2010年06月26日

皇子とレジスタンス 〜Arm to which it can relieve it〜

 現在、枢木スザクは、ルルーシュと一緒に資料室にいた。
そして、少々困ってしまった。
と云うか、何故にこんな事になってしまったのかと…自分の頭の中で考えている。
―――確か…ルルーシュのバカ話しを聞いていて…それで一発ぶん殴って…それから…
と、ここまで来た経緯を自分の中で整理しているのだけれど…。
ルルーシュを抱きしめて、その耳元で言葉を反芻していて…。
最終的にはルルーシュは身体を震わせていたけれど。
ある段階でその震えが感じなくなった。
少し落ち着いたのかと、ルルーシュの様子を窺ってみたら…。
そのままスザクに自分の体を預けて眠ってしまっていたのだ。
寝息を立てているルルーシュを見ていて…恐らく、ルルーシュがこんな無防備でスザクの腕の中で眠っていたなどと本人の知るところとなったら…。
確実に口止めのためにあらゆることをされるだろう。
それこそ、手段を選ばず…。
そんな事よりも、ルルーシュがこんな風に眠っているのを見るのは…シンジュクゲットーでの騒ぎのとき、戦後処理が終わってから熱を出した時くらいだ。
否、あの時は完全に熱に浮かされている状態だったからこんな風に、無防備な眠り…と云う感じではない。
こうして間近で見ていると、綺麗な顔をしていると思う。
日本人でもこれほど真黒な黒髪はいないかもしれないと思うような、漆黒の黒髪…。
目を閉じるとよく解る、黒く長い睫毛。
一つ一つ整った顔のパーツ…。
そして、ブリタニアの皇族の姿はテレビやパソコンの画面で見た事があるけれど…。
色白なのは血筋なのか…。
その中でも
黙っていれば本当に女だと云ってもばれなさそうだ。
と云うか、こんな近くでルルーシュの顔を見た事のある人間が一体どれだけいるのだろうか…。
暗殺されたと云う、ルルーシュの母親が生きていた頃ならともかく、その後、こんな間近でルルーシュの顔を見る事が出来た人間がいたとは思えない。
おまけに…
この無防備な顔をして眠っている姿など…。
―――これは…どう捉えるべきなのだろうか…。
スザクの中出は真剣に悩んでしまう。
これまで、ルルーシュの存在が気になり、彼のやっている事が気になり、ずっと意識を傾けていたとは思うけれど。
こんな、他の何者に対しても警戒心剥き出しの野良猫みたいなルルーシュがこんな寝顔を見せるなど…想像できない。
と云うか、普通に眠っていても、人の気配がすれば目を醒ましそうな感じだ。
実際に普段のルルーシュはそんな感じだ。
誰に対しても弱みを見せてはならない、凛としていなければならない…。
そんな意識を持ち続けている様に見える。
実際そうだったのだろうとは思うけれど。
ルルーシュの傍にいて驚かされる事ばかりだ。
自分とルルーシュは同じ歳…。
誕生日だけで云えば、スザクの方が5ヶ月早く生まれているのだ。
それなのに…。
ルルーシュの方が遥かに大人びて見える。
―――と云うよりも、年相応に見えないと云った方が正確だよな…。
そんな事を思いながら、ルルーシュの顔を見て『はぁ』とため息を吐いてしまう。

 殆どその場の勢いでルルーシュの騎士となってから、どれほど時間が経っただろうか…。
よく考えてみると、それほど時間が経っていない事に気付く。
しかし、その短い時間の中で自分自身、凄く変わったと思う。
このエリア11のシンジュクゲットー内でレジスタンスのリーダーをやっていた頃から、思っていたよりも時間が経っていない。
それほど、ルルーシュの傍に来てからの時間と云うのは、本当に濃い日々を送っていた。
それこそ、数年分の経験をこの数ヶ月で経験させられている気分だ。
ルルーシュの中でも初めての経験はあったようだけれど。
でも、スザクにとっては更に驚かされる様な、本来なら絶対に経験できない事を重ねて来たと思う。
恐らく、望んで得られる経験でもないだろう。
やっている方は大変だと思うけれど。
そのど真ん中に立たされているルルーシュはそれを自ら背負っているのだ。
守りたい者…たった一人の存在の為に…。
そう思うと、ルルーシュが溺愛する妹だとは解っていても、ルルーシュに守られ、異母姉姫に間漏れられているルルーシュの妹姫に対して、様々な思いが過って行く。
本来、ナンバーズであるスザクがブリタニアの皇族の姫君に対してそんな事を考えてはいけないのかもしれないけれど。
彼女は…どの程度ルルーシュのやっている事、背負っている者を理解しているのだろうか…。
今、自分の腕の中で眠っているルルーシュの顔を見ていてそんな風に思えてしまう。
と云うか、恐らく、今のルルーシュに安心して眠れる場所などないのかもしれないと思えて来た。
常に、緊張状態の中、いつ、背後から刃を突き付けられるか解らない状況の中、恐らく、自分の寝室でさえ、安らげる時間ではないのだろうと思えてくる。
―――ブリタニアの皇族で、こうして皇帝の座を争っている者、自ら守りたいものがある者はみんな、こんな緊張状態にあるのか?と云うか、そんなんで、本当に普通の精神状態で居られるのだろうか?
スザクも元々は日本国首相の息子だ。
あの頃、ブリタニアとの外交摩擦がギリギリの状態にありながら、国内の政治も荒れていた。
その中で首相だった父は政治的に父とは違う考えを持つ者達に暗殺された。
その事実を知るのは、本当にわずかな者達だけだ。
ルルーシュは自分の母親が暗殺されて、その遺体を見つけたという。
スザクも自分の父親が殺されて、その亡骸を見つけた。
お互い、同じ傷を持つものだからなのだろうか…。
敵対して、相手を殺さなければいけないと云う認識があったにもかかわらず…。
『殺したくない…』
と思ってしまったのは…。
少なくとも、スザクはそう思った。
シンジュクゲットーで一人立ちつくして、ルルーシュが悲痛の思いを口に出していた時の事を思い出す。
ルルーシュ自身、戦いたくなんてないのだろう。
地を見るのが嫌いなのだろう。
でも、それでも、守る為には…必要だからと…自分を押し殺し、自分を抑えつけてやりたくない事を続けている状態なのだ。
見ていて痛々しいと思う。
そして、そんな彼が、何故、これほどまでに天才的な戦略を施せるだけの才を身につけて生まれて来てしまったのだろうか…と…。

 相変わらず、ルルーシュは眠っている。
相当疲れているのだろう。
しかし、これまでは決してそう云った事を周囲の者に見せたりはしなかっただろう。
だからこそ、あんな形で倒れていたのだろうとは思うけれど。
おまけに今は、まだ、戦後処理が完全に終わっていない状況だ。
それでも、これまでルルーシュが一人で抱え込んでいたものの中にあった、他の者でもできる事…であるわけで…。
だから、こうして眠ってくれる事は、騎士としては有難いと思う。
あんな形で何日も生死をさまよっているような熱発される方が心臓に悪い。
多分、あの状態に陥る事を知る者は本当のごく一部だろう。
と云うか、これまで、スザクとライが知る事になるまではジェレミアと、あの時の担当医師しかその真実を知らなかったかもしれない。
そのくらい、ルルーシュは周囲に対して警戒していた。
下手なところを見られて…シュナイゼルの敵対する者達…それこそ、国内外関係なく知られてしまっては色々不都合が出てくるのは解っている。
どうしてそこまで警戒心を持たなくてはならなくなったのか…。
正直、今のスザクには良く解らない。
ただ、話しで聞くだけではそこまで徹底せねばならないと云う事はないだろうにと思ってしまうからだ。
しかし、ルルーシュはそれをしているのだ。
スザクの知らない過去に、ルルーシュはそう云った経験をしているのだろう。
確かに、国会議員が選挙で選ばれ、その国会議員によって選ばれる首相の権力争いとは様相が違うだろう。
ルルーシュだって下位とはいえ、皇位継承権を持つ身だ。
本人には、皇帝になろうなどと云う意思は全くないようだけれど。
だから、ルルーシュの働きは基本的に皇位継承権は自分にあると云う意思表示の為のものではない。
自分の身を守る為に、自分を庇護する者の為に働いている…。
たまたま、その能力に長けていた為に、周囲からターゲットにされているフシはあるけれど。
実際に、皇位継承争いの皇子や皇女の名前が世界中に知られる事があっても、その下で皇位継承を望む者を支えている者達の名前が知られると云うのはよっぽどだ。
特にその名前が独立していて、二つ名まで付けられているのは珍しいと云わざるを得ない。
確かに、皇帝直属の騎士、ナイトオブラウンズであればそう云う者もいるけれど。
しかし、皇位継承を狙う者を守る立場にいる皇族…の中では珍しい。
特にルルーシュはまだ、子供と云える年齢だ。
そんな子供が『黒の死神』などと云われてしまう程、ルルーシュはこれまで様々な事を重ねて来ている。
その二つ名がいつの間にか、一人歩きをしているような気になってしまうのは、ルルーシュの傍にいる様になったからだろうか…?
ルルーシュを間近で見ていると、そんな二つ名がとても似合う様な皇子には見えない。
繊細で傷つきやすくて、そして、その傷を忘れる事が出来ずに、自分で自分を傷つけている印象を…今のスザクは抱いている。
そんな姿は…なんだか痛々しいけれど…その二つ名をもルルーシュは利用して戦っている。
暫くの間…ルルーシュの眠りを邪魔しないで欲しい…。
そんな風に思えて来てしまう。

 ただ、今の体制は結構辛い状態…かもしれない。
確かにルルーシュは男である事は解っているのだけれど。
普段とのギャップと、見れば見る程綺麗な顔をしていると思えてくる中…正直、自分でも複雑な思いを抱いてしまっている事に…。
意図的に気付かぬ振りをする。
普通に外交大使としての存在でいたなら…それこそ、ブリタニアに取っていのいい看板になるであろう顔の造りをしている。
一つ一つ、とても整っていて…。
きっと、世の女性なら、羨ましがるだろうと思える程だ。
否、ここまで超越していると、羨ましいとさえ思わないかもしれない。
そう思った時、本当に目のやり場に困ってしまう。
じっと見ていたら、変な気持ちになりそうで…。
―――バカか!ルルーシュは男だぞ!
スザクは自分で自分にツッコミを入れる。
そんな事、云われなくたって解っている事だけれど。
しかし、自分で自分の事を面食いだとは思った事無いけれど。
それでも、美人の基準はその時代、国によって違うと云われる。
確かに、太っている方が美しいとされている時代なら論外な程細いけれど。
でも、体型はともかく、それを除けば、太さだけ変えればこのままの造りでどの時代、どの国でも美しい人間として評価される様な気がする。
それはともかく…。
こうして、ルルーシュが子供みたいに眠っている姿は本当にレアだろうと思う。
正直、スザクだってルルーシュの騎士をしていて、こんな姿を見る日が来るなんて、思いもしなかった。
ルルーシュも目が覚めれば、
『私とした事が…不覚だ!』
などと騒ぎ始めそうだ。
それでも、こんな風に安心して貰える事は素直に嬉しい。
あの時、敵の指揮官と解っていながら、スザクはルルーシュに手をかける事はなかった。
まだ、ここまでエリア11となってしまった日本を安定させる前の話しだったから。
スザクがその気になっていれば、あの無人島で殺すことだってできたのだ。
―――その時はブリタニア軍に見つかって俺も殺されていただろうけれどな。
そんな事を考えながら、クスッと笑ってしまった。
本当に、結果とはどんな形で表れるか解らないものだと思う。
あの時、ルルーシュがスザクを騎士にした…などとブリタニア兵たちに宣言した時には驚いたし、憤りもした。
でも、今ではあの時のルルーシュの無意識の、咄嗟の言葉に感謝しているくらいだ。
あの時、ルルーシュ自身でも、何故そんな事を云ったのか、解らない様子だったけれど。
結果だけ見れば、スザクの中では感謝している。
知れば知るほど…ルルーシュと云う人間には傍に誰かが必要だと思った。
ルルーシュがどう考えていたかは解らないけれど。
あの時、ルルーシュはスザクが死ぬ事を望まなかった。
だから、あんな事を云ったのだ。
そう思うと…本当に嬉しいと思えてくる。
そんな事を考えていると…ルルーシュの瞼が小さく震えた事に気づいた。
どのくらい時間が経ったのかと、この資料室にある時計を見た時…。
あれから1時間程、経っていた。
「…ん…」

 ここで、スザクが何とも複雑だけれど、悪い気はしなかった時間が終わった。
「目が覚めたか?ルルーシュ…」
スザクがまだ、はっきりと覚醒していないルルーシュに声をかけると…。
そのスザクの声で意識がバッチリとはっきりしたのか…、ぎょっとした顔でスザクの腕の中からすり抜けた。
「あ…済まない…。眠ってしまったとは…」
ルルーシュが状況の把握がしっかりできない状態で慌てている様子…。
これもレアなルルーシュの姿だと思う。
普段は大人相手に冷静沈着、冷酷無比を通していると云うのに…。
「別に…。お前…眠っている時は本当に年相応だよな…」
よせばいいのにスザクが茶化してルルーシュに云うと…。
ルルーシュの顔が真っ赤になり…
「私とした事が…不覚だ!」
そう云って、少々青ざめている。
まるで、見られたくない奴に弱みを見せてしまった…とでも云う様な…。
そんな感じだ。
そんな…青ざめなくても…と、スザクは思うのだけれど。
少なくとも、スザクはルルーシュの騎士であって、ルルーシュの敵ではないし、こう云った姿、状態を誰かに話しをして得する事もないのだ。
「そんな…青ざめる事じゃないだろ…。安心しろ…。誰にも云わないし…」
スザクが呆れ顔でそう云うと、ルルーシュの顔は真っ赤になった。
「お前がどうこう云っているわけではない!これでは…私のプライドが…」
スザクとしては、頓珍漢な発言にしか聞こえないルルーシュの言葉…。
それに、少々呆れてしまうのだけれど。
「お前…そこでそんな下らないプライド持つの…やめないと、何れ、幸せも逃す事になるぞ…」
色んな意味で子供としては欠陥品なルルーシュにスザクが呆れた顔で云ってやる。
本当に子供としては欠陥だらけだ。
ちっとも子供らしくない。
だからこそ、スザクもふざけモードになるとからかいたくなるわけだけれど。
「別に…私は…!それに、お前はこう云うネタを持つと絶対に後々まで、色々何かに利用して来そうな気がする…」
完全に憶測でものを云っているルルーシュに…。
なんだか、心外だと思ってしまう。
だいたい、見た目で判断していないだろうか?
と云うか、見た目で判断されていたとしても、そこまで自分は根性悪くはないとは思っている。
「俺、そこまで陰険な事をしないって…。どっちかって云うと、そうやって口でねちねちやるよりも実力行使だな…」
さらりと返してやると…ルルーシュがぐっとなって、言葉が出て来なくなった。
実際にその通りだ。
ルルーシュは頭脳労働向きだけれど、スザクは明らかに肉体労働向きだ。
さっきまでの可愛らしいルルーシュは一体どこへ行ってしまったのやら…と云う感じだ。
とりあえず、ルルーシュが自然に目を醒ますまで邪魔が入らなくてよかったと内心ホッとしている。
「そんなことより、資料整理が終わったら、あと、お前の仕事は?」
スザクが話しを切り替えた。
ルルーシュは一瞬驚いた顔を見せたけれど。
でも、そちらの話しに乗った方が得策と判断したのか、スザクの話しに乗った。
「後は、基本的にはないな…。書類整理などは殆ど終わっているし、後は文官たちの仕事になる…」
ルルーシュの言葉に、スザクはほっと息を吐いて、言葉を口にした。
「なら、俺がランスロットからの通信で云った、俺の行きたいところに…連れて行ってくれ…」
スザクのその言葉に…ルルーシュは不思議そうにきょとん死した顔を見せたのだった。

To Be Continued


あとがきに代えて



前回からすっかりスザルルカラーになってしまって…。
あとは、和泉とスザクの妄想のまま、ルルーシュを観察しておりました(笑)
次回、スザクはルルーシュと一緒にスザクが行きたいと云った場所へと向かいます。
多分、細かいところを完全にすっ飛ばして描く予定ですが…。
所詮、予定は未定って事で…。

そう云えば、ワールドカップ…ここでは一切話しを出していなかったのですが…。
絶対に決勝トーナメントには行けないと思っていましたが…。
なんだかんだ云いながら、行っちゃいましたね…。
と云うか、欧州勢…一体どうしたんだ?
まぁ、イングランドとアルゼンチンの試合は見たいと思っていたので、ちゃんと両国決勝トーナメントに出てくれた様なので…。
日本は、決勝トーナメント…パラグアイ相手では勝てないでしょう…。
それでも、予選リーグ敗退と思っていた…と云うか、一生も出来ずに帰って来ると思っていたので、凄い事ですね…。
マスコミだけが騒いでいると思っていました。
でも、それなりに頑張っているみたいなので、少しだけ、頑張れ!と云う声援を送りたいと思います。


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posted by 和泉綾 at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 皇子とレジスタンス

皇子とレジスタンス 〜Arm to which it can relieve it〜

 現在、枢木スザクは、ルルーシュと一緒に資料室にいた。
そして、少々困ってしまった。
と云うか、何故にこんな事になってしまったのかと…自分の頭の中で考えている。
―――確か…ルルーシュのバカ話しを聞いていて…それで一発ぶん殴って…それから…
と、ここまで来た経緯を自分の中で整理しているのだけれど…。
ルルーシュを抱きしめて、その耳元で言葉を反芻していて…。
最終的にはルルーシュは身体を震わせていたけれど。
ある段階でその震えが感じなくなった。
少し落ち着いたのかと、ルルーシュの様子を窺ってみたら…。
そのままスザクに自分の体を預けて眠ってしまっていたのだ。
寝息を立てているルルーシュを見ていて…恐らく、ルルーシュがこんな無防備でスザクの腕の中で眠っていたなどと本人の知るところとなったら…。
確実に口止めのためにあらゆることをされるだろう。
それこそ、手段を選ばず…。
そんな事よりも、ルルーシュがこんな風に眠っているのを見るのは…シンジュクゲットーでの騒ぎのとき、戦後処理が終わってから熱を出した時くらいだ。
否、あの時は完全に熱に浮かされている状態だったからこんな風に、無防備な眠り…と云う感じではない。
こうして間近で見ていると、綺麗な顔をしていると思う。
日本人でもこれほど真黒な黒髪はいないかもしれないと思うような、漆黒の黒髪…。
目を閉じるとよく解る、黒く長い睫毛。
一つ一つ整った顔のパーツ…。
そして、ブリタニアの皇族の姿はテレビやパソコンの画面で見た事があるけれど…。
色白なのは血筋なのか…。
その中でも
黙っていれば本当に女だと云ってもばれなさそうだ。
と云うか、こんな近くでルルーシュの顔を見た事のある人間が一体どれだけいるのだろうか…。
暗殺されたと云う、ルルーシュの母親が生きていた頃ならともかく、その後、こんな間近でルルーシュの顔を見る事が出来た人間がいたとは思えない。
おまけに…
この無防備な顔をして眠っている姿など…。
―――これは…どう捉えるべきなのだろうか…。
スザクの中出は真剣に悩んでしまう。
これまで、ルルーシュの存在が気になり、彼のやっている事が気になり、ずっと意識を傾けていたとは思うけれど。
こんな、他の何者に対しても警戒心剥き出しの野良猫みたいなルルーシュがこんな寝顔を見せるなど…想像できない。
と云うか、普通に眠っていても、人の気配がすれば目を醒ましそうな感じだ。
実際に普段のルルーシュはそんな感じだ。
誰に対しても弱みを見せてはならない、凛としていなければならない…。
そんな意識を持ち続けている様に見える。
実際そうだったのだろうとは思うけれど。
ルルーシュの傍にいて驚かされる事ばかりだ。
自分とルルーシュは同じ歳…。
誕生日だけで云えば、スザクの方が5ヶ月早く生まれているのだ。
それなのに…。
ルルーシュの方が遥かに大人びて見える。
―――と云うよりも、年相応に見えないと云った方が正確だよな…。
そんな事を思いながら、ルルーシュの顔を見て『はぁ』とため息を吐いてしまう。

 殆どその場の勢いでルルーシュの騎士となってから、どれほど時間が経っただろうか…。
よく考えてみると、それほど時間が経っていない事に気付く。
しかし、その短い時間の中で自分自身、凄く変わったと思う。
このエリア11のシンジュクゲットー内でレジスタンスのリーダーをやっていた頃から、思っていたよりも時間が経っていない。
それほど、ルルーシュの傍に来てからの時間と云うのは、本当に濃い日々を送っていた。
それこそ、数年分の経験をこの数ヶ月で経験させられている気分だ。
ルルーシュの中でも初めての経験はあったようだけれど。
でも、スザクにとっては更に驚かされる様な、本来なら絶対に経験できない事を重ねて来たと思う。
恐らく、望んで得られる経験でもないだろう。
やっている方は大変だと思うけれど。
そのど真ん中に立たされているルルーシュはそれを自ら背負っているのだ。
守りたい者…たった一人の存在の為に…。
そう思うと、ルルーシュが溺愛する妹だとは解っていても、ルルーシュに守られ、異母姉姫に間漏れられているルルーシュの妹姫に対して、様々な思いが過って行く。
本来、ナンバーズであるスザクがブリタニアの皇族の姫君に対してそんな事を考えてはいけないのかもしれないけれど。
彼女は…どの程度ルルーシュのやっている事、背負っている者を理解しているのだろうか…。
今、自分の腕の中で眠っているルルーシュの顔を見ていてそんな風に思えてしまう。
と云うか、恐らく、今のルルーシュに安心して眠れる場所などないのかもしれないと思えて来た。
常に、緊張状態の中、いつ、背後から刃を突き付けられるか解らない状況の中、恐らく、自分の寝室でさえ、安らげる時間ではないのだろうと思えてくる。
―――ブリタニアの皇族で、こうして皇帝の座を争っている者、自ら守りたいものがある者はみんな、こんな緊張状態にあるのか?と云うか、そんなんで、本当に普通の精神状態で居られるのだろうか?
スザクも元々は日本国首相の息子だ。
あの頃、ブリタニアとの外交摩擦がギリギリの状態にありながら、国内の政治も荒れていた。
その中で首相だった父は政治的に父とは違う考えを持つ者達に暗殺された。
その事実を知るのは、本当にわずかな者達だけだ。
ルルーシュは自分の母親が暗殺されて、その遺体を見つけたという。
スザクも自分の父親が殺されて、その亡骸を見つけた。
お互い、同じ傷を持つものだからなのだろうか…。
敵対して、相手を殺さなければいけないと云う認識があったにもかかわらず…。
『殺したくない…』
と思ってしまったのは…。
少なくとも、スザクはそう思った。
シンジュクゲットーで一人立ちつくして、ルルーシュが悲痛の思いを口に出していた時の事を思い出す。
ルルーシュ自身、戦いたくなんてないのだろう。
地を見るのが嫌いなのだろう。
でも、それでも、守る為には…必要だからと…自分を押し殺し、自分を抑えつけてやりたくない事を続けている状態なのだ。
見ていて痛々しいと思う。
そして、そんな彼が、何故、これほどまでに天才的な戦略を施せるだけの才を身につけて生まれて来てしまったのだろうか…と…。

 相変わらず、ルルーシュは眠っている。
相当疲れているのだろう。
しかし、これまでは決してそう云った事を周囲の者に見せたりはしなかっただろう。
だからこそ、あんな形で倒れていたのだろうとは思うけれど。
おまけに今は、まだ、戦後処理が完全に終わっていない状況だ。
それでも、これまでルルーシュが一人で抱え込んでいたものの中にあった、他の者でもできる事…であるわけで…。
だから、こうして眠ってくれる事は、騎士としては有難いと思う。
あんな形で何日も生死をさまよっているような熱発される方が心臓に悪い。
多分、あの状態に陥る事を知る者は本当のごく一部だろう。
と云うか、これまで、スザクとライが知る事になるまではジェレミアと、あの時の担当医師しかその真実を知らなかったかもしれない。
そのくらい、ルルーシュは周囲に対して警戒していた。
下手なところを見られて…シュナイゼルの敵対する者達…それこそ、国内外関係なく知られてしまっては色々不都合が出てくるのは解っている。
どうしてそこまで警戒心を持たなくてはならなくなったのか…。
正直、今のスザクには良く解らない。
ただ、話しで聞くだけではそこまで徹底せねばならないと云う事はないだろうにと思ってしまうからだ。
しかし、ルルーシュはそれをしているのだ。
スザクの知らない過去に、ルルーシュはそう云った経験をしているのだろう。
確かに、国会議員が選挙で選ばれ、その国会議員によって選ばれる首相の権力争いとは様相が違うだろう。
ルルーシュだって下位とはいえ、皇位継承権を持つ身だ。
本人には、皇帝になろうなどと云う意思は全くないようだけれど。
だから、ルルーシュの働きは基本的に皇位継承権は自分にあると云う意思表示の為のものではない。
自分の身を守る為に、自分を庇護する者の為に働いている…。
たまたま、その能力に長けていた為に、周囲からターゲットにされているフシはあるけれど。
実際に、皇位継承争いの皇子や皇女の名前が世界中に知られる事があっても、その下で皇位継承を望む者を支えている者達の名前が知られると云うのはよっぽどだ。
特にその名前が独立していて、二つ名まで付けられているのは珍しいと云わざるを得ない。
確かに、皇帝直属の騎士、ナイトオブラウンズであればそう云う者もいるけれど。
しかし、皇位継承を狙う者を守る立場にいる皇族…の中では珍しい。
特にルルーシュはまだ、子供と云える年齢だ。
そんな子供が『黒の死神』などと云われてしまう程、ルルーシュはこれまで様々な事を重ねて来ている。
その二つ名がいつの間にか、一人歩きをしているような気になってしまうのは、ルルーシュの傍にいる様になったからだろうか…?
ルルーシュを間近で見ていると、そんな二つ名がとても似合う様な皇子には見えない。
繊細で傷つきやすくて、そして、その傷を忘れる事が出来ずに、自分で自分を傷つけている印象を…今のスザクは抱いている。
そんな姿は…なんだか痛々しいけれど…その二つ名をもルルーシュは利用して戦っている。
暫くの間…ルルーシュの眠りを邪魔しないで欲しい…。
そんな風に思えて来てしまう。

 ただ、今の体制は結構辛い状態…かもしれない。
確かにルルーシュは男である事は解っているのだけれど。
普段とのギャップと、見れば見る程綺麗な顔をしていると思えてくる中…正直、自分でも複雑な思いを抱いてしまっている事に…。
意図的に気付かぬ振りをする。
普通に外交大使としての存在でいたなら…それこそ、ブリタニアに取っていのいい看板になるであろう顔の造りをしている。
一つ一つ、とても整っていて…。
きっと、世の女性なら、羨ましがるだろうと思える程だ。
否、ここまで超越していると、羨ましいとさえ思わないかもしれない。
そう思った時、本当に目のやり場に困ってしまう。
じっと見ていたら、変な気持ちになりそうで…。
―――バカか!ルルーシュは男だぞ!
スザクは自分で自分にツッコミを入れる。
そんな事、云われなくたって解っている事だけれど。
しかし、自分で自分の事を面食いだとは思った事無いけれど。
それでも、美人の基準はその時代、国によって違うと云われる。
確かに、太っている方が美しいとされている時代なら論外な程細いけれど。
でも、体型はともかく、それを除けば、太さだけ変えればこのままの造りでどの時代、どの国でも美しい人間として評価される様な気がする。
それはともかく…。
こうして、ルルーシュが子供みたいに眠っている姿は本当にレアだろうと思う。
正直、スザクだってルルーシュの騎士をしていて、こんな姿を見る日が来るなんて、思いもしなかった。
ルルーシュも目が覚めれば、
『私とした事が…不覚だ!』
などと騒ぎ始めそうだ。
それでも、こんな風に安心して貰える事は素直に嬉しい。
あの時、敵の指揮官と解っていながら、スザクはルルーシュに手をかける事はなかった。
まだ、ここまでエリア11となってしまった日本を安定させる前の話しだったから。
スザクがその気になっていれば、あの無人島で殺すことだってできたのだ。
―――その時はブリタニア軍に見つかって俺も殺されていただろうけれどな。
そんな事を考えながら、クスッと笑ってしまった。
本当に、結果とはどんな形で表れるか解らないものだと思う。
あの時、ルルーシュがスザクを騎士にした…などとブリタニア兵たちに宣言した時には驚いたし、憤りもした。
でも、今ではあの時のルルーシュの無意識の、咄嗟の言葉に感謝しているくらいだ。
あの時、ルルーシュ自身でも、何故そんな事を云ったのか、解らない様子だったけれど。
結果だけ見れば、スザクの中では感謝している。
知れば知るほど…ルルーシュと云う人間には傍に誰かが必要だと思った。
ルルーシュがどう考えていたかは解らないけれど。
あの時、ルルーシュはスザクが死ぬ事を望まなかった。
だから、あんな事を云ったのだ。
そう思うと…本当に嬉しいと思えてくる。
そんな事を考えていると…ルルーシュの瞼が小さく震えた事に気づいた。
どのくらい時間が経ったのかと、この資料室にある時計を見た時…。
あれから1時間程、経っていた。
「…ん…」

 ここで、スザクが何とも複雑だけれど、悪い気はしなかった時間が終わった。
「目が覚めたか?ルルーシュ…」
スザクがまだ、はっきりと覚醒していないルルーシュに声をかけると…。
そのスザクの声で意識がバッチリとはっきりしたのか…、ぎょっとした顔でスザクの腕の中からすり抜けた。
「あ…済まない…。眠ってしまったとは…」
ルルーシュが状況の把握がしっかりできない状態で慌てている様子…。
これもレアなルルーシュの姿だと思う。
普段は大人相手に冷静沈着、冷酷無比を通していると云うのに…。
「別に…。お前…眠っている時は本当に年相応だよな…」
よせばいいのにスザクが茶化してルルーシュに云うと…。
ルルーシュの顔が真っ赤になり…
「私とした事が…不覚だ!」
そう云って、少々青ざめている。
まるで、見られたくない奴に弱みを見せてしまった…とでも云う様な…。
そんな感じだ。
そんな…青ざめなくても…と、スザクは思うのだけれど。
少なくとも、スザクはルルーシュの騎士であって、ルルーシュの敵ではないし、こう云った姿、状態を誰かに話しをして得する事もないのだ。
「そんな…青ざめる事じゃないだろ…。安心しろ…。誰にも云わないし…」
スザクが呆れ顔でそう云うと、ルルーシュの顔は真っ赤になった。
「お前がどうこう云っているわけではない!これでは…私のプライドが…」
スザクとしては、頓珍漢な発言にしか聞こえないルルーシュの言葉…。
それに、少々呆れてしまうのだけれど。
「お前…そこでそんな下らないプライド持つの…やめないと、何れ、幸せも逃す事になるぞ…」
色んな意味で子供としては欠陥品なルルーシュにスザクが呆れた顔で云ってやる。
本当に子供としては欠陥だらけだ。
ちっとも子供らしくない。
だからこそ、スザクもふざけモードになるとからかいたくなるわけだけれど。
「別に…私は…!それに、お前はこう云うネタを持つと絶対に後々まで、色々何かに利用して来そうな気がする…」
完全に憶測でものを云っているルルーシュに…。
なんだか、心外だと思ってしまう。
だいたい、見た目で判断していないだろうか?
と云うか、見た目で判断されていたとしても、そこまで自分は根性悪くはないとは思っている。
「俺、そこまで陰険な事をしないって…。どっちかって云うと、そうやって口でねちねちやるよりも実力行使だな…」
さらりと返してやると…ルルーシュがぐっとなって、言葉が出て来なくなった。
実際にその通りだ。
ルルーシュは頭脳労働向きだけれど、スザクは明らかに肉体労働向きだ。
さっきまでの可愛らしいルルーシュは一体どこへ行ってしまったのやら…と云う感じだ。
とりあえず、ルルーシュが自然に目を醒ますまで邪魔が入らなくてよかったと内心ホッとしている。
「そんなことより、資料整理が終わったら、あと、お前の仕事は?」
スザクが話しを切り替えた。
ルルーシュは一瞬驚いた顔を見せたけれど。
でも、そちらの話しに乗った方が得策と判断したのか、スザクの話しに乗った。
「後は、基本的にはないな…。書類整理などは殆ど終わっているし、後は文官たちの仕事になる…」
ルルーシュの言葉に、スザクはほっと息を吐いて、言葉を口にした。
「なら、俺がランスロットからの通信で云った、俺の行きたいところに…連れて行ってくれ…」
スザクのその言葉に…ルルーシュは不思議そうにきょとん死した顔を見せたのだった。

To Be Continued


あとがきに代えて



前回からすっかりスザルルカラーになってしまって…。
あとは、和泉とスザクの妄想のまま、ルルーシュを観察しておりました(笑)
次回、スザクはルルーシュと一緒にスザクが行きたいと云った場所へと向かいます。
多分、細かいところを完全にすっ飛ばして描く予定ですが…。
所詮、予定は未定って事で…。

そう云えば、ワールドカップ…ここでは一切話しを出していなかったのですが…。
絶対に決勝トーナメントには行けないと思っていましたが…。
なんだかんだ云いながら、行っちゃいましたね…。
と云うか、欧州勢…一体どうしたんだ?
まぁ、イングランドとアルゼンチンの試合は見たいと思っていたので、ちゃんと両国決勝トーナメントに出てくれた様なので…。
日本は、決勝トーナメント…パラグアイ相手では勝てないでしょう…。
それでも、予選リーグ敗退と思っていた…と云うか、一生も出来ずに帰って来ると思っていたので、凄い事ですね…。
マスコミだけが騒いでいると思っていました。
でも、それなりに頑張っているみたいなので、少しだけ、頑張れ!と云う声援を送りたいと思います。


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posted by 和泉綾 at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 皇子とレジスタンス

露天風呂の日 (今日のテーマ)

BlogPet 今日のテーマ 露天風呂の日
「お風呂に関するあなたのこだわりを教えてください。」
お風呂に関するこだわり…
そうですね…。
旅行先で入浴剤を見つけると必ず買ってきて試します。
あと、ぬるめのお湯に30分以上入って、すぐに寝る…という事でしょうか。
元々長風呂な人なんですが…。
最近、体力的な問題もあって、長い時間入って居ると、後になって、大変な目にあうようになってきたので…。
最近、長風呂出来なくなっていて…少し切ないです。
ブログのネタなどもお風呂入っている時に色々思いついたりする日なので。
あと、これはエコにもなるのかな…。
ペットボトルをいくつも入れて入って居ます。
水道代、ガス代などそれで浮かせていますし。
最近では結構当たり前になって居ますよね。
ただ、そう云った入り方をすると、錠剤の入浴剤は使えないんです。
泡の出ているお風呂…入りたいんですけど。
最近、お風呂上がりに汗だくになるので夏用の入浴剤になってきていますよね。
クールの入浴剤…。
春夏秋冬があると、いろんな入浴剤を楽しめるので、四季のある国でよかったなぁと思います。
梅雨は大嫌いですが…
今日はどんな入浴剤を入れて入ろうかなぁ…


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posted by 和泉綾 at 19:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類

露天風呂の日 (今日のテーマ)

BlogPet 今日のテーマ 露天風呂の日
「お風呂に関するあなたのこだわりを教えてください。」
お風呂に関するこだわり…
そうですね…。
旅行先で入浴剤を見つけると必ず買ってきて試します。
あと、ぬるめのお湯に30分以上入って、すぐに寝る…という事でしょうか。
元々長風呂な人なんですが…。
最近、体力的な問題もあって、長い時間入って居ると、後になって、大変な目にあうようになってきたので…。
最近、長風呂出来なくなっていて…少し切ないです。
ブログのネタなどもお風呂入っている時に色々思いついたりする日なので。
あと、これはエコにもなるのかな…。
ペットボトルをいくつも入れて入って居ます。
水道代、ガス代などそれで浮かせていますし。
最近では結構当たり前になって居ますよね。
ただ、そう云った入り方をすると、錠剤の入浴剤は使えないんです。
泡の出ているお風呂…入りたいんですけど。
最近、お風呂上がりに汗だくになるので夏用の入浴剤になってきていますよね。
クールの入浴剤…。
春夏秋冬があると、いろんな入浴剤を楽しめるので、四季のある国でよかったなぁと思います。
梅雨は大嫌いですが…
今日はどんな入浴剤を入れて入ろうかなぁ…


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Novel Rebellion開設2周年記念リクエスト企画 23

将来の僕と君へ Final





※設定:現在、幼馴染同士のルルーシュとスザクは高校3年生です。お互いを思う気持ちがあるのですが…。ただ打ち明ける事も出来ないまま、そして、進路の問題など、更に彼らを追い詰める現実が差し迫っているようです。

このお話しはまりもこさまからのリクエストです。リクエスト有難う御座居ました。

 普通なら、ルルーシュがこんな風に肉を焦がすなんて事はあり得ない。
二人の目の前の焼き網の上で肉が炭になって、煙が立ち始めていた。
「あ、ルルーシュ!肉が…」
先に気づいたのはスザクだった。
こう云う時、わんこ並みに鼻の利くスザクが先に気づく。
これも昔から変わっていない。
「あ、済まない…」
スザクの告白に呆然としていたルルーシュが我に返り、網の上の肉を回収する。
こんなルルーシュを見るのは初めてだから、正直、スザクも戸惑ってしまう。
「あ、僕の方こそ、御免…。多分、僕が変な事を云ったから…驚いちゃったんだよね…」
スザクが少し俯いてルルーシュに詫びた。
ここで謝ってしまうのが、スザクなのだけれど。
ただ、ルルーシュはいつも、こんなミスをする事はないから…。
だから、スザクとしては、スザクの云った事がルルーシュのこんな行動を招いてしまったと思ってしまう。
―――これって、僕の自惚れなのかな…
そんな事を考えつつも、ルルーシュが焦げてしまった肉を回収している間に、スザクが新しい肉を乗せて行く。
そんなスザクを見ながら、ルルーシュが口を開いた。
「お前…そう云った話しをするには、焼き肉は向かないんじゃないのか?基本的に焼きながら食べるとなると、どうしても食べる方、焼く方に意識が向いてしまうだろう?」
ルルーシュは焦げた肉を集め終えてからスザクにそう告げた。
大体、ルルーシュの方はいきなりのスザクの申し出で来ただけなのだ。
こんな風にスザクにぶっちゃけられるとは露ほども思わずに来たのだ。
―――まぁ、突然スザクが一緒に夕飯を食べたいだなんて…何かあるとは思ったけれどな…。
ルルーシュが呆れ顔でそう云うと、スザクが『へへへ…』と笑った。
スザクのそんな笑いも、多分、不自然に見えている事は予想出来る。
元々、こう云う時に取り繕える様なスキルをスザクは持ち合わせていないのだから。
スザクとしては、こうして笑ってごまかす事くらいしか思いつかない。
「スザク…そう云えば、俺達がこうして、進学とか進路で離れ離れになる事を考えたのって…高校入試の時以来だな…」
ルルーシュがそう云うと、強引な愛想笑いをしていたスザクが『あっ』と云う顔をした。
でも、あの時にはまだ、対策を立てる事が出来た。
ルルーシュの方は自分の行きたい高校を普通に志望して普通に入試を受けて合格している。
それこそ、主席の成績で…。
だから、入学式の新入生代表挨拶はルルーシュがしていた。
ルルーシュがこの高校に入りたいと知った時、スザクはルルーシュに内緒で一生懸命考えたのだ。
どうしたらルルーシュと一緒に高校に通う事が出来るかと…。
幸い、ルルーシュの志望していたこの高校はスポーツ面でも全国的に有名で…スザクは運動能力が高くて、そのスポーツ推薦枠に付いて、担任に相談して…。
そして、その時のスザクの一生懸命な思いが通じたのか、こうして、同じ高校に通う事が出来るようになったのだ。
流石に同じクラスに…と云うのは中々難しかった。
特に、2年になる時、進路の事を真剣に考え始めなくてはならなくなった段階で、文系、理系、就職志望者、スポーツ特待生など、クラス分けされて…。
当たり前だけれど、スザクとルルーシュは同じクラスになれる事もなく…。
―――それでも、僕は、教室にいなくちゃいけない時以外はルルーシュと一緒に居られた…

 クラスは違っていても、流石に2年になって進路ごとにクラスが違うともなると、休み時間には様々な形で他のクラスの生徒が教室にいても別におかしな話ではなくなった。
と云うのも、恋人同士で暮らすが分かれてしまった者、ルルーシュとスザクの様に、仲の良い者同士が休み時間、昼食など、一緒に…と云う事はままある話しとなったわけだ。
ルルーシュとスザクもそんな感じだった。
ルルーシュは自分の人付き合いの悪さ…と云う事でスザクと一緒にいる事が多かったけれど、スザクの方は…ルルーシュに誰かほかの人間が近づく事をあまり快く思わずにいた。
ただ、ルルーシュがスザクのところに来た時に、スザクが他のクラスメイトと一緒にいるところに気づいた時、ルルーシュは黙ってそこから離れて行く事は何度かあって…。
スザクは時々そんなルルーシュに何となく…と云うか、時には自分の中で本当に寂しさとか、悲しさとかを、感じた事があり…。
そんな事が何度か続いた時に…スザクはある事に気が付いたのだ。
―――僕…ルルーシュと一緒にいたいんだ…。ルルーシュが僕以外の誰かと一緒にいるのが嫌なんだ…
と気が付いた。
それがいつの事だったのか、今となっては既に思い出す事もないけれど。
しかし、その事を自覚してからは…本当に独占欲が強くなったと思う。
自分でも怖くなった。
これで、ルルーシュと離れてしまう事になったら…と、凄く強く考える様になった。
ルルーシュと離れるのが怖い…。
そんな事を考えつつ…そして、3年生になって、それが本当に目の前の話しになって、逃げる事が出来ないところまで来た時…。
スザクは頭が真っ白になった。
スザクにスポーツ推薦の大学が決まりそうだ…そう、教師から伝えられた時には…進路が決まった安心感と同時に…。
これまで離れた事のなかったルルーシュと離れ離れにならなくてはならないと云うその、近い将来の現実に…怖くなったのだ。
これまで、ずっと、ルルーシュと一緒にいて…本当に二人で一つ…の様な気になっていた。
と云うのも、学校でもルルーシュとスザクのコンビは名物とまで云われるほど、有名となった。
それは、単純に有名になっただけではなく、実際にコンビを組んだ二人の発揮する様々なものが本物だったからだ。
高校に入ってからもそれは健在で…。
ルルーシュとそんなコンビとして云われる事はスザクにとって嬉しかったし、自分の中でのプライドでもあり、優越でもあった。
本当は…ルルーシュとそんな風に云われるなんて云うのは…身の程知らず…だと云う事は解っているけれど。
ルルーシュは凄い人だと云うのは解っているけれど。
でも、スザクにとって、これ以上の褒め言葉はないと云うくらいスザクの中での誇りでもあったのだ。
それが…
―――もうすぐ…そのルルーシュと離れ離れに…なっちゃうんだな…。だから…僕は…

 そんな事を考えながら、下を向いていると、ルルーシュが心配そうに見ているのが解った。
ルルーシュにとって、スザクと云う存在は…どんな存在なのだろうか…。
いつも、スザクと一緒にいてくれてはいるけれど。
でも、スザクがルルーシュを思う程、ルルーシュはスザクの事を思っていないのかもしれない。
スザクの中のルルーシュほど、ルルーシュの中のスザクは、存在は大きくないのかもしれない。
俯いて、黙っていると…
「スザク…そんな風に黙っていたんじゃ…解らないだろ?わざわざこんな風に一緒に夕食を食べたいなんて云うんだから…。進路の事…そんなに悩んでいるのか?殆ど、決まりなんだろ?」
ルルーシュが業を煮やしたように声をかけて来た。
なんでだろうと思ってしまう。
なんで、ルルーシュはそんな風にスザクに優しく接してくれるのか…。
それは、これまでずっと、優越感ではあったのだけれど。
でも、今は…その優しさが辛くなってしまう。
優しいのが辛いだなんて…他のルルーシュの事を好きな人たちからしたら、凄く贅沢な話しになるだろう。
それこそ、殺されても文句は言えない。
「あのさ…。ルルーシュは怒るかもしれないし、呆れるかもしれないんだけれど…。でもね…僕、進路がほぼ決まって…それは嬉しいんだけど…。でも、ルルーシュと離れるのが…その…えっと…嫌だ…と云うか…怖い…んだ…」
やっと、やっと出て来た…その言葉…。
ルルーシュはなんて云うだろうか…。
きっと、『自分の人生の為の選択なのに…一時の気の迷いでそこまで悩むのか?』などと呆れるだろうか…。
それとも『自分の人生を他人に振り回されるな!』って叱って来るのだろうか…。
どちらにしろ、ルルーシュの怒鳴り声が聞こえてきそうだ…と、スザクは思った。
でも…そんな予想に反して…ルルーシュの声が中々聞こえて来ない。
店内は確かに…色んなグループの声が聞こえて来ていて…騒がしいけれど。
同じテーブルに付いている自分達の会話が聞こえなくなるような…そんな騒がしさでもない。
とりあえず…、そのルルーシュの言葉が出て来ない状態が…少しの間続いた。
それが、数十秒の時間であったのか、数分…もしくは十数分であったのか…よく解らないけれど。
大した時間ではないにしろ、凄く長い時間に思えた。
スザクは居たたまれなくなって、先ほど、網の上に置いた肉をひっくり返しつつ、焦げないように、見張っている事くらいしか出来なくて。
でも、そのルルーシュが黙っている状態が…凄く心地悪かった。
そこにいる事が…何となく、しんどいと思うものの。
ルルーシュが黙っている状態のところを、ドリンクバーに行ってなんとか、その場を離れて、一呼吸を置く…と云う事も出来なくて…。
「あ…あの…」
思わず、スザクの方から、ルルーシュに声をかけて、ルルーシュを見ると…。
なんだか、見た事のないルルーシュの顔が…そこにあった。
なんだか…そのルルーシュの顔は…、
いつもより頼りなくて、弱々しい感じがしたのは…多分気のせいではない。
「ルルーシュ?」

 スザクが声をかけると…、ルルーシュは少し震えた様に口を開いた。
「何を…云っているんだ…。スザク…スザクの人生じゃないか…」
スザクが…ルルーシュから受ける叱責となるであろう…言葉と同じ言葉だったけれど…。
ただ…その声は怒鳴り声じゃなかった。
それどころか…少し震えているような気がした。
―――多分…気の所為じゃ…ないよね…
スザクがそんな、疑念を抱いてしまう程、珍しい光景だ。
ルルーシュが声を震わせているなんて…。
怒りの震えではない。
何かを耐えて…押し殺しているような…そんな震えだ。
「ど…したの…?」
スザクがそんなルルーシュに何を怖がっているのか解らないけれど、なんだか、恐る恐る…と云った感じに尋ねた。
ルルーシュの表情も…何か、ぐっと押し殺して、飲み込んでいる…。
そんな苦悩が見え隠れする様なそんな表情に見えるのだ。
「…んで…。なんで…スザクがそんな事…云うんだ…」
これまで…ずっと何かをスザクに隠して、自分の中に飲み込んで来たのだろうと云う、そんな言葉だった。
ルルーシュは基本的に隠し事が結構うまい。
スザクには解る事もあるけれど。
でも、今のルルーシュのその表情の理由、言葉の理由は…スザクには解らなかった。
「ルルーシュ?」
ルルーシュが何を云おうとしてるのか…解らなくて…スザクはもう一度目の前の人物の名前を呼んだ。
「なんで…お前がそんな事を云うんだ…。お前は…ちゃんと進路が…殆ど決まっているくせに…。なんで…お前がそんな事を云うんだ!」
最初の内はあまり強い口調は云えなかったけれど…最後は…少し怒鳴り声に近付いていた。
ただ、スザクがそんな事を悩んでいたと云う事で、怒鳴りつけていると云うよりも、そんな事を、今、ルルーシュに云った事、その事を怒鳴っているように聞こえる。
だから、スザクの中で、よく解らない…と云う感じになっているのだけれど。
ルルーシュが何故、こんな怒鳴り声をあげて来たのか…。
スザクが云った言葉の中で、ルルーシュは何を思い、なんで、怒鳴り声に近い様な声をあげたのか…。
「俺は…スザクの進路の邪魔をしたくない!だから…絶対にスザクの邪魔にならない様にって…思って来たんだ!なのに…なんでお前がそんな事を云うんだ!お前の人生の邪魔を…俺にさせるな!」
ルルーシュがそこまで云った後、聞いたスザクは勿論、云った本人が驚いていた。
ルルーシュはまるで…
―――今、自分は何を云ったんだ…?
と云う、少々困惑の入っている顔をしている。
「それって…どう云う…事なの…?」
驚いているけれど、でも、その言葉の意味を知りたいと思ったスザクがルルーシュに尋ねた。
その言葉の中にある、その意味は…スザクにとってとても重要な事だから。
将来の事を考えろ!と云われたって、やっぱり目の前の事もまだ大切で、後回しに出来ないスザクにとって、きっとその言葉の意味は…何よりも重要だと思えてしまう。
しかし、ルルーシュはその先の言葉を云わず…ただ、『ごめん…帰る…』とだけ云って、その席を立って行ってしまった。
スザクの中に…何か、不安と、期待とが入り混じる…。
今の状況ではあまりに不自然な気持ちだけが残った。

 結局、そんなもやもやを抱えたまま…店を出て…家に帰り…自分の部屋に入ってから…眠れない一夜を過ごしたスザクだったけれど…。
その間、スザクの頭の中にぐるぐると回り続けていた。
朝の光が…なんだか、眩しく感じるのは…恐らく、殆ど眠れなかった影響だろう。
「なんだか…頭が痛いな…」
睡眠不足では確かに仕方のない事だけれど、基本的にそんな経験のないスザクにとっては、中々しんどいと感じてしまうそんな自覚症状だ。
それでも、学校へ行かなくてはいけない現実に…ため息が出て来た。
とりあえず、じきに出かける時間になるし…。
のそのそとベッドから重い身体を引き起こした。
とにかく、顔を洗ってすっきりさせれば少しは違うだろうか…。
いつもならがっつり朝食を食べて行くのだけれど…正直、今日はそんな気分じゃない。
心配する母親を尻目に『昼食は学食で食べるって、約束したんだ…』と、適当な事を云って、さっさと家を出て行くと…玄関先には…。
「ルルーシュ?」
普段ならこんな時間のこの場所にいる筈のない人物が立っていた。
「おはよう…スザク…」
なんだか、ルルーシュの方も睡眠不足な顔をしている。
―――ルルーシュも眠れなかったのかな…
確かに、進路の話しに関しては非常にデリケートな話題でもあるのだ。
「あ、おはよう…ルルーシュ…」
睡眠不足で頭がぼんやりしていたけれど、一気に目が覚める様な気がした。
昨日の今日で…あんな話題になって、あんな風にルルーシュに云われて、先に代えられてしまって…。
「少し…いいか?歩きながら…で、いいから…」
ルルーシュがおずおずと声をかけて来た。
「う…うん…」
何を云われるのだろうかと少々不安になりながら、スザクはルルーシュの隣に立って一緒に歩き始めた。
いつものポジションで自分の右側に…ルルーシュがいる。
「スザク…昨日は…怒鳴ったりして…悪かった…」
ルルーシュがそんな風に謝ってきた。
スザクとしては、受験前のその、神経質になっている時期に無神経な事を云ってしまったと云う自覚はある。
「あ、別に…。あれはルルーシュが悪い訳じゃないし…」
「否…。怒鳴りつけたこと自体は悪い…。それに…俺が怒鳴った事で少し、誤解があるかもしれないと…思って…」
語尾が少しずつ小さくなって行く。
昨日から、滅多に見ないルルーシュの姿ばかり見ている気がする。
「でも…ルルーシュに怒鳴られる事を云ったのは…僕だし…」
「そうじゃない!そうじゃないんだ…スザク…」
少し声を荒げてルルーシュがスザクに訴える様に云って来た。
そのルルーシュの表情も…幼馴染のスザクも見た事無いルルーシュの表情だった。
―――一体…ルルーシュに何が起きているんだろう…
スザクは素直にそんな事を思っていた。
ルルーシュは少しだけ顔を赤くしている。
目も睡眠不足らしく、赤くなっているのが解る。
「その…俺も…スザクと…同じだったから…」
ルルーシュの言葉に、スザクは『え?』という表情を見せた。

 そんなスザクの表情を見て、ルルーシュは顔を赤くして、俯き加減にしながら言葉を続けた。
「その…お前が初めてなんだから…。俺だって初めてなんだ…。その、スザクと離れ離れになるって云う…その現実は…」
ルルーシュのその言葉にドキッとした。
それは…スザクとしては、消えない迷いと、進路に関して引っかかる事柄でもある。
「た…ただな…、お前も俺も…これからずっと…一緒にいられるわけじゃない。就職とか、その…け…結婚とか…これから先、ずっと一緒に…と云う訳にはいかないと思うんだ…」
ルルーシュの口から出てくる言葉…。
就職はともかく…結婚なんて考えた事もなかったけれど…。
確かに…
―――ノンケなら…そうだよね…。ルルーシュだって、いくら美人でも男なんだし…
微妙に的外れな事を考えているスザクではあったけれど。
ルルーシュはその先の言葉を続けて行く。
「俺は…それが解っていても…お前と離れる事に不安がないと云えば…ウソになる。でも、現実問題、お互いがお互いの人生を送る為には何れそうなるのは確実で…。でも…離れ離れになったって…俺達がその…幼馴染で、ずっと一緒にいた親友で…と云うのは…変わらないと思うんだ…」
ルルーシュの言葉に…ちょっと胸が痛む。
「親友…?」
「あ、済まん!俺が…勝手にそう思っているだけなんだが…。お前が迷惑だっていうなら…改める…」
ルルーシュのその言葉に…スザクの身体の力が抜けて行くような錯覚を起こした。
「そうじゃなくて…。まぁ、確かに…ルルーシュの云う通りだよね…。ずっと一緒にいるって云うのは…中々難しい事だよね…」
スザクが少し寂しそうに云うと、ルルーシュがくっと唇を噛んだ。
「でも…離れ離れでも…俺達がこうして一緒にいて、一緒にいたいと思う気持ちは…本当で…。離れ離れになったからと云って、壊れてしまう程度の関係なら…その…それまでだ…と云う事だとも思う…」
ルルーシュの言葉は…。
スザクの事も、ルルーシュの事も、考えた…よりベターな言葉を選んでいる気がした。
確かに、ルルーシュと一緒にいたいと云うのは、感情的なものであり、人として生きて行くには確実に、物理的にこなさなければならない事がたくさんあるのだ。
「そう…だね…」
一時の感情に流されて、互いの人生が互いに縛られてはならない…と云う事なのかもしれない。
「だから…俺は就職する時には…スザクにきちんと相談する。お前が、その時までそうやって俺と離れ離れになる事を不安に思って、その時に、やっぱり離れ離れが嫌だと思っていてくれたなら…。だから…一度…違う生活をしてみないか?」
ルルーシュの提案だった。
云っている事は解る。
でも、スザクの感情の中で…怖いと思うところがたくさんあって…。
スザクが4年間…ルルーシュと離れ離れは嫌だと思い続ける自信はあるけれど。
でも、ルルーシュの方は…?と思ってしまう。
ただ、それで、友達関係さえ保てないのなら…所詮はその程度の相手だったと云う事だ…。
「そうか…。そうだね…。でも、休みのとき、ここに帰って来た時には…少しあったりできるよね?」
「互いに都合が合えばな…」
「その時はルルーシュのご飯…作ってね?」
「お前が望むなら…」
「一緒に遊びにも行こうね?」
「そうだな…ただ、体力バカの限界までは付き合えないぞ…」
そんな言葉のやり取りに…二人が顔を見合わせて…笑い合った…。

 4年間…
そう云う生活を送ってみようと思う。
でも、その先は…絶対に放してなんてやらない。
その4年間が始まるまでは放してなんてやらない。
だから…
次に、その時が来た時には…覚悟しておくように!
互いが…互いにそう思ったのだった。

END


あとがきに代えて



済みません…。
金曜日…ちょっとごたごたしていて更新できませんでした。
この更新の後、多分、遅くなるとは思いますが、『皇子とレジスタンス』を掲載したいと思います。
ホント、最近、こんな状態で済みません。

リクエスト下さったまりもこさま…
こんな感じになりましたが、いかがでしたでしょうか?
ブログの関係では色々御心配おかけしております。
呆れた果てていらっしゃっていないのかも…という不安を抱えながらもちゃんと書いております。
また、ご感想を送って頂ければ幸いです。
リクエスト、有難う御座居ました。


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将来の僕と君へ Final





※設定:現在、幼馴染同士のルルーシュとスザクは高校3年生です。お互いを思う気持ちがあるのですが…。ただ打ち明ける事も出来ないまま、そして、進路の問題など、更に彼らを追い詰める現実が差し迫っているようです。

このお話しはまりもこさまからのリクエストです。リクエスト有難う御座居ました。

 普通なら、ルルーシュがこんな風に肉を焦がすなんて事はあり得ない。
二人の目の前の焼き網の上で肉が炭になって、煙が立ち始めていた。
「あ、ルルーシュ!肉が…」
先に気づいたのはスザクだった。
こう云う時、わんこ並みに鼻の利くスザクが先に気づく。
これも昔から変わっていない。
「あ、済まない…」
スザクの告白に呆然としていたルルーシュが我に返り、網の上の肉を回収する。
こんなルルーシュを見るのは初めてだから、正直、スザクも戸惑ってしまう。
「あ、僕の方こそ、御免…。多分、僕が変な事を云ったから…驚いちゃったんだよね…」
スザクが少し俯いてルルーシュに詫びた。
ここで謝ってしまうのが、スザクなのだけれど。
ただ、ルルーシュはいつも、こんなミスをする事はないから…。
だから、スザクとしては、スザクの云った事がルルーシュのこんな行動を招いてしまったと思ってしまう。
―――これって、僕の自惚れなのかな…
そんな事を考えつつも、ルルーシュが焦げてしまった肉を回収している間に、スザクが新しい肉を乗せて行く。
そんなスザクを見ながら、ルルーシュが口を開いた。
「お前…そう云った話しをするには、焼き肉は向かないんじゃないのか?基本的に焼きながら食べるとなると、どうしても食べる方、焼く方に意識が向いてしまうだろう?」
ルルーシュは焦げた肉を集め終えてからスザクにそう告げた。
大体、ルルーシュの方はいきなりのスザクの申し出で来ただけなのだ。
こんな風にスザクにぶっちゃけられるとは露ほども思わずに来たのだ。
―――まぁ、突然スザクが一緒に夕飯を食べたいだなんて…何かあるとは思ったけれどな…。
ルルーシュが呆れ顔でそう云うと、スザクが『へへへ…』と笑った。
スザクのそんな笑いも、多分、不自然に見えている事は予想出来る。
元々、こう云う時に取り繕える様なスキルをスザクは持ち合わせていないのだから。
スザクとしては、こうして笑ってごまかす事くらいしか思いつかない。
「スザク…そう云えば、俺達がこうして、進学とか進路で離れ離れになる事を考えたのって…高校入試の時以来だな…」
ルルーシュがそう云うと、強引な愛想笑いをしていたスザクが『あっ』と云う顔をした。
でも、あの時にはまだ、対策を立てる事が出来た。
ルルーシュの方は自分の行きたい高校を普通に志望して普通に入試を受けて合格している。
それこそ、主席の成績で…。
だから、入学式の新入生代表挨拶はルルーシュがしていた。
ルルーシュがこの高校に入りたいと知った時、スザクはルルーシュに内緒で一生懸命考えたのだ。
どうしたらルルーシュと一緒に高校に通う事が出来るかと…。
幸い、ルルーシュの志望していたこの高校はスポーツ面でも全国的に有名で…スザクは運動能力が高くて、そのスポーツ推薦枠に付いて、担任に相談して…。
そして、その時のスザクの一生懸命な思いが通じたのか、こうして、同じ高校に通う事が出来るようになったのだ。
流石に同じクラスに…と云うのは中々難しかった。
特に、2年になる時、進路の事を真剣に考え始めなくてはならなくなった段階で、文系、理系、就職志望者、スポーツ特待生など、クラス分けされて…。
当たり前だけれど、スザクとルルーシュは同じクラスになれる事もなく…。
―――それでも、僕は、教室にいなくちゃいけない時以外はルルーシュと一緒に居られた…

 クラスは違っていても、流石に2年になって進路ごとにクラスが違うともなると、休み時間には様々な形で他のクラスの生徒が教室にいても別におかしな話ではなくなった。
と云うのも、恋人同士で暮らすが分かれてしまった者、ルルーシュとスザクの様に、仲の良い者同士が休み時間、昼食など、一緒に…と云う事はままある話しとなったわけだ。
ルルーシュとスザクもそんな感じだった。
ルルーシュは自分の人付き合いの悪さ…と云う事でスザクと一緒にいる事が多かったけれど、スザクの方は…ルルーシュに誰かほかの人間が近づく事をあまり快く思わずにいた。
ただ、ルルーシュがスザクのところに来た時に、スザクが他のクラスメイトと一緒にいるところに気づいた時、ルルーシュは黙ってそこから離れて行く事は何度かあって…。
スザクは時々そんなルルーシュに何となく…と云うか、時には自分の中で本当に寂しさとか、悲しさとかを、感じた事があり…。
そんな事が何度か続いた時に…スザクはある事に気が付いたのだ。
―――僕…ルルーシュと一緒にいたいんだ…。ルルーシュが僕以外の誰かと一緒にいるのが嫌なんだ…
と気が付いた。
それがいつの事だったのか、今となっては既に思い出す事もないけれど。
しかし、その事を自覚してからは…本当に独占欲が強くなったと思う。
自分でも怖くなった。
これで、ルルーシュと離れてしまう事になったら…と、凄く強く考える様になった。
ルルーシュと離れるのが怖い…。
そんな事を考えつつ…そして、3年生になって、それが本当に目の前の話しになって、逃げる事が出来ないところまで来た時…。
スザクは頭が真っ白になった。
スザクにスポーツ推薦の大学が決まりそうだ…そう、教師から伝えられた時には…進路が決まった安心感と同時に…。
これまで離れた事のなかったルルーシュと離れ離れにならなくてはならないと云うその、近い将来の現実に…怖くなったのだ。
これまで、ずっと、ルルーシュと一緒にいて…本当に二人で一つ…の様な気になっていた。
と云うのも、学校でもルルーシュとスザクのコンビは名物とまで云われるほど、有名となった。
それは、単純に有名になっただけではなく、実際にコンビを組んだ二人の発揮する様々なものが本物だったからだ。
高校に入ってからもそれは健在で…。
ルルーシュとそんなコンビとして云われる事はスザクにとって嬉しかったし、自分の中でのプライドでもあり、優越でもあった。
本当は…ルルーシュとそんな風に云われるなんて云うのは…身の程知らず…だと云う事は解っているけれど。
ルルーシュは凄い人だと云うのは解っているけれど。
でも、スザクにとって、これ以上の褒め言葉はないと云うくらいスザクの中での誇りでもあったのだ。
それが…
―――もうすぐ…そのルルーシュと離れ離れに…なっちゃうんだな…。だから…僕は…

 そんな事を考えながら、下を向いていると、ルルーシュが心配そうに見ているのが解った。
ルルーシュにとって、スザクと云う存在は…どんな存在なのだろうか…。
いつも、スザクと一緒にいてくれてはいるけれど。
でも、スザクがルルーシュを思う程、ルルーシュはスザクの事を思っていないのかもしれない。
スザクの中のルルーシュほど、ルルーシュの中のスザクは、存在は大きくないのかもしれない。
俯いて、黙っていると…
「スザク…そんな風に黙っていたんじゃ…解らないだろ?わざわざこんな風に一緒に夕食を食べたいなんて云うんだから…。進路の事…そんなに悩んでいるのか?殆ど、決まりなんだろ?」
ルルーシュが業を煮やしたように声をかけて来た。
なんでだろうと思ってしまう。
なんで、ルルーシュはそんな風にスザクに優しく接してくれるのか…。
それは、これまでずっと、優越感ではあったのだけれど。
でも、今は…その優しさが辛くなってしまう。
優しいのが辛いだなんて…他のルルーシュの事を好きな人たちからしたら、凄く贅沢な話しになるだろう。
それこそ、殺されても文句は言えない。
「あのさ…。ルルーシュは怒るかもしれないし、呆れるかもしれないんだけれど…。でもね…僕、進路がほぼ決まって…それは嬉しいんだけど…。でも、ルルーシュと離れるのが…その…えっと…嫌だ…と云うか…怖い…んだ…」
やっと、やっと出て来た…その言葉…。
ルルーシュはなんて云うだろうか…。
きっと、『自分の人生の為の選択なのに…一時の気の迷いでそこまで悩むのか?』などと呆れるだろうか…。
それとも『自分の人生を他人に振り回されるな!』って叱って来るのだろうか…。
どちらにしろ、ルルーシュの怒鳴り声が聞こえてきそうだ…と、スザクは思った。
でも…そんな予想に反して…ルルーシュの声が中々聞こえて来ない。
店内は確かに…色んなグループの声が聞こえて来ていて…騒がしいけれど。
同じテーブルに付いている自分達の会話が聞こえなくなるような…そんな騒がしさでもない。
とりあえず…、そのルルーシュの言葉が出て来ない状態が…少しの間続いた。
それが、数十秒の時間であったのか、数分…もしくは十数分であったのか…よく解らないけれど。
大した時間ではないにしろ、凄く長い時間に思えた。
スザクは居たたまれなくなって、先ほど、網の上に置いた肉をひっくり返しつつ、焦げないように、見張っている事くらいしか出来なくて。
でも、そのルルーシュが黙っている状態が…凄く心地悪かった。
そこにいる事が…何となく、しんどいと思うものの。
ルルーシュが黙っている状態のところを、ドリンクバーに行ってなんとか、その場を離れて、一呼吸を置く…と云う事も出来なくて…。
「あ…あの…」
思わず、スザクの方から、ルルーシュに声をかけて、ルルーシュを見ると…。
なんだか、見た事のないルルーシュの顔が…そこにあった。
なんだか…そのルルーシュの顔は…、
いつもより頼りなくて、弱々しい感じがしたのは…多分気のせいではない。
「ルルーシュ?」

 スザクが声をかけると…、ルルーシュは少し震えた様に口を開いた。
「何を…云っているんだ…。スザク…スザクの人生じゃないか…」
スザクが…ルルーシュから受ける叱責となるであろう…言葉と同じ言葉だったけれど…。
ただ…その声は怒鳴り声じゃなかった。
それどころか…少し震えているような気がした。
―――多分…気の所為じゃ…ないよね…
スザクがそんな、疑念を抱いてしまう程、珍しい光景だ。
ルルーシュが声を震わせているなんて…。
怒りの震えではない。
何かを耐えて…押し殺しているような…そんな震えだ。
「ど…したの…?」
スザクがそんなルルーシュに何を怖がっているのか解らないけれど、なんだか、恐る恐る…と云った感じに尋ねた。
ルルーシュの表情も…何か、ぐっと押し殺して、飲み込んでいる…。
そんな苦悩が見え隠れする様なそんな表情に見えるのだ。
「…んで…。なんで…スザクがそんな事…云うんだ…」
これまで…ずっと何かをスザクに隠して、自分の中に飲み込んで来たのだろうと云う、そんな言葉だった。
ルルーシュは基本的に隠し事が結構うまい。
スザクには解る事もあるけれど。
でも、今のルルーシュのその表情の理由、言葉の理由は…スザクには解らなかった。
「ルルーシュ?」
ルルーシュが何を云おうとしてるのか…解らなくて…スザクはもう一度目の前の人物の名前を呼んだ。
「なんで…お前がそんな事を云うんだ…。お前は…ちゃんと進路が…殆ど決まっているくせに…。なんで…お前がそんな事を云うんだ!」
最初の内はあまり強い口調は云えなかったけれど…最後は…少し怒鳴り声に近付いていた。
ただ、スザクがそんな事を悩んでいたと云う事で、怒鳴りつけていると云うよりも、そんな事を、今、ルルーシュに云った事、その事を怒鳴っているように聞こえる。
だから、スザクの中で、よく解らない…と云う感じになっているのだけれど。
ルルーシュが何故、こんな怒鳴り声をあげて来たのか…。
スザクが云った言葉の中で、ルルーシュは何を思い、なんで、怒鳴り声に近い様な声をあげたのか…。
「俺は…スザクの進路の邪魔をしたくない!だから…絶対にスザクの邪魔にならない様にって…思って来たんだ!なのに…なんでお前がそんな事を云うんだ!お前の人生の邪魔を…俺にさせるな!」
ルルーシュがそこまで云った後、聞いたスザクは勿論、云った本人が驚いていた。
ルルーシュはまるで…
―――今、自分は何を云ったんだ…?
と云う、少々困惑の入っている顔をしている。
「それって…どう云う…事なの…?」
驚いているけれど、でも、その言葉の意味を知りたいと思ったスザクがルルーシュに尋ねた。
その言葉の中にある、その意味は…スザクにとってとても重要な事だから。
将来の事を考えろ!と云われたって、やっぱり目の前の事もまだ大切で、後回しに出来ないスザクにとって、きっとその言葉の意味は…何よりも重要だと思えてしまう。
しかし、ルルーシュはその先の言葉を云わず…ただ、『ごめん…帰る…』とだけ云って、その席を立って行ってしまった。
スザクの中に…何か、不安と、期待とが入り混じる…。
今の状況ではあまりに不自然な気持ちだけが残った。

 結局、そんなもやもやを抱えたまま…店を出て…家に帰り…自分の部屋に入ってから…眠れない一夜を過ごしたスザクだったけれど…。
その間、スザクの頭の中にぐるぐると回り続けていた。
朝の光が…なんだか、眩しく感じるのは…恐らく、殆ど眠れなかった影響だろう。
「なんだか…頭が痛いな…」
睡眠不足では確かに仕方のない事だけれど、基本的にそんな経験のないスザクにとっては、中々しんどいと感じてしまうそんな自覚症状だ。
それでも、学校へ行かなくてはいけない現実に…ため息が出て来た。
とりあえず、じきに出かける時間になるし…。
のそのそとベッドから重い身体を引き起こした。
とにかく、顔を洗ってすっきりさせれば少しは違うだろうか…。
いつもならがっつり朝食を食べて行くのだけれど…正直、今日はそんな気分じゃない。
心配する母親を尻目に『昼食は学食で食べるって、約束したんだ…』と、適当な事を云って、さっさと家を出て行くと…玄関先には…。
「ルルーシュ?」
普段ならこんな時間のこの場所にいる筈のない人物が立っていた。
「おはよう…スザク…」
なんだか、ルルーシュの方も睡眠不足な顔をしている。
―――ルルーシュも眠れなかったのかな…
確かに、進路の話しに関しては非常にデリケートな話題でもあるのだ。
「あ、おはよう…ルルーシュ…」
睡眠不足で頭がぼんやりしていたけれど、一気に目が覚める様な気がした。
昨日の今日で…あんな話題になって、あんな風にルルーシュに云われて、先に代えられてしまって…。
「少し…いいか?歩きながら…で、いいから…」
ルルーシュがおずおずと声をかけて来た。
「う…うん…」
何を云われるのだろうかと少々不安になりながら、スザクはルルーシュの隣に立って一緒に歩き始めた。
いつものポジションで自分の右側に…ルルーシュがいる。
「スザク…昨日は…怒鳴ったりして…悪かった…」
ルルーシュがそんな風に謝ってきた。
スザクとしては、受験前のその、神経質になっている時期に無神経な事を云ってしまったと云う自覚はある。
「あ、別に…。あれはルルーシュが悪い訳じゃないし…」
「否…。怒鳴りつけたこと自体は悪い…。それに…俺が怒鳴った事で少し、誤解があるかもしれないと…思って…」
語尾が少しずつ小さくなって行く。
昨日から、滅多に見ないルルーシュの姿ばかり見ている気がする。
「でも…ルルーシュに怒鳴られる事を云ったのは…僕だし…」
「そうじゃない!そうじゃないんだ…スザク…」
少し声を荒げてルルーシュがスザクに訴える様に云って来た。
そのルルーシュの表情も…幼馴染のスザクも見た事無いルルーシュの表情だった。
―――一体…ルルーシュに何が起きているんだろう…
スザクは素直にそんな事を思っていた。
ルルーシュは少しだけ顔を赤くしている。
目も睡眠不足らしく、赤くなっているのが解る。
「その…俺も…スザクと…同じだったから…」
ルルーシュの言葉に、スザクは『え?』という表情を見せた。

 そんなスザクの表情を見て、ルルーシュは顔を赤くして、俯き加減にしながら言葉を続けた。
「その…お前が初めてなんだから…。俺だって初めてなんだ…。その、スザクと離れ離れになるって云う…その現実は…」
ルルーシュのその言葉にドキッとした。
それは…スザクとしては、消えない迷いと、進路に関して引っかかる事柄でもある。
「た…ただな…、お前も俺も…これからずっと…一緒にいられるわけじゃない。就職とか、その…け…結婚とか…これから先、ずっと一緒に…と云う訳にはいかないと思うんだ…」
ルルーシュの口から出てくる言葉…。
就職はともかく…結婚なんて考えた事もなかったけれど…。
確かに…
―――ノンケなら…そうだよね…。ルルーシュだって、いくら美人でも男なんだし…
微妙に的外れな事を考えているスザクではあったけれど。
ルルーシュはその先の言葉を続けて行く。
「俺は…それが解っていても…お前と離れる事に不安がないと云えば…ウソになる。でも、現実問題、お互いがお互いの人生を送る為には何れそうなるのは確実で…。でも…離れ離れになったって…俺達がその…幼馴染で、ずっと一緒にいた親友で…と云うのは…変わらないと思うんだ…」
ルルーシュの言葉に…ちょっと胸が痛む。
「親友…?」
「あ、済まん!俺が…勝手にそう思っているだけなんだが…。お前が迷惑だっていうなら…改める…」
ルルーシュのその言葉に…スザクの身体の力が抜けて行くような錯覚を起こした。
「そうじゃなくて…。まぁ、確かに…ルルーシュの云う通りだよね…。ずっと一緒にいるって云うのは…中々難しい事だよね…」
スザクが少し寂しそうに云うと、ルルーシュがくっと唇を噛んだ。
「でも…離れ離れでも…俺達がこうして一緒にいて、一緒にいたいと思う気持ちは…本当で…。離れ離れになったからと云って、壊れてしまう程度の関係なら…その…それまでだ…と云う事だとも思う…」
ルルーシュの言葉は…。
スザクの事も、ルルーシュの事も、考えた…よりベターな言葉を選んでいる気がした。
確かに、ルルーシュと一緒にいたいと云うのは、感情的なものであり、人として生きて行くには確実に、物理的にこなさなければならない事がたくさんあるのだ。
「そう…だね…」
一時の感情に流されて、互いの人生が互いに縛られてはならない…と云う事なのかもしれない。
「だから…俺は就職する時には…スザクにきちんと相談する。お前が、その時までそうやって俺と離れ離れになる事を不安に思って、その時に、やっぱり離れ離れが嫌だと思っていてくれたなら…。だから…一度…違う生活をしてみないか?」
ルルーシュの提案だった。
云っている事は解る。
でも、スザクの感情の中で…怖いと思うところがたくさんあって…。
スザクが4年間…ルルーシュと離れ離れは嫌だと思い続ける自信はあるけれど。
でも、ルルーシュの方は…?と思ってしまう。
ただ、それで、友達関係さえ保てないのなら…所詮はその程度の相手だったと云う事だ…。
「そうか…。そうだね…。でも、休みのとき、ここに帰って来た時には…少しあったりできるよね?」
「互いに都合が合えばな…」
「その時はルルーシュのご飯…作ってね?」
「お前が望むなら…」
「一緒に遊びにも行こうね?」
「そうだな…ただ、体力バカの限界までは付き合えないぞ…」
そんな言葉のやり取りに…二人が顔を見合わせて…笑い合った…。

 4年間…
そう云う生活を送ってみようと思う。
でも、その先は…絶対に放してなんてやらない。
その4年間が始まるまでは放してなんてやらない。
だから…
次に、その時が来た時には…覚悟しておくように!
互いが…互いにそう思ったのだった。

END


あとがきに代えて



済みません…。
金曜日…ちょっとごたごたしていて更新できませんでした。
この更新の後、多分、遅くなるとは思いますが、『皇子とレジスタンス』を掲載したいと思います。
ホント、最近、こんな状態で済みません。

リクエスト下さったまりもこさま…
こんな感じになりましたが、いかがでしたでしょうか?
ブログの関係では色々御心配おかけしております。
呆れた果てていらっしゃっていないのかも…という不安を抱えながらもちゃんと書いております。
また、ご感想を送って頂ければ幸いです。
リクエスト、有難う御座居ました。


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posted by 和泉綾 at 19:42| Comment(0) | TrackBack(0) | Novel Rebellion開設2周年