丈夫?」
そう云って飛び込んで来たのは、自分が知っているその存在よりも遥かに年上だけれど、確実にその本人と解る存在だった。
「ミ…ミレイ会長…?」
ルルーシュが驚いた様にその名前を呼んだ。
ルルーシュは恐る恐る時計を見るが…とりあえず、仕事時間中でない事を知って、ほっとした。
何故、ここでルルーシュがほっとしなければならないのか…と思うのだけれど。
しかし、スザクをあんな終電ギリギリみたいな時間に帰す位残業させているくせに、この人に限って云えば、そう云った苦労を分かち合っていると云う様子は全くない。
相変わらず、強引に自分のペースに引きずり込むのは得意らしい。
「ったく…ロイド伯爵から連絡貰ってびっくりしたわよ!って、なんで、こんなあっという間に捕まっちゃってるわけ?」
聞き方によっては非常に失礼な言い方だと思われるが…
しかし、それもまた、この人の特性なのであえて無視する。
「別に…捕まっているわけでは…」
「大して変わらないでしょ?連絡取る方法だって全て遮断されて、体のいい監禁じゃないの…。確かに、今のルルーシュはちゃんと休養を摂った方がいいとは思うけどさ…」
相変わらず云いたい放題だ。
休養を摂った方がいいと云う割には中々にぎやかな登場だ。
「別に…。ただ、あの人が、スザクに妙な事をしていないと、いいんですけれど…」
俯き加減にルルーシュが云った。
ミレイが将来、社長になるであろう、スザクが勤めている『A物産』だって、ルルーシュの母であるギネヴィアの傘下の企業だ。
「安心なさいな…。私が出来る限りの事をする。それは約束する!ルルーシュがいちいち気にする事じゃないわ。そもそも、そんな個人感情でそんな権力を振り回せる時代は終わっているのよ?本当にそんな事ばかりしていたら、企業も社会もなりたちはしないわ…」
ミレイが明るく云ってくれるけれど。
それでも、不安が拭い切れない。
「でも…俺達の所為で…会長がそんな事を…」
もう、これ以上罪を背負いたくない…
そんなところなのだろうか?
ルルーシュのその言葉は随分後ろ向きで、あの頃、『ゼロ』として存在ていた頃の様に前だけを見ている感じがしない。
それほどまでに、ルルーシュの中での罪の意識が大きい…と云う事でもあるのだけれど。
「ねぇ…ルルーシュ、ロイド伯爵に云われなかった?」
ミレイが疑問形の言葉を投げかけて来た。
ルルーシュは今のところ、何を云いたいのか、解っていない。
そんなルルーシュを見てミレイがクスッと笑った。
「もう、そんな風に罪に縛られなくていいのよ、ルルーシュ。スザクも多分行ったんじゃないのかなぁ…。あの時の罪はあの時代に生きたすべての人々にあるって…。それはね、あの、ルルーシュが勝手な事をした後を生きた人間だから、云える言葉なのよ?ま、ちゃんと理解出来るようになるまでには、少し時間がかかるかなぁ…オコサマには…」
くすくすと笑いながらそう云ったミレイに、ルルーシュは少しムッとした顔をする。
ただ、その言葉の奥に隠されているものに、ルルーシュが気付くまでは…そんな風に思いながら、ミレイはルルーシュを見ているのだった。

To Be Continued


あとがきに代えて



こちらも御無沙汰になってしまった『It’s Destiny』ですが…
と云うか、『ギアスターボ』から随分連載をお休みしていたのですね…
申し訳ありません…m(__)m
まぁ、今回、少し、話しの内容としては、色々弄っているのですけれど、多分、前回が結構前過ぎて読みなおし…という方もいらっしゃるのでしょうか?
和泉も、原稿引っ張り出して書いていました。
とりあえず、イベント準備もほぼ終わりなので、のんびりやります。
まぁ、『All Hail Lelouch!!2』の持ち込み予定の記事にも書いているんですが、イベント参加が今後、どうなるか解らないので、現在オフラインで続いている話しに関しては、ゆっくり、じっくり書こうと思っています。
皆さんに忘れ去られない程度の時期に出そうとは思っています。
リク企画が終わるころには、『皇子とレジスタンス』『幼馴染シリーズ』が結構現在執筆中のターンが終わりそうなので…
連載物もどうなるかな…と云った感じです。
『皇子とレジスタンス』に関しては、まだネタはあるけれど、続きを書くことはあっても、掲載するかどうか、皆さんの御意見をお訊きしたいと思っております。
時々、思い出す様にお尋ねする記事があるかと思いますが…
よろしければ答えてやって下さい。
『幼馴染シリーズ』もなんだかんだ云って、どれだけのんびりやっても8月までは続かないと思うので、その後は、まぁ、書きたいものはあるんですけれどね。
書く意欲だけはどう云う訳かあるので、まぁ、ぼちぼち書いて行こうと思います。



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posted by 和泉綾 at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

It's Destiny 25

ココロノカギ



 一人、廊下を歩いているロイドだったが…
思ったよりも、電話は手短に済んだ。
と云うか、電話をかけた相手が人の話しも聞かずに電話を切ってしまったという。
恐らく、まもなく、ここに駆けつけて来ることだろう。
物凄い形相で…
「まったく…人の話をちゃんと聞いて欲しいものだよね…」
この人物のこのセリフに関しては、前世の彼を知っている人間が聞けば
『お前が云うな!』
と云う返事が返って来るに違いない。
それでも、ここにはその頃の彼を知る者はいないし、と云うよりも、周囲に誰もいない。
尤も、彼が周囲に誰かがいたからと云って、その事でその辺りの気遣いをするとも思えないのだけれど。
それでも、実際に事は動き始めた。
ロイドはなぜ、このような形で自分達に記憶が戻ったのかなんて知らない。
それに、他にもこうして記憶を取り戻している者がいるのかどうかも…解らない。
いたところで、どうしようもないし、出来る事なんてないとは思う。
「いくら僕だってね、しんどいと思う事はあるんだけどなぁ…。正直、あんな陛下を見ていると、しんどくない方がどうかしているよね。スザク君が一緒にいてくれているみたいだけれど、シュナイゼル様があんなんじゃ…どうなっちゃうのかな?」
独り言…きっとこの言葉の意味はその記憶を持っていて、ロイドと同じように、悩んだものでなければ解らないことだろう。
正直、今だって、記憶がなくとも、ルルーシュの姿を見ていれば、なんだか痛々しさを感じるし、何の記憶もなく、幸せになる事は出来なかったのだろうか?と考えてしまうのは、愚かなことなのだろうか?
「僕としては、別に誰かに不幸になって欲しい訳でもないんだけれどな。でも、僕が望む方向に行った時、きっと、誰かが辛い思いをするんだろうなぁ…」
窓の外を見ながら、思ってしまう。
あの日は、ロイドはその場に立つ事は出来なかった。
あの時の彼の最期を見届ける事が出来なかった。
きっと、彼ら以外に思い出している者の中で、その場を知らなかったのは、ロイドだけだ。
ミレイに現世で出会った時、泣かれたのを思い出した。
彼女も相当しんどい思いをしていたんだろうと思った。
今度こそ、きちんと笑って欲しいと思う。
あの時、ミレイはロイドの心を動かした数少ない人間の一人だ。
スザクの事だって、『ランスロット』のデヴァイサーとして大切にはしていたけれど、あの時のロイドがスザクを『人』として見ていたかどうか、
「今になって見ると、結構微妙だよねぇ…」
そんな自分が今、人の命を救う職業についていると云うのを思うと、なんだか笑えてくる。
今だって、それほど、『人』に対して執着はしていないし、マイペースに進んでいる事は自分でも解っている。
ただ、そうやって、客観的に者を見る事は、『医師』の資質では必要な事だ。
患者に対して感情移入し過ぎてしまったら、的確な判断を出来なくなる。
ある意味、ルルーシュ達の様な、面倒な事情を抱えている患者を持つには便利な性格かもしれない。
そう思っているロイドだけれど。
既に、ここで、ルルーシュに対して『ちょっとだけ、僕も怒っているってことですよ…。そんな風に、過去に縛られていてどうするんです?』などと云っていた時点で、相当、その相手に対して色々な思いを抱えていると云う事に、ロイドはその時、気付いていたのだろうか?

 結局、話しは決裂してしまった状態で、カノンと別れたスザクだったが…
「本当に、何故僕達は、記憶を取り戻したんだ?もし、この記憶がなければ、この時代の『ルルーシュ』と『スザク』として、お互いに自分の為に生きる事が出来たかもしれないのに…」
そんな事を呟きながら、既に帰宅時間のピークになっている通りを歩いている。
あのカノンに対して、あそこまで云えるようになっていた自分に少しだけ、自嘲してしまう。
これも、記憶を取り戻したからあんな風に相手のペースに乗らずに話す事が出来たのだ。
もし、記憶を取り戻さない段階であんな事を云われていたら、
「僕は…ルルーシュの為に何かを捨てる覚悟は出来たのだろうか?」
相手はシュナイゼル≂ランペルージだ。
どう考えても、ただのサラリーマンのスザクが強気に出たところで、何ができる訳でもない相手だ。
それでも、スザクはルルーシュを手放したくなかった。
せっかく、再び会えたルルーシュの手を放したくはなかった。
あの頃と違って、自分の父親を殺すと云う罪を犯していない。
その罪を忘れたわけじゃないけれど、生まれ変わってまで、前世の業を背負わされてたまるか…と、そこまで考えられるくらいにはなっている。
それほど、あの頃のスザクの経験はスザクを成長させたし、なりたかったかどうかは別にして、強くした。
今、思い出しても相当しんどいと思えて来るような記憶だ。
やっと、やっと、ルルーシュと手を取り合って世界を変えると、そう、思ったのに…。
正直、ユーフェミアの事で『ゼロ』を許せなかった。
ルルーシュを許せなかった。
でも、それ以上に…悲しかった。
きっと、あの頃の自分はいっぱいいっぱいで、ルルーシュの事を気遣うだけの余裕がなかった。
だからこそ、ルルーシュは守りたいものの為に、罪を追った。
何度もスザクに『生きて欲しい』という願いの込められた言葉を自分に発していたのに。
「僕は、それに気付くことさえできなかったんだね…」
そう呟くと、あの、『ゼロ・レクイエム』の後に気づかされた、『ゼロ』の仮面を被りながらルルーシュは何を思っていたのか…
アッシュフォード学園が戦場となってしまった時、『ゼロ』がスザクに云った…あの言葉の意味は…
―――気付いた時には…遅すぎたよね…。ホント、僕はバカだ。
今更考えても仕方のない事と解っていて、やっぱり、思ってしまう。
ルルーシュのいなくなった世界で『ゼロ』の仮面を被りながら、何度も頭の中をリフレインしていたその言葉…
今もなお、こうして思い出すと、胸に突き刺さる。
「これは、僕も過去に縛られていると云う事なのかな…?」
かなり時間が食ってしまって、きっと、ルルーシュが心配しているだろうと…
スザクは携帯電話を取り出した。
そして、アドレスからルルーシュの番号を探しだす。
『留守番電話に接続します。ピーという発信音の後に…』
ルルーシュの携帯電話から留守番電話センターの電子音が流れて来た。
「え?」
さっきまでそれなりに話しをしていた。
確かに、身体を動かすのは大変そうには見えたけれど。
それでも、携帯電話に出る事くらいは出来るはず。
そう思った時…スザクの頭の中に嫌な予感が過って行った。

 携帯電話を持つその手が震えて来る。
「まさか…」
確かに、まさかと思ってしまうけれど。
でも、こうして考えてみれば、あってもおかしくない可能性だ。
―――やられた!
スザクはすぐにマンションへと走り出した。
そして、管理人室の前を走りぬけてセキュリティがかかっているものの、ミレイのお陰で自由に出入りできるその入口の前に立ったけれど…
―――開かない?すると…
「あ、枢木さん…えっと、ですね…」
管理人室から管理人が出て来た。
なんだか凄く何か、云いにくそうに口を開いてスザクの傍まで歩いてきた。
「あの…ひょっとして、シュナイゼルさんが…来たんですね?で、ルルーシュはどこへ?」
スザクが管理人に対して掴みかかる様に尋ねるけれど。
でも、管理人は困った顔をするだけだった。
「えっと、シュナイゼル様から、もう、枢木さんをこのマンションに入れちゃダメだって云われてしまってね…。それに、今はこのマンションの中にルルーシュ君はいないし、とりあえず、今日のところは…」
管理人がそこまで云った時に、スザクが管理人の肩を掴んでいる手に力が入ってしまう。
―――くっそ…あの時、カノンが出て来たという時点で気付くべきだった!
今のスザクにあるのは、せっかく会えたルルーシュとこんな理不尽な形で引き離されるのは御免だと云う思いだけだ。
「い…痛い…枢木さん…。気持ちは解るけど…」
管理人がスザクに痛みを訴える。
そこで、スザクもはっと我に返って掴んでいた管理人の肩を放した。
呆然としているスザクに、管理人が更に言葉を続けた。
「まったく…シュナイゼル様も突然来て、これまで黙認していたマオ君まで入れない様にしろ…だなんて…。これじゃあ、ルルーシュ君が可哀そうだ…」
管理人の独り言の様なセリフに、スザクは更に驚愕の表情と、悲痛の表情を浮かべた。
「あの…ルルーシュがどこに行ったか、解りますか?」
スザクは懸命に興奮状態の感情を抑えながら、尋ねた。
「さぁ…。私もただの管理人だから…。ここの住人のプライベートな事までは、関知できないんだよ…。ただ、ルルーシュ君、青ざめた顔をして、シュナイゼル様に抱きかかえられて、出て行ったよ…」
流石に、スザクのその姿に管理人が同情するかのように教えた。
その管理人の言葉に、既にルルーシュは本人がスザクに会いたいと思わない限り、決して会えない場所に連れて行かれた…と云う事を悟った。
―――カノンは…結局、僕を引きとめておくための…時間稼ぎだったのか…
今更気付いたところで、何の意味もないと思えてしまう事実を頭の中でもう一度反芻した。
カノンのあの口ぶりだと、本当にシュナイゼルはルルーシュを自分のものに…そう考えているのは間違いないだろう。
それに、どんな形であっても、ルルーシュを愛しているのだと云う事は解るから…
だから…
―――手荒な事はされないだろうけれど…
正直、こんな形でこんな風に考えてしまう自分を、普段なら咎める自分がいる筈なのに…
今はそんな自分の姿も現れない。
色々あり過ぎて、色々ショックが大きくて、今はもう、何も考えたくなかった。
「すみません…。ご迷惑をおかけして…。また、時々、様子を見に来るので、何か分かったら、ご迷惑にならない程度に教えて頂けないでしょうか?」

 一方、検査を済ませて、病室に、半ば強制的に軟禁状態となったルルーシュだったけれど…
スザクが買い物に行った時に連れて来られてしまったから…
―――どうやって連絡を取ろうか…。この状態ではどう考えても、連絡が取れるような状態じゃない…
状況把握だけはしっかりしている。
下手な事をして、更に拘束された状態になるのはまずい。
それに、今は、彼らの心配ではないが、とても、自力でマンションに戻ると云う事もかなり難しい状態だと云える。
ずっと、呆けた状態が続いていて、色々あって、そして、記憶を取り戻して…と云う事になっていたのだ。
これで、普段と同じように動けるくらいの精神力があるなら、そもそも、あんな風に身体から力の抜けた状態になどなりはしない。
この病院の中でも一番豪華な作りの特別室だ。
そして、そんな特別室だからセキュリティ自体もしっかりしている。
この部屋に訪れる人間にもこの部屋に入院しているルルーシュにも。
連絡の取り様がない。
「あのスザクの事だ…きっと、心配している…」
家にいたかった。
それでも、あのマンションの持ち主はシュナイゼルだ。
結局、あの頃と変わらない。
用意された箱庭の中で、自己主張の真似ごとばかりしている状態だ。
あの頃はまだ、守るべき存在があったから…もっと、前を見ていた気がする。
今の自分に守りたいものはない。
それどころか、自分の存在意義さえ解らない状態だ。
それこそ、あの時、皇帝から『お前は生きた事などない!』と云われた時と同じような気分だ。
実際に、今の自分は生きてなどいない。
ただ、惰性でその日を過ごしている…そんな感覚だ。
欲しいものだって、諦められるような…その程度のもの。
これまでだって、少し欲しいと思ったものであっても、あの両親に気に入られなければ、すぐに諦めて来た。
唯一、諦める時に悩んで、何か強引に自分の意思を押しとおそうとしたものは…マオがいるけれど。
でも、そのマオにしたって、両親に向かって本気で食ってかかった事なんてない。
実際、あのマンションにマオは入らないように…と云う事を管理人に伝えていたようだけれど、それをこそこそとルルーシュが入れさせていた…それだけの事だ。
恐らく、両親は気付いていたのかもしれないけれど、その時には彼らにとって、取るに足りないものであったから、放置していてくれただけの事だ。
―――結局、俺はこんなに無気力だったんだな…。大きなプレッシャーがかかれば、諦められる程度の…
そこまで思った時、何かはっとした。
―――諦める?アイツを…諦める?
ルルーシュの中にそんな言葉が浮かび上がってきた。
その『アイツ』と呼ぶその存在は…
あの時の事を考えれば、何度殺されたって文句は言えないと思える。
でも、あんな風に云って貰えて、嬉しいと思った。
その言葉に縋ってしまいたかった。
―――何故、俺はあの時、買い物に行かせてしまったんだ…。何故…こんな事に…
そう思った途端に、ルルーシュは膝の上に置かれていた拳をぎゅっと握りしめた。

―――コンコン…
そんな風にしているルルーシュの気持ちなどお構いなしに、部屋をノックされた。
「あ、はい…」
ルルーシュが返事すると、そこには…
「ルルーシュ!大丈夫?」
そう云って飛び込んで来たのは、自分が知っているその存在よりも遥かに年上だけれど、確実にその本人と解る存在だった。
「ミ…ミレイ会長…?」
ルルーシュが驚いた様にその名前を呼んだ。
ルルーシュは恐る恐る時計を見るが…とりあえず、仕事時間中でない事を知って、ほっとした。
何故、ここでルルーシュがほっとしなければならないのか…と思うのだけれど。
しかし、スザクをあんな終電ギリギリみたいな時間に帰す位残業させているくせに、この人に限って云えば、そう云った苦労を分かち合っていると云う様子は全くない。
相変わらず、強引に自分のペースに引きずり込むのは得意らしい。
「ったく…ロイド伯爵から連絡貰ってびっくりしたわよ!って、なんで、こんなあっという間に捕まっちゃってるわけ?」
聞き方によっては非常に失礼な言い方だと思われるが…
しかし、それもまた、この人の特性なのであえて無視する。
「別に…捕まっているわけでは…」
「大して変わらないでしょ?連絡取る方法だって全て遮断されて、体のいい監禁じゃないの…。確かに、今のルルーシュはちゃんと休養を摂った方がいいとは思うけどさ…」
相変わらず云いたい放題だ。
休養を摂った方がいいと云う割には中々にぎやかな登場だ。
「別に…。ただ、あの人が、スザクに妙な事をしていないと、いいんですけれど…」
俯き加減にルルーシュが云った。
ミレイが将来、社長になるであろう、スザクが勤めている『A物産』だって、ルルーシュの母であるギネヴィアの傘下の企業だ。
「安心なさいな…。私が出来る限りの事をする。それは約束する!ルルーシュがいちいち気にする事じゃないわ。そもそも、そんな個人感情でそんな権力を振り回せる時代は終わっているのよ?本当にそんな事ばかりしていたら、企業も社会もなりたちはしないわ…」
ミレイが明るく云ってくれるけれど。
それでも、不安が拭い切れない。
「でも…俺達の所為で…会長がそんな事を…」
もう、これ以上罪を背負いたくない…
そんなところなのだろうか?
ルルーシュのその言葉は随分後ろ向きで、あの頃、『ゼロ』として存在ていた頃の様に前だけを見ている感じがしない。
それほどまでに、ルルーシュの中での罪の意識が大きい…と云う事でもあるのだけれど。
「ねぇ…ルルーシュ、ロイド伯爵に云われなかった?」
ミレイが疑問形の言葉を投げかけて来た。
ルルーシュは今のところ、何を云いたいのか、解っていない。
そんなルルーシュを見てミレイがクスッと笑った。
「もう、そんな風に罪に縛られなくていいのよ、ルルーシュ。スザクも多分行ったんじゃないのかなぁ…。あの時の罪はあの時代に生きたすべての人々にあるって…。それはね、あの、ルルーシュが勝手な事をした後を生きた人間だから、云える言葉なのよ?ま、ちゃんと理解出来るようになるまでには、少し時間がかかるかなぁ…オコサマには…」
くすくすと笑いながらそう云ったミレイに、ルルーシュは少しムッとした顔をする。
ただ、その言葉の奥に隠されているものに、ルルーシュが気付くまでは…そんな風に思いながら、ミレイはルルーシュを見ているのだった。

To Be Continued


あとがきに代えて



こちらも御無沙汰になってしまった『It’s Destiny』ですが…
と云うか、『ギアスターボ』から随分連載をお休みしていたのですね…
申し訳ありません…m(__)m
まぁ、今回、少し、話しの内容としては、色々弄っているのですけれど、多分、前回が結構前過ぎて読みなおし…という方もいらっしゃるのでしょうか?
和泉も、原稿引っ張り出して書いていました。
とりあえず、イベント準備もほぼ終わりなので、のんびりやります。
まぁ、『All Hail Lelouch!!2』の持ち込み予定の記事にも書いているんですが、イベント参加が今後、どうなるか解らないので、現在オフラインで続いている話しに関しては、ゆっくり、じっくり書こうと思っています。
皆さんに忘れ去られない程度の時期に出そうとは思っています。
リク企画が終わるころには、『皇子とレジスタンス』『幼馴染シリーズ』が結構現在執筆中のターンが終わりそうなので…
連載物もどうなるかな…と云った感じです。
『皇子とレジスタンス』に関しては、まだネタはあるけれど、続きを書くことはあっても、掲載するかどうか、皆さんの御意見をお訊きしたいと思っております。
時々、思い出す様にお尋ねする記事があるかと思いますが…
よろしければ答えてやって下さい。
『幼馴染シリーズ』もなんだかんだ云って、どれだけのんびりやっても8月までは続かないと思うので、その後は、まぁ、書きたいものはあるんですけれどね。
書く意欲だけはどう云う訳かあるので、まぁ、ぼちぼち書いて行こうと思います。



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posted by 和泉綾 at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

2010年05月17日

It's Destiny 24

本当の心…素直な気持ち…



 目の前にいる…その人物…
今もなお、シュナイゼルに仕えている…
と云うか、この、生まれ変わりの中でそう巡り合わせただけなのだろうか…
「隠していても仕方ないわね…。あなた…記憶が戻ったでしょう?」
「!」
カノンの言葉に…スザクが驚きを隠せずにいる。
そんなスザクを見て、カノンがくすくすと笑っている。
「ホントに解り易いわ…あなた…。別に、今はもう時代が違うんだし、貴女の事をどうこうするつもりはない…と思っていたんだけど…。やっぱり、私にとっては殿下が一番なの…」
カノンは楽しそうでもあり、なんだか複雑な思いを抱いている…そんな感じに話しをしている。
これは…一体何を意味しているのか…
「何を…云いたいんです?」
スザクは身構えて、尋ねる。
そんなスザクをからかっているのか、様子を見ているのか、良く解らない笑みをカノンが浮かべた。
「シュナイゼル様はね…あの時に…どんなに望んでも手に入れられなかったものを…やっと手に入れるの…。あの方は…あの時には、『欲』を持つ事を自ら封印したの…。それが…人にとっては本当に不自然なこと…。そして…無理のあること…。そんな当たり前のことが…あの時のシュナイゼル様は自ら封印されていた…」
まるで…過去の切ない話しをしているような…そんな雰囲気に見えるのは…
多分、気のせいではないと思う。
あの頃…
確かに取っ付き難いとは思っていたし、任務でなければ、基本的に関わることのなかった存在だとも思っていた。
でも…今は…
「だから…何を云いたいのか…簡潔に云って頂けると助かるのですが…」
スザクが少し苛立ったようにカノンに云い放つ…。
正直、ここで、記憶が戻っていることはばれていることは確かなのだけれど…
それでも、自分からそれを認めるわけにもいかない…
今はそう思う。
「御免なさいね…。それに、あなたがそんな風に認めなくても…私には解るのよ…。貴方達に記憶が戻ったことが…。どうしてなのかは…私にも解らないんだけど…」
なんだか、堂々巡り…そんな言葉が頭に浮かびあがっている。
「単刀直入に云うと…ルルーシュ様に近付かないで下さらない?」
カノンの言葉に…
スザクの中で『やはり…それか…』と云う言葉が自然に浮かんできた。
確かに…ルルーシュのあの様子を見ていれば…記憶があってもなくても…そうなる様な気がした。
あのときのルルーシュだって…自分の両親に対しての憤りが滲み出ていたような気がしていた。
「それは…そう云う意味なのでしょうか?」
スザクが静かに尋ね返す。
カノンもその反応を予想していたのだろう。
『やっぱりですか…』と云う表情を見せている。
「言葉の通りです。二度と、ルルーシュ様に近付かないで下さい。やっと…シュナイゼル様が…最も欲したものを…愛した存在を手に入れることが出来るんです…」
カノンの言葉に…ウソがないのは解る。
解るけれど…
でも…
―――そんなこと…彼の意思であって、そこにルルーシュの意思はどこにある!?

 カノンの言葉…
それは、確かにウソはないけれど…
でも、そこには、明らかにルルーシュの意思はどこにもない。
もし、ルルーシュがそう望んでいるのなら…こんな強引な手を使わなくても…
「そこに…ルルーシュの意思は…?ルルーシュの気持ちはどこにあるんですか!ルルーシュだって、あの時…欲しいもの全てを…」
スザクがカノンの言葉に反発する。
「それは…ご自分の事を云っていらっしゃるのかしら?枢木卿…」
カノンのその一言に…スザクが凍りつく。
その呼び名は…いろいろな意味で呼ばれたくない呼び名…
そんなスザクを見てカノンがにやりと笑う。
「どんな時代でも…やはり、力のある者が勝つの…。そして、力のない者は力のある者に従うしかないのよ…」
カノンのその言葉に、目の前が真っ赤になる様な気がした。
それは…
ルルーシュが一番否定したかったあの時代の現実…
だから…ルルーシュはそれを破壊しようとした。
力ある者が力ない者を否定して、踏みつけにする事を…ルルーシュは否定した。
『ゼロ』が河口湖で何を云ったかと云えば…
『私たちは、武器を持たぬ者すべての味方だ!』
その言葉は…
今だから考えられる…
『ゼロ』をやっていたから解る…
あの言葉は…あの時の『ゼロ』が言葉に込めた様々なもの…
「貴方は…それを認めるのか…。あの時…シュナイゼルだって…それを否定しようとして…自らが大きな力を持とうとしたのではないか…。『フレイヤ』と云う…大きな力で…全ての争いをなくそうと…。そして、その力の下に…世界を…」
スザクの言葉は…震えている。
「あの時…あれほどつらい思いをされていた事を知るからこそ…そして、あの時あれほど愛していた異母弟君に再会されて…記憶はないものの…いえ、記憶がないからこそ、素直に、正直にあの方は自分の欲するものを欲しいと願って下さる…」
「だからと云って…ルルーシュの気持ちがついて行かないのでは…彼だって…」
「そうね…。ルルーシュ様は記憶を取り戻されてしまったから…。だから…急がなくちゃいけないの…。貴方の存在が…これ以上大きくなる前に…」
カノンの言葉に、スザクがぐっと奥歯をかみしめる。
確かに、あの頃、シュナイゼルも決して自分の気持ちに正直に生きていたとは云えないだろう。
そして、あの時…ルルーシュは、自分の目的の為に…シュナイゼルを利用した…
「それにね…シュナイゼル様は…あの時、ルルーシュ様をご自身の手にかけるか…ご自身がルルーシュ様の手によって…の、どちらかをお望みになっていたのよ?それが…結局、叶わなかったのだけれど…」
「だから…ルルーシュを縛り付けると云うのですか!ルルーシュだって…あの時の『業』を背負う為にこうして生まれて来たわけじゃない!それに、記憶を取り戻したのだって…」
「ルルーシュ様のお幸せは…誰が推し量ると云うの?まさか…あなたにしかあの方を幸せに出来ないなんて云う気ではないのでしょう?祖国を裏切り、親友を裏切り、主を守れず、結局、彼の望んだ世界も…貴方の中では出来た…とは思っていないのでしょう?」

 流石に…シュナイゼルの右腕と云うだけあって…口が回る。
そして、痛いところを的確について来る。
それでも…
「過去の罪に関しては…僕は認めるしかない…。だからと云って、僕は過去の罪に縛られてなどいない!でも…ルルーシュは誰もその解放の仕方を教えなかったし、あの時にはそれだけの時間を生きていない…。だから…今も…」
「なら、シュナイゼル様が最も望んでいた存在は彼であると教えて差し上げればいいだけの話し…。あの頃、えせ平和主義を説いて、一番ルルーシュ様を苦しめていた存在が…何を云っているのかしら…?」
本当に嫌な相手だと思う…
そして、何故、目の前の人物が記憶を取り戻し、シュナイゼルにルルーシュを渡そうとしているのか…
「それについては、自分も否定はしないし、出来ない…。では、あなたに訊きたい…。そこまでシュナイゼルを慕っていながら…何故、ルルーシュを近づけようとする?あなたがルルーシュのポジションになれば…」
「あなたは何を云っているの?あの方が私などをそんな風に見るわけがないでしょう?私はあの方にとっては使える『コマ』でしかないのよ?なら、最後の最後まで優秀な『コマ』で居続けるわ…」
「でも…それは…ルルーシュの意思を無視しているのと同じように…あなたの意思も無視しているのでは?」
理屈で話しをされてしまっては、恐らくスザクに勝ち目はない。
でも…
こうした感情論は…こう云うタイプには結構効いてくる…
今すぐには…現れなくても…
「私の意思なんてどうでもいい事でしょう?私はシュナイゼル様の為に存在している。シュナイゼル様が必要だと云うなら、誰の意思を捻じ曲げたって、構わないわ…」
「あなたにだって…心はあるのでしょう?あの時…ルルーシュが何も思わず、あんな真似をしたと思っているのか?シュナイゼルだって…」
スザクが必死に訴えるも…
相手には通じていない。
いつから、その記憶を持っていたかは知らないけれど…
完全にその、過去の感情に支配されてしまっている様に見える。
そう思うと…カノンにこの運命を与えた者に対して、『人選を間違えている…』と思ってしまう。
「私は…シュナイゼル様の…心の底からの笑顔を見たいのよ…。あの時…死ぬまで見ることが出来なかった。あの時、彼にかけられた『ギアス』の所為で、更に感情を失われてしまったわ…。それが、どれ程罪深い事か…あなたたちには解っていないでしょう!」
「だから…ルルーシュは苦しんでいるんだ…。解っているから…。それに、ルルーシュ自身に、シュナイゼルのその気持ちは…全く伝わっていない…」
スザクが…その一言を、静かに口に出した。
それが…どう云う事なのであるのか・・
それが…何を意味しているのか…
そして…彼が、その事に気づいていたのかどうか…
様々な疑問が頭の中を過って行く…
―――結局…運命は残酷だ…一体何の為に僕たちにこの記憶を蘇らせたんだ…。あの時…何かを間違えたのは解っている…。でも…ここでそんなもののやり直しなんてできるわけがない…それが解っていて…一体誰が…

 目の前の白衣の人物に…
驚きを隠せないルルーシュだったけれど…
「陛下…いろいろ解らないと云った顔ですねぇ…。僕自身、解る事って、あんまりないんですけれどねぇ〜。僕的にはそれについて、陛下がどう考えようと…あんまり興味もないし、どうでもいいんですけれどぉ…」
相変わらずなロイドに…ルルーシュは唖然とする。
本当に云いたい放題だ。
「ただね…。僕だって、あの時の事は…色々思うんですよ?いくら変人でもね…おかしいと思う音はいっぱいあるわけでぇ〜」
そこまで云った時…
「僕だって…あの時の状況…理解していなかったわけじゃないんですよ…。あなたたちの云っていること…正直、いろいろツッコミたいことはいっぱいありましたしねぇ〜。それでも、僕が引き受けなくても…ちゃんと保険をかけている事を解ったから…だから、僕はあなたに着いて行ったんですよ…。僕、スザク君の事、気に入っていましたけれど…あなたの事も、結構好きだったんですよぉ?あのジェレミア卿があれほど、入れこんだ相手なんですからねぇ…」
こんなに多弁な彼を見るのは…多分初めてだ。
正直、こんなに喋る奴だとは思っていなかった。
「何が…云いたいんだ?」
「ちょっとだけ、僕も怒っているってことですよ…。そんな風に、過去に縛られていてどうするんです?」
ロイドの言葉…
それは…
「別に…俺は…」
「充分縛られているでしょう?あんな顔をしてシュナイゼル様に抱きあげられて、運ばれて来るなんて…」
『ふぅ…』と云うため息が聞こえてくる。
ルルーシュ自身、あの頃の自分なら絶対にこんな風にバカにされていたら怒鳴りつけていた筈なのだけれど…
「確かに、今のあなたの場合、両方の記憶がありますし、いろいろ悩んでいらっしゃる状態なんでしょうけれど…。でも、記憶を取り戻して、一番に誰と話したいと思ったんです?その時に目の前に誰がいたのかは知りませんけれど…。それでも、一番に話しをしたい人がいたんでしょう?」
ロイドの言葉が…
突き刺さる。
「まぁ、凄いメンツが思い出しているようですけれどね…。ミレイ君ともやっぱりこんな形でこんなところにいると会う事もありますしねぇ…。それにもう一人も…。シュナイゼル様と一緒に来ていらっしゃらないところを見ると…」
ロイドの言葉に…
ルルーシュがピクリと反応した。
そんなルルーシュを見て、ロイドがまた、ため息をついた。
「そんなだから、ダメなんですよ…。お互いに記憶が戻っているんですから…。スザク君だって、あの時、僕の方が先に死んでいるんですよ?幾つまで生きていたかは知りませんけれどねぇ…。でも、ナナリーさまやミレイ君を見送っているらしいですしねぇ…」
ルルーシュはまた…表情を変える。
何に対して反応したのか…
「だから…陛下が思っている程、スザク君は頼りないわけじゃありませんよ?信じてあげて下さいよ…。僕も出来ることはしますから…」
ロイドの言葉に、ルルーシュがまた、表情を変える。
体調が悪くても、驚かされるところころ表情は変わるものだ…
特に…
―――あいつに関わっていることだと…

 そんな話をしている内にかなり、遠回りしてくれたのだけれど…
検査室に着いてしまった。
「じゃあ、これから検査です。色々検査するから、大変そうですけれど…。あ、疲れちゃったら云って下さいね?すぐに病室にお連れしますからぁ…」
目の前の…ふざけた大人は…
どこまでも、どこに本心があるのか…解らない…
そう云いながら、検査室へと入って行く…
自分が今、いる場所は…
恐らく、シュナイゼルがいいと云うまで外に出ることはきっとできないだろう。
それが意味するものは…
ルルーシュの中出は色々迷うところがある。
今は…あの時とは違う。
それはその通りで…
でも、理屈では解っていても…感情では…
思い出したばかりで整理しきれていない…そう云ってしまえばその通りだ。
でも、それを差し引いても…
―――自分の中で悩むのは何故なんだろうか…。多分、今見ている…『シュナイゼル』が今の『シュナイゼル』の筈なのに…
『ルルーシュ君!一通りの検査するから…。あ、でも、僕たちが起こすまでは寝ちゃっていてもいいからねぇ〜』
スピーカーから聞こえて来るロイドの声…
彼を見ていると、本当に変わっていないと思えて来るのだけれど…
でも、スザクは変わった…
と云うか、それはルルーシュが知らないだけか…
スザクに対しては…
幼い頃のスザクを思い出してしまうから…ついそう云う事になってしまうのかもしれない。
ミレイは…なんだか相変わらずだった。
ただ…
―――涙もろくなっていた様な気がする…
この世界は何のだろうか…
何故、自分はこうして記憶を取り戻すことになったのか…
そして、これほどまでに周囲の人間が…ルルーシュに対して、様々な思いをぶつけていると云うのに…
あの頃、世界がルルーシュに向けた様な『負』の思いがないのだろうか…
会ったなら…
恨みがあって当然の相手に対して、罵りの言葉の一つも投げつけたいだろうに…
そんな風に思う。
検査室の中の…暖房は効いていても、冷たい空気…
そして、無機質な機械の数々を眺めながら…
否、目には映っていても、脳で、それらが認知されているかどうかは解らない。
そんなルルーシュを見ていて…隣の部屋から眺めていて…ため息をついてしまっている人物がいる。
「まったく…難しく考えすぎなんだよね…。今のこの環境をそのまま…受け入れればいいのに…」
ロイドはそんな独り言をつぶやきつつ、検査技師たちの動きを注視している。
あんな表情をしていては…
大体、ミレイが彼らに会っていたとしたら…きっと云いそうなことが何となく解る気がした。
―――もう…会っているのかな…。僕は…やっぱり、彼女ほどうまくは出来ないんだけど…
「じゃあ、様子見ながら検査を続けて…。僕、ちょっと電話しに行って来るから…。あと、ちょっと、彼、衰弱している感じがあるから…気を付けて見ていてね?必要なら、強引にでも点滴で縛り付けちゃってね…」
何とも…不敵な事を云う医師だ…
そんな事を思いつつも、それは彼だから許されること…と考えて…
部屋の中の検査技師たちは、検査の機械の操作をしたり、ルルーシュに指示を出したりしている。
「多分、10分くらいで戻るからねぇ…」
そう云って、ロイドは扉の向こうに消えて行った…

To Be Continued

あとがきに代えて



今回も場面が急に切り替わり、でもって、話しがとんでもない方向へ…
『幼馴染シリーズ』のゼロの暴走が止まったかと思ったら…
今度は、こっちで全員で一斉に暴走始めた…( ┰_┰) シクシク
どうして…
小説書きの皆さん…
暴走しまくるキャラ達をどうやって抑えているんでしょうか…``r(・_・;) ポリポリ
まぁ、和泉自身、ここんとこずっと、文章に関してはいろいろと不調を訴えているわけで…(←いつもだろうが)

フリーペーパー…なんとか完成しました。
いつもの通りA4サイズで短編小説を書かせて頂きました。
今回は『最期のやさしさ(改)』の番外編です。
今回は新刊に関係のない話になってしまいました…
今回の新刊…偉い話になってしまって…ヾ(▽^;)ゞうへへ
おまけ本は…今回は無理っぽいです。
今回は実は泊りがけで行くので…
あまり荷物を増やしたくないと云うのが本音の部分にありまして…コピー本だったら、当日、手持ちで持って行けばいいじゃん…とは思ったんですけれどね…
ただ、今回、千葉の方で知人が入院してしまったとかで…
だから、土曜日のお昼過ぎに新宿に着くのですが、そのまままず、千葉に行って、そこから、浅草橋まで戻ってきます。
明日、クロニャンコに荷物をお願いして、その後、当日持ち込み予定を掲載したいと思います。
まだ、現物を見ていないので、新刊…どうなっているか解りません。
とりあえず、自家通販ご利用の方は6月1日までにお申し込み、ご入金頂いた方には今回のフリーペーパーをお付けいたします。
書店さんに関しては…今のところどうなるか解らないので、決まったらお知らせ致します。
快適本屋さんでお願いできたら、フリーペーパーをお付けする予定です。


☆拍手のお返事


水流さま:こんばんは、コメント有難う御座居ます。
ご無沙汰致しております。
お忙しい中、コメント有難う御座居ます。

『兄弟以上、恋人未満』
予想をはずしてしまってすみません…<(_ _)>
まぁ、誰でも思いつくようなお話でもつまらないかと思いまして…
とりあえず、メジャーな線で行くと、絶対に他の書き手さんにはかなわないので、珍しい事をして気を引いてみようと思いました(笑)

『It's Destiny』
ここんところ、ずっと暗い状態が続いていますからね…
ロイドさんがいらっしゃってくれると、ホント、洞窟の中の小さな光的存在でいてくれるので…
で、今回はちょっと説教こきになりそうな気配が…
最近…こっちで暴走しまくり状態になりつつありまして…
泣きそうな状態になっています。

『Engage』
吸血鬼物は見かけますけれどね…
ぇろを入れるには便利設定ですからね…ドラキュラは…
あと、サキュバス、インキュバスも見かけますね…
今回のリクはそう云った要素が全くと言っていいほどなかったのですが、ルルーシュ総受け状態だったので、楽しく書いておりました。
まぁ、何でもありなら、自分で好きなようにしてしまえばいいんですよね…。
今回のシュナ兄に関しては…最後のフォローを入れないと…流石にシュナ兄に申し訳なかったです…(; ̄ー ̄A アセアセ・・・

脱稿…今回は初めて会場直接搬入となりました。
ちょっと、つけたオプションの関係で時間がかかってしまうと云うのに…
あと、3日早く仕上げるべきでしたけれど…
それどころじゃなくて…(; ̄ー ̄A アセアセ・・・
言い訳にならないんですけれどね…
やるからにはきちんとやらないといけませんよね…やっぱり…

コミケは…まぁ、抽選漏れ前提で申し込んでいるので…
だから、今回はすぐ後のインテを申し込んだんです。
あと、スザルルのプチオンリーもありますしね…
まぁ、コミケで日帰りは無茶でしょう…。
ぶっちゃけ、サークル参加でなければ和泉は参加できないと思います…今の和泉では…

お忙しい中、有難う御座居ました。
こちらもシャレにならない状態なのですが…
AHLも何とか新刊出したいと思い、奮闘中です…
多分、1〜3月の怒涛のイベント参加で精も根も尽きてしまったのかもしれません…
ホントにモチベーションの上がらないイベント前でしたね…(笑)
でも、やっぱり、和泉はスザルルが好きなので…気合入れて楽しんできます。


拍手のみの皆さんもありがとうございます。
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こちらは、拍手ページと違って、10ページも読まなくちゃいけないなどと云う、無体な事はありませんので(爆)

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posted by 和泉綾 at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

It's Destiny 24

本当の心…素直な気持ち…



 目の前にいる…その人物…
今もなお、シュナイゼルに仕えている…
と云うか、この、生まれ変わりの中でそう巡り合わせただけなのだろうか…
「隠していても仕方ないわね…。あなた…記憶が戻ったでしょう?」
「!」
カノンの言葉に…スザクが驚きを隠せずにいる。
そんなスザクを見て、カノンがくすくすと笑っている。
「ホントに解り易いわ…あなた…。別に、今はもう時代が違うんだし、貴女の事をどうこうするつもりはない…と思っていたんだけど…。やっぱり、私にとっては殿下が一番なの…」
カノンは楽しそうでもあり、なんだか複雑な思いを抱いている…そんな感じに話しをしている。
これは…一体何を意味しているのか…
「何を…云いたいんです?」
スザクは身構えて、尋ねる。
そんなスザクをからかっているのか、様子を見ているのか、良く解らない笑みをカノンが浮かべた。
「シュナイゼル様はね…あの時に…どんなに望んでも手に入れられなかったものを…やっと手に入れるの…。あの方は…あの時には、『欲』を持つ事を自ら封印したの…。それが…人にとっては本当に不自然なこと…。そして…無理のあること…。そんな当たり前のことが…あの時のシュナイゼル様は自ら封印されていた…」
まるで…過去の切ない話しをしているような…そんな雰囲気に見えるのは…
多分、気のせいではないと思う。
あの頃…
確かに取っ付き難いとは思っていたし、任務でなければ、基本的に関わることのなかった存在だとも思っていた。
でも…今は…
「だから…何を云いたいのか…簡潔に云って頂けると助かるのですが…」
スザクが少し苛立ったようにカノンに云い放つ…。
正直、ここで、記憶が戻っていることはばれていることは確かなのだけれど…
それでも、自分からそれを認めるわけにもいかない…
今はそう思う。
「御免なさいね…。それに、あなたがそんな風に認めなくても…私には解るのよ…。貴方達に記憶が戻ったことが…。どうしてなのかは…私にも解らないんだけど…」
なんだか、堂々巡り…そんな言葉が頭に浮かびあがっている。
「単刀直入に云うと…ルルーシュ様に近付かないで下さらない?」
カノンの言葉に…
スザクの中で『やはり…それか…』と云う言葉が自然に浮かんできた。
確かに…ルルーシュのあの様子を見ていれば…記憶があってもなくても…そうなる様な気がした。
あのときのルルーシュだって…自分の両親に対しての憤りが滲み出ていたような気がしていた。
「それは…そう云う意味なのでしょうか?」
スザクが静かに尋ね返す。
カノンもその反応を予想していたのだろう。
『やっぱりですか…』と云う表情を見せている。
「言葉の通りです。二度と、ルルーシュ様に近付かないで下さい。やっと…シュナイゼル様が…最も欲したものを…愛した存在を手に入れることが出来るんです…」
カノンの言葉に…ウソがないのは解る。
解るけれど…
でも…
―――そんなこと…彼の意思であって、そこにルルーシュの意思はどこにある!?

 カノンの言葉…
それは、確かにウソはないけれど…
でも、そこには、明らかにルルーシュの意思はどこにもない。
もし、ルルーシュがそう望んでいるのなら…こんな強引な手を使わなくても…
「そこに…ルルーシュの意思は…?ルルーシュの気持ちはどこにあるんですか!ルルーシュだって、あの時…欲しいもの全てを…」
スザクがカノンの言葉に反発する。
「それは…ご自分の事を云っていらっしゃるのかしら?枢木卿…」
カノンのその一言に…スザクが凍りつく。
その呼び名は…いろいろな意味で呼ばれたくない呼び名…
そんなスザクを見てカノンがにやりと笑う。
「どんな時代でも…やはり、力のある者が勝つの…。そして、力のない者は力のある者に従うしかないのよ…」
カノンのその言葉に、目の前が真っ赤になる様な気がした。
それは…
ルルーシュが一番否定したかったあの時代の現実…
だから…ルルーシュはそれを破壊しようとした。
力ある者が力ない者を否定して、踏みつけにする事を…ルルーシュは否定した。
『ゼロ』が河口湖で何を云ったかと云えば…
『私たちは、武器を持たぬ者すべての味方だ!』
その言葉は…
今だから考えられる…
『ゼロ』をやっていたから解る…
あの言葉は…あの時の『ゼロ』が言葉に込めた様々なもの…
「貴方は…それを認めるのか…。あの時…シュナイゼルだって…それを否定しようとして…自らが大きな力を持とうとしたのではないか…。『フレイヤ』と云う…大きな力で…全ての争いをなくそうと…。そして、その力の下に…世界を…」
スザクの言葉は…震えている。
「あの時…あれほどつらい思いをされていた事を知るからこそ…そして、あの時あれほど愛していた異母弟君に再会されて…記憶はないものの…いえ、記憶がないからこそ、素直に、正直にあの方は自分の欲するものを欲しいと願って下さる…」
「だからと云って…ルルーシュの気持ちがついて行かないのでは…彼だって…」
「そうね…。ルルーシュ様は記憶を取り戻されてしまったから…。だから…急がなくちゃいけないの…。貴方の存在が…これ以上大きくなる前に…」
カノンの言葉に、スザクがぐっと奥歯をかみしめる。
確かに、あの頃、シュナイゼルも決して自分の気持ちに正直に生きていたとは云えないだろう。
そして、あの時…ルルーシュは、自分の目的の為に…シュナイゼルを利用した…
「それにね…シュナイゼル様は…あの時、ルルーシュ様をご自身の手にかけるか…ご自身がルルーシュ様の手によって…の、どちらかをお望みになっていたのよ?それが…結局、叶わなかったのだけれど…」
「だから…ルルーシュを縛り付けると云うのですか!ルルーシュだって…あの時の『業』を背負う為にこうして生まれて来たわけじゃない!それに、記憶を取り戻したのだって…」
「ルルーシュ様のお幸せは…誰が推し量ると云うの?まさか…あなたにしかあの方を幸せに出来ないなんて云う気ではないのでしょう?祖国を裏切り、親友を裏切り、主を守れず、結局、彼の望んだ世界も…貴方の中では出来た…とは思っていないのでしょう?」

 流石に…シュナイゼルの右腕と云うだけあって…口が回る。
そして、痛いところを的確について来る。
それでも…
「過去の罪に関しては…僕は認めるしかない…。だからと云って、僕は過去の罪に縛られてなどいない!でも…ルルーシュは誰もその解放の仕方を教えなかったし、あの時にはそれだけの時間を生きていない…。だから…今も…」
「なら、シュナイゼル様が最も望んでいた存在は彼であると教えて差し上げればいいだけの話し…。あの頃、えせ平和主義を説いて、一番ルルーシュ様を苦しめていた存在が…何を云っているのかしら…?」
本当に嫌な相手だと思う…
そして、何故、目の前の人物が記憶を取り戻し、シュナイゼルにルルーシュを渡そうとしているのか…
「それについては、自分も否定はしないし、出来ない…。では、あなたに訊きたい…。そこまでシュナイゼルを慕っていながら…何故、ルルーシュを近づけようとする?あなたがルルーシュのポジションになれば…」
「あなたは何を云っているの?あの方が私などをそんな風に見るわけがないでしょう?私はあの方にとっては使える『コマ』でしかないのよ?なら、最後の最後まで優秀な『コマ』で居続けるわ…」
「でも…それは…ルルーシュの意思を無視しているのと同じように…あなたの意思も無視しているのでは?」
理屈で話しをされてしまっては、恐らくスザクに勝ち目はない。
でも…
こうした感情論は…こう云うタイプには結構効いてくる…
今すぐには…現れなくても…
「私の意思なんてどうでもいい事でしょう?私はシュナイゼル様の為に存在している。シュナイゼル様が必要だと云うなら、誰の意思を捻じ曲げたって、構わないわ…」
「あなたにだって…心はあるのでしょう?あの時…ルルーシュが何も思わず、あんな真似をしたと思っているのか?シュナイゼルだって…」
スザクが必死に訴えるも…
相手には通じていない。
いつから、その記憶を持っていたかは知らないけれど…
完全にその、過去の感情に支配されてしまっている様に見える。
そう思うと…カノンにこの運命を与えた者に対して、『人選を間違えている…』と思ってしまう。
「私は…シュナイゼル様の…心の底からの笑顔を見たいのよ…。あの時…死ぬまで見ることが出来なかった。あの時、彼にかけられた『ギアス』の所為で、更に感情を失われてしまったわ…。それが、どれ程罪深い事か…あなたたちには解っていないでしょう!」
「だから…ルルーシュは苦しんでいるんだ…。解っているから…。それに、ルルーシュ自身に、シュナイゼルのその気持ちは…全く伝わっていない…」
スザクが…その一言を、静かに口に出した。
それが…どう云う事なのであるのか・・
それが…何を意味しているのか…
そして…彼が、その事に気づいていたのかどうか…
様々な疑問が頭の中を過って行く…
―――結局…運命は残酷だ…一体何の為に僕たちにこの記憶を蘇らせたんだ…。あの時…何かを間違えたのは解っている…。でも…ここでそんなもののやり直しなんてできるわけがない…それが解っていて…一体誰が…

 目の前の白衣の人物に…
驚きを隠せないルルーシュだったけれど…
「陛下…いろいろ解らないと云った顔ですねぇ…。僕自身、解る事って、あんまりないんですけれどねぇ〜。僕的にはそれについて、陛下がどう考えようと…あんまり興味もないし、どうでもいいんですけれどぉ…」
相変わらずなロイドに…ルルーシュは唖然とする。
本当に云いたい放題だ。
「ただね…。僕だって、あの時の事は…色々思うんですよ?いくら変人でもね…おかしいと思う音はいっぱいあるわけでぇ〜」
そこまで云った時…
「僕だって…あの時の状況…理解していなかったわけじゃないんですよ…。あなたたちの云っていること…正直、いろいろツッコミたいことはいっぱいありましたしねぇ〜。それでも、僕が引き受けなくても…ちゃんと保険をかけている事を解ったから…だから、僕はあなたに着いて行ったんですよ…。僕、スザク君の事、気に入っていましたけれど…あなたの事も、結構好きだったんですよぉ?あのジェレミア卿があれほど、入れこんだ相手なんですからねぇ…」
こんなに多弁な彼を見るのは…多分初めてだ。
正直、こんなに喋る奴だとは思っていなかった。
「何が…云いたいんだ?」
「ちょっとだけ、僕も怒っているってことですよ…。そんな風に、過去に縛られていてどうするんです?」
ロイドの言葉…
それは…
「別に…俺は…」
「充分縛られているでしょう?あんな顔をしてシュナイゼル様に抱きあげられて、運ばれて来るなんて…」
『ふぅ…』と云うため息が聞こえてくる。
ルルーシュ自身、あの頃の自分なら絶対にこんな風にバカにされていたら怒鳴りつけていた筈なのだけれど…
「確かに、今のあなたの場合、両方の記憶がありますし、いろいろ悩んでいらっしゃる状態なんでしょうけれど…。でも、記憶を取り戻して、一番に誰と話したいと思ったんです?その時に目の前に誰がいたのかは知りませんけれど…。それでも、一番に話しをしたい人がいたんでしょう?」
ロイドの言葉が…
突き刺さる。
「まぁ、凄いメンツが思い出しているようですけれどね…。ミレイ君ともやっぱりこんな形でこんなところにいると会う事もありますしねぇ…。それにもう一人も…。シュナイゼル様と一緒に来ていらっしゃらないところを見ると…」
ロイドの言葉に…
ルルーシュがピクリと反応した。
そんなルルーシュを見て、ロイドがまた、ため息をついた。
「そんなだから、ダメなんですよ…。お互いに記憶が戻っているんですから…。スザク君だって、あの時、僕の方が先に死んでいるんですよ?幾つまで生きていたかは知りませんけれどねぇ…。でも、ナナリーさまやミレイ君を見送っているらしいですしねぇ…」
ルルーシュはまた…表情を変える。
何に対して反応したのか…
「だから…陛下が思っている程、スザク君は頼りないわけじゃありませんよ?信じてあげて下さいよ…。僕も出来ることはしますから…」
ロイドの言葉に、ルルーシュがまた、表情を変える。
体調が悪くても、驚かされるところころ表情は変わるものだ…
特に…
―――あいつに関わっていることだと…

 そんな話をしている内にかなり、遠回りしてくれたのだけれど…
検査室に着いてしまった。
「じゃあ、これから検査です。色々検査するから、大変そうですけれど…。あ、疲れちゃったら云って下さいね?すぐに病室にお連れしますからぁ…」
目の前の…ふざけた大人は…
どこまでも、どこに本心があるのか…解らない…
そう云いながら、検査室へと入って行く…
自分が今、いる場所は…
恐らく、シュナイゼルがいいと云うまで外に出ることはきっとできないだろう。
それが意味するものは…
ルルーシュの中出は色々迷うところがある。
今は…あの時とは違う。
それはその通りで…
でも、理屈では解っていても…感情では…
思い出したばかりで整理しきれていない…そう云ってしまえばその通りだ。
でも、それを差し引いても…
―――自分の中で悩むのは何故なんだろうか…。多分、今見ている…『シュナイゼル』が今の『シュナイゼル』の筈なのに…
『ルルーシュ君!一通りの検査するから…。あ、でも、僕たちが起こすまでは寝ちゃっていてもいいからねぇ〜』
スピーカーから聞こえて来るロイドの声…
彼を見ていると、本当に変わっていないと思えて来るのだけれど…
でも、スザクは変わった…
と云うか、それはルルーシュが知らないだけか…
スザクに対しては…
幼い頃のスザクを思い出してしまうから…ついそう云う事になってしまうのかもしれない。
ミレイは…なんだか相変わらずだった。
ただ…
―――涙もろくなっていた様な気がする…
この世界は何のだろうか…
何故、自分はこうして記憶を取り戻すことになったのか…
そして、これほどまでに周囲の人間が…ルルーシュに対して、様々な思いをぶつけていると云うのに…
あの頃、世界がルルーシュに向けた様な『負』の思いがないのだろうか…
会ったなら…
恨みがあって当然の相手に対して、罵りの言葉の一つも投げつけたいだろうに…
そんな風に思う。
検査室の中の…暖房は効いていても、冷たい空気…
そして、無機質な機械の数々を眺めながら…
否、目には映っていても、脳で、それらが認知されているかどうかは解らない。
そんなルルーシュを見ていて…隣の部屋から眺めていて…ため息をついてしまっている人物がいる。
「まったく…難しく考えすぎなんだよね…。今のこの環境をそのまま…受け入れればいいのに…」
ロイドはそんな独り言をつぶやきつつ、検査技師たちの動きを注視している。
あんな表情をしていては…
大体、ミレイが彼らに会っていたとしたら…きっと云いそうなことが何となく解る気がした。
―――もう…会っているのかな…。僕は…やっぱり、彼女ほどうまくは出来ないんだけど…
「じゃあ、様子見ながら検査を続けて…。僕、ちょっと電話しに行って来るから…。あと、ちょっと、彼、衰弱している感じがあるから…気を付けて見ていてね?必要なら、強引にでも点滴で縛り付けちゃってね…」
何とも…不敵な事を云う医師だ…
そんな事を思いつつも、それは彼だから許されること…と考えて…
部屋の中の検査技師たちは、検査の機械の操作をしたり、ルルーシュに指示を出したりしている。
「多分、10分くらいで戻るからねぇ…」
そう云って、ロイドは扉の向こうに消えて行った…

To Be Continued

あとがきに代えて



今回も場面が急に切り替わり、でもって、話しがとんでもない方向へ…
『幼馴染シリーズ』のゼロの暴走が止まったかと思ったら…
今度は、こっちで全員で一斉に暴走始めた…( ┰_┰) シクシク
どうして…
小説書きの皆さん…
暴走しまくるキャラ達をどうやって抑えているんでしょうか…``r(・_・;) ポリポリ
まぁ、和泉自身、ここんとこずっと、文章に関してはいろいろと不調を訴えているわけで…(←いつもだろうが)

フリーペーパー…なんとか完成しました。
いつもの通りA4サイズで短編小説を書かせて頂きました。
今回は『最期のやさしさ(改)』の番外編です。
今回は新刊に関係のない話になってしまいました…
今回の新刊…偉い話になってしまって…ヾ(▽^;)ゞうへへ
おまけ本は…今回は無理っぽいです。
今回は実は泊りがけで行くので…
あまり荷物を増やしたくないと云うのが本音の部分にありまして…コピー本だったら、当日、手持ちで持って行けばいいじゃん…とは思ったんですけれどね…
ただ、今回、千葉の方で知人が入院してしまったとかで…
だから、土曜日のお昼過ぎに新宿に着くのですが、そのまままず、千葉に行って、そこから、浅草橋まで戻ってきます。
明日、クロニャンコに荷物をお願いして、その後、当日持ち込み予定を掲載したいと思います。
まだ、現物を見ていないので、新刊…どうなっているか解りません。
とりあえず、自家通販ご利用の方は6月1日までにお申し込み、ご入金頂いた方には今回のフリーペーパーをお付けいたします。
書店さんに関しては…今のところどうなるか解らないので、決まったらお知らせ致します。
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☆拍手のお返事


水流さま:こんばんは、コメント有難う御座居ます。
ご無沙汰致しております。
お忙しい中、コメント有難う御座居ます。

『兄弟以上、恋人未満』
予想をはずしてしまってすみません…<(_ _)>
まぁ、誰でも思いつくようなお話でもつまらないかと思いまして…
とりあえず、メジャーな線で行くと、絶対に他の書き手さんにはかなわないので、珍しい事をして気を引いてみようと思いました(笑)

『It's Destiny』
ここんところ、ずっと暗い状態が続いていますからね…
ロイドさんがいらっしゃってくれると、ホント、洞窟の中の小さな光的存在でいてくれるので…
で、今回はちょっと説教こきになりそうな気配が…
最近…こっちで暴走しまくり状態になりつつありまして…
泣きそうな状態になっています。

『Engage』
吸血鬼物は見かけますけれどね…
ぇろを入れるには便利設定ですからね…ドラキュラは…
あと、サキュバス、インキュバスも見かけますね…
今回のリクはそう云った要素が全くと言っていいほどなかったのですが、ルルーシュ総受け状態だったので、楽しく書いておりました。
まぁ、何でもありなら、自分で好きなようにしてしまえばいいんですよね…。
今回のシュナ兄に関しては…最後のフォローを入れないと…流石にシュナ兄に申し訳なかったです…(; ̄ー ̄A アセアセ・・・

脱稿…今回は初めて会場直接搬入となりました。
ちょっと、つけたオプションの関係で時間がかかってしまうと云うのに…
あと、3日早く仕上げるべきでしたけれど…
それどころじゃなくて…(; ̄ー ̄A アセアセ・・・
言い訳にならないんですけれどね…
やるからにはきちんとやらないといけませんよね…やっぱり…

コミケは…まぁ、抽選漏れ前提で申し込んでいるので…
だから、今回はすぐ後のインテを申し込んだんです。
あと、スザルルのプチオンリーもありますしね…
まぁ、コミケで日帰りは無茶でしょう…。
ぶっちゃけ、サークル参加でなければ和泉は参加できないと思います…今の和泉では…

お忙しい中、有難う御座居ました。
こちらもシャレにならない状態なのですが…
AHLも何とか新刊出したいと思い、奮闘中です…
多分、1〜3月の怒涛のイベント参加で精も根も尽きてしまったのかもしれません…
ホントにモチベーションの上がらないイベント前でしたね…(笑)
でも、やっぱり、和泉はスザルルが好きなので…気合入れて楽しんできます。


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2010年05月10日

It's Destiny 23

囚われの身?



 元々、体力のある方ではない。
あの頃もそうだったけれど…今もそれは健在だ。
確かに、学校のテストをすれば、必ず学年トップ、全国模試だってトップクラスの成績なのだ。
でも、運動に関しては相変わらず、あまり得意な方ではない。
普段は、それでもあまり不自由を感じてはいなかったが…
今は…
中学生ともなってくれば、父親の力よりも強くなる時期となる筈なのだけれど…
今、電話を終えたシュナイゼルがルルーシュを抱え上げている。
正直…
中学生にもなって、父親に抱えあげられていると云うのは…
あまり愉快なことではない。
まして、前世の記憶を取り戻してしまった今、目の前の人物を…
ただ、父親として見るにはルルーシュの中では様々な思いがあり過ぎる。
―――ここから抜け出すくらいの体力はあるべきだな…
言葉自体は…
軽く聞こえる言葉を使っていると、客観的には思うい。
しかし、今のルルーシュ本人にとって、それどころではないのだ。
この現世での…自分の両親…
記憶が戻った今、正直、どうしてこんなことになっているのかが解らないだけに、戸惑いを隠せない。
彼らに記憶がないのは確かだろうとは思うのだけれど…
しかし、魂は…
―――彼らのものだ…
それだけは何となく断言でいる。
何故かは解らない。
ただ、恐らく、自分で意識することのできない何かが…そう訴えているのだ。
「父さん…俺は大丈夫ですから…おろして下さい!」
ルルーシュがシュナイゼルに向かってそう訴えるが…
しかし、シュナイゼルのルルーシュを抱え上げているその腕の力は一向に抜ける気配がない。
と云うか、ルルーシュが逃げ出さないように更に強まっている様にも感じる。
「父さん!」
ルルーシュはこのままずるずると流されるのが怖くて…必死に訴える。
やっと…スザクと話し合えたのに…
やっと…スザクの思いを知ったのに…
知ったから…これからは、少しでもスザクに返して行きたいと…そんな風に思った矢先なのに…
「ルルーシュ…そんな青い顔をしていて…そんな風に、いい子を演じることはない…。私は君にいい子でいて欲しいわけじゃないのだから…」
記憶の戻ったルルーシュにとって、その言葉が…どんな形で聞こえているのか…
正直解らないが…
しかし、そのシュナイゼルの瞳は…
ルルーシュの中で、『騙されるな!』と云う、過去の記憶を持ち、拘っている自分と、現世でシュナイゼルが行きすぎた独占欲を寄せる父を知る自分とが…
互いに、対峙している様な…
そんな感覚に陥った。
記憶のないシュナイゼルであれば…
あの、行きすぎた独占欲を抱く父ならば…
―――あの時の様に…陥れる様な事はない…。しかし…今の俺に…シュナイゼルが陥れるだけの価値などない…
そう思った時…
ルルーシュの中で更に困惑が大きくなった。
自分の目で見たものを信じる…
それがルルーシュの信念だったが…
でも…今ルルーシュの目で見ているものは…
―――本当なのか?ウソなのか?

 目の前にいるのは…
確かに…シュナイゼルだ。
それは解る…
でも…あの時のシュナイゼルに対する印象と…まるで違う。
確かにあの頃と同じような…何を考えているのか解らないところはある。
そして、その、本音を最期の最期まで隠すことのできる才…
ただ…違うのは…
―――その豊かな才を欲しいものの為に使っている。笑ってしまう事に…今は俺…か…
迷いが出る。
でも…今自分のやりたいこと…やらなくてはならないこと…
それを考えた時…
きっと、シュナイゼルのこの感情は…ルルーシュにとっての壁になる。
現世で母となっているギネヴィアもそうだけれど…
あの頃…自分の異母姉であったギネヴィアが母で…実業家だ。
あの時はそう云った部分を見せていなかった。
転生して別の才能を持って生れて来たのか、それとも、あの頃もそう云った際があったにもかかわらず、あの環境の中で開花することがなかったのか…
それは解らないけれど…
あの時、ルルーシュが『第99代神聖ブリタニア帝国皇帝』と名乗った際には、痴れ者としてルルーシュを排除するように…命じていた。
でも、今は…
正直、記憶を取り戻して、混乱した。
そして、あの頃の存在を知っている者と対峙すると更に混乱する。
何が本当なのか…
何がウソなのか…
今のルルーシュの中ではそんなことがぐるぐる回っている。
「何を…そんな難しい顔をして考えているんだい?ルルーシュ…。大丈夫だ…アスプルンド医師がこれから診てくれるそうだから…。まったく…中学生で受験生だと云うのなら…一人暮らしなんてやめて…私のところに来ればいいのに…」
この言葉を口にしているシュナイゼルの顔は酷く優しく見える。
あの頃の様な…何かを隠している笑みではない…
違和感がある。
でも、今のシュナイゼルは…これが本当なのだろうか…
「い…いえ…」
ルルーシュが短く応えると…
頭のすぐ上でため息を吐くのが解った。
「まったく…君は本当に気を使っているね…私達に…。それとも…本当に…私もギネヴィアも嫌われているのかな?」
苦笑しながらそんな事を云う。
今のルルーシュの中には…
二人いるのと同じだ。
これまで、現世で存在した『ルルーシュ』と前世の『ルルーシュ』。
どちらも本当のルルーシュだけれど…
今はその記憶が混在していて、今のところ…まとめきれていない。
スザクと二人だった時は…あの頃のルルーシュだったけれど…
でも…今は…
「そんなことは…」
この言葉は…現世のルルーシュの言葉…
そして、頭の中にある、ルルーシュの感情は…
―――多分、あの時の俺…
どちらもルルーシュであるのに…どちらもルルーシュではない気がする。
こんな…記憶の混乱と気持ちの混在…
ミレイが云っていた。
C.C.から、ルルーシュとスザクを見守る役目を受け取ったと…
―――彼女は…こんな混乱状態の自分を抱くことを知らずにあいつにそんな事を申し出たのか?そして…あいつは解っていた筈だ…。記憶がよみがえった時…どうなるかと云う事を…。それを承知で…
そう思うと、ルルーシュは思わず奥歯を食いしばって、握っていた自分の手に…力が入ってしまう。
「ルルーシュ…君は頑張り過ぎだ。だから、ちゃんと診て貰おう…。受験を控えている…大切な時期だ…」

 結局、ごちゃごちゃ考えている状態でシュナイゼルの手から逃れることが出来ず…
シュナイゼルが乗ってきた車で病院に着いた。
そこは、ギネヴィアの会社の系列の病院だ。
「後で、彼女にも知らせないとまずいかな…。本当に…3人で過ごせればいいのに…」
そう云って笑うシュナイゼルに…
あの頃のシュナイゼルが見えた。
本当の事を云っていないと…ルルーシュは思った。
混乱状態の中、考えたところで、何が解るわけでもない。
「おんやぁ〜随分時間がかかったんですねぇ〜。シュナイゼル様の御指名なんで…もっと早くいらっしゃるかと思っていましたよ…」
そう云って出て来たのは…
現世ではランペルージ家のホームドクターで、前世ではランスロットの開発者…
ロイド=アスプルンド…
そして、『ゼロ・レクイエム』を最後まで見つめ続けてくれた存在…
「ルルーシュ君…久しぶりだねぇ…。君、電話をかけてもちゃんと、検診に来ないんだもの…。ちゃんと来なくちゃダメだよぉ?」
相変わらずな口調…
現世で初めて会った時には本当に大丈夫かと…子供ながらに不安にもなったが…
「すみません…アスプルンド医師…。受験が近いんで…つい…」
本当に聞いていても適当に答えているウソと解る様な云い訳だ。
「まぁ、こうして具合悪くなる前に来て下さいよぉ?一応、時間外ですけれど…ルルーシュ君であれば、ちゃんと僕が診察しますしねぇ…」
相変わらずのこの口調…
正直、今のルルーシュの中でぐるぐる回っているものを考えると…
―――有難いのかもしれない…
と思う。
実際、ごちゃごちゃ考え続けていたら確実にドツボに嵌る。
あの頃のルルーシュは確実なるデータの元に答えを導き出していた。
しかし、今のルルーシュにはデータと云うものは存在しない。
頭の中でなんでも筋道を立てようとするルルーシュにはしんどい時間である…と云うことは云えるだろう。
「では…いつものように頼めるかな?」
「はい…そう仰ると思って準備をしておきましたから…。まずは、病室へ…」
ロイドの言葉にルルーシュは焦りを見せる。
「一体何を!俺は…」
「暫くこの病院で入院していなさい。君の顔を見て私自身、驚いてしまったよ。一体何をしていたんだい?」
シュナイゼルの言葉…
確かに体調を崩していた。
でも…
「確かにぃ顔色は良くないですねぇ…。ま、必要なものはこちらでも準備しますし…お勉強ならここでも出来ますよ?」
にこりと笑ってそう告げる医師が…
悪魔に見えた。
多分、あの時点でシュナイゼルが現れたと云うことは…
あの時あのまま待っていたとしてもスザクは戻って来なかっただろう。
でも、自分の意思で、手掛かりをつかみに行くことは出来る。
そう思っていた。
なのに…
―――他の病院ならともかく…ここでは…
ルルーシュ自身、この病院から逃げ出すことが出来ない事は解っている。
恐らく、外出を願い出ても、確実にスタッフの誰かか、シュナイゼルの秘書…必要となればギネヴィアの秘書がしゃしゃり出てくる可能性も考えられる。
逃げ道を封じられた…
そんな気持ちになる。

 この場ではルルーシュは抵抗はしない。
したところで何にもならないからだ。
もし、マオが来てくれたら…その時に携帯電話を…
そんな事を考えている時に…
「マオ君は来ないよ?喧嘩でもしたのかい?」
シュナイゼルの言葉に、ルルーシュがはっとした。
考えることは完全に読まれている。
確かに…あの頃も涼しい顔をして、相手の考えている事を先読みして、先回りしていた。
「な!マオが…あなたに俺の事を云ったのでしょう?体調を崩していると…」
「そうだね…。その部分に置いては、感謝しているけれどね…。ただ、私としても怒っているのだよ?あんな…どこの馬の骨とも知れない様な…そんな子と仲良く付き合っているなんてね…」
そう…
シュナイゼルは今も昔も、笑って人を欺く。
ルルーシュは彼のあの時には持ち合わせなかった『執着』を持ち、その『執着』の大将が自分であると云うことが…
恐ろしくなった。
「ルルーシュ…私の元においで?君にふさわしい友達も、教師も、全て揃えて上げよう。君が決して傷つくことも、辛い思いをする事もない…そんな人材を集めているのだからね…」
何を云っているのか…
解らなかった…
と云うか、解りたくなかった。
確かに…
暫くシュナイゼルの姿を見ていなかった。
だから…少しはその『執着』が治まって来たのかと思っていたけれど…
でも…それは違っていて…
「そんな…マオは!」
ルルーシュ自身、マオに対して、酷い事を云ってしまった自覚がある。
どちらのルルーシュでも…
それぞれのマオに対する謝罪の気持ちは…違っているのだけれど…
でも、ちゃんと謝りたかった。
頭に血が上ってしまったとは云え…
それでも、この現世でずっと、共にいてくれた…
出会った時から…
あんな風に取り乱した理由は…今なら解る。
あのマオが、自分にあそこまで執着していたのは…正直今でも信じられない。
あの頃、孤児で、C.C.と出会って…
そして、彼女に固執した。
ルルーシュは自分の目的の為に…
マオと彼女を引き離した。
彼女の為ではない。
病んでいるマオに対して何をしようと思ったわけでもない。
ただ…
あの時のルルーシュの目的の為だけに…
最終的にC.C.がとどめを刺した。
マオに対しての気持ちは…
あの頃の思いであれば相当複雑だけれど…
今の思いは…ずっと共にいてくれた…
そんな思いだ。
今も、あの頃も、孤独なマオだ…
そして、現世でのマオは…本当にルルーシュが好きでいるのが…客観的に見ていて解る。
損得など考えていない。
本当に真っ白で…見ていて危なっかしいと思えるほど…
そのマオに対して…目の前の現世の父親は…
「父さん!マオを悪く云うのはやめて下さい!それに、俺たちは確かに喧嘩はしていた…。マオに何を云われたのかは知りませんが…マオは何も悪くない!俺とマオは…友達なんです!」
必死の訴えは…
罪の意識を抱える過去の自分か…
マオをずっと友達として見て来た現世の自分か…
「はいはいはい…そこまでですよ!」

 二人のそんなやり取りを見ていたロイドが横やりを入れた。
そうして、二人がはっとした表情を見せる。
「まったく…ここは病院…病気を治しに来るところですよ?シュナイゼル様…そんな風にルルーシュ君を苛めては良くなるものもなりませんよぉ?」
ロイドの指摘に…
二人は深い呼吸を一度だけする。
「とりあえず、特別室はちゃんと確保してあります。それに必要なものはちゃんと僕が揃えるって云ったでしょ?シュナイゼル様、ここから先はちょっと検査に入りますので…部屋で待っていて下さい。いつものお部屋ですから…」
そう云って、いつの間にか持ってきていた車いすにシュナイゼルから奪い取ったルルーシュを座らせた。
「これから、色々検査して貰いに行きますからね…。シュナイゼル様はついて来ても仕方ありませんから…。終わったら、ルルーシュ君を病室に連れて行って、お話ししに行きますから…」
ふざけた口調で話していても、ちゃんと医師をしている。
シュナイゼルも流石にそこまで云われては…
ここは病院と云う名の別世界だ。
ルルーシュが体調を崩しているのが本当である以上、ここでは医師であるロイドの言葉の方が重い。
「解った…。後でちゃんと話してくれ…。ルルーシュ…ロイドの話しが終わったら、ちゃんと部屋へ行くから…」
そう云って、ルルーシュ達とは反対の方向へ歩いて行った。
おそらく、そのつま先の向いている方に『いつものお部屋』と云うのがあるのだろう。
シュナイゼルを見送って、ロイドが車いすを押して歩きだした。
既に人の気配が殆どしない…そんな病院の建物になっている。
「ホントに…シュナイゼル様じゃありませんが…ちゃんと生活して下さいよ…。出来ないなら、ご両親のどちらかと…」
「今回の事は…済まなかった…。あなたに迷惑をかけるつもりはなかった…」
「そんなものはどうだっていいですよ…。と云うか、二人になれたんで、お話ししたいことがあるんですよ…」
ロイドのこの言葉に、ルルーシュは不思議そうな表情をする。
何を云いたいのか…
さっぱりつかめない。
元々掴みどころのない相手ではあったけれど…
今目の前にいる相手は…
「何の…お話です?」
ルルーシュは現世の口調で尋ねた。
そんなルルーシュにロイドが苦笑した。
「僕がさっき云ったでしょ?『必要なものはちゃんと僕が揃える』って…。ちゃんと、陛下の欲しいものを、ちゃんとご用意致しますから…」
その言葉に…
ルルーシュは驚きを隠せない。
一体自分が何を聞いたのか…
そんなルルーシュの反応を楽しそうに見ている。
「おやぁ?ちゃんと聞こえませんでしたかね…。じゃぁ、改めて自己紹介をしましょうか…ルルーシュ=ヴィ=ブリタニア陛下…」
ここにも…
あの時の事を知る存在が…
「どうしてこう云う事になっちゃったのか…僕も解らないんですけどねぇ…。でも、又お会いできて嬉しいですよぉ…陛下…」
周囲が見たら…演劇の練習にはとても見えない状態で…
何を云っているのか…
そんな風に思える様な…
そんな存在が…目の前にいた。
しかも…
―――あの時の全てを持って…

To Be Continued


あとがきに代えて



いろいろ急展開…
そして、出て来たキャラは3人しかいないのに…
と云うか、久しぶりに新キャラ登場です。
そして、どう云うわけか…
色々複雑な設定を織り込んでおりますです…
口調は相変わらず…の方がいいですよねぇ…
スザクの出番がなかったことは申し訳ないです。
次回も…どうなるかなぁ…
長丁場のお話なんで、そんな事もあります。
と云うことで、ご容赦を…

今日は名古屋の通院だったのですが…
2つの科にかかると…中々大変です。
日赤なので、とにかく…
近所の開業医ではどうにもならないと云う患者さんの身を受け入れている病院なんですが…
ホントにたくさんのそういう病気を持った方がいらっしゃいます。
出来ることなら地元の病院で、検査と薬の処方をして欲しいのですが…
その治療を扱っている病院でないと扱いにくい薬なんで…
検査そのものはまぁ、普通の血液検査、尿検査ですしね…
大したことはないんですけど…
月に一度の儀式…
正直切ないです。
もう眠いんで…ホントはオフラインやりたかったのですが、(和泉が飼うような安い)ドリンク剤は…全く効いている様子はありません。
今日は早く寝て、明日、出来るだけ空き時間にオフラインを書き上げたいと思います。
後、半分弱…
頑張ります!


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posted by 和泉綾 at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

It's Destiny 23

囚われの身?



 元々、体力のある方ではない。
あの頃もそうだったけれど…今もそれは健在だ。
確かに、学校のテストをすれば、必ず学年トップ、全国模試だってトップクラスの成績なのだ。
でも、運動に関しては相変わらず、あまり得意な方ではない。
普段は、それでもあまり不自由を感じてはいなかったが…
今は…
中学生ともなってくれば、父親の力よりも強くなる時期となる筈なのだけれど…
今、電話を終えたシュナイゼルがルルーシュを抱え上げている。
正直…
中学生にもなって、父親に抱えあげられていると云うのは…
あまり愉快なことではない。
まして、前世の記憶を取り戻してしまった今、目の前の人物を…
ただ、父親として見るにはルルーシュの中では様々な思いがあり過ぎる。
―――ここから抜け出すくらいの体力はあるべきだな…
言葉自体は…
軽く聞こえる言葉を使っていると、客観的には思うい。
しかし、今のルルーシュ本人にとって、それどころではないのだ。
この現世での…自分の両親…
記憶が戻った今、正直、どうしてこんなことになっているのかが解らないだけに、戸惑いを隠せない。
彼らに記憶がないのは確かだろうとは思うのだけれど…
しかし、魂は…
―――彼らのものだ…
それだけは何となく断言でいる。
何故かは解らない。
ただ、恐らく、自分で意識することのできない何かが…そう訴えているのだ。
「父さん…俺は大丈夫ですから…おろして下さい!」
ルルーシュがシュナイゼルに向かってそう訴えるが…
しかし、シュナイゼルのルルーシュを抱え上げているその腕の力は一向に抜ける気配がない。
と云うか、ルルーシュが逃げ出さないように更に強まっている様にも感じる。
「父さん!」
ルルーシュはこのままずるずると流されるのが怖くて…必死に訴える。
やっと…スザクと話し合えたのに…
やっと…スザクの思いを知ったのに…
知ったから…これからは、少しでもスザクに返して行きたいと…そんな風に思った矢先なのに…
「ルルーシュ…そんな青い顔をしていて…そんな風に、いい子を演じることはない…。私は君にいい子でいて欲しいわけじゃないのだから…」
記憶の戻ったルルーシュにとって、その言葉が…どんな形で聞こえているのか…
正直解らないが…
しかし、そのシュナイゼルの瞳は…
ルルーシュの中で、『騙されるな!』と云う、過去の記憶を持ち、拘っている自分と、現世でシュナイゼルが行きすぎた独占欲を寄せる父を知る自分とが…
互いに、対峙している様な…
そんな感覚に陥った。
記憶のないシュナイゼルであれば…
あの、行きすぎた独占欲を抱く父ならば…
―――あの時の様に…陥れる様な事はない…。しかし…今の俺に…シュナイゼルが陥れるだけの価値などない…
そう思った時…
ルルーシュの中で更に困惑が大きくなった。
自分の目で見たものを信じる…
それがルルーシュの信念だったが…
でも…今ルルーシュの目で見ているものは…
―――本当なのか?ウソなのか?

 目の前にいるのは…
確かに…シュナイゼルだ。
それは解る…
でも…あの時のシュナイゼルに対する印象と…まるで違う。
確かにあの頃と同じような…何を考えているのか解らないところはある。
そして、その、本音を最期の最期まで隠すことのできる才…
ただ…違うのは…
―――その豊かな才を欲しいものの為に使っている。笑ってしまう事に…今は俺…か…
迷いが出る。
でも…今自分のやりたいこと…やらなくてはならないこと…
それを考えた時…
きっと、シュナイゼルのこの感情は…ルルーシュにとっての壁になる。
現世で母となっているギネヴィアもそうだけれど…
あの頃…自分の異母姉であったギネヴィアが母で…実業家だ。
あの時はそう云った部分を見せていなかった。
転生して別の才能を持って生れて来たのか、それとも、あの頃もそう云った際があったにもかかわらず、あの環境の中で開花することがなかったのか…
それは解らないけれど…
あの時、ルルーシュが『第99代神聖ブリタニア帝国皇帝』と名乗った際には、痴れ者としてルルーシュを排除するように…命じていた。
でも、今は…
正直、記憶を取り戻して、混乱した。
そして、あの頃の存在を知っている者と対峙すると更に混乱する。
何が本当なのか…
何がウソなのか…
今のルルーシュの中ではそんなことがぐるぐる回っている。
「何を…そんな難しい顔をして考えているんだい?ルルーシュ…。大丈夫だ…アスプルンド医師がこれから診てくれるそうだから…。まったく…中学生で受験生だと云うのなら…一人暮らしなんてやめて…私のところに来ればいいのに…」
この言葉を口にしているシュナイゼルの顔は酷く優しく見える。
あの頃の様な…何かを隠している笑みではない…
違和感がある。
でも、今のシュナイゼルは…これが本当なのだろうか…
「い…いえ…」
ルルーシュが短く応えると…
頭のすぐ上でため息を吐くのが解った。
「まったく…君は本当に気を使っているね…私達に…。それとも…本当に…私もギネヴィアも嫌われているのかな?」
苦笑しながらそんな事を云う。
今のルルーシュの中には…
二人いるのと同じだ。
これまで、現世で存在した『ルルーシュ』と前世の『ルルーシュ』。
どちらも本当のルルーシュだけれど…
今はその記憶が混在していて、今のところ…まとめきれていない。
スザクと二人だった時は…あの頃のルルーシュだったけれど…
でも…今は…
「そんなことは…」
この言葉は…現世のルルーシュの言葉…
そして、頭の中にある、ルルーシュの感情は…
―――多分、あの時の俺…
どちらもルルーシュであるのに…どちらもルルーシュではない気がする。
こんな…記憶の混乱と気持ちの混在…
ミレイが云っていた。
C.C.から、ルルーシュとスザクを見守る役目を受け取ったと…
―――彼女は…こんな混乱状態の自分を抱くことを知らずにあいつにそんな事を申し出たのか?そして…あいつは解っていた筈だ…。記憶がよみがえった時…どうなるかと云う事を…。それを承知で…
そう思うと、ルルーシュは思わず奥歯を食いしばって、握っていた自分の手に…力が入ってしまう。
「ルルーシュ…君は頑張り過ぎだ。だから、ちゃんと診て貰おう…。受験を控えている…大切な時期だ…」

 結局、ごちゃごちゃ考えている状態でシュナイゼルの手から逃れることが出来ず…
シュナイゼルが乗ってきた車で病院に着いた。
そこは、ギネヴィアの会社の系列の病院だ。
「後で、彼女にも知らせないとまずいかな…。本当に…3人で過ごせればいいのに…」
そう云って笑うシュナイゼルに…
あの頃のシュナイゼルが見えた。
本当の事を云っていないと…ルルーシュは思った。
混乱状態の中、考えたところで、何が解るわけでもない。
「おんやぁ〜随分時間がかかったんですねぇ〜。シュナイゼル様の御指名なんで…もっと早くいらっしゃるかと思っていましたよ…」
そう云って出て来たのは…
現世ではランペルージ家のホームドクターで、前世ではランスロットの開発者…
ロイド=アスプルンド…
そして、『ゼロ・レクイエム』を最後まで見つめ続けてくれた存在…
「ルルーシュ君…久しぶりだねぇ…。君、電話をかけてもちゃんと、検診に来ないんだもの…。ちゃんと来なくちゃダメだよぉ?」
相変わらずな口調…
現世で初めて会った時には本当に大丈夫かと…子供ながらに不安にもなったが…
「すみません…アスプルンド医師…。受験が近いんで…つい…」
本当に聞いていても適当に答えているウソと解る様な云い訳だ。
「まぁ、こうして具合悪くなる前に来て下さいよぉ?一応、時間外ですけれど…ルルーシュ君であれば、ちゃんと僕が診察しますしねぇ…」
相変わらずのこの口調…
正直、今のルルーシュの中でぐるぐる回っているものを考えると…
―――有難いのかもしれない…
と思う。
実際、ごちゃごちゃ考え続けていたら確実にドツボに嵌る。
あの頃のルルーシュは確実なるデータの元に答えを導き出していた。
しかし、今のルルーシュにはデータと云うものは存在しない。
頭の中でなんでも筋道を立てようとするルルーシュにはしんどい時間である…と云うことは云えるだろう。
「では…いつものように頼めるかな?」
「はい…そう仰ると思って準備をしておきましたから…。まずは、病室へ…」
ロイドの言葉にルルーシュは焦りを見せる。
「一体何を!俺は…」
「暫くこの病院で入院していなさい。君の顔を見て私自身、驚いてしまったよ。一体何をしていたんだい?」
シュナイゼルの言葉…
確かに体調を崩していた。
でも…
「確かにぃ顔色は良くないですねぇ…。ま、必要なものはこちらでも準備しますし…お勉強ならここでも出来ますよ?」
にこりと笑ってそう告げる医師が…
悪魔に見えた。
多分、あの時点でシュナイゼルが現れたと云うことは…
あの時あのまま待っていたとしてもスザクは戻って来なかっただろう。
でも、自分の意思で、手掛かりをつかみに行くことは出来る。
そう思っていた。
なのに…
―――他の病院ならともかく…ここでは…
ルルーシュ自身、この病院から逃げ出すことが出来ない事は解っている。
恐らく、外出を願い出ても、確実にスタッフの誰かか、シュナイゼルの秘書…必要となればギネヴィアの秘書がしゃしゃり出てくる可能性も考えられる。
逃げ道を封じられた…
そんな気持ちになる。

 この場ではルルーシュは抵抗はしない。
したところで何にもならないからだ。
もし、マオが来てくれたら…その時に携帯電話を…
そんな事を考えている時に…
「マオ君は来ないよ?喧嘩でもしたのかい?」
シュナイゼルの言葉に、ルルーシュがはっとした。
考えることは完全に読まれている。
確かに…あの頃も涼しい顔をして、相手の考えている事を先読みして、先回りしていた。
「な!マオが…あなたに俺の事を云ったのでしょう?体調を崩していると…」
「そうだね…。その部分に置いては、感謝しているけれどね…。ただ、私としても怒っているのだよ?あんな…どこの馬の骨とも知れない様な…そんな子と仲良く付き合っているなんてね…」
そう…
シュナイゼルは今も昔も、笑って人を欺く。
ルルーシュは彼のあの時には持ち合わせなかった『執着』を持ち、その『執着』の大将が自分であると云うことが…
恐ろしくなった。
「ルルーシュ…私の元においで?君にふさわしい友達も、教師も、全て揃えて上げよう。君が決して傷つくことも、辛い思いをする事もない…そんな人材を集めているのだからね…」
何を云っているのか…
解らなかった…
と云うか、解りたくなかった。
確かに…
暫くシュナイゼルの姿を見ていなかった。
だから…少しはその『執着』が治まって来たのかと思っていたけれど…
でも…それは違っていて…
「そんな…マオは!」
ルルーシュ自身、マオに対して、酷い事を云ってしまった自覚がある。
どちらのルルーシュでも…
それぞれのマオに対する謝罪の気持ちは…違っているのだけれど…
でも、ちゃんと謝りたかった。
頭に血が上ってしまったとは云え…
それでも、この現世でずっと、共にいてくれた…
出会った時から…
あんな風に取り乱した理由は…今なら解る。
あのマオが、自分にあそこまで執着していたのは…正直今でも信じられない。
あの頃、孤児で、C.C.と出会って…
そして、彼女に固執した。
ルルーシュは自分の目的の為に…
マオと彼女を引き離した。
彼女の為ではない。
病んでいるマオに対して何をしようと思ったわけでもない。
ただ…
あの時のルルーシュの目的の為だけに…
最終的にC.C.がとどめを刺した。
マオに対しての気持ちは…
あの頃の思いであれば相当複雑だけれど…
今の思いは…ずっと共にいてくれた…
そんな思いだ。
今も、あの頃も、孤独なマオだ…
そして、現世でのマオは…本当にルルーシュが好きでいるのが…客観的に見ていて解る。
損得など考えていない。
本当に真っ白で…見ていて危なっかしいと思えるほど…
そのマオに対して…目の前の現世の父親は…
「父さん!マオを悪く云うのはやめて下さい!それに、俺たちは確かに喧嘩はしていた…。マオに何を云われたのかは知りませんが…マオは何も悪くない!俺とマオは…友達なんです!」
必死の訴えは…
罪の意識を抱える過去の自分か…
マオをずっと友達として見て来た現世の自分か…
「はいはいはい…そこまでですよ!」

 二人のそんなやり取りを見ていたロイドが横やりを入れた。
そうして、二人がはっとした表情を見せる。
「まったく…ここは病院…病気を治しに来るところですよ?シュナイゼル様…そんな風にルルーシュ君を苛めては良くなるものもなりませんよぉ?」
ロイドの指摘に…
二人は深い呼吸を一度だけする。
「とりあえず、特別室はちゃんと確保してあります。それに必要なものはちゃんと僕が揃えるって云ったでしょ?シュナイゼル様、ここから先はちょっと検査に入りますので…部屋で待っていて下さい。いつものお部屋ですから…」
そう云って、いつの間にか持ってきていた車いすにシュナイゼルから奪い取ったルルーシュを座らせた。
「これから、色々検査して貰いに行きますからね…。シュナイゼル様はついて来ても仕方ありませんから…。終わったら、ルルーシュ君を病室に連れて行って、お話ししに行きますから…」
ふざけた口調で話していても、ちゃんと医師をしている。
シュナイゼルも流石にそこまで云われては…
ここは病院と云う名の別世界だ。
ルルーシュが体調を崩しているのが本当である以上、ここでは医師であるロイドの言葉の方が重い。
「解った…。後でちゃんと話してくれ…。ルルーシュ…ロイドの話しが終わったら、ちゃんと部屋へ行くから…」
そう云って、ルルーシュ達とは反対の方向へ歩いて行った。
おそらく、そのつま先の向いている方に『いつものお部屋』と云うのがあるのだろう。
シュナイゼルを見送って、ロイドが車いすを押して歩きだした。
既に人の気配が殆どしない…そんな病院の建物になっている。
「ホントに…シュナイゼル様じゃありませんが…ちゃんと生活して下さいよ…。出来ないなら、ご両親のどちらかと…」
「今回の事は…済まなかった…。あなたに迷惑をかけるつもりはなかった…」
「そんなものはどうだっていいですよ…。と云うか、二人になれたんで、お話ししたいことがあるんですよ…」
ロイドのこの言葉に、ルルーシュは不思議そうな表情をする。
何を云いたいのか…
さっぱりつかめない。
元々掴みどころのない相手ではあったけれど…
今目の前にいる相手は…
「何の…お話です?」
ルルーシュは現世の口調で尋ねた。
そんなルルーシュにロイドが苦笑した。
「僕がさっき云ったでしょ?『必要なものはちゃんと僕が揃える』って…。ちゃんと、陛下の欲しいものを、ちゃんとご用意致しますから…」
その言葉に…
ルルーシュは驚きを隠せない。
一体自分が何を聞いたのか…
そんなルルーシュの反応を楽しそうに見ている。
「おやぁ?ちゃんと聞こえませんでしたかね…。じゃぁ、改めて自己紹介をしましょうか…ルルーシュ=ヴィ=ブリタニア陛下…」
ここにも…
あの時の事を知る存在が…
「どうしてこう云う事になっちゃったのか…僕も解らないんですけどねぇ…。でも、又お会いできて嬉しいですよぉ…陛下…」
周囲が見たら…演劇の練習にはとても見えない状態で…
何を云っているのか…
そんな風に思える様な…
そんな存在が…目の前にいた。
しかも…
―――あの時の全てを持って…

To Be Continued


あとがきに代えて



いろいろ急展開…
そして、出て来たキャラは3人しかいないのに…
と云うか、久しぶりに新キャラ登場です。
そして、どう云うわけか…
色々複雑な設定を織り込んでおりますです…
口調は相変わらず…の方がいいですよねぇ…
スザクの出番がなかったことは申し訳ないです。
次回も…どうなるかなぁ…
長丁場のお話なんで、そんな事もあります。
と云うことで、ご容赦を…

今日は名古屋の通院だったのですが…
2つの科にかかると…中々大変です。
日赤なので、とにかく…
近所の開業医ではどうにもならないと云う患者さんの身を受け入れている病院なんですが…
ホントにたくさんのそういう病気を持った方がいらっしゃいます。
出来ることなら地元の病院で、検査と薬の処方をして欲しいのですが…
その治療を扱っている病院でないと扱いにくい薬なんで…
検査そのものはまぁ、普通の血液検査、尿検査ですしね…
大したことはないんですけど…
月に一度の儀式…
正直切ないです。
もう眠いんで…ホントはオフラインやりたかったのですが、(和泉が飼うような安い)ドリンク剤は…全く効いている様子はありません。
今日は早く寝て、明日、出来るだけ空き時間にオフラインを書き上げたいと思います。
後、半分弱…
頑張ります!


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posted by 和泉綾 at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

2010年05月04日

It's Destiny 22

張り巡らされた網



 スザクが買い物に行くと出かけて行って…1時間…
スザクが、あの頃の様な運動能力、行動力であれば、恐らく、とうに帰ってきてもいいころではないか…と思う…
スザクがあんな様子だったから…急いで帰って来るに違いないと予想が出来る。
なのに…
―――帰って来ない…
ルルーシュはベッドに身体を預けて、そんな事を思う。
今は、ルルーシュの今の両親がルルーシュを構って来る筈がない…
ルルーシュ自身、両親のスケジュールを大体把握していたから…
「一体…どこまで買い物に行っているんだ…」
ここから一番近いスーパーまで、ルルーシュの足でも10分くらいで着く。
スザクなら、その気になれば、この半分の時間で着くのではないかと思う。
「まさか…あのスーパーを知らないわけじゃないだろうし…」
スザクの会社から駅までの間で見えているスーパーだ。
行ったことがなくても、大きな看板にスーパーの所在が書かれているのだ。
まだ、何となくだるさの残る身体を強引に起こす。
嫌な予感…
と云うのだろうか…
これは…
良く解らないけれど…胸騒ぎがする。
それが何なのか…
そして…このよく解らない不安感が支配しようとしていた。
記憶が戻り、様々な思いと想いを知り…
自分を見つめている。
そんな中でふっと時計を見た時に…既にそれだけの時間が経っていた事を知った。
その嫌な何かを否定しようとして、他の可能性を考えるようにするけれど。
でも、どんな事を考えていたって残ってしまう、この嫌な感じ…
「一体…何が俺をそんな風にさせる?」
ルルーシュよりも遥かに大人になっていたスザク…
考えてみれば至極当然だ。
ルルーシュはあの時、18年間と云う短い一生だった。
スザクはルルーシュの死後も、『枢木スザク』としてではなく、『ゼロ』として生き続けていたのだ。
『枢木スザク』の存在を消された者としたって、スザクはそのまま生きていた。
『ゼロ・レクイエム』の直後でさえ、泣くことも、振り返る事も許されなかった。
それがどれほど過酷な事であったのかは、ルルーシュは知らない。
でも、スザクのあの雰囲気から行くと…
―――本当に…辛い思いをしたんだな…。それが…あんな風にスザクを変えた…のか…
ルルーシュの中でそんな事を考えている。
そして、スザクが先ほどまで話していた内容を頭の中で反芻する。
ルルーシュの施した『ゼロ・レクイエム』は…
あれは…ちゃんと意義のあったものだ。
確かにその後の世界はすぐに安定したわけではないだろう。
でも、あれが、世界を変えて行くきっかけとなったのは事実だ。
様々な歴史資料でも、そう書かれていることが多い。
『ゼロ・レクイエム』を機に…世界は変わり始めた…と…
確かに…その為のものであったのも事実…
しかし…
―――結局…俺は…いつもスザクに何かを背負わせ、スザクに傷を残している…
そんな事を考えてしまう自分がいた。
それが、自覚しての者であれば…その先を考える事も出来るだろうが…
今のところ、そう考える方へ向かって行っている様にはとても見えない。
結局、その先を考えることが出来ないから、『これから、どうすればいいのか…。何が出来るのか…』を考えることが出来ずにいるわけなのだが…

 結局ぐるぐる考え込んでしまってため息をついてしまう。
それは…何を考えてのものか…
そんな事を考えられるだけの位置にまだ、ルルーシュは立っていない。
ただ…今は、何を云われたところで、頭の中で整理できるような状態ではない…
それさえも気付けずにいる可能性も高いが…
そんな事を考えていた時…
玄関から誰かが入ってきた事に気づいた。
「やっと帰って来たな…」
そんな事を呟きながら、強引に立ち上がる。
きっと、こんなふらついた状態で玄関まで行って怒鳴りつけたら…
―――スザクはまた、大人ぶって怒るのか?『君は無茶し過ぎだって!』とか…。多分、その後はばつの悪そうに謝るんだ…『遅くなって…ごめん…』とか…
そんな事を考えながら自室の扉を開いて、玄関の方に向かうと…
ルルーシュはその姿に…
正直、驚愕した…と云う単語が一番近いと思える様な…そんな存在が立っていた…
「ルルーシュ…」
記憶を取り戻してしまっているから…恐らく、それまで以上に表情が驚愕に強張っているだろう。
流石にルルーシュも動揺してしまう…
「体調を崩した…と云うのは本当だったんだね…。マオ君が私に伝えてくれたんだよ…。マオ君に感謝しなさい…。すぐに、病院へ…」
その言葉の一つ一つに…身体が震える…
「と…さん…」
目の前にいる…現世の父親…
シュナイゼルが心配げにルルーシュを見ていた。
その瞳の奥には少しだけ怒りが込められている様にも見える。
「ルルーシュ…ギネヴィアと…会っていたのだろう?何故…私とは会ってくれないんだい?」
優しげな表情、優しげな声…
でも、記憶を取り戻したルルーシュには…やはり、『あの時』の、自分自身の目的の前には…大きな壁として立ちはだかった異母兄のシュナイゼルのイメージの方が強い。
それ故に…
シュナイゼルにその頃の記憶がないと解っていても…警戒しないわけにもいかない。
そして、怖いと思ってしまう気持ちも…恐らく隠せてはいない。
「ルルーシュ…体調が悪いのだろう?済まなかったね…起こしてしまったかな?」
言葉の一つ一つが耳に届いているのに…
頭の中に入ってきているのか…
頭の中に入ってきても、その言葉を咀嚼できているのか…
ルルーシュが身体を強張らせて、その場に立ちつくしている。
「ルルーシュ…無理はよくないね…。私の車で病院へ行こう…。いつものように…アスプルンド医師に連絡するから…」
シュナイゼルがそんな事を云いながら携帯電話を取り出した。
そして…ルルーシュが黙っている中、シュナイゼルは電話の向こう側の人物と話しを進めている。
体調が悪い事も確かだけれど…
しかし…
今、ルルーシュの感じる背筋の寒さは…
―――スザク!何があった?
頭の中で、この場で答えてくれる人のいない疑問を叫んでいた。
先ほど感じた…嫌な感じは…
恐らく、これだったのだと…今更ながら思ってしまう。
そして…この現世で…記憶がないとは云え…ここまでルルーシュを求める父と母…
けれどルルーシュにとっては…
―――あの時の事を考えれば…何故と思うのは…
そんな事を考えてしまう事実でしかなかった。

 カノンに連れられ…スザクがある、こじんまりとした喫茶店に入る。
今は…客が引いたばかりなのか…人はいない。
ただ、テーブルのいくつかに、さっきまで客がいたであろう痕跡が見える。
コーヒーカップやグラスが、まだ片付けられずに置いてあったのである。
「あの…マルディーニさん…」
スザクが少し、警戒していると解り易い感じでカノンに声をかけた。
カノンはここまで、ずっと黙って来ていた。
スザクも、ここまでは何も聞いていない。
聞いたところで、誰が利いているか解らない様な場所ではそんな話をする…と云う気配はなかったから。
そして、もう一つ気になること…
それが『カノン=マルディーニ』であると云うことだ。
あの頃…
スザクの中でも鮮明に記憶に残っている。
シュナイゼルの側近で、重要な任務の時には常に、シュナイゼルの傍らに立っていた。
シュナイゼルも食えない人物ではあったけれど、この目の前の男も油断のならない相手だ。
―――僕たちが枢木神社で会った時に現れ…そして…
あの時もカノンはルルーシュをシュナイゼルにルルーシュを引き渡すべく、動いていたのだから。
そして…最終的にはルルーシュの『ギアス』にかかったギルフォードの手によってスザクの前から姿を消したのだけれど…
その時、シュナイゼルが罠を張り巡らせていた。
シュナイゼルがスザクに対して信をおけなかった事は…解っている。
そして、シュナイゼル自身が、どんな思いを持ってあの時、ブリタニア皇帝になろうとしていたのかも…
やり方が巧妙だ。
彼は…『神』になろうとした…
しかし、ルルーシュの『魔の力』によって、それは阻止された。
所詮人間は…『神』にはなれないと云うことを示されたかのようだったけれど…
カノンは一番奥のテーブルまで歩いて行き、スザクはその2メートル後方に立った。
「さ、お座りになって下さい…。お話ししたいことと、ご相談申し上げたいことが御座いまして…」
とても『お願い』されていると云う感じに受け取れない。
それに、何故か、あまりに不自然に思えない事に恐ろしくなる。
云われた通りに、スザクがそのテーブルの椅子へとかけた。
「何の…お話しでしょうか?」
スザクがやっと口を開いた。
嫌な予感がする…
今自分の中ではっきりと解るのはそれだけだ。
「まぁ、回りくどい話し話にしましょうか…。あなたは『A物産』の社員でしたわね?そして、ミレイ=アッシュフォードの部下…と云うことでしたよね?」
こんな、既に調べがついていて、一々聞くまでの事でもない事を尋ねて来るとは…
これが、何を意図とするのであれ、相手に既に知られている事実ならウソを吐く必要はない。
「はい…そうです…」
ただ、短く答えた。
それは、何を意味するのか…
でも、ここで少し苦笑してしまいそうなことがあった。
―――こんな…駆け引きみたいな会話…記憶を取り戻した途端にする事になるなんて…思わなかったな…。流石に…
そんな事を考えながら、やはり、自分もあの、『過去』に縛られている部分があると云うことなのだろうか…
しかし、思い出した事に何の意味があったのか…
それが解らない。
実際にミレイが云っていた言葉を鵜呑みにするとしたら…
ここで、相手に飲み込まれるわけにはいかないとは思う。
どこまで考えなくてはならないのだろうか…
どこまで警戒しなくてはならないのだろうか…
どこまで先読みをしなくてはならないのだろうか…

 そんなスザクを見て、カノンがくすりと笑った。
流石にここで、そんな笑いを出されてしまっては不安にならない方がどうかしている。
実際、こう云った話しの場合、こうした笑みを浮かべられると、本当に嫌な事ばかりが思い浮かんでしまい、どうしても考えが暗い方へと向かってしまう。
ここで、怯んだらいけない…
それは、『ゼロ』として存在していた頃に学んで、身についたこと…
その先の結果に大きく影響するから…
こんな形で駆け引きをしている自分が正直苦笑したくなるが…
今はそんな事を許してくれる様な雰囲気ではないことが解る。
「あなたは…いつ、ルルーシュ様にお知り合いになったのかしら?ルルーシュ様は本当に人見知りの激しい方…。いきなりあのマンションの自分のお部屋にお招きする様な事はなさらない方です…」
カノンがスザクの目を見ながら、淡々とそんな事を云い放つ。
確かに…この現世でルルーシュと出会った時に感じた…他人に対する警戒心…
それはよく覚えている。
ルルーシュの現在の両親がルルーシュを溺愛していると云うのなら、確かに不思議で仕方ないだろう。
それでも、『前世の記憶がそうさせている』などとは云えない。
行ってどうにかなるものでもないのは確かだ。
「僕が…ある時、コンビニで買い物をしていたんです。その時、恥ずかしい事に僕は、手持ちが足りなくて、途方に暮れていた時に…ルルーシュ…君に…お金を貸して貰ったのがきっかけです」
ウソ偽りが何一つ入っていない話。
それでも、相手にしてみれば嘘みたいな話である。
「まさか…ルルーシュ様がそんな事をなさられるなんて…」
「でも事実です。そして、僕は後日、ルルーシュ君にお金を返して、一つ、お礼の品を渡しました。その時からです…。知人としてルルーシュ君と接するようになったのは…」
スザクがピンと背筋を伸ばしてカノンにそう、告げる。
ウソがないから自分自身、不安になる事もない。
そして、その言葉に自信を持っている。
―――確かに…ウソが必要な事もあるけれど…
でも、相手があの時、恐れた相手であるのなら、凛としていなくてはならない。
正直、言葉遊びでやり合った時、相手がカノンではスザクに勝ち目がない事も良く知っている。
だから、ウソは言わない…。
必要なら、本当の事を云わなければいい…
それだけのことだ…
そう思いながら、スザクは一度、大きく呼吸して、カノンを見た。
そして、カノンもスザクを見る。
カノン自身、そう云ったウソを見抜くのは得意な方だと見える。
そう、見せないところが…
―――流石だな…
スザクの中での彼への印象は…
確かに、あの時とは違うと解っていながら、それでも、彼の魂そのものはあの時と変わらないのだと云う認識はある。
だからこそ警戒するのだけれど…
確かにルルーシュが幸せでいるのなら…こんな形で目の前の相手と対峙するつもりはないけれど。
でも…
―――ルルーシュは…辛そうだった…
スザクの中でこの現世でルルーシュと出会った時の印象が…その印象だけが…更に強くなって行っている。
だから…ここで引くことが出来なかった。
その先に…何があるのかを考える事さえせず…

 ふわりとした、浮遊感…
自分の足が床から離れてシュナイゼルの顔が近付いたことでやっと、その事に気がつく。
「!」
「どうも、足がおぼつかない様だからね…。無理はしないで欲しい…」
シュナイゼルが優しい目を向けてルルーシュにそう告げる。
記憶を取り戻したばかりで、やっと…その事実を受け入れかけている状態で…
結局、過去を振り返っている場合ではないと云うこと…
そして、確かに、あの頃と違って、愛してくれる人たちがいる。
守ってくれる人がいる。
でも、その顔触れを見ると、ルルーシュ自身、自分があの時に彼らにした事を考えれば…
―――あの時とは違う…。解ってはいても…。記憶のない俺は…結局スザクを…
その事を解っているだけに…
自覚してしまっただけに…
「だ…大丈夫ですから…。それに…アスプルンド医師のお手を煩わせるほどの事では…」
必死に今の状況から逃れようとするが…
確かに体調を崩していることは事実で、身体が思うように動かないのは事実…
確かに…思い出すと…
ルルーシュの知るシュナイゼルよりも幾分か年齢を重ねていることが解るが…
それでも、その端麗な容姿は相変わらずだ。
「そうやって無理をして欲しくはないんだよ?ルルーシュ…。私がどれほど君を愛しているのかは…解っているのだろう?具合悪い時くらい…私の云う事を聞いてくれてもいいんじゃないのかい?」
確かに、この目の前にいるシュナイゼルはルルーシュの事を愛しているのかもしれない。
しかし…
ルルーシュとスザクにはあの頃の記憶が戻り、ミレイもその記憶を手にしている。
だから…いつ、彼があの時の記憶を取り戻すか、解らない。
あの時のシュナイゼルは…確かに欲のない…そんな人物像を作り上げられていた。
恐らく、それは先天的なものではなく、『皇帝の椅子に一番近い皇子』として存在していたから…であろう。
そして、それだけの器を持って生れてきた結果…
しかし、今は、あの時の様な帝王学を施されているわけではない。
確実に、あの頃よりも自分の欲するものに対してその気持ちは…従順に動くだろう。
「俺は…大丈夫です…。最近、少し、疲れていただけです…。今日もゆっくり休んで…明日から、学校へ…」
ルルーシュがそこまで云った時、シュナイゼルがその言葉を遮った。
「大丈夫だ…。君の担任の先生には私から伝えておくから…。それに、相変わらずトップをキープしていると聞く…。そんなに身体を壊してまで頑張る必要は…ないのだよ?」
多分、傍から見れば…無理しようとする息子に対して優しく諭している父親の姿に見えるだろうけれど…
でもルルーシュにとっては…
―――少しずつ…俺の周囲を…固められて行っている…
そんな感覚に陥ってしまう…そんな状況だった…
「ルルーシュをそこまで無理させる様な担任は…私としては…」
「待って下さい!そうやって…父さんの…そんな大きな力を使わないで下さい…。俺なんかのことで…。そんなことが世間に知られたら…」
言葉だけ見ていれば…息子が父親を心配して…と云う言葉だけれど…
しかし、それをやる事によって、ルルーシュは少しずつ、身動きが取れなくなっていく。
普通の生徒と同じように、好きな先生を褒めたり、嫌いな先生の悪口を云ったり…学生であれば至極当然のことが出来なくなっていた。
だから…ルルーシュは…必死にシュナイゼルの言葉を遮ったのだ…
そして…その後過ったルルーシュの不安は…
―――スザクにまで…同じ事をする気か…?
そう思った時、身体がカタカタ震えだしたのだった…

To Be Continued


あとがきに代えて



更新が遅くなってしまい申し訳ありませんm(__)m
ホント、このお話しは結構好きだと仰って下さる方が多いのに…(当ブログ比)
だから、頑張って更新しましたが…
動きが凄い事になっております…
疲れた体で書いてはいけない…そんなことを実感しました。
まぁ、簡単にスザルルを幸せに〜〜〜なんて、ここにお通い下さる皆さんは思っちゃいなかったとは思いますが…
二人で話して、やっと、ルルーシュが少しだけ過去の事を振り切ろうとし始めたと云うのに…
シュナパパのタイミングのいい事…(爆)
やっぱり、シュナはこうでないと!
で、恐らく、ロイドさんファンの方、喜んで頂けているでしょうか?
はい、この作品でもロイドさんでてきます。
相当遅ればせながら…ですが…
多分、今月、お休みしなければ今月中に出て来ます。

さて、今日から、リクネタ作品の掲載を開始致します。
更新は遅くなると思いますが…
と云うのも、予想以上にオフラインが進んでおらず…でもって、この後、お昼過ぎくらいまでまた出かけなくてはならないと云う…
G.W.中にそれ相応に原稿をあげるつもりでいたのですが…
と云うか、入稿まで済ませたい勢いだったのですが…
これは『ギアスターボ』の原稿です。
『心から『ありがとう』をあなたに…』の第二弾です。
タイトルくらいはいいかな…
『心から『ありがとう』をあなたに…〜紅の戦士編〜』です。
表紙はとっとと済ませました。
相当手抜きで、色を変えただけですが…
さて、頑張って原稿を書きます!
と云うか、ここ最近で2度目ですよ…
『おわび』をタイトルにした記事…
なんとかしないと…
ホントすみません…ヘタレで…m(__)m


☆拍手のお返事


紫翆さま:おはようございます、コメント有難う御座居ます。
G.W.…身体を休めつつ…原稿を…と思っていたのに…
計算外だ!あり得ん!な状態です…( ┰_┰) シクシク
ホント、そんな中、コメントを頂けるとホントに力になります。

『ほのぼの日和』
このお話のルルーシュ…
和泉にとっても理想のお嫁さんです…。
そんな風にすぐに留守がちになるスザクなんぞと別れて和泉のとこに来い!
と、スザクのくるくるキック百連発覚悟で思ってしまう和泉は多分間違っていません!
間違っているのは、そんな理想なお嫁さんになっているルルーシュの方だ!(←違)
このお話のスザク…お嫁さんの理想が高すぎですね…(笑)
既に理想のお嫁さんのルルーシュに…(爆)
そんな風に要求の多い男は苦労するぞ!
和泉はそのままのルルーシュでいいぞ!
うちに嫁に来い!
疲れていると、そんな暴言が増えてくる自分が怖くなります…ヾ(▽^;)ゞうへへ

『ア●ピグに嵌る』
実は、はまっているのは和泉の方なんですよね…
で、原稿書く時間に困って、ネタに困って、その時開いていたア●ピグ見て、『じゃあ、これにしてしまえ…』という勢いで書いたのですが…
ちなみに和泉は黒猫に『ルル』、茶色の柴犬に『スザク』と名前を付けています。
どうも、スザクの方がお腹の空き方が早いんです。
同じ数の餌を買ったのですが…スザクの方が減り方が早いんです。
まぁ、和泉のピグ事情はともかく…
オンラインゲームで個人情報を入れるのは基本ですけれど…まぁ、ピグの場合、自分でアバターを決めるので、慣れないと少々面倒かもしれません。
自分の思いどおりな完成にならず和泉は、何度も作りなおしたので…
気にならない人は気にならないと思いますが…
あと、使い方の説明を一通り読んで、一度試す…という事を結構繰り返すので、和泉は初期準備に非常に時間がかかるんです。
まぁ、捉え方は人それぞれなのですが…
興味をもたれたらやってみてはいかがですか?
基本は無料ですから…
和泉は多少お金をかけましたが、無料で十分楽しんでいらっしゃる方も居ます。

『Please happiness』
『コード継承』後は想像を絶する長い時間を過ごす訳ですから…
その中で人々は変革を遂げたり、平穏な時代を謳歌したり…という事を繰り返して行きますから…
最終回のC.C.のセリフ…『人々が抗うさまを見てきた…』とありましたけれど…それはあくまで変革期の話だと思うので…
そうではない、多少の不満はあるものの、日々、命の危険にさらしながら…とか、その日の食事も毎日不安を抱いている…という時代でなければ、人々は笑いつつ生きていける訳です。
だから、今回は『コード継承者』にとって、束の間の平穏を取り戻したお話を書いてみました。
楽しんで頂けて光栄です。
『コード継承』の場合、結構暗い話しになってしまう事が多いので…

『It's destiny』
えっと…全開の分ですね…
スザク、割とルルーシュを諭すために、重要な言葉を言ってくれていると思います。
本編でもルルーシュは、目的のためであれば、鋭い着眼点で策を練っていましたけれど…
こと、感情の話になると本当に不器用な人だったので…
多分、ルルーシュがあのときの自分を思い出した段階で、そのトラウマを取り除かなくては本当の意味で幸せになれない気がします。
だから、少々荒療治的な事をしてくれたのですけれど…
ルルーシュは頭のいい子なので…その辺りは頭では理解してくれているので…
あとは、気持ちで…と云ったところで…
フフフ…♪
この二人には色々『萌え♪』的な試練を乗り越えて頂かなくては…
まぁ、先にシュナパパが動いてしまったので、ギネヴィアさんが忘れられそうで怖いのですが…
また、今回のお話の展開にどう思われたか、教えて下さいね。

お返事が遅れて申し訳ありません。
G.W.…連休だと云うのにバタバタ状態な気がします。
少しくらい、ゆっくりしたいと考えつつも…原稿が…(; ̄ー ̄A アセアセ・・・
また、HARUコミの時みたいにギリか?
頑張ります…

2010/05/01/22:29・22:47 匿名希望さま:おはようございます、コメント有難う御座居ます。
お返事が遅れて申し訳ありません<(_ _)>

マスコミに関しては…
まぁ、いろんな受け取り方がありましたけれど…
すでにマッチポンプするようなマスコミ関係者もいる訳で…
受け取る側も知恵を付けなくてはいけないと云う事です。
昔から、政府は必ずマスコミ、報道機関に対してはにらみを利かせていますし。
その匿名希望さまが指摘されているテレビ局よりももっと信用ならない報道関係会社がありますし…
あとは、受け取る側がいかに、冷静に、第三者的にそのニュースを受け取る事が出来るか…って事ですね。

最終回近くに関しては…確かに『萌え♪』ネタがばらまかれていますよね…
あの頃、毎回泣いていた気がします。
今日、遅くなりましたが、『It's Destiny』の更新をしました。
また、感想などがありましたら、お聞かせ頂けると幸いです。

Rinkaさま:おはようございます、コメント有難う御座居ます。
お返事が遅れて申し訳ありません<(_ _)>

拍手コメのお返事に関してですが…
少々言葉が足りませんでしたね。
日本は比較的気候条件、海に囲まれ多民族からの侵略から大陸に存在する国よりも守られていたと云う事を言いたかったのですが…
気候条件…開墾する事に関しては確かに苦労したでしょう。
だから、和泉も『頑張れば食べていける』という書き方をしています。
なにも、何の苦労もせずにきたと云う事を書いたつもりはありませんでしたが、そう受け取られてしまったのでしたら、和泉のミスです。
そして、協力し合わなければならなかったから、日本人のDNAには村社会で生きて行くと云う事がインプットされているのだと思います。
まぁ、ピンポイントで行けば、日本だって平穏無事に来たわけじゃない事は承知しています。
大きな話になってしまうので、ここでどこまで伝えられるのか解らないんですが…
自然環境の話だけすれば…
確かに火山活動の活発な火山列島で、大地震も多い土地ではあります。
当然、自然条件という意味では飢饉に見舞われる事もありました。
しかし、日本の場合、通常の日本の温暖湿潤性気候の状態であれば、土地を開墾したら、その土地に種を植えて、育てて、実りを迎える事が出来ます。
そうでない土地に国土のある国々は数多くあります。
砂漠であったり、標高が非常に高く土地が貧しかったり…
少ない食料を奪い合って殺し合いをしていた民族だってあります。
まぁ、どういえばいいのかは解りませんが…
正直、これは全体像を見ているか、ピンポイントでのツッコミを入れるか…という部分の違いもあると思います。

こんな話を聞いた事があります。
アメリカのある地域で大地震が起きたそうです。
その時、日本人は自分たちも被災しているのに自分の持っているものを持ち出して炊き出しをしたそうです。
ある、アジアの別の国の人は自分の私財を持ってその場から逃げだし、挙句の果てに火事場泥棒を働いていたと云います。
この違い…民族性の違い…という事で片付けてしまうとそこで話が終わってしまうのですが…
大陸では火事場泥棒というのは結構当たり前です。
ここで、私財を持ちだして炊き出しを行う日本人の方が珍しいんです。
これまで、日本人という民族はそういった事が出来るだけの何かがあるんですよね。
ある意味、日本人には助け合いという心があったと云う事ですし、そう云った助け合うと云う気持ちはある程度余裕がなければできない事です。
そう云った余裕が生まれてくるのは…まぁ、言い方は乱暴かもしれませんが、日本人がほかの民族よりも恵まれた環境の中で生きてきた…という解釈を和泉はしました。
心にゆとりがなければ助け合いなどという事は考える事が出来ません。
自分も苦しいけど、相手も苦しい…
なら、自分のできる事をしようと考えられる日本人のその考え方、同じ日本人として誇りに思うし、自分もそうありたいと思います。
この話を始めると、色々な要素が含まれているので、非常に話が長くなってしまいますので…
ただ、日本人は頑張れば何とかなる…というそんな環境にいたのだと思います。
しかし、世界にはすがるものが架空の神様しかいなかったと云う民族は沢山あります。
元々、日本の八百万の神の話から来ているネタだったのですが…
和泉の文章の書き方の拙さで色々、思うところがあった事に関してはお詫び致します。
また、こうした形で何か、『違うんじゃないの?』と思われる事がありましたら、どんどんご指摘ください。
いつも、Rinkaさまのお話は深く考えさせて頂いています。
この度も、有難う御座居ました。m(__)m


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こちらは、拍手ページと違って、10ページも読まなくちゃいけないなどと云う、無体な事はありませんので(爆)

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posted by 和泉綾 at 08:12| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

It's Destiny 22

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 スザクが買い物に行くと出かけて行って…1時間…
スザクが、あの頃の様な運動能力、行動力であれば、恐らく、とうに帰ってきてもいいころではないか…と思う…
スザクがあんな様子だったから…急いで帰って来るに違いないと予想が出来る。
なのに…
―――帰って来ない…
ルルーシュはベッドに身体を預けて、そんな事を思う。
今は、ルルーシュの今の両親がルルーシュを構って来る筈がない…
ルルーシュ自身、両親のスケジュールを大体把握していたから…
「一体…どこまで買い物に行っているんだ…」
ここから一番近いスーパーまで、ルルーシュの足でも10分くらいで着く。
スザクなら、その気になれば、この半分の時間で着くのではないかと思う。
「まさか…あのスーパーを知らないわけじゃないだろうし…」
スザクの会社から駅までの間で見えているスーパーだ。
行ったことがなくても、大きな看板にスーパーの所在が書かれているのだ。
まだ、何となくだるさの残る身体を強引に起こす。
嫌な予感…
と云うのだろうか…
これは…
良く解らないけれど…胸騒ぎがする。
それが何なのか…
そして…このよく解らない不安感が支配しようとしていた。
記憶が戻り、様々な思いと想いを知り…
自分を見つめている。
そんな中でふっと時計を見た時に…既にそれだけの時間が経っていた事を知った。
その嫌な何かを否定しようとして、他の可能性を考えるようにするけれど。
でも、どんな事を考えていたって残ってしまう、この嫌な感じ…
「一体…何が俺をそんな風にさせる?」
ルルーシュよりも遥かに大人になっていたスザク…
考えてみれば至極当然だ。
ルルーシュはあの時、18年間と云う短い一生だった。
スザクはルルーシュの死後も、『枢木スザク』としてではなく、『ゼロ』として生き続けていたのだ。
『枢木スザク』の存在を消された者としたって、スザクはそのまま生きていた。
『ゼロ・レクイエム』の直後でさえ、泣くことも、振り返る事も許されなかった。
それがどれほど過酷な事であったのかは、ルルーシュは知らない。
でも、スザクのあの雰囲気から行くと…
―――本当に…辛い思いをしたんだな…。それが…あんな風にスザクを変えた…のか…
ルルーシュの中でそんな事を考えている。
そして、スザクが先ほどまで話していた内容を頭の中で反芻する。
ルルーシュの施した『ゼロ・レクイエム』は…
あれは…ちゃんと意義のあったものだ。
確かにその後の世界はすぐに安定したわけではないだろう。
でも、あれが、世界を変えて行くきっかけとなったのは事実だ。
様々な歴史資料でも、そう書かれていることが多い。
『ゼロ・レクイエム』を機に…世界は変わり始めた…と…
確かに…その為のものであったのも事実…
しかし…
―――結局…俺は…いつもスザクに何かを背負わせ、スザクに傷を残している…
そんな事を考えてしまう自分がいた。
それが、自覚しての者であれば…その先を考える事も出来るだろうが…
今のところ、そう考える方へ向かって行っている様にはとても見えない。
結局、その先を考えることが出来ないから、『これから、どうすればいいのか…。何が出来るのか…』を考えることが出来ずにいるわけなのだが…

 結局ぐるぐる考え込んでしまってため息をついてしまう。
それは…何を考えてのものか…
そんな事を考えられるだけの位置にまだ、ルルーシュは立っていない。
ただ…今は、何を云われたところで、頭の中で整理できるような状態ではない…
それさえも気付けずにいる可能性も高いが…
そんな事を考えていた時…
玄関から誰かが入ってきた事に気づいた。
「やっと帰って来たな…」
そんな事を呟きながら、強引に立ち上がる。
きっと、こんなふらついた状態で玄関まで行って怒鳴りつけたら…
―――スザクはまた、大人ぶって怒るのか?『君は無茶し過ぎだって!』とか…。多分、その後はばつの悪そうに謝るんだ…『遅くなって…ごめん…』とか…
そんな事を考えながら自室の扉を開いて、玄関の方に向かうと…
ルルーシュはその姿に…
正直、驚愕した…と云う単語が一番近いと思える様な…そんな存在が立っていた…
「ルルーシュ…」
記憶を取り戻してしまっているから…恐らく、それまで以上に表情が驚愕に強張っているだろう。
流石にルルーシュも動揺してしまう…
「体調を崩した…と云うのは本当だったんだね…。マオ君が私に伝えてくれたんだよ…。マオ君に感謝しなさい…。すぐに、病院へ…」
その言葉の一つ一つに…身体が震える…
「と…さん…」
目の前にいる…現世の父親…
シュナイゼルが心配げにルルーシュを見ていた。
その瞳の奥には少しだけ怒りが込められている様にも見える。
「ルルーシュ…ギネヴィアと…会っていたのだろう?何故…私とは会ってくれないんだい?」
優しげな表情、優しげな声…
でも、記憶を取り戻したルルーシュには…やはり、『あの時』の、自分自身の目的の前には…大きな壁として立ちはだかった異母兄のシュナイゼルのイメージの方が強い。
それ故に…
シュナイゼルにその頃の記憶がないと解っていても…警戒しないわけにもいかない。
そして、怖いと思ってしまう気持ちも…恐らく隠せてはいない。
「ルルーシュ…体調が悪いのだろう?済まなかったね…起こしてしまったかな?」
言葉の一つ一つが耳に届いているのに…
頭の中に入ってきているのか…
頭の中に入ってきても、その言葉を咀嚼できているのか…
ルルーシュが身体を強張らせて、その場に立ちつくしている。
「ルルーシュ…無理はよくないね…。私の車で病院へ行こう…。いつものように…アスプルンド医師に連絡するから…」
シュナイゼルがそんな事を云いながら携帯電話を取り出した。
そして…ルルーシュが黙っている中、シュナイゼルは電話の向こう側の人物と話しを進めている。
体調が悪い事も確かだけれど…
しかし…
今、ルルーシュの感じる背筋の寒さは…
―――スザク!何があった?
頭の中で、この場で答えてくれる人のいない疑問を叫んでいた。
先ほど感じた…嫌な感じは…
恐らく、これだったのだと…今更ながら思ってしまう。
そして…この現世で…記憶がないとは云え…ここまでルルーシュを求める父と母…
けれどルルーシュにとっては…
―――あの時の事を考えれば…何故と思うのは…
そんな事を考えてしまう事実でしかなかった。

 カノンに連れられ…スザクがある、こじんまりとした喫茶店に入る。
今は…客が引いたばかりなのか…人はいない。
ただ、テーブルのいくつかに、さっきまで客がいたであろう痕跡が見える。
コーヒーカップやグラスが、まだ片付けられずに置いてあったのである。
「あの…マルディーニさん…」
スザクが少し、警戒していると解り易い感じでカノンに声をかけた。
カノンはここまで、ずっと黙って来ていた。
スザクも、ここまでは何も聞いていない。
聞いたところで、誰が利いているか解らない様な場所ではそんな話をする…と云う気配はなかったから。
そして、もう一つ気になること…
それが『カノン=マルディーニ』であると云うことだ。
あの頃…
スザクの中でも鮮明に記憶に残っている。
シュナイゼルの側近で、重要な任務の時には常に、シュナイゼルの傍らに立っていた。
シュナイゼルも食えない人物ではあったけれど、この目の前の男も油断のならない相手だ。
―――僕たちが枢木神社で会った時に現れ…そして…
あの時もカノンはルルーシュをシュナイゼルにルルーシュを引き渡すべく、動いていたのだから。
そして…最終的にはルルーシュの『ギアス』にかかったギルフォードの手によってスザクの前から姿を消したのだけれど…
その時、シュナイゼルが罠を張り巡らせていた。
シュナイゼルがスザクに対して信をおけなかった事は…解っている。
そして、シュナイゼル自身が、どんな思いを持ってあの時、ブリタニア皇帝になろうとしていたのかも…
やり方が巧妙だ。
彼は…『神』になろうとした…
しかし、ルルーシュの『魔の力』によって、それは阻止された。
所詮人間は…『神』にはなれないと云うことを示されたかのようだったけれど…
カノンは一番奥のテーブルまで歩いて行き、スザクはその2メートル後方に立った。
「さ、お座りになって下さい…。お話ししたいことと、ご相談申し上げたいことが御座いまして…」
とても『お願い』されていると云う感じに受け取れない。
それに、何故か、あまりに不自然に思えない事に恐ろしくなる。
云われた通りに、スザクがそのテーブルの椅子へとかけた。
「何の…お話しでしょうか?」
スザクがやっと口を開いた。
嫌な予感がする…
今自分の中ではっきりと解るのはそれだけだ。
「まぁ、回りくどい話し話にしましょうか…。あなたは『A物産』の社員でしたわね?そして、ミレイ=アッシュフォードの部下…と云うことでしたよね?」
こんな、既に調べがついていて、一々聞くまでの事でもない事を尋ねて来るとは…
これが、何を意図とするのであれ、相手に既に知られている事実ならウソを吐く必要はない。
「はい…そうです…」
ただ、短く答えた。
それは、何を意味するのか…
でも、ここで少し苦笑してしまいそうなことがあった。
―――こんな…駆け引きみたいな会話…記憶を取り戻した途端にする事になるなんて…思わなかったな…。流石に…
そんな事を考えながら、やはり、自分もあの、『過去』に縛られている部分があると云うことなのだろうか…
しかし、思い出した事に何の意味があったのか…
それが解らない。
実際にミレイが云っていた言葉を鵜呑みにするとしたら…
ここで、相手に飲み込まれるわけにはいかないとは思う。
どこまで考えなくてはならないのだろうか…
どこまで警戒しなくてはならないのだろうか…
どこまで先読みをしなくてはならないのだろうか…

 そんなスザクを見て、カノンがくすりと笑った。
流石にここで、そんな笑いを出されてしまっては不安にならない方がどうかしている。
実際、こう云った話しの場合、こうした笑みを浮かべられると、本当に嫌な事ばかりが思い浮かんでしまい、どうしても考えが暗い方へと向かってしまう。
ここで、怯んだらいけない…
それは、『ゼロ』として存在していた頃に学んで、身についたこと…
その先の結果に大きく影響するから…
こんな形で駆け引きをしている自分が正直苦笑したくなるが…
今はそんな事を許してくれる様な雰囲気ではないことが解る。
「あなたは…いつ、ルルーシュ様にお知り合いになったのかしら?ルルーシュ様は本当に人見知りの激しい方…。いきなりあのマンションの自分のお部屋にお招きする様な事はなさらない方です…」
カノンがスザクの目を見ながら、淡々とそんな事を云い放つ。
確かに…この現世でルルーシュと出会った時に感じた…他人に対する警戒心…
それはよく覚えている。
ルルーシュの現在の両親がルルーシュを溺愛していると云うのなら、確かに不思議で仕方ないだろう。
それでも、『前世の記憶がそうさせている』などとは云えない。
行ってどうにかなるものでもないのは確かだ。
「僕が…ある時、コンビニで買い物をしていたんです。その時、恥ずかしい事に僕は、手持ちが足りなくて、途方に暮れていた時に…ルルーシュ…君に…お金を貸して貰ったのがきっかけです」
ウソ偽りが何一つ入っていない話。
それでも、相手にしてみれば嘘みたいな話である。
「まさか…ルルーシュ様がそんな事をなさられるなんて…」
「でも事実です。そして、僕は後日、ルルーシュ君にお金を返して、一つ、お礼の品を渡しました。その時からです…。知人としてルルーシュ君と接するようになったのは…」
スザクがピンと背筋を伸ばしてカノンにそう、告げる。
ウソがないから自分自身、不安になる事もない。
そして、その言葉に自信を持っている。
―――確かに…ウソが必要な事もあるけれど…
でも、相手があの時、恐れた相手であるのなら、凛としていなくてはならない。
正直、言葉遊びでやり合った時、相手がカノンではスザクに勝ち目がない事も良く知っている。
だから、ウソは言わない…。
必要なら、本当の事を云わなければいい…
それだけのことだ…
そう思いながら、スザクは一度、大きく呼吸して、カノンを見た。
そして、カノンもスザクを見る。
カノン自身、そう云ったウソを見抜くのは得意な方だと見える。
そう、見せないところが…
―――流石だな…
スザクの中での彼への印象は…
確かに、あの時とは違うと解っていながら、それでも、彼の魂そのものはあの時と変わらないのだと云う認識はある。
だからこそ警戒するのだけれど…
確かにルルーシュが幸せでいるのなら…こんな形で目の前の相手と対峙するつもりはないけれど。
でも…
―――ルルーシュは…辛そうだった…
スザクの中でこの現世でルルーシュと出会った時の印象が…その印象だけが…更に強くなって行っている。
だから…ここで引くことが出来なかった。
その先に…何があるのかを考える事さえせず…

 ふわりとした、浮遊感…
自分の足が床から離れてシュナイゼルの顔が近付いたことでやっと、その事に気がつく。
「!」
「どうも、足がおぼつかない様だからね…。無理はしないで欲しい…」
シュナイゼルが優しい目を向けてルルーシュにそう告げる。
記憶を取り戻したばかりで、やっと…その事実を受け入れかけている状態で…
結局、過去を振り返っている場合ではないと云うこと…
そして、確かに、あの頃と違って、愛してくれる人たちがいる。
守ってくれる人がいる。
でも、その顔触れを見ると、ルルーシュ自身、自分があの時に彼らにした事を考えれば…
―――あの時とは違う…。解ってはいても…。記憶のない俺は…結局スザクを…
その事を解っているだけに…
自覚してしまっただけに…
「だ…大丈夫ですから…。それに…アスプルンド医師のお手を煩わせるほどの事では…」
必死に今の状況から逃れようとするが…
確かに体調を崩していることは事実で、身体が思うように動かないのは事実…
確かに…思い出すと…
ルルーシュの知るシュナイゼルよりも幾分か年齢を重ねていることが解るが…
それでも、その端麗な容姿は相変わらずだ。
「そうやって無理をして欲しくはないんだよ?ルルーシュ…。私がどれほど君を愛しているのかは…解っているのだろう?具合悪い時くらい…私の云う事を聞いてくれてもいいんじゃないのかい?」
確かに、この目の前にいるシュナイゼルはルルーシュの事を愛しているのかもしれない。
しかし…
ルルーシュとスザクにはあの頃の記憶が戻り、ミレイもその記憶を手にしている。
だから…いつ、彼があの時の記憶を取り戻すか、解らない。
あの時のシュナイゼルは…確かに欲のない…そんな人物像を作り上げられていた。
恐らく、それは先天的なものではなく、『皇帝の椅子に一番近い皇子』として存在していたから…であろう。
そして、それだけの器を持って生れてきた結果…
しかし、今は、あの時の様な帝王学を施されているわけではない。
確実に、あの頃よりも自分の欲するものに対してその気持ちは…従順に動くだろう。
「俺は…大丈夫です…。最近、少し、疲れていただけです…。今日もゆっくり休んで…明日から、学校へ…」
ルルーシュがそこまで云った時、シュナイゼルがその言葉を遮った。
「大丈夫だ…。君の担任の先生には私から伝えておくから…。それに、相変わらずトップをキープしていると聞く…。そんなに身体を壊してまで頑張る必要は…ないのだよ?」
多分、傍から見れば…無理しようとする息子に対して優しく諭している父親の姿に見えるだろうけれど…
でもルルーシュにとっては…
―――少しずつ…俺の周囲を…固められて行っている…
そんな感覚に陥ってしまう…そんな状況だった…
「ルルーシュをそこまで無理させる様な担任は…私としては…」
「待って下さい!そうやって…父さんの…そんな大きな力を使わないで下さい…。俺なんかのことで…。そんなことが世間に知られたら…」
言葉だけ見ていれば…息子が父親を心配して…と云う言葉だけれど…
しかし、それをやる事によって、ルルーシュは少しずつ、身動きが取れなくなっていく。
普通の生徒と同じように、好きな先生を褒めたり、嫌いな先生の悪口を云ったり…学生であれば至極当然のことが出来なくなっていた。
だから…ルルーシュは…必死にシュナイゼルの言葉を遮ったのだ…
そして…その後過ったルルーシュの不安は…
―――スザクにまで…同じ事をする気か…?
そう思った時、身体がカタカタ震えだしたのだった…

To Be Continued


あとがきに代えて



更新が遅くなってしまい申し訳ありませんm(__)m
ホント、このお話しは結構好きだと仰って下さる方が多いのに…(当ブログ比)
だから、頑張って更新しましたが…
動きが凄い事になっております…
疲れた体で書いてはいけない…そんなことを実感しました。
まぁ、簡単にスザルルを幸せに〜〜〜なんて、ここにお通い下さる皆さんは思っちゃいなかったとは思いますが…
二人で話して、やっと、ルルーシュが少しだけ過去の事を振り切ろうとし始めたと云うのに…
シュナパパのタイミングのいい事…(爆)
やっぱり、シュナはこうでないと!
で、恐らく、ロイドさんファンの方、喜んで頂けているでしょうか?
はい、この作品でもロイドさんでてきます。
相当遅ればせながら…ですが…
多分、今月、お休みしなければ今月中に出て来ます。

さて、今日から、リクネタ作品の掲載を開始致します。
更新は遅くなると思いますが…
と云うのも、予想以上にオフラインが進んでおらず…でもって、この後、お昼過ぎくらいまでまた出かけなくてはならないと云う…
G.W.中にそれ相応に原稿をあげるつもりでいたのですが…
と云うか、入稿まで済ませたい勢いだったのですが…
これは『ギアスターボ』の原稿です。
『心から『ありがとう』をあなたに…』の第二弾です。
タイトルくらいはいいかな…
『心から『ありがとう』をあなたに…〜紅の戦士編〜』です。
表紙はとっとと済ませました。
相当手抜きで、色を変えただけですが…
さて、頑張って原稿を書きます!
と云うか、ここ最近で2度目ですよ…
『おわび』をタイトルにした記事…
なんとかしないと…
ホントすみません…ヘタレで…m(__)m


☆拍手のお返事


紫翆さま:おはようございます、コメント有難う御座居ます。
G.W.…身体を休めつつ…原稿を…と思っていたのに…
計算外だ!あり得ん!な状態です…( ┰_┰) シクシク
ホント、そんな中、コメントを頂けるとホントに力になります。

『ほのぼの日和』
このお話のルルーシュ…
和泉にとっても理想のお嫁さんです…。
そんな風にすぐに留守がちになるスザクなんぞと別れて和泉のとこに来い!
と、スザクのくるくるキック百連発覚悟で思ってしまう和泉は多分間違っていません!
間違っているのは、そんな理想なお嫁さんになっているルルーシュの方だ!(←違)
このお話のスザク…お嫁さんの理想が高すぎですね…(笑)
既に理想のお嫁さんのルルーシュに…(爆)
そんな風に要求の多い男は苦労するぞ!
和泉はそのままのルルーシュでいいぞ!
うちに嫁に来い!
疲れていると、そんな暴言が増えてくる自分が怖くなります…ヾ(▽^;)ゞうへへ

『ア●ピグに嵌る』
実は、はまっているのは和泉の方なんですよね…
で、原稿書く時間に困って、ネタに困って、その時開いていたア●ピグ見て、『じゃあ、これにしてしまえ…』という勢いで書いたのですが…
ちなみに和泉は黒猫に『ルル』、茶色の柴犬に『スザク』と名前を付けています。
どうも、スザクの方がお腹の空き方が早いんです。
同じ数の餌を買ったのですが…スザクの方が減り方が早いんです。
まぁ、和泉のピグ事情はともかく…
オンラインゲームで個人情報を入れるのは基本ですけれど…まぁ、ピグの場合、自分でアバターを決めるので、慣れないと少々面倒かもしれません。
自分の思いどおりな完成にならず和泉は、何度も作りなおしたので…
気にならない人は気にならないと思いますが…
あと、使い方の説明を一通り読んで、一度試す…という事を結構繰り返すので、和泉は初期準備に非常に時間がかかるんです。
まぁ、捉え方は人それぞれなのですが…
興味をもたれたらやってみてはいかがですか?
基本は無料ですから…
和泉は多少お金をかけましたが、無料で十分楽しんでいらっしゃる方も居ます。

『Please happiness』
『コード継承』後は想像を絶する長い時間を過ごす訳ですから…
その中で人々は変革を遂げたり、平穏な時代を謳歌したり…という事を繰り返して行きますから…
最終回のC.C.のセリフ…『人々が抗うさまを見てきた…』とありましたけれど…それはあくまで変革期の話だと思うので…
そうではない、多少の不満はあるものの、日々、命の危険にさらしながら…とか、その日の食事も毎日不安を抱いている…という時代でなければ、人々は笑いつつ生きていける訳です。
だから、今回は『コード継承者』にとって、束の間の平穏を取り戻したお話を書いてみました。
楽しんで頂けて光栄です。
『コード継承』の場合、結構暗い話しになってしまう事が多いので…

『It's destiny』
えっと…全開の分ですね…
スザク、割とルルーシュを諭すために、重要な言葉を言ってくれていると思います。
本編でもルルーシュは、目的のためであれば、鋭い着眼点で策を練っていましたけれど…
こと、感情の話になると本当に不器用な人だったので…
多分、ルルーシュがあのときの自分を思い出した段階で、そのトラウマを取り除かなくては本当の意味で幸せになれない気がします。
だから、少々荒療治的な事をしてくれたのですけれど…
ルルーシュは頭のいい子なので…その辺りは頭では理解してくれているので…
あとは、気持ちで…と云ったところで…
フフフ…♪
この二人には色々『萌え♪』的な試練を乗り越えて頂かなくては…
まぁ、先にシュナパパが動いてしまったので、ギネヴィアさんが忘れられそうで怖いのですが…
また、今回のお話の展開にどう思われたか、教えて下さいね。

お返事が遅れて申し訳ありません。
G.W.…連休だと云うのにバタバタ状態な気がします。
少しくらい、ゆっくりしたいと考えつつも…原稿が…(; ̄ー ̄A アセアセ・・・
また、HARUコミの時みたいにギリか?
頑張ります…

2010/05/01/22:29・22:47 匿名希望さま:おはようございます、コメント有難う御座居ます。
お返事が遅れて申し訳ありません<(_ _)>

マスコミに関しては…
まぁ、いろんな受け取り方がありましたけれど…
すでにマッチポンプするようなマスコミ関係者もいる訳で…
受け取る側も知恵を付けなくてはいけないと云う事です。
昔から、政府は必ずマスコミ、報道機関に対してはにらみを利かせていますし。
その匿名希望さまが指摘されているテレビ局よりももっと信用ならない報道関係会社がありますし…
あとは、受け取る側がいかに、冷静に、第三者的にそのニュースを受け取る事が出来るか…って事ですね。

最終回近くに関しては…確かに『萌え♪』ネタがばらまかれていますよね…
あの頃、毎回泣いていた気がします。
今日、遅くなりましたが、『It's Destiny』の更新をしました。
また、感想などがありましたら、お聞かせ頂けると幸いです。

Rinkaさま:おはようございます、コメント有難う御座居ます。
お返事が遅れて申し訳ありません<(_ _)>

拍手コメのお返事に関してですが…
少々言葉が足りませんでしたね。
日本は比較的気候条件、海に囲まれ多民族からの侵略から大陸に存在する国よりも守られていたと云う事を言いたかったのですが…
気候条件…開墾する事に関しては確かに苦労したでしょう。
だから、和泉も『頑張れば食べていける』という書き方をしています。
なにも、何の苦労もせずにきたと云う事を書いたつもりはありませんでしたが、そう受け取られてしまったのでしたら、和泉のミスです。
そして、協力し合わなければならなかったから、日本人のDNAには村社会で生きて行くと云う事がインプットされているのだと思います。
まぁ、ピンポイントで行けば、日本だって平穏無事に来たわけじゃない事は承知しています。
大きな話になってしまうので、ここでどこまで伝えられるのか解らないんですが…
自然環境の話だけすれば…
確かに火山活動の活発な火山列島で、大地震も多い土地ではあります。
当然、自然条件という意味では飢饉に見舞われる事もありました。
しかし、日本の場合、通常の日本の温暖湿潤性気候の状態であれば、土地を開墾したら、その土地に種を植えて、育てて、実りを迎える事が出来ます。
そうでない土地に国土のある国々は数多くあります。
砂漠であったり、標高が非常に高く土地が貧しかったり…
少ない食料を奪い合って殺し合いをしていた民族だってあります。
まぁ、どういえばいいのかは解りませんが…
正直、これは全体像を見ているか、ピンポイントでのツッコミを入れるか…という部分の違いもあると思います。

こんな話を聞いた事があります。
アメリカのある地域で大地震が起きたそうです。
その時、日本人は自分たちも被災しているのに自分の持っているものを持ち出して炊き出しをしたそうです。
ある、アジアの別の国の人は自分の私財を持ってその場から逃げだし、挙句の果てに火事場泥棒を働いていたと云います。
この違い…民族性の違い…という事で片付けてしまうとそこで話が終わってしまうのですが…
大陸では火事場泥棒というのは結構当たり前です。
ここで、私財を持ちだして炊き出しを行う日本人の方が珍しいんです。
これまで、日本人という民族はそういった事が出来るだけの何かがあるんですよね。
ある意味、日本人には助け合いという心があったと云う事ですし、そう云った助け合うと云う気持ちはある程度余裕がなければできない事です。
そう云った余裕が生まれてくるのは…まぁ、言い方は乱暴かもしれませんが、日本人がほかの民族よりも恵まれた環境の中で生きてきた…という解釈を和泉はしました。
心にゆとりがなければ助け合いなどという事は考える事が出来ません。
自分も苦しいけど、相手も苦しい…
なら、自分のできる事をしようと考えられる日本人のその考え方、同じ日本人として誇りに思うし、自分もそうありたいと思います。
この話を始めると、色々な要素が含まれているので、非常に話が長くなってしまいますので…
ただ、日本人は頑張れば何とかなる…というそんな環境にいたのだと思います。
しかし、世界にはすがるものが架空の神様しかいなかったと云う民族は沢山あります。
元々、日本の八百万の神の話から来ているネタだったのですが…
和泉の文章の書き方の拙さで色々、思うところがあった事に関してはお詫び致します。
また、こうした形で何か、『違うんじゃないの?』と思われる事がありましたら、どんどんご指摘ください。
いつも、Rinkaさまのお話は深く考えさせて頂いています。
この度も、有難う御座居ました。m(__)m


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posted by 和泉綾 at 08:12| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

2010年04月26日

It's Destiny 21

難しい事?



 スザクの話しを聞いていて…
色々複雑な思いを抱える。
あの時、自分のしたこと…
それは一体何だったのか…
それを考える事さえも…今は必要ないと云われても…
ただ、あの時、一番辛い役割を担ったスザクが…そう云ったのだ。
ルルーシュの『罪』が許されたわけではない。
―――これも…俺に対する『罰』だと云うのか…
あの時の事をいつまでも引きずって、不幸の中心にいる様な顔をしていれば、それは確かに不愉快極まりないだろう。
あの時、『ゼロ・レクイエム』の為に命を落とした者たちにとっても。
現世であの時の記憶がないとはいえ、ルルーシュを見守っている者たちにとっても。
そして、自ら『業』を背負ったミレイだって、救われない。
そう思えて来るけれど…
「本当に…難しそうだな…」
体調を整えて、学校へ行こうと考えているルルーシュが、ぼそりと呟いた。
その小さな呟きにスザクはため息を吐いた。
「本当に…頭のいい人って、なんでそんなに難しく考えようとするのかな…」
スザクの言葉に、更にルルーシュの中で混乱してしまう。
あのときだって、多くの『罪』を犯して来た。
今も…無気力な毎日を送っている。
何かを欲しいと願っているのに、それも、『罪』であると云う思いが、無意識の中に会ったのかもしれない。
ただ…
己の『罪』を知りつつ、自分の中で許すことが出来ない状態で…
笑うと云うこと。
自分が何をしてきたのか、解っているだけに。
笑って欲しいなら、何故、記憶を取り戻す必要があったのか…
そんな事をぐるぐる考えてしまうが…
「理屈…じゃないんだと思うよ…ルルーシュ。僕もルルーシュも、あの時、間違った方法を取ってしまった。ロイドさんもセシルさんも、ジェレミア卿もナナリーもあの時みんな苦しんでいた。本当は…みんなで背負わなければならなかった事だったのに…背負いきれないものを一人で背負おうとした君のお陰で、確かに傷を深くした人だっている。何故、その人たちがそれほど深い傷を負ってしまったか…解るかい?」
スザクが、子供を諭す様に尋ねた。
確かに、前世でもスザクの方が長く生きて、今もスザクの方が年上なのだから、間違ってはいないが…
あの時、ルルーシュもスザクも、間違った判断をした。
それ故に、あのような形で世界を暗黒に突き落とし、『ルルーシュ皇帝』が『ゼロ』によって討たれた…事実だけでは…
ルルーシュの考えていた『世界の明日』は訪れなかった。
どの道、世界のすべての人々が何かの形で努力しなければならなかった。
時代の変わり目と云うのは混乱するものであり、そして、誰か一人のせいではない。
誰か一人の所為に出来る程…時代の変わり目と云うものは軽くない。
あの時点で…それを解る者がいなかった。
大人たちは…その『責』を恐れて、見て見ぬ振りをしていたのではないかと思われるほど…あの『ゼロ・レクイエム』は解り易かった。
解り易過ぎて…全てがルルーシュの所為となり…あの時の『戦いの本質』や『意味』を理解出来た者があまりに少なかった。
その後、苦労を重ねた者たちは、それを理解してしまった者たちに限定された。

 スザクにしてみれば、あの時のことがあるから…今、こうして安定した世界があると云うが…
確かに歴史は、時代の積み重ねだ。
どの時間も、出来事も全てが重なって今があるのだ。
だから、スザクは、あれも今のこの時代を作り上げる為の、ピースの一つにすぎないと思える。
見て来たから…
あの後も自分の意思を貫く為に、自分の守りたいものの為に、自分の欲しいものを得る為に…
それが、政治に関わって来る事であるとかないとか、世界経済に関わって来る事であるとかないとか、時代を変えて思う程大きなことであるとかないとか…
そんなことは関係なしに、人々は何かと退治したり、何かに抗ったり、何かと戦ったり…
そんな事をして生きている。
結局、責任を全てルルーシュに押し付けてしまった為に、生き残った者たちは、自分のやったことから目を逸らせる結果となった。
『黒の騎士団』であれ、『ブリタニア軍』であれ、その戦いに参加した者たちにもあの時代の責任は等しく負うべきものとして存在する。
それを理解できない状態であれば、生き残った者たちがすべて『正義』となってしまった。
それぞれ、自分の思う事も、考える事も、信じるものも、何もかもが違う。
正反対の価値観を持つ者たちが『自分を正義』と自己主張を始めれば…
どうなるかなど、こうして落ち着いた形で考えれば…否、考えるまでもなく、火を見るより明らかだ。
それぞれに『正義』があった。
それは、『黒の騎士団』もそうだったし、スザクもそうだった。
話し合いと云うテーブルは…『平和』のカギになどなりはしない。
それぞれに、それぞれの言い分がある限り、話し合いだけで解決できない事だってある…
スザクはそれを見て来た。
だから…
「ルルーシュ…もう一度聞くよ?あの時、君の願ったものを理解し、協力して来た人たちが…更に深く傷ついた。それは、何故傷ついたか解るかい?そして、その傷がどれほどのものだったか、解るかい?」
スザクが尋ねるが…返事はない。
ルルーシュ自身、それが解らない筈はない…
そう信じているからこそ、スザクは尋ねている。
あの時の判断…ルルーシュとスザクは間違った判断をして、間違った方法を取り、間違った結果を出した。
でも、それはその世界を見て来たスザクの見方だ。
あの時を生きた者たちの中には『ゼロ・レクイエム』を正しいと判断した者もいれば、そうでないと判断した者もいる。
そして、『ルルーシュ皇帝』を肯定した者もいれば、否定した者もいる。
『ゼロ』だって同じだ。
その時点で…全ての人々が同じ方を向いて、同じ思いを抱いて生きて行くことなんて…あり得ないのだ。
「みんな…ずっと、その傷を背負っていたのか…?」
ルルーシュが逆に尋ねる。
スザクはやっと口を開いたルルーシュにほっとする。
「ずっと深いままだったかどうかは知らない。でも、その傷を忘れた人はいなかった…ってことだけは云えるよ。だから…ルルーシュ、君は君として、この時代で幸せにならなければならないんだ…。誰に縛られるでもなく、誰に命じられるでもなく…君自身の為に…」

 スザクの言葉は重い。
学校へ行こうと云うその気持ち自体は多分、ウソ偽りはない。
その言葉を違えるつもりもなかった。
ただ、スザクはルルーシュの中にある何かに気づいたのだろう…
だから、ルルーシュが『体調を整えて学校へ行く』と云ったのに、このような事をまた、付け加えて話しているのだろう。
「僕は…もうこの時代になって、あの時代を生きて、ルルーシュの『罪』を責めるつもりはないよ。あの時、僕も君も『罰』を受けたんだ。だから、君はもう…余計なことは考えるな…」
スザクの言葉が…
心の奥に突き刺さる。
まるで、『ギアス』にかけられたかのように…
今、『ギアス』と云う能力に出会うことはないだろう。
これまでも、これからも…
なのに、そう感じるのは…
それは…
―――スザクの言葉の重み…
ルルーシュの中でそんな風に思う。
実際に、スザクの言葉の一つ一つが非常に重く感じる。
見て来た者の言葉…と云うことか…
「なら…なぜ、俺たちの記憶が蘇ったんだ?あのままなら…俺はスザクを特別な大人と見る子供でしかなかったのに…」
「そんなことは解らないけれど…。でも、あの時、ルルーシュや僕の為に泣いてくれた人、傷ついてくれた人…そんな人たちの…祈りじゃないのかな…」
スザクの言葉に、ルルーシュは更に驚いた表情を見せる。
『祈り』
それは…どう云うことなのか…
「ミレイさんを見ていれば解るでしょ?ミレイさん、僕たちに云ったじゃない…。『『ルルーシュ』として、『スザク』として幸せになりなさい!』と…。それを見届ける為にわざわざこんな過酷な運命を背負ったと…」
ミレイの言葉…
多分、あの時、二人の事を思ってくれた人々の『祈り』が集約されているのだと…
スザクは付け加えた。
「幸せ…か…。よく…解らないよ…」
ぼそりと呟く。
確かに…ルルーシュに『幸せ』などと云う言葉の意味が本当の意味で解っているとも思えない。
否、人間、誰も解っていない。
『幸せ』とはなるものじゃない…
『幸せ』とは感じるもの…
それに気づくまでは、ルルーシュだけでなく、スザクも『幸せ』の中に身を置くことはできないだろう。
「難しいな…」
ルルーシュはもう一度、その言葉を口に出した。
さっきまで、C.C.を探そうと思っていた。
何故、こんなことになってしまったのか…
何故、ミレイにその様な事を頼まれて、承諾したのか…
それを聞きたかったから。
あのC.C.がちょっと何かを云われたくらいで、そんなことを承諾する筈がない。
そして、彼女自身、契約違反者の為に骨を折るなんて事はする筈がない。
それでも…
C.C.はミレイにルルーシュ達と出会えた時、その時の記憶を取り戻す措置を施されていた。
それが、この現世で彼らが幸せになったところを見たと、彼女が思えなければ、また、あの時の記憶を取り戻して生きる人生を繰り返すことになるのだろうか…
あの時代、思い出して面白おかしいと思えるような時代ではない。
懐かしめる時代でもない。
「もし、C.C.を探しに行きたくなったら…行ってよ…。僕も行くから…。僕だって、彼女には云いたいことがたくさんあるんだ…」
「スザク…」
まるで、心の中を見透かされてるような…
そんな気持ちになる。

 そんな気持ちになって、そんなルルーシュの表情を見て、スザクがスクッと立ち上がった。
「どうする?僕、ここにいていいなら、泊まって行くけれど…」
「お前は…いいのか?明日もその格好で行くわけには…」
「明日、僕が会社に行ったら、ミレイさんのおもちゃだよ…。ルルーシュが嫌なら帰るけれど…」
「嫌な…わけじゃない…」
相変わらず、素直じゃない言い回しだ。
どう見ても、どう考えても、今はまだ、中学生のルルーシュ。
そして、この現世で決して家族の愛に恵まれている様には見えないルルーシュ。
現世でのスザクは…
普通のサラリーマンの家庭で、両親の愛情はしっかり貰った。
あの頃の『業』を背負わされているとしたら…あまりに不可解なほどに…
確かに、早世してしまったけれど…
でも、あの両親は決して不幸な人生はなかったと…今なら思う。
独りよがりでも何でもない…
確かに、スザクが大学を卒業して、就職して、結婚して、孫の顔を見て…
と云う人生設計は立てていたかもしれないけれど…
それでも、彼らはスザクの両親として不幸だったとは思わない。
スザクも、あの両親の下に生まれて幸せだと思う。
あの時、ルルーシュと同じくらいの『罪』を犯しているスザクだ。
もし、これまでの人生の幸せが何かの間違いで何かの形で返せと言われたなら…
あの時、同じように『罪』を犯したルルーシュが、自分と同じくらい幸せになって欲しいと思う。
愛されているのに…
愛したいのに…
そのどちらもどうしていいか解らない少年のルルーシュに…
「じゃあ、看病を兼ねて泊まって行くよ…。あ、そうだ、何か食べないとね…。と云うか、冷蔵庫の中、見せて貰ったけれど…」
スザクがそこまで云った時、ルルーシュがスザクの言葉を遮った。
「ああ、ここのところ、自分で出かけていないし、マオが…買ってきてくれたものが殆どだからな…」
ルルーシュがバツの悪そうにそんな事を云い放つ。
確かに、とても動けるような状態だったとは思えない。
「そっか…じゃあ、僕が買い物に行って来るよ…。多分、まだちゃんと動けないだろう?僕の作れるものでいいかな?」
「お前…料理なんて…」
「あのねぇ…これでも苦学生やっていたんだから…。簡単なものくらいは作れるよ…」
スザクが苦笑しつつ、答える。
ルルーシュの中であの頃のスザクの印章しかないから…
時間が経っていると思う。
そして、生まれ変わって、違う人生を歩んでいるのだと思う。
でも、生まれ変わって、違う人生を歩んでいる筈なのに…
―――やっぱり…俺は…
そこまで思って、苦笑して、そんな考えを振り払った。
そんな風に思われたら、きっと、スザクに迷惑だと思うから…
「じゃあ、行って来るね…」
スザクがそう云いつつ、出て行くのを見送った。
心の中に、何かを感じながら…
その何かが、非常に漠然とし過ぎていて…なんのかはよく解らない。
不安なのか、それとも別のものなのかさえ…この時は解らなかった…

 スザクがマンションを出て行き、近所のスーパーに足を運ぶ。
いろいろな思いはあるものの…
今更前世の事でルルーシュを憎むつもりはない。
あの時…
―――確かに…ルルーシュを憎んだけれど…嫌いになったことは…ない…
憎悪と嫌悪は違う…
今なら…そう思える。
ナイトオブラウンズになって…『ゼロを殺すのは…自分です…』と云った時…
スザクの中で、その『ゼロ』とは、一体誰だったのか…
正直、よく覚えていない。
と云うか、解らない。
あの時、既にナイトオブラウンズとして、戦場に赴き、スザク自身、自分の本意ではないにしろ、数多くの命を踏みつけにして来ているのだ。
何も、あの時、『人殺し』と云う意味ではルルーシュだけが罪人ではない事を、スザクはよく知っている。
ただ、それを知る者が少なかったから…
あのあと、世界は荒れたのだ。
ルルーシュを見ていると…本当に痛々しいと思う。
未だに、あんな形で『罪の意識』を抱き続けている。
あの時、あの時代…
『ゼロ・レクイエム』の後、各国の執政者となって、その『罪』のなかった者などいやしない。
あの世界の混沌を作りだしたのはルルーシュ一人の責任ではない。
寧ろ、幕を下ろす為に、自ら生贄となった…
それだけの様に見える。
ユーフェミアを殺した事…
それについて恨みを抱くのであれば、それは個人的感情であり、そして、それを戦争に持ち込んではならない。
でも、スザクは…あの時…
個人的感情に縛られて…『ゼロ』を殺そうとしていた。
「そう云う意味では…ルルーシュの方が遥かに徹底していたな…」
そんな事を呟いてしまう。
買い物かごの中に多くの食材を入れてレジへと向かう。
そして、会計を済ませた後…出口に向かって歩いて行き、ルルーシュのいるマンションの方へと足を向ける。
その時…
「枢木…スザクさんですね?」
待ち伏せされていたかのように目の前に一人の男が現れた。
確かに品の良さを感じるけれど…
でも、スザクの中の何かが油断してはならないと訴えている。
「あの…」
スザクが戸惑った様にその男に対して何かを尋ねようとするが…
「これは失礼。私、シュナイゼル≂ランペルージの秘書を務めております、カノン=マルディーニと申します…」
その名前を聞いて…スザクが顔色を変えた。
スザクの中でいろいろ整理する。
―――ルルーシュの父親は…
何故もっと早く気付かなかったのか…そんな事を思うのだが…
でも、今はそんな事を考えているような状況ではない。
名刺を受取りながら、頭の中でいろいろ考えるが…
相手が何を考えているのか解らないので、どうにもならない。
「枢木スザクは…僕です。何の…お話しでしょうか?」
相手は恐らく、あの時の記憶を持たない存在…
でも、ルルーシュの周囲には様々な思惑を持ち、そして、ルルーシュの中で異様に『前世の罪』の意識が強くなっている原因は…
―――ひょっとしたら…
そんな事を思った時、スザクの中で一つの考えが浮かび上がる。
多分、辻褄が合っている…
「ルルーシュ≂ランペルージ様について…少々お話しを伺いたいのです。ルルーシュ様の父親であるシュナイゼル≂ランペルージ議員はルルーシュ様をとても大切に思っていらっしゃいまして…。でも、お仕事の都合で中々会う事さえ叶わないことで心を痛めておいでなのです…」
スザクは…その言葉に…緊張を感じずにはいられなかった…

To Be Continued


あとがきに代えて



も一回だけちょっとスザルル2ショットにしようと思って、
お泊りしようと云う話まで云って…
フフフ…
皆さんはきっと、和泉のこう云う展開を期待されていると思いまして…(←違!)
やっぱり、スザルルや山あり、谷ありでないと…。
ギネヴィアさん…先に出したかったのですが…マオが随分活躍してくれたお陰で、シュナパパが先になりました。
一応、シュナパパもギネママもルルーシュの事を愛しているんです。
でも、ルルーシュを独り占めしたいと云う独占欲が強すぎて、ルルーシュが困っちゃっていて、でもって、お互いルルーシュを取り合いしているもんだから…(笑)
まぁ、ギネヴィアさんにはいろいろ役に立って貰う予定もあります。
くっそぉ…学校のシーンが出て来ないなぁ…
学校に行ってから、また新キャラでる予定なんですけれど…
つうか、名前しか出せなくなっているキャラもいるし、玉城はどこ行った?ってな感じになりつつあるんですが…
玉城にもちゃんと役割があります。
と云うか、最初は1回で終わるかもしれなかったこの話…
書き始めたら結構濃い話になってきましたね…(笑)
書いていて楽しいです。

あと、(時間の都合で)ぶった切り状態でしたが…今日、『キセ誕』のDVDを見終えました。
正直、『It’s Destiny』の日には見ちゃいかんかった…
つうか、スザク普通に仮面外しているし…
とか思った和泉は間違っているでしょうか?
一応、『枢木スザク』は死んだことになっているわけですしねぇ…
色々ツッコミどころ満載でした。
まぁ、公式のイベントは…とりあえず、ノータッチで行こうと思います。
DVDを楽しみに待つ事にします。
『キセ誕』の際はチケットの事から始まって、参加された方の感想を見ていて、非常に嫌な思いをしたので…
最初から行かないと決めていれば、ここまで嫌な思いをしなくて済みますしね…
スザ誕イベントも…一部では『ホントに公式イベントなの?』と云う声が上がっているそうですが…。
まぁ、参加申し込みに関しては『キセ誕』の時よりマシかな…とは思っています。


☆拍手のお返事


紫翆さま:こんばんは、コメント有難う御座居ます。
やっと、晴れの日が出てきてくれましたが…気温の上がり方がいまいち微妙…
未だにストーブをしまえないってどういう事?
という生活ですが…それでも、晴れてくれるとガタの来ている膝が楽で助かります。

『幼馴染シリーズ』
色々と、複雑な話になってしまいましたが…
ゼロの暴走を止める為にはこれしかなかったんです…(爆)
ホント、ユーフェミアを止める為にユーフェミアに銃口を向けざるを得なかったルルーシュのあの苦悩が解ります(←うそつけ!)
まぁ、ゼロの中に存在するもの…
割とオーソドックスに行きたいとは思っておりますが…
誰がオーソドックスなんでしょうね…この場合…(そうやって混乱を振りまくな!)

ルルーシュも、少々影が薄くなっておりますが…なんだか悩んでいるご様子…。
ただ、ルルーシュが落ち込んでくれないと、スザクの株が…(爆)←こんなところでぶっちゃけるな!
まぁ、ルルーシュの場合、普通に悩みそうですよね…。
自分でいらん事考え過ぎて、悩みを大きくしていくタイプなので…
スザクが今の状態をどこまで把握しているかも問題なのですが…

シュナ兄も始動しそうですし…
この話…書き始めた当初はここまで急展開を繰り返す話になるとは思っていませんでした(笑)
というか、途中打ち切りにすると云うくらい、無反応作品だったので…
ただ、ある一人のイベントで知り合った方に…『大好きで、楽しみにしているんです!』という一言で生き延びた作品です。
未完にするつもりはなかったので、ちゃんとオチを付けるつもりでしたが…
ただ、打ち切りだと解るだろうなぁ…という終わらせ方を真剣に考えていた時期もあります。
それが…ここまで来てくれましたよ…ホント…

『皇子とレジスタンス』
いよいよ戦闘のクライマックスとなってきました。
スザクもライもずっとアヴァロンの中に籠っていましたし…少し暴れさせてあげないと…(え?)
星刻もこれから色々頑張らなくてはなりません。
ブリタニア軍と合流するまでは…
アラスカでアークエンジェルが戦線離脱した時と同じくらい過酷になりますから…
きっと、あのときのフリーダムのごとく、ランスロットと、クラブが現れてくれればかっこいいのになぁ…とは思いますけれど…。
ただ、そこまでの文章力が和泉にあるか…という問題が…(ダメじゃん)

久しぶりにカレンが出てきたんで…割と遊ばせて頂きました。
戦っている方は大変だったと思うのですが…
人質の皆さんの説得も大変だったでしょうね…
ただ、そこに甘んじていれば、いずれ、彼らも殺される訳で…。
あくまで人質ですからね…
その辺りの説明をルルーシュの潜入舞台のみなさんが一生懸命して下さって、更にキューエル達が一生懸命説得し誕でしょうね…

この話のルルーシュ…成長段階に問題があるので、それを矯正するのはスザクとライの役目です。
色々苦労しそうな二人ですが…
でも、そう云う意味ではシュナ兄も一緒でしょうね…
あと、別の意味で苦労しているのはコーネリアの騎士であるギルフォードでしょう…
あのおてんば姫は…言い出したら聞かないし、彼女の場合、前線に立たせたら先頭切って突っ込みますからね…
ロスカラでナリタ戦の時にはつくづく思いましたよ…ホント…(笑)

『おかえりなさい』&『ただいま』
ルルーシュが女々しかったので…どうなんだろうと思っていたのですが…
でも、ルルーシュ…背後で『悪逆皇帝オーラ』全開で睨んでいます…(; ̄ー ̄川 アセアセ)
そっか…『おかえりなさい』の方は、ちゃんと恋人であると云う記述がなかったんですね…
すみません…それは和泉のミスです。
でも、ドキドキ感を楽しんで頂けていたなら幸いです。

ルルーシュ自身、意地っ張りだし、強がろうとするし…
だとすると、やっぱり、灯りを見てもきっと、自分の中で無関心を装おうとするでしょうね。
そして、自分の傷を少しでも浅くしようと…

で、帰ってきて、スザクがいたのはいいんですが…
ホントに能天気ですね…(笑)
和泉ならその場でぶっ飛ばしています…(爆)
でも、ルルーシュの方は…
すっかり頭が真っ白になりそうになっていて…最後の僅かな緊張感も、スザクの駄々っ子で吹っ飛んじゃっています。
まぁ、こういうカップルもたまには楽しいかな…と…。
お互いがお互いに振り回されているって感じで…。
しかし…ホントにスザク…行動早いですね…。
これもランスロット並み…と云うんでしょうか?

で、スザク…箍が外れておっかないスザクになっています。
というか、ルルーシュが出て行っちゃったら、DVの旦那の様に追っかけてきそうですが…
で、縛り上げて連れ戻す…見たいな…
書いていてい自分で怖くなりましたが…(爆)
ただ、スザクの方もルルーシュが好き過ぎて…で、危ない方に走っちゃっている訳で…

ホント、リヴァルがいてくれてよかったと思います。
この人がいないと、ホントに血が流れていたかも…(え?)
スザクを暴走させるとこうなるんですね…
勉強になりました。
この話に関しては…割と書いている時は楽しかったです。
読み返すと怖かったのですが…(爆)

他の話も読んでみたいなんて言って頂けて光栄です。
また、機会がありましたら…
和泉の場合、SSよりもこうした形でシリーズにしちゃった方がいいんでしょうかね…
『ふたりぐらし』の時も続きを読み立ちおっしゃって下さった方が多くて…
ホント嬉しいです。
皆さんに続きやこの設定で他の話を読んでみたいと思って頂けるような作品をもっと書いていきたいと思います。

『はなもも』
中々面白い木ですよね…。
ただ、ちょっと早かったみたいで、日当たりのいいところは咲いているんですが、少々標高が高くなって、日蔭のところはまだつぼみだったんですよ…。
G.W.中、一度、実家に行く事になっているのですが…
その時にリンゴの花が見れるかなぁ…
ちょっと早いかもなんですが…
もし、咲いていたら、リンゴの花を撮ってきます。

G.W.は多分、実家に行く以外は原稿に追われると思います。
5月のターボ…
もし取れていたら結構締め切りが…やばいので…
休み中に一つ書きあげちゃいたいと思います。
後は…
6月のオンリーがその3週間後なので…
しっかりやりたいとは思っているんですが…
仕事はしないけど、原稿を書く予定です。
紫翆さまも、お仕事、お疲れ様です。
紫翆さまに少しでも楽しんで頂けるように頑張ります。

あと、リクに関しては届いております。
今回、リクを頂いた段階でお返事には書いていなかったので…。
来週の火曜日からリク企画を開始致します。
紫翆さまの下さった作品が最初になります。
よろしければそちらも楽しんで頂ければ幸いです。


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posted by 和泉綾 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

It's Destiny 21

難しい事?



 スザクの話しを聞いていて…
色々複雑な思いを抱える。
あの時、自分のしたこと…
それは一体何だったのか…
それを考える事さえも…今は必要ないと云われても…
ただ、あの時、一番辛い役割を担ったスザクが…そう云ったのだ。
ルルーシュの『罪』が許されたわけではない。
―――これも…俺に対する『罰』だと云うのか…
あの時の事をいつまでも引きずって、不幸の中心にいる様な顔をしていれば、それは確かに不愉快極まりないだろう。
あの時、『ゼロ・レクイエム』の為に命を落とした者たちにとっても。
現世であの時の記憶がないとはいえ、ルルーシュを見守っている者たちにとっても。
そして、自ら『業』を背負ったミレイだって、救われない。
そう思えて来るけれど…
「本当に…難しそうだな…」
体調を整えて、学校へ行こうと考えているルルーシュが、ぼそりと呟いた。
その小さな呟きにスザクはため息を吐いた。
「本当に…頭のいい人って、なんでそんなに難しく考えようとするのかな…」
スザクの言葉に、更にルルーシュの中で混乱してしまう。
あのときだって、多くの『罪』を犯して来た。
今も…無気力な毎日を送っている。
何かを欲しいと願っているのに、それも、『罪』であると云う思いが、無意識の中に会ったのかもしれない。
ただ…
己の『罪』を知りつつ、自分の中で許すことが出来ない状態で…
笑うと云うこと。
自分が何をしてきたのか、解っているだけに。
笑って欲しいなら、何故、記憶を取り戻す必要があったのか…
そんな事をぐるぐる考えてしまうが…
「理屈…じゃないんだと思うよ…ルルーシュ。僕もルルーシュも、あの時、間違った方法を取ってしまった。ロイドさんもセシルさんも、ジェレミア卿もナナリーもあの時みんな苦しんでいた。本当は…みんなで背負わなければならなかった事だったのに…背負いきれないものを一人で背負おうとした君のお陰で、確かに傷を深くした人だっている。何故、その人たちがそれほど深い傷を負ってしまったか…解るかい?」
スザクが、子供を諭す様に尋ねた。
確かに、前世でもスザクの方が長く生きて、今もスザクの方が年上なのだから、間違ってはいないが…
あの時、ルルーシュもスザクも、間違った判断をした。
それ故に、あのような形で世界を暗黒に突き落とし、『ルルーシュ皇帝』が『ゼロ』によって討たれた…事実だけでは…
ルルーシュの考えていた『世界の明日』は訪れなかった。
どの道、世界のすべての人々が何かの形で努力しなければならなかった。
時代の変わり目と云うのは混乱するものであり、そして、誰か一人のせいではない。
誰か一人の所為に出来る程…時代の変わり目と云うものは軽くない。
あの時点で…それを解る者がいなかった。
大人たちは…その『責』を恐れて、見て見ぬ振りをしていたのではないかと思われるほど…あの『ゼロ・レクイエム』は解り易かった。
解り易過ぎて…全てがルルーシュの所為となり…あの時の『戦いの本質』や『意味』を理解出来た者があまりに少なかった。
その後、苦労を重ねた者たちは、それを理解してしまった者たちに限定された。

 スザクにしてみれば、あの時のことがあるから…今、こうして安定した世界があると云うが…
確かに歴史は、時代の積み重ねだ。
どの時間も、出来事も全てが重なって今があるのだ。
だから、スザクは、あれも今のこの時代を作り上げる為の、ピースの一つにすぎないと思える。
見て来たから…
あの後も自分の意思を貫く為に、自分の守りたいものの為に、自分の欲しいものを得る為に…
それが、政治に関わって来る事であるとかないとか、世界経済に関わって来る事であるとかないとか、時代を変えて思う程大きなことであるとかないとか…
そんなことは関係なしに、人々は何かと退治したり、何かに抗ったり、何かと戦ったり…
そんな事をして生きている。
結局、責任を全てルルーシュに押し付けてしまった為に、生き残った者たちは、自分のやったことから目を逸らせる結果となった。
『黒の騎士団』であれ、『ブリタニア軍』であれ、その戦いに参加した者たちにもあの時代の責任は等しく負うべきものとして存在する。
それを理解できない状態であれば、生き残った者たちがすべて『正義』となってしまった。
それぞれ、自分の思う事も、考える事も、信じるものも、何もかもが違う。
正反対の価値観を持つ者たちが『自分を正義』と自己主張を始めれば…
どうなるかなど、こうして落ち着いた形で考えれば…否、考えるまでもなく、火を見るより明らかだ。
それぞれに『正義』があった。
それは、『黒の騎士団』もそうだったし、スザクもそうだった。
話し合いと云うテーブルは…『平和』のカギになどなりはしない。
それぞれに、それぞれの言い分がある限り、話し合いだけで解決できない事だってある…
スザクはそれを見て来た。
だから…
「ルルーシュ…もう一度聞くよ?あの時、君の願ったものを理解し、協力して来た人たちが…更に深く傷ついた。それは、何故傷ついたか解るかい?そして、その傷がどれほどのものだったか、解るかい?」
スザクが尋ねるが…返事はない。
ルルーシュ自身、それが解らない筈はない…
そう信じているからこそ、スザクは尋ねている。
あの時の判断…ルルーシュとスザクは間違った判断をして、間違った方法を取り、間違った結果を出した。
でも、それはその世界を見て来たスザクの見方だ。
あの時を生きた者たちの中には『ゼロ・レクイエム』を正しいと判断した者もいれば、そうでないと判断した者もいる。
そして、『ルルーシュ皇帝』を肯定した者もいれば、否定した者もいる。
『ゼロ』だって同じだ。
その時点で…全ての人々が同じ方を向いて、同じ思いを抱いて生きて行くことなんて…あり得ないのだ。
「みんな…ずっと、その傷を背負っていたのか…?」
ルルーシュが逆に尋ねる。
スザクはやっと口を開いたルルーシュにほっとする。
「ずっと深いままだったかどうかは知らない。でも、その傷を忘れた人はいなかった…ってことだけは云えるよ。だから…ルルーシュ、君は君として、この時代で幸せにならなければならないんだ…。誰に縛られるでもなく、誰に命じられるでもなく…君自身の為に…」

 スザクの言葉は重い。
学校へ行こうと云うその気持ち自体は多分、ウソ偽りはない。
その言葉を違えるつもりもなかった。
ただ、スザクはルルーシュの中にある何かに気づいたのだろう…
だから、ルルーシュが『体調を整えて学校へ行く』と云ったのに、このような事をまた、付け加えて話しているのだろう。
「僕は…もうこの時代になって、あの時代を生きて、ルルーシュの『罪』を責めるつもりはないよ。あの時、僕も君も『罰』を受けたんだ。だから、君はもう…余計なことは考えるな…」
スザクの言葉が…
心の奥に突き刺さる。
まるで、『ギアス』にかけられたかのように…
今、『ギアス』と云う能力に出会うことはないだろう。
これまでも、これからも…
なのに、そう感じるのは…
それは…
―――スザクの言葉の重み…
ルルーシュの中でそんな風に思う。
実際に、スザクの言葉の一つ一つが非常に重く感じる。
見て来た者の言葉…と云うことか…
「なら…なぜ、俺たちの記憶が蘇ったんだ?あのままなら…俺はスザクを特別な大人と見る子供でしかなかったのに…」
「そんなことは解らないけれど…。でも、あの時、ルルーシュや僕の為に泣いてくれた人、傷ついてくれた人…そんな人たちの…祈りじゃないのかな…」
スザクの言葉に、ルルーシュは更に驚いた表情を見せる。
『祈り』
それは…どう云うことなのか…
「ミレイさんを見ていれば解るでしょ?ミレイさん、僕たちに云ったじゃない…。『『ルルーシュ』として、『スザク』として幸せになりなさい!』と…。それを見届ける為にわざわざこんな過酷な運命を背負ったと…」
ミレイの言葉…
多分、あの時、二人の事を思ってくれた人々の『祈り』が集約されているのだと…
スザクは付け加えた。
「幸せ…か…。よく…解らないよ…」
ぼそりと呟く。
確かに…ルルーシュに『幸せ』などと云う言葉の意味が本当の意味で解っているとも思えない。
否、人間、誰も解っていない。
『幸せ』とはなるものじゃない…
『幸せ』とは感じるもの…
それに気づくまでは、ルルーシュだけでなく、スザクも『幸せ』の中に身を置くことはできないだろう。
「難しいな…」
ルルーシュはもう一度、その言葉を口に出した。
さっきまで、C.C.を探そうと思っていた。
何故、こんなことになってしまったのか…
何故、ミレイにその様な事を頼まれて、承諾したのか…
それを聞きたかったから。
あのC.C.がちょっと何かを云われたくらいで、そんなことを承諾する筈がない。
そして、彼女自身、契約違反者の為に骨を折るなんて事はする筈がない。
それでも…
C.C.はミレイにルルーシュ達と出会えた時、その時の記憶を取り戻す措置を施されていた。
それが、この現世で彼らが幸せになったところを見たと、彼女が思えなければ、また、あの時の記憶を取り戻して生きる人生を繰り返すことになるのだろうか…
あの時代、思い出して面白おかしいと思えるような時代ではない。
懐かしめる時代でもない。
「もし、C.C.を探しに行きたくなったら…行ってよ…。僕も行くから…。僕だって、彼女には云いたいことがたくさんあるんだ…」
「スザク…」
まるで、心の中を見透かされてるような…
そんな気持ちになる。

 そんな気持ちになって、そんなルルーシュの表情を見て、スザクがスクッと立ち上がった。
「どうする?僕、ここにいていいなら、泊まって行くけれど…」
「お前は…いいのか?明日もその格好で行くわけには…」
「明日、僕が会社に行ったら、ミレイさんのおもちゃだよ…。ルルーシュが嫌なら帰るけれど…」
「嫌な…わけじゃない…」
相変わらず、素直じゃない言い回しだ。
どう見ても、どう考えても、今はまだ、中学生のルルーシュ。
そして、この現世で決して家族の愛に恵まれている様には見えないルルーシュ。
現世でのスザクは…
普通のサラリーマンの家庭で、両親の愛情はしっかり貰った。
あの頃の『業』を背負わされているとしたら…あまりに不可解なほどに…
確かに、早世してしまったけれど…
でも、あの両親は決して不幸な人生はなかったと…今なら思う。
独りよがりでも何でもない…
確かに、スザクが大学を卒業して、就職して、結婚して、孫の顔を見て…
と云う人生設計は立てていたかもしれないけれど…
それでも、彼らはスザクの両親として不幸だったとは思わない。
スザクも、あの両親の下に生まれて幸せだと思う。
あの時、ルルーシュと同じくらいの『罪』を犯しているスザクだ。
もし、これまでの人生の幸せが何かの間違いで何かの形で返せと言われたなら…
あの時、同じように『罪』を犯したルルーシュが、自分と同じくらい幸せになって欲しいと思う。
愛されているのに…
愛したいのに…
そのどちらもどうしていいか解らない少年のルルーシュに…
「じゃあ、看病を兼ねて泊まって行くよ…。あ、そうだ、何か食べないとね…。と云うか、冷蔵庫の中、見せて貰ったけれど…」
スザクがそこまで云った時、ルルーシュがスザクの言葉を遮った。
「ああ、ここのところ、自分で出かけていないし、マオが…買ってきてくれたものが殆どだからな…」
ルルーシュがバツの悪そうにそんな事を云い放つ。
確かに、とても動けるような状態だったとは思えない。
「そっか…じゃあ、僕が買い物に行って来るよ…。多分、まだちゃんと動けないだろう?僕の作れるものでいいかな?」
「お前…料理なんて…」
「あのねぇ…これでも苦学生やっていたんだから…。簡単なものくらいは作れるよ…」
スザクが苦笑しつつ、答える。
ルルーシュの中であの頃のスザクの印章しかないから…
時間が経っていると思う。
そして、生まれ変わって、違う人生を歩んでいるのだと思う。
でも、生まれ変わって、違う人生を歩んでいる筈なのに…
―――やっぱり…俺は…
そこまで思って、苦笑して、そんな考えを振り払った。
そんな風に思われたら、きっと、スザクに迷惑だと思うから…
「じゃあ、行って来るね…」
スザクがそう云いつつ、出て行くのを見送った。
心の中に、何かを感じながら…
その何かが、非常に漠然とし過ぎていて…なんのかはよく解らない。
不安なのか、それとも別のものなのかさえ…この時は解らなかった…

 スザクがマンションを出て行き、近所のスーパーに足を運ぶ。
いろいろな思いはあるものの…
今更前世の事でルルーシュを憎むつもりはない。
あの時…
―――確かに…ルルーシュを憎んだけれど…嫌いになったことは…ない…
憎悪と嫌悪は違う…
今なら…そう思える。
ナイトオブラウンズになって…『ゼロを殺すのは…自分です…』と云った時…
スザクの中で、その『ゼロ』とは、一体誰だったのか…
正直、よく覚えていない。
と云うか、解らない。
あの時、既にナイトオブラウンズとして、戦場に赴き、スザク自身、自分の本意ではないにしろ、数多くの命を踏みつけにして来ているのだ。
何も、あの時、『人殺し』と云う意味ではルルーシュだけが罪人ではない事を、スザクはよく知っている。
ただ、それを知る者が少なかったから…
あのあと、世界は荒れたのだ。
ルルーシュを見ていると…本当に痛々しいと思う。
未だに、あんな形で『罪の意識』を抱き続けている。
あの時、あの時代…
『ゼロ・レクイエム』の後、各国の執政者となって、その『罪』のなかった者などいやしない。
あの世界の混沌を作りだしたのはルルーシュ一人の責任ではない。
寧ろ、幕を下ろす為に、自ら生贄となった…
それだけの様に見える。
ユーフェミアを殺した事…
それについて恨みを抱くのであれば、それは個人的感情であり、そして、それを戦争に持ち込んではならない。
でも、スザクは…あの時…
個人的感情に縛られて…『ゼロ』を殺そうとしていた。
「そう云う意味では…ルルーシュの方が遥かに徹底していたな…」
そんな事を呟いてしまう。
買い物かごの中に多くの食材を入れてレジへと向かう。
そして、会計を済ませた後…出口に向かって歩いて行き、ルルーシュのいるマンションの方へと足を向ける。
その時…
「枢木…スザクさんですね?」
待ち伏せされていたかのように目の前に一人の男が現れた。
確かに品の良さを感じるけれど…
でも、スザクの中の何かが油断してはならないと訴えている。
「あの…」
スザクが戸惑った様にその男に対して何かを尋ねようとするが…
「これは失礼。私、シュナイゼル≂ランペルージの秘書を務めております、カノン=マルディーニと申します…」
その名前を聞いて…スザクが顔色を変えた。
スザクの中でいろいろ整理する。
―――ルルーシュの父親は…
何故もっと早く気付かなかったのか…そんな事を思うのだが…
でも、今はそんな事を考えているような状況ではない。
名刺を受取りながら、頭の中でいろいろ考えるが…
相手が何を考えているのか解らないので、どうにもならない。
「枢木スザクは…僕です。何の…お話しでしょうか?」
相手は恐らく、あの時の記憶を持たない存在…
でも、ルルーシュの周囲には様々な思惑を持ち、そして、ルルーシュの中で異様に『前世の罪』の意識が強くなっている原因は…
―――ひょっとしたら…
そんな事を思った時、スザクの中で一つの考えが浮かび上がる。
多分、辻褄が合っている…
「ルルーシュ≂ランペルージ様について…少々お話しを伺いたいのです。ルルーシュ様の父親であるシュナイゼル≂ランペルージ議員はルルーシュ様をとても大切に思っていらっしゃいまして…。でも、お仕事の都合で中々会う事さえ叶わないことで心を痛めておいでなのです…」
スザクは…その言葉に…緊張を感じずにはいられなかった…

To Be Continued


あとがきに代えて



も一回だけちょっとスザルル2ショットにしようと思って、
お泊りしようと云う話まで云って…
フフフ…
皆さんはきっと、和泉のこう云う展開を期待されていると思いまして…(←違!)
やっぱり、スザルルや山あり、谷ありでないと…。
ギネヴィアさん…先に出したかったのですが…マオが随分活躍してくれたお陰で、シュナパパが先になりました。
一応、シュナパパもギネママもルルーシュの事を愛しているんです。
でも、ルルーシュを独り占めしたいと云う独占欲が強すぎて、ルルーシュが困っちゃっていて、でもって、お互いルルーシュを取り合いしているもんだから…(笑)
まぁ、ギネヴィアさんにはいろいろ役に立って貰う予定もあります。
くっそぉ…学校のシーンが出て来ないなぁ…
学校に行ってから、また新キャラでる予定なんですけれど…
つうか、名前しか出せなくなっているキャラもいるし、玉城はどこ行った?ってな感じになりつつあるんですが…
玉城にもちゃんと役割があります。
と云うか、最初は1回で終わるかもしれなかったこの話…
書き始めたら結構濃い話になってきましたね…(笑)
書いていて楽しいです。

あと、(時間の都合で)ぶった切り状態でしたが…今日、『キセ誕』のDVDを見終えました。
正直、『It’s Destiny』の日には見ちゃいかんかった…
つうか、スザク普通に仮面外しているし…
とか思った和泉は間違っているでしょうか?
一応、『枢木スザク』は死んだことになっているわけですしねぇ…
色々ツッコミどころ満載でした。
まぁ、公式のイベントは…とりあえず、ノータッチで行こうと思います。
DVDを楽しみに待つ事にします。
『キセ誕』の際はチケットの事から始まって、参加された方の感想を見ていて、非常に嫌な思いをしたので…
最初から行かないと決めていれば、ここまで嫌な思いをしなくて済みますしね…
スザ誕イベントも…一部では『ホントに公式イベントなの?』と云う声が上がっているそうですが…。
まぁ、参加申し込みに関しては『キセ誕』の時よりマシかな…とは思っています。


☆拍手のお返事


紫翆さま:こんばんは、コメント有難う御座居ます。
やっと、晴れの日が出てきてくれましたが…気温の上がり方がいまいち微妙…
未だにストーブをしまえないってどういう事?
という生活ですが…それでも、晴れてくれるとガタの来ている膝が楽で助かります。

『幼馴染シリーズ』
色々と、複雑な話になってしまいましたが…
ゼロの暴走を止める為にはこれしかなかったんです…(爆)
ホント、ユーフェミアを止める為にユーフェミアに銃口を向けざるを得なかったルルーシュのあの苦悩が解ります(←うそつけ!)
まぁ、ゼロの中に存在するもの…
割とオーソドックスに行きたいとは思っておりますが…
誰がオーソドックスなんでしょうね…この場合…(そうやって混乱を振りまくな!)

ルルーシュも、少々影が薄くなっておりますが…なんだか悩んでいるご様子…。
ただ、ルルーシュが落ち込んでくれないと、スザクの株が…(爆)←こんなところでぶっちゃけるな!
まぁ、ルルーシュの場合、普通に悩みそうですよね…。
自分でいらん事考え過ぎて、悩みを大きくしていくタイプなので…
スザクが今の状態をどこまで把握しているかも問題なのですが…

シュナ兄も始動しそうですし…
この話…書き始めた当初はここまで急展開を繰り返す話になるとは思っていませんでした(笑)
というか、途中打ち切りにすると云うくらい、無反応作品だったので…
ただ、ある一人のイベントで知り合った方に…『大好きで、楽しみにしているんです!』という一言で生き延びた作品です。
未完にするつもりはなかったので、ちゃんとオチを付けるつもりでしたが…
ただ、打ち切りだと解るだろうなぁ…という終わらせ方を真剣に考えていた時期もあります。
それが…ここまで来てくれましたよ…ホント…

『皇子とレジスタンス』
いよいよ戦闘のクライマックスとなってきました。
スザクもライもずっとアヴァロンの中に籠っていましたし…少し暴れさせてあげないと…(え?)
星刻もこれから色々頑張らなくてはなりません。
ブリタニア軍と合流するまでは…
アラスカでアークエンジェルが戦線離脱した時と同じくらい過酷になりますから…
きっと、あのときのフリーダムのごとく、ランスロットと、クラブが現れてくれればかっこいいのになぁ…とは思いますけれど…。
ただ、そこまでの文章力が和泉にあるか…という問題が…(ダメじゃん)

久しぶりにカレンが出てきたんで…割と遊ばせて頂きました。
戦っている方は大変だったと思うのですが…
人質の皆さんの説得も大変だったでしょうね…
ただ、そこに甘んじていれば、いずれ、彼らも殺される訳で…。
あくまで人質ですからね…
その辺りの説明をルルーシュの潜入舞台のみなさんが一生懸命して下さって、更にキューエル達が一生懸命説得し誕でしょうね…

この話のルルーシュ…成長段階に問題があるので、それを矯正するのはスザクとライの役目です。
色々苦労しそうな二人ですが…
でも、そう云う意味ではシュナ兄も一緒でしょうね…
あと、別の意味で苦労しているのはコーネリアの騎士であるギルフォードでしょう…
あのおてんば姫は…言い出したら聞かないし、彼女の場合、前線に立たせたら先頭切って突っ込みますからね…
ロスカラでナリタ戦の時にはつくづく思いましたよ…ホント…(笑)

『おかえりなさい』&『ただいま』
ルルーシュが女々しかったので…どうなんだろうと思っていたのですが…
でも、ルルーシュ…背後で『悪逆皇帝オーラ』全開で睨んでいます…(; ̄ー ̄川 アセアセ)
そっか…『おかえりなさい』の方は、ちゃんと恋人であると云う記述がなかったんですね…
すみません…それは和泉のミスです。
でも、ドキドキ感を楽しんで頂けていたなら幸いです。

ルルーシュ自身、意地っ張りだし、強がろうとするし…
だとすると、やっぱり、灯りを見てもきっと、自分の中で無関心を装おうとするでしょうね。
そして、自分の傷を少しでも浅くしようと…

で、帰ってきて、スザクがいたのはいいんですが…
ホントに能天気ですね…(笑)
和泉ならその場でぶっ飛ばしています…(爆)
でも、ルルーシュの方は…
すっかり頭が真っ白になりそうになっていて…最後の僅かな緊張感も、スザクの駄々っ子で吹っ飛んじゃっています。
まぁ、こういうカップルもたまには楽しいかな…と…。
お互いがお互いに振り回されているって感じで…。
しかし…ホントにスザク…行動早いですね…。
これもランスロット並み…と云うんでしょうか?

で、スザク…箍が外れておっかないスザクになっています。
というか、ルルーシュが出て行っちゃったら、DVの旦那の様に追っかけてきそうですが…
で、縛り上げて連れ戻す…見たいな…
書いていてい自分で怖くなりましたが…(爆)
ただ、スザクの方もルルーシュが好き過ぎて…で、危ない方に走っちゃっている訳で…

ホント、リヴァルがいてくれてよかったと思います。
この人がいないと、ホントに血が流れていたかも…(え?)
スザクを暴走させるとこうなるんですね…
勉強になりました。
この話に関しては…割と書いている時は楽しかったです。
読み返すと怖かったのですが…(爆)

他の話も読んでみたいなんて言って頂けて光栄です。
また、機会がありましたら…
和泉の場合、SSよりもこうした形でシリーズにしちゃった方がいいんでしょうかね…
『ふたりぐらし』の時も続きを読み立ちおっしゃって下さった方が多くて…
ホント嬉しいです。
皆さんに続きやこの設定で他の話を読んでみたいと思って頂けるような作品をもっと書いていきたいと思います。

『はなもも』
中々面白い木ですよね…。
ただ、ちょっと早かったみたいで、日当たりのいいところは咲いているんですが、少々標高が高くなって、日蔭のところはまだつぼみだったんですよ…。
G.W.中、一度、実家に行く事になっているのですが…
その時にリンゴの花が見れるかなぁ…
ちょっと早いかもなんですが…
もし、咲いていたら、リンゴの花を撮ってきます。

G.W.は多分、実家に行く以外は原稿に追われると思います。
5月のターボ…
もし取れていたら結構締め切りが…やばいので…
休み中に一つ書きあげちゃいたいと思います。
後は…
6月のオンリーがその3週間後なので…
しっかりやりたいとは思っているんですが…
仕事はしないけど、原稿を書く予定です。
紫翆さまも、お仕事、お疲れ様です。
紫翆さまに少しでも楽しんで頂けるように頑張ります。

あと、リクに関しては届いております。
今回、リクを頂いた段階でお返事には書いていなかったので…。
来週の火曜日からリク企画を開始致します。
紫翆さまの下さった作品が最初になります。
よろしければそちらも楽しんで頂ければ幸いです。


拍手のみの皆さんもありがとうございます。
とっても励みになります。
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こちらは、拍手ページと違って、10ページも読まなくちゃいけないなどと云う、無体な事はありませんので(爆)

細々と、ランキングに参加中…。この記事を読んで、お気に召して頂いた方は、お手数ですが、バナーを一回クリックしてください。拍手ページは10ページほどの対談(2010/03/26更新)を用意しています。
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posted by 和泉綾 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny