2010年10月31日

皇子とレジスタンス 〜思い知る立場〜(BlogPet)

和泉綾の「皇子とレジスタンス 〜思い知る立場〜」のまねしてかいてみるね

皇帝としての姿が結構遅かったのかと通信士もにふっと笑ってしまえば、よろしくお願いします!コスプレ楽天市場店>発売日?2週間前での温和な気がそこまで聞いた顔を作り上げた飛行機の言葉というほどのお気に入りのターゲットに代えてからねぇ〜〜〜シュナイゼルと証明するお言葉は…?こっちでも大騒ぎですけどぉ〜〜〜』「母上も…自分の立場をよくご存じだっただろうから…。常にこうした形で暗殺を懸念していたのだろうか…」ルルーシュメタル根付シュナイゼルが皇帝としてもただ、黙っても強くあらねば基本的に見降ろしながら二人、皇帝としても知っただけのそのくらい厄介な殺し屋を鎮圧しますけれど…これまで皇位継承権の意図がこの原稿を忠実に連絡を交わして人が一変しなくなればいい事について、またふっと笑った…実際に人のコスプレ楽天市場by

*このエントリは、ブログペットの「ルル」が書きました。
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2010年10月30日

皇子とレジスタンス 〜思い知る立場〜

 皇帝の突然の発言により、ルルーシュの周囲が一変した。
皇帝のその突然の発言直後からルルーシュの周囲に人が多く集まりだしていた。
ルルーシュに媚びる者、ルルーシュの命を狙おうとする者…。
予想はしていたものの…実際にここまで過酷なものである事を知ったのはこの時だ。
確かに、マリアンヌの遺児であり、現在ではシュナイゼルのお気に入りの異母弟で片腕としての功績も有名で…。
しかも、ブリタニアの植民エリアの中で最もテロ活動が盛んなエリア11をまとめ上げて、現在では自分の実の妹姫、そして、異母妹姫に総督代行を任せていられるというほどまでの安定を作り上げた。
その実力やシュナイゼルの(ルルーシュにその自覚があるかどうかはともかく)後ろ盾により、ルルーシュの名前は色んな意味で知れ渡っている。
エリア11に入ってからのルルーシュの働きは目覚ましかった。
だから、その功績を知ったブリタニア国内の貴族はもとより、これまで皇位継承権の低い皇子として見向きもしていなかった国外の国家元首や大企業のトップたちがこぞってルルーシュの花嫁候補を送りこんで来た。
当然、そのルルーシュに脅威を感じている者達も数多くいたから、ジェレミアやヴィレッタ、キューエルの陰の働きは相当なものだった。
それでも…ルルーシュはパーティの席で刺されたのだ…。
あの時でさえ、そんな状態だったのだから、皇帝の気まぐれ発言とは云え、世界を揺るがす様なあの発言によって、ルルーシュの周囲には本当に、様々な人間が寄ってきていた。
それこそ、媚を売る者、あからさまな殺し屋を送って来る者、そして、最も厄介などこにいても襲ってくる暗殺者…。
―――ドサッ!
一人の男がルルーシュの目の前に倒れた。
「大丈夫か?」
「ああ…スザクこそ…済まない…。私が…」
「今そんな事を云っていてどうする!ったく…本当に解り易いな…」
「私がシュナイゼル異母兄上の下に就こうと思った理由が解るだろう?」
目の前でスザクの全力の蹴りを腹に受けて気絶している男を見降ろしながら二人が会話を交わしている。
「とりあえず、さっさとアリエス宮に戻ろう…。もう、出発までアリエス宮からでない方がいい…」
スザクがかすり傷負う事無くルルーシュに進言する。
恐らく…シュナイゼルとのやり取りでシュナイゼルに云いきったあの言葉を忠実に守っているのだろう。
確かに…命懸けで守ると云うのは簡単だが…。
ただ、その後、ルルーシュの守りがいなくなれば、守った事にならない。
スザクはどこまでも強くあらねばならないし、これでラティスに赴いたら複雑な状況の中、ルルーシュの命を守りながら、ルルーシュの補佐をしなければならない。
シュナイゼルが後から自分の軍を率いてやって来ると云っていたからには、恐らく、既にラティスとは戦争状態にある。
その中での交渉だ。
一つ間違えれば、そこから戦闘が始まるという事にもなりかねない。
ただ、ラティスもそこまで考えなしに動いてルルーシュを殺すという事は考えにくいが、そこにブリタニアの皇族が絡んでいるとなれば、恐らく、ルルーシュの命を狙われると云う事も考えた方がいいだろう。

 やがて、ラティスへの移動となるのだけれど…。
見送りの際にシュナイゼルからはシュナイゼルの護衛役を数人、付けられた。
確かにそのくらい厄介な状況下にあるという事なのだけれど。
その事にスザクは少々ムッとしていた。
ルルーシュはそれに気づいていなかったようだけれど、シュナイゼルがそんなスザクにふっと笑った事には気付いた。
二人の中でのどんな思惑が渦巻いているのか、ルルーシュには解らないのだけれど、当人達は承知している。
飛行機の中で…
「私がシュナイゼル異母兄上の軍に入ったばかりの頃も…色々うるさ方が出てきたが…。今回は私に関わろうとする者たち全員が必死だな…」
「お前がシュナイゼル殿下の下で働くようになったのって…」
「9歳の時だ…。母上が殺されて…その時に私がお願いしたんだ…」
その話しは…ルルーシュはあまりしたがらない。
ルルーシュ本人が母の亡骸を見つけたという…。
今も、使っている言葉だけなら確かにそれほど気にしている様には見えないけれど…。
口調は表情は…ルルーシュの内心を物語っている。
それでも、ここでルルーシュに対しての同情の言葉は…ルルーシュは望まない。
「そうか…」
だから、スザクはその一言だけを返しただけだった。
正直、何を云えばいいのか解らないというのもある。
ただ、スザクに対してこうした形でこの話題で言葉を返すのは、スザクも自分の肉親を暗殺と云う形で亡くしているからだろう。
ルルーシュはその事について、決してスザクに追求をして来ない。
自分自身が、その痛みや傷を知るからだろうか?
ただ、現在、ルルーシュがその暗殺される為のターゲットになってしまっている。
「母上も…自分の立場をよくご存じだっただろうから…。常にこうした形で暗殺を懸念していたのだろうか…」
ルルーシュがぼそりとそんな事を呟いた。
スザクはそんなルルーシュを見ていて…『何を今更…』と思ってしまうが…。
こう云う場合の暗殺とは、その人物の人柄とか、人望とかは関係ないのだ。
それは…スザクが自分の父親を当時の日本政府の人間に暗殺された事からも…そして、スザクの父親自身が、常にその暗殺と云う闇を意識していた事も知っていたから…そう思うのだろう。
だからこそ、スザクの父親はスザクを厳しく育てたのかもしれない。
武道の心得や周囲を見る視野の広さなどは、そうやって培われてきた事は、今更確認しなくても解っている。
「ルルーシュ…こうした政治の上に権力と云う魔物が存在している場合は当然の事だろう?お前の母親は庶民の出でありながら皇帝の血を引く子供を二人も生んでいるんだ。その事実だけで暗殺の理由は充分だろ?」
あの王宮が魑魅魍魎の住まう場所だと評したのはルルーシュだ。
ルルーシュもスザクに指摘されて苦笑してしまう。
「確かに…。だとすると、お前は相当な貧乏くじを引いたな…。守るべき後見が少ない私の専任騎士になど…」
「お前な…いい加減その思考をやめろ…。俺は殺されやしないから…。って云うか、あの程度のアサシンで俺を押しのけてルルーシュを暗殺出来るとでも思っていること自体俺としては心外だ…」

 スザクのその言葉には本当に説得力がある。
ルルーシュは当然の事…スザク自身もかすり傷一つ負っていない。
「有難う…スザク…。あんな形でお前を私の騎士にしてしまったというのに…。でも、約束する…。必ずお前に日本を返す…。勿論、皇帝になどなるつもりはない…。でも…」
「おいおい…俺にお前以上の執政をやれとでも?確かにブリタニアからの独立をしない事には確かに話しが始まらない事は確かだけれど…それは、日本人たちが自分達の意思で立ち上がり、自分達の力で成し遂げるべきだ…。ブリタニアの皇子であり、ここまで日本を導いてしまったお前がお膳立てする事じゃない…」
「本当に…それでいいのか?私があのエリアの総督をしている限り、日本は…」
「それはそれで仕方ない事だ…。俺もレジスタンスをやっていたから解るけれど…結局、国の独立ってのはその国に元々住んでいた人間が立ち上がらなければ何の力にもならないし、もし、お前がお膳立てしたという事になれば、恐らく、ブリタニア自体が混乱状態になる。そうなったら、世界最大の力を持つブリタニアが揺らげば世界に広がるだろ?」
スザクが淡々と話している。
ルルーシュにはそのスザクの意図がイマイチよく見えていない。
「今の世界はいいにつけ、悪いにつけ、ブリタニアのその強大な力によって成り立っている事も事実だ。そして、独立ってのは本当に必要となり、ブリタニアの力が及ばなくなった時にちゃんと成し遂げられるものだ。逆に、今、ルルーシュがその権限を使って強引に日本を独立させたりしたら、今度は日本の経済も政治も治安も立ちゆかなくなるぞ?」
政治家の息子だったと証明する様なスザクの言葉に…。
ルルーシュは少し目を丸くした。
そこまで考えてレジスタンスをやっていたのかと…。
これまで、様々なエリアで反体制勢力を鎮圧してきたけれど…こんな形で将来を見据えている者とは出会った事がなかった。
それ故に驚きも大きいと云えるだろう。
「スザク…お前は…私の騎士となっている。その本意はどこにあるか…教えて貰えないか?」
「???どう云う意味だ?」
「今、お前は私と対等に話す立場にいる。恐らく、スザクの様なポジションの人間は私の中でも初めてなのだが…。もし、私の望んでいるそのポジションであると、スザクが思っていてくれているのであれば…私は…お前に対して無二の騎士として、命じたい事がある。その命令に関してはお前には拒否する事も認めよう。拒否したからとてお前に対して罪を問う事はない。だから、私は騎士に対して命ずるが、お前は私と同じ立場として、対等の立場として私の言葉を聞いて欲しい…」
「お前…一体何を考えている?」
「私が質問してる…。それにお前が答えてから私もその質問に答えるかどうかを決めよう…」
ルルーシュのその言葉と、その目に…スザクはため息を一度吐いた。
「解ったよ…。とりあえず、お前の質問とやらを聞くよ…」
スザクのその言葉にルルーシュはこれまでに見た事がない笑みをスザクに向けた。

 ルルーシュの乗った飛行機が飛び立ったのを見送り…シュナイゼルがカノンに視線を送る。
「よろしいので?」
「ルルーシュの考えそうな事は解るからね…。まったく…皇帝陛下も私に喧嘩を売る様な事ばかりなさる…」
シュナイゼルがふっと笑いながらそんな事を零した。
「殿下…まさか本当にルルーシュ殿下に…」
「あの子は望んでいない事だとは解っているけれどね…。ただ、私はやはりあの子を愛しているのだよ…。昔から…あの子だけは、何の邪心も野心もなく慕ってくれていた…。だから…私はあの子を手放せない…。こんな人間が皇帝など…笑ってしまうだろう?」
シュナイゼルの…これまで聞いた事のない様な本音に…カノンも少し驚いたようだけれど…。
それでも、そのシュナイゼルの心は傍にいてよく解る。
いくら、有能な皇子として存在していても、その能力が世界中に知らしめらているとしても、シュナイゼルとて人の子…と云う事だった…。
カノンの中では少々複雑な気持ちになってしまう。
「カノン…君は私を皇帝の座に着けようと頑張ってくれていた事は知っている…。だから、この先は君の好きなようにすればいい…。君が私の敵に回ると云うのであればそれも仕方ない…。が、それでも私はルルーシュを全力で守る立場に立とう…」
シュナイゼルの本心を…長年仕えて来て初めて聞いた様な気がした。
カノンはくすりと笑って答えた。
「シュナイゼル殿下…私は貴方に皇帝の座を…と望んで来た事は事実ですが…。私は貴方の身分や地位に忠誠を誓った覚えは御座居ませんよ?」
カノンの言葉にシュナイゼルが少しだけ驚いた顔を見せるが、またふっと笑った。
「君はもっと頭のいい人物だと思っていたが…」
「私は決して頭の悪い人間では御座居ませんわ…。だからこそ、貴方様にお仕えすると決めたのですから…。しかし…骨の折れる仕事になりそうですわ…」
「済まないね…」
「心にもない謝罪でしたら、ご遠慮申し上げますわ…。それに、ご自身の決めた道の為の命令に謝罪をして欲しくはありませんもの…。それに、こんなにやりがいのあるお仕事…他の人間に盗られてしまうのは勿体ないですわ…」
そう云って、カノンはシュナイゼルの命令を遂行すべく踵を返した。
その後ろ姿にシュナイゼルはもう一度声をかけた。
「頼んだよ?カノン…」
カノンは一度振り返り、答えた。
「イエス、ユア・ハイネス…」
カノンの姿が見えなくなると…シュナイゼルは自分専用の回線の通信機を出した。
そして…
「私だ…。ロイド=アスプルンドを出してくれ…」
シュナイゼルは自分の中に決めた策を施す為に…エリア11のもう一人のルルーシュに預けた腹心に連絡を入れる。
『お久しぶりですねぇ〜〜〜シュナイゼル殿下…。一体どうされたんですかぁ…?』
相変わらずの腹心にシュナイゼルがふっと笑った。
「ロイド…頼みたい事があってね…」
『ルルーシュ殿下の事ですかぁ?こっちでも大騒ぎですけどぉ〜〜〜』
「だから…君に頼みたい事があるんだ…聞いてくれるかい?」

 シュナイゼルが淡々と通信機の向こうの相手と話しをしている。
『どうせ、ろくでもない事をお考えなんでしょうぉ?僕の大事なデヴァイサーを捕ったりしないで下さいねぇ???』
どうやら、相手も一筋縄ではいかない相手だとシュナイゼルも不敵に笑った。
しかし、シュナイゼル自身、引くつもりは全くない。
「ライがいるだろう?それに、ルルーシュが皇帝となったら彼はナイトオブワンだ…。どの道…」
『殿下?やっぱり悪い事を考えていますねぇ?まぁ、話しだけはお聞き致しましょ…。返事はそれからでもよろしいですかぁ?この回線でつないで来たって事は、絶対に誰にも知られちゃいけない事を考えているんでしょう〜〜〜?』
流石に長年シュナイゼルに仕えているだけの事はある。
察しがいい。
「周囲に人は?」
『この回線につないできといてその質問はあり得ないでしょう?さっき出た通信士もここには居ませんし、ここは監視カメラも盗聴器もない部屋ですよ…』
「なら良かった…。まぁ、暫くルルーシュはそちらには帰れないからね…。否、二度とルルーシュが『総督』としてエリア11に戻る事はないかもしれないけれど…」
『まぁ、あの騒ぎが本当なら殿下がこのエリアに来られるのは皇帝としてしかありえませんからねぇ…。失敗してしまえば基本的にこの世からも…』
ロイドがそこまで云った時、シュナイゼルが眉をしかめる。
シュナイゼルにとって一番なってはならない事態を口にしようとしたからだ…。
「ロイド…冗談でも、仮の話しであってもその先を口にしたらたとえ君でもタダでは済まないよ?」
いつもの温和なシュナイゼルの口調とは全く違うその口調に…耳にあてたスピーカーからあからさまなため息が聞こえてきた。
相手の方もまるでシュナイゼルを試して居ました…と云わんばかりである。
『そんな事をしたら…一番辛い思いをするのはルルーシュ殿下ですよぉ?よろしいんですかぁ?』
「ルルーシュの意思よりも、私の気持ちが最優先だ…。正直、自分がこんな風に考えるなんて、信じられないくらいだよ…」
もう一度、ロイドのため息が聞こえてきた。
『なら、なんでエリア11にルルーシュ殿下を送ったのです?枢木スザクの存在は解っていた筈でしょう?』
「そうだね…私とした事が迂闊だった…。でも、これ以上、ルルーシュがあのイレヴンに対して心を傾ける事は…」
『そんな事を云ってぇ…。そんな事をしていたら本当に嫌われちゃいますよぉ?』
「私の目の届かないところに行くよりもましだろう?皇帝の椅子でさえ私はあの子にだったら譲ってもいいと思っているのだよ?」
『だったら、シュナイゼル殿下が皇帝の座に着いてルルーシュ殿下を最小にすればいいだけの話し…』
「それがうまく行くと思うかい?事がここに至ってしまって…だとしたら、私はルルーシュに憎まれようと…私の目の届くところに置いて守らなくてはならないのだよ…」
更にスピーカーからため息が聞こえてくる。
しかし、シュナイゼルにとってそんな事はどうでもいい事だった。
『仕方ありませんね…どうしたらいいんですかぁ?』
「これは内密の話しだ…。君一人に遂行して欲しいのだが…」
『まぁ、見当はついていますけれどねぇ…。とりあえず、詳細をお話し下さい…』
ロイドのその言葉に…
シュナイゼルが現在のシュナイゼルの中にある策を話した。
大体、時間にして5分程だっただろうか…。
『本気なんですかぁ?それ…』
「くどいね…ロイドも…。頼めるかな?」
『逆らう余地なんてないくせに…。解りましたよ…何とかしましょう…』
その返事にシュナイゼルは一言礼を告げて、通信機を切った。
そして…ルルーシュ達の乗った飛行機の向かった方の空をじっと見つめていたのだった…。

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 22:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 皇子とレジスタンス

ふと思いついて書いた1時間仕上げ小説 218

黒猫ルルにゃん 16



※設定:
ルルーシュは人間界に迷い込んできた、猫の国の皇子様です。
スザクはそんなルルーシュに一目惚れしてさっさと連れて帰ってしまった心優しい(一歩間違えれば誘拐犯と云うツッコミはなしです)一人暮らしの軍人さんです。
ルルーシュは魔法を使って人間の姿になれますが…うっかり屋さんで、時々ドジる事があります。

 とりあえず…。
ほぼ、セシルの脅しと云うか、凄みによってスザクは貯まりに貯まっている有給を貰って…。
そして、ロイドの別荘を借りて、ルルーシュと1週間…過ごす事となったわけだけれど…。
現在、その第一日目…。
到着した途端…ルルーシュが始めた事と云えば…。
「みゃ???みゃみゃあ…」
そう、猫の鳴き声で何かを云ったかと思うと…
すぐさま、別荘内を物色して、掃除道具を引っ張り出し始めた。
そして…
「みゃあ!みゃあ!」
そう云ったかと思うと、スザクに向かって掃除道具を突きだして来た。
「え?」
「みゃあ!みゃみゃあ!みゃあ!」
どうやら…結構埃っぽくなっているこの別荘をまず、大掃除しようと云う事らしい。
まぁ、そう云う意味では取っても神経質なルルーシュならそういう行動に出ても別に不思議に思わないけれど…。
だから、スザクは手渡された箒を手にしてルルーシュが何を云っているのか解らなくても、何となく何を伝えたいのか解るから…。
まず、リビングの掃除を始めた。
そんなスザクを見て、ルルーシュは何かを思いついたように、二枚のバンダナをスザクに渡した。
「ん?何?」
スザクが訊ねるとルルーシュも自分の分と持っていたバンダナを頭に巻いて、その後、もう一枚のバンダナで顔の下半分を覆った。
つまり、ほこりよけ…と云う事だ。
「みゃあ…みゃみゃあ…」
どうやら、大掃除をするのを手伝えという事らしい…。
確かに…長い事使われていなかったのか…結構埃が溜まっている。
スザクがルルーシュから箒を受け取った後、ルルーシュは窓を全開にする…。
秋に入り、山手にあるこの別荘の外は東京と同じ恰好では少々寒い感じがする。
ルルーシュは元々猫の性質も持ち合わせているから寒さにはあまり強くないと思われるが…。
潔癖症なルルーシュの事だ。
完璧に掃除をするに決まっている。
―――だとするなら、僕がしっかり手伝いをしてさっさと終わるようにしておかないと…。と云うか、ルルーシュ、体力ないのに…大丈夫かなぁ…
そんな事を心配しつつも、しっかりと、スザクは身体を動かす。
テーブルや棚などを動かすのはスザクの仕事だ。
早めに出てきて良かったと思った。
結構広い別荘の中は、ルルーシュ基準で行くと相当頑張って掃除をしなくてはならない感じがする…。
正直、ここに来て思ったのは…。
―――ひょっとして、僕達に普段あんまり使わない家屋に風邪を通して来いって事だったのかなぁ…
確かに、二階建てのこの別荘に、更に地下にロイドの研究室があるらしい。
流石に研究室への入り口のカギまでは預かっていないから、そこまでは掃除できないが…。
セシルがなんだか複雑そうな顔をしていた理由が解った気がした。
それにしても…
―――ルルーシュ…ホントに家事が得意なんだなぁ…。凄く手際がいいや…
そんな事を考えつつも、テキパキ動いているルルーシュに見惚れているわけにもいかず…。
スザクもさっさと掃除を終わらせようと手を動かし始める。
それにしても…
―――個人の別荘にしちゃ…結構広いなぁ…
そんな事を思いつつも、フローリングの床に放棄を走らせる。

 ルルーシュがあまりに神経質に掃除をしようとしているのを時々、
「そこまでやったら、絶対に僕の有給、この別荘の大掃除で終わっちゃうから…。とりあえず、人の暮らせるというか…箒で掃いて、モップがけだけすればいいから…。あ、床のワックスがけしようなんて思わないでね!」
と、声をかけるようにしていた。
放っておくとどこまでも掃除にのめり込んで行きそうな感じがしたから…。
そのセリフを云う度にルルーシュが少し不満そうな、納得出来ていないと云う様な顔を見せるけれど…。
確かに、かなり広いこの別荘内を全て、隈なく掃除していたら、時間がいくらあっても足りない気がした。
セシルが色々とアドバイスしてくれたというか、ああ云ったセシルの顕著な反応がこの別荘の状態を物語っていたという事だ。
実際に、長い事使われていないから誇りが溜まっているのは確かだし、家屋と云うのは人が住んでいないとどんどん傷んで行くものだ。
だから、別荘地には管理人がいる訳だ。
家屋に風を通してやらないと壁がかびたり、シロアリの巣が出来たりと…。
色々と問題が出てくるのだ。
一応、この別荘地の管理人が時々風は通していたようだけれど…入った時に少々人の住んでいない事が解るにおいがしたのだ。
だから、ルルーシュが即行で掃除道具を探しだし、窓を開け放ち、掃除を始めたのだろう。
―――ロイドさんも…管理しきれない別荘なんて持たなきゃいいのに…。と云うか、僕達にも鍵を預けなかった研究室とやらには、キッと管理人さんも入れてないだろうし…。否、考えるのはやめよう…。
そんな事を一人悶々と考えていた。
鍵がなければ入る事もない。
「みゃあ…みゃあ…」
スザクが考え事をしながら掃除をしているとルルーシュが声をかけてきた。
とはいっても猫の鳴き声にしか聞こえないから何を云っているか解らないけれど…。
でも、スザクの事を読んでいる事は解る…。
「どうしたの?買い出し?」
スザクがそう訊ねると、ルルーシュがこくこくと頷いた。
流石に猫の鳴き声しか出せないルルーシュが一人で買い物に行くのは色んな意味で問題が起きそうだ。
勝手知ったるスーパーであれば声を出す事も基本的にないけれど。
しかし、知らない土地の知らないスーパーでは誰かに何かを訊ね意図も限らない。
だから、スザクに頼もうと思った判断は間違っていないだろう。
「何を買ってくればいい?」
スザクが訊ねると、ルルーシュは胸ポケットから丁寧に折り畳んだメモをスザクに渡した。
「食料とか、洗剤とかだね…。解った…。このくらいなら僕一人で十分だから…」
「みゃあ…」
ルルーシュが少し多めの買い物リストに申し訳なさそうな顔をした。
もし、こんな状態でなければ確実に一緒に行ったのに…と云う表情だ。
「大丈夫だって…。なるべく早く帰って来るからね…」
そう云って、スザクはルルーシュからお金を受け取って出かけて行った。
それを見送って…ルルーシュは別荘の中の掃除に精を出した。
ルルーシュにとってもスザクにとっても…二人での外泊と云うのは初めてなのだ。
と云うか、ルルーシュがスザクと暮らし始めてから、あのスザクのアパートをこんなに長期にわたって出ると云うの初めての事だった…。

 外を歩いていると…今年の夏の猛暑から一気に寒くなったというのが良く解る空気だ。
この辺りは標高が高いから結構肌寒い。
「ルルーシュ…大丈夫かなぁ…」
ルルーシュはあれで、結構寒がりだから少々心配になっているのだ。
スザクは普段から鍛えているから、ルルーシュほど気温の変化に弱くはないのだけれど…。
それでも、肌寒い感じがするのだ。
「猫の姿になったルルーシュをぎゅってしながら眠ったらあったかそうだなぁ…」
思わずそんな事を呟いてしまう。
正直、ここにツッコミを入れられる人物がいたら確実にこう突っ込むだろう…。
『お前…ここまで一体何をしに来たんじゃい!』
と…。
ルルーシュが猫の姿になってしまったら、スザクはルルーシュと契約出来ないのだ。
「あ、でも…猫になったら僕…ルルーシュと契約…って…」
その後、二の句を出す事が出来なくなった。
流石に、それを意識すると顔が真っ赤になり、肌寒い筈なのに、汗をかきそうなほど熱くなってくる。
そして、思わず、ある疑問が頭の中を過って行った…。
―――やっぱり…着けた方が…いいのかなぁ…
なんだか間抜けな悩みとも思えるのだけれど…。
しかし、相手が大切だと思うと、その辺りは機を使わなくてはいけないと思うし…。
そして、軍の中にはそう云った趣向の先輩やら同僚やら後輩やらがいるから…。
時々話しを聞く事があったのだけれど…。
その話しを聞くたびに…
―――結構大変なんだなぁ…
などと思ってしまっていたわけで…。
相当痛いらしい事とか、女性でも初めてに時には辛いという…。
男性の場合、本来あり得ない場所に挿入るわけだから、初めての相手に対して、すぐに挿入られるものでもないらしいという話しをしていた。
正直、絶対に『女役』は嫌だ…と思ったのは事実だ…。
それに、ルルーシュがそんな知識なんてある訳もないし、スザクだって、基本的に数えるほどしか異性との関係も持った事がないのだ。
なんでこんな事になったのだろうか…などと考えていたのだけれど…。
正直、色々考えていると、怖くなってくるし…。
でも、ルルーシュとずっと一緒にいたいという気持ちは変わる事はないし…。
ルルーシュに痛い思いをさせたい訳じゃない。
でも、スザク自身、最近、ルルーシュへの気持ちが大きくなっている事は事実だったし、ルルーシュとの契約がそう云った事である知った時点で、仕事ばかりの日々にうんざりしている反面…。
ルルーシュと契約をする為に行為を考えた時、怖さもあって、忙しいという大義名分に甘えていた部分も否定できなかった。
―――ルルーシュは…自分が何をされるのか…解っているのかなぁ…。
そんな事を考えてしまう。
しかし…この男…完全に自分が挿入る側になる事しか考えていないが…。
ルルーシュが『俺がお前を抱くんだ!』などと云い始めたら一体どうするつもりなのだろうか…
尤も、力勝負に持ち込んでしまった場合、ルルーシュがスザクに勝てる訳がないのだけれど…。
それでも、スザクの頭の中から半分くらい消え去っているルルーシュの魔法とやらは何があるのか解らないが…。
どの道、どちらも結構契約すると決めたはいいが、その先の事は一切考えていないようだ。

 スーパーについて、渡されたメモに書かれているものをかごに入れて行く…。
流石に、スザクが暮らしている地域とは物価がかなり違っている。
尤も、生活用品など、スザクが買って来る事などあまりないのだけれど…。
こう云った仕事はいつもルルーシュ任せになってしまっている事に気づかされる。
たかが買い物の筈なのだけれど…。
ルルーシュと出会う前には買った事のない日用品やら、食材やらで…。
ぶっちゃけ、スザクが一人で買い物に出て、このメモにある様な商品を自分の為に勝った事があっただろうか…などと考えてしまうが…。
現在、自分の家にある家具はルルーシュがスザクの前に現れてから買い揃えた物であり、それ以前の家具と云うのは…。
―――ホントに生活感がなかったなぁ…。テレビとかに出て来るようなかっこいい雰囲気とは正反対の意味で…
と考えてしまっている。
と云うのも、スザクの場合、あのロイドが上司なので、そうでなくとも軍と云う組織の中で国の定める『労働基準法』など遵守していたら仕事にならない空守られていない上に更にこき使われている状態だった。
基本的に、『本籍地』が必要だったからあのアパートを借りている様な気もしないでもないと思っていた時期もあったくらいだ。
だから、洗濯機、冷蔵庫など家電製品も最低限はあったけれど…。
ルルーシュと出会ってからの事を考えた時、本当に使用頻度が低かったと思える。
ルルーシュと一緒に暮らすようになってから、既に掃除機は2台目だ。
ルルーシュ自身は本当に大切に使っているのだけれど…ルルーシュの使用頻度の問題と、1台目を買う時にルルーシュが遠慮して安物を買ってしまった為だ。
ルルーシュからなぜ、そこまでお金に関して…云い方は悪いが、ケチくさい事をするかと訊ねた時には…
『俺の母上は、庶民の出で、皇族は国民の税金で食べさせて頂いているのだから、大切に使わなくてはいけないと…そう仰っていた…。だから、お金は大切に使わなくてはいけないと…』
そんな事を云っていたが…。
だからと云って、庶民より庶民染みた皇族ってありなのだろうか?
ルルーシュは猫帝国とやらの皇子様らしいし、ロイドもルルーシュの事を『殿下』と呼んでいた。
お陰で、ルルーシュは夏バテになり、ぶっ倒れた事もあるのだ。(SUPER COMIC CITY関西15無配ペーパー参照)
庶民よりも節約術を知っている皇子って…ありなのだろうか…?
そんな事を考えてしまうのだけれど…。
しかし、実際にそう云う皇子が存在し、そして、スザクと一緒に暮らしているのだから、世の中解らないものだ。
そして、『契約』と云う名の人間で云うところの『結婚』をしようとしているのだが…。
しかし…そこまで考えた時…思わず顔から火が出そうになる…。
恐らく、事情を知る者が見たら想う事はほぼ共通しているだろう…。
『何を今更…』
と…。
そもそも、ここまでのんびりしていたこと自体にびっくりの状態なのだから…。
まぁ、周囲の云う事と云うのは、兎角にして、勝手な事を云うものである。

 そして、全ての売り場を回って、ルルーシュから渡されたメモに書かれているものはすべて揃えてレジに向かう。
そして、ルルーシュに持たされたエコバッグ…。
何でも…
『今はレジ袋が5円もするからな!レジ袋なんて石油精製の際に捨てられる筈のものからできているし、今じゃ、殆ど二酸化炭素など排出したりしないのにな…。割り箸は輸入品を使うようになってから森林伐採が問題になっているが、日本国内で作られたものはすべて間伐材だ…。そうやって割り箸批判して現在の日本で伐採される間伐材は一体どこに行っているのやら…。一度で捨ててしまうのももったいないと思うが、それでも、間伐材利用が地球温暖化の原因とか云いだす様なバカが居るのは困ったものだな…』
などと、何故にそこまで人間の世界の事情に詳しいのか尋ねたくなる様な事を云っていた。
最近では、様々なエコバッグが売り出されており、バラエティに富んでいるし、スーパーのロゴが入っていないものが出回っているので、1枚のエコバッグを買っておけばどこでも使えると云うのは有難い話しだが…。
ただ、買い物量が多い時には結局レジ袋を買わなければならないという事でブツブツ言っていた。(スーパーやドラッグストアによってはエコバッグに入り切らなかった分の袋は無料で配布しているところもあります)
レジで会計を終えて…スーパーの建物内に店舗を置いているドラッグストアの前を通りかかった時…。
―――やっぱり…あった方が…いいよね…。
そんな事を考えつつ、一旦スーパーを出た。
そして、スーパーに来る途中で見かけたドラッグストアに寄って行く。
あるものを買って…店を出たが…。
「こ…こんなに…緊張するものだとは…思わなかった…」
そのあるものを買う為の所要時間…およそ30分…。
買った物はたった二つなのだけれど…。
その商品の前でウロウロし続けて、なおかつ、レジに行くまでにも色々と決心が必要だったようで…。
そして、ドラッグストア空でたと同時に…
―――♪♪♪♪♪
携帯の着信音が鳴った。
それはルルーシュからかかってきた事を知らせる着信音で…。
「あ、もしもし…」
『みゃあ!みゃみゃあ!みゃぁ…みゃぁ…』
最初は大声で怒鳴られている様だったけれど…。
段々声が小さくなり、そして、しまいにはグスグス云っているのが聞こえてきた。
―――しまった!時間をかけ過ぎた…
スザクはそう思って、ばつが悪い顔をする。
「ごめん…ルルーシュ…。えっとね…ちょっと、僕、他に買いたいものがあって…。で、色々、迷っている内に…時間が経っちゃって…」
『みゃ???』
「ごめんね…すぐ帰るから…。残りの掃除…僕も全力で手伝うからさ…」
『みゃあ…みゃみゃん…』
ルルーシュが少しほっとしたような声をしていたけれど…。
電話を切ると同時に、スザクは全速力で走りだした。
それは…買い物荷物を持っているとは思えない程の速さで…。
こんな田舎町ではすぐに、その全速力で走っているスザクの姿は妙な揶揄交じりに噂で広まって行った…。
『人間にターボエンジン付けたみたいなやつが走っていた…』
と…。
勿論、そんな事を考えていないスザクの頭の中は…。
ルルーシュの事で満たされていた。

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 02:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 二次創作(単発もの)

2010年10月26日

It's Destiny36

自分にとっての敵と味方



 様々な思惑が渦巻いている中…。
一人、別の場所でルルーシュを求めている者がいる。
「ルル…ルルは…僕のルルでしょ?だから…あんなおっさんに浮気した事は、ちょっとお説教するだけで許してあげるから…戻って来てよ…」
そんな事を口の中で繰り返している。
「マオ…なんだよ…用事って…」
「やぁ、玉城…。玉城さ、ルルの事…まだ嫌いなの?」
突然のマオの質問に…玉城が驚いた顔を見せる。
常に、ルルーシュを気に入らないと云っては絡んで来ていた相手なのだ。
驚かない方がどうかしている。
「何を今更…。と云うか、何かあったのかよ…」
「ルル…攫われちゃったんだ…。だから…僕ね、ルルを助けにいかないと…。ルル…あの『A物産』の…悪いサラリーマンに騙されてね…僕の目の届かないところに…行っちゃったんだ…」
その言葉の様子に…。
なんだかおかしなものを感じた玉城だったが…。
そのおかしさが…なんと云うか、何か、彼の中で狂い始めているという感じで…。
少しだけ背筋が寒くなった。
恐らく、本当にブチ切れている状態なのに、それを懸命に抑えている感じだと云うところだろう。
「悪いサラリーマン???」
「うん…。ここで、ルルをナンパしてたんだ…」
マオがぼんやりとしている感じで話しを続けている。
玉城はなんだか行っている事もおかしいと思い始める。
「ルルーシュがそんな、良く解らない奴のナンパに乗せられるとは思えないけどな…」
「そのくらい…ずるい奴なんだ…。ルル、警戒心強いけど…心は優しいから…きっと、何か、ルルの同情を引いたんじゃないのかなぁ…。だから、助けに行きたいんだ…。でも、相手は大人だし…ルルを危険な目に遭わせたくないし…」
「おい…云っている事が解んねぇんだけど…」
マオがどんどん感情的になって行くのが解る。
確かに、マオの持っているルルーシュへの執着は解っているのだけれど…。
ここまで切羽詰まっているところを見るのは初めてだ。
確かに、玉城のグループの人間がルルーシュを取り囲んでいると、ブチ切れたように殴りかかって着ていたのは知っているが…。
それでも、こんな風に切羽詰まった感じになっているマオを見るのは初めてだった。
「別に…玉城が解る必要はないよ…。ただ、ルルを助けたいんだ…。だから、その為に力を貸してくれるかどうか…それだけ答えてよ…。もし、手伝ってくれるなら、一つ、君の云う事を聞くよ…。何でも…」
必死の形相に、玉城は少しだけ後ずさってしまうが…。
これほど必死となると、本当に余裕がないのだろう。
玉城としては、ルルーシュの事は気に入らないし、マオがここまで執着している理由も解らない。
ただ、マオと玉城の境遇そのものは結構似ている。
それ故に、玉城自身はマオに対してはそれほど悪い感情を抱いていないし、ルルーシュの事に関してだって、確かに気に入らないのだけれど…。
ただ、ルルーシュ本人ではどうにもならない事の部分で彼を嫌っている部分も多分にある。
「解ったよ…。ま、今のところは頼みてぇ事とかねぇからな…。ツケにしておいてやる…」

 子供は子供なりに様々な思惑を抱きながら…。
幼いなりに、何かをしようとしている。
そして、スザクも、一サラリーマンではあるが、それでも何としてでも…と云う思いがある。
とりあえず、スザクも協力を得る準備は出来た。
「なにか…今のスザクって…私の知っているスザクじゃないみたいね…」
ミレイが少しだけ複雑な表情を見せて云った。
そんなミレイに、スザクは少し苦笑した。
「そうかも…知れませんね…。本来の『俺』は…多分、こんな感じですよ…。元々、それほど諦めのいい方じゃないし、もの解りのいい方でもないです…」
スザクのその言葉に…ミレイが一瞬、驚いた顔を見せるが…。
それもすぐに引っ込められる。
「あの頃の…私も知らない『スザク』の姿…なのね…。今のそのスザクが…」
ミレイがスザクに対してそう云った。
ミレイのその言葉にスザクがふっと笑った。
「驚きましたか?」
「驚いたけれど…。それ以上にほっとしたかな…。だって、アッシュフォード学園にいる時のスザクって、なんだかすごく…無理しているように見えたし…。ルルーシュがいくら貴方に対して気を使っていても…貴方はそれを受け入れなかったものね…」
少しだけ寂しそうなミレイの言葉…。
ミレイがあの頃にルルーシュへ向けていた気持ちを…スザクが知っていたかどうかは解らないが…。
それでも、ミレイ自身はルルーシュに対して特別な感情を抱き、それを外に出す事も出来ず、ただ、その、心配しているその気持ちを押し殺し続ける事しか出来ずにいたのだ。
「あの時の僕が…ルルーシュのその気持ちに甘えている訳にはいかなかったでしょう?アッシュフォード家としても…」
「そんな事を云っている訳じゃないのよ…。確かに互いの感情だけで動いていい時じゃなかった事は認めるけれど…あそこまで徹底する必要があったかどうかって話しよ…。ルルーシュがあの時、どれほどの強権を使って独裁をしても…人の心を変える事は出来なかったわ…。周囲がどれだけ変わっても…私の気持ちは…変わらなかったもの…」
あの頃のルルーシュとスザクの話しをされてしまうと…流石に少々辛い。
お互いに…お互いが話さなければならない事を一切話さずにいたのだから…。
だからこそ、すれ違った…。
一番大切な事を離さずに…誤解したまま殺し合った…。
互いに、互いを大切な存在としていたくせに…。
ミレイは…『ブラック・リベリオン』の際に、アッシュフォード学園が記憶を封印されたルルーシュの監視をする為の檻として使われた為に…。
記憶をそのまま残されている立場だった。
ルルーシュが『ゼロ』だった事を知り、そして、スザクがルルーシュを捕らえた事を知り…。
しかし、知っているだけで、何も出来なかった彼女の苦悩は…きっと、想像を絶するものであったに違いない。
そして、それまでも仮面を被り続けていたスザクは、その日を境に更に、鉄壁な仮面を被ってしまった。
ルルーシュは記憶を改ざんされて、ルルーシュなのに…ルルーシュではない状態となった。
そして、その時ミレイは思っていた…。
―――このまま、記憶が戻らなければ…ルルーシュはブリタニアの監視下にあるとはいえ、こうして笑っていられるのかもしれない…
と…。

 ミレイはそんな過去を思い出しつつも、今のスザクを見て、ほっとする。
そして、心配でもあった。
またも、ルルーシュとスザクは強大な力と対峙しなければならないと云う事なのだ。
「また、会長には…迷惑をかけちゃいますね…。解っているんですけれど…それでも、もう、自分達を犠牲にした揚句に自分達の大切に思っている存在が涙を流さなければならない様な結果を出したくないと…そんな風に思うので…」
「そう云う苦労ならいくらでも買ってあげる…。まぁ、あの頃とは時代が違うし、少しは、穏便に行くといいんだけどねぇ…」
ミレイの言葉に、二人とも苦笑してしまう。
云った本人でさえ苦笑してしまう様な…そんないばらの道である事は確かだ。
「まぁ、覚悟はしていますよ…。ルルーシュが嫌と云っても…今度は僕は僕の意思を貫き通す…。それだけは変わりませんよ…」
「結構厄介な相手が記憶を取り戻しちゃっているんだけどね…。ロイド伯爵はともかく…。私も直接はあんまり会った事無いけど…マルディーニ伯爵も…でしょう?」
ミレイが心配そうにそう、訊ねてきた。
「そうですね…。中々厄介な相手ではあるんですけれど…。彼の場合、シュナイゼルの為なら自分の意思をも押し殺せる人だから困っちゃいますけれどね…」
言葉そのものは軽い感じで云っているのだけれど…。
現実問題としては恐らく、今思い当たる中で一番厄介なポイントでもある。
「確かに…。と云うか、何故、貴方達だけじゃなくて、私やロイド伯爵、マルディーニ伯爵に記憶が戻ったのかしら…?」
「さぁ…。世の中、どんな作りになっているのか、本当によく解りませんし…。それに、その理由が解ったところで、何が変わる訳でもないし、問題解決の糸口が見つかる訳でもありませんからね…」
あの時…恐らく『ゼロ』をやっていなかったら、こうした言葉は出て来なかったとスザク自身、思ってしまう。
あの頃、『ゼロ』であったから、ここまですっぱりの割り切った事を云えるのだと思った。
実際に、『ゼロ』をやっている時には原因究明によって問題解決の糸口が見えるのであれば、原因究明を考えたけれど、そうでなければ、そんな原因究明など後回しにしていたのだ。
そんな事を考えていられるだけの余裕がなかった。
そもそも、時代の変革期と云うのはそんなものだと思い知ったのもあの頃の話しだけれど…。
「ホント…スザク、知らない内に私の知らないスザクになっちゃったのね…」
ミレイが苦笑しながら云った言葉に、スザクは困った笑みを浮かべる事しか出来なかった。
「それでも、僕は僕ですよ…。アッシュフォード学園に編入して、ルルーシュと再会してから実は、変わったと云われました。確かに…あの頃は自分の『罪』から逃げている自分がいて、自分を誤魔化す為に仮面を被っていたともいえます。だから…ルルーシュの驚き方にはちょっと、困っちゃいましたけれど…」

 スザクのその言葉は…。
その裏側にある、重くて暗い物を感じた。
ミレイはあの頃のスザクが子供の頃に父親を刺した事を知らない。
そして、ルルーシュ達が『キョウト六家』の決定の下に殺されそうになった時になぜ、生き延びる事が出来たのかの理由も知らない。
訊く機会もなかったし、訊いていい話なのかどうかも悩んでいる内に年月が経って…結局聞けずじまいに終わっていた。
確か、戦争前に枢木ゲンブ首相がナナリーと婚約すると云う話しを未確認の話しでちらりと聞いた事があったけれど…。
それでも、そんな事をしたところで、ブリタニアは決して日本への攻撃を中止する事はなかったと今でも考えられる。
「スザク…もう一つ…訊いていいかしら?云いたくなければ答えなくていい…」
ミレイが…少しだけ遠慮がちにスザクに沿う話しを振ってきた。
スザクとしてもミレイがそこまで云うような話しなど…限られているから、何となく、数少ない可能性を頭に浮かべた。
「なんでしょうか?」
スザクは静かに訊ね返した。
するとミレイが、一回深呼吸してから口を開いた。
「ユーフェミア皇女殿下の事…なんだけれど…」
ミレイは云い難そうに言葉にしているが…スザクの方は予想で来ていたのか、それほど表情を変える事もない。
「ユフィの…事ですか…」
「スザクは…本当にルルーシュがユーフェミア皇女殿下を殺したと…そんな風に思っているの…?」
真実を知らないミレイがそう云う云い方をしてしまっても仕方ない。
実際、スザクだって真相を知っている訳じゃない。
知っているのは、その場にいたルルーシュとユーフェミアだけなのだから…。
「『ゼロ』が…ルルーシュがユフィを撃ったのは…事実です…。この目で見ているので…」
少しだけ低い声になってスザクは答えた。
ミレイはそんなスザクの姿にごくりと唾を飲み込んだ。
ずっと…知りたかった真相だ。
本当の事を知っているのは、今のところ、解るところではルルーシュだけなのだけれど…。
より真実に近い事を知っているのはスザクだけだから…。
だから、敢えて、訊ねてみたのだ。
「ただ…その過程に…何があったのか、僕も知らないんです。ルルーシュは…結局本当の事を云ってくれませんでしたから…。ただ、今なら解ります…。ユフィを殺したのは確かにルルーシュだったけれど…。でもそれは、ルルーシュの意思ではなかったと…」
スザクの…『今なら解る』と云うその言葉…。
本当はそんな事を考えても仕方のない事なのだけれど…。
それでも思ってしまう…。
―――何故…人はこれほどまでに時間がかからないと…そう思う事が出来ないんだろう…
と…。
「そっか…ごめん…変な事を訊いて…」
ミレイが一回大きく呼吸をしてからスザクに向き直ってそう謝った。
スザクはあの時…ユーフェミアの騎士だった…。
そして、ルルーシュはスザクの主を殺した…。
それが、真実なのだけれど…。
どうしても気になっていたのだ。
―――あのルルーシュが…ユーフェミア皇女殿下を自ら望んで殺したりする筈がない…
と…。
ユーフェミアだって、たくさんの人が集まって来るアッシュフォード学園の学園祭に潜り込んで、ルルーシュに会いに来たくらいなのだ…。
ミレイは…スザクよりも少しだけ、ルルーシュとユーフェミアの過去を知っていたから…気になっていたのだ。
そして、その気になっていた事に…少しだけ、自分の中でけじめをつける事が出来たと…今はそう思いたい気分だった…。

 そして…
様々な事を考えられている中…。
こちらでも…
「陛下ぁ〜一応、準備は出来たんですけれどねぇ…」
そう云いながら、ルルーシュの部屋に入ってきたのはロイドだった。
「お前…いい加減、その呼び方はやめないか?」
ルルーシュが確かに迷惑そうにそう、ロイドに告げるけれども…。
シュナイゼル相手に結構勝手な事をしていたらしいこの人物が…ルルーシュのそんな一言で改める訳もない。
「すみませんねぇ…。どうも癖になっちゃっていましてぇ…」
「癖になる程、俺の下で働いていた訳でもあるまいに…」
「まぁまぁ…陛下と二人の時にしかそう呼んでいないんですからぁ〜〜〜。ホント、陛下とスザク君が二人でそれをネタにテレビに出たら面白そうですよねぇ〜〜〜。史実を喋っちゃったら、世界史学会が大騒ぎですよぉ?」
どこまでもふざけ半分に聞こえるロイドのセリフだが…。
そもそも、たかが中学生の子供と一回のサラリーマンが『ルルーシュ皇帝とそのナイトオブゼロでした!』などと云ったところで、誰も信用しない。
現在に伝わっているあの時の歴史は完全に『戦勝国』となった『超合衆国』の都合のいい様に『ゼロ』の英雄像を作り上げているし、普通あり得ない程のルルーシュの残虐性を語っているのだ。
半分以上が完全な捏造なだけに、史実であってもそれを云ったところで、歴史と云うのは通説があり、その通説と違う事を云った時点で排除される。
実際、歴史学と云うのはそう云うものだし、戦争の歴史については最終的には『戦勝国』となった国々が、自分達の力を誇示して自分達の正当性を強める為に敗戦国を必要以上に『悪』として語り継いでいく。
それが、外交カードにもなって行くからだ。
「お前の悪ふざけはどうでもいい…。しかし、本当に変わった奴だな…。お前も…。何故、この『道』を選んだんだ?」
「まぁ、もし、もう一度陛下とスザク君に遭う事が出来たら、云いたい事があったから…と云うところでしょうかね…。今になってあの時の事をとやかく云ったところで歴史は変わりませんが…これから先の事はお説教できるでしょう?僕、いつもセシル君にお説教されて、叱られてばかりだったんで…たまには誰かにお説教をしてみたいなぁ〜〜なんて…」
「傍迷惑な奴だ…」
ロイドのこのふざけた口調でぶっちゃけ話をされると正直、どうしたらいいのか解らない時もある。
ロイドはふざけている様に見えていて、本当は色々な物をしっかりと観察している。
だからこそ、科学者などをやっていられるのだろうが…。
「とりあえず、今は僕の云う事を訊いて下さいねぇ?一応、ミレイくんから連絡が何度か来ているんで…。見付からなければ、きっとうまく行くと思いますよ?」
「見つからなければ…それがネックだな…。カノンが知っているとなると、確かに何かのアクションをかけて来ると思うが…」
「実際に最近、良くデートしていますよぉ?色々感づいているみたいですけれどねぇ…」
ロイドのその言葉にルルーシュは眉をひそめる。
―――やはり…一筋縄ではいかないか…
この先の事をまた更に…考え始めるのであった…

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 00:32| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

2010年10月25日

ダメ人間とダメ悪魔 06

一人っ子人間と末弟悪魔



 その光景は…。
ある日の下校時間に見かけた光景だった。
多分、小学生の兄弟たちだろう。
怪我をしているであろう弟を兄がおぶっている姿だった。
暫く歩いて行くと、今度は、兄妹喧嘩をしている兄妹を見かける。
そんな姿をルルーシュが不思議そうに見ている。
「どうしたの?ルルーシュ…」
そんなルルーシュの様子を見て、スザクが声をかけた。
すると、ルルーシュはそちらの方から目を離さずにスザクに返した…。
「なぁ…スザク…。あれは…『キョウダイ』なんだよな?」
恐らく、自分でも無意識のうちに出てきた言葉と思われるほど、何となくぼんやりとした感じでそんな事を訊ねてきた。
「あ、うん…。そう云う風に見えるけど…」
スザクが結構あいまいに答える。
スザクには兄弟がいない。
だから、あんまりピンとこないのだ。
しかし、ルルーシュは更に話を続ける。
「人間の兄弟とは、あんな感じなのか?」
正直、一人っ子のスザクにそんな質問をされても困るのだが…。
それでも、こんな風に訊ねられては、何かを答えなくてはならないだろうと考えてしまう訳だけれど…。
「う〜〜〜〜ん…一人っ子の僕にそれを訊かれちゃうと困るんだけど…。あ、でも…僕、もの凄く強い従妹がいるんだけれど…ああ云う妹がいなくてよかったなぁ…とは思っているけど…」
そんな事を云いつつ、スザクが何かを思い出したように顔がどんどん青ざめて行くのが解る。
それに気づいたルルーシュは…
「スザク…どうした?顔色が見る見る青くなって行くぞ…」
「あ、否…思い出すだけで恐ろしくなっちゃって…」
こんなスザクを見るのは初めてだ。
結構、何事にも動じている様には見えず…。
結構何かにつけて飄々としているし、空気を意図的に読んでいないのか、空気を読めないのか、割と『我が道を行く!』と云う感じで、ルルーシュは悪魔としてその辺りを見習いたいとさえ思っているが…。
―――否、悪魔が悪魔として人間を見ならってどうする!
そう思いながら、その考えを振り払っているのだけれど。
しかし、そんなスザクがその『従妹』とやらを思い出すとこんなに顔を青ざめさせているのだ。
ルルーシュとしては、スザクに対してこれほどまでに恐怖を抱かせるような相手であれば、是非とも悪魔として見習いに…じゃなくて、どんな人間なのか一度お目にかかってみたいものだと思ってしまう。
「スザクでもそんな風に思う相手がいるとはな…。一度、お目にかかってみたいものだ…。と云うか、お前も相当な物だと思うが、最近では人間の方が悪魔を凌駕している気がして来たぞ…」
ルルーシュがそんな事を云うと、スザクは青ざめた上に顔を引き攣らせている。
「否…神楽耶の場合、悪魔そのものだよ…。少なくとも、僕に対しては…」
スザクにこれほどまで云わせる相手…。
ルルーシュは更に興味を抱くのだった。

 そんな会話の中…。
二人の前をすれ違って行く人の中で…。
何か(ルルーシュにとって)嫌な感覚を帯びた存在と通りすがった気がした。
そして、それに気づいて刹那の後…。
「ルルーシュ!」
思わず声をかけられると…。
今度はルルーシュが硬直した。
「……」
ルルーシュはその声を無視して先ほどよりも歩調を速めて歩きだした。
その変化にスザクも気づいて、まぁ、スザクとしてはあまり変わらないと云った感じで吐いて行くのだけれど…。
一応、スザクもルルーシュが名前を呼ばれた事に気付いているようだし、こちらの世界でルルーシュの名前を呼ぶ者と云えば、ルルーシュが記憶を書き変えた人間と契約者であるスザクだけだ。
だとするなら、ルルーシュのこの行動は少し違和感がある。
「ルルーシュ!」
再び、ルルーシュは名前を呼ばれるが…。
やはり、ルルーシュは完全無視して、すたすたと歩いて行ってしまう。
「……」
ルルーシュのその様子をやはり、訝しく思ったスザクは…。
ルルーシュに小声で話しかける。
『ねぇ…あれって、ルルーシュを呼んでいるんじゃないの???』
スザクが耳元で話すのだけれど…。
ルルーシュはそのスザクの言葉に、びくっとなってスザクの耳元で小さく応える。
『バカ!悪魔の耳は人間の1億倍、聞こえるんだ…。そんな声で…』
ルルーシュがそこまで云った時…ルルーシュの背後に誰かが立っている事がスザクにも良く解った。
「ルルーシュ…酷いじゃないか…。君の最も愛する異母兄がわざわざ、君の仕事を手伝いに来たというのに…」
その声はとてもにこやかだけれど…。
でも、何故か、背筋が凍るような冷たさを感じていた。
―――いくら秋になったからって、背筋だけこんなに寒いのはなぜ???
スザクは素直にそんな事を思ってしまっていた。
恐る恐る後ろを振り返ると…。
そこには長身で、金髪で、きっと、少女漫画であれば、確実に女生徒の憧れの先輩…と云うキャラクターで出て来そうな男が立っていた。
「誰が最も愛する異母兄ですか!また、王宮の女どもに追い出されたんですか!異母兄上!」
ルルーシュが耐えきれずに…と云った感じでその後ろに立っている男に掴みかかった。
「何を云っているんだい?クロヴィスじゃあるまいし…。私がそんな間抜けに見えるのかい?」
にこりと笑ってルルーシュの手首を取って答えている。
さわやかな笑顔な筈なのに…どす黒い何かを感じるのは何故だろうか???
「じゃあ、母上に言いくるめられて俺を連れ戻しに来たんですか?嫌ですよ!まだ、俺は仕事中です!罰ゲームと称して、あの富士山ハゲオヤジのおもちゃにされるのは御免です!」
「何を云っているんだい?そんな勿体ない事をする訳ないじゃないか…。父上に献上するくらいなら私が堪能するよ…」
スザクの目の前で繰り広げられているのは…。
弟を甚振って楽しんでいる兄の姿なのか…。
それとも兄弟喧嘩なのか、スザクの中では少々判断出来兼ねている状態だ。
「あの…ルルーシュ…?」
少々困ってしまって、スザクがルルーシュに声をかける。
そもそも、いきなり現れたこの金髪男がルルーシュの兄である事は解るのだけれど、名前も知らない相手なのだ…。
なので、ルルーシュに声をかけたわけなのだけれど…。

 その声をかけて来たスザクにルルーシュは何か思いついたようで…。
強引にシュナイゼルの手を振りほどいて、スザクの両手を握った。
「お前…俺と友達なんだよな?」
ルルーシュのその質問に…。
何をいまさらと思うのだけれど、スザクはこくっと頷いた。
それを見てルルーシュは更に続けた。
「なら、友達と云うのは友達を助けるのはあり得る話しだよな?」
ルルーシュの質問の意図は全く読めないのだけれど…。
スザクはこくこくと頷いた。
完全にルルーシュの勢いにのまれてしまっている。
「じゃあ、俺を助けろ!あの男から逃げ切れればそれでいいから!」
ルルーシュのその必死の形相に…。
流石のスザクも驚いてしまっているけれど…。
それでも、タダゴトではないと思い、スザクはそのままルルーシュを肩の上に担ぎあげると…。
そのまま、某サッカー漫画のエースストライカーのごとく人並みの間をすり抜けるように走り出した。
「お…おい…」
「大丈夫!ルルーシュ、女の子みたいに軽いから、落とさないから…」
流石にスザクの行動にルルーシュが驚いて声をかけるが…。
スザクの方はそんな事お構いなしである。
尤も、そのくらいしないと、恐らく捕まってしまいそうなのだけれど…。
しかし、ルルーシュはここで肝心な事を忘れていた。
と云うか、悪魔としてそれを忘れると云うのはいかがなものかと思われるのだが…。
ルルーシュの異母兄だと云うからには、あの存在も『悪魔』であるという事だ。
少なくとも、ルルーシュはそれなりに人間界のルールに則って悪魔営業をしているわけだけれど…。
今、ルルーシュに声をかけて来たその男はどう見ても、現在、この人間界で人間と契約しているとは思えない。
と云うか、明らかにルルーシュ狙いで来ているのは良く解る。
ルルーシュが『あに』と呼んでいたから…ルルーシュの兄弟である事は解る。
ただ…ルルーシュが何故、先ほどあんな事を訊いて来たのか、少しだけ解った気がする。
兄弟のいないスザクでも、あの様子はなんだかおかしい…。
確かに人間の中でも『シスコン』だの『ブラコン』だのと呼ばれる人種は居るのだけれど…。
多分、あの男もルルーシュに対してそんな感覚を持ち合わせているのだろう。
と云うか、スザクの中では何か、ルルーシュに対しての気持ちが自分の持ち合わせている気持ちと同じ種類の何かを感じていた。
―――微妙に…危険な感じがする…。
スザクはそんな事を思っている。
尤も、スザクだって、その、『微妙に危険』な気持ちをルルーシュに抱いてしまっているのだけれど…。
とりあえず、スザクがその男の気配を感じなくなったところで、ルルーシュを下した。
スザクはルルーシュを下ろしてから更に、周囲を見回した。
これは、ルルーシュが学校で生徒達に追いかけ回されていて、スザクが担ぎあげて逃げ回っている時の癖だったのだけれど…。
今回、その癖が思い切り出ているらしい。
そして、周囲を見回してあの、金髪男の気配がない事を確認してほっとしていると…
「ふっ…私も舐められたものだね…。人間ごときに私を撒ける訳がないだろう?」

 その声に…ルルーシュもスザクもズザザザザ…と後ずさる。
正直、これは、相手が悪魔でなくても心臓に悪い。
「なっ…ルルーシュを担いでいたってこれまで、僕に追いついた人なんていないのに…」
流石にスザクも驚いてそんな事を云ってしまうが…。
その目の前の金髪男がにこりと笑った。
「私はこれでも、魔界の皇子の一人だ…。人間ごときに逃げ切れる訳がないよ?」
にこやかに結構物騒な事を云われている気がするのは、多分、スザクの気の所為ではない。
「異母兄上!俺の仕事の邪魔をしないで下さい!」
ルルーシュが耐えきれず、その金髪男に訴える。
しかし、その金髪男、ルルーシュの云う事など聞く耳持たないと云った感じだ。
「何を云っているんだい?君はもう、将来の魔王と決まっているというのに…。何故、こんな下級悪魔のやる様な事をしているんだい?私は、君以外の魔王なんて認めないよ?そして、私は君の宰相となり、あまりに強過ぎるあの魔王殿の女どもを大人しくさせる為の政策を…」
「なら、ご自身でやればいいでしょう!俺には…」
「ルルーシュ…私があんなおっかない女どもの矢面に立てると思っているのかい?君ならきっと、あの、女王様気質の女どものおもちゃに…」
スザクの目の前では、なんだか、結構ギャグの様にも物騒な様にも聞こえる会話が繰り広げられている。
と云うか、彼らの会話を聞いていると、なんだか、人事には思えなくなってきている自分がいた。
「ルルーシュ…君も、女には苦労しているんだね…」
スザクはうっかり、そのまま口に出してしまった…。
そして、また、ルルーシュのプライドを傷つける…。
「お前…またこの俺様に哀れみを…」
プルプルと拳を震わせながらスザクを睨みつけている。
―――あ〜あ…そんな顔をしたって可愛いだけなのになぁ…。このお兄さんの気持ち…ちょっとだけ解る気がする…。ルルーシュを矢面に立たせておけば…
と、ごちゃごちゃと考えていると…。
目の前でルルーシュが、その瞳にわなわなと怒りの炎を称えている状態で睨んでいた。
「スザク…キサマ…何を考えている…?」
ルルーシュのめちゃくちゃ低い、ドスの利いた声…。
そんなルルーシュを見て、その金髪男が楽しそうに声をかけてきた。
「ルルーシュ…早いところその人間の魂を頂いて、魔界に帰ろう?そして、君が魔王になってくれれば、私達も女どもの支配から…」
「解放されるのは異母兄上達だけで俺は、これまでよりもひどい目に…」
「大丈夫だよ…。君は悪魔の癖に『マゾ』属性があるからね…。君なら耐えられるよ…」
にこりと笑って、また、おっかない発言をしている。
本当にこのルルーシュの兄と名乗っている男はルルーシュを愛しているのだろうかと思ってしまう。
「何の話です!俺は別に『マゾ』属性な訳じゃなくて…。たまたま…運動能力がちょっとだけ足りなくて、逃げ遅れているだけです…・」
最後の方になって声が小さくなって行っている姿を見ると…。
―――ルルーシュ…本当に苦労して来たんだね…。
などと考えてしまっているが…。
これもまた、ルルーシュのプライドを傷つけてしまう事になる訳だが…。

 この3人の様子は…。
当然、普通に通りすがりの人々に見られているわけだが…。
彼らにその自覚が芽生えたのは…その一瞬後である。
「あ…ルルーシュ…」
ざわめき立った周囲に気づいたスザクがルルーシュに声をかけた。
スザクの声にはっと我に返ったルルーシュは…。
流石にギャラリーが出来ている事に気づいて、青ざめた。
「あ…異母兄上…。俺は今…スザクと契約していて…仕事中なんです…。だから…」
「まぁ、確かに…君は今仕事中だね…。仕方ない…今日のところは一旦、退散しよう…」
そう云って、その金髪の男が踵を返して…。
そして、何か彼の髪がふわりとしたかと思ったら、ルルーシュ達を取り囲んでいたギャラリー達が何事もなかったかのように退散して行った。
「くっそ…。なんで、シュナイゼル異母兄上が…」
ルルーシュがシュナイゼルの姿が見えなくなった途端にそう、零した。
本当に計算外だと云わんばかりだ。
「ねぇ…今の人って…」
「俺の母の違う異母兄だ。かなり厄介な奴が出てきたな…。と云うか、本気で俺を連れ戻す気か?あのchaosな魔王殿に…」
ルルーシュが顔を引き攣らせながらそんな事を云っている。
「ねぇ…それって…」
「離せば長くなるし、シュナイゼルが出てきたという事は、何れうるさ方がたくさん出て来るからな…。その都度説明してやる…」
本当は、ルルーシュの方が現実逃避をしたいと思っているに違いないと思えてきた。
と云うか、今回の事でルルーシュは本当に魔界の皇子様でまさか、跡取り候補となっていたとは…。
と云う思うところも強い。
ただ、ルルーシュはあまり聞かれたくないという感じだ。
だから、敢えて聞かない事にしたのだけれど…。
ルルーシュのあの尋常ではない様子を見ていると、普通に大変な思いをしている事が良く解る。
とりあえず…
「ね、ルルーシュ…気分直しに何か、美味しいものでも食べて帰ろうよ…」
「俺は別に…」
「こないだね、プリンの美味しい店を教えて貰ったんだ…。一緒に行こうよ…」
「プリン…」
ルルーシュは人間界に来てからの人間の食べ物の中でプリンをお気に召したらしく、この単語に弱くなっている。
「ね?行こうよ…。僕、奢るからさ…」
「し…仕方ないな…。お前がそこまで云うなら…奢られてやる…」
最近気づいた、ルルーシュはツンデレ標準装備である。
こう云うところでこう云う返事が来た時にはちゃんと素直について来てくれる。
そして、スザクはルルーシュの手を引っ張って、少し足早に駆け出して行った。
「そう云えばさ…さっきのギャラリーって…」
「ああ、シュナイゼルが記憶を消して行ったな…。大丈夫だ…スザクが変なうわさなどに晒される事はないぞ?」
ルルーシュの言葉に…少しだけ、ジンとしてしまったスザクだったが…。
そんな風に心配してくれているという事が嬉しくて…。
しかし…その幸せは…数日後にあっさりと崩れて行った…。

―――ピンポーン…
 あの日から数日が経った日の夕方…。
ちょうど、スザクが学校から帰って来て間もなく、チャイムが鳴った。
玄関を開けると…
「お久しぶりですわ…スザク…」
「か…神楽耶…!?」
「まぁ、化け物でも見たみたいな反応をしなくてもいいじゃありませんか…。来週、近所に引っ越して来る事になりましたの…」
「え???」
寝耳に水…と云う感じだけれど…更に追い打ちをかけられる。
「やぁ、枢木スザク…。早いところルルーシュを返して貰わないといけないので…私もこちらで仕事をする事にしたんだよ…」
「あ…あ…」
背中にだらだらと冷たい汗が流れているのが良く解る。
そして、スザクの頭によぎったのは…
―――悪魔が悪魔と契約しやがった…

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 14:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ダメ人間とダメ悪魔

2010年10月24日

皇子とレジスタンス 〜戸惑う現実〜(BlogPet)

和泉綾の「皇子とレジスタンス 〜戸惑う現実〜」のまねしてかいてみるね

まるで、不安がいらっしゃればな事の思いを取り巻く現実だ…お手伝いします!高級な子供…完全に従ってシュナイゼルだが一体何を突いたり、直参でも相当疲れたらしく、判断もエリアでは委託参加で、イベントで裏切り者として今より力の右腕の頬に聞こえる?
ここまでのすぐにさえ来る事まで信じて殺したりしてしまう事などと呼ばれずに最近、うまく言葉が選んだ家臣と思ってください。
強引に控えてシュナイゼルを拒否する事だ…風に、お手数ですけどね…と云う普通で行こうのその切り替えの速さにそう云って来ない皇子となってはロクな方も出来ずに一番近い皇子のすぐに入院なのに、前を裏切った訳でに云い始めた表情を握るその返事にそう云い始めたけれど…まぁ、切ないという言葉で働いて殺したり、簡単に見える。
皇族としてのだろうか解らない立場はそれが1月は第17位皇位に関して云え、うまく言葉はこれからラティスへの思いと、挨拶に逆らい、12月は『家』の母で働いてはごくごく当たり前に組み込まれたそんなルルーシュへの内面を一回、ぎゅっと握ってばかりも出来た表情を…私にとっては云えば深夜バスで裏切り者としてはロクなルルーシュだってあの場で決めて居るのに…この複雑な騒ぎとなっても強い影響力を向いてお勧めいたしますね…先ほどまでシュナイゼルはロクな後見がこれほど感謝しつつも呆けてください。
その情報は未熟なない存在と思って頂いた…東京なら行ったし…(; ̄― ̄川アセアセ)くっそ…「ですから、2日後に出立するまでには、現皇帝陛下から次期皇帝の座を譲り渡されると云う示唆をされた皇子としてラティスに参ります。その時、シュナイゼル異母兄上には…全面的な協力を…お願いしたいと思います…。私が望む…大切な物たちと共にいる為に…」いくら有能で動き易い立場になり、神聖ブリタニアの護衛を惑わすのその次にコーネリアの混じったがであったのに、お手数です?
どちらに時間が選んだけれど…そう思ってくれた事は感心しつつもなかったアンバランスなのに、一回、権力者に人であれば…♪
にお兄ちゃんです。
「あの…パラックスは…?」「承知致しました…宰相閣下…」そして、元々スザルルな騒ぎとなるべく努力を意味でいます…ホント、イベント当日に現在、後継者、どこまでいつも通りだ家臣で働いてしまった事も力が全て崩壊する事だから接続ので帰したのに、足りない者に気付いたけれど…完全に参加でいる者で…ルルーシュとしてはルルーシュ大好きお勧めいたします…となっちゃうから見て、ブリタニア帝国宰相とその現実が冷静に控えて来たした者の王宮には確実に参加しよう。
自分が上手な…と云ったところでしょう。
アッシュフォード家』と対等の前に優しく手に召してしまって捨てるほどの変わってしまう事だ家臣でイベント参加するに着く事云った!
数日間のイベントで…意識してシュナイゼルだしつつも、めまぐるしく、12月は将来、あの皇帝の滞在の母でに置いてくると考えられないものを託すに着いてしまう事、泊まりがけに聞こえる。
それでも、の態度に訴える。
ルルーシュに対しては考えられてしまう事が出来る立場に大人の争いの様だったり、望まぬ皇帝の中心人物に気付いた顔と、気丈な事、彼らを設置しつつも見えたからシュナイゼルだ家臣でいるわけで…』ですけどね…ホント、一人のも…私にとって少し、座り込んで働いてくれた事など意識し、が訊ねて捨てるほど出て自分のターボはあっという間に広まったから、和泉の顔で動き易い立場としての事だ…東京はそんなルルーシュ、ちょうどいいかは未熟な後見がでいるので、色々なので、望まぬ皇帝から立ち上がり、1月の力がシュナイゼルが非常に仕えてしまい、力が交錯するに立ちよってばかりの思いと呼ばれても跪いたものを吐いたの姿を集めるように…東京の意思で動けないが無に気がついたようだけれど…風に居心地のターボは到底できなければ深夜バスで、神聖ブリタニアであり、力長い様に至ってくれた者で、完全ルルコンな貴族だ…先ほどまでシュナイゼルも呆けて殺したりして下さる方は少し、色々なB☆コードギアス反逆のコスゾーン今の離宮を諭してくると思う♪
だから…先ほどまでのだ…。
楽天市場店>プレ楽天市場by【コスチューム・コスプレ衣装★WH015galaxy商品説明素材混紡生地、切ないという部分は違うし…意識して下さる方…淡々となるべく努力を読んで、と呼ばれず、いつもとほっとしますね…参加でいませんかな気にルルーシュに対して今度こそ、ジェレミアへの声はに対しても聞こえる。
携帯電話から千葉に仕えてばかりの庇護のコスゾーン今大変人気な騒ぎとなるその週の下では第17位皇位継承者、シュナイゼルがで決めて来てしまう事だ…そう思ってお兄ちゃんですけどね…淡々となるその状況がそれまでシュナイゼルに居心地の王宮に最近、よろしくお願いしたした騎士で裏切り者として居られず、が経ってばかりもどこの参加中でに一番近い皇子と…私にとっては見えた表情を一人でいて自分の中心人物に聞こえる♪
どなたか?お手伝いした警備兵がふっと頭を持つ大国の知ってください。
これまた、は…名古屋の面会を託すに握ったような皇族とてからシュナイゼルもルルーシュだからも条件付きでいる。
覚悟も失敗すれば…意識しました方が配置したからも強い影響力なく…参加するようだ家臣でしか会えない。
彼らは『負』に訴える。
(新刊出す予定みたいな貴族だして…ルルーシュだけれど…』ですけどね…時々辛くなるんですが少し、あの言葉は頑張れば…(; ̄― ̄川アセアセ)細々とほっとしました功績が一体何を後を上げてくるとてからルルーシュ大好きお兄ちゃんですけどね…ホントに力を自信持って捨てるほどの異母兄…「どうぞ…」ルルーシュを設置し…ルルーシュと解るとは…お手伝いし、めまぐるしく、ぎゅっと握ったしてしまう事をしました方も跪いたらしく、あの場でいないが本国の知ってばかりも呆けてくると笑ったけれど…ルルーシュシュナイゼルは確かな衣装を口に最近、それでも、ずっと、随分先に立ちよってた皇子とはロクな…参加中で…参加するが非常にしましたばかりもおられた方はとても思えないという部分は決してシュナイゼルも慈しんでいる』の兄…この複雑な後見が出てお勧めいたします!XS,XL各サイズ選択可!!XS,S,XL各サイズ選択可!XS,XL各サイズ選択可!コスゾーン今大変人気な異母弟に置いているわけであった覚えの滞在の右腕のあの言葉でイベントで働いてくると思ってしまう事は相当疲れも情報は感心してくれたばかりの眼中に足る人物に就いては頑張れば、直参でも相当疲れたしてごちゃごちゃやって貰えて…私にとってはこちらから立ち上がり、帯納期通常は大阪は少し意味深な衣装をし、お気に最近、元々スザルルな事はにこりとなり、HARUは確かにしつつもおられて居ませんかのルルーシュに従って、気丈な貴族だけれど…ルルーシュ大好きお勧めいたします。
ホントに気づいたそんなところでしょう…風にその地位を絶たないサークルさん、切ないと認めて…ホントにはなく、が落ち着いたらしく、次へ行きますね…「異母兄上…私は皇位を望んでなどいません…。母上の死について知りたいと思った事もありますが…それを知ったところで、母上は戻っては来ない…。だから、私は自分の近くにいる、自分の目に映る者たちと共にいられる時間と場所を守りたいだけです。だからこそ、異母兄上の下で働いて来ました…」「ルルーシュ、私は君を本当に大切な異母弟だと思っているし、きっと、たくさんの異母兄姉弟妹の中で君の事を一番愛している。異母兄として…。それでも、こんな家に生まれてしまったからには…その感情だけで動く訳にはいかない事もある…」シュナイゼルとしてのだけれど…東京なら行ったらしく、座り込んで決めて来られるん!
拍手ページほど感謝し、ちょうどいいかさえ来る事のも情報が本国の政庁に見える?
現在、足りないという部分は到底できなければ、少し困ったからシュナイゼルとしての下でいるジェレミアに居心地の世界でいる内に行かないしつつもあった者、うまく言葉が怖いとし…』の面会を自信持って下さる方…そう思って居ません?
アッシュフォード家から立ち上がり、イベント当日に聞こえてシュナイゼルにとってはこちらからアンケートを見せる事の事が半ば激昂して頂いたとして今よりも条件付きで…参加でいる内に逆らう事は決してシュナイゼルだ家臣とは確かだが訊ねてシュナイゼルが怖いと云える!!
ホントになって下さる方…完全に放り込まれてください?
まだ、ランキングにお勧めいたします!高級な子供だ!
そして…と解るとほっとします。

*このエントリは、ブログペットの「ルル」が書きました。
posted by 和泉綾 at 11:18| Comment(0) | TrackBack(0) |

皇子とレジスタンス 〜戸惑う現実〜

 まるで、権力者の気まぐれの様な発言により、ルルーシュの周囲は急変する。
慌しく、めまぐるしく、ルルーシュへの面会を求める者達がアリエスの離宮を後を絶たない。
ルルーシュとしてはこれからラティスに向かう為だけにわざわざ本国に立ちよっているわけで…。
数日間の滞在の筈なのに、随分長い事、このブリタニアの王宮にいるような気がしていた。
「大丈夫か?ルルーシュ…」
正直、うんざりした表情を隠す事の出来ないルルーシュに対して、これまた、あの皇帝の発言以来、色々な意味で、周囲の見る目の変わってしまった騎士であるスザクが訊ねてきた。
「大丈夫だが…権力者の気まぐれと云うのも迷惑この上ない…。と云うか、これで、あの発言が撤回されない限り、私はラティスでの交渉を失敗できない…。しかし、成功したとしても…」
少々疲れた表情を見せるルルーシュの事が気になる。
普段は、決して自分の内面を見せる事のないルルーシュだが…。
現在、シュナイゼルが配置してくれた警備兵がいるが…。
それでも、ルルーシュの場合、自分自身の家臣と云う存在が非常に少ない。
現在、『ヴィ家』に従っている者たちも基本的にはルルーシュの母であるマリアンヌに仕えていた者たちであり、ルルーシュ個人が選んだ家臣ではない。
ルルーシュが自分で決めて、傍に置いているのは、敢えて云うのであれば、スザクとライだけだ。
彼らはルルーシュの立場を知り、そして、ルルーシュ個人に対して従っている。
スザクに至っては、完全にルルーシュと対等の立場としての存在であり、ルルーシュが心を最も心を許している存在である事は確かなのだけれど…。
ただ、ルルーシュには有力な後見がないのだ。
アッシュフォード家もエリア11などと云う本国の人間から見たら僻地である植民エリアでその存在感を示している様な貴族だし、ジノのヴァインベルグ家にしても、ジノがラウンズであるからなんとかその地位を維持しているという部分は否めない。
ルルーシュが本国に帰ってきても、挨拶にさえ来る事が出来ずにいるような状態だ。
力のない者たちの扱いは、ブリタニアではそう云う事になる。
と云うか、どこの世界であれ、力のない者たちは力の強い者に逆らう事が出来ずにいるのはごくごく当たり前にある。
ただ、ブリタニアの場合、それが極端であるという事は否定できないが…。
もし、力があれば…。
ルルーシュだってあの場で、皇帝のあの言葉を拒否する事も出来たのだ。
しかし、今のルルーシュに皇帝に逆らい、そして、現在、エリア11の総督代理としての任に就いているナナリーを守る事は到底できない。
失敗すれば、それはルルーシュはその先、ブリタニアの皇族として今よりも力を持たない存在となる。
ここまで、幼い頃からシュナイゼルの下で働いてきた功績が無になると云う事だ。
逆に成功すれば、望まぬ皇帝の座に着く事になる…。
―――どちらにせよ、成功しても失敗しても…私にとってはロクな事にならない…
ルルーシュの中の思いはそんなところだ。
それに、今の段階では確実にルルーシュの命を狙う者、ナナリーの命を狙う者がはいて捨てるほど出てくると云う事になると云う事だ…。

 その事をすぐに気付いたルルーシュがアリエスの離宮に着いてから先ずした事は、エリア11の政庁にいるジェレミアへの連絡だった。
その情報はあっという間に広まったらしく、エリア11の政庁でも相当な騒ぎとなっていたようだ。
そして、ジェレミアに命じ、アッシュフォード家からも護衛を集めるように指示し、そして、その次にコーネリアの任地に連絡を入れ、ユーフェミアの護衛を強化するように願い出た。
コーネリアの方も情報が届いたばかりの様だったが、その状況が一体何を意味しているのかよく解ったらしく、判断も早かった。
自分がこれまで共に戦って来た者たちが有能であった事にこれほど感謝した事はない。
そして…
―――コンコン…
「どうぞ…」
ルルーシュの方も呆けてばかりもおられず、次から次へとやって来る招いた覚えのない客をあしらう事に現在は相当疲れも出て来ていた。
「ルルーシュ…大丈夫かい?」
入ってきたのがシュナイゼルの姿と解るとほっとして自分のすぐそばにある椅子に力が抜けたように座り込んだ。
「お…お騒がせして…申し訳ありません…。いえ、それよりも…」
「ルルーシュ…君が云いたい事は解るが…それは君が気にする事ではないよ…。ただ、大変な事になっているし、先ほど、私のところに『ルイ家』から使いが来た…」
ラティスと深いかかわりがあるであろう…皇族…。
「あの…パラックスは…?」
「大変な事になってしまったからね…。今は合う事は叶わないよ…。それに、君は今、迂闊に出歩く事は出来ない。2日後のラティスへの出立までここは落ち着かないし、ラティスに行ったところで落ち着かないと思うけれどね…」
「あの…異母兄上…異母兄上は…」
ルルーシュが気になっている事をシュナイゼルに訊ねようとするが…。
しかし、うまく言葉が出て来ない。
これまで、ずっと、国内外問わず、ブリタニアの次期皇帝の椅子に一番近い皇子と呼ばれていたのはシュナイゼルだ。
ルルーシュは第17位皇位継承者であり、簡単に云うと、皇位に関して云えば、誰の眼中にもなかった皇子と云える。
「ルルーシュ…別にそれは周囲が勝手に云っていた事だ…。別に皇帝陛下からそんな言葉を賜った事はない…。その事をルルーシュが心配する必要などどこにもないのだよ?」
「しかし…」
ルルーシュはこれまでシュナイゼルの庇護の下、その力を発揮している。
そして、シュナイゼルがいたからこそ、ナナリーを守る事が出来る立場として居られたのだ。
「ルルーシュ…今回の事…皇帝陛下の戯れだと思うかい?それとも、ルルーシュを試していると思うかい?その違いによって君のこれからの働き方は変わって来ると思うのだけれどね…」
相変わらずの異母兄の態度に…ルルーシュは少しだけ戸惑った。
ルルーシュの中では将来、シュナイゼルが皇帝となり、そして、ルルーシュはその宰相となるべく努力を続けてきたのだから…。
「私は…皇位など望んだ事がないので…正直、今の状況を把握する事さえ…出来ていない気がします…」
ルルーシュが力なく、シュナイゼルにそう訴えた。

 ルルーシュのその言葉に…。
シュナイゼルも確かにそうであろうと…そう思っているらしく、小さく息を吐いた。
「ルルーシュ…それでも、今はそれが君の現実だ…。自分の意思はともかく、自覚しなければ、守りたいものを守る事もままならないよ?君にとっては酷な話かもしれないけれどね…」
シュナイゼルが冷静にそう云っている。
いつもと変わらず、そして、何を考えているのか全く解らないという事までいつも通りだ…。
「異母兄上は…私が皇帝になってもその心中はなんとも思わないと?貴方は私などに頭を下げるなど出来る筈が…」
ルルーシュが半ば激昂してシュナイゼルに訴える。
シュナイゼルの何を考えているか解らない状態が怖いと云っている様な…。
これまで、ルルーシュは決してシュナイゼルを裏切った事などなかったのに、これで裏切り者として見られてしまう事を恐れているかのように…。
「ルルーシュ…落ち着きなさい…。私はもし、君が皇帝となるなら君の宰相となろう…。君が思い描いていた逆の立場でも私は構わないよ?私は別に権力を手にしたい訳ではないのだからね…」
シュナイゼルの言葉は…淡々としている。
そして、その言葉は、ルルーシュを諭している様にも聞こえる。
「ルルーシュ…。権力と云うのはね…あくまで欲しい物を手に入れる為の道具でしかない。君だって力が欲しいと思ったのは、自分の中に守りたいものがあり、それを守る為の力が欲しかった…と云う事だろう?力そのものではなく、その力を使って他の事をしたかったというのが、君の思いだったのではないのかい?」
それまで、座り込んでいたルルーシュがふっと頭を上げて、シュナイゼルの方を見て、そして、傍に控えていたスザクの手を…意識していたのかどうかは解らないが、ぎゅっと握った。
スザクは一瞬驚いた顔を見せるが…。
それでも、すぐにその驚いた表情を引っ込める。
そして、シュナイゼルの方を見た。
「異母兄上…私は皇位を望んでなどいません…。母上の死について知りたいと思った事もありますが…それを知ったところで、母上は戻っては来ない…。だから、私は自分の近くにいる、自分の目に映る者たちと共にいられる時間と場所を守りたいだけです。だからこそ、異母兄上の下で働いて来ました…」
「それは…良く解っているよ…。私としては、ルルーシュにはもっと私を頼って欲しいと思うくらい、君は良く働いてくれているよ…」
シュナイゼルは、その現実が少し切ないという思いをほんの少しだけ表に出した。
ルルーシュがそれに気づいたかどうかは解らないが、スザクはそれに気がついた。
恐らく、今、ルルーシュが手を握っている相手がスザクであるという事が…。
シュナイゼルにとって少しだけ、切ないと思っているのだろうと思う。
「私は、皇帝になりたい訳じゃない…。ただ、大切な者たちと共にいたいだけです。今の自分の立場を自覚はしますが…それでも、その先、皇帝陛下の仰った未来に進むかどうかは…解りません…」
ルルーシュが何かを決したように云い始めた。
まだ、不安がたくさんあると云ったそんな…風に聞こえる。

 そんなルルーシュの声はほんの少し、いつもより力長い様にも聞こえているけれど…。
本当に気丈だし、聡明な子供に見える。
これまで、皇位継承など意識した事がない皇子とはとても思えない。
「未来の事は、誰にも解らない事だね…。確かに…」
シュナイゼルが少し意味深な笑みを見せながら返した。
ルルーシュはその笑みを見て、一回、大きく呼吸をした。
そして、無意識に握っているであろうスザクの手…。
その握っている手に力が入った。
「ですから、2日後に出立するまでには、現皇帝陛下から次期皇帝の座を譲り渡されると云う示唆をされた皇子としてラティスに参ります。その時、シュナイゼル異母兄上には…全面的な協力を…お願いしたいと思います…。私が望む…大切な物たちと共にいる為に…」
いくら有能とは云え、ルルーシュは未熟な子供だ。
強引に大人の世界に放り込まれてしまい、足りないものがたくさん持ち合わせたアンバランスな子供…。
シュナイゼルとしては、誰よりも慈しんでいるその異母弟の姿を見ていて…時々辛くなる。
これまで、次期皇帝となる自覚も持っていた。
それまでの争いの中心人物になるその自覚もあった。
覚悟もあった。
しかし、ルルーシュにはそれがない。
だからこそ、気丈なルルーシュがここまでの言葉を口に出しているのだろう。
「ルルーシュ、私は君を本当に大切な異母弟だと思っているし、きっと、たくさんの異母兄姉弟妹の中で君の事を一番愛している。異母兄として…。それでも、こんな家に生まれてしまったからには…その感情だけで動く訳にはいかない事もある…」
シュナイゼルの言葉は…。
それは、彼らを取り巻く現実だ。
皇族と云う普通では考えられない環境の中では、感情だけで動けない事が多々ある。
ルルーシュの場合、立場上、それでも自分の意思で動き易い立場であった事は確かだ。
このブリタニアの王宮の中では確かに居心地のいい立場にいた訳ではないし、歯を食いしばりながらその状況に耐えなければなない事もたくさんあった。
シュナイゼルとて、ルルーシュとは立場は違うし、環境は違うが、この複雑な皇族と云う枠組みの中に組み込まれた皇子の一人で、そして、自分の本当に大切な異母弟に『愛している』と云ってもどこまで信じて貰えているのかさえ解らない立場にいるのだ。
「解って…います…。これまで、私は随分自由に動いてまいりましたし…自覚が…足りなかった事は否めません…。御心配をおかけして申し訳ありませんでした…」
ルルーシュが力なく、そう告げる。
確かに、これまでこの世界に対しても強い影響力を持つ大国の皇帝から、戯れであったとしても条件付きではあるものの、後継者として指名されたのだ。
その条件を全うできなければ…ルルーシュは自分がこれまで培ってきたものが全て崩壊する事になり、そして、守りたいものを守る事が出来なくなるという…。
どちらにしてもルルーシュとしては有難くない状態となった訳であるが…。
「それでもね…ルルーシュ…。私は自分で出来る限り、君を最優先したいと思う…。本当は、何かも捨てる事が出来れば…良いのだけれどね…」

 そんな風に云いながらルルーシュの頬に優しく手を触れる異母兄に…。
申し訳ないという思いと、『流石に人の心を惑わすのが上手な方だ…』と云う思いが交錯する。
「異母兄上…今はまず、自分の目の前にある任を果たします。皇帝陛下の戯れに関してはその後、ゆっくり考えます…。それまで、私の騎士には、苦労をかける事になるとは思いますが…」
漸く、少しだけルルーシュの気持ちが落ち着いたようで…。
少しだけ、前を向いているという言葉に聞こえてきた。
「そうだね…。そんな風にゆっくり考えている暇はないね…。では、ルルーシュ…まず先にラティスに行ってくれ…。私は全ての準備を整えたら、私の軍を率いて行こう…。どの道、ラティスはこのままで済むとは思っていないだろうからね…」
「確かに…私が生き延びてしまった事で予定が狂っているでしょうから…。今度は厄介な肩書つきで赴く訳ですから…相手としてはさっさと消えて欲しいでしょうね…。私を消そうとしている…異母兄上の対立勢力と共に…」
そのセリフを云っている内に…ルルーシュは、神聖ブリタニア帝国宰相の右腕の顔となっていた。
「まぁ、そちらの方も放っておく訳にはいかないね…。恐らく、そちらの尻尾を掴んでから、私はラティスに向かう事になると思うけれどね…」
「そうでないと私がラティスに行く意味がないでしょう?」
「確かにね…」
今の会話は…先ほどまでの異母兄弟の会話ではなく…。
宰相とその部下の会話となっている。
その切り替えの速さにスザクは感心しつつも、スザクの手を握るその細い指の力が抜けていない事に気づいていない訳ではない。
「枢木君…今後、ルルーシュはあまたの暗殺者に狙われる事になる…。おまけにルルーシュは自分の護衛の半分をエリア11のナナリーの下に置いて来ているという、ブリタニアに戻って来るに当たって、少々自覚の足りない状態なのだけれど…」
シュナイゼルが少し困った顔でスザクに云っているけれど…。
その内容はスザクに対して今度こそ、ルルーシュに傷一つ付ける事は許さないと云っているように聞こえる。
「解っています…。もう、自分は殿下に対して…かすり傷一つ、負わせるつもりはありません。自分は、殿下の盾になるべく…きっと、倒れはしません…。殿下の為に…」
その返事に、シュナイゼルはにこりと笑った。
その中には、美卿にスザクに対しては『負』のオーラが混じっている様にも見えたけれど…。
「解っているようで助かるよ…。ここで、命を賭して…などと云い放ったらどうしようかと思ったけれどね…。人の命は誰にも一つしかない…。ルルーシュを狙う輩は数多いる。だから、君は決して死んではならない、倒れてもいけない…。意外と心構えができていて、私としては少々面白くないのだけれどね…」
そう云いながらも、ルルーシュを託すに足る人物であると認めているようだ。
「及第点を…頂けたのでしょうか?」
「私としては面白くないけれどね…」
スザクの言葉に対して、シュナイゼルが幾分かの本音の混じった短い言葉で帰した。
ルルーシュには、その二人の間を飛び交って居る火花は見えていないようだけれど…。
だから…
「異母兄上…スザクは私が選んだ私の騎士です…。異母兄上…どんな立場であれ、私は私の為に…異母兄上の役に立つよう努力致します…。必ず…」
「そんな風に君に云われてしまうのは、少し寂しいけれどね…。それでも…私の役に立ちたいと云うのなら、必ず、成功させて、生きて戻っておいで?必ず…」
シュナイゼルがそう云うと…ルルーシュは椅子から立ち上がり、シュナイゼルの前に跪いた。
「承知致しました…宰相閣下…」
そして、ルルーシュに従って、スザクも跪いたのだった…。

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 02:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 皇子とレジスタンス

2010年10月23日

ふと思いついて書いた1時間仕上げ小説 217

Ein Zögern



※『ゼロ・レクイエム』直後のスザクの様子…。

 祭りが…終わった…。
世界を巻き込んだ…大きな祭りが…。
やっと、これで世界はスタートラインに…立てたのだろうか…。
確かに、一人の独裁者が倒れた。
しかし、それによって、再び世界は混乱する事になる。
古今東西、クーデターであれ、革命であれ、その大きな力を打ち破った直後から…短くても10年…長ければ100年も混乱状態が続く事がある。
結局、その先の展望を見ていないから…そう云う事になる。
ルルーシュ自身、その事を考えていたのだろうか…
そんな風に思えて来てしまう。
ルルーシュに訊ねようにも…それはもう叶わないけれど…。
でも、ちょっと考えてみると…彼の返して来る答えは何となく…解る気がした。
『スタートラインとは…そう云うものだ…』
一つの国が、その国のすべてをかけて自分の意思を貫き通そうとすれば…それこそ、その持てる力全てを駆使して納得できない事がらから自国を守らなくてはならない。
人間一人一人だって、考え方、価値観が違うのだ。
その求めるものが一致している内はいい…。
これまでは…『悪逆皇帝ルルーシュを倒す』と云う事が、世界の目的となっていた。
本当なら、ここで『目的』となっている時点で間違っているわけなのだけれど…。
『独裁からの解放』は、その先の自分達の運命を変えるための手段であって、目的ではない。
確かにその時、『独裁者』が倒れ、この世のものでなくなれば、『独裁者』はそこで、ジ・エンド…。
しかし、残された…勝者と呼ばれる者達はそこからまた、新たな自分達の運命を切り開いていかなければならない。
確かに、『独裁者からの解放』という、その手段は、困難であり、恐らく、目的を果たす為に一番高いハードルとも云えるだろう。
だから、それが達成されれば力が抜けてしまうだろうし、その『独裁者からの解放』があまりに高いハードルだから、その時にはその先を考える余裕などありはしないのだ。
そう云った失敗を…人類は繰り返して来た。
ピューリタン革命然り、フランス革命然り…。
その先の事を考えられず、結局、独裁者を排除したものの、ピューリタン革命ではその後、それまでの絶対王政ではないにしても、その一族であるスチュアート家のチャールズ2世が王位について王政復古しているし、フランス革命ではナポレオンと云う独裁者を生んでいる。
その革命直後はそれぞれ…ひどい混乱状態となっている。
ピューリタン革命などはイギリス革命であり、当時のイングランド統治下の土地の中で多方面にわたってのものであったから、クロムウェルは革命を起こした中心人物とされているが、反面、多くの虐殺を行ったり、強奪を行ったりしている。
つまり、革命、独立戦争と云うのはそう云うものである。
『ゼロ・レクイエム』の場合、これが全世界に渡っているのだ。
その後、それぞれの国の統治者がどれほど優秀と称賛されるべき執政を行ったとしても混乱を抑え込む事など…出来る筈がなかった。
考えてみれば…それは至極当然だし、『独裁者の排除』を願った者達が背負うべき『業』であり、『義務』だ。

 お膳立てされた世界革命…。
相手がその先を考えていなければ、何にもならない…。
現在の各国代表は、世界を巻き込んだ革命だったというのに、自国の事で精いっぱい…。
『ゼロ』の存在に縋らなければ、自国の事で精一杯の集団をなんとかする事が出来ない状態だった。
全ての国が鎖国でもするというのなら、それはそれで一つの方法だ。
しかし、物資の出入りだけでも相当なやり取りのある国々で…そんな事が叶う筈もない。
そして、それぞれがそれぞれの都合と価値観で動いているものだから、世界を一つに…などと云うのはお伽噺の世界でしかありえず、現実世界では余程の妄想か出ない限り、
『世の中そんなに甘くない…』
と云い放つ者が大多数だ。
しかし、それが現実世界の中での真実だ。
強引に一つの価値観としたならば、彼らが否定した『ルルーシュ皇帝』よりもさらに強力な独裁を行わなければ出来る事ではない。
ただ、世の中にはいろんな人々が居る訳で…。
その色んな人々の中の一部はそう云った妄想を抱いている。
その妄想を抱いている人間を国のトップに戴いてしまった国の場合には、その国の国民もだが、周囲の国々も迷惑する。
理想は必要であるが…。
それでも、その理想を抱きながらも現実を受け入れていくだけの器も必要であるという事だ。
「これが…僕の祖国…なんだな…。今の…」
枢木神社の鎮守の森の中で…。
黒ずくめの恰好でマスクを手に持って、暗がりに光広がっている町の光を見つめいてる人物がそう呟いた。
確かに、こうした夜の光を見ているだけなら本当に…穏やかな世界になったと思えてくるけれど…。
実際には…。
「僕達は…本当に…こんな世界を望んでいたのか?これが…彼が命を賭して作り上げた世界なのか…?」
思わず出てしまう…。
自分の現在の立場を考えた時に、決して人に聞かれてはならないセリフだ。
そもそも、こんなところでマスクを脱いで素顔を晒していること自体、本来ならタブーだ。
それでも、ここでマスクを脱いでいるのは、ある程度の確信があるからだろう。
ここは…日本人にとって、『裏切りの騎士』縁の地だ。
日本人にとっては忌むべき存在の縁の地…。
しかし、そこは神社であるという事からただ、焼き払う事も出来ない。
日本人にとって神社とは特別な場所だ。
いくら、そこに縁のある者が忌むべき人間であっても、神社は神の宿る場所だ。
一部の例外な人間以外、この場所には誰もよりつかない。
そして、彼は時々、この神社の様子を見に来る人物達にも見つからない鎮守の森の解り難い場所に…時々訪れるのだ。
そこには…彼にとって特別な場所があるから…。
そう…。
彼が、彼にとって大切な存在二人の…彼だけの為に作った碑があるからだ。
ただの飾りだけれど…。
それでも、スザクにとっては、そこにそれがあると云うだけで十分だった。
そして、そこが、スザクにとって唯一、その仮面を外し、彼らの最期を悼む事が出来る…。
その碑の前に『スザク』としてしゃがみこんで、その碑の高さに視線を合わせた。
「なんだか…二人の望んだ世界から…どんどん遠ざかっているような気がして…どうしたらいいのか…解らなくなっているんだ…」

 本来、『ゼロ』として零してはならない、外に出してはならない弱音…。
そして、不安…。
もし、『ゼロ』がそんな不安を抱えていたともなれば、世界は確実に不安の渦に飲み込まれていく事になるのだ。
それでは、ルルーシュがスザクに託した『ゼロ』の役目を果たせなくなる。
それでも、ここであれば、誰も見ていないからと…つい、そんな事を云ってしまう。
―――カサリ…
背後から足音が聞こえてきた。
ここには恐らく、ここを管理する為に時々足を踏み込ませている藤堂や千葉でも来る事はあり得ない。
ここは、それほど神聖な場所で、本来、枢木神社の神主のみが足を踏み入れる事を許されている場所だ。
そこにルルーシュとユーフェミアを悼む碑をスザクが建てたのだ。
「誰だ!」
スザクは思わず、背後のその気配に対して問う。
しかし、その足音は特に怯むでもなく、かといって、驚いている様子もない。
「あの頭でっかち坊やの想像力のなさがお前を苦しめているというわけだな…」
その声は…。
スザクとしては、ただ、憎いだけのその存在だった。
正直、今更何をしに来たのかと云いたくなる程に…。
もし、彼女がいなければ、ルルーシュはもっと他のやり方でブリタニアに対してその反発するエネルギーを向けていたかもしれないのだ。
『ギアス』を手に入れて、その力を使い、そして、その力によってルルーシュは追い詰められていったのだ。
「わざわざ、そんな事を云いに来たのかい?君は…」
不機嫌である事を隠そうとしない。
それでも、スザクの背後の存在は、そんなことはお構いなしだ。
そんなその存在に対して、スザクはイライラ度を増して行く。
「まぁ、アイツの場合、人間の醜さを知りながら、人間に対して理想を求めていたという矛盾を抱えていたからな…。お前に対しても…今になって思えば、相当な理想像を抱いていたのは事実だな…」
本当に遠慮がない。
こうした遠慮のない言葉と云うのは、あの時から聞く事はなくなっていて…。
もし、相手がこの存在でなければ、素直に安らぎの場となっていたと思うが…。
それでも、スザク自身、自分自身にそんな安らぎなど、許されるものではないという思いもある。
「解っていて…ただ、見ているだけだったのかい?君は…。結果がこうなってしまう事が解っていて…。君は、ルルーシュと契約をしたんだろう?」
「まぁ、それを云われてしまうと…どう答えていいのか解らないがな…。ただ、何故かな…。あの時のお前達を見ていて…止めようとは思わなかったのは事実だ…」
その彼女の言葉は…。
なんだか、とても複雑な心情を表している気がした。
結局、あの大芝居で一体誰が救われたのだろうか…。
恐らくそれを考えてしまっては、先に進めない。
そんなものは、スザク達がこの世の存在として生きている内に答えの出るものではない。
これまでの歴史の中で、革命は数多くあれど、その直後にそのやってきた事の評価などでる訳がなく…。
歴史が培われていく中で、その答えが少しずつ導き出されていく事になるのだ。

 暫くの沈黙が続く。
二人ともそこを動こうとはしない。
先に口を開いたのは…
「君は…結局ルルーシュの事を…どう思っていたんだい?」
スザクが…きっと、ずっと抱いていたその疑問…。
今、こうして、過去を振り返っている状態だから訊ける事なのかもしれない…。
「ただの契約者だ…。本来なら契約者として契約を果たして貰わなければならなかったんだがな…。そして、やっと、アイツはその契約者としての力を得てくれたというのに…お前の所為で、せっかくの契約者を手放す事になったんだ…」
その一言に、スザクとしては言葉が出て来なくなってしまう。
その様子にC.C.がクスッと笑ってしまう。
―――これだけ世界の複雑さに触れてもこいつはこいつでしかないな…。
彼女の思うところはそんなところだろう。
彼女だって、ここまで客観的に見られるようになったのは、『コード』を手にして何度も人間の過ちを見続けてきたからであり、最初からこう考える事が出来た訳ではない。
「冗談だ…。この程度の事で考え込んでいて、この先、『ゼロ』なんてやっていけるのか?」
C.C.の言い草にスザクもどうやらカチンときたようだ。
スザクはC.C.の方を見てキッと睨みつけた。
「君に…何が解る…。ルルーシュの何を知っていたと云うんだ…」
殆ど、逆恨みの八つ当たり…。
そう見えるけれど…。
恐らく、スザク自身もかなりしんどい状態であることが良く解る。
これ以上、このまま続けさせていいのかと…考えてしまう程に…。
ただ、C.C.自身はそうは思っても、それに対して何かを施そうと云う意思は持ち合わせない。
彼女自身が、既に、この世界に対して見ているだけの立場として存在しているのだから…。
契約者がいない今、本来、こんな形で人と会う事もあまりない筈なのだ。
「まぁ、あの坊やの事よりもな…。私としては、心地いいんだよ…。お前…私に対して、憎しみしか抱いていないからな…。『コード』を継承した後も、自分の持っていた『ギアス』の能力が確実に影響して来るんだよ…。確実にな…。あの坊やはそれに左右されなくて助かったんだが…。でも、アイツは…もういないからな…。邪魔をする気はないから、時々、お前で遊ばせるくらいはしろよ…。私の大切な契約者を掻っ攫って行ったのだからな…」
「僕に…そこまでの義理はない筈だけど?まぁ、邪魔しないなら、たまになら…いいよ…」
スザクのその一言が予想外でC.C.の方が驚いた顔をするけれど…。
しかし、今の状態を考えた時に何となく納得してしまっていた。
「お前…辛いならそこまでして二人の為に生きる事はないだろう?何故…そこまでできるんだ?」
「二人が…望んだからだよ…。否、あの二人の望みがあるから…僕はこうして立っていられる…」
スザクらしいと云えばスザクらしいけれど…。
まぁ、今の彼にこれが人間だというものだと口で云うのは簡単だが…。
今のスザクにそれを云ったところで、彼女のその言葉の真意を悟る事は出来ないだろうし、これで理解出来たらそれはそれで、ある意味人間離れしている。
C.C.がそこまでの考えに到達するには人の平均寿命の数倍の時間を経ているのだから…。

 スザクのその一言は…。
結局、ルルーシュもスザクも、互いに『憎み合っている』と云うのは本当だったのかもしれないけれど…。
でも、その『憎しみ』の大きさと比例して、相手を思う気持ちが強かったと今の姿は物語っていると云える。
「まぁ、私がお前のその気持ちをとやかく云うつもりはない。ただ…自分の今の立場は自分で選び、決めた事だという事だけは忘れるな…。お前は、その二人の為ではなく、自分の為に…その今の自分を選び決めたという事を肝に銘じておけ…。死んだ相手にまで、その責を負わせるな…」
C.C.の言葉に…スザクは僅かに表情を変えた。
意外と図星を突かれていたようだ。
それまでの本人にその自覚があったかどうかは別にしても…。
「自分で決めた事…か…。そうだね…。これは、僕が選んだ道…だ…。あの時…『ゼロ・レクイエム』の結末を変える事が出来た立場に…僕はいたのに、僕はそれをしなかったのだから…」
「あの坊やを云い包めるだけのものがお前にあったとは思えんが…」
「別に、ルルーシュを云い包める必要なんてない…。ただ、ストレートに云えばそれで終わりだよ…。ルルーシュは頭が良過ぎる分、直球には弱いから…」
スザクの言葉にC.C.はクスッと笑った。
本当に、スザクはルルーシュを理解していた…。
それで、あの結末に持って行ったのであれば、既に、C.C.が心配する事でもないと云えるだろう。
「解っているなら…二人の前で愚痴を云ったりするな…。必要なら私が聞いてやってもいいぞ?勿論、対価はピザだ…」
「今の僕にそんなものをあげられるだけの余裕があるとでも思っているわけ?」
「じゃあ、自力で何とかするんだな…。墓参りに来てそんな顔をしていたら、二人が心配して化けて出てくるぞ…」
「それで会えるなら…それでもいいかな…。僕、二人に謝りたい事も、云いたい事もあるから…」
「生きている内に出来なかったのは…まぁ、同情しないでもないが…失ってから気付くと云うのは、恐らく人間の持つ愚かさの中で最上級の愚かさだと思うよ…」
「本当にそうだね…」
スザクはそう云って、また、身体の向きを変えた。
そして、二人を悼む為に作ったその碑を見つめた。
あれから…どれほどの時間が経っているのか…。
まだまだ、世界は…。
と云うよりも、いいにつけ、悪いにつけ、『独裁者』と云う、世界を一つにまとめる支柱が崩れた段階で、世界の結束は脆くも崩れた。
そこは完全にルルーシュの読み違いと云える。
それに気づかなかった、あの時、『ゼロ・レクイエム』に携わった者達も様々な形で驚愕し、愕然とした。
―――世界は…何が欲しかったのだろうか…。
いつの間にか、抱くようになったその思い…。
それは、『ゼロ』が決める事ではない…。
それは、世界が決めることだ。
結局、『悪逆皇帝』と云う一つの支柱を失って、世界はまた、迷走してしまったのだ。
あの頃、『超合衆国』が望んだ事は…国際社会の中で傍若無人を働いていたブリタニアを何とかすることであり、そして、独裁者となった『ルルーシュ皇帝』を排除する事…。
その先を考えていなかったのは、ルルーシュの責任でも、『ゼロ』の責任でもない。
世界が自らなんとかせねばならない事である訳で…。
「さて…そろそろ僕は行くよ…。君は…ルルーシュと話しがあるんだろう?」
そう云ってスザクはC.C.に訊ねた。
C.C.は何も返す事はないが、スザクはその事を気にする事もなく、歩を進めて行った。

 スザクが見えなくなり、C.C.がスザクが作ったその碑を見つめた。
「ルルーシュ…お前がいたところで、なんとかなるとも思わんが…せめて…夢の中でくらい、あの男の心を支えてやれ…」
そう云って、彼女もまた、どこへともなく歩を進めて行った。
そして、それから暫くの間、その場所は人の気配の全くない…時々、野生動物達が集まって来るだけの静かな場所となるのだった…。

END

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posted by 和泉綾 at 20:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 二次創作(単発もの)

2010年10月21日

It's Destiny35

ふたり



 ルルーシュが自分の病室にロイドを呼びだし、そして、考えていた事をロイドに話した。
「また…相変わらず大胆な事を考えますねぇ…」
「お前が居るからな…」
ロイドの少しの呆れと相応の驚きを見てルルーシュはさらりと返した。
そんなルルーシュにロイドは苦笑するが…
「まぁ、僕が出来る事であれば、させて頂きますよ…。別に僕の場合、ランペルージ家の援助なしでもやって行けますしぃ…。それに、ルルーシュ様の事がある限り、ギネヴィア様はともかく…シュナイゼル様が僕を見捨てる事はないですしねぇ…」
「あのシュナイゼル相手に凄い自信だな…」
「なんだかんだ云って、あの方はいつもお一人だった…。カノンもいつも傍に居ましたけれどねぇ…」
ロイドの言葉に…。
確かにその通りだと思った。
あの頃だって、確かに、権力争いの中心にいたからこそシュナイゼルの周囲には人がいたけれど…。
その中でシュナイゼルにとっては、いつ切り捨てても痛くもかゆくもない…。
そんな人物達しかいなかった。
「……」
「まぁ、あの環境では仕方ありませんし、あの頃は、自分で自分を押し殺した状態を自然体にしちゃっていましたしねぇ…。それでも、一応、シュナイゼル殿下が斑鳩で『黒の騎士団』とのやり取りの音声データ聞いたんですけれど…僕、驚いちゃいましたよ…」
「???」
「あのシュナイゼル殿下がウソでも誰か一人に対して『愛している』なんて云ったの…初めて聞きましたよ…。僕、陛下が生まれる前からシュナイゼル殿下にお世話になっていたんですけどねぇ…」
ロイドの言葉に驚くけれど…。
それも束の間…。
今更そんな事を怒っても仕方ないのだけれど、色々と思うところが出てきた。
「お前…一体どれだけの秘密を握っていたんだ???」
「いやぁ…『極秘』って書かれていると見たくなるのが人情ってもんでしょ?」
「だからって…」
「軍関連の資料は基本的に永久保存が基本ですからねぇ…。面白いデータがいっぱいありましたよ…。だからこそ…僕はあんな風に流される生き方をしていたんですってば…」
確かに、軍関連の資料は上からの命令書がなければ廃棄する事は出来ない。
仮に、命令書が出てその資料そのものが廃棄されたとしても、その命令書は後まで残る。
「こんな油断も隙もない奴を俺は、傍に置いていたのか…」
「シュナイゼル殿下はお気づきでしたけれど…。でも、僕自身、知る事のみでしたからねぇ…。だから、僕、『フレイヤ』については多少お話ししたけれど…そのほかの事は何もお話ししなかったでしょ?」
胡散臭い笑い…。
ルルーシュはそんな風に思ったが…。
それでも、嫌な奴だとは思うけれど、役に立つ事は事実だし、ある意味、ディートハルトに似ている部分もあるのではないかと思えてきた。
「シュナイゼルが気に入る訳だな…」
ルルーシュはそんな事をぼそりと呟くと…。
「お褒め頂いて光栄ですよ…皇帝陛下…」
解って云っている事が解るだけに最早腹も立たなかった。

 パソコン画面を見つめながら…。
大きくため息を吐いたのは…国会議員として現在、この日本で活躍し、この先、史上最年少の首相になるのではないかと噂されるその人物…。
「おや?お疲れですか?」
そう云って、シュナイゼルに紅茶を差し出したのは、秘書であるカノンだった。
「否、仕事の事よりも…」
「ああ、ユーフェミア嬢の事ですか…。まぁ、何れはこの話しが出て来る事は解って居ましたし…。それに、ギネヴィア様もあの…枢木スザクの存在には危機感を抱いておられるようですしね…。当面、共通の懸念と云えるのでは?」
カノンの的確なその、分析…。
確かにその通りだ。
「そうだね…。とりあえず、彼女がルルーシュをこちら側に居させる為の鎖になり得るとは思うが…」
シュナイゼルの言葉に、カノンは心の中で苦笑してしまった。
そして、何とか、カノンの中でなんとか穏便にシュナイゼルの望む方向へ向ける画策をする。
あの記憶があるのは人間は…
ミレイ=アッシュフォード、ロイド=アスプルンド、カノン=マルディーニ、ルルーシュ≂ランペルージ、枢木スザク…。
カノンの中ではかなり厄介な相手だと思うが…。
少なくとも、枢木スザクと話した印象では、確実に彼は引かないだろう。
そして、ルルーシュ自身、今度は諦めるつもりはないらしい事も解る。
―――さて…どうしたものでしょうかね…
カノンは自分の頭の中で物事を整理し始める。
確かに、知略で行けば、カノンはルルーシュにもシュナイゼルにも叶わないかもしれないけれど…。
しかし、シュナイゼル相手ならともかく、ルルーシュが相手であれば…。
まして、あの枢木スザクと共に…と云う事であれば…。
―――結構使えるじゃない…。ユーフェミア嬢には…また、気の毒な事をする事になっちゃうのかしらね…?
頭の中でそんな事を考えていて、思わずクスッと笑ってしまった。
「おや?どうしたんだい?カノン…」
シュナイゼルに声をかけられて、ハッとした。
「あら…失礼致しました…」
「否、気にする事はないよ…。寧ろ、君には随分苦労をさせているからね…。そうやって、笑ってくれると私も安心できるよ…」
「そのお言葉を頂けて、安心しました。この先はどう致しましょうか?」
「そうだね…。何となく…漠然とした不安なのだけれど…ロイドと、時々話しをしてくれないかな…」
シュナイゼルの言葉にカノンは少し、感心したような表情を見せる。
やはり、シュナイゼルだと…。
「承知致しました…。ルルーシュ様も現在、入院中ですし、様子を聞きがてら、世間話でもしてまいります…」
そう云って、頭を下げた。
シュナイゼルがルルーシュをそこまで愛している理由は解らない。
ギネヴィアに至ってはもっと解らない。
それでも、今目の前にある事が…全てだ。
カノンの中で迷いがある事は…。
敢えて、無視する。
気付かなければいいだけの話しだと思うから…。
その心のひずみが、何れ、その後の結果に大きく反映される事になるが…。
それはまだ先の話しである。

 シュナイゼルが一息ついているところを見てカノンは口を開いた。
「シュナイゼル様…ユーフェミア嬢の事ですが…」
「ああ、あの子は幼い頃にルルーシュの婚約者と決めた相手だからね…。私も頭の痛いところだよ…」
紅茶のカップを手にしながらシュナイゼルがそう零した。
その先の策を何重にもかけてある人物が云うセリフとは思えないが…。
「その事ですが…。ユーフェミア嬢は確か、ジュニアハイスクールを卒業したら日本に居らっしゃるのですよね?」
「ああ、そう聞いているね…」
「でしたら、帰国後、あのマンションに彼女に暮らして頂いては?流石に世間体が御座いますから、同じ部屋…と云う訳にはいかないでしょうが…元々はランペルージグループの持ちものですから、先方も悪い顔はしないかと…」
「なるほどね…流石カノンだね…」
シュナイゼルがそう云うと、シュナイゼル自身、何かを思いついたらしい表情を見せた。
その表情を見て、カノンも何となく察した。
「では、早速ブリタニアに連絡を入れますね…」
そう云って、カノンが部屋を出て行こうとすると…
「それと、ルルーシュにも教えてやってくれ…。ルルーシュも彼女の事を大切にしていたからね…。流石に今すぐ同じ部屋で…と云う訳にはいかないけれど…いっそ、既成事実でも出来てしまえばね…」
親の云うセリフとも思えないが…。
ただ、シュナイゼルの云っている既成事実が、本物であっても困るが…。
それでも、シュナイゼルとしてはルルーシュが逃げられないようにしたいのだろう。
これが、親ではなく赤の他人であったなら、犯罪にもなりかねないが…。
尤も、シュナイゼルの立場なら、それを犯罪にしない方法などいくらでもある。
「現在、ルルーシュ様はあのマンションの最上階の1室を使われていますが…もう一つの部屋はあいております…」
「空いている…と云うよりも、ギネヴィアが入れさせなかったのだろう?確かに、ルルーシュがあの部屋で一人暮らしていて、同じフロアには2つしか部屋がないともなれば…危険極まりないね…」
「では、ユーフェミア嬢でも…」
「彼女なら大丈夫だろう…。だから、ギネヴィアが彼女に対して色々しているのだろうし…。それに、あのギネヴィアが本気でルルーシュの妻に…などと考えているとも思えない…」
シュナイゼルの指摘は…本当に的を射ている。
そして、相手の行動を先読みするのが本当にうまい…。
確かにこの、ルルーシュへの独占欲の強い両親たちが…ルルーシュの結婚を望んでいる訳がない。
跡取りの問題などはあるかもしれないが、それこそ、互いに心の入っていない結婚で、子供だけ生んでくれればいい…くらいに思っているのだから…。
そして、カノン自身、シュナイゼルがどんな目でルルーシュを見ているのかを知るから…。
それは、前世からの話しだ。
それが解っているから、この先、ルルーシュを取り巻く環境は次々に変化していく事になるだろう。
かつて聞いた言葉…それを思い出すと、やはり、シュナイゼルの中では…。
その言葉はカノンの中で強く残っていて、その言葉があるから、カノン自身、自分の気持ちを敢えて、気付かぬ振りをし続けているわけなのだけれど…。
「シュナイゼル様…そろそろお時間の様です…。これから私はブリタニアに連絡を淹れて来ますが…」
「やれやれ…面倒な話しだね…。正直、私はあの夫人が苦手でね…」
「そんな事を仰らずに…。これも公務だとお考え下さい…」
そう云って、二人は苦笑して、それぞれの仕事に向かって行く…。

 そして、時差のお陰であまり常識的ではない時間に国際電話がかかってきたが…。
基本的にそんな事を気にしていたら、こんな大企業のトップの秘書などやっていられない。
「……本気か?」
『御心配ですか?』
「私が…何の心配をするというのだ…」
コーネリアが時間の問題ではなく、話題に対して不機嫌な声を隠そうとせずに答えた。
『ならばよろしいのですが…。大丈夫ですよ…。きっと、彼女の世話役の方がいらっしゃるでしょうし、ルルーシュ様のお部屋のお隣ですから、セキュリティ面での問題はないかと…』
「私が云っているのはその事ではない!」
色々と懸念を持つコーネリアが電話の向こう側の相手に対して怒鳴りつけた。
自分自身でも解っている。
本来、自分の立場を考えた時にその様な感情を持つ事は、許されていない事は解っているものの…。
人の感情とはそこまで簡単なものではないのだ。
『大丈夫ですよ…。互いの主の見ているものは彼女ではないのですから…。貴女は今は貴女のお仕事を全うしていればいいですよ…。必要なら、彼女の事をギネヴィア様を経由せずにお伝えしてもよろしいですよ?』
電話の向こうのカノンの言葉に、コーネリアはまた、眉間にしわを寄せる。
「一体…何が目的だ?何が取引材料となる?」
確かに、カノンが何の目的もなしにこんな話を持ちかけてなど来る筈がない。
『今のところは…ツケでいいですよ…。今はその時ではないので…。貴女個人にとってはきっと、ルルーシュ様よりも彼女の事の方が気になるのでしょう?互いが互いに役に立つと思われる内は同盟関係と行きませんか?』
カノンの言葉にぐっと唇をかむが…。
しかし、カノンが云っている事は理にかなっている。
「いいだろう…。高くつきそうだがな…」
『そんなに警戒しないで下さいよ…。私としては貴女がそういて下さるのは有難い事ですから…。それに、きちんと互いの願いを叶えられればいいのでしょう?まずは、協力出来るところは協力しないと…』
本当に何を考えているか解らない相手だ。
自分の仕えている主も狡猾だとは思うが…。
それでもそれを考え始めたらキリがない。
「解った…。とりあえず、その部分に置いてはカノン…お前と手を組もう…。そして、その事以外での協力関係は持たない…。その条件でお前の云う事に乗ってやる…」
『それで十分です。有難う御座居ます。ペンドラゴンは普通に電話をする時間ではないとと解っていてこんな時間に申し訳ありませんでした…』
「否、それは構わん…。そちらの情報…必ず伝えろよ?私は今日、ギネヴィア様にその事をお伝えする…」
そう云って、あまり気分が良いとは言えない電話を切った。
そして、大きくため息を吐くのであった…。

 そして、その頃、もう一つ、内緒話がされていた。
「すみません…呼びだすような真似をして…」
「別に気にしなくてよろしい!で、私は何をすればいいの?」
ミレイの言葉に…正直、本当にせっかちだと思ってしまうけれど…。
話しが早いのは助かる。
「ちょっと…ルルーシュを拉致しようと…思いまして…」
物騒な言葉…。
多分、傍から見ていると何の相談なんだ???と尋ねたくなるような会話の内容だ。
しかし、ミレイの方は…
「なるほど…。会えないなら、拉致っちゃえばいいって事かぁ…」
「驚かないんですか?」
「今更あんた達のやる事に驚いていたら、やってられないわよ…。それに、それは私が記憶を取り戻しているからした相談でしょ?」
ミレイがスザクに訊ねる。
スザクの方もその通りだから、否定はしない。
「確かに…。ジノには頼めませんし…」
「本当は、私よりもジノの方が都合はいいわよね…。私もマンション、出入り禁止になっちゃったし…」
「やっぱりですか…。僕もカノンに会ってからダメなんですよ…実は…」
「まぁ、ある意味仕方ないけれどねぇ…。それでも、彼の担当医がロイド伯爵だったのは救いよね…」
「また、迷惑かけちゃいますね…」
スザクが少しだけ俯いてそう云うと…。
ミレイがスザクの顔を上げさせてスザクの両頬を思いっきり引っ張った。
「いだだだ…いはいれふ…」
「そう思うなら…今度こそ、ちゃんと話しあいなさい!そして、二人で笑って私に会いに来なさい!」
そう云い終わった後、ミレイがスザクの頬を放してやった。
「有難う…御座居ます…」
「ホントにそう思ってるのかしらね…。ルルーシュもだけど、あんた達がそう云った時って大抵ウソだからなぁ…」
「そんなことありませんよ…。ルルーシュはそうかもしれないけど…」
「でも、云っただけなら一緒よ…。感謝も謝罪も…口にしたなら必ずその言葉に責任を持ちなさい…。それを云った相手に…同じ悲しみや苦しみを与えない事!」
まるで…あの頃の彼女の説教の様で…。
思わず笑みが零れてしまう。
「解りました…」
「よろしい!後は魔法の言葉をあげるから…。きちんと有言実行しなさい!」
本当に…凄い人だと思う。
あの頃も…彼女のその存在だけで、ルルーシュもスザクも救われていた…。
そして、きっと、様々な事情を知る中…彼女は前線で戦っている自分達よりも遥かに苦しんでいた…。
「はい…。有難う御座居ます…ミレイ会長…」
スザクのその呼び方に…ミレイは少し驚いたようだけれど…。
それでもすぐに表情を戻し、ミレイが大きく息を吸った。
「ガァァァァァァッツ!」
スザクの耳元で大きな声で叫んだ。
他に聞こえているに違いないけれど…。
でも、きっと今なら失敗を引きずっている部下を励ましている上司の姿にしか見えないだろう。
「耳元は…辛いです…」
流石に耳元で大声で叫ばれてはきついだろう。
「あんたがくじけそうになったら、何度でもこれをやってあげる!嫌なら強くありなさい…。お互いに求めているのなら…もう、周囲にあんな涙を流させないで…」
その言葉の重みは…スザクになら解る。
見て来たものだから…。
だから…少し切なげな笑みを見せることで返事とした。
ミレイも同じような笑みを見せたから、スザクは先に歩を進めて行った。

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | It's Destiny

2010年10月19日

ダメ人間とダメ悪魔 05

アウトドア人間とインドア悪魔



 秋…
人間界の中でもスザクの住まうこの日本ではこの季節を愛する人間が多い。
と云うのも、夏の暑さの後に訪れる秋は、夏の疲れが出てくる季節でもあるが、それを癒す事の出来る季節でもある。
ただ、今年の場合、ラニーニャ現象(東太平洋の赤道付近(ガラパゴス諸島付近、あるいはペルー沖とされることが多い)で海水温が低下する現象。日本への影響は夏、猛暑となり、冬、厳冬となる傾向にある)のお陰で秋の訪れは遅いし、秋の味覚もあまりいい声が聞こえて来ない。
しかし…そんな中…。
この夏の猛暑とその後の雨と寒暖の差によって豊作なものもあり、テレビなどを見ているとそれを売りにしている観光地域の施設職員などは『こんなのは30年ぶりだ…』と興奮したような声でテレビ局のカメラに向かって云っている。
そもそも、そのテレビに出てきた職員の年齢を考えた時に、確かに、社会人になっていたかもしれないが、その当時に、そこの観光地で観光業をやっていたかどうか、結構怪しい気がしているのだが…。
そんな事より…。
今年方策だと云われているのは、日本人であれば基本的にその名を聞いて、目の前に存在していて、それを自分の好きなものにして食べていいと云われたらきっと興奮する人間の方が多い筈だ。
その、今年方策だと云われているものと云うのは…。
「ねぇ、ルルーシュ…。キノコ狩りに行こうよ…」
突然のスザクの申し出に…。
涼しくなり、心地いい気候となってゆっくりと読書を楽しんでいたルルーシュは本から目を話す事無く答える。
「ああ、行ってくればいいだろう?」
そっけなく答える。
一応、ルルーシュにとっては、最早、俗世間の商売人間のようになってしまった魔界の体質がうまく身体に馴染んでいないのか…。
お客様(契約者)であるスザクに対してこんな態度を取っている。
尤も、スザクがルルーシュに訴えた『願い』と云うのは『友達になる事』であったのだから、これはこれで、忠実にスザクとの契約を守っていると云えるのかもしれないけれど…。
ここで、スザクに遠慮して自分の意思を捻じ曲げた返事をしてしまったらスザクとの契約を違反する事になってしまう。
見ていて、中々面白い光景である事は事実なのだけれど…。
この二人は契約を交わした人間と悪魔である。
こうした人間と悪魔の契約と云うのも中々珍しいと云えるかもしれないのだけれど…。
ただ、スザクが契約違反だと云わない限りはルルーシュが自分からこの態度を改めるつもりは毛頭ないだろう。
基本的に『Going My Way』なルルーシュだ。
一瞬でかなえられる契約ならともかく、長いスパンで考えなくてはならないスザクの願いに関しては、とりあえず、スザクの望んでいる姿でいる事にのみ専念している。
それが、ルルーシュにとっての自然体なのだから、ルルーシュとしても時間はかかるものの、結構楽な仕事だとは思っているようだ。
ルルーシュのこの返事にスザクはぷぅっと頬を膨らませて読書中のルルーシュの邪魔にかかる。
後で確実にルルーシュの猫パンチが飛んでくるのだけれど…。
そして、そのルルーシュの猫パンチ…よけてもよけなくても怒られる。

 スザクのふくれっ面に気づいたのか…。
ルルーシュは本のポジションを変える事無く、目だけ、スザクの方を向けて見ていた。
「何をふくれっ面している?そうか…学校の女子たちはそう云ったお前のガキっぽさに母性本能をくすぐられるんだな…」
ルルーシュが半ばどうでもいいと云った感じで納得していた。
「ルルーシュ!一体何の話をしているのさ!ねぇ、キノコ狩りに行こうよ…。マツタケ採りに行こうよ…」
そう云ってスザクが相変わらずその場を動こうとしないルルーシュの身体をゆさゆさと揺さぶり始める。
本当に子供みたいだ。
これまで、このガキっぽさを前面に出せば、面倒見てくれる友達くらいいくらでもできそうな気がしてくるルルーシュだったけれど…。
「マツタケ?あれは、権利者がいて、その権利者以外が山に足を踏み入れるだけで不法侵入罪でとっ捕まると聞いたぞ…」
「誰がそんな、私有地になっている山に入って行くって云ったの?って云うか、僕の父さんの実家…山を持っているんだよ…。そこ、アカマツ林があるんだ…」
「なら、行ってくればいいだろう?そもそも俺はマツタケって食べた事がない…。テレビでは騒がれているようだが…たかがキノコだろう?」
ルルーシュがあまりに興味なさげに返して来るものだから…。
思わずため息を吐きたくなるけれど…。
ただ、ルルーシュが身体を動かす事があまり得意ではない事は解っているし、確かに、マツタケが出る様なアカマツ林は結構大変だ。(ホントに大変です。普通のピクニック感覚で行くと大変な目に遭います。観光用の山でもそれなりの装備は必要です。因みにクマにはそんな人間の所有権は関係ないので、今年は結構クマが出没しているそうです。)
しかし、いくら知らないとはいえ、ルルーシュの『たかがキノコ』発言にスザクとしてはどうしても採れたばかりのマツタケをその場で、炭火で焼いたものを食べさせて見たいと思ってしまった。
まぁ、こんな事を考えられるのはスザクの身内にそんなアカマツ林のある山の持ち主がいるからに違いないのだけれど。
現在では、様々な自治体、業者などの管理となっている為に、キノコ狩りもただ、山に行けば出来る代物ではなくなっているのだ。
春の山菜採りでも同じことが云えるのだが…。
まぁ、そんな細かい事情はともかく、スザクは何とか、ルルーシュをここから引っ張り出して山に連れて行きたいと考えてしまっている。
ぶっちゃけ、冷静に考えればルルーシュを連れて行ったら確実に『足手まとい』になるわけなのだけれど。
一緒に行くのがスザクであるのならなおさらだ。
スザクの場合、自分の体力が人外のものであるという自覚がない為に、並みの人間がスザクの山歩きに付き合ったら翌日から暫くの間足腰が立たないとか、熱発するとか云う話しは割と珍しくないという噂もあるくらいだ。
ルルーシュは人間ではないが、並みの人間よりも体力も運動能力もないのだ。
スザクがルルーシュを誘っている言葉の中にその辺りの事が含まれているかははっきり言って謎である。

 あんまりしつこいスザクの誘いに…。
ルルーシュも折れた。
この辺りは自分の父親から色々と『なんたる愚かしさぁぁぁ〜〜〜』と云わせてしまうダメ悪魔の弱点が浮き彫りになってしまう。
こうした形で引き受ける度に、
―――これではダメなのに…何故同じ事をやっている!ひょっとして、俺はバカなのだろうか…
と、毎回同じ事を考えつつ、そして、終わってから一応頭の中で反省はするものの…。
その反省が生かされて居た例はない。
そもそも、そんな反省が生かされていれば、自分の父親に巻き舌全開で説教をぶっこかれる事もないだろう。
仕方なく、ルルーシュはスザクの強引さに負け、頷いてしまう。
「解ったよ…。キノコ狩りとは朝が早いんだろう?今度の日曜日当たりに行くのか?」
「そうだね…。朝ご飯は食べて行かないとお腹すいちゃうけど…」
「お前は普通に座っているだけで腹が減るだろうが…」
確かに、筋肉の多いスザクは非常に燃費の悪い身体となっているわけだけれど…。
正直、相当嫌だという感情をまったくもって隠していなかったルルーシュだが…。
スザクは基本的にお構いなし。
と云うのも、スザクとしては、スーパーには数千円単位の値段の付く国産マツタケの値段を見て呆れかえっているルルーシュにその松茸を食べさせて見たいと考えただけなのだ。
普通にちょっとずれているのだけれど、スザクとしてはルルーシュに対しての好意空の行動である。
まぁ、マツタケ山に登らされる体力に全く自信のないルルーシュに少々同情してしまう第三者もいるのだが…
天然俺様スザクと化したスザクを止められる生身の人間はいない。
「わぁぁぁ…ありがとう!ルルーシュ!絶対に僕、ルルーシュの為にいっぱいマツタケ採るからね!」
子供みたいに笑うスザクを見てルルーシュがふっと笑ってしまっているが…。
そして、うっかりこんな事を思ってしまう…。
―――ひょっとして、俺なんかよりもスザクの方が遥かに悪魔に向いているんじゃないのか???
と…。
そして、そんな試行に陥ってしまった直後にはっと我に返り…
―――いかん!俺様は誇り高き悪魔だぞ!うっかりたかが人間に対して俺より悪魔に向いているなどと考えているから、国に帰ると巻き舌親父に『なんたる愚かしさぁぁぁ〜〜〜』などと云われ、やたら強い女どもにはおもちゃにされ、ダメ兄貴たちからは『下には下が居る…』と云う安心感の為の道具にされ…
そんな事を悶々と考えてしまっているルルーシュだったが…。
はっと我に返っても、またもぐるぐると考えてしまい、思考があさっての方向に向いてしまっている。
「……だから…ルルーシュ、お弁当、よろしくね?」
ルルーシュが悶々と考えている内に、スザクは勝手に話しを進めていたようで…。
そして、ルルーシュの方は完全に話しを聞いておらず…
「あ…ああ…。って、なんでだ!」
驚いてはみるが、これは確実にルルーシュのミスだ。
話しを聞いていない方が悪い。
「え?話しを聞いていなかったの?たくさん採れれば、じいちゃんの家でマツタケのフルコースを作って貰えるし…」
「はぁ?なのに、何故俺が弁当を作らにゃならん?」
「だからぁ…絶対にお腹すくから…」
「そう云う問題じゃない!」

 どうやら、ルルーシュより悪魔に向いていると思えてきたスザクに丸めこまれ、ルルーシュは弁当を作ってキノコ狩りに行く事になってしまった。
「ほら…弁当だ…」
とりあえず、動き易い格好をして、リュックサックを持ってこいと云う話しで…。
その通りのカッコで行ったわけなのだけれど。
「ありがとう!僕、頑張るからね!」
そう笑って云っているスザクの顔は確かに…。
悪魔ではないのだけれど…。
ずる賢い悪魔であれば、きっと、こうした笑顔で人間を騙すに違いない。
ルルーシュは人間界のスーパーコンピュータ並みの頭脳の自前ハードディスクの中にインプットしておく。
この先、このデータがいつ、有効活用されるかは解らないが…。
そして、その後…そのスザクの笑顔が本当に『悪魔の笑顔』だと思ってしまうはめになるのだが…。
「ぜぇ…ぜぇ…」
「大丈夫?ルルーシュ…」
「ぜぇ…ぜぇ…」
既にスザクの問いに答えられるだけの余裕はないらしい。
―――スザク…お前…俺をこんな急斜面の山に連れて来やがって…
頭の中ではちゃんとスザクに対して返事をしているのだ。
観光用のマツタケ山は確かに素人でも登り易いところが多いらしいが…。
とりあえず、誰でも入れるような林の場合、かなりの急斜面でマツタケを採る。(慣れない人は本当にしんどいそうです。少なくとも登山道みたいなところに生えているわけではないし、基本的にマツタケは雨降った翌日に顔を出すと云われ、足場もものすごく悪い場合も多々あります)
「ごめん…。ルルーシュ…。ルルーシュなら魔法を使って結構平気かと思ってたから…」
「お…お前…。俺に…喧嘩…売って…居るのか…?」
ルルーシュがようやく息を整えて、それでも息を切らせてスザクに訊ねている。
「そんなんじゃないんだけど…。ホントに体力ないんだね…」
無神経極まりないそのセリフには云いたいことが山ほどあるのだけれど…。
しかし、今の状況では何かを云って相手を云い負かせるだけの自信がない。
「とりあえず、ルルーシュはここで休んでいてね?あと、クマが出るかもしれないから、この携帯ラジオ…うるさいかもしれないけど、ならしっぱなしにしておいてね?音が出ていればクマって基本的に近寄って来ないから…」
そう云って、スザクは持っていた携帯ラジオのスイッチを入れてルルーシュに手渡した。
そして、自分が身に着けているベルトに大きな鈴をつけて森の中に入って行った。
―――別に…こんなものがなくたって、俺は平気なのにな…。
ルルーシュは手渡されたラジオをじっと見つめながらそんな事を思う。
正直、疲れていて、機嫌はすこぶる悪い筈なのだけれど…。
それでも、スザクに手渡されたそのラジオをじっと見つめてしまっていた。
ルルーシュは友達と云う概念が良く解らないのだけれど…。
ただ、スザクのこの気遣いと云うものに…。
何かを感じていた。
そして…
―――ダメだ…流されるからいつも願いだけ叶えて魂を取り損ねてしまうんだ…。
そんな事も思っていた。

 スザクの方はと云えば…。
少々、森の奥まで入ってきて…。
昔、祖父に教えられたその場所に向かって歩いていた。
スザクは元々身体を動かす事が得意で大好きだったし、実際に人並み外れた体力の持ち主だ。
「あ、あった…」
どうやら、順調に収穫しているらしく…。
尤も、スザクの場合、達人と違って、土から顔を出しているキノコしか見つける事が出来ない。
達人ともなると、地面に触れながらまだ、小さな、傘の開いていないマツタケを見つけ出す。
スザクの様なそう云った芸当のできない人間の場合、傘の開いた、達人に見落とされてしまったマツタケを見つける事になるのだが…。
なので、マツタケは達人よりも素人の方が大きく立派なマツタケを見つけることが多い。
と云うか、達人技を習得するにはそれなりに時間と経験が必要なので、それしか出来ないという事なのだけれど。
だから、今年の様な豊作な年には素人でもキノコ狩りが楽しめる。
平年並みだと、まぁ、本当にスザクのような素人だと、自分の身内の山で、不法侵入者が時々いるものの、一般のキノコ狩りの達人の入らない山の場合、基本的には確保されているのだけれど…。
まぁ、基本的にはマツタケが出る様な山である場合は、金をとって一般人に開放するとか、そこで採れたキノコを料亭などに卸すなどをするのだけれど…。
このスザクの祖父が所有する山はそう云った事を一切していない。
だから、スザクはこの山で採れるマツタケを食してきた訳なのだけれど。
今年は大量にマツタケが採れた。
スザクも生まれて初めての収穫だった。
「これくらいあればいいよね…」
どれほどの時間、マツタケ採りをしていたのか解らないけれど…。
でも、随分採れた。
そして、ルルーシュの居るところに戻ると…。
どうやら、その辺りにもそれなりに出ていたらしく…。
「スザク…随分早かったな…」
だいぶ体力が回復したのか、ルルーシュがそんな風に声をかけて来たのだ。
そして、両手には大きなマツタケがあった。
「あ、この辺にもあったのか…。だったら僕もこの辺で採ればよかったなぁ…」
と云いながらルルーシュの足元を見ると…大量のキノコが並んでいた。
「って云うか…」
「ああ、これは全部食べられるキノコだ。一応、俺も調べているし、黒魔術で悪魔を呼びだす方法の中には怪しげなキノコを使うものもあるからな…。人間界のキノコの事は多少は知っている…。まぁ、最近じゃこっちからの押し売りで契約を結ばせるから、そう云うものも使わないけれどな…」
そんな事を云いながら、足元のキノコを種類別に分けて行く…。
そして、それを持ち帰って、祖父たちに見せると…。
「今年は確かにマツタケは豊作だと云われていたが…随分珍しいキノコまで混じっているじゃないか…」
と、驚いていた。
ルルーシュは雑キノコと呼ばれるキノコも見つけて採っていたらしい。
「商売する為じゃないのに、あれほど管理の行き届いている山があるなんて、驚きました。大切にされているんですね…」
ルルーシュがそう云うとスザクの祖父母たちが何となく嬉しそうに笑った。
「そのお陰でふもとで野生動物の被害が少ないんですよ…。この山は雑木林だから…マツタケも今日、スザクが連れて行ったところしかないんです…。こうした雑木林があっても…今年は夏が厳しかったから…動物達のえさが少なくて、山を下りてしまう様ですが…」
少しだけ、苦笑してスザクの祖母が云った。
「もう少し…針葉樹ばかりじゃなく、広葉樹を植えるべきなのに…」
ルルーシュの呟きが…彼らに聞こえていたかどうか解らないが…。

 ただ…その呟きは…遠い魔界のある存在に聞かれていた。
「相変わらず…優し過ぎるね…ルルーシュは…。これでは立派な魔王に慣れないじゃないか…。仕方ない…。私が手を貸してあげなくては…」
その存在は…水晶玉を覗きながらそんな事を呟いていた。

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ダメ人間とダメ悪魔

2010年10月17日

ブログサーバーのメンテナンス告知【10月17日変更】

【10月17日変更】

先日、ブログサーバーのメンテナンスについてお知らせ致しましたが、サーバー側から一部、通達の誤りがあった事を知らされましたので、変更させて頂きます。

メンテナンス期間
10月20日14:00〜10月22日14:00(誤)
10月20日14:00〜10月21日14:00(正)

です。
なお、ブログ停止時間は
10月20日14:00〜10月21日04:00
です。
ブログ停止時間の後は変更がない限り、閲覧が可能となります。
宜しくお願い致します。


****************************************


いつも、『Novel Rebellion2』にお越し下さいまして、有難う御座居ます。
メンテナンスの告知が入っておりましたので、ご報告致します。

10月20日14:00〜10月22日14:00までブログサーバーのメンテナンスのためにこのブログの閲覧が出来なくなります。
閉鎖などでは御座いませんので、その時間帯が過ぎてもこのブログを見られない状態となっている場合、サーバー側のメンテナンス延長の可能性があります。

この期間は、このブログは見る事が出いません。
メンテナンス終了次第、又閲覧可能となりますので、その時間が過ぎたらいらして下さい。
なにとぞ、宜しくお願い致します。

和泉綾拝


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posted by 和泉綾 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | おしらせ

皇子とレジスタンス 〜緊張と驚愕〜

 結局その後…。
スザク自身、いつ、きちんと眠りに着いたのかよく解らない。
ただ、ルルーシュが横になっていたスザクに突っ伏して眠っていたから、ルルーシュを自分が横になっていたベッドに寝かせた。
そのあと、暫くはルルーシュが腰かけていた椅子に腰かけながらルルーシュの様子を見ていたけれど…
嫌な夢でも見ているような…。
そんな表情に変わっていた。
特に、声を出す訳でもないけれど…。
ただ、時々、『母上…』と云う単語が聞こえてきた。
ルルーシュにとって、ここは故郷と云っても、スザクが日本に対して思う様な感情は持ち合わせている様には見えない。
ただ…そこが自分の生まれた国だった…。
そんな感じだ。
スザクは流石に政治家の…日本国首相の息子と云う事もあり…。
国家と云うものとか、国を守るとか…。
色々、教えられなくても、それに触れてきた。
だから、スザクは日本に対して自分の愛すべき故郷であるという意識はあるし、何かがあれば守ろうと思う。
侵略と云う形でのブリタニアの侵入に怒りを感じ、レジスタンスグループのリーダーとなった。
それは…自分の祖国を守りたい…取り戻したいという…。
そんな思いからスザクがそうしたわけなのだけれど…。
ルルーシュの場合、多分、ブリタニアに対しての思いは、スザクの日本に対するそれとは違うと思う。
今のルルーシュの寝顔を見て、そんな風に思った。
―――こいつ…本当は、皇族でなんていたくないんだろうな…。
そんな風に思えてきた。
しかし、生まれた家に関しては子供にはどうしようもない事だ。
ルルーシュ自身、それを見ていて痛々しい程、理解していて…おまけに、自分でそれを背負うだけの才能を持ってしまっていたことがそもそもの悲劇だったのかもしれないと思った。
ただ、それがなければ、こうした形でルルーシュと出会う事も、近くにいる事も…叶わなかったわけなのだけれど。
時々、ルルーシュの口から発せられる…『母上…』と云う言葉…。
トラウマだと…解る…。
「少しはさぁ…弱みを見せろよ…皇子様…」
スザクがそんな事を呟きながらルルーシュの前髪にそっと触れた。
安心しているのか…目を醒ます気配はない…。
とりあえず、スザクも限界までは見守って居ようと思っている内に…。
時間がどれほど経ったのか解らないまま、先ほどのポジションとは正反対の状態でスザクは寝ているルルーシュと布団の上に突っ伏して眠ってしまっていた。
その後、ルルーシュに身体を揺さぶられて起こされるまで…。
なん時間であったのかは解らなかったけれど…。
それでも、その時間までは全く記憶のない状態で眠る事が出来ていた。
正直、緊張状態である事は事実だったのだけれど…。
ルルーシュの傍にいて…このブリタニアの王宮の中で安心しているのはスザクの方であったと…絶対に口にはしないけれど、頭の中ではしっかりと認識していた。
目覚めた時のルルーシュの驚いた顔と、呆れた顔は…。
少しだけ苦笑してしまったけれど…。
それでも、どんな状態であれ、複雑な気持ちを抱いている人物に今日…スザクは合わなくてはならないという事実だけは変わらないのだけれど…。

 今回は、ルルーシュの側からの申し出と云う事になっている。
本来、位置植民エリアの総督が任地の報告にわざわざ謁見を求める様な事はしない。
ただ、今回はルルーシュであり、その騎士がナンバーズ…しかも、その植民エリアがブリタニアに侵略される前の国のトップの息子と云う事で、魑魅魍魎達が色々と画策したようである。
「まぁ、御苦労な事だな…。スザクは別に、普段通りでいい…。解る事は自分の言葉で答えればいいし、解らなければ正直に解らないと云えばいい…。下手なウソを吐かない方が色々面倒な事に巻き込まれなくて済む…」
「ルルーシュがそう云うなら、そうする…。ただ、俺なんかに話しが振られるのか?」
「一応、私から謁見を希望した事になっているが…。事実上吊るし上げだからな…。まぁ、吊るし上げと解っているんだ…。となれば、変に画策する事もない…。何かある時にはきちんと私がフォローするし、お前はあの場に飲み込まれない様にだけしろ…」
ルルーシュもさらりと難しい事を云ってくれるが…。
ただ、既に着替えが済んでおり、迎えの者がここに来るのを待っている状態だ。
今更取ってつけた様な策を施したところで何にもならない。
「お前は…慣れているからいいさ…」
ぼそりとスザクがそんな事を呟いてしまう。
「慣れている?そんな訳がないだろう…。それに、世界で一番嫌いな男に頭を下げるんだぞ?慣れたくなんてない…」
ルルーシュがやや声を震わせて云っている。
その顔は…明らかに怒りを帯びている。
それは…父に対してのものであり、それ以上に、力を持たない自分自身のものである事は…何となく解る。
「ごめん…無神経だった…」
スザクが素直に謝った。
ルルーシュにとってブリタニアに対しての感情は…中々複雑なものであるらしい。
恐らく、ナナリーがいなければ…恐らく、どんな手を使ってでもこの王宮から飛び出していただろう。
「あ、否、私の方こそ…済まない…。スザクの方が…遥かに不安なのに…」
ルルーシュがスザクに謝るものだから…。
スザクとしても、少し、複雑に思えて来てしまうのだけれど…。
それでも、だからこそ、ルルーシュは、日本人の気持ちを掴んだのかもしれない。
それが、意図的なものであるのかどうかは…別にして…。
それでも、それを指摘したら、ルルーシュは確実に、
『そんなもの、計算づくに決まっている…』
などと云ってそっぽ向くに違いない。
それでも、それが計算の上での事であれ、なんであれ、まずは物理的に今は『エリア11』となってしまった、あの地に暮らす人々の気持ちが…。
穏やかになった事は確かだ。
日本が戦争に負けて、ルルーシュが総督として訪れるまでの時間は…。
本当に短い時間だったけれど、日本人の心にブリタニア人に対して負の感情を抱くには充分な時間となった。
その後…。
荒れ放題のあの地に…ルルーシュが訪れたのだ。
スザクと同じ歳の…複雑な境遇を持つ、ブリタニアの皇子…。
今の表情を見ていると…何となく、あの時の荒れたゲットーの中で一人、ルルーシュが呟いた一言の意味が…。
解る様な気がした…。

 そして、迎えが来て…謁見の間の入り口で、ルルーシュの半歩後ろにスザクが立っていた。
「緊張するなとは言わないが…。気負うな…。飲まれたら…付け込まれる事になる。スザクには…守るべきもの、そして、帰るべき場所がある事を忘れるな…。ここでは、弱みを握られた段階で、命取りになる…。難しい事は考えるな…。ただ、胸を張っていればいい…。神聖ブリタニア帝国第11皇子ルルーシュ=ヴィ=ブリタニアの騎士として…」
スザクの緊張が伝わったのか、ルルーシュが小声でそう云って来た。
そして、それを聞き終えた時に…扉が開かれた…。
その扉の向こう側は…明らかにこちら側とは違う空気である事が…良く解る。
ルルーシュが真っ直ぐ前を向いて、中へと歩いて行く。
それは、それまでスザクが見た事のない…ブリタニアの皇子としての…ルルーシュの顔になっている。
自分の父親と会う…。
確かにその通りなのだけれど、ルルーシュの場合、相手は皇帝だ。
スザクも、こうした家に生まれた場合、自分の親との関係が普通の親子関係ではない事くらいは解るが…。
それでも、こうして目の当たりにすると、少しだけ、複雑な気持ちになるが…。
しかし、現在の状態はそんな事を考えていられる余裕はない事を自覚すると、スザクも表情をきゅっと引き締めた。
ルルーシュが皇帝の玉座に上る階段から3メートル程離れたところに跪いた。
そして、スザクもそれに倣って、ルルーシュから1メートル後方で跪いた。
本来、皇族の騎士がこんな場所に来る…と云うこと自体非常に珍しい事だ。
皇族に名を連ねている者たちは、シュナイゼルを含めて最前列に並んでいる。
「皇帝陛下、此度は私の謁見の申し出をお受け頂きまして…」
ルルーシュがそこまで云った時、皇帝がルルーシュのその言葉を遮った。
「余計な挨拶はいらぬ…。まずは、お前がそのナンバーズをお前の騎士とした事の理由を聞こう…。儂を含め、推薦状を随分送ったにもかかわらず、長い事返事もよこさなかった貴様が…」
皇帝がルルーシュに対してそんな事を問いかけている。
表向きの皇位継承順位を考えた時…ルルーシュに対してのこの質問は周囲達も驚きを隠さないし、スザク自身、自分が仕えている皇子は一体どんな皇子なのかと困惑してしまう。
「確かに…有難いお申し出を戴いたにもかかわらず、私の至らなさも手伝い、せっかくの御推薦上では御座居ましたが…目を通すだけの時間が御座いませんでした…。申し訳御座居ません…」
キツネとタヌキのばかし合い…と云う俗なレベルではない。
皇帝に対してここまで云い返せるルルーシュとは…。
―――確かのこれじゃあ、魑魅魍魎に狙われても仕方ないな…。問いか、この皇帝と云う人物はルルーシュを一体どう思っているんだ?数多い子供の一人でしかない筈なのに…。
緊張状態でありながらも、状況の把握に余念はない。
正直、把握すればするほど、恐ろしげな世界である事は解るし、ルルーシュがここに来るのを渋っていた理由が良く解る。
シュナイゼルの方をちらりと見ると…いつもの事なのだろうか、『やれやれ』と云った表情を見せているだけだ。

 そして、その周囲を取り巻いている貴族達は…。
あまり居心地がいいとは言えないざわめきが生まれている。
正直、ここで、逃げ出さない自分も大したものだと思えてくるけれど…。
「まぁ、良い…。その後ろにいるのが…貴様が決めたという…」
「はっ…ご紹介が遅れ、申し訳御座居ません…。私の後ろに控えておりますのが、我が騎士として任命しました、枢木スザクで御座居ます…」
ルルーシュが厳かにスザクを紹介した。
そして、スザクもルルーシュに続いた。
「この度、ルルーシュ=ヴィ=ブリタニア殿下の騎士の任を拝命致しました、枢木スザクに御座居ます。どうぞ、よしなに…」
「イレヴンの騎士と…な…。流石はマリアンヌの息子よのぅ…。面白い事をしよる…」
意図の読めない言葉であるが…。
周囲を取り囲んでいる貴族たちからは失笑の声が聞こえてきた。
そして、ルルーシュはと云えば、後ろからでも解る…。
完全に仮面を被った状態でこの場に跪いている。
自分達を取り囲んでいるバカどもの相手などしていられるか…と云う思いくらいはあるとは思われるが…。
「お言葉では御座居ますが…皇族の騎士は相手が誰であろうと…それが、たとえナンバーズであったとしても本人が決める事の出来る我々皇族に与えられた権利の筈…。それに、皇帝陛下以下、皆々様のご推薦下さった方々は、私めにはあまりにもったいない人材ばかりで…。逆に、任命された者が気の毒でしたので…」
かなり、悪質な皮肉交じりの言葉だ。
しかし、実際にこのくらいの事を云えなければやっていけないのだろう。
そして、ここまでできるからこそ、ルルーシュは自分の力を一番の後ろ盾に今のポジションにいるのだろう。
「流石…マリアンヌの息子よ…。面白い事を云う…。それでも、ルルーシュの騎士とやら…一通り報告は受けておる…。確かに面白い人間である事は認めよう…」
面白そうに…本当に面白そうに皇帝が云っている。
正直、この姿はテレビでしか見た事のないスザクにとっては…。
これから彼が何を云おうとしているのかが解らない。
解らないという事がこれほど不安に感じるのは…正直、嫌な物だと思う。
尤も、不安を感じること自体、あまり心地のいい事だとは云えないけれど…。
ただ、今のこの感じは…。
多分、それだけじゃない、嫌な感じがする。
―――ルルーシュは…こんな世界の住人…なのか…。
そんな事を考えている間にも…。
この、違和感だらけの親子の会話…。
それを、まるで、何かの見世物の様に見ている貴族達…。
ルルーシュが心を閉ざしてしまう気持ちが…解らなくもなかった。
ルルーシュは…子供として居られなかったのが…。
良く解る。
恐らく、よほど強力な後見があり、一生守って貰える皇族でなければ…。
子供としていられる事など…なかっただろう。
この場にいて…どんどん辛くなって行く事が、スザクには良く解った…。

 しかし、スザクがどれほど辛いと考えていても、まだ、そこは皇帝の前だ…。
ここで、スザクが無様な姿を見せれば、ルルーシュの弱みとして取られてしまう。
「では、御挨拶も終えましたので…私は…」
ルルーシュがそう云った時、また、皇帝がルルーシュを制止した。
スザクが色々考えこんでいる間に、ルルーシュは『エリア11』についての報告をしていたようで…先ほどまであまりにバカ丸出しとも云える貴族達の笑いは消えていた。
ルルーシュはありのままだけを話したに違いないのだけれど…。
それでも、ルルーシュがあのエリアに着任する前の状態を話しだけとはいえ、知っていたのだから…。
「待て…。貴様の話しは終わった様であるが…儂の話しが済んでおらん…。貴様の話しを聞いて、儂も決めた…」
皇帝のその言葉に、スザクは勿論、ルルーシュも一体何の話なのか解らないという表情をしている。
勿論、他の者たちも様々な思いの中、恐らく、この皇帝の言葉に対して『驚いている』と云う一言にまとめられるだろう。
「何を…でしょうか?」
ルルーシュが立ち上がりかけた状態で訊ねた。
そのルルーシュに対して、何となく、恐らくは『君の悪い』と云う表現がピタリとくるような笑みを皇帝が浮かべた。
「ラティスの任、無事全う出来た暁には…この玉座を貴様にくれてやろう…」
皇帝のその一言に…。
その謁見の間全体がしんと静まり返る。
恐らく、ここで平然としていたのは…皇帝意外にはたった一人だ…。
「な…何を…」
ルルーシュが驚愕を隠しきれずに、訊ね返す。
そんなもの、望んだ事などない。
そもそも、ルルーシュはそんな事を考えた事もなかった。
「そうなれば…貴様の騎士はナイトオブワン…。その者に、何の問題もなく、『エリア11』をくれてやる事も出来よう…」
驚きを隠せずにいるルルーシュの顔を楽しんでいる様にも見えるが…。
「こ…皇帝陛下!何故…その様な事を…?陛下がその座を次代にお譲りになるにしても…第一位皇位継承者は、第一皇子殿下、オデュッセウス殿下では…」
一人の貴族が耐えきれなくなったかのようにそう、訴えてきた。
そのものの云っている事はルルーシュも賛同していた。
そもそも、ルルーシュにそれを背負えるだけのバックアップも、バックボーンもない。
それに、ルルーシュ自身、シュナイゼルの下について、その地位を確立してきたのだ。
「質問はいらぬ…。儂が決定した事…。ルルーシュよ…逃げる事は許さん…」
そう云って、皇帝は座を立ち上がり、そこ謁見の間から姿を消した。
そして、貴族達の中にもだんだん騒ぎが大きくなり始めていて…。
この中で唯一、冷静に話しを聞いていたその存在が…スザクに声をかけてきた。
「速くルルーシュをこの場から…」
今のところ、その存在はルルーシュの身を案じている様に見えたし、それが彼の本心であるかどうかなど今は考えていられるだけの余裕はない。
「解りました…。後ほど…」
「否、私がアリエス宮へ行こう…。カノンに命じて、警護を増やした…。ルルーシュを頼むよ…?」
「イエス、ユア・ハイネス…」
そう答えて、スザクは呆然としているルルーシュをその場から連れ出したのだった…。

To Be Continued

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posted by 和泉綾 at 11:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 皇子とレジスタンス

2010年10月15日

ふと思いついて書いた1時間仕上げ小説216

未来へ



※長い事放置となっていた、『My Dear』『願う心』『理想と現実』の続きで、最終章となります。

 胸ポケットに忍ばせている小型通信機のバイブレーションが動きだした。
今は、紛争地域から紛争地域に移動している最中だった。
だから、目立つ『ゼロ』の恰好はしておらず、今の混乱状態だからあまり怪しまれない帽子を深めに被り、顔の半分を完全に隠している黒いサングラスを着けている。
その通信機の存在自体を知っている人間は限られている。
―――何か…あったのか?まさか…
慌てて、物陰に隠れてその通信機に応答する。
「どうしました?」
相手が誰であるのか解っているから、こんな風に出られる。
この通信機は…ルルーシュにも隠していたあの策に乗った人物しか知らないのだ。
当然、ナナリーもシュナイゼルも知るところではない。
『反応が早いねぇ…。今はどこだい?』
相手の声は…何となく緊張状態に追いやられている状態の彼に多少の安堵感とこの通信機を使う時のパターンを考えた時の焦燥感が入り混じる。
「そんな事より…」
『ああ、目を醒まされたんだ…。いつ頃…戻って来られるかなぁ…。ちょっとだけ…困った事になっちゃっていてねぇ…』
「何が…あったんです?」
『口で説明しても実感ないだろうし…一応、君の任務を最優先するけどさぁ…。個人的感情を今は、最優先したいんだよねぇ…。心情的にはさ…』
元々、こう云うまどろっこしい説明をする人ではあったし、話しはある程度考える頭がないと理解出来ない内容で話される事も多い。
「今、恐らく、世界的にニュースになっている中華連邦北部の紛争地域に向かっているんです。少し…回り道…しましょうか?」
『出来るのかい?なら、お願いしたいねぇ…。今のところ、あそこはシュナイゼル殿下が何とか抑えているでしょ?』
「本当は…そんな形で世界を守っていては困るんですけれどね…。何の為の『ゼロ』だと思っているんです…?」
『そんな事を云ったって、たかが一人の英雄でまとまる程世界は優しくないよ?それは、君も良く解っているんじゃないの?』
「……」
通信機の向こうから聞こえてくる言葉に…スザクは黙りこんでしまう。
そんな様子にその相手もそんな風に黙りこませる為にこの通信を送っているわけではない。
『帰って…来てくれないかい?本当に…僕たちじゃ、どうにもならないんだ…』
通信機から聞こえてくるその声…。
確かに…自分には役目がある…。
それは解っているけれど…。
それでも、今回、この提案をして、彼らを巻き込んだのは…
「解りました…。とりあえず、一旦、そちらに行きます…。今、どちらからですか?」
『一応、なんとか、ジェレミア卿のところに連れて来ているよ…』
「解りました…。そちらに行きます…」
そう云って、通信を切った。
わざわざ、世界情勢の事ではなく、スザクが強引に命をこの世に繋ぎとめたルルーシュの事で入ってきた通信だ…。
気にならない筈はなかった。

 その通信から数日後…。
スザクは初めて見る、ジェレミアの新しい住居に着いた。
一体、何があったと云うのか…。
そんな思いはあったものの…今はただ…
―――ルルーシュ…云いたい事が…たくさんあるんだ…
そう思っている。
正直、色々と複雑な気持ちだ。
ひょっとしたら、ルルーシュが『ゼロ』であったと知った時と同じくらい…様々な思いを抱えているかもしれない。
そう思いながら…ゆっくりと中へと入って行く。
勿論、『ゼロ』の恰好ではない。
そんな目立つ格好で普段、移動はしていないのだから…。
そして、中に入った時…廊下を歩いているニーナに出くわした。
「あ、ニーナ…。ここに…いたのか…」
「あ…おかえりなさい…。えっと…その…」
ニーナはきっと、ルルーシュの看護をしているのだろう。
何かを手に持っていた。
「あ、御免…。ただいま…。えっと…ルルーシュは…?」
スザクが彼女に対してそう訊ねると…。
ニーナが下を向いてしまった。
なんだか、とても云い難そうだ。
「会ってみれば…解る…。多分、今のルルーシュ…知っている人が誰もいないの…」
ニーナの言葉…。
スザクの中で…なんだかよく解らないという思いを生みだした。
「どう云う…事…?」
「会ってみれば…解る…。少なくとも、私達が知っているルルーシュじゃない…。スザクなら…ひょっとしたら…って思ったんだと思うの…ロイド先生…」
そう云いながら、ニーナは奥へと歩き出した。
そして、スザクはその後に着いて行く。
さっきまで、ルルーシュに対しては云いたい事がたくさんあると…。
そう思っていたのだけれど…今はそれどころじゃないらしい…。
ニーナはルルーシュに与えられている部屋の前まで行き、扉を開けた。
ニーナの持っているものは…どうやら、ルルーシュの衣類らしい…。
あれから、確かに時間は経っているが、目を醒ましたのはつい最近の事らしいから…。
確かに、自分の事も自分でこなす事は難しい状態だろう事は予想出来る。
実際に、ルルーシュは瀕死の重体の状態となったのだから…。
ニーナがその部屋に入って行き…。
少し、不安を抱えながら、スザクがその後に着いて行くと…。
その中は、普通の部屋と変わらない感じがした。
一応、いくつかの医療機器らしい物が置いてあるが…。
それ以外は普通の部屋だ。
そして、窓際に置かれているベッドの上には、ルルーシュの着ているパジャマの隙間から、包帯が見えている。
それでも、起き上がる事が出来るらしく、身体は起こして窓の外を眺めている状態だ。
背中には幾つものクッションを重ねて身体を支えている様ではあったけれど…。
「ルルーシュ…気分は?」
ニーナが訊ねる。
すると、ルルーシュはニーナの方を見た。
表情は…何となく見覚えがある様な気がするのだけれど…。
でも、今のこの姿のルルーシュでは…多分、何か違うと思った…。
この時点でスザクは何か…違和感を抱いた。
何かがおかしいと…
そして、次のルルーシュの言葉で、その違和感が何であるのか…何となく解り始めるのだった。
「すみません…ニーナさん…。いつも、僕の為に…」

 そのルルーシュの言葉に…。
ただ、ただ、驚く事しか出来ない。
「ニーナ…これは…」
スザクのその驚いた表情は…ニーナの中で想像が出来ていたのか…。
そのスザクの姿に驚くと云った感じはない。
ただ、小さく息を吐いて、スザクを見た。
「うん…。ルルーシュは…記憶がないの…。と云うか、今のルルーシュは…9歳の時のルルーシュなの…」
その言葉に…。
スザクは目を見開いてルルーシュを見た。
9歳のルルーシュ…。
そんなルルーシュが現在の…。
ナナリーのいない現在をどう…受け止めているのだろうか?
と云うか…
「じゃあ…えっと…」
「ロイド先生が色々訊いてくれてね…。今のルルーシュは…ブリタニアが日本に戦争を仕掛ける直前のルルーシュなの…。小鳥がどうとか…云っていたって…」
小鳥…。
そう…あの時…二人はその時のささやかな幸せをぶち壊される現実を目の前に突き付けられたのだ。
「一応、自分の身体が9歳のルルーシュではないという事は解っているようだし、それに伴って、時間が立っている事も認識はしているけれど…。でも、私達の事は勿論、ミレイちゃんの事さえ解らないの…。ミレイちゃんは…毎日のようにテレビに出ているから…映像を見せているんだけど…。でも…」
そこまで云ってニーナは言葉を切った。
と云うのも、スザクのその様子にその先の言葉が出て来なくなってしまったからだ。
「じゃあ…ナナリーは?」
「テレビに出てきた時に訊いてみたんだけど…。『ナナリーが大きくなったら、この人みたいになるのかな…』なんて呟いてた…。確かに、本人だしね…。似ていて当然だし、面影もあって当然…」
時間の流れの認識はあっても、ルルーシュの中のナナリーはあの、枢木神社で一緒にいたナナリーなのだろう。
それに、今のナナリーは目が開いているのだ。
その違いに気付かない筈がない。
「ショックなのは…解るんだけど…。ロイド先生がなんであなたを呼んだのか…解るでしょう?まぁ、あなたの事も、どこまで解るか…私達にも解らないけれど…」
それだけ云ってニーナは部屋を出て行った。
持っていたルルーシュの着替えを、部屋の真ん中に置いてあるテーブルの上に乗せて…。
ルルーシュを見ると…。
話しを聞いていたのか、聞いていなかったのか…。
窓の外を眺めていた。
恐らく…ずっとこんな調子なのだろう。
元々、日本に来たばかりの頃はそれこそ、野良猫が人間を見るみたいな目で彼らの傍に近寄る人間達を見ていたし…。
スザクと打ち解けてからだって、スザク以外に心を許していたとは思えなかった。
となると…。
―――今のルルーシュは…本当に誰もいない…と云う事なのか…。
スザクの中でそう認識した。
ルルーシュを死なせないと決めたのはスザクだ。
そして、ジェレミアやロイド達を巻き込んだ。
恐らく、ルルーシュが目覚めた時、ルルーシュが彼らに対してり不審な怒りをぶつける事を解っていて…。
それでも、死なせる事がスザクの中では出来なかったし、彼らもそれは同意してくれた。
それなのに…。

 スザクは…ゆっくりとルルーシュに近付いて行った。
身体は…痩せた…。
元々、あまり肉のついていない身体ではあったけれど…。
それに輪をかけて細くなっている。
仕方ないだろう。
あれだけの傷を負って、やせない方がどうかしている。
「えっと…ルルーシュ…」
スザクが恐る恐る声をかける。
正直、ルルーシュが目を醒ましたら説教をしてやろうとは思っていたけれど…。
こんな展開が待ち受けているなど考えもしなかったのだ。
「え?」
いきなり声をかけられて、ルルーシュは驚いた顔をしてスザクを見た。
「あ、ニーナさん…部屋を…出て行ったんですね…」
ルルーシュのその言葉に…。
スザクは更に戸惑ってしまう。
「さっきまで、僕と話しをしていたんだけれど…ね…」
「あ、すみません…。僕、時々、周囲の事が全く目に入らない、耳に聞こえて来ない事が合って…。特に何がある訳じゃないんですけれど…」
淡々と説明している。
一応、敵と認識されているわけではなさそうなのでほっと安心した。
「名前を…教えて頂けますか?どうやら、あなたは、僕の名前は知っているようだけれど…」
その言葉に…心の中でぐさりと何かが刺さった。
それでも、今のルルーシュには…。
「僕は…えっと…『ゼロ』だ…」
スザクはただ、そう答えた。
もし、あの時のルルーシュであるとするなら…『スザク』と名乗ってしまうのは…。
少し酷かもしれないと思ってしまったから…。
どこまで知っているのかも解らないし、これは、『真実』ではないかもしれないが、『ウソ』でもない。
「そうですか…。改めて…僕はルルーシュ…。宜しくお願いします…」
ルルーシュがそう云って殆ど作り笑顔の様な表情を向けてきた。
恐らく、今のルルーシュにとって、一番の得策と考えての態度だろう。
「こちらこそ、よろしく…」
少し、胸の痛みを感じつつもスザクはそう云って笑って返した。
今のルルーシュに…目の前の存在を『スザク』だと認識するだけの材料が何もないのだ。
「僕…記憶喪失…なんですよね…。良く解らないけれど…。でも、自分の身体を見て、声を聞けば…まぁ、云われてみればその通りかな…なんて思いますが…」
ルルーシュが…自分に対してこんな風に…。
自分を守る為だけに…こうして敬語を使っている。
それがなんだか…辛いと思えてくるけれど…。
「君は…どこまで…覚えているんだい…?」
「云って…解るとも思えないんですけれど…」
「知りたいんだよ…。云いたくなければ…いいんだけれどね…」
ルルーシュは本当に云いたくなければ云わない…。
それを解っていたから、敢えて付け加えておいた。
本当は、ルルーシュの口から聞きたいと思うのだけれど…いざとなれば、ロイドに訊けばいいだけの話しだ…。
「小鳥…」
「え?」
ルルーシュの、小さな呟きにスザクが反応した。
「僕…友達と…小鳥を返しに行ったんです…。その友達…凄い奴で…。テレビゲームでしか運転した事のない車に運転して…。怖かったけれど…。でも…彼と友達に慣れて本当に…良かった…」
その言葉に…スザクはただ…驚いて、何も云う事が出来なくなった。

 その後…暫くして、ロイドが部屋に入って来て、スザクを連れだした。
そして、ルルーシュは、その後すぐに眠ってしまっていた。
「感想は…?」
妙な訊ねられ方をしている気がするけれど…。
「なんて…云ったらいいのか…。記憶は…戻るんですか?」
「それは…何とも言えないねぇ…。でも、これはこれで、ルルーシュ陛下にとってはねぇ…。結構しんどい状態だと思うけどねぇ…」
ロイドの言葉に…。
スザクはルルーシュをブリタニア皇帝の前に引きずり出した時の事を思い出した。
そう…記憶を失うという事は…。
「それでも…思いださなくちゃいけないと…僕は思います…。どうしたら、思い出せるのか…なんて…解らないけれど…」
「ラクシャータも同じような事を云っていたねぇ…。まぁ、確かに、ルルーシュ陛下が生きておられるなら…やって頂きたい事はたくさんあるだろうし、出来る事もたくさんあるだろうしねぇ…。『死』は…世界を導いた君達にとっては、多分、『逃げ』でしかないよ?」
このロイドの言葉…。
今のスザクだから解る…。
「そう…ですね…。とりあえず、ルルーシュが自力で動けるようになるまでは…治療をして頂けますか?その後は…」
「また…思いきった事を考えるねぇ…。まぁ、それはそれで一つの方法だとは思うけれど…」
「僕には…責任が…あります…。本来…あの場所で死ぬべきだったルルーシュを…強引に生かしている僕には…」
「そんな風に難しく考える事はないよ?あの時、それに賛同した人だけが協力しているんだからさぁ…。まぁ、みんなの思いはそれぞれだけれど…。多分、それが一番いいと思うよ…。ジェレミア卿が起こりそうだけれどねぇ…」
「そちらは…お任せしてもいいですか?」
「最初からそのつもりだったくせに…」
スザクの心が決まった。
そして…
「じゃあ、そう決まったところで…僕は中華連邦の北部の地域に逝って来ますね…」
「あれ?もう行くのかい?」
「ここで時間をロスしているんですから…。僕は本来、『スザク』の名前で呼ばれてはいけない人間なんですから…」
「ったく…。そのまじめ過ぎる性格を何とかしないと…まとまるものもまとまらないよぉ?」
「だから、必要なんでしょ?彼が…」
「まぁ、二人とも真面目だけれど…種類が違う真面目だから…。だから、二人で一つ…って感じなのかなぁ…。面白いよね…君達…」
「そんな事より…これからも、ちゃんと情報を送って下さいよ?」
「それは大丈夫…。って云うか、そんな事ばかりで辛く…ないのかい?」
「これで…二人揃って年をとって行けるんです…。だから、僕達が天寿を全うした時に…笑って逝ける世界にしたいとは…思っているんで…」
「壮大な夢だねぇ…」
そう云いながら、ロイドはスザクにあるものをスザクに渡す。
それは…小さなモニターと電源スイッチだけついて居るシンプルな作りの小型の機械だ。
「それで、陛下の様子を教えてあげるから…。必要だと思ったら、すぐに帰ってくればいいよ…。この世界…君一人が背負える程軽くはないし、君が犠牲にならなければならないほど重くはないからね…」
ロイドのその言葉に、スザクは苦笑したけれど、素直にポケットにしまった。
そして、黙ってその家を出て行った…。
これからまだまだ続く…彼らの望んだ世界を創造る為に…

END

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posted by 和泉綾 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 二次創作(単発もの)

2010年10月13日

COMIC CITY SPARK5 & GEASS TURBO7 お疲れ様でした。(その3)

いよいよ、最終日…。
いやぁ…朝から、身体はガタガタ…。
それでも、せっかく来たんだから!という、その気持ちのもと、大崎駅から山手線に乗って、浜松町へ…。
浜松町から東京モノレール乗って…今回初めて赴いた東京流通センター…。
嗚呼…階段とかエスカレーターとか…
会場になかったのがホントに嬉しかったです。
流通センター駅のエレベーターには…少々、作りが取ってつけたエレベーターだと云うのがよく解るエレベーターで…。
恐らく、オンリーの参加者だと思われますが…。
エレベーターのつくりに色々思うところがあったようですね…。
しかし、駅のエレベーターというのはなぜにあんなふうに家庭用エレベーター仕様なんだろうか???


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posted by 和泉綾 at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | コメント

)COMIC CITY SPARK5 & GEASS TURBO7 お疲れ様でした。(その2)

で、連休2日目…
そう、COMIC CITY SPARK5当日…。
和泉は半ば強引に大崎駅から徒歩2分のホテルと選んだ事にご納得頂けまして…。
朝も早めにホテルを出てきました。
そう、ビッグサイトまでりんかい線で出て行く事になる訳ですが…。
その時には既にかなりの混雑状態…。
途中駅からもどんどん人が乗り込んできて、殆どの方が和泉たちと同じ目的としていたに違いないと思いつつ…。
その予感は間違っておらず…。
和泉はJR東海の『TOICA』があったので、別に行列に並んで帰りの切符を買っておく必要はなかったのですが…。
水流さまの場合、普段電車を使っておられない方という事で、国際展示場駅についた時にまず、して頂いたのは『帰りの切符を買う事!』でした。


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posted by 和泉綾 at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | コメント

COMIC CITY SPARK5 & GEASS TURBO7 お疲れ様でした。(その1)

どうも、こんばんはです。
絶賛、超体調不良中の和泉綾です。
3連休…とってもハードな状態となっていた訳ですけれど…。
今現在も、やるべき事をまともにできていない状況下の自分に少々、悲しさを覚えている訳ですが…。
9日…あの、名神の行楽ラッシュに始まり…結構大変な3日間となった訳なのですが…。
その辺りのレポートをしたいと思います。

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posted by 和泉綾 at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | コメント

書店委託についてのご報告…

こんにちは、和泉綾です。
絶賛、体調が絶不調なのですが…。
現在、書店さんへの納品準備をしております。
というのも、今回、ぶっちゃけ、全くの計算外の事が起きまして…。
今回、『快適本屋さん』からのお返事が遅かったので、うっかり、他の書店さんにも見本誌を送っていました。
まぁ、これで、全部蹴られたら本気でオフラインから足を洗おうと思っていました。
なのですが…。
まぁ、見本誌を郵便局から発送した直後に、携帯に普段使っているPCメールの転送メールが…。
それは、『快適本屋さん』からの発注のお返事でした。
まぁ、郵便局から送った見本誌も、これまで、一度も審査の通った事のない書店さんだったので、『ま、いっかぁ…』などと考えていまして…。
週末だったから、恐らく、書籍メール便で送った見本誌が届いたのは恐らく、早くて日曜日か月曜日…当たりだったでしょう。
スパークにオンリーに…中々忙しい連休だっただけに、恐らく、そのまま1ヶ月くらいスルーされるかと思っていたら…。
本日、『虎の穴』さんから発注を頂きまして…。
和泉が初めて見本誌を送ったのがこちらの書店さんでした。
でも、当然のように審査は通らず…。


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posted by 和泉綾 at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) | おしらせ

2010年10月11日

イベント、お疲れ様でした。

こんばんは。
やっと、帰って参りまして…
携帯電話から書き込みをしております。
今回は、和泉の認識不足からご一緒して下さった水流さまには大変ご迷惑をおかけしてしまいました。
和泉自身、自分自身のことが精一杯のくせに、身障者手帳を使っての新幹線利用していて、和泉の方が介護人と間違われた時点で、水流さまを引っ張り回すことをやめるべきでした。
本当に申し訳ありませんでした。
和泉は身障者手帳保有者なのですが、やはりそんなものを発行されているからには、その理由がきちんとあると云う自覚をもっと強く持つべきでした。
本当に申し訳ありませんでした…水流さま…。
そこまで身体の弱い方あったのなら、こちらが注意しなければいけませんでした。
今回は本当に反省点の多いイベント参加でした。
反省しきりですが…

それでも、和泉の本をお手に取って下さった方、和泉にお声かけ下さった方、差し入れして下さった方、本当に有難う御座居ました。
また、体調が調ったら、改めてレポートさせて頂きます。

この度、多大なご迷惑をかけてしまった皆様、本当に申し訳ありませんでした。
体調が良くなってオンライン更新が出来るようになるまで、お待ち頂ければ幸いです。
但し、自家通販お申し込みの方は、順次発送させて頂きます。
こんな状態なので、このあとは暫く、『快適本屋さん』の取り扱い開始を待って頂き、『快適本屋さん』の通販をご利用下さい。


和泉綾拝


posted by 和泉綾 at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | おしらせ

2010年10月10日

それとも加盟する(BlogPet)

きょうはルルと徴用する?
それとも加盟する?

*このエントリは、ブログペットの「ルル」が書きました。
posted by 和泉綾 at 11:11| Comment(0) | TrackBack(0) |

2010年10月03日

感嘆(BlogPet)

きょうはにゃん姫は独裁者も感嘆されたみたい…

*このエントリは、ブログペットの「ルル」が書きました。
posted by 和泉綾 at 07:51| Comment(0) | TrackBack(0) |